15/05/08 12:28:20.62 .net
「シンイチ君、シンイチ君の知っている、光の国のじゅうにんのウルトラマン。
もしウルトラマンがいるとして、ひつような条件てなんだと思うかな？ 」
予想していなかったいきなりの質問。
シンイチは、いつもクラスで、授業で当てられるとすぐさまこたえる頭のよさがあったが
それは、いつもちゃんと勉強をしていたからだった。
家に帰ると、ママやパパにせかされて、次の日の学校のべんきょうをやらされていた。
だから質問も、あるていどは予想がついたし答えも出来た。
けれど、いまこの瞬間のおじさんの問いかけは、シンイチの予想をはるかにこえていた。
「ウルトラマンに必要なじょうけん……。ううん……。
勇気！ 信じる心が強さだ！ あきらめない心！ ただしいことをつらぬく気持ち！ 」
今までみてきたウルトラマンで、使われていた言葉をつぎつぎにさけぶシンイチ。
おじさんは、それを聞きながらうんうんとうなづいて笑っている。
「それから……えっと……えと……」
「シンイチ君、本当のウルトラマンは、本当の光の国の人達はね
誰もそんなに強くないよ。誰ひとりそんなえいゆうはいないんだ」
おじさんはゆっくり立ち上がった。
今日はまだ、おじさんの手品を見にくる友達が誰もいない、変だなと思いながら
シンイチはおじさんのせなかをながめていた。
「好きな人を好きでいること。大事な人をうしないたくないとおもうこと。
それくらいしか、光の国の人たちにはできないんだよ」
「えっ、じゃあ怪獣は？ 」
「はっはっは。だから怪獣なんていないんだよ」