短文を書いていき小説を完成させるスレ 2巻at BUN
短文を書いていき小説を完成させるスレ 2巻 - 暇つぶし2ch250:名無し物書き@推敲中?
14/08/23 12:00:27.65 .net
ある夜ニュースを見ていた二人は、日本の岡山県で、
果樹園の桃が一夜で食い尽くされるという事件が起こったことを知った。

251:名無し物書き@推敲中?
14/08/29 22:36:18.39 .net
エッチューは空飛ぶもみじ饅頭に乗って岡山へ向かった。

252:名無し物書き@推敲中?
14/08/31 12:24:58.41 .net
しかしもみじ饅頭は毎日毎日工場の鉄板で焼かれた上にこんな時間外労働をさせられ、心底嫌になっていた。
よって岡山の奥地、津山三十人殺しで有名な廃村にエッチューを放置すると、額にロウソクを二本立てて「祟りじゃ~」と言いながら飛び去った。

253:名無し物書き@推敲中?
14/08/31 13:49:26.89 .net
エッチューは装備を確認した。
ライフル、包丁、手斧、マッチ、鉢巻、蝋燭。
そして夜這いのライセンスを所持していた。
こ、これって…

254:名無し物書き@推敲中?
14/08/31 15:04:13.61 .net
…この地に我が王国を築けということなのだろうか。
単なるもみじ饅頭の嫌がらせだとは気付かず、隠れ中二病のエッチューはそう合点した。
この地を耕し仲間を増やし、いずれは京へと攻め上ろう。人ならざる者の楽園を作り上げるのだ。
固く誓い「明日から頑張る」と呟いて手近な民家の中へと消えていった。

255:名無し物書き@推敲中?
14/08/31 18:24:09.29 .net
廃墟となった民家の中では、なんと若いカップルが、全裸でセックスの真っ最中だった。
都会からホラースポット巡りでこの地を訪れた二人は、現場検証などという口実の元、お互いの欲望をぶつけ合うに至ったのだった。
金髪の男は女の尻を叩きながら、「お早うスパンキング! お早うスパンキング!」と繰り返している。
エッチューは昔ハマった洋物を思い出した。

256:名無し物書き@推敲中?
14/08/31 23:27:50.59 .net
ジェダイの騎士と呼ばれる若者を主人公とした冒険活劇を。女の中へと侵入を繰り返す肉槍が、ヒーローが繰る光の剣を思わせたのだ。

257:名無し物書き@推敲中?
14/09/01 20:42:18.87 .net
「ピーポポゥ……」
下になっていた女が儚げな声を出した。
ややっ、これは女じゃない。昔の掃除機みたいなロボだ。

258:名無し物書き@推敲中?
14/09/02 00:38:10.27 .net
「アールツーエックスツー。そんなはしたない声をあげて……。興奮しているのですか?」
上に乗った金ぴかが寸胴の頬らしい場所に手を添え囁きかける。

259:名無し物書き@推敲中?
14/09/02 20:51:32.30 .net
その時、家の壁がゴゴゴゴと音を立てて揺れた。
部屋の奥から、何か黒い塊が蠢き出そうとしている。
壁に手を触れたエッチューは、それが意外と柔らかく、温かいことに驚いた。
「この家は…生きている!」
「おや、ご存知なかったのですか? ここはジャバ様の直腸内ですよ。我々は、時々ここでスリルに満ちたプレイを営んでいるのです」
金ピカ野郎が恐ろしい真実を語る。廃屋に見えたのは、凶悪な宇宙人ジャバで、入り口に見えたのはその肛門だったのだ。

260:名無し物書き@推敲中?
14/09/03 00:49:40.47 .net
ジャバ様が語り始めた。
「パブリック スタティック ボイド メイン」
エッチューにはそれが何のことだかサッパリだったが、
2人のロボは何かを感じ取ったようだ。

261:名無し物書き@推敲中?
14/09/03 01:16:24.70 .net
「こ、構文エラーはいけません。このままでは……」
「ピピッポゥ、ポピウ!」
まぐわう二機ががくがくと震えだし、
「私たちのプログラムが壊れてしまいますよ。マズいです―」
合成音声とモーター音もが静まり止まっていく。
金ピカは顎を上げ「ぬるぽ」と呟いてからこと切れた。

262:名無し物書き@推敲中?
14/09/04 00:45:22.25 .net
と、どこからともなくものすごい地響きが沸き起こった。
「しまったポゥ! 織田のうつけめ、奇襲とは片腹痛いポゥ!」
下になっていたロボはガラクタと化した金ピカを払いのけると、
ジャバ様の出口を探して大腸を降りはじめた。エッチューもそれに続く。

263:名無し物書き@推敲中?
14/09/04 01:14:42.04 .net
沈み込む地面に足をとられながら一本道を急ぐ。生き物の体内になど一刻たりとも居たくはなかった。
だがロボは途上にある扉を押し開けて道を逸れてしまう。
「脱出するのではないのか」焦りからか怒鳴ってしまうが、
「ピポ―いや、芝居はやめよう。そちらの席に座りたまえ」
狭い部屋に設けられた二つの座席の一方をロボが示した。

264:名無し物書き@推敲中?
14/09/05 01:12:49.09 .net
「宇宙を征服したいとは思わないかね?」ロボットが言った。
生ける褌には重い話だった。

265:名無し物書き@推敲中?
14/09/06 00:09:34.06 .net
人に対して従であるはずの褌が主になってしまえば、もう誰の股間を保護することもできないだろう。本人が望んでも身分差がそれを許さないからだ。
「そうすれば女を囲うのも自由。とってもフリーダム!」
生まれを否定されたようでエッチューは怒りを覚える。
その眼前で調子よく語り掛けてくるロボットの頭が左回りに回転させはじめ、ボトルキャップのごとくせりあがっていくと、ごとりと床に落ちた。

266:名無し物書き@推敲中?
14/09/06 00:31:21.99 .net
と、頭の抜けた胴体の穴から、にょっきりと白い腕が突き出された。
腕はエッチューに向けて指を伸ばすが届かない。だが腕は諦めず、
ふたたび力強く褌を探ると、突然胴体ごと前方に倒れ、硬直したエッチューの裾を掴んだ。
「ギエエエエー! なんなんですかあなたはー!」
悲鳴を上げるエッチュー。腕の飛び出した暗い穴の奥で、腕の主のもう片方の掌が、
必死に横乳を隠すのが見えた。

267:名無し物書き@推敲中?
14/09/07 10:37:20.69 .net
「ふふ…ロボットの中から美女が出てくるといえば、ケメコデラックスしかないでしょ?」
だが出てきたのはマツコデラックスだったので、エッチューは希死念慮が突発的に生じた。
彼はライフルをセットすると、無理矢理こめかみに押し当て、引き金を引く。
当然長さ的に上手くいかず、ライフルは跳ね上がると、背後のジャバ様の大腸内壁を撃ち抜いた。

268:名無し物書き@推敲中?
14/09/07 15:30:23.99 .net
ブーッ!肉壁にあいた穴から、空気が勢いよく抜けていく。
鈍重なロボたちは何とか踏みとどまったが、木綿のエッチューはしゅるしゅると
穴に吸い込まれていった。

269:名無し物書き@推敲中?
14/09/10 00:47:35.17 .net
勢い強く空へと放られ風に捕らわれる。廃屋の群が豆粒になり、やがて山々がミニチュアと化す。
雲と共に気流に揉まれ空を漂いたどり着いたのは、コンビニの勢力圏外である秘境ガラパゴス諸島だった。

270:名無し物書き@推敲中?
14/09/10 07:35:28.54 .net
エッチューの眼前には高さ3メートルほどの石の塔があった。
すると突然、その塔がしゃべった。
「オイ……俺の背後に立つな」
それはモヤイの後頭部だったのである。

271:名無し物書き@推敲中?
14/09/12 02:30:44.42 .net
そうだ、仏師になろう。
脳裏に雷が響いたのは突然だった。このぶっさいくな岩を整形しなければならない。そんな使命感が突如として湧きだしたのだ。
だが、ノミと槌を探しに人里を目指そうと踵を返したエッチューは後ろから弾かれて地面に投げ出された。
伏したまま振り向くと、モヤイ像が口を開いてその中から光る輪っかを吐き出し、エッチューの頭上を間抜けな音をたてて通過していく。
「おのれ、バクテリアンの手先めが!」
次の一撃を避けるため飛び上がったエッチューが叫んだ。そして体が急激に盛り上がり、硬質なもの姿に変化していく。超時空間戦闘機、ビッグバイパーへと。

272:名無し物書き@推敲中?
14/09/13 07:21:17.49 .net
だが周囲のモヤイたちも猛烈な勢いでイオンリングを吐き出していた。
ミサイルもダブルも取得していない素のビッグバイパーにとって、
この位置からのゲーム開始は身に余った。
ドゥン ドゥン ドゥン……!
爆発音。次の瞬間、エッチューは別な空間に放り出されていた。

273:名無し物書き@推敲中?
14/09/13 21:47:12.10 .net
異次元空間を通過して再びふんどしに戻ったエッチューがたどり着いたのは、中二病の彼に相応しい、剣と魔法とビキニアーマーの世界であった。
そこで最下層の防具として武器屋の親父に拾われた彼は、ぬののふくを師匠として修行するところからはじめた。
次第に頭角を現した彼は、くさりかたびらを超え、強敵のはがねのよろいすら凌駕し、遂に勇者に装備されるまでに至った。
こうして二年の月日が過ぎた。

274:名無し物書き@推敲中?
14/09/13 22:09:05.53 .net
エッチューの姿があったのは、安いだけが取り柄の酒場の隅。舐めるように酒を飲む姿は薄汚れ、最後に手洗いされた記憶も久しい。
てんしのレオダードへ後一歩。届きかけた高みを目の前にして、彼はあぶないふんどしとなってしまったのだ。

275:名無し物書き@推敲中?
14/09/13 22:48:10.61 .net
と、酒場の扉が開いて、外の吹雪が吹き込んできた。入ってきたのは一人の少女だ。
少女は倒れこむようにカウンターにすがりつくと、何でもいいから暖かいものをくれと懇願した。
「お嬢ちゃん、ここは男の店だ。女に出すものはねえ」
バーテンダーの答えはつれない。

276:名無し物書き@推敲中?
14/09/14 02:29:44.47 .net
膝をついて、まだ歳が十にも満たない少女が咽び泣いた。
弟がこのままでは死んでしまいますと訴えて。

277:名無し物書き@推敲中?
14/09/14 08:02:09.28 .net
「仕方ねえな。これでも飲ませてやりな」
バーテンはバナナショウガの入ったシェイカーを少女に渡した。
だが娘はシェイカーを開けると、その場でドリンクを飲み干してしまった。
「なーんちゃって♪ ちょろいわねあなた」いたずらっぽく笑う。
バーの空気が凍りついた。

278:名無し物書き@推敲中?
14/09/14 15:17:14.28 .net
「先生、お願いしまーす!」
バーテンが叫ぶと、「どうれ~」という胴間声とともに、奥の扉から3mはあろうかという全裸の大男が出て来た。
「このゴーリキ先生はな、オーガの血を引いておられ、お前のような小娘を犯しながら食べるのが大好きなんだよ」
バーテンが無表情に説明する隣で、ゴーリキとやらが「グフフ…」と舌舐めずりをしながら、二本も生えた巨大な男根を両手でなでさする。
「いいぞ先生、やっちまえ!」「今日は祭りだ!」
周りの野郎どもが急に騒がしくなる。エッチューは急に尿意をもよおした。

279:名無し物書き@推敲中?
14/09/14 18:47:42.85 .net
熱を帯びていく酒場の空気から逃げるようにトイレに駆け込んだ。
あの娘には悪いが今のエッチューに彼女を救う力はない。できることは目を閉じ耳を塞ぐくらいだ。
戸を閉めて籠ろうとして、大きな手がそれを止めた。
「……おとこ、おかす。もっとすき」
扉を引いて奪われ、その向こうに現れたゴーリキーが鼻息荒くエッチューを見つめている。

280:名無し物書き@推敲中?
14/09/14 21:11:19.93 .net
そのとき、エッチューの中で本能が弾けた。
ピャッと空中を泳いだエッチューはパパッと大男の股間に巻きつき、
ギュッと締めて破廉恥な棒をおのが支配下に置こうとした。
「無駄よ、いっただろう、わが息子は双子……!」
エッチューの脇からはみチンが覗いている。そしてこぼれでた一息は、
なお酒場を制圧する力を持つ暴れん棒なのだ。客ども、あやうし!

281:名無し物書き@推敲中?
14/09/16 03:08:17.08 .net
ゴーリキーの股間に巻きつくことしかできず酒場のメインフロアに連れて行かれた
未だ少女を拘束したままの薄く嗤う酔った客に無言で詫びた。この巨人の得物は彼らが捕えている少女ではないのだと。

282:名無し物書き@推敲中?
14/09/16 22:01:41.53 .net
「アオーン!」
ゴーリキーが雄叫びを上げるとともに、手近にいた戦士風の客を右手で掴む。
「ひぃ、俺は女じゃねーぞ! ノーマルだ!」
恐慌状態に陥る戦士に張り手を食らわせ黙らせると、左手で一瞬に装備を剥ぎ取り、毛の生えたアナルを露出させ、ハミチンで一気に貫く。
「グフッ、いいケツマンコ…ぐぅっ!?」
愉悦を浮かべるゴーリキーの表情が、急に苦痛に歪む。エッチューは、彼の「あぶないふんどし」の能力を思い出した。
彼を装備した者は呪われ、あらゆる性病にかかってしまうのだ。ようやく巨人に効果が発現したのだろう。

283:名無し物書き@推敲中?
14/09/16 23:12:06.18 .net
「おまわりさーん!」戦士が叫ぶ。
待ってましたとばかりに酒場に飛び込んできたのはゲイ察官の群れだ。
ゲイ官たちはものすごい連係プレーでゴーリキーを亀甲縛りにしてしまった。

284:名無し物書き@推敲中?
14/09/17 03:19:03.70 .net
引き締まった巨体に誰もが舌なめずりをするが、一人が性病持ちだと気づく。
警部は昂ぶりの行き先を失って舌打ちを隠さなかった。
そして客を見渡し始め、不穏な空気をいち早く察し慌ただしく勘定を済ませようとした一人の襟首を掴んだのが合図になった。
部下達が客に踊りかかるのを横目に掴んだ男を便所へと引き摺って戸をゆっくりと閉めた。

285:名無し物書き@推敲中?
14/09/17 23:34:41.54 .net
急に場面が暗くなると、酒場の中央にスポットライトが落ち、
物陰からタキシードを着た小男が現れた。
小男が歌いだすと、場の喧騒が遠のいていく。
彼の曲目は、

286:名無し物書き@推敲中?
14/09/18 00:28:28.17 .net
しがらみから解き放たれた自由恋愛の素晴らしさを湛えた詩だった。
激しいアップビートが炊きつける。一度は引きかけた熱のうねりを。
「野郎ども、今夜は謝肉祭じゃぁ!」
警部が叫んで舞台で怯える小男を組み敷いた。それを合図に始まった惨劇は酒場が軍に制圧される朝まで続いた。

287:名無し物書き@推敲中?
14/09/18 00:55:42.09 .net
チュン、チュン、チチチ……。

288:名無し物書き@推敲中?
14/09/18 01:47:22.58 .net
陽の光が目に差し込んで少女は目を覚ました。
圧迫感を感じて身じろぎをするが、手足の自由ず身動きが取れない。
その弾みで目から光が逸れて、それが小さな隙間から一筋差し込んだだけのものであると気付く。どうやら何かに埋もれてしまっているようだ。

289:名無し物書き@推敲中?
14/09/18 18:25:18.05 .net
押してみれば柔らかい。力を入れて体の上の重量を持ち上げ、
朝の空気に頭を上げて驚いた。少女の上に折り重なっていたのは、
麦わらでできた何十体という案山子の山だったのだ。
そこは森の中の空き地だった。

290:名無し物書き@推敲中?
14/09/19 00:23:14.44 .net
「気がついたか、クソガキ」
声のする方向を振り返ると、あのバーテンが、気絶したエッチューを手にして立っていた。
「世界の崩壊が始まっている。あの後性病にかかったゴーリキーの奴が暴走し、怪物に変身すると、謎の光線を発し、一瞬で酒場が変化したんだよ」
「何故私たちは、無事だったの?」
「俺とお前は、野郎どもの影に隠れていて、光に当たらなかっただけさ。このふんどしのことまでは知らん」
バーテンはそう言うと、「とりあえずあいつを倒さねえと、お客さんは元に戻らないし、酒場も再開出来ねえ。お前らのせいだし、一緒に来い」と無理矢理三人パーティを結成した。

291:名無し物書き@推敲中?
14/09/19 18:19:48.98 .net
1時間後、エッチューは2個の棺桶を曳いて夕日の浜を歩いていた。
ゴーリキー、強すぎる……。
奴は人間だけ倒すと、木綿のエッチューを鼻で笑って見逃したのだった。
屈辱、であった。

292:名無し物書き@推敲中?
14/09/20 04:04:53.72 .net
棺桶は近所の集落の教会の前に投げ捨てた。中身の今後など考えもしない。
エッチューにとっての感心毎はただ一つ。ゴーリキーの動向だけだった。

293:名無し物書き@推敲中?
14/09/20 07:39:17.66 .net
その日、日経新聞の『私の履歴書』に、ゴーリーキーが半生記を書いていた。
彼の人生は褌が思っていたよりも波乱に満ちていたらしい。

294:名無し物書き@推敲中?
14/09/20 19:02:48.96 .net
「私はオーガの父親と、人間の母親の間に生まれました。
禁断の恋愛の果てに逃避行を行った両親は、追っ手から逃れるため絶海の孤島に渡って、そこで生まれ落ちた私を育てたのです。
しかしやはりオーガの人肉を喰らいたいという欲望は凄まじく強く、父親はそれを抑え込むのに想像を絶する苦労をしていました。
なんとか本能を克服した父親は、妻子のために魚や果物を摂り、我々家族は仲睦まじく暮らしていました。
しかしある嵐の晩に、突如その平穏が破られたのです」

295:名無し物書き@推敲中?
14/09/21 08:31:29.49 .net
近くで難破した桃太郎女学園の生徒たちが、大量に岸辺に流れ着いたのです。
私は100人の生存者を救出しましたが、彼女らの体が桃の香りを放っているのに気づきました。
もちろんそんなはずはなく、私の中のオーガの血が、肉の美味をそういう形で予測させるのでした。
父母は禁を破ることを恐れ、真っ先に島の奥へと退避し、私と100人の女生徒たちが
浜辺に取り残されました。そしてその後の2週間、食肉の誘惑を退けるために、私は彼女らと
忘れられない代償行為に及んだのです……。
(続きは有料版です。日経スポーツに登録してください)

296:名無し物書き@推敲中?
14/09/23 22:14:55.94 .net
記事を読んでフルボッキしたエッチューは、早速登録しようとしたが、金が無いのに気づき、意気消沈した。
その頃、彼を狙う二つの影が、街を徘徊していた。
ゾンビ化したバーテンと少女の哀れな姿だった。

297:名無し物書き@推敲中?
14/09/23 23:48:12.35 .net
「あたしらを生き返らせる金ってあったはずっすよね」
「そうだな。奴の手癖の悪さに気付かなかったのは失態だった」
二人の財布には生き返らせてもらうのに十分な金があったはずなのだが、目覚めてみれば神父に「金が足りないからここまでだ」と突き放されたのだ。
納得いかずに抗議をしたところ判明したのがエッチューによって財布の中身を随分とパクられたという事実だった。
「早く仕事見つけてお金つくらないと、あたしら腐っちゃうっすよ」
奴に復讐したいが目下、完全に生き返るのを優先しなくてはならない。異形となりつつある姿で働ける場所を探して、二人は歩き続ける。

298:名無し物書き@推敲中?
14/09/26 23:55:51.51 .net
3ヵ月後、骸骨になったのちも2人はまだ歩いていた。
「おっかしーなーこんなはずじゃなかったのになー」
「だよねーだよねー」
体も心もだんだん軽くなっていた。

299:名無し物書き@推敲中?
14/09/27 19:28:24.64 .net
さて、エッチューが二人からパクった金を何に使っていたのかというと、時空転移装置、通称「旅の扉」の制作費に当てていたのだった。
このファンタジー世界に嫌気が差してきたため、彼は様々な魔道書を読み漁り、元の世界に戻る装置の開発を進めてきた。
しかし必要な材料が後少しで全部揃うという時、最重要な材料のページを読んで、彼は愕然とした。
「装置の起動に必要なアイテム:ゴーリキーの男根二本」
をつけねばならぬ宿命なのか…

300:名無し物書き@推敲中?
14/09/27 23:48:03.70 .net
「……大根でいいか」
高価な魔導書のために資金などとっくに尽きて装備品も売り払ってしまっていたエッチューに戦うことなどできるはずがない。
しばし懊悩した挙句、最後に残った銅貨一枚を懐に入れて町はずれの小屋から町へと向かった。

301:名無し物書き@推敲中?
14/10/01 23:42:02.74 .net
町の入り口にはソ連製の多砲塔戦車が待ち構えていた。

302:名無し物書き@推敲中?
14/10/01 23:53:26.53 .net
その醜悪なデザインは複数の男根を持つゴーリキーを連想させ胃液がせりあがった。
だがここでエメラルド☆スプラッシュをぶちまけるわけにはいかない。
ゴーリキータウンと名を変えた、モヒカン共の巣窟を前にして不信感を持たれる行動は慎まなければならないのだ。

303:名無し物書き@推敲中?
14/10/02 01:27:55.21 .net
「へい、らっしゃーい! 奥さん、このキュウリどうよ? 旦那さんのアレより凄いよ!」
八百屋では、恵比須顔のハゲ親父が、陽気に下ネタを振りまき、顰蹙を買っていた。
なんとか辿り着いたエッチューはさっそく大根を探すも、1本の値段が銅貨1枚のため、二本買うことが出来ない。
あきらめて帰ろうとしたとき、隅にある二又の大根が目に止まった。側に何故か犬の死体が捨ててある。
「親父さん、これいくらだい?」
「ああ、それは厄介払いしようとしたマンドラゴ…おっと、珍しい大根だよ。今なら銅貨1枚にまけてやるよ」
こうしてエッチューは、怪しげな二又の大根を購入し、店を去った。

304:名無し物書き@推敲中?
14/10/02 21:14:23.54 .net
とりあえずマンドラ子と名づけてみた。すると、マンドラ子が意識を持った。
「ただの植物だったあたしも、これで一人前の妖怪です。私の必殺技、
2穴攻めを是非ご活用ください。キェーッ!」
ドラ子が恥ずかしそうに言った。

305:名無し物書き@推敲中?
14/10/02 21:50:23.34 .net
その喋り方にイラッとしたエッチューはその生まれたての妖怪の両足をつかむと、ためらわず二つに引き裂いた。
「キェーッ!」

306:名無し物書き@推敲中?
14/10/03 01:44:51.27 .net
マンドラ子はマン子とドラ子の2名になった。
「キョェエーッ!」

307:名無し物書き@推敲中?
14/10/03 03:33:22.45 .net
目的の品物は手に入れた。直に町はずれの小屋に戻りたい。
「やー、まってー」
「うまく歩けないの」
だけど、甘えた声をあげる二人というよりも二本はエッチューが乱暴に引き裂いたものだ。元が自分で購入したものだから責任をとらなければなるまい。
エッチューを追いかけたかと思えば街中にあるあらゆる物に興味を示して方々へと行きたがるのを窘めるのは、かなりの労力を必要とした。

308:名無し物書き@推敲中?
14/10/04 16:17:56.39 .net
「ねえ、これなーに?」ドラ子の声に振り向いたエッチューは驚愕した。
道端に倒れていたのはゴーリキーの死体だ。その男根はすでにしなびており、
転移装置の鍵には使えそうになかった。
死体の傍らにはガラスのペニスケースが落ちていた。

309:名無し物書き@推敲中?
14/10/04 17:27:21.84 .net
実は先程のマン子とドラ子の悲鳴で、町中の生物は死滅していた。
元々この世界の住人ではないエッチューには効果がなかったのかもしれない。
「安らかに眠れよ」
エッチューがゴーリキーの死体に近づいたとき、死体の指がピクッと痙攣した。
町は夕闇に包まれつつあった。ゾンビ達の時間帯だ…

310:名無し物書き@推敲中?
14/10/04 18:49:09.76 .net
街頭テレビのゾンビ予報では、夜半にかけてゾンビのち大グール、
ところによりレイスが出現するとのことだった。

311:名無し物書き@推敲中?
14/10/05 03:01:12.63 .net
それはそれとして、エッチューは街へと急いで引き返した。拾ったゴーリキーの男根だけを教会で復活させようと。
代金など握った奴の浮気現場の写真一枚でどうにでもなる。両肩に人参もどきを乗せ、日暮れを前にひた走る。

312:名無し物書き@推敲中?
14/10/05 17:10:37.10 .net
エッチューはあらゆる写真を捏造できる超念写能力のホルダーだったのだ。
彼が精神を集中させると、雲の中から町の人の捏造不倫写真が降り注いだ。
その中にはもちろん神父のものもある。

313:名無し物書き@推敲中?
14/10/09 00:50:55.33 .net
教会の中では、ゾンビ神父と愛人たちが生きているシスターを追い回していた。

314:名無し物書き@推敲中?
14/10/11 01:59:01.52 .net
「けへー、たーべちゃうぞー」
腐肉になってなお色艶のいいデブが右に左にとよたよたし、シスターはギリギリ捕まらないように囃し立て、手をたたいて誘い逃げ回る。
「あれ、何やってるんですか?」
「お前には運動以外の何に見えるんだ? ああやって走らせておかないとあのデブは糖尿病でくたばっちまうからな」
入口脇で煙草をふかしている顔見知りのシスターに聞くと、ぞんざいな口ぶりでそう言った。

315:名無し物書き@推敲中?
14/10/11 15:56:47.10 .net
囃すシスターがひらりと身をかわすと、ゾンビ神父が法衣の裾を踏んで
汚れた布をずたずたに引き裂いてしまった。
「あッ……!」
エッチューは驚いた。この神父、法衣の下は白い九尺褌を締めている。
その様は裸形に十字架を纏ったキリスト者の理想形だった。

316:名無し物書き@推敲中?
14/10/12 00:25:19.67 .net
褌としての一つの完成形にエッチューは嫉妬を隠せず、神父の股間を睨んで怒鳴る。
「貴様っ! 名を名乗れ」

317:名無し物書き@推敲中?
14/10/12 23:33:16.35 .net
「わが名はセーブ。セーブ・ポイントだ。きみ、今の状態をセーブしたいかね?」
神父が尋ねた。

318:名無し物書き@推敲中?
14/10/13 00:00:18.47 .net
「用があるのはお前じゃないっ! 貴様の股間だあああ!」
その少し汚れた盛り上がりに飛び掛かるエッチュー。褌を奪おうと組み付けば神父が身悶える。

319:名無し物書き@推敲中?
14/10/13 12:40:14.29 .net
と、神父の褌がするすると解けて、新たな生ける褌としてエッチューに組み付いた。
「大きくなったな、弟よ……だが、お前は締める主をみつけておらんようだな」
「に、兄さん……!?」
キューシャクはエッチューの兄だったのだ。

320:名無し物書き@推敲中?
14/10/14 00:42:49.41 .net
「存在を知らなかった兄さんがいるのなら、シルク製の繊細な姉も、もしかして……」
「それは諦めろ。俺達は褌なんだ」
沸き立つ期待を早々に刈り取られ、エッチューは心を閉ざした。

321:名無し物書き@推敲中?
14/10/15 08:00:32.75 .net
と、突然教会の入り口の扉が開き、恰幅のいい中年男が入ってきた。
「喧嘩をするのではない、わが息子たちよ」
この人こそすべての褌の祖、モメンノ・フンドシーフ男爵だ。

322:名無し物書き@推敲中?
14/10/15 22:55:21.73 .net
男爵は語る。彼ら兄弟は双子だったが、褌社会においては二つに裂ける予兆として不吉とされ、弟のエッチューのみ、別世界に放逐されたのだった。
「というわけでエッチューよ、この世界こそがお前の故郷なのだ。もう何処へも行かずとも良い」
しかしそんな台詞では、エッチューの心は動かなかった。
「何が故郷だ。生まれてすぐに捨てたくせに。それにお前が父親だというなら、俺の母さんはどうなったんだ!?」
「それを知りたいか…」
男爵の言葉に影が差す。

323:名無し物書き@推敲中?
14/10/16 02:09:53.51 .net
「お前たちは、一枚の聖骸布を引き裂いて作られたのだ……」
「セイガイフ? なんですかそりゃ」
「キリストの遺体を包んだ布だ…・・・」
「遺体? なんてこった、あっしらはホトケをくるむ布だったってわけですかい!? なんて不信心な!」
「だが、あの女にとってはそうではなかった……」

324:名無し物書き@推敲中?
14/10/18 02:01:26.76 .net
言葉を詰まらせた男爵の表情に浮かぶのは悔恨。エッチューは先を促すのを躊躇った。
それは彼の生傷を無作為に抉る行為に思えたのだ。
「―では、私が語ろう、では、……ないか」
苦しげに喘ぎながらの声がかけられてそちらを向けば、地べたに仰向けになった神父(腐ってる)が遠い目をしていた。

325:名無し物書き@推敲中?
14/10/18 10:43:32.20 .net
「女と神の子が出会ったとき、ジーザス・クライストは近江の琵琶法師だった……」
神父の語りともに照明が落ちて、教会の正面に8ミリの記録映像が映し出された。
男爵が人数分のパイプ椅子を用意するのがわかった。

326:名無し物書き@推敲中?
14/10/19 00:00:56.63 .net
「また回想シーンかよ!」
思わずエッチューは叫んでしまった。それは彼の無意識を超えた奥底から迸り出た心の声だったが、回りは特に気にしなかった。
画面の中では又吉と名乗る琵琶法師が「いんへるのさいくだ~」と辻説法し、人々は「ぜすさま!」と熱狂していた。
彼の股間には、目にも眩しい純白の褌が垂れ下がっていた。
そう、蘇ったイエスは近江の国に生まれ変わり、人々の信仰を集めていたのだ。

327:名無し物書き@推敲中?
14/10/19 01:02:13.09 .net
江戸の一画で客引きとしての卓越した手腕を発揮する彼を同業者は崇拝する。彼の引き合わせによって見受けされた花魁たちが見つけた幸せを彼によるものだと喧伝したのが始まりだった。
「たった十五文払えば皆極楽に。さぁさ、浮世の辛さをこちらで置いていってくださいませ」
彼は今日も日暮れに沈む町角で人々に声をかける。

328:名無し物書き@推敲中?
14/10/19 08:03:11.31 .net
「あんな奇跡を起こされたら、商売上がったりだわ……」
物陰から歯噛みしつつジーザスを見ていたのは、タイ子式マッサージの伝承者、
波野タイ子一世その人である。
「バァブー」イクラ一世もひもじそうに声をあげた。

329:名無し物書き@推敲中?
14/10/20 21:51:11.14 .net
「ん~? まちがったかな~?」
神の子は何かを間違えたようだ。

330:名無し物書き@推敲中?
14/10/20 22:14:11.17 .net
彼はタイ子の背後へと忍び寄り、その後頭部を人差し指で小突いた。
頭がい骨に止められるはずの指先が豆腐をつくかのように埋め込まれ、タイ子は言葉にならない一瞬の叫びをあげ、頽れ蹲った。
「あばばば、ひ、ひとごろしじゃあー!」
イクラが演技を忘れ取り乱す。

331:名無し物書き@推敲中?
14/10/21 06:47:53.06 .net
イクラ「ヒィィィィおっ、お助けをォォォ……はっ!なんだ、夢か………」

332:名無し物書き@推敲中?
14/10/21 19:17:21.45 .net
物語は>>163まで戻った。イクラは、自分が小夜子に憑依中であることに気がついた。
あのあと、どれくらいの時間が過ぎたのだろう……。

333:名無し物書き@推敲中?
14/10/22 22:17:33.35 .net
既に地球は死の星となり、汚物が堆積し、放射能が充満し、巨大化した寄生虫が人々を襲う地獄絵図と化していた。
だが「す○屋」はまだ細々と営業していたので、イクラの憑依した小夜子は目覚めるととりあえずバイトに戻った。
いつの間にか褌を締めているのが気になったが…。

334:名無し物書き@推敲中?
14/10/23 19:48:33.35 .net
自動ドアが開いて、トレンチコートを身に纏った背の低い人物が入ってきた。
フードの下は真っ暗で、赤い目だけがLEDのように光っている。
「いらっしゃいませ、何になさいますか」小夜子はお冷やを出した。

335:名無し物書き@推敲中?
14/10/25 13:46:25.77 .net
その人物は、ただ一言こう言った。
「牛丼つゆだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくだくで!」

336:名無し物書き@推敲中?
14/10/26 01:00:29.29 .net
小夜子はカウンターの上に膝をつくと、スカートをたくし上げて、客の顔を股の間に挟みこんだ。
「では、参ります」
「お願いします」
小夜子は一生懸命ツユを出し始めた。だが、だくだくには程遠かった。

337:名無し物書き@推敲中?
14/10/27 00:24:24.78 .net
仕方がないので牛丼の汁をたらしてみた。一応つゆだくには違いのだから。
「ここ、れ、これ、これでは。とと、ても甘露とは申せませんぞ!」
得体のしれない人物には不評のようでフードの暗がりから憤りを投げつけられる。

338:名無し物書き@推敲中?
14/10/27 21:29:25.08 .net
「あ、具が出てきた」
男の言葉に小夜子は驚いた。具って何。しかし次の瞬間、股間から大きな何かが
ぬるりと滑り出す感触に背筋を震わせた。ああ……あたし……いったい何を……!?
「バァブー……ギャーッ!」
それは小夜子に乗り移っていたイクラだった。フードの男は、小夜子のスカートの奥で
バァリボォリと音を立ててイクラを咀嚼し始めた。

339:名無し物書き@推敲中?
14/11/03 01:22:19.58 .net
正気に戻ったが再び小夜子は混乱の中に投げ出された。
気づけば見知らぬ誰かがスカートの中に頭を突っ込んでいる。そして自分の、その行為を肯定したかのようなはしたない体勢。
夕食時で盛況な店内の多くの客に見られていることに気づいて理性を失った。
「どどん波っ!!」
思わず股間の男を吹き飛ばしてしまい、余波で店は崩壊した。

340:名無し物書き@推敲中?
14/11/03 10:47:48.35 .net
炎上する店舗を呆然と見つめる小夜子。火焔は黄色く少女の体を照らし、
黒い瞳の奥に反射となって閃いた。小夜子は新しい自分を感じた。
と、感動に麻痺する少女の脚を伝って、真っ赤な褌がするすると
スカートの中へ昇っていった。

341:名無し物書き@推敲中?
14/11/03 23:56:01.06 .net
六尺褌の妖怪、赤褌のお凛が小夜子に憑りつこうと動き出したのだ。
褌によって魅惑的に映えるであろう小夜子の尻は、お凛に絶大な力を与えるだろう。
彼女に目を付けてから長らくす○屋に潜んで、ついに機が熟した。
しかし、股間を目の前にして強大な敵が立ちはだかる。

342:名無し物書き@推敲中?
14/11/05 22:42:12.46 .net
それはインモラルなインモーだった。インモーは触手のようにうねってお凛の進出をブロックした。
インモー「ご主人様の秘部は俺が守る!」

343:名無し物書き@推敲中?
14/11/14 01:55:43.36 .net
無数の黒い槍が降り注ぐ。
この程度の防衛機構など、と侮った瞬間。脇のかすめて布地を切り裂いた。

344:名無し物書き@推敲中?
14/11/14 02:42:52.89 .net
小夜子の下着が露になる。
そこには「YES!」と書かれていた。

345:名無し物書き@推敲中?
14/11/20 23:32:30.68 .net
なんだかよくわからないままに、お凛は小夜子の股間に巻きついた。
巻きついてから内側の下着を切り裂き、ぺっぺと足元に吐き捨てる。
やがて肉と布とが密着し、少女が「ああーん♪」と叫び、観客が身を乗り出し、
ビデ倫の審査を通過しそうなぎりぎりの露出であれやこれやが「ああーん♪」したあと、
謎の数値シンクロ率が急上昇した。

346:名無し物書き@推敲中?
14/11/20 23:52:21.78 .net
(女子校生モノで初っ端から全裸はねーよ!)
審査員達が等しく怒りを抱いたからだった。
「ゆるせねぇっ!」
一人が大きくパイプいすを鳴らして立ち上がり部屋の隅にある電話へと駆けよると、メーカーに抗議の電話をかけるために受話器をとった。

347:名無し物書き@推敲中?
14/11/21 21:21:12.07 .net
ジリリーン。ジリリーン。けたたましいベルの音がした。スクリーンの奥で小夜子が痙攣する。
少女がへなへなと膝をついたく。と、スカートの中から黒光りする年代モノの受話器が落下して、
床の上にごとりと転がった。
「あらあら、はしたない」
年配の女の声がする。スカートの奥からお凛の一端がするすると垂れ下がると、
受話器を巻き取って、すーっとスカートの中に引きあげた。

348:名無し物書き@推敲中?
14/12/13 02:32:51.85 .net
そんな異常も小夜子にとっては慣れてしまっていた。体内に巣食うプラスチックを食う妖怪に憑りつかれてから三年は経っているのだ。
あの何もかもを失ったあの日、出会った布きれは断言した。
寄生させることを条件に、小夜子をトップアイドルにしてあげると。

349:名無しさん@そうだ選挙に行こう
14/12/13 15:37:04.88 .net
小夜子は腿肉ロースターZとして肉食系アイドルを目指した。

350:名無し物書き@推敲中?
14/12/20 01:14:01.09 .net
トップアイドルになれば、もうピーマンを食べなくてもいいよね。
邪な思いを糧にスター街道を駆けのぼることを夢見た小夜子だったが、
意味ありげに肩へと腕をまわしてきた太った男の首を即座にねじ切ったのが転落人生の始まりだった。

351:名無し物書き@推敲中?
14/12/20 19:08:12.92 .net
「あわわわ……」
その様子を見ていたマネージャーのなすび男が腰を抜かした。
小夜子が大変お世話になった男だ。

352:名無し物書き@推敲中?
14/12/22 01:31:05.10 .net
だけど未来の障害になりそうな存在は排除する。
小夜子は飛んだ。事切れた油の塊を凝視したままの恩人に。
組み付いて首をねじるだけで全てを闇に葬れる。そう思ったから。

353:名無し物書き@推敲中?
14/12/22 22:00:52.07 .net
キュキュッ!
小夜子のヘッドロックがなすびの皮でスリップした。

354:名無し物書き@推敲中?
14/12/25 00:38:42.17 .net
視界の中で、跳ね上げられた足となすびの皮が視界の中でゆっくりと飛んだ。
倒れる、そう理解して心配になったのは後頭部が落ちる場所が尖っていたりはしないだろうか、だった。火サスみたいな死に方はご免だ。

355:名無し物書き@推敲中?
14/12/29 11:57:22.90 .net
ガァン。娘の頭はものすごく尖った何かにぶちあたった。
死んだプロデューサーの屹立したペニスケースだ。
ぐうっ、うーむ……。白戸三平の断末魔みたいな声を立てて、
小夜子は血の海に沈んだ。

356:名無し物書き@推敲中?
14/12/30 22:20:58.94 .net
『乙女の血をもって、ここに契約は交わされた』
ペニスケースから低い声が響く。
呼びかけられたプロデューサーはその微細な振動による股間への刺激に悶え甘く鳴くばかりで、
海外旅行に行った友人からの土産物が喋ったことに気づかなかった。

357:名無し物書き@推敲中?
15/01/01 13:49:44.84 .net
「15キナ」という値札がついたままだ。
キナとはパプアニューギニアの通貨であり……

358:名無し物書き@推敲中?
15/01/05 20:55:47.51 .net
小夜子は起き上がった。下らない薀蓄を黙らせるために。

359:名無し物書き@推敲中?
15/02/01 01:10:53.35 .net
抜き放っただんびらでの一閃が天井に張り付いたナレーターの胴に走り、真っ二つに切り裂いた。
黒子姿のそれは重力を思い出したかのように落下して、
「ぬるい!」
上半身が両手、下半身が両足。それぞれに、しなやかに降り立った。

360:名無し物書き@推敲中?
15/02/05 19:49:19.35 .net
黒子は一人で組み体操を始めた。

361:名無し物書き@推敲中?
15/02/28 23:32:11.00 .net
組体操は永遠とも思える時間続いた。

362:名無し物書き@推敲中?
15/03/01 04:40:56.10 .net
19xx年に起きた核戦争後の枯れた時代。23xx年以降、人類がいくつもの恒星系への移民を始め根付き始めた時代にも。
年を経るごとに黒子の分身の術による組体操は規模を大きくしていった。

363:名無し物書き@推敲中?
15/03/01 09:53:50.09 .net
「いやあ、すごいや。こんなに大きくなるなんて。僕が若い頃はまだこのくらいだったのになぁ」
「いやですわ。おじさま」

364:名無し物書き@推敲中?
15/03/01 13:54:45.21 .net
ニュースを見ながら話す二人はうわの空だ。
禁断の愛と事後の余韻をごまかすためには、
他愛もない会話が必要だった。

365:名無し物書き@推敲中?
15/03/07 01:47:02.07 .net
そこで黒子は叔父が訪れる時季が例年と違ったこと聞いてみた。
「いつもは秋にいらして下さるのに、どうして今年は―」
最後まで言えなかった。銃声が鳴って、その音源の銃から打ち出されたらしい銃弾に額を打ち抜かれて生を絶たれたから。

366:名無し物書き@推敲中?
15/03/18 20:30:42.45 .net
「まるでパンケーキだぜぇ」
叔父は腰のホルスターに銃を収め、壊れかけのスイングドアを鳴らして外へ出た。
前で待つ馬に飛び乗ると、メキシコシティーへ向かって鞭を打つ。
国境を越えれば犯罪歴なんてリセットさ。

367:名無し物書き@推敲中?
15/03/22 03:43:47.22 .net
そんな楽観が砕かれたのはメリケンステイツから出る国境でのこと。
ゲートに差し掛かった叔父に、色黒で自分よりも一回り大きな男が金属製の特殊警棒で肩をゆるく叩きながら寄ってきたのだ。
「お前が腰にぶら下げている凶悪なものはなんだ。持ち物検査を念入りにする必要がありそうだな」
顔面から血の気が失せる音を聞いた。

368:名無し物書き@推敲中?
15/03/22 12:20:48.35 .net
ジャイアントオバマが叔父の息子を叩き潰したのだ。
イトコ ここに死す!

369:名無し物書き@推敲中?
15/03/24 03:59:15.14 .net
「死なないでー!!死ぬのをやめてー!!」
皆の雄叫びがイトコに響き渡る。

370:名無し物書き@推敲中?
15/03/24 22:31:39.76 .net
「Die! Die!」
ジャイアントオバマが特殊警棒を振り回すたび、
ぱちーんぱちーんと冷たい音が響き渡る。
オーバーキル、であった(池波風)。

371:名無し物書き@推敲中?
15/03/27 00:27:05.85 .net
二本の特殊警棒が幾度と打ち合わされる。
その度に火花と、硬質で高い金属音が国境のゲートがある平野にいくつも響き渡り、数瞬の沈黙を挟んでまた響く。
二人の死闘は一見均衡していた、が、叔父だけが息を荒らげ肩を震わせている。
警棒が腰に固定されていることから、ジャイアントオバマよりも一撃のためにかかる身体的負担が大きかったのだ。

372:名無し物書き@推敲中?
15/03/27 00:30:14.63 .net
ジャーン ジャーン ジャーン!
叔父は武将に目覚めた。

373:名無し物書き@推敲中?
15/03/30 02:05:03.80 .net
もうこれは憧れの三国志における英雄として名を残すしかない。
想像する。矛を手に平原を馬で駆け抜ける自らの姿を。

374:名無し物書き@推敲中?
15/03/31 23:20:33.05 .net
ぴゅう!
どこからともなく飛来した矢が叔父の脇腹に刺さった。

375:名無し物書き@推敲中?
15/04/15 01:22:57.91 .net
それどころか、胴が裂けて爆ぜる。そのまま叔父の上半身は空へと跳ね上げられながら確かに目撃したのだ。
自らを貫いた矢が勢いを殺されることなく南北の新大陸の継ぎ目の一部をも砕いた光景を。
それが、パナマ運河の原型がこの世に姿を現した瞬間だった。

376:名無し物書き@推敲中?
15/04/15 19:51:15.60 .net
この世には原型師という商売がある。

377:名無し物書き@推敲中?
15/04/17 06:09:24.87 .net
エロい人形を作るための型を掘る、シリコンと共に生きシリコンと共に屍を並べる選ばれしマイスターのことだ。

378:名無し物書き@推敲中?
15/04/17 15:37:01.91 .net
パナマ運河とは、アメリカ大陸のくびれのちょっと下についている、
潮を湛えた大地の割れ目のことである。
かつて未熟な新大陸が旧大陸と肩を並べるほど成長したときに、
急にこのくびれに興味を持った男たちに開発され、それ以来、
多くの荒くれたちが西から東からこの運河に侵入し、そして通り過ぎていった。

379:名無し物書き@推敲中?
15/04/18 09:54:09.43 .net
原型師はパナマ運河を子細に観察していた。

380:名無し物書き@推敲中?
15/05/06 23:22:05.54 .net
最高の腰回りの型を作り出すためだった。
高度二千八百メートルを飛ぶセスナの助手席で、開いた扉から身をのり出してカメラのレンズ越しに運河の全容を目に焼き付ける。

381:名無し物書き@推敲中?
15/05/08 23:57:02.86 .net
「いやーん、セスナさんのエッチ!」
運河は110番した。

382:名無し物書き@推敲中?
15/05/16 02:49:03.12 .net
だけど警察は動かなかった。
運河は視線で嬲られる股間に熱を感じてしまうが、地に縫い付けられた身では悶えることもできない。

383:名無し物書き@推敲中?
15/05/16 12:40:39.71 .net
とりあえず閘門を開いて潮を放出してみた。

384:名無し物書き@推敲中?
15/05/21 22:02:59.44 .net
股から力を抜くと、音を立てて溜め込まれた水分が放出されるが、体内の熱は収まらない。
細長くも逞しい物体が次々と彼女の中をかき分けていく度、更に甘くこみ上げてくる。

385:名無し物書き@推敲中?
15/05/23 22:35:20.10 .net
こんどは閉めてみた。
と、なにかが引っかかって完全には閉まらない。

386:名無し物書き@推敲中?
15/06/02 00:29:22.95 .net
それは一隻のタンカーがパナマの襞に絡め取られたからだった。

387:名無し物書き@推敲中?
15/06/04 00:23:11.29 .net
タンカーの船長は焦っていた。
この油を届けなければ、セリヌンティウスがどうかしてしまう。
「全速前進ーッ! いや、全速後退ーッ!」
10万トンのタンカーが前後に往復する。

388:名無し物書き@推敲中?
15/12/01 20:17:17.83 .net
☆ 日本の核武装は早急に必須ですわ。☆
総務省の『憲法改正国民投票法』、でググってみてください。
日本国民の皆様方、2016年7月の『第24回 参議院選挙』で、日本人の悲願である
改憲の成就が決まります。皆様方、必ず投票に自ら足を運んでください。お願い致します。

389:名無し物書き@推敲中?
15/12/13 01:00:27.01 .net
核武装よりセリヌンティウスだ!
そう叫んだセリヌンティウスは、すでに浮遊する魂となっていた。

390:名無しさん@そうだ選挙に行こう
15/12/14 08:24:27.82 .net
魂だけになってもその信念は揺るがない

391:名無し物書き@推敲中?
16/02/03 02:04:55.36 .net
王都でカレー屋を開業するため、生前の数々の冒険をしてきたのだ


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