10/10/22 20:51:57 .net
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最初の感動が過ぎ、二日三日とたつ中に李陵の中に矢張一種のこだはりが出来てくるのをどうすることもできなかった。
何を語るにつけても、己の過去と蘇武のそれとの對比が一々ひっかかってくる。
蘇武は義人、自分は賣國奴とそれ程ハッキリ考へはしないけれども、森と野と水との沈黙によって多年の間鍛へ上げられた
蘇武の厳しさの前には己の行為に對する唯一の辯明であった今迄のわが苦惱の如きは一溜りもなく壓倒されるのを
感じない譯にいかない。