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幹事賞「炎は炎」
評
非常に色彩感覚に優れた作品であることが最大の魅力となっている作品であるが、
その視覚的描写が静的ではなく、非常に動的であり、なおかつ多彩であり、
独特のポエジー溢れる語り口や表現の工夫もそのダイナミズムを支えたことを評価した。
雲海から下界を見下ろす冒頭の視点から下界から天空を仰ぎ見る視点への移行、
今にも倒れんとする武士と恋する兎の女の子が千年の時を経て交流しあう時空、
炎のゆらめく「赤」と流れる怪しいカカオの粉の「黒」のコントラストなど、
そのダイナミズムは多層的であり、叙事詩的な絵巻物を動画的に展開させた印象を持った。
また、投稿条件の「バレンタイン」というテーマをその展開の中にうまく溶かし込み、
全作品の中でも非常に特異な切り口でテーマを消化しているといえる。