暗めのショートショートを書く人のスレat BUN
暗めのショートショートを書く人のスレ - 暇つぶし2ch35:名無し物書き@推敲中?
11/02/04 11:11:50 .net
 ライトノベルはサプリメントだ。その効果は薄いが、副作用はない。
それは毎日続けて読めば、素晴らしく効果があるらしかった。
ストレスは解消され、肌荒れは直り、成績は上がり、人間関係はことごとく潤滑となる。
そう友人は僕に語り、一冊のライトノベルを手渡した。
 
 なるほどこれは、読んでみると面白い。
内容は簡単でルビは振ってあるし、会話が多くてスラスラと読める。
ヒロインはかわいいし無条件で好きになってくれるのもいい。
主人公が最後に勝つのも、お決まりの展開で爽快だ。
僕はそれから毎日本屋に寄って、ライトノベルを買うことにした。
 どんどんたまっていくライトノベル。
最初は本棚を埋め尽くすだけだったが、入らなくなれば机の上だ。
僕は毎日どんどん読んで、教科書の上にライトノベルを積み上げた。
こんなに面白いものを、どうしてみんな読まないのだろうか。
純文学よりも詩集よりもミステリよりも評論よりも、よっぽどライトのベルのほうが面白いのに。
すでに読んだものは机からはみ出し、部屋の床を侵食し始めた。
たまに遊びに来る友人は、床まで広がるそれらを見て僕にすごいな、と言った。
「僕にはこんなに読むことはできないよ。」
 
 僕は高校を卒業してフリーターになった。それでもアルバイトをしながらライトノベルを買い続けた。
店員さんは苦笑いしていたけど、僕にとっては関係ないのだ。こんなに面白いものを、やめられるわけがない。
すでに床にはすでにライトノベルが敷き詰められて、僕の生活を圧迫し始めたけど、むしろそれは僕の誇りのように感じられた。
僕はこんなに多くの物語を読んで来たのだ。僕は読書家なのだ。
 
 ある日、僕はご飯を食べながら、となりに積み重なったライトノベルの白い裏表紙を見つめた。
なんだかそこに、へんなものを見たのだ。僕はもう一度目を凝らした。
そこには頬骨の出た、薄気味悪い笑みを浮かべた男が映っていた。
 
 僕はその日から、ライトノベルを読んでいない。
 


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