【レビュー】読み終わったら書き込むスレ【感想】at BOOKS
【レビュー】読み終わったら書き込むスレ【感想】 - 暇つぶし2ch350:無名草子さん
14/05/11 23:18:31.31 .net
佐々木健一/文藝春秋 『辞書になった男 ケンボー先生と山田先生』

去年のNHK番組の制作に携わったディレクターによる書籍化。番組放送後にわかったことも書かれている。
三省堂で『明解国語辞典』を編纂した同級生の国語学者二人が後に袂をわかち、同じ三省堂から『新明解国語辞典』
と『三省堂国語辞典』という対照的な国語辞典を作っていく経緯を書いたノンフィクション。
両者の個性の違い、言語観、辞典観の違いがはっきりしていて非常に面白い(またそう図式的にわりきれないところも
最後まで読むと感じられるのも面白い)。
繰り返しがおおい、という書評がアマゾンにあり、たしかにTVマンらしく読者のレベルを低く見積もって下りていく感じはあるが、
許容範囲と思う。
★★★★★

351:無名草子さん
14/05/13 20:24:32.88 .net
小谷野敦/新潮新書『頭の悪い日本語』

・“立ち上げる” という言葉に違和感を感じるのは「立つ」と「上げる」の主語が違うから。
 自動詞他動詞の問題ではない。
・僕は「 “容貌魁偉” なクナッパーツブッシュ」などと誤用していた。
 まあ「立派」といっても良いようなもんだが。
・“タイトルロール” は「テレサ・ベルガンサが『カルメン』のタイトルロールを演じた」と
 いった風に使うべきものらしい。
・日清食品は日清製粉とは関係ないのだそうな。

・・・といったあたりが面白かった。
★★★

352:無名草子さん
14/05/15 05:56:33.97 .net
町山智浩/講談社『99% 対 1% アメリカ格差ウォーズ』

アメリカでは2050年頃には非白人の方が多数派になるらしい。そしてその多くは貧しいままだろう。
なぜならアメリカは最近金融業が信用を失くし,そのほか結局製造業に代わる産業は育っていないから。
おまけに中流層も没落しつつある有様だから。儲かっているのはアップルなどを除けば阿漕な保険会社
などばかりである。
しかしどこの国も貧富の差があまりに大きくなる一方ではもたない。中国などは,そのせいで国が滅ん
では興る,の繰り返しがつまり歴史だ。

・・・というわけで,町山は「アメリカの悲喜劇」といった調子で書いているが,これは他人事ではない。
日本もドイツ車のように “その製品を持つことがステイタス”(本当にそんなに良いものかはともかく)
と云った方向に梶を切るべきではないのか? あるいは資生堂のようにそれを志向しつつもっとアジア
市場に目を向けるべきではないのか? などと僕はいろいろ柄にもないことを考えてしまった。
★★★

353:無名草子さん
14/05/17 19:45:58.87 .net
群ようこ/朝日文庫『ぬるい生活』

この人も五十歳近くなって「体形が崩れた」「体のあちこちがあまり調子が良くない」「生理が不順」
といった話題が多くなってきたな。
同年輩の女性が読むと共感するところが多いのかも知れないが、私などが読んでも愉しくはない。
★★

354:無名草子さん
14/05/17 19:52:53.55 .net
中山康樹/小学館文庫『愛と勇気のロック50』

かつてスターだった、あるいは今もスターだけれど既に(日本では)「現役感」がなくなってしまっている
ロック・ミュージシャンの最近のアルバムを取り上げて、その素晴らしさを説いている。
僕は一種のゴシップ集として読んだ。

甲状腺癌から立ち直ったものの、一時は忘れられかけていたロッド・スチュワートが(ロックに限らない)
スタンダード・ナンバーを歌った一連のアルバムで大ヒットを飛ばしていること。

ジョン・フォガティがアメリカではいまだに声もルックスも人気も衰えずにいること。

再結成したレッド・ツェッペリンのことをボロクソにこきおろしているジャック・ブルース。

元バーズのロジャー・マッギンが最終的に最高と思っているギタリストはエリック・クラプトンと(なぜか)
アンドレス・セゴビア・・・等々。

なんだか愉快であるな。
★★★☆

355:無名草子さん
14/05/17 20:05:01.18 .net
テリー伊藤『お笑い大蔵省極秘情報』

これは手に入ったら是非読むべき本である。財務省キャリアが威張りまくり駄法螺を吹きまくっている。
しかしそれは高橋洋一氏が(明らかにこの本のことを指して)言っているように「別に大したことじゃない」こと
ばかりである。
なぜ日本に於いてはエリート中のエリートとされる人間に限って途方もない大馬鹿者だったりするのかは一
度真剣に考えねばならない問題だとの感を強くする。宮台真司だの死刑廃止派弁護士だの寺脇研だの・・・
★★★★

356:無名草子さん
14/05/18 18:13:44.15 .net
NHKニューヨークメガ盛り塩素プール問題 ホワイトフレンチプラン 72762885

NHKニューヨークメガ盛り塩素プール問題 ホワイトフレンチプラン 72762885

NHKニューヨークメガ盛り塩素プール問題 ホワイトフレンチプラン 72762885

357:無名草子さん
14/05/20 20:06:42.99 .net
町山智浩/マガジンハウス『アメリカのめっちゃスゴい女性たち』

これも面白い。アメリカン・ドリームの話が好きな人はどうぞ。

358:無名草子さん
14/05/21 21:03:11.25 .net
清水潔/新潮社『殺人犯はそこにいる  隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』

著者は桶川ストーカー事件で警察より早く犯人を発見・特定した人。
今回は例の菅谷さんが冤罪着せられた事件以外の足利・太田近辺で起きている5件の幼女
性的暴行殺人は同一犯だとし,その犯人もほぼつきとめている。
この本,警察・検察や裁判所,マスコミ,国民のお粗末ぶり・下劣ぶりに胸クソが悪くなりそうで
手を出しかねていたのだけれど,読んだら案外すらすら読め,いくぶん勇気づけられ救われた
気分になれるところもあった。

でも,もう当分こういうのは読みたくなりそうもない。
★★★☆

359:無名草子さん
14/05/22 08:57:45.29 .net
副島隆彦/PHP研究所『隠された歴史 そもそも仏教とは何ものか?』

「コミケに行ってわかった。阿弥陀如来と観音さまは所謂萌え絵の女性になって現代に甦っていたので
ある」などと(本気で)言いい,本にへたくそなカラー萌え絵イラストをはさんで見せる副島せんせい。

『人類の月面着陸は無かったろう論』と言い,日中殴り合い対談』,『原発事故、放射能、ケンカ対談』・・・
稚気愛すべしといった感じもしないではないが,どうも困った御仁であるな。


360:無名草子さん
14/05/22 09:24:05.81 .net
柴田元幸/角川文庫『つまみぐい文学食堂』

この人のエッセイ『生半可な学者』『死んでいるかしら』などは面白かった記憶があるが、この本は文庫本でなかったら
ちょっと損した気持ちになったろう、といった程度の出来だ。
何故あまり面白くないか、と言えば出てくる食べ物がどれもマズそうだし、それにまつわるエピソードも大方は何だか
気の滅入るようなものだから。
僕にははむしろ「あとがき対談」のほうが面白かった。実際はこの本の挿絵を描いた吉野朔実、早大“准教授”(何度聞いて
も耳障りだな、この言い方)の都甲幸治との鼎談である。

柴田:アメリカの食べ物でも、イタリア人がアメリカに来て開くイタリアン・レストランはおいしい。ベトナム人その他も同様。
    ただこう、日々のベーシックな食べ物はというと・・・
都甲:ひどい。アメリカに留学していたときに「この授業をともに受けるためにわれわれが出会うことが出来たことを祝してケーキ
    を食べよう」と盛り上がって、スーパーで買ってきたケーキが、これはもう深刻に罰ゲームだと思った(笑)。「これは食べ
    物じゃないな。いや~世の中にこんな不味いものがあるんだ」と思って周り見たら、みんなすごくおいしいとか言っていて。
    もうこの人たちとは一生理解し合えないと思った。

そこまでマズいならかえって一度食べてみたい気もしてくるな(笑)。もしかしてアメリカの食べ物ってのは(アメリカ文学と同じく)何か
ゲテモノのような味わいなのであろうか。
★★★

361:無名草子さん
14/05/22 14:51:21.72 .net
amazonにレビューするとバカに見えるからって2chで同じことやることないだろw

362:無名草子さん
14/05/23 01:10:33.12 .net
僕は三浦淳教授の「読書月録」をお手本にしただけ。

363:無名草子さん
14/05/23 20:19:57.62 .net
>>361
僕は新潟大学の三浦淳教授の「読書月録」をお手本にしただけ。

364:BOCONON
14/05/25 20:22:27.56 .net
友里征耶/角川SSC新書『堕落のグルメ』

前著『グルメの嘘』等で身も蓋もない真実を書きまくった友里センセイは,あちこちで出禁にされたり
訴訟を起こされたり,脅迫までされたり(「うちの若い衆は血の気が多い。お子さんは気をつけた方が
いい」だと)しているが,相変わらず意気軒昂で笑える。

今回は食べログや客まで切り捨てている。「関西人は味にうるさいからかの地は美味い食べ物屋が多い
のだ」というのはまったくのウソで,むしろ外食不毛の地だ,などと。
そう言えばTVでこの間どこかの寿司屋が店を閉めてアメリカ進出する,というので中田ヒデとかが店主
に花束贈っている映像を流していたな。田舎もん/成り上がり丸出しで気持ち悪いね。
★★★

365:無名草子さん
14/05/26 20:16:28.00 .net
トム・ジーグフリード/文春文庫『もっとも美しい数学 ゲーム理論』

解説者が言うように「この本はゲーム理論をやさしく説明する入門書ではない」。
よって僕には読んでも何もわからず中途で挫折したから評価なし。

366:無名草子さん
14/05/29 01:53:25.63 .net
小口彦太監修/PHP文庫『同時にわかる! 日本・中国・朝鮮の歴史』

「 “コリア” というのは “高麗(コリョ)”からきた言い方」「朝鮮半島の南には昔から
韓部族が住んでいた。だから国名が “韓国” になった」といった知識が得られる。
時間つぶし用の雑学本としてはヒジョーに面白い部類。
★★★

367:無名草子さん
14/05/29 08:14:48.99 .net
金子隆一/サイエンス・アイ新書『大量絶滅がもたらす進化』

読んで思ったこと。
・ブラックバスが生態系を壊すのなんの言うのは大した問題ではない。地球自体が今まで何度も
 ほぼ定期的に(多分超大規模な地殻変動によって)環境/生態系を全地球規模で破壊してきた
 のだから。
 頭の悪い人は答えに詰まるとよく「自然の摂理だから」なんてことを言い出すが、別に地球は自
 身の上で生物に繁栄してもらいたいなどとは思っちゃいないのだ。

・京都大学の研究者たちは「暗闇でショウジョウバエを飼育する継代実験」を地道に続けていて、つ
 いに飼育環境下で初めて進化が起きたことを最近発表したらしい。体毛が伸び、嗅覚が鋭くなり、
 生殖はフェロモンによってのみ行うようになったので,既に野生種のショウジョウバエとは交尾できな
 くなっているのだという。つまり新しい種の誕生だ。
 これがなぜ画期的的かといえば、進化が起きたこと自体ではない。その驚くべき速さである。ヒトで
 言えば3~4万年程度の短期間で暗闇に適応した進化が起きたのだ。これは偶然だのみのダーウィン学
 説(中立説進化論)を根本から危うくする。環境が生物に進化を何らかの形で促したか、或いは生物が
 (今西錦司の悪名高い言い方を真似て言うなら)「変わるべき時がきたのでいっせいに変わった」と言う
 のに近い現象だから。
(なんだか愉快であるな。)
・木村資生の「分子進化の中立説」については岩波新書で読んで知っていたが、この本読んでやっと
 その画期的意義がわかった。吾ながら迂闊千万な話だ。
★★★

368:無名草子さん
14/05/29 09:25:57.26 .net
原田武夫/かんき出版『最もリアルなアメリカ入門』

実は右派の金持ちの黒幕のいる “茶会運動 Tea Party Movement” が「草の根民主主義」のあらわれだと
思っているようなナイーヴな人=バカ者が「これがリアルなアメリカだッ!」って・・・(苦笑)。


369:無名草子さん
14/06/02 20:30:36.67 .net
大槻ケンヂ/角川書店『FOK46』

知り合いに亡くなる人も徐々に増えてきた46歳にもなってなぜかギターに目覚めたオーケン。
自身でも言っているように「フォークギター初心者あるある」ネタ集みたいになってる。
察するにこの人,僕と同じ程度にしか弾けない,即ち高校生の頃の僕と同じくらいくらいにヘタである。
だから読んでいて可笑しくてしょうがない。
楽器店の娘ほどに若い女子店員に「わたしもピアノはやってたけどギター始めたのは最近です。でも意外
とイケるもんです。楽しいですよぉ。初心者向けの楽譜も教則本もたくさん出てますし」などといろいろ説明
され,アセったオーケンが「『天国への階段』(古いw)のタブ譜もあるのかな?」などと言って変な顔されたり。
自分の作った曲のコードが分からずギターの達人の友人に教わって呆れた顔をされたり,等々。
★★★☆

370:無名草子さん
14/06/07 19:47:46.67 .net
小口彦太 監修/PHP文庫『同時にわかる! 日本・中国・朝鮮の歴史』

「コリア」は「高麗(コリョ)」からきた言い方。半島の南には昔から韓部族が住んでいたから韓国って国名になった。
・・・なんて知識が得られる。雑学本としてはかなり面白い方。
★★★☆

371:無名草子さん
14/06/12 07:15:42.05 .net
皆神龍太郎/Gakken『都市伝説の真実』

「都市伝説」じゃないな,こりゃ。フリーメイソン支部P2のテロ事件とか(ベルルスコーニも多少の関与を
していた,とかいう噂はとも角)本当の話だし。
“オオカミに育てられた少女カマラとアマラ”とか,同じく“アヴェロンの野生児ヴィクトール”等,動物に
育てられた人間の子,という話は世界に案外とたくさんある。しかし近年では,こういうのは幼いうちに親が
捨てた子供がなんとか生き延びたというだけの話らしいというのが定説になりつつある,というのも僕にはもう
大分前に聞いた話であんまり面白くないや。
★★

372:無名草子さん
14/06/12 08:11:29.30 .net
副島隆彦/幻冬舎新書『陰謀論とは何か」

私は「共同謀議論者」である。宇野正美とかとか中丸薫とか太田竜なんぞと一緒にすな。

・・・と著者は申しております。
★★

373:無名草子さん
14/06/12 08:15:38.50 .net
春日武彦・文 吉野朔実・漫画/アスペクト文庫『精神のけもの道』

「他人の愚行を見物するくらい愉快なことはあまりない」とは故倉橋由美子の言。
この本は愚行というより微妙ながら明らかに常軌を逸した言動をする愉しみを教えてくれる。
春日武彦の本の中では珍しくお金出して買って読んでも損をしたような気持ちにはならずに済む。
★★★

374:無名草子さん
14/06/12 08:17:47.65 .net
「言動をする人々を見物する」でちた。

375:無名草子さん
14/06/12 08:23:47.46 .net
清永賢二・清永奈穂/新潮新書『犯罪者はどこに目をつけているか』

「人気のない道で子供や女性が痴漢や物盗りに抱きつかれた場合,足を踏んづけて撃退なんて無理。噛み
つくのが一番効果的」とか,参考になる部分もないではないが,どうも教科書的な書き方で面白くない。
・・・というよりこれは(新潮新書によくある)「何かの教科書にするために書かれたと思しき本」の一冊。


376:無名草子さん
14/06/12 08:59:56.81 .net
唐沢俊一/徳間書店『日中韓お笑い不一致』

対談本。中・韓国人から見ると「日本人は人前で他愛なく笑いすぎで(幸か不幸か)毒の効いた社交的
政治的ジョークが下手」というふうに見えるらしい。
日本人が「他愛なく(大して可笑しくもないのに)笑い過ぎだ」というのはTVなど見ていると僕も思う
けれど,中国人韓国人がユーモアに富んだ国民というふうには一向に見えないがなあ?
『Mr.Boo!』とか,じつにつまらない映画だったし,香港映画で笑ったことはないな,僕は。
個人的につき合うと違うのだろうか?
★★★

377:無名草子さん
14/06/14 20:02:58.44 .net
小谷野敦/ベスト新書『病む女はなぜ村上春樹を読むか』①

よく本を出す人だなw

小谷野の村上批判は『反=文藝評論』で既になされているし,この本でもあれ以上の事は大して書けていない。
(本人も言う通りだ。)
で,その批判は別に間違っているとも思わないけれど,特段の説得力がある訳でもない。何しろ小谷野の周囲
には “村上が好きでかつ文学のわかる女” がおらず,いても「なんで村上が好きか」と訊いても「好きに理由は
ない」というばかりだというのだから。そして小谷野自身も村上が嫌いな理由は言えても「ではなぜこんなに人気
があるのか」についてはよ分からないらしいから。
これで「村上春樹なんか好きな女は病んでいるのだ」は無理だろう。「病んでいるのはオマエだろ」と言われるのが
落ちだ。

378:無名草子さん
14/06/14 20:15:51.16 .net

・・・というわけで,この本で村上批判として目新しいのは「安原顕が村上の原稿を売りとばした問題」に
ついて,だ。これについては全面的に小谷野が正しいと思う。なぜなら―

・作家の原稿なぞ文学研究上は何の価値もない(未発表原稿ならとも角)。だから昔から所有権の曖昧な
 ものである。好事家が欲しがるなら売ったってかまやしないのである。
・ヤスケンは生前村上の奥さんから「今の村上に厳しいことが言えるのは安原さんだけだから,これからも
 よろしくお願いしますね」と言われたような編集者である。その厳しいアドヴァイスに対する私怨をこんな
 かたちではらしてやろうとはよくない了見である。

379:無名草子さん
14/06/17 20:05:54.65 .net

第二項は僕の知見を加えて要約↑。

マア僕は,ブンガクのわかる人皆仰言るように,村上は初期作品―『羊をめぐる冒険』あたりまで―以外は
馬鹿々々しいと思っているので,村上批判もどーでもいいのである。
例によって,小谷野せんせいの本は評論的雑談の方が面白い。「蓮實重彦とともに,自分は三島由紀夫の作品
には1%の文学的価値も認めない」とか。評論家兼売れない作家のくせにナマイキなことを言っていらあw
どうもこの人の趣味はよくわからない。田山花袋の『布団』とか,大江健三郎の最近の作品とか,うじうじ鬱陶しい
感情のもつれを描いた作品を異様に高評価する一方で,漱石『こころ』等は「重苦しい」と嫌うとか,よくわからぬ。

380:無名草子さん
14/06/18 11:33:11.66 .net
古市憲寿/新潮新書『だから日本はズレている』

読めばわかる通り,この著者にはどうやら「これだけはどうしても言いたい」といった事は特にない。
学者でなければ言えないような,読んで感心するようなところも特にない。僕には読まなくても見当が
つく程度の話ばかりであった。なんだか学生の書いたブログか同人雑誌みたいであるな。或いはせい
ぜいオヤジ週刊誌になら売れるかも知れないといった程度のもの・・・と思ったら,もともと雑誌に書いた
短文を集めたものらしい。

というわけで,どうも僕にはこんなものを本にする人の気持ちがわからない。もっとわからないのはこれ
が結構なベストセラーになっているらしいことだ。一体誰がこんな無内容な本を読むんだか。
まあ上記のようなことがそのまま売れる理由になっているのかも知れない,という気もする。


381:無名草子さん
14/06/18 16:57:16.79 .net
海猫沢めろん/幻冬舎『全滅脳フューチャー‼︎!』
作者の自伝?なのかまとまりがまるでなく、文章力のなさに読んでいて不快になるだけだった

382:無名草子さん
14/06/24 20:30:47.03 .net
増田悦佐/東洋経済新報社『夢の国から悪夢の国へ』

アメリカはどうやら「黒人・ヤダヤ人・インディアン=アメリカン差別」から言わば “貧乏人差別” の方向に
梶を切ったようである。増田氏には彼らアメリカの高所得者層の傲慢ぶりが我慢ならないらしい。
けれども僕にはそれは歴史の必然であるように思われる。

①「アメリカは吾等正しい清教徒の国であり,だから異教徒や劣等人種は差別して良い。そして金持ちになれた
  人間は,努力し神の祝福を受けた人間なのであるから何ら恥じることはなく,むしろ誇りに思うべきである。
  逆にこのアメリカという良い国で貧乏な人間は,努力が足りず,神に愛されない人間なのだから自業自得なのだ」
  という考えの帰結としての現在のアメリカ。

②アメリカは製造業が駄目になり,金融業も信用されなくなりつつあり,中産階級も消滅しつつあり・・・で,もはや
  打つ手がない。即ちこの先再び豊かな国になることはまったく期待できない以上,高収入な人々が既得権益の確保
  に走るのは当然のことである。
  「労働者の賃金を下げて会社の利益率を上げるのも致し方ない。会社がつぶれるよりはまし」とか「みんなが豊かには
  なれない以上,金持ちは金持ちでいる方が,国民みんなが貧乏になるよりはずっと良いだろ?」といった考え。

日本は①はまだしも,②の方向には確実に向かいつつある。増田氏とともに,安倍晋三や竹中某,宮内某など,この方向に
日本を誘導しようとする者たちには警戒おさおさ怠りないようにせねばなるまい。
★★☆

383:BOCONON
14/06/26 01:22:38.74 .net
小谷野敦/洋泉社 新書y『天皇制批判の常識』

著者いわく―
「身分制/身分差別というものは良くない、そう教えられて育ってきていながら我々日本人は天皇制について語るとなると途端に
そのことを棚に上げてしまう。しかし考えてもみよ、天皇・皇族は生まれながらに日本国民ですらないのである。
当然所謂基本的人権もない。選挙権も信教・職業居住地の選択の自由等々すらもないのだ。なぜこの矛盾に気がつかないのか。
私は日本国民に呼びかけたい。あなたは人間が生まれによって差別されることを是認するのか。平和でありさえすればそれでいい
のか!(大意)

うん,別にかまわないと思う。ボクは天皇の権威を借りて自分が威張りたいだけの人間には警戒するけど,それだけ。
小谷野先生も別に皇族のためを思っているわけでもなく,なんだか尤もらしい理屈をつけて無理に憂えている感じがするな。

この本もしかし,横道にそれて歴史に関する薀蓄を語る部分は面白い。
・「今上」とは「今の天皇陛下」という意味であるから「今上天皇」というのは畳語である
・山本七平の未完の著書にあるように「現人神」というのは近代になって急に言われだした与太話の類である。江戸時代までは天皇の
 存在すら知らない日本人の方が圧倒的に多かった
・天皇制の問題については知識人たちも大方は正面から議論したがらない。彼らはヘタレにして卑怯な営業左翼・営業右翼に過ぎない。
等々。
★★☆

384:無名草子さん
14/06/26 01:28:53.79 .net
服部圭郎/洋泉社 新書y『道路整備事業の大罪』

著者はもともと本書のタイトルを『道路をつくると地方は衰える』にするつもりだったという。
実際そういうことを述べた本である。
世界的に先進国ではすでに脱クルマ社会化の方向に進んでおり、「道路を作っても地方都市が栄えることはない」
「高速道路を作っても結局は渋滞は緩和されない」というのは常識になっているらしい。車がなければ生活出来
ないようなアメリカですら、住民運動によってハイウェイ建設が中止されるなどの例が続出しているそうな。
逆に「道は車が走るところじゃなく人間が歩くためのものだ」という考えから、暗渠の上を走る自動車道を取り
壊し,清渓川を取り戻して住民はもとより世界から称賛されたソウル、ヨーロッパ最大の歩行者道を作って中心部
に人を呼び戻すことに成功したコペンハーゲンなど、興味深い実例がたくさん挙げられている。
東京が公共交通機関が発達していることが世界的に高く評価されていることもこの本で知った。

ボクは「こんな車だらけ、騒音だらけ、排気ガスだらけの国で文化もへったくれもないわな」との意を強くしたことであった。

385:無名草子さん
14/06/27 00:41:44.96 .net
↑★★

386:無名草子さん
14/06/27 00:42:44.46 .net
さわやか/星海社『10年代文化論』

くだらん。


387:無名草子さん
14/06/27 19:05:42.55 .net
もうちょっと頑張って書いてくれよw

388:無名草子さん
14/06/27 20:17:55.13 .net
どーもすいませんw

389:無名草子さん
14/06/28 15:53:58.77 90ZPst52h
今野敏/「精鋭」 現在朝日新聞で連載中の小説

朝日新聞という、どちらかというと権力側から一歩引いたスタンスでの
社会的批評を期待しがちなメディアだが、今回の連載小説が、まさに公権力
の手足となって職務を執行する警察官の物語であることに、新鮮さを覚えた。
 
警察学校や配属先でのでの正義感に燃える教官や上司の話などは、一般メディア
でも比較的扱い易く、ストーリーとしては穏当なものだが、興味を引き始めたのは
主人公の柿田が、現場での検挙や取締りに迷うシーンあたりからだ。

自らも、一人の不完全な人間として、他の人間を杓子定規に取り締まったり、検挙した
りすることに不安を覚える。あるとき、まだ新米である柿田のために教育係から、取締り
のコツを教えられる。住宅街での一時停止はたいてい完全停止はしないから、検挙し放題。
曲がりくねった細い道から直線になる道の脇にいれば、速度違反は入れ食い。

柿田自身も過去に羽目を外したことはいくらでもある。警察官とは、その気になれば、
こうした普通の人間の隙間につけ込んで犯罪者にしてしまうことができる職業なのだと、
柿田は自らの人生を振り返って、新人らしい素朴な自問自答を続けてゆく。

私は、こうした職責の重さと、執行する人間の自らの生き方と重ね合わせる誠実さの中で
いろいろな具体的な場面での更なる緊張や葛藤に出会う主人公の行く先に、深い関心と期待
をもって読み続けている。

今のところ、ストーリーは、走破訓練や射撃の要領、SATの試験入隊訓練など、厳しさや
その克服過程を描いたスポ根ものに近い印象の話に終始している。そのためか、当初のような
精神的な迷いを深めてゆくような内容からは遠ざかっており、やや、失望の感もある。

しかし、「精鋭」という題名にあるように、SATに入隊すれば、これからが、
本番のストーリーが始まるのかもしれない。サスペンスまがいの派手さだったり、
単純な勧善懲悪や底の浅い正義感よりも、それ以上の人間観察の深さに訴えるような
展開を期待している。

390:無名草子さん
14/06/28 20:26:05.02 .net
・・・って,なんで僕が謝らにゃならないのだろう。
今日もテキトウに行く。

コリン・ウィルソン『カルト』
カルト宗教の教祖は大ていひどく恵まれない育ち方をしており、友達はあまり作れないが子分を作
る能力は異常にある。
(※いい方に転ぶとジョン・レノン等。悪い方に転ぶとアサハラ、C.マンソン、ジム・ジョーンズ等々)
★★

斎藤美奈子『文壇アイドル論』
ちょっと文学に詳しい人間なら誰でも言える程度の事しか書いてない。岩波もこんなものをなぜハード
カバーで出すのやら。


内田樹『下流志向』
根拠らしい根拠もない至極いい加減な話を何故かしたり顔で語る地方私大の教員。
(後記:著者は憧れの人矢作俊彦に会った時「憲法は今のままでも自衛隊でじゅうぶん国防は出来る」
と持論を語って,あっさり「今のままじゃ相手が攻撃してこなけりゃ手も出せないんだぜ? あんたは
間違ってるよ」と切って捨てられていて笑った。)


三浦展『下流社会』
これも内田樹と同断。世間話のネタ程度にしかならないレヴェルのいい加減な若者論。


391:無名草子さん
14/06/29 19:48:47.29 .net
風間賢二/双葉文庫『ホラー小説大全』

ホラー小説の歴史をたどっている。この人はいつも,小説をいかにも面白そうに紹介してくれる。
僕はあんまり小説は読まないけれど楽しい。「ディーン・R・クーンツってアホな話考えるやつだなあw」
などと。
ブックガイドとしては優秀だ。文芸評論として見るとあやしげな部分も多いけれど,僕はただ読み物
として面白かったから良いのである。
★★★

392:無名草子さん
14/07/01 11:17:40.44 .net
久世 原案|春瀬ひろき 作画|トレンド・プロ 製作/オーム社『脱オタクファッションガイド 改』

タイトルに “改” とあるが,内容は前著よりさして新しくなっているところはない。
だから明らかに古くなっている記述も多い(ブーツカットのジーンズ,三つボタンのスーツ・・・)。
今回は所謂「萌え絵」の漫画でページを水増ししているが,これも実につまらない。

・・・というわけで,しごくいい加減でバカバカしい本であった。


393:無名草子さん
14/07/03 00:49:29.12 .net
新潮文庫『三好達治詩集』

春の岬旅のをはりの鴎どり浮きつつ遠くなりにけるかも

冒頭のこの一首と「甃のうへ」以外はどうもあまり大したものではない。
(「太郎を眠らせ ... 」は少しあざといと思う。)


吉田豪/新潮文庫『元アイドル!』

アイドルやっているような子はやっぱりみんな少し頭おかしい(またはおかしくなる)もののようである。
AKBはさて,ね・・・

394:無名草子さん
14/07/04 20:28:08.19 .net
水上はるこ/宝島社文庫『ドリーム・オン!』

『ミュージック・ライフ』には書けなかった話、という割りにこれといって大した話もなし。
(著者が一時ジャン=ジャック・バーネルと恋人同士だったというのは意外なエピソードだった。
 ・・・と言っても、これもさほど面白い話ではない。)


谷沢永一『「国民の教科書』絶版を勧告する』

著者は「つくる会」に私怨があるらしく、しつこく揚げ足を取り,重箱の隅をつついている。当然相手にされず。
まだ若かった頃のこの人の生きの良さを知るものとしては見るに忍びない気分にさせられる。

藤原正彦『心は孤独な数学者』

タイトル通り、心の欠落を埋めるために天才たらざるを得なかった人たちの心情に胸を打たれる。

藤原正彦/文春文庫『天才たちの栄光と挫折』

上記の本の増補改訂版といった処。アンドルウ・ワイルズがフェルマーの定理を解いていく過程が特に
スリリング。(腐女子の方はアラン・チューリングの章をどうぞ。)

群ようこ『おんなのるつぼ』
この人のことは悪く言いたくないんだけれど・・・この本もふつーのオバハンが愚痴っぽい世間話してる本。

ノーマン・マルコム『ウィトゲンシュタインの思い出』
ウィトゲンシュタイン入門するには、彼の奇妙な人間性を知っておいた方がいい。単なる読み物としても面白い。

395:無名草子さん
14/07/06 20:27:09.69 .net
唐沢俊一/三才ブックス『唐沢俊一のトンデモ事件簿』

 第三章、第四章に至ってやっとこの人らしい悪趣味だが奇妙に引きつけられる話になってくる。
 もともとファンではない人には推奨しかねる。

伊集院光/宝島社『の、はなし』

 別に面白い話は何もない。でも案外人気があるらしく続編が出続けている。誰が読むのやら。

和田秀樹/PHP文庫『受験は要領』

 受験数学なんぞは基本的な問題とその解き方を4~500丸暗記しておけば,後はその応用で殆どどんな
 問題でも解ける,という。それが本当でも,僕には数学なんて問題の意味すらわからないから無理だけど。

コリン・ウィルソン+ダモン・ウィルソン/青土社『世界不思議百科』

 オーク島の18世紀に掘られた謎の巨大縦穴など、世界の不思議なものに関心のある人には基本文献だろう。
 実に面白い。

396:無名草子さん
14/07/08 20:29:59.42 .net
永山薫/ちくま文庫『増補 エロマンガ・スタディーズ』

エロ漫画の単行本を全部読んでいた,という筆者ならではの包括的なエロ漫画史。
この手の本は僕は好きだが,広く皆様に推奨は出来ない。長すぎるし,もっと笑える本にだって
出来た筈だし。

 マチズモが崩壊する過程においては,「生意気なクソアマ」のみならず,女性であること自体が
 ヴァルネラビチティ(vulnerability=暴力誘発性)を帯びることになる。

こういう甚だ全共闘世代的な(あるいはいかにも東浩紀の盟友らしい)理屈っぽい文章を読むのが
苦痛でない人はどうぞ。
 
★★☆

397:無名草子さん
14/07/10 00:01:33.45 .net
 マーティン・ガードナー/ハヤカワ文庫『奇妙な論理』

意味不明な邦題で損をしているが,本当はと学会の先達のような擬似科学を平然と斬っていく愉しい本。
(もと社会思想社の現代教養文庫に入っていたものが版元倒産でこちらに版権を買い取られたらしい。
 定評のあるロングセラーだということである。)
★★★

木田元/文春新書『なにもかも小林秀雄に教わった』

内容を正確に言えば “主に小林秀雄に教わった本や音楽の思い出” と云ったところ。
それゆえこの人の著書にすでに親しんでいるのでない人には奨めかねる。
そもそも小林秀雄は < 最後はオカルト肯定に至ってしまう=哲学なんてガラでもない > 人である気がする。
★★☆

春日武彦・平山夢明/扶桑社新書『「狂い」の構造』

非常に面白い世間話(褒め言葉)。その上精神衛生の勉強にもなる。
★★★☆

398:無名草子さん
14/07/10 00:26:21.70 .net
アルジャーノンに花束を、読了

総合:★★★★☆
内容の濃さ:★★★☆☆
充実度:★★☆☆☆

世界的文学作品をようやく読んだ
読破した直後はテーマはわかってるがまぁそうだよな、ってくらいだったが
翌日、翌々日とかになって染み入るようにテーマに共感した
星の王子さまを読んだ時と同じような感じだった

399:無名草子さん
14/07/10 00:26:43.98 .net
海老原嗣生/扶桑社新書『「若者はかわいそう論」のウソ』

この本は門倉貴史『ワーキングプア』、玄田有史『仕事のなかの曖昧な不安』、城繁幸『若者はなぜ3年で
辞めるのか』などのベストセラーを論駁した本だというのでちょっと期待して読んだ。
でも面白くなかった。三氏への批判はまだしも,この人自身が提案する事はどれも単なる思いつきとしか
思われぬ。
フツーの読者は,最後に置かれたかの「反貧困ネットワーク」の湯浅誠氏との対談を読むだけで良いと思う。
一部要約してみる。

海:「若者はかわいそう」という風潮を煽る人が多過ぎる。実際はネットカフェ難民も製造業派遣も4~50代が多い。
湯:高齢者に貧困家庭が多いのは確かだ。しかし貧困のために実家を離れられなくて結婚も出来ない若者も非常に多い。
   しかもそういう人たちは統計上の数字にはあらわれない。公的な家賃補助制度が必要だ。
海:雇用促進住宅とかURの空き家合わせたら100万戸くらいあるはず。とりあえずそれを使ったらどうか。
湯:ボロ家や辺鄙なところにあるものなんぞ数にいれてもしょうがない。使えるのはせいぜい4万数千戸だ。
海:かんぽの宿を住宅に建