あなたの文章真面目に酷評しますPart84at BUN
あなたの文章真面目に酷評しますPart84 - 暇つぶし2ch562:えてくれた人々に感謝の言葉を述べた。  すると、決まり文句のように同じ言葉を返された。 「行くのはやめた方がいい」  理由を色々と言われたが、要するに危ないの一言に落ち着く。  現地に赴いた俺は納得した。参道は伸び放題となった雑草で足場が悪い。場所に間違いはないので、俺は緑の中を掻き分けて先へと進んだ。  生い茂る木々の中、風雨で崩れた石段が辛うじて痕跡を残していた。登り詰めた先には片方の破風が崩れ落ちた、こじんまりとした神社があった。 「残ってるじゃないか」  目で確認したあと、カメラに周囲の風景を収めて帰途に就いた。  一息ついた午後三時くらいに俺は親友の富山に電話を掛けた。今日の収穫を伝えると話に食いついてきた。 「野球一筋にしては食いつきがいいじゃないか」 『明日、地区優勝をかけた試合があるんだよ。天気予報では酷い雷雨とされている』 「どうせ順延になるんだろ?」 『今がチームのピークなんだよ。だから順延だと困る』  話の流れで俺は神社に引き返す事となった。バイクの後ろに富山を乗せて県道を北にひた走る。 「これで安心だよな」 「まあ、どうだろうな!」  俺はバイクを走らせながら後方に怒鳴って答えた。  その晩、富山は自宅で首を吊って自殺した。  翌日は奇跡的に天候が回復して朝から青空となった。  喪服に身を包んだ俺は駅のホームで現像した一枚の写真を取り出した。半ば朽ちた神社が鮮明に映っていた。周囲には紐のような物で吊るされた人々が人魂の如く、ぼんやりと宙に浮かんでいる。 「……富山、本当にごめん」  その中の一体に俺は深々と頭を下げた。他の者よりも鮮明に映った富山は苦悶の表情で首を吊っていた。  不謹慎にも俺には等身大のテルテル坊主に見えた。




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