山口瞳スレ 復活at BOOKS
山口瞳スレ 復活 - 暇つぶし2ch2:旧291
19/04/28 01:59:09.16 .net
初めてスレ立てしました。
もう10年以上前、一般書籍板に山口瞳スレがありました。
その時の皆さんのレスから大いに学んだので、二匹目の泥鰌を狙っています。
とは言え、随分時間が経ったので不安もあります。

3:旧291
19/04/28 02:06:01.97 .net
治子夫人はとうの昔に亡くなった。「山口瞳の会」はどうなっているのかな。
幸い、スバル君(さん)は、twitterをやっている気配。

4:旧291
19/04/28 02:07:25.07 .net
とは言え、今の若い人は山口瞳を知らないだろう。スレ立てなどしてしまい、少し後悔。

5:旧291
19/04/28 22:10:38.63 .net
旧スレから今までに読んだ関連書籍と言えば、『江分利満家の崩壊』ぐらいかな。
この本、途中で胸が苦しくなる。それだけ正介さんの文章に迫力があったということか。

6:旧291
19/04/28 22:12:12.98 .net
国立の「行きつけの店」はどれ位残っているのだろう。
自分は都内住まいのくせに、結局、どこにも顔を出さなかった。
金沢の倫敦屋さんはお元気なのだろうか。

7:旧291
19/04/30 00:15:18.60 .net
いよいよ平成の世も終わる。山口が生きていたら、「令和」について何と言ったろうか。
吉野秀雄と絡めて何かを言ってくれたとも思うが、残念ながら、これは叶わない。

8:旧291
19/04/30 01:11:20.24 .net
山口は、今の天皇についてほとんど書いていなかった。天皇とは、彼にとっては昭和天皇だった。
今の天皇について、唯一、自分の記憶にあるのは、皇太子時代のことだが、将棋が趣味だ、と言うもの。

9:旧291
19/05/01 23:32:13.26 .net
新天皇についてはどうか。
『男性自身』では、小和田雅子さんとの結婚について、「オワ」の愛称と「終わった」の地口で切り出しつつ、
当時の皇太子が雅子さんに「一生お守りします」という言葉をかけたという事実について、
「やはりこの人は庶民ではない」との、いかにも山口らしいコメントを付していた。

10:旧291
19/05/03 02:27:59.57 .net
「庶民」の問題は、山口ファンにとって重要。彼は庶民だったのか?
これは前スレでも話題にして、良い教示をいただいた。
萩原健一が亡くなったとき、山口の後輩の倉本聡が朝日新聞で、市民とは旦那衆である、と定義していた。
前スレでも同様の指摘を頂いた。要するにブルジョアであり、「庶民」ではない。

11:旧291
19/05/03 02:30:03.45 .net
山口は、庶民になりたがっていた。
『男性自身』で書いていたが、吉行淳之介に「山口は庶民派ではなく、庶民そのもの」と言われて喜んでいた。
しかし、庶民の感覚は持っていただろうが、山口は庶民ではなく市民でしょうね。

12:旧291
19/05/04 00:24:05.64 .net
『江分利満氏 大いに怒る』では、人生をマラソンに喩えて、「最後尾でヘトヘトになっている人たちを徹頭徹尾擁護したい」と書いていた。
これこそ庶民派らしい庶民派の言葉と言える。大橋巨泉は、この言葉に感銘を受けて山口に接近したらしい。

13:旧291
19/05/04 00:34:42.01 .net
だが、やはり、サントリーを退いてからの山口は、もはや庶民ではなかった。
前スレでも書いたが、この点を衝いたのが北杜夫だった。

14:旧291
19/05/06 01:24:12.51 .net
長かったGWももう終わり。正規職に就いている会社員は、今月の1/3を休んでしまいながらフルに月給をもらうことになる。
この計算、おかしなところがあるのは承知しているが。
山口は、「一億総サラリーマン時代という考えを持っている」と書いていた。
彼は非正規雇用の問題についてどう考えたろう。

15:旧291
19/05/07 01:39:58.16 .net
山口が亡くなったのが1995年。この時、Windowsは本格的に普及していたが、ネット時代はまだだった。
晩年の山口は、テレビをずっと見ていたらしいが、今の世に生きていたら、ネットをどう活用しただろうか。
もっとも、スジャータの蓋が開けられない、ガスコンロに点火できない、と言う人なので、想像することが出来ないが。

16:旧291
19/05/10 00:52:28.14 .net
このスレは昭和に属する。山口は平成を数年生きたけど。
この人には失言癖があったらしい。『瞳さんと』で治子夫人が書いていた。
自分は山口と面識はなかったので、その点は想像するしかない。
しかし、筆禍なら指摘できる。

17:旧291
19/05/10 00:54:56.80 .net
最大の失敗は、『優雅な生活』での父親罵倒だろう。
しかし、その他にも、『私流 頑固主義』での「痴漢」の一節がある。
何と、痴漢に触られるのは女性にとってそんな不愉快なことではないのでは、と書いてしまった。
これは、今だったら大変なことになっていたかも知れない。

18:旧291
19/05/11 00:37:53.47 .net
厳密に言うと筆禍ではないのだが、露骨な物言いをして、後で本人が冷や汗をかいたものがある。
『新入社員諸君』での、出版社やサントリーにタカリに来る「薄汚い文化人」の件。
同じように『大いに怒る』でも、戦後の食糧不足の時に美食をしている人間に文句を言うと、
「人民大衆の正割水準をこのくらいに引きあげるのが使命」とうそぶく、と鋭く批判していた。

19:旧291
19/05/11 00:39:26.61 .net
上記は、山口の庶民派としての良識が出ていて、読んで痛快だった。
そこで気になるのは、誰のことだろう、ということ。
「名前を出せばびっくりするような人たち」と書いていた。
モデルは複数いるのだろうが、その一人は髙見順だった!

20:旧291
19/05/11 23:01:55.55 .net
髙見ではなく高見だった。彼を念頭にあの二つの文章を書いていたということは、常盤新平との対談で明言している。
この他に、高見順の日記が公開された際に、ホッとしたとも書いていた。つまり、山口に対する悪口が書かれていなかった、ということ。
ただ、この二つの文化人批判、山口からすれば身近な人の悪口を書いてしまった(名前は伏せてあったが、本人が読めば分かる)ことで、
後に「しまった」と思ったろうが、第三者からすれば、繰り返すが痛快だった。

21:無名草子さん
19/05/12 08:30:14.09 .net
昔よく読んだ
開高より山口のほうが好き

22:旧291
19/05/13 00:01:14.47 .net
>>21さん、ありがとうございます! 特にお好きな山口作品など、ありましたか。

23:旧291
19/05/14 22:26:09.56 .net
失言・放言の一方で、勇気ある発言もあった。
「ヤクザものぐらい卑しい人種はない」と何度か書いていた。
名の知れた人物がこう明言するのは、凄い。
他にも、ハマコーのことを、「ああいう人を男らしいと呼ぶ人の気が知れない」とも書き、
さらには竹下・金丸について、「こういう手合いに日本を汚して欲しくない」とも書いていた。
(記憶に頼っているので、字句は不正確かも)

24:旧291
19/05/17 23:46:19.11 .net
大谷昇平の活躍を見たら、どんなに喜んだだろう。
ついに、日本人でパワー勝負できるバッターが現れたのだから。
ピッチャーで言えば野茂が力対力で勝負したが、バッターではこれまでいなかった。
松井は、ワールドシリーズで一度だけ大活躍したが、どうも当初の期待からすると、やや不満が残る。
イチローは技術とスピードが武器。大谷は、ホームラン王も可能に見える。

25:旧291
19/05/18 00:06:31.46 .net
ただし、山口の野球観では、一人の豪傑の活躍で勝つのは理想的ではなかった。
野球は細心の注意を必要とするチームスポーツと考えていた。
存命であれば、大谷の活躍よりむしろ、WBCでのスモールベースボールの勝利の方を喜んだかも知れない。

26:旧291
19/05/21 00:36:46.58 .net
それにしても、山口瞳の全対談を公刊する論創社の企画が途中で潰れてしまったのは実に残念だった。

27:旧291
19/05/22 00:50:47.98 .net
別な話題。将棋界で新名人誕生。山口が生きていたら唖然としただろう。
何しろ、人間ではなく将棋ソフトを相手に将棋の訓練をしてきた人が名人となったのだから。
羽生さんがいよいよ、大山名人の通算勝利数に並んだ。これも山口にとっては大きな意味を持ったろう。
何しろ、将棋が一番強いのは大山名人、と言い続けていた人なのだから。

28:旧291
19/05/24 02:32:23.28 .net
将棋の話の続き。
藤井聡太についてはどうか。将来の名人であることは間違いないだろう。
むしろ、年齢とランクの関係が気になる。
山口は、加藤一二三について、18才でA級八段、20才で名人戦の記録は、今後永久に破られることはない、
と記していた。その言葉通り、藤井もA級昇段の記録では、加藤のものを更新できないらしい。
ただし、4段即ち棋士となった年齢では藤井が新記録。名人戦出場ではどうなるだろう。

29:旧291
19/05/25 23:25:28.95 .net
将棋つながりで、山口の暴言をもう一つ思い出した。
米長の名人戦(挑戦者だった)で、疑問手について「男性自身」で、これは悪手だろう、と指摘してしまっていた。
山口は気を遣った書き方をしていたが、しかし米長からすれば、素人が何を言うか、と思ったことだろう。

30:旧291
19/06/02 01:25:11.31 .net
もう一つ、暴言を思い出した。暴言ばかりあげつらっているが、名言もたくさんあるので、それは後日。
丸谷才一との対談で、吉行淳之介について、「労働者や農民を本質的には分からない」と言ってしまった。
これは正確な表現だと自分には思えるのだが、吉行を敬愛していた山口は、「しまった」と思ったらしい。

31:旧291
19/06/02 01:28:13.01 .net
>暴言ばかりあげつらっているが、名言もたくさんあるので、それは後日。
変な日本語。
>暴言ばかりあげつらっているが、名言もたくさんあるのも確か。それは後日。
話題を戻すと、吉行へのフォローのつもりだったのだろう。「吉行淳之介 鞍馬天狗論」とのエッセイを書いていた。
これ、読んでいて少し、卑屈(失礼ながら)に感じられるところもあった。

