18/06/22 16:18:32.18 .net
>>108
一泊一万円もしないこんなホテルで、 何故こんなパーティーが催されているのか。
少し歩けばポートタワーだ。 こことあそこが地続きという事が信じられない。
信じられないことにこの部屋には窓がある。
ポートタワーも、その向こうの海も見渡せる。
遠くに汽船が見える。
ここの広さも私の所有するマンションの2倍以上だ。
豪奢だが主張しすぎない調度品たち。壁にかかるモネの絵画は本物だろうか。
腹の出た裸婦がゆったりと微笑む。ソファーに体を埋めた客たちも
リラックスしている。戸惑っているのは
私だけだ。
この私の目の前では老婆が胎児を逆さにつらして薄切りしている。
下に置いた皿に受けた血液は ソースにするらしい。 皿の金属のはしに
飛沫を作る赤に気が遠くなる。だが匂いは何故か柔らかい。
老婆とそれの横では、真っ裸の女が大股を開いて、息も絶え絶えだ。
つい先程老婆に胎児を摘出された彼女はまだ若い。十代だろうか。
係員に促されるままに彼女の中に、肉の空洞に
腕を差し入れる。
温かく、柔らかく、そしてどうしようもなく懐かしい感覚に腕が包まれる。
手首の先が亀頭になったような感覚に、私は滑稽を感じた。
笑いが気道をせりあがる。吐き気のように、こらえるのがきつい笑い。
それが一度口から漏れると、もう耐えきれない。 せきをきったように
私は 大笑いをした。笑い過ぎて涙が出る。
腕は女の中に突っ込んだままだったが、 私を侵している肺の末期癌に由来する絶望は
綺麗に胸から消えていた。 私はひたすら、狂ったように笑い続けた。