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大藪春彦(16) - 暇つぶし2ch320:無名草子さん
14/04/05 02:36:54.55 .net
「おお北野殿。愛馬のお手入れか。精が出るのう」
「いやあ」
晶之丈はさわやかな笑みを返した。
その整った美貌は左甚五郎が彫ったがごとき精巧なたたずまいを見せ、
浅黒く滑らかな肌に流れる汗は朝露のように輝く。
当時の馬術は弓馬の道や武芸十八般にも数えられているように中世の武士にとって必須科目であった。
しかし江戸時代を降るにつれて日本古来の馬術が没落していく。その要因としては長きに渡った平安な世の中であったことや武芸より政治的手腕を重視されるようになったこと、
また、乗馬ができる者がごく限られていたこと、馬術を教われるほどの財産を所持していない者が多かったことなど様々である。
日本において馬とは、刀剣や鉄砲と同じように兵器として扱われていたので、武士以外の身分(商人や農民)などは通常、乗馬することを禁止されていた。
馬上の人となった晶之丈はひと振りの名刀を腰から抜いた。その名も童子切安綱。
日本刀の反りは鉄砲伝来に匹敵するほど戦の形態を変えた。奈良時代の後半ぐらいから「そり」が見られるようになり、平安時代に完成した。
以前の直刀では連続での殺傷は正面から刺すことを基本にしていたがこれには限界があった。
殺傷時の皮膚や血糊が多く戦闘による歯転びなどでほとんど側面は切れなくなってしまうのである。
晶之丈は愛馬である静海波に跨った。腰から名刀童子切安綱をすらりと引き抜く。
童子切安綱とは源頼光が酒呑童子の首を切り落としたという伝説を持っている。
馬上で大太刀を構えるの晶之丈は一幅の絵のごとき姿であった。
近隣の野良娘は大挙して嬌声を送った。中には野良着の裾をまくって手淫に没頭する娘もいる。


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