32:旧291
19/06/05 23:49:25.18 .net
人を文章力においてのみ評価する、との言があった。これは実に凄みのある言葉。
おそらく、作家一本で行こうと決心した後の言葉だろうが、
逆に言うと、もはや庶民ではなくなったということの裏付けともなろう。

33:旧291
19/06/08 00:08:42.18 .net
「酒を水で割って飲むほど貧乏しちゃいねえや」。
山口ファンなら、言わずとも知れた言葉。
紀行文のどこかでも、「高橋先生もドスト氏も、水割りなんてものをよく飲むね」と書いていた。
それにしても、ウィスキーをストレートでガブガブ(チビチビではなく)飲むのは、本当に凄い。
逆に言うと、体には悪い。

34:旧291
19/06/13 00:43:45.63 .net
『男性自身』のどこかで、武者小路実篤の絵について。武者小路は実に絵が下手だったらしいが、そこにかぶせて、山口は
「努力すれば出来るようになる、と言うことより、努力してもどうにもならない人がいる、と言うことの方が自分に勇気をくれる」という意味のことを書いていた(文言は不正確)。
これなど庶民派の面目躍如だが、しかし本人は個展を開いてしまうほどの技倆だったことを考えると、多少違和感がないでもない。

35:旧291
19/06/15 00:54:57.11 .net
「人間萬事金之世之中」。山口ファンならご存じのはず。中間小説のタイトルそのまま。
これはなかなか、諧謔が効いていて、面白いものだった。
中間小説を沢山書いていた頃の山口は充実していたな。
「貧乏遺伝説」なども、軽みがあってとても楽しむ読めた。

36:旧291
19/06/15 00:58:15.16 .net
そう言えば山口は、小説は男女の事を書くもの、と言っていた。これも名言だろうが、難しい問題。
ただし、山口の本領がここにあったかどうかは微妙。
彼は軽みのあるエッセイにおいてこそ、余人の追随を許さぬ力量を持っていたのではないか。

37:旧291
19/06/18 22:52:14.35 .net
男の場合は、そんなに醜男なるものは存在しない。
自分の仕事に自信をもって打ち込んでいる時、その男の顔は美しく輝くのである。
→なかなかの名言。ただし今なら、女性差別とも受け取られかねない。

38:旧291
19/06/23 21:16:41.92 .net
「人を叩き殺しても良い、と思えるのはこう言う時」。
これは、東南アジア(台湾だったか)に買春ツアーに行った連中が、
相手の少女が朝になったら学校に行った、と言うことを自慢げに話しているのを聞いた時の山口の怒り。
まったく、同感。

39:旧291
19/06/26 01:16:56.65 .net
「本は、濫読に限る」、「濫読せよ」だったかな。これは高橋義孝の説だった。
山口は、若い人には特に歴史を読むように勧めたい、自分の進む道を決めてくれるから。
と追記していた。
自分は「濫読」には賛成するが、「歴史」には留保条件をつけたい。
「歴史」ではなく「伝記」の方が、若い人にとっては参考になると思うので。

40:旧291
19/06/28 01:17:46.87 .net
ああそうだ、これもあった。「中野重治が軽井沢に別荘を持っていると知った時のショックは……」。
この言葉も、山口は後に後悔した様子。「そこまで書いちゃいけない」と周囲から言われたようだった。
そのため、書いた当初は、プロレタリア文学者が軽井沢に別荘!という意味での偽善の告発だったのが、
後になって、「自分には別荘を持とうなどという発想はなかった」と書きかえて、トーンダウンしていた。

41:旧291
19/06/28 01:20:12.93 .net
(承前)
しかし、当初の意味の方が、庶民派山口の真骨頂だった。
「下駄と背広」で、国立の知人が四畳半から六畳に引っ越しただけで、三億円事件との関連を疑われて、
警察に踏み込まれた例を挙げて、「これが庶民の生活というものです」と書いていた。
こちらの方が、どう見ても力がある。

42:旧291
19/07/04 01:55:40.01 .net
山口は、在日・朝鮮人・韓国人の問題につていてどうおもっていたのか。
本人は、北九州の血が入っていると言っていた気がする。これはつまり、朝鮮半島系、ということ。

43:旧291
19/07/07 00:27:34.68 .net
「なあうさちゃんや、俺はもう降参だ」。
『木彫りの兎』での山口の独白であり、治子夫人への、屈折した愛情告白。
それまでの山口は、もしも「夏子」が死んだら、との想像に、甘美な思いも多少はあった、と付言していた。

44:旧291
19/07/07 00:43:09.59 .net
やはり、ある時期の山口は、他に意中の女性がいた、と考えざるを得ない。
とは言え、これは下衆の勘繰りなので、これ以上は止めておこう。
まったく別の話題。
女教師のスカートめくりをする児童など、ぶん殴るしかない、と言っていた。
これ、かなり賛成。

45:旧291
19/07/09 23:28:05.73 .net
「吉本興業というのは立派な会社だと思っているが、関西の芸人のコテコテ笑いが苦手」と書いていた。
吉本が所属する芸人を甘やかさないことを承認していたのだろうが、
昨今の様子を見ていると、吉本が立派などとはとうてい言えないはず。

46:旧291
19/07/19 20:55:17.23 .net
ネットで山口の本を大量に購入。旧スレの時期以降も、新刊が出ていた。
既発表のものを編集し直したものも多いだろうが、未読のものもあるはず。楽しみ。

47:旧291
19/07/21 22:51:49.85 .net
『ああ! 懐かしのプロ野球黄金時代』届いたので見てみる。
昭和30年代(1960年代)の観戦記を読めるのは一人の山口ファンとしては嬉しい限りだが、
しかし、2012年の出版とは、これ誰が買うの?との思いも禁じ得ない。
河出書房新社は、山口がいたせいなのか、あるいは目利きの編集者がいるのか、
山口のエッセイを良く復刊してくれるが、売れているのかどうか、心配になる。

48:旧291
19/07/23 23:40:46.53 .net
『キマジメ人生相談』読んでいる途中。これも河出書房新社で2012年刊。
この本、面白い。山口が実に分かりやすい文章を書く人だったことを改めて認識。
相談への回答も、具体的でかつ的確。
基本的に結婚した女性は家庭に入るもの、と考えていたように見受けられ、
この思考は今の世には受け入れられないだろう。
その一方で、思わず感心する回答も随所にある。
例えば、社内ギャンブルにはまってしまったという相談者に対して、
その賭け方を「ミミッチイ」と叱りつけるところなどは痛快だった。

49:旧291
19/07/24 00:11:07.90 .net
「ミミッチイ」ではなく「ミットモナイ」だった。
その他に、嫌な同僚と机を並べることになった相談者への回答など、
これぞ会社員のあるべき姿を示してくれた感じで、実に気持ち良いものだった。
河出書房新社さん、良い仕事してますね!

50:旧291
19/07/25 01:13:57.10 .net
それにしても、死後20年以上経っていた時点で、単行本未収録の文章がこれだけ出てくるというのは、
山口は多作だったということ。筆も速かったのだろう。
本人も何度か言っている、一旦書き始めたらすぐ書き終えるのがプロ、との言葉に納得。

51:旧291
19/07/30 01:08:07.52 .net
『わたしの生活手帖』。これも河出書新社で2011年刊。
子の中では、「『迷惑旅行』その他」が良い。
『月曜日の朝・金曜日の夜』は良い本だと思う。特に「金曜日の夜」は良い。
本人も「私の腕力を別にすれば……」と言っていたが、まさしく山口の作家としての腕力が発揮された作品だった。
その「金曜日の夜」の執筆背景が少し分かるのが、「『迷惑旅行』その他」。

52:旧291
19/07/30 01:17:09.17 .net
このエッセイ、主眼は山口の紀行文の執筆事情。
繰り返すが、自分のベストは『なんじゃもんじゃ』。
ただし、その後の文集も良い。
晩年、癌を宣告された山口は、自分の文筆生活を回顧して、
糖尿病で禁酒を言い渡されて小説を書けなくなった時、「自分は死んだ」と書いた。
しかし、この「『迷惑旅行』その他」の時は、小説を書く気もあった様子。

53:旧291
19/07/31 01:58:16.12 .net
>>51 「子の中」→「この中」。
ディープインパクト死去。山口はこの馬の登場前に世を去っていたが、
もしも見ていたら何と言ったか、関心がある。
オグリキャップについては、当初「史上最高の名馬」と言いつつ、
馬主の不祥事から「最強馬」と言いかえていた。

54:旧291
19/08/15 00:13:30.01 .net
中野朗『変奇館の主人―山口瞳 評伝・書誌』をようやく読了。
凄い本だ。中野氏の執念を感じた。
なお、前スレで一部の方は私を中野氏と混同していたが、別人。

55:旧291
19/08/15 00:21:09.54 .net
この本は、山口ファンにとって貴重な情報が随所にちりばめられている。
特に、『優雅な生活』を矢口が書かせた経緯、連載中の読者の反応など、実に興味深い。
そうした情報とは別に、中野氏の筆力を感じたのは、鎌倉アカデミアが財政難に陥った際に、
新事業を始めた時の父正雄氏の言葉の引用と、事業の顛末を記した箇所。
悲劇的な結末を抑えた筆致で書いてあり、その分、印象が残った。読んでいて『人殺し』の雰囲気さえ感じた。

56:旧291
19/08/21 02:19:18.23 .net
『変奇館の主人』で学んだこと、他にも。
直木賞受賞で一躍時の人となった山口には、ジャーナリストの知り合いが多かったこともあって、
仕事が殺到した。生真面目だっただけでなく、器用でもあったので、引き受けてしまう。
その結果、山本周五郎が激怒する事態となったのは、山口ファンなら誰でも知っている話。
そうした雑文の注文のうち、『変奇館の主人』で驚いたのは、新婚夫婦と一緒に旅行に行く、
あるいは企業紹介を書く、などの氏語ともやっていたということ。
今日我々が単行本としては読めないものもあり、つまり便利屋扱いされたわけ。

57:旧291
19/08/21 02:31:05.98 .net
☓などの氏語とも
◯などの仕事も
これは細かい訂正。この本で最も心に迫ったのはノイローゼの時期の治子さんと、
発作の標的となり、そしてそれを観察していた正介さんの様子。
治子さんは、正介さんの頭を柱に叩きつけ、あるときは柱に縛りつけた。
そして自分に呼びかける。
「ナツ子ちゃんはねえ、ナツコちゃんはねん、イヤだっていったら、いやなんだよう」。
この一節、凄い迫力だ。治子夫人に会ってみたかったな。いや、恐懼してしまっただろう。

58:旧291
19/08/21 02:33:19.02 .net
またしても間違えた。
>ナツコちゃんはねん
→ナツコちゃんはねえ
そもそもこの一節は、正介さんの本からの引用。

59:無名草子さん
19/08/21 09:52:34.92 hrWvDnX9r
今日このスレを発見して一気に読みました。
一時山口氏の著作を古本で買いあさり、
時間軸も考えず読んでいたので、いまや記憶がサッパリです。
行きつけの店は、鉢巻岡田に30年前に、倫敦屋と海陽亭は10年以上前に
行ったことがあります。

60:旧291
19/09/20 05:15:30.90 .net
そう言えば、もう一つの名言を思い出した。旧スレにも書いたかも知れないが。
『男性自身』で、評論家達の歌舞伎評を扱った回。
彼らの高度に理論的な歌舞伎解釈は、現実とは乖離している。
こうした伝統芸能は、「自分の銭で見に行っている観客に支えられているのだ」と言う。
文言は不正確かも知れないが、庶民派山口らしい、見事な啖呵だった。

61:旧291
19/09/21 04:08:28.13 .net
今回のW杯の盛り上がりに水を差すつもりはないのだけど。
フットボールに興ずるアメリカ進駐軍の兵士の顔を見て、
「ラグビーで荒ぶる魂と言うが、そんなものではない。
南太平洋で人を殺してきた男たちの顔は、極端に言えば人間の顔ではなかった」と書いていた。

62:旧291
19/09/23 05:41:02.04 .net
ああそうだ、ラグビーについては、
トライを決めた選手がむしろうなだれる姿で引きあげてくるのは清清しい、
と言う意味のことを書いていた。

63:旧291
19/10/08 00:40:34.47 .net
金田正一、逝去。
ロッテ監督時代(第一次)に、「勝敗など問題ではない」と言ったらしく、
これについて山口は、「近来希に見る名言」と言っていた。自分もまさにそう思う。
しかし、第二次監督時代に審判を殴ってしまったのは大汚点を残した。

64:旧291
19/11/01 23:37:20.11 .net
唐突に、思い出したこと。
老齢にさしかかった山口が、『アマデウス』を見て、「exhausted」との言葉が身に染みた、と書いていた。
その上で、モーツアルトは神童で自分は37才からのスタートだったのだから、まだまだこれから、と自らを奮い立たせていた。

65:旧291
19/11/01 23:41:37.91 .net
しかし、中野朗氏の一連のお仕事で分かったのは、山口のスタートは37才などではなかった、ということ。
この人は、編集者時代から働きづめに働いてきた。この時期に持ち込まれた原稿の手直しをしただけではない。
サントリーに入っても、匿名のコント執筆など、書きまくっていた。
つまり、直木賞以前から、かなり書いていた人だった。

66:旧291
19/11/29 01:57:40 .net
山口は、実は教師の体罰容認派だった。時代のせいもあったろうが。
女教師のスカートめくりをする子供など、殴るしかない、と言っていた。
また、小学校の担任(野球部監督)に殴られて鼓膜が破れたが、それも受け入れた、と書いていた。

67:旧291
19/12/03 00:12:03.81 .net
中曽根康弘氏、死去。
山口は中曽根についてあまり語ることはなかったが、
「下駄と背広」で、胡散臭い人物の代表格として言及していた。

68:旧291
19/12/09 01:15:46.01 .net
>>18 に自己レス。
ある伝で、水上勉のことを聞いた。編集者目線での話。
一流ホテルに自発的に(勝手に)カンヅメになり、その経費を出版社に持たせ、
おまけに短い原稿をなかなか書かなかったと言う。

69:旧291
19/12/30 00:53:01.07 .net
また不快な事件が発覚してしまった。
元TBSワシントン支局長および、フォトジャーナリストの性犯罪。
前者は言語道断で、なぜ逮捕されなかったのか疑問だが、後者もきわめて悪質。
山口が『新入社員諸君』で告発していた、文化人の裏の顔の悪しき一例だろう。

70:旧291
20/01/09 22:37:44.51 .net
ゴーンの事件については、ノーコメント。
そもそも、日本を代表する企業のリーダーが外国人になる、というのは山口の想像を絶することだったろう。
ただ、山口は、日産よりトヨタを贔屓にしていた。

71:旧291
20/01/19 00:27:16.07 .net
山口瞳ファンにとっては、久しぶりに嬉しいニュース。
何と、『居酒屋兆治』がドラマ化!

72:無名草子さん
20/02/08 18:24:45 .net
調べたらホントにドラマやるんですね。

73:無名草子さん
20/03/31 12:46:57.68 .net
山口正介は、自分の発言と三島の割腹をどうしても結びつけたくて、しょうがないらしい
10分02秒から
URLリンク(youtu.be)
そして、山口瞳電子全集の第2巻の草臥山房通信にも、同じことをくどくど書いている
川端家での新年会が、1964年元日
三島の自決が、6年後の1970年11月25日
どう考えても関係ないと思うよ、正ちゃん
改めて、御冥福
URLリンク(youtu.be)

74:旧291
20/04/27 00:33:46.72 ergdH78ii
スレを立てたにもかかわらず、しばらく留守にしていました。
>>72
>>73
どうもありがとうございました。

75:旧291
20/04/27 00:35:06.99 ergdH78ii
特に>>73さん、興味深い情報をありがとうございます。

結局私は、「山口瞳の会」にも入らなかった。正介さんとの面識も得ていない。

76:旧291
20/05/09 00:03:32.50 M2rDKKtlt
銀座が危機的だという。
昔からの銀座を愛し、社用族の跳梁跋扈を憎んだ山口ならば、なんと言っただろうか。

77:旧291
20/05/27 04:24:34.95 3c+EdIIAh
唐突だが、治子夫人の言葉で、胸に残ったもの。

山口が癌を宣告され、しかも予後が悪いと言われる。
それを聞いた治子夫人は、山口の母に向かって「瞳さんを守って」と祈る。

美しくも悲しい一幕だった。

78:旧291
20/06/24 01:12:21.46 R1w+uD317
銀座のクラブ(山口の時代にはそんな呼称ではなかった)のベテランママさんの談話めいた記事をヤフーで見ることがあるが、
山口への言及がないのは残念。

79:旧291
20/06/24 01:16:00.66 R1w+uD317
ところで、彼は「大日本酒乱党宣言」や、『酒呑みの自己弁護』では、酒場に女は不要との論陣を張っていた。
これ、実に正論だと思っていた。
しかし、『愛ってなに』や『人殺し』の頃からは、酒場の女との色恋を書くようになった。
このギャップ、どう理解すべきなのか。

80:旧291
20/07/20 01:53:11 .net
藤井君おめでとう。

81:旧291
20/07/20 01:53:13 .net
藤井君おめでとう。

82:旧291
20/07/20 01:56:28 .net
2ちゃんねると5チャンネルは連動していないのかな?
片方に書いてももう片方に反映されていない時がある。

83:旧291
20/07/20 02:16:44 .net
神武以来の天才である加藤一二三の名人戦挑戦の記録は今後破られることは絶対ない、と言っていた。
これに迫る天才が現れた。こういうとき、山口の言葉を聞きたかったな。

84:旧291
20/07/27 01:29:40.73 .net
どうやら、2ちゃんと5ちゃんは完全には連動していないらしい。
今後は5チャンネルに書いていこう。2ちゃんに書いたものを転載。
74 :旧291:2020/04/27(月) 00:33:46.72 ID:ergdH78ii[1/2]
スレを立てたにもかかわらず、しばらく留守にしていました。
>>73
>>80
どうもありがとうございました。
75 :旧291:2020/04/27(月) 00:35:06.99 ID:ergdH78ii[2/2]
特に>>80さん、興味深い情報をありがとうございます。
結局私は、「山口瞳の会」にも入らなかった。正介さんとの面識も得ていない。
76 :旧291:2020/05/09(土) 00:03:32.50 ID:M2rDKKtlt
銀座が危機的だという。
昔からの銀座を愛し、社用族の跳梁跋扈を憎んだ山口ならば、なんと言っただろうか。
77 :旧291:2020/05/27(水) 04:24:34.95 ID:3c+EdIIAh
唐突だが、治子夫人の言葉で、胸に残ったもの。
山口が癌を宣告され、しかも予後が悪いと言われる。
それを聞いた治子夫人は、山口の母に向かって「瞳さんを守って」と祈る。
美しくも悲しい一幕だった。
78 :旧291:2020/06/24(水) 01:12:21.46 ID:R1w+uD317[1/2]
銀座のクラブ(山口の時代にはそんな呼称ではなかった)のベテランママさんの談話めいた記事をヤフーで見ることがあるが、
山口への言及がないのは残念。
79 :旧291:2020/06/24(水) 01:16:00.66 ID:R1w+uD317[2/2]
ところで、彼は「大日本酒乱党宣言」や、『酒呑みの自己弁護』では、酒場に女は不要との論陣を張っていた。
これ、実に正論だと思っていた。
しかし、『愛ってなに』や『人殺し』の頃からは、酒場の女との色恋を書くようになった。
このギャップ、どう理解すべきなのか。

85:無名草子さん
20/07/27 09:40:09.38 .net
山口瞳電子全集全26巻はお読みになられましたか 
もしもまだでしたら、第20、21巻をお薦めします
ここには、未単行本化で終わった武蔵野写生帖が完全復刻されています
その経緯も、第21巻の巻末で正介氏が詳しく解説されています
正介氏の不定期ブログは
[チルチンびと 山口正介]で検索されれば、わかります
今回は、5月にドスト氏が亡くなられたことについても触れられています

86:旧291
20/07/28 22:36:49.54 .net
>>85
どうもありがとうございます! 関先生、お亡くなりになっていたのですね。
山口瞳の関係者の皆さんが過去の人々になっていくのは悲しい。
電子書籍版も早速チェックします。

87:旧291
20/07/29 03:16:09.53 .net
国立郷土文化館にも行ってみたい。自分はそもそも国立の街をほとんど知らない。
都内の移動ならば良いだろうから、一度でかけて見ようかな。

88:無名草子さん
20/08/04 17:33:35.58 .net
今月は、瞳先生の命日
あれから二十五年ですか
さすがに、いち愛読者如きが参列するわけにもいかない
心の中で手を合わせます
しかし、正介氏のブログによると、なんと文学忌がいまだに決まってないのだそうで、呆れてしまった
(変奇館、その後 2018年10月18日「キジバトの営巣」)
江分利忌、男性忌(ははは)、自身忌、何かないのかね

89:旧291
20/08/07 02:26:01.65 .net
>>88
そうでした、25年前のことですね。
何忌とするのが良いのでしょうね。山口は辛夷が好きでしたっけ。辛夷忌……あまりピンとこない。

90:旧291
20/08/07 02:34:33.96 .net
梶山季之が梶葉忌、井上ひさしが吉里吉里忌、平塚雷鳥がらいてう忌など、色々あって自由ですね。
江分利忌も良い。瞳忌もありかな。トリス忌はどうか。

91:無名草子さん
20/08/08 00:03:26.50 .net
横須賀市役所のホームページに顕正寺の案内が載っていて、瞳先生の名前も登場しますね
ということは、いちファンが訪れてもいいみたいですね
尤も、山口瞳の会は今年は自粛のようですが
ちなみに同会では草臥忌と呼んでいるそうです

92:旧291
20/08/08 00:34:03.00 .net
>>91
どうもありがとうございました。そうでした、山口瞳の会では草臥忌と呼んでいましたね。
顕正寺、行きたいところですが、この夏は難しいですね。

93:無名草子さん
20/08/15 17:04:24 .net
瞳先生を真珠湾に連れて行って、何でも自由に書いてもらいたい、
と提案した編集者はいなかったんだろうか?
あまりにもベタ過ぎるだろうか?
あるいはインパールへ
野晒しになった日本兵の白骨街道を見て、瞳先生は何を書いただろう?

地方競馬場全踏破、各地の名湯を巡る旅、新東京百景、タヒチへ絵を描きにゆく……
これらが可能だったのだから、少なくとも予算的には不可能ではなかったと思う

94:旧291
20/08/18 00:57:05.29 .net
>>85
武蔵野写生帖、読み始めました。
久しぶりの未読作品、教えて頂き本当にありがとうございました。

95:旧291
20/09/08 01:20:07 .net
武蔵野写生帖、読了。
山口の紀行文としては、生硬な感じを受ける。説明が多いせいもあるだろう。

意外に思ったのは、正介さんの解説によると、治子夫人は「パパの作品で一番好き」とのことだったらしい。
生前のインタビューでは、『優雅な生活』と『なんじゃもんじゃ』をベストとして挙げていたので、違和感もある。

いずれにせよ、この電子全集は素晴らしい。文学賞の選評など、山口の読み巧者ぶりが分かって、興味深い。
これから少しずつ買って、読むのが楽しみです。教えてくれた方、どうもありがとうございました。

96:無名草子さん
20/09/19 23:44:56.57 .net
URLリンク(i.imgur.com)

97:無名草子さん
20/09/20 12:01:03.76 .net
>>96
グロ
7

98:旧291
20/09/22 22:16:49.40 .net
『武蔵野写生帖』は、あまり印象に残らなかったが、それでも悪い作品ではない。
それにしても、つくづくと思うのは、山口はいい加減な仕事をしない人だったな、ということ。
出来不出来に違いはあるが、一つ一つの作品にきちんと力をこめていた。
『人殺し』の主人公と同じ。

99:旧291
20/09/22 22:18:25.92 .net
小生は一時、北杜夫もよく読んでいたので、両者の違いは際立っている。
前スレにも書いたが、一時期は仲の良かったこの二人が仲違いした時は悲しかったな。

100:無名草子さん
20/09/28 07:12:26.55 .net
ドスト氏も六月に亡くなられてたんだね

101:旧291
20/09/29 01:06:48.72 .net
>>100
ご冥福をお祈りしないといけませんね。
「ドスト氏」というのは、あだ名好きの山口のつけた最高傑作だったかも知れません。
ただ、この二人の関係、ある時期から微妙になったのではないか、と言う印象も受ける。

102:無名草子さん
20/10/24 15:13:52.62 .net
ヤフオクで[山口瞳 直筆(サイン、署名)]と検索してみる
献本の売却は、まだ良いです、御本人も理解されましょう
だけどね、デッサン画も数点、出品されてるんですね
エソラさんの値札を見れば、あぁ、アレだな、とファンなら気づくはず
さらに、治子さんの証明付きのものまである
(オークションID e430402411)
もちろん、買った方がどう処分しようと自由
だけど、そりゃないだろ、と僕が心の中で思うのも自由
ホント、そりゃないよな

103:旧291
20/10/25 00:48:54.09 .net
>>102
そうだったんですか。確かに、あまり良い気持ちはしませんね。95さんに同感です。
そう言えば、国立でやっていた個展やはがき絵展には、自分は行ったことはありませんでした。
これも残念なことの一つ。

104:旧291
20/10/25 01:01:13.12 .net
プロ野球も終盤。原辰徳は名監督なのだろうか。山口の評を聞いてみたかった。
選手としての原に対する山口の評価は随分変わった。
高校1年で甲子園に出てきたときは、「巨人の養成選手にしたい」と言うぐらいに高く評価していた。
プロ入り直後も、原と村田兆治の対決を好勝負の例として挙げていた。
しかし、いつ頃からか、「原はスマートではあるが、全体にどんよりしている」という言い方で表現するようになった。

105:無名草子さん
20/10/25 22:35:45.05 .net
>>104
「巨人の養成選手にしたい」
→電子全集第3巻
男性自身557回「床屋球談」1974年9月
プロ入り直後も、原と村田兆治の対決を好勝負の例として挙げていた。
→電子全集第5巻
男性自身914回「騒音」1981年8月
「たとえば、同点で迎えた九回裏、一死走者三塁、打者原辰徳、これは日本シリーズで投手はロッテの村田兆治であったとする。」
「原はスマートではあるが、全体にどんよりしている」
→電子全集第8巻
男性自身1015回「怪人アイルランド」1983年8月
9年間で、評価がガラッと変わったんですね
こういうのもありました
「いま、原辰徳でも河埜和正でも篠塚利夫でも、ボサッと陰気に突っ立っているだけだと思いませんか」
→電子全集第22巻「−に−を掛けると」1986年9月

106:無名草子さん
20/10/25 22:40:01.28 .net
残念な話を、さらに続けざるを得ません
同じくヤフオク
[山口正介 (署名 直筆 署名 サイン 献本)]で検索してみた結果、驚愕の事実が
なんと、正介氏が岩橋邦枝さんに署名入りで献本された2冊が、即決各500円で出品中
(オークション ID q404575849, h508771479)
岩橋さんは2004年に亡くなられているので、ご遺族の判断なのでしょう、御事情もおありでしょう
しかし、悲しすぎる
岩橋さんは、瞳先生の晩年にあれほど献身された方なのに…

107:旧291
20/10/26 01:40:27.50 .net
>>105
凄い。山口瞳ファンとしての熱狂度は人後に落ちないつもりだったが、98さんには脱帽。
山口の片言隻句を勝手に書くのと、その出典を探すのでは、後者の方が格段に難しい。
おまけに、最後の「ボサッと陰気に」は、私も記憶になかった。

108:無名草子さん
20/11/03 10:57:11.83 .net
本日は、瞳先生の戸籍上のお誕生日
お元気であれぱ、御年九十四歳
二〇二六年は、生誕百年
その前年は、没後三十年
記念企画は、あるんでしょうか
直筆原稿縮刷版の発売と、
映像版・「行きつけの店」「競馬場のある町」等々のソフト化を期待しております
(詳細は山口瞳の会の掲示板に投稿しました)
しかし、義兄が産まれたからとはいえ、
一月に生まれたのを十一月に届ける、ってのはヒドイよなあ
学年が変わっちまうんだからなあ
さらにここに徴兵制が絡んでくるんだよ
それが昭和の日本なんだよ

109:旧291
20/11/25 01:22:49.83 .net
日本シリーズ。意地悪な想像だけど、山口が生きていたら、なんと言ったか。
「巨人ファン善人説」での、「頑固一徹な老人が涙ぐましいまでの巨人ファンだと嬉しくなる」は、ほのぼのとする良い一節でした。
こう書いていて、もはや時代が違っていることに気づいた。悲しいな。

110:旧291
20/12/06 00:52:29.90 .net
唐突に、酒の話。忘年会シーズンなので。
山口ファンの方々は、酒豪が多かったのだろうか。
小生は酒豪ではないが、飲兵衛の類であり、飲み方に品格がない。
山口は自分の飲み方を「乱暴な酒」と書いていた。
ウィスキーのストレートを何杯も飲むというのは、それは「乱暴」と言えるだろう。
酒量では到底かなわないが、一度一緒に飲んでみたかったな。

111:旧291
20/12/24 21:15:00.36 .net
『男性自身』シリーズでどれが一番か。1600回以上もあるので、ベストを選ぶのは至難の業。
当たり前だけど、「どれが一番好きか」としないとならない。
常盤新平氏は、「仮末代」と言っていた。確かにこれ、味わい深い回だった。
自分だったらどう。前スレでもこの話題を出して、結局答えられなかった。
しかし今だったら言える。「河川敷の決闘」。

112:無名草子さん
20/12/26 19:05:14.33 .net
>>111
河川敷の決闘
男性自身第1563回 1994年8月 電子全集第8巻
「自衛隊が合憲とは何だ! 非武装中立に命をかけた男もいたんだぞ」
1994年7月
村山首相はクリントン米大統領との電話会談で〈日米安全保障条約〉の堅持を表明するとともに国会で
〈自衛隊合憲〉と発言

113:無名草子さん
20/12/26 19:06:26.69 .net
>>111
さて、この難題にどう答えましょうか
焚火    第9回 64年1月 電子全集第1巻
戦中派   第47回 64年10月 第1巻
一局の将棋 第54回 64年12月 第1巻
文字のこと 第55回 64年12月 第1巻
平川クン 第100回 65年10月 第1巻
仮り末代  第218回 68年2月 第2巻
風が吹く  第649回 76年4月 第4巻
庭の眺め 第1562回 94年8月 第8巻
追悼関連
山本周五郎
→山本さん 第169~171回 67年3月 電子全集第1巻
三島由紀夫
→なぜ? 第365~371回 70年12月 第2巻
向田邦子
→木槿の花 第916~923回 81年8月 第5巻
吉行淳之介
→涙のごはむ 第1564~1570回 94年8月 第8巻

114:無名草子さん
20/12/26 19:08:08.53 .net
>>111
私は
御歌 第1255回 1988年5月 電子全集第7巻
(単行本 還暦老人憂愁日記所収)
天皇崩御 第1289回 89年1月 第7巻
(単行本 年金老人奮戦日記所収)
の2作を選びました
前者は、4月29日の天皇誕生日に、その年の元旦の朝刊掲載の天皇の御歌を読んで涙した話を、
後者は、天皇崩御の日に、天皇の戦争責任についての結論を、それぞれお書きになっています
強引にまとめるならぱ、
卑怯者の弁 1~4 第869~872回 80年10月 第5巻
私の根本思想 第1081回 84年11月 第6巻
を経て、辿り着いた「山口瞳の終戦」でしょうか

115:無名草子さん
20/12/27 10:41:03.57 .net
>>114
訂正です 天皇崩御
誤 単行本 年金老人奮戦日記所収
正 還暦老人憂愁日記所収

116:旧291
20/12/29 01:16:58.07 .net
ありがとうございました。一挙に素晴らしいレスがならびましたね。

117:旧291
20/12/29 01:19:02.95 .net
>>113
さすが、本当のファンですね。
>>114
味わい深い選択だと思います。

118:旧291
20/12/29 01:26:38.45 .net
上のレス、言葉遣いがぞんざいでした。失礼しました。
ちなみに私が「河川敷の決闘」を選んだのは、
第一に山口ワールドの住民の草野球を面白おかしく書いて、戯作者山口の手腕が存分に発揮されていること、
第二に、その中で、ご指摘にあったように、社会党の腑抜け振りを嘆く戦中派の信条が閃光のような一行で表されていること、
そして、この時既に重篤であることを知らされていた(はずです)吉行淳之介への思いが示されていること、の三つです。
この三つが重なって、可笑しさと緊張感が両立した不思議な、そして素晴らしいエッセイになっていると思います。

119:旧291
21/01/02 00:30:35.57 .net
謹賀新年。今年はコロナ禍が終息すると良いのですが。
唐突に、「元日や 餅で押し出す 去年糞」。
山口の父君の川柳で、正月の祝いの席で、家族に訓示を垂れた後、酔ってくるとこれを言ったという。
これは「貧乏遺伝説」だったかな。この頃の山口のエッセイは実に軽妙だった。

120:無名草子さん
21/01/15 07:28:04.91 .net
1月14日更新の正介氏のブログによると、
変奇館の東側、現在売地になってるそうですよ
旧291さん、いかがですか
山口瞳ファンなら、みんな住みたいだろうな
僕だって、もし瞳先生がご存命なら、大借金してでも…
しかし、正介氏、ご自身の古希についても、
内海桂子さんの死去についても、全く触れませんね
(血族がTVドラマ化された時の演技について、瞳先生が絶賛されたエピソードがあります)

121:旧291
21/01/16 02:32:14.28 .net
>>120
情報をありがとうございます! 
確かに、ご存命中であれば住みたいですね。まあ、とうてい買えないでしょうけど。
それでも、物件ぐらいは見に行ったでしょうね。
そういえば、お隣の方は、『男性自身』には登場していたかな。

122:無名草子さん
21/01/20 17:36:59.66 .net
NHKBS 1月19日放送
アナザーストーリーズ
「突然あらわれ突然去った人~向田邦子の真実~」
拝聴しました
率直な感想
「向田和子さん、どうしてもっと早く発見して、瞳先生に相談してくれなかったんだろう?」
生前、向田邦子さんにはお相手がいたという話を、瞳先生は既にお書きになっていましたね
で、その証拠が出てきたと
瞳先生なら、何とおっしゃったか
「あなたの胸にしまっておきなさい」
ですよねぇ、やはり…

123:旧291
21/02/07 02:37:26.57 .net
>>122
山口は本当に向田邦子さんに惚れ込んでいましたね。
ただの友人以上の存在だったようにさえ見えてしまう。
『木槿の花』の一連の追悼文の緊張感は素晴らしかった。
ところで、前スレで、向田さんが亡くなった時の筆力で梶山季之の死を書いていてくれれば、
と記してしまいました。これ、『男性自身』シリーズでの梶山追悼文については、今でもその通りだと思う。
しかし、『旦那の意見』での梶山追悼文は良かった。

124:無名草子さん
21/02/10 02:31:11.21 .net
>>123
「治子は向田さんを贔屓にする瞳に対して、かなりの嫉妬を憶えていたようだ」 
山口瞳電子全集第5巻 草臥山房通信
「何かにつけて、瞳が、向田さん、向田さんと言うのに、妻である治子はどんな感情をいだいていたのだろうか」
第6巻 同通信
恥ずかしながら、正介氏のこれらの解説を読むまで、治子さんのお気持ちにまでは、考えが至りませんでした
改めて『木槿の花』を読み直すと、そうだよなあ、ここまで書かれたら、奥様の立場としてはかなりつらいよな、と思いますね

125:無名草子さん
21/02/10 02:34:35.09 .net
>>123
梶山さんの訃報が1975年5月11日
その当日にお書きになったのが
梶山季之の双眼鏡
週刊現代1975年5月
男性自身では第594回「酒について」
1975年5月29日号(電子全集第3巻)
以後、かなり続きます
『旦那の意見』に収録された2篇は
流行作家
1975年6月 朝日新聞ほかサントリー広告「酒の本棚」初出
梶山季之の経緯
1975年6月「波」初出
御指摘の通り、梶山さんの追悼関係文は、男性自身以外の媒体に、数多くお書きになっていますね
それほど梶山ファンの編集者からの執筆依頼が、多方面から殺到したということでしょうか
『湖沼学入門』所収
「5. 梅雨涸沼(つゆのひぬま)」
「旅に出られるような状態ではない。作者急病のためと言って、それで充分に通用する状態であると思う。しかし、一方に、私は、この十二年間にわたって続けている週刊誌の仕事がある。そっちのほうは、よしんば目が見えなくなっても、口述でも出来る仕事であり、私は休載にするつもりはない。そうすると妙なことになる。一方で作者急病、一方で面白おかしいようなことを書いてそれが活字になる。これはいけない。それが、つまりは浮き世の義理である。私は「つゆのひぬま」に出かけなくてはいけない。」
軽妙な写生描写と緻密な紀行文と熱い熱い涙の追悼の合体、この密度、瞳文学の傑作だと思います
山口瞳電子全集第17巻、ぜひ時系列順にお読みください

126:旧291
21/02/12 23:17:41.11 .net
>>124
>>125
ご教示をまことにありがとうございます。お礼が遅れて申し訳ありません。
早速、読んでみます。
確か、梶山にもらった双眼鏡で競馬を観戦していて、涙で目が曇って馬が見えなくなってしまう、という文章もありましたね。
それを読んだ酒場の女給さんが泣いた、とも書いていましたね。
これ、古き良き時代の女給と作家との関係が分かる、印象的な一篇(一節?)でした。

127:無名草子さん
21/02/13 03:52:41.87 .net
>>126
電子全集第3巻(男性自身)と第17巻(男性自身以外)を、梶山季之追悼文に絞って読み比べてみますと、
確かに、後者の熱量の方が、やや上回るかなと正直に思います
旧291氏の御指摘の通りです
しかし、私はそれを瞳先生の侠気と解釈したいですね
梶山さんを失って呆然としている編集者達に対して、いわば代役を務めあげるぞ、弔いを果たすぞ、という剥き出しの気合いを感じます
おふたり、天国で再会しておられたら良いのですが
「ヒトミちゃん、待ってたよ」
「梶山、こっちこそ会いたかった!
おや、吉行先輩に高橋先生、向田さんに村島さん、奥には三島さんに川端先生、こりゃ天国も悪くないね」

128:旧291
21/02/14 02:02:08.19 .net
>>127
素晴らしいお言葉、感動しました。おそらく120さんではないと書けないお言葉です。
蛇足ながら、吉野先生も。
電子版17巻、早速読み始めています。この電子版、本当に壮挙ですよ。奥様に心よりお礼申し上げたい。
ところで、今回気づいたのですが、「銀婚式決算報告」は良いですね。
「女房が驚喜するか、泣くか、床に倒れるかするかと思ったが」、
「こういう際には、化けるというか、牙を剥くというか、一変して美貌いや増す」、あたりのとぼけ具合が良い。

129:旧291
21/02/14 02:05:43.15 .net
もう一つ。この時に福田屋の女中さん達が銀婚式の宴に参加させて欲しいと言ってきた、との件。
山口は、何度か人生で幸福を感じた瞬間について書いている。
例えば、声を失った池田弥三郎さんと「はちまき岡田」(?)で店員を介して筆談した時、
正介さんの出版記念会の時など。この銀婚式も、山口にとって同じく幸福な時間だったはず。

130:旧291
21/02/15 23:58:23.55 .net
>>125
おかげさまで、電子書籍版17巻、楽しんで読んでいます。
読んで、思うことは沢山あるのですが、まずは、山口は本当に多才な人だった、ということ。
そして、実に激しく生きた人だった、ということ。本業は別として、野球に競馬に麻雀に酒。
『湖沼学入門』では、さらっと書いているが、顔面に異常を起こしても紀行文の仕事をキャンセルしない。
しかしその裏で、118さんの言うように梶山ショックがあり、正介さんの書くように体調不良があった。

131:旧291
21/02/16 00:11:45.52 .net
この電子書籍は、これまで書籍化されなかった対談が収録されている点でも素晴らしい。改めて、奥様に感謝。
以前に論創社が山口の対談集をシリーズで公刊し始めたが、中断してしまった。
これは残念だったが、山口死後の試みだったので、やむを得なのかも知れない。
それにしても、自分より若い人たちに、山口のことをもっと知ってもらいたいと思うのも事実。

132:旧291
21/02/17 01:21:03.94 .net
つくづく、山口が70を前に亡くなったことが残念。
しかし、あんなに激しく生きた人であれば、これは短命だったのも仕方ないかな。
生前の常盤新平さんなどにお会いして、山口の話を聞きたかったな。
スバルさんや臥煙さんはお元気なのかな。

133:旧291
21/03/02 22:06:33.23 .net
>>129
山口が幸福を感じたに違いない瞬間について、追加。
浦安の寿司屋で地元の漁師に「先生は浦安のなあ公だ」と言われた瞬間。『酔いどれ紀行』だったかな。

134:旧291
21/03/02 22:53:25.36 .net
今度は、幸福ではなく、悲しさを感じる話。
紹介していただいた電子版17巻の『湖沼学入門』での「梅雨涸沼」。
流行作家となったが、行き詰まっていた梶山と山口が講演旅行に出て、空き時間に霞ヶ浦の遊覧船に乗る。
意外に大きな船だったが、乗客は彼ら二人だけ。そして梶山は、船内の飲食物を全部注文するという、虚無的な振るまいに出る。
山口は、親友梶山が初期の魅力的なライターに戻れるかどうか疑っている。

135:旧291
21/03/03 03:11:43.71 .net
(続き)
山口は、作家として、また一人の人間として追い詰められていく梶山を見るに忍びず、
「おい、このまま、どっかへ行っちまおうか」と言う。しかし、梶山は酔っていて聞こえなかった。
今回の紀行を締めくくるのは、山口の夢。夢の中で、山口はもう一度この問いかけをする。
しかし、ここから先が、とても悲しい。山口は、夢の中の会話では、
「どっかへ行っちまおうか……三日ぐらいは暮らせるんじゃないか?」と文言を追加して言ったことになっている。
つまり、心身を消耗させる流行作家の生活(梶山の場合は破滅への歩み)から逃れられても、
それはほんの一時でしかない、ということ。

136:旧291
21/03/03 03:11:43.71 .net
(続き)
山口は、作家として、また一人の人間として追い詰められていく梶山を見るに忍びず、
「おい、このまま、どっかへ行っちまおうか」と言う。しかし、梶山は酔っていて聞こえなかった。
今回の紀行を締めくくるのは、山口の夢。夢の中で、山口はもう一度この問いかけをする。
しかし、ここから先が、とても悲しい。山口は、夢の中の会話では、
「どっかへ行っちまおうか……三日ぐらいは暮らせるんじゃないか?」と文言を追加して言ったことになっている。
つまり、心身を消耗させる流行作家の生活(梶山の場合は破滅への歩み)から逃れられても、
それはほんの一時でしかない、ということ。

137:旧291
21/03/05 01:05:18.37 .net
連投になってしまった。申し訳ないです。
唐突に、山口の女性観について。
どうした女性がタイプなのかと言った話題は、前スレでも出たので、今回は女性全般の話。
山口のように、潔癖で美的感覚の優れた人であれば、女性の「下」の部分についても、無感覚(無関心ではない)ではいられなかったはず。
この場合の「下」は、もちろん排泄系ではない。
これがはっきり示されているのが、『迷惑旅行』での「北上川遡行紀」。
飲み屋で、女性器に似ているという貝が出されて、こんなことを思う。
「もし、女性が、こんなものを持っている……とするならば、あんなに晴れやかな顔で
道を歩けるはずがないのである。」。

138:旧291
21/03/05 01:10:29.55 .net
これなど、フェミニストには叱られるだろうが、女性なる者の哀れを鋭く衝いた名文だろう。
女の哀しさは、男より体力や財力で(知力はどうかな?)劣ることではない。そうではない。
美をその大事な要素としている存在が、本質的に美と正反対な部分を内蔵しており、
そしてそれが、男と結ばれる際にもっとも活用される部分である、ということなのだ。

139:旧291
21/03/05 01:13:34.99 .net
連投失礼。
山口は、『東京百景』で浅草ロック座を観劇した際にも、似たようなことを書いている。
「どう見たって醜悪だぜ」「畏れ多くもダイアナ妃であっても、女であるからにはああしたものを」(語句は不正確)。

140:旧291
21/03/08 00:55:42.98 .net
このスレが閑散としていて良かった、と思えるようなレスばかりしています。
電子書籍版19の「物書きの端くれ」と「天の時、地の利」、どちらも山口の文章論。読むのは何度目になるだろうか。今読んでも興味深い。
「文学者ではなくジャーナリストの文章から多くを学んだ」とある。
ところが、山口の文章に影響を与えたのは両親である、とも言う。「文章とは一種の機転であり、そういう意味での機転である」とする。
ところが、山口が自分の妹の死について書いた作文を読んだ教師が泣き、編集者として学者を相手に議論になった際に、相手の弁舌に感心しつつもクダラナイと思ってた。

141:旧291
21/03/08 01:09:22.35 .net
なぜか。要するに、魂がないから。
そして、山口は、劣等生である自分であっても、妹の死のような生の実相に関わる事柄を、
真心をこめて書けば、人の心に響くということを理解していた。
加えて、吉野秀雄の奥様の亡くなる直前のことを吉野が歌したものを引用する。
この緊迫感・魂に迫るものこそが文章であり、
従って、こうした緊迫感をもつ本物の小説などは10年に一度も書けるものではない、という。

142:旧291
21/03/08 01:17:28.55 .net
ところが、文章のことで直接の教えを受けるのは雑誌編集者である、とも言う。
山口は、A=BとしたらA≠Cとしなくてはならない、と言う論理学の原則を幾分無視する傾向があり、それがこの文章にも出ている。
しかし、全体として、彼の文章観は,心情の現れということに尽きるのではないか。

143:旧291
21/03/08 01:37:32.31 .net
こうした文章観をもっている山口は、できあがった原稿を渡すときに、どうか没にして下さい、と頼むことが多いとのこと。

144:旧291
21/03/09 00:39:17.67 .net
電子版19巻の草臥山房通信、これは凄い。
とくに、山口夫妻結婚の際の正雄さんの言葉を紹介したあたりが凄い。
正雄さんの言葉にも痺れたが、これを正雄さんと静子さんの間で交わされた言葉でもあった、
とした正介さんの解釈が素晴らしい。お見事です!

145:旧291
21/03/10 23:45:47.47 .net
電子版19巻には、私の大好きな『婚約』が入っている。主人公は徳さん(徳サン)。
「要は、食べる人は食べる、食べない人は食べない」。
山口が国立に引っ越して得た人的財産で最大のものは、ドスト氏と、この徳さんだったのではないか。
徳さんは、『兆治』にも、『金曜日の夜』にも、『わが町』にも(脚色されて)登場する。他の作品にも。
この人をモデルにした人物を描くことは、庶民派山口にとって腕の見せ所だったのではないか。
そして、『婚約』ではそれに見事に成功した。色川さんの解説、もっとこの所を掘り下げて欲しかったな。

146:旧291
21/03/13 00:42:29.49 .net
『武蔵野写生帖』をあらためて読んでみると、前回の見落としを発見。
>>95
>>98
では、キチンと読めていなかった。今回強い印象に残ったのは、
第8回の「美術の秋の 上野の森」。
院展と仁科展の作品を一通り見て、「身を滅ぼしてしまうような作家的燃焼」がない、と断言。
これは凄い。これ、山口の芸術観がよく出ている。

147:旧291
21/03/13 01:04:41.22 .net
続き。
東京都美術館で院展と仁科展を見た後、山口は芸大に行く。
しかしここでも、「光り輝いて見えた」芸大生について、
「なれのはてが院展や仁科展じゃないか」と切って捨てる。
……『武蔵野写生帖』が単行本にならなかったのも少し分かる。

148:旧291
21/03/18 23:41:47.20 .net
電子書籍版には『週刊現代』に連載していた馬券予想対決も収録されている。第17巻の大川慶次郎との対決では驚いた。
前の晩に王・田淵との座談会があり、銀座で三軒を回り、
そのため猛烈な二日酔いとなって、競馬場で迎え酒を飲みながら競馬の神様と勝負。
この時山口は48才かと思うが、これ、メチャクチャな生活と言わざるを得ない。
彼は自分が「安穏が得たい」、「安気に暮らしたい」を連発していたことを自嘲していたが、とんでもない。
むしろ、これも本人の言を借りれば、「驀進した」人生だった。

149:旧291
21/03/24 00:48:54.46 .net
電子版の全集を読んでいる。『男性自身』の単行本未収録のものも多く、実に面白い。
死後に出された『最後から……』にも見当たらなかったものも少なくない。
初期の『男性自身』は、酒場での色恋に関する回が多いことを知った。
そして、驚いたのが「プロと人殺し」。

150:旧291
21/03/24 00:51:53.62 .net
この回は要するに、糖尿病で京都の病院に入院したのに、
見舞いに行くと言っていた酒場の女性達が一人も来なかったことへの恨み言。
山口は酒場に女性は不要であると考えていたかと思ったが、どうもそうではない。

151:旧291
21/03/30 01:28:40.11 .net
電子版の『男性自身』を読んでいる。第5巻で、自分にとっては大事な発見。
4巻まででも薄々そうではないかと思っていたのが、5巻で確信した。
すなわち、週刊誌に発表したものを書籍化する際に、書き換えていた、ということ。
第844回の五味康祐追悼文の末尾は、文庫本では「花を咲かせようとして咲かし切れなかった」、
あるいは「花をつかもうとしてつかみ切れなかった」という文言になっていたはずだが、
電子書籍では「花を咲かせようとした」となっている。
もっと変えられているのは、向田邦子追悼の「木槿の花」の回で、単行本とは少なからず印象が違う。
家で遊んでいる少女の記述、直木賞選考会の緊張感に満ちたやりとりの記述がないのが最大の違いだが、
全体に、単行本の方が締まっている。

152:旧291
21/05/20 02:46:23.16 .net
電子版の講読が進まないので、なかなか書けません。
と言うわけでスレ保全のために、以前の話題の蒸し返し。
山口が生きていたら、大谷の活躍をどう見ていただろうか。
いつか大リーグ球団を日本球団が倒すのを夢見ていた人なので、基本的には喜んだはず。
ただし山口という人は、野球を緻密なスポーツと思っていたので、
あのような身体能力の高さを単純には評価しないかも知れない。
ただ、大谷は盗塁も多い。そこは買ったかな。

153:旧291
21/06/21 23:14:29.41 .net
唐突に、思い出したこと。
山口は、作家は何を書いても良い、ただし、作品として優れたものでなくてはならない。
そうでないと、書かれて傷ついた人が浮かばれない、と書いていた。
確かに彼は、身辺の人間について時として傷つける形で書いた。特にお父さんと弟さん。
その一方で、東急の五島昇についての山藤章二の似顔絵にクレームをつけたことがあった。
死期が迫っているかのごとき描き方をしている、というので。
とすると、作品としては優れていなかった、ということになる。

154:旧291
21/06/28 01:48:37.16 .net
もう一つ、ファンとして違和感を感じたことを書く。
同僚と一緒に上司の家を訪ねた際、山口はオールド、同僚は角瓶を持って行った。
こちらの方が上等なものを持参することになったため、同僚からクレームをつけられた。
事前に言っておくべきだった、とのクレーム。
山口はこのクレームを理解できないと言う。
「自分だったら、あ、オールドがありますね、ではこちらから飲みましょう、と言っていたはず」と言う。
これは堂々とした態度だと思うが、とは言え、一般的に、こうした場合には事前に言っておいた方が良いのも事実。
山口は、「負けた」同僚の言葉に悔し紛れが感じられて、それを嫌ったのではないか。

155:無名草子さん
21/07/22 12:32:21.12 .net
7月22日放送のNHK映像の世紀プレミアム(15)
「東京 夢と幻想の1964年」をご覧になって、こちらにたどり着いた方へ
番組内では
「山口瞳『円谷君、有難う』」とテロップが出ましたが、
正確には
『ツブラヤ君、有難う』です
(文章内ではすべてカタカナ表記で統一)
山口瞳電子全集では第10巻、
単行本では「わが師わが友」(河出書房新社)p.201
に収録されています
(1964年10月22日報知新聞初出)

156:旧291
21/09/18 01:50:07.76 .net
ようやく時間ができたので電子版の講読続き。草臥山房通信が面白い。
山口ファンなら周知のことだろうが、弟さんはなかなか扱いにくい性格の方だった。
麻布の土地を自分のものにするため、親戚一同の前でちゃぶ台をひっくり返すとは……。
なお、戦後すぐの時期に鉄火場に通っていたと知っていたが、賭場の一つが自宅だったとは、
父上もなかなかの方。時代のせいもあるのだろうが。

157:旧291
21/09/22 00:27:09.08 .net
電子版4巻の「通信」で正介さんは、山口の喫煙は自身の肺ガン、治子夫人の中皮腫、ご自分の喘息の原因ではないかと書いている。
さらっと書いてあるところが凄い。
なお、ここに引用されている『アメリカの親戚』の一節は、良い文章。

158:旧291
21/10/26 22:49:37.33 .net
『電子書籍9巻 優雅な生活』。
これまで文庫でしか読んでいなかったので、柳原良平のイラストを見ることができたのは実にありがたい。
とくに、江分利の母の最晩年(逝去直前?)を描いたと思われるイラストが素晴らしい。
この後に何が起こるのか、そしてそれまでの江分利家に何があったのかを知っている者としては、
このイラストは涙無しでは見ることができない。

159:無名草子さん
21/10/29 18:31:04.73 .net
>>158
電子全集第9巻、僕は別の意味で感動しました
江分利満氏の華麗な生活、章の途中で別のエッセイが度々挟まれるんですね
読みにくいな、変な構成だな…と考えて、ハッと気づきました
これは執筆の時系列に徹底的にこだわった、完璧な編年体の全集であるということ
つまり、瞳先生は江分利満氏の優雅な生活で直木賞を受賞されて以降、注文原稿が殺到したと
だから、続編の連載と他誌のエッセイとが交互に出てくる
凄まじい仕事量、それでも決して落ちないクォリティ
そんな瞳先生の命を賭けた思考過程を、進行形で追体験できるんですね
こんな全集、他にないはずです
本当に素晴らしいです

160:無名草子さん
21/10/29 18:34:27.23 .net
そして、こんな便利なサイトができてたんですね
直木賞ホームページ
URLリンク(prizesworld.com)
江分利満氏の優雅な生活に対する選評
松本清張が◎付けてたとは知らなかった!
URLリンク(prizesworld.com)
そして、瞳先生が選考委員になられてからの、全選評集
URLリンク(prizesworld.com)

161:旧291
21/11/01 01:41:22.57 .net
>>159
レスありがとうございます。
まったく、仰るとおり素晴らしい全集ですよね。
治子夫人と正介さんの執念すら感じます。

162:旧291
21/11/12 03:29:24.10 .net
先の柳原のイラストの件、考えてみれば、山口の母も尋常の人物ではなかった。
大きな売春宿の娘に産まれ、財力では不自由なく暮らす。出入りの若い衆で貧乏書生だった山口の父と駆け落ちし、
山口を出産する直前に、夫の先妻から乳児が届けられる。山口の出生届は一年近く遅らせる。
戦争成金となった父の元に芸人や野球選手、相撲取りが出入り。母親本人も長唄。

163:旧291
21/11/12 03:35:12.82 .net
そうだ、その前に山口の父は懲役してしばらく家を留守にしており、
赤貧ので妻と幼子のみが待つ山口家には、借金取りが押し寄せる。
ある夜ついに、母は山口を連れて鉄道に投身自作をする寸前まで行く。

164:旧291
21/11/18 22:53:42.55 .net
誤記だらけ。売春宿→女郎屋。投身自作→投身自殺。
山口の父と母は、戦争で焼け出された後、軽井沢の別荘地を半ばだまし取られる。
山口の父は朝鮮戦争で一時的に復活するが、景気終了ととともに最終的に事業家としてはその生を終える。その後は糖尿病の療養生活に。
山口はこの時期の母の心情について、「父に見切りをつけた」無念があろう、その母の心情が悲しいとする。

165:旧291
21/11/23 12:06:49.52 .net
山口の母上も、かなり鋭い方だった。山口の独特の感性は母親譲りだが、弟さんによると、
「兄貴はお袋が生きていたら小説なんか書きやしない」とのこと。
山口も「困った奴 私の母」で、これに同意していた。つまり母上の眼力をおそれていたということ。
気難しい川端康成を笑わせる名人で、吉野秀雄に対しては畳を叩いて説教した方でもあった。
そうした方の最晩年の姿を描いたあの挿絵、あらためて見事の一言。

166:旧291
21/12/01 23:36:24.77 .net
唐突に、新庄新監督の話題。彼の手腕はまだまだ未知数だが、応援したい。
新庄監督の新方針で山口も評価したと思われるのは、塁上に出た選手は守備側の選手と会話しない、と言うもの。
敵チームの選手と試合中に親しげに話すことには、自分も違和感を覚えていた。
山口も、王貞治さんとの対談でそれを指摘し、「少し品がない」と言っていた。

167:無名草子さん
22/01/10 23:42:52.71 .net
毎日飲むようになって40年弱。山口瞳さんの影響です。

168:旧291
22/01/15 05:09:19.40 .net
>>167
私も、『酒飲みの自己弁護』にそそのかされて飲み始めたクチです。
山口は小学生の時から家の酒の盗み飲みをしていたそうですが、私は中学生の時に父親のウィスキーを飲んでみました。
山口流にストレートで飲んでみたのですが、とても飲めたものではない。
キャップ1杯さえも難しく、酒が飲めるようになる修行は大変だと思ったものでした。

169:旧291
22/02/15 05:38:00.42 .net
唐突に、酒からの連想。
晩年の山口は、酒場の女性が持つべき重要な資質として「誠意」を挙げていた。
『行きつけの店』だったかな。違う気もする。
いずれにせよ、読んだ当初、どうも「誠意」の重要性がピンとこなかった。
あまりにも当然のことと思えたから。
しかし、糖尿病発症期の『男性自身』を読んでいると、どうもあの時期に「裏切られた」体験が、
「誠意」を強調させることになったのではないかと言う気がする。

170:無名草子さん
22/03/02 19:15:36.50 .net
60才になったので、男性自身の60才の日記をスマホで読み始めた。同月同日を読む様にしている。競馬の記述が多いので、自分も先月からささやかに始めてみたけど、まったく当たらない。アハハ。

171:無名草子さん
22/03/05 12:33:47.25 .net
>>150
このスレでも名前があがる向田邦子とかと違って山口瞳再評価みたいなの見かけないのは今読むと女性差別的なのかねえ
単にオヤジの説教うざいのか
同じサントリーても開高健は再評価絶えない

172:無名草子さん
22/03/06 15:29:28.64 .net
>>169
『行きつけの店』には出てこなくて、
電子全集第25巻所収「新入社員諸君!それは誠心誠意です 」の中に、
「友人の長編小説に出てきた銀座で生き銀座で死んだホステスの話」として、誠意というキーワードが出てきます
初出1989年4月1日朝日新聞ほかサントリー広告
>>170
それは新しい着眼点ですね!
瞳先生が(公的に)還暦を迎えられたのが1986年11月3日
電子全集第6巻所収男性自身1180「還暦」
初出1986年週刊新潮11月20日号
その読み方ですと、今週は
男性自身1145「早春 」
初出1986年週刊新潮3月13日号
横井庄一に小野田寛郎か、懐かしいな

173:無名草子さん
22/03/06 20:35:45.87 .net
>>172
ごめんなさい、1年間違えました
今週は男性自身1197「叱られる」でした
初出1987年週刊新潮3月26日号
電子全集第6巻
35年前ですね

174:旧291
22/03/06 22:04:39.58 .net
凄い、一気に盛況となりました。一つ一つ、きちんと考えてからお答えします。
それにしても、山口が今のウクライナ情勢を見ていたらなんと言ったか。

175:無名草子さん
22/03/07 00:29:01.75 .net
>>174
その件について、国立ロージナ茶房のInstagram(id=poanha)にて、瞳ファンにはお馴染みの、初代マスター伊藤接氏のエピソードが綴られています
URLリンク(www.instagram.com)
そもそもロージナとはロシア語で故郷のことだそうで、そこからもわかる通り、ロシアにはかなり親しみをお持ちだったご様子です
現在の状況をご覧になったら、どう思われたでしょうね

176:旧291
22/03/07 22:01:04.03 .net
>>172 ありがとうございます! そうでした。
その「友人」は、常盤新平さんでしたよね。

177:無名草子さん
22/03/17 00:16:05.71 .net
日記形式で書かれているので、
自分の現状と付き合わせて読むと、
面白いというか感慨深い。
血圧の記録がしょっちゅう出てくる。
自分も毎日血圧を記録しているので、
山口氏と比較して喜んだり
落ち込んだりしている。

178:無名草子さん
22/03/17 00:21:16.30 .net
>>174
氏の「根本思想」からすると、
ウクライナが白旗を振るべきと
考えるのでしょうか?
今ひとつ想像できませんね。

179:旧291
22/03/18 21:17:59.01 .net
>>178
レスありがとうございます。
仰るとおり「根本思想」の論理で言うと、抵抗すべきではないと言うはずですよね。
そして山口は、「丸腰の人間を撃つような人間がいる世界にはいても仕方ない」と言っていました。
「河川敷の決闘」での、「憲法九条に命をかけた」との言葉に通じます。

180:旧291
22/04/02 06:23:24.44 .net
「非武装中立に命をかけた」でした。
>>171
山口の女性観は、今日の基準からすると偏っていたでしょうね。
これは本人も認めていたように、若い頃に女性と知り合う機会があまりなかったことも関係するかも。
中高は男子校、大学は共学だがほとんど行かず。青少年期に学友として女性と交際できたのは鎌倉アカデミアでの数年間のみ。

181:旧291
22/04/02 06:32:26.26 .net
社会人となってからは、奥さん以外には、当時のBGと酒場の女性が女性観の材料。
BGに対する山口の評価はかなり辛辣だった。
酒場の女性との疑似恋愛の作品は、今ではほとんど読者を獲得できないものだろう。
(自分は読んで印象深かったのですが)

182:旧291
22/04/11 21:00:11 .net
ただし、山口の女性観の偏りを私のように後の世代の人間が難ずるのはフェアではないだろう。
『酒呑みの自己弁護』にあったように、山口の世代は、女性を「知る」のは無理だったのだ。
三島由紀夫の「あの俊秀をもってしても」やはりダメだし、吉行淳之介に対してさえも、遠慮がちながら「純情」と言っている。

183:旧291
22/04/17 08:12:36.48 .net
4/15の朝日新聞の耕論欄で、山口の反戦論が紹介されている。
山口は、殺すのは嫌だ、それ位なら国が滅びたり、殺されりした方が良い、と書いたと言うもの。
やや端折った紹介だが、本質は捕らえている。
紹介したのは1984年生まれの社会学者で、山口が死んだときはまだ小学生だったはず。
この年齢の方でも山口を読んでいたと知り、嬉しくなってしまった。

184:旧291
22/04/20 22:07:39.90 .net
出典を示すのを忘れていました。上記は「私の根本思想」から。
以下は、別な話。小生も50を過ぎて、バーの類に行くことがある。ただし女性はいない店。
カウンターで一人で飲んでいると、山口はこうした時に何を考えていたのかな、と思うことがある。

185:旧291
22/04/20 22:13:55.35 .net
そこで思い出すのは、『なんじゃもんじゃ』での言葉。
戦後の闇市でカストリ焼酎を飲んでいるときに鷗外の遺言が囁きかけてきた、という。
初めて読んだ時には何とも思わなかったが、今ではこれはかなり高尚で格好の良い、少し大げさに言えばキザに近いことと感じる。

186:旧291
22/04/20 22:23:25.34 .net
文字化けしてしまった。鴎外の遺言です。
山口はこれに痺れたためにその文言が頭の片隅に残っており、それが不意に思い起こされるということ。

187:無名草子さん
22/04/29 19:00:18.41 .net
GOROで山口瞳を知って彼の書籍は全部集めた
もっと評価されて良い作家だと思う
老眼で読めない人向けに大きな字での再販をしてくれ慎重社さん!

188:無名草子さん
22/04/29 19:25:51.67 .net
山口瞳電子全集7還暦日記を読んでいる。自分は現在62才だが、山口氏の62才の日記を、その日に合わせて読むようにしている。
氏は脳梗塞や前立腺肥大に悩みながら、リハビリと称して競馬に入れ込んでいる。
スケールは小さいが白内障や難聴に悩む自分も、今年から競馬をやっている。はじめは分からなかったが、競馬を面白いと思うようになってきた。皐月賞を三連複で取れたので進歩しているのだろう。

189:旧291
22/04/30 01:00:04.41 .net
>>188
山口は、一般的に言えば、遊びが面白いのは60代の初めと言っていますよ。
競馬(打つ)以外にも、飲みと買いに遊びの幅を広げられてはいかがでしょうか。

190:旧291
22/04/30 01:05:22.62 .net
あれ、山口は降圧剤を飲んでいたのでしたっけ?

191:旧291
22/04/30 11:00:42.53 .net
>>188
申し訳ありません。遊びが楽しいのは50代初めと言っていましたね。失礼しました。

192:無名草子さん
22/05/01 23:28:31.83 .net
>>191
アハハ、そうでしょうね。
「飲む」方は現役ですが、60越えて弱くなってきたなという自覚があります。元々酒好きで、酒呑みの自己弁護が山口瞳との出会いです。
山口氏は一穴主義と公言してたくらいだから、買う方はどうだったのでしょう?

193:旧291
22/05/08 08:21:29 .net
>>192
山口の「浮気」は、山口ファンにとっての大いなる謎ですよね。前スレでも議論になりました。
まあ私は、未遂犯だったと思っています。

それにしても、今回の電子書籍のおかげで、山口の「競馬真剣勝負」を読むことができました。
相当に時間と労力を費やしていますね。それに将棋、麻雀を加えると、「打つ」キャリアは凄かった。

194:旧291
22/05/09 22:17:18.41 .net
>>188
返す返す申し訳ないです。気になって調べたら、『男性自身』1239回で、
遊びが面白いのは60代初めとやっぱり書いていました。
ちょっと自分の頭が心配になってきた。

195:旧291
22/06/01 22:29:50.31 .net
電子書籍の11に、北杜夫による『マジメ人間』の書評がある。
冒頭で「女優に言わせると私はマジメ人間である……」と書かれているが、これは「女房」でないとならない。
自分のことを棚に上げるようだが、北杜夫のミスだとすると、がっかり。

196:無名草子さん
22/06/02 15:23:19.70 .net
田沼武能さん、亡くなられましたか
あぁ、みんないなくなってしまうね

197:無名草子さん
22/06/03 08:09:37.22 .net
>>196
残念ですね。

198:無名草子さん
22/06/03 08:11:53.12 .net
山口氏存命なら、サントリーに対し何と言及しただろうか?

199:旧291
22/06/04 23:55:34.51 .net
>>198
悲憤慷慨に駆られたのではないかと想像します。
その時の首相が誰であってもそう思ったでしょうが、
特に安倍氏に対しては、日本語を丁寧に使えない人間として、
また菅氏に対しては、日本語での対話を蔑ろにする人間として、批判したと思います。

200:旧291
22/06/05 00:00:38.22 .net
何だか変なレスになっていました。
サントリーに対して悲憤慷慨したでしょう。
その一方で、安倍・菅両氏に対して、批判的だったはずです。
違う次元のことをまとめて書いてしまいました。失礼。

201:旧291
22/06/27 22:35:14.07 .net
いやはや、暑いですね。皆様お元気でしょうか。
山口は、総じて夏の過ごし方は老人の方が上手、と書いていましたが、今年はなかなか大変そうです。

202:旧291
22/07/10 22:49:13.11 .net
大変な事件が起こってしまいました。山口ならどのようにコメントしたかな。
反安倍だった(はず)にせよ、もちろん強く非難はしただろう。
それ以上に何を言ったかは、ちょっと思いつかない。

203:無名草子さん
22/07/12 16:08:25.16 .net
護憲の人だった山口氏は、改憲の安倍元首相を認めるはずはない。
しかし今回の銃撃殺人は、容疑者の母親の宗教狂いによる家庭の経済的破綻が動機と判明したのだから、憲法をテーマに語ることはなかっただろうと思います。

204:旧291
22/07/19 00:50:31.89 .net
>>203
その通りかと思います。
それと、向田邦子が田中角栄より先に死にたくない、と言ったことについて、良い印象を受けなかったと書いていたように、
好き嫌いと生死は別と考えていたようですから、やはり今回の事件は安倍氏の政治とは切り離して、犯人を非難したでしょうね。

205:旧291
22/07/19 00:51:29.59 .net
それにしても、国葬はやめて欲しい。自民党葬にすれば良い。

206:無名草子さん
22/07/20 13:00:08.37 .net
>>205
ホントですね。
統一協会の意向でしょうかね。

207:旧291
22/07/30 01:00:14.64 .net
今回の事件で、自民党政治、いや戦後日本の政治の暗部に光が当たることになった。
こういう時は『週刊新潮』の反権力の姿勢が頼もしい。統一教会と自民党の関係をどんどん暴露して欲しい。
それにしても、政治家は恥知らずでないと務まらないな。

208:旧291
[ここ壊れてます] .net
里見香奈さんが頑張っています。
山口は、男と女は生殖面だけでなく精神性においても本質的に違うと考えていた人間。
その根拠の一つには、本人は明言していないが、女性の将棋棋士がいないことがあったのではないか。
「女は、自分の王が責められているときに我慢ができない」との男性棋士の言に深く共感していた。

209:旧291
[ここ壊れてます] .net
しかし、里見さんがはれて4段となれば、この見方も修正が必要となる。どうなるかな。

210:無名草子さん
22/09/22 13:27:23.15 .net
昨今の、香川某やENEOSの会長の振る舞いは、山口氏から見たら言語道断だろうな。
女性への暴行は論外だし、田舎者じみた、金さえ払えば何やってもいいみたいな態度は心底嫌ってたから

211:無名草子さん
22/09/23 16:39:48.77 .net
若くて鬱屈していた頃に、寿司屋で洒落にならないことをやった(言った)というやんちゃ告白もありましたが、基本的にはお店は使わせてもらうところというスタンスでしたね。

212:旧291
22/10/02 07:02:14.75 .net
>>210
全くおっしゃるとおりでしょうね。
どのエッセイだったかな、クラス会の後に酒場に行って、同級生が隣の女性にこいつは小説家だと言うが、嘘でしょうと言われたという話がありました。
「だって小説家というのは触るのよ」との理由。

213:旧291
[ここ壊れてます] .net
>>211
飲食店に対する山口の低姿勢/遠慮しいしいを、治子夫人はお好きではなかったそうですね。
夫婦喧嘩の原因の大半はそれだったとか。


最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch