12/05/07 13:24:35.27 .net
特に作者のファンでもない私の感想はいろいろ含めても50点。
俗にいう文学なのか解釈の幅を持たせてるので読者によっては読む回数や時期によっても解釈が変わっていく。
そういうのが好きな人にはいいんじゃないかと。
個人的には作者にも広げた風呂敷の回収作業はしてほしいほうなので。
そうとうグッと来る内容なら何度もみるんだろうけど。
生(緑)--------ワタナベ-------死(直子)
こんな構図で生と死が同一線上にはあるがそれぞれの中にもこういうバロメータが
あってワタナベは結局緑の影響もあってか大きく動けずにいたようです。逆に直子は死の方へ歩みを向けて
最終的には死にいたるわけですが動かないワタナベにとって段々と手が届かない存在になったのでしょうね。
ラストでは自分の立ち位置と一番近かったレイコと互いがリンクしていることを認めてセックス
するんですけど、結局直子は死んで実際は歩みよる必要もないのにワタナベにとっては逆に「死」の
不変の象徴?として強く残り続けた感じですね。レイコとした後で緑に付き合いたい旨の電話するも「いまどこ?」と言われて
しまうが実際は「生」(緑)のほうには歩めずに「死」(直子)の方へ向いてしまっているということを暗示しているのでしょう。
それはワタナベが今までいた「生と死」の中間地点までは緑は認識できてたがそこよりも「死」(直子)に離れてしまったことで
「わからない」という表現になったんでしょうかね。
死者は自分のことは忘れて「無」にしてほしいのかも知れませんが逆に残されたものは
そこから答えはもうでない苦しみが上巻の文頭にも繋がるのでしょうかというのが私の解釈。