【永遠の少年】小谷野敦76【天使の微笑】at BOOKS
【永遠の少年】小谷野敦76【天使の微笑】 - 暇つぶし2ch223:無名草子さん
23/07/03 19:52:13.27 .net
転載

面白い小説を読むと、色んなことを考えたくなる。昔は書店で貰った文庫本目録を読みふけっていたが、
今日はAmazonで近年の海外小説の情報を漁っていた。
90年代くらいから、私的に「スター・ウォーズとスティーヴン・キング革命」と勝手に呼んでいるんだけど、
描写の密度とルールが変わったと思う。

もちろんこの前段には、ゴッドファーザー、エクソシスト、ジョーズという小説と映画の言文一致体というか、
本に書かれたリアリズムを映画が刈り込みTVドキュメンタリーのリアリズムで描く現象が、
徐々に広がった背景があると考えている。その頂点がキャリーとスター・ウォーズでそこから雪崩が起きた

エンタメと純文学の境い目が曖昧になり、映画でいうとそこから派生したのが、
90年代のインディーとタランティーノというサンダンスからミラマックスの表現の幅だと思う。
そしてそれ以前のアメリカ映画の主流を時代遅れにした。
その混乱と逆襲が、VFX発達と信用できない語り手の登場ではないか。

どういうことかというと、これまでの主流は、白人男性のロマン主義だった(それは今も残っているが)。
90年代にパロディ化され自信を失うと、自ら解体するようになる。自傷行為としてのVFXと、
自己パロディあるいは無垢を主張する狂人や病人(レクター博士、ガンプ、レインマン)が現れてくる。

もう一つ思うのは、白人男性のロマン主義の持つ時間の概念の崩壊。
ドキュメンタリーの俯瞰的(含政治)な時間=真実が、リアリティTVのより個人的(含政治)なメタ視点が導入されることで、
時空間が相対化される。映っている対象の真偽を担保する権威が喪失した。で今起きているのが伝統神話との再接続

何回か書いているけど、今の「リアリティTVの時代」から目を背けてはダメだと思う。そもそも逃れられない。
乗り越えて次のフェイズに行くためには、もっと深く掘る(リアルの密度を濃くする)か、
または時空を広げる、複数の時空間を自在に提示(コントロール)する。小説はそちらに向かっていると思う


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