18/06/26 09:05:45.47 .net
ふつうに書くという、ふつうのことがわからないのか! ワイは呆れた! まずこれを読むがよい! ふつうに書き直した!
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次はウォッカを呷る。芯まで届く鈍痛に呻き声が口から漏れた。卓の上には食い散らかした肴。穢く皿からあちこち飛び出していた。吸い殻の山には火がつき燃えている。悩ましい炎の動きに悪酔いする。
「酔ってるって……誰があ」
火を消すと頬の盛り上がりに手をやる。自嘲の嗤いを浮かべて何度もさすっていると、何者かに腕を引っ張られるかのように座卓に突っ伏した。陶器の派手に割れる音はくぐもって、俺はそれを深い海の底で聞いた。底であったが、冷たくはなかった。心なしか、温かかった……
太陽が頭頂部をじりじりと焼く。すでにシャツは肌にへばりつきぐっしょりと濡れていた。両手の紙袋の紐が滑りそうになって引き上げる。前を行く理乃に離されまいと上体を傾け脚に力を入れる。
「あそこに寄るから」
彼女の指差した先にはパン屋があった。物欲の次は食欲を満たそうというのか。差し向ける小悪魔みたいな顔に呆れる。
「俺の財布もハラペコ―もう飢餓状態だ」
「じゃあ、親友のカードさんの出番だね」
スカートの裾がふわりとひるがえる。細めた目もそうだが華奢な体つきは狐のようにも思える。半ば化かされた気分になって叫ぶ。
「誕生日プレゼントがこんなに多いとは聞いてないぞ」
「予約していたレストランをキャンセルするなんて聞いてなかったぞ」
足を止め振り返ると理乃は腰に手を当てる。そして渋い表情を作る。
「ああ、昨日は悪かった。急な仕事が入って。まあ、そうだな……今日はとことん」
言葉が途切れた。渋い表情が見る見るうちに変わる。そうだ、これだ、これにいつも騙される。そこにあるのは、いつもの理乃の笑顔だ。