14/07/25 14:22:57.34 .net
八月号の柱の小説二本を読んだ
西村賢太「菰を被りて夏を待つ」…いつもどおりの貫多もの。今回は二十歳直前、
田中英光に入れ込んで稀覯本集めして、家賃を溜めてしまう話。まあいつもどおり。
文章は古めかしいが筆力あるのもいつもどおり。
山下澄人「アートマン」…いかにもの現代文学。時系列は行きつ戻りつ、場面はいきなり転換。
ストーリーはほぼなし。他人と関わり合って自己展開していくという近代文学のセオリーはなし。
バラモン教のアートマンと現象學を突き混ぜたような観念がえんえんと語られる。いいできと言えば
いいできだが、ひとりよがりとも言える。宮本輝なら落とすだろ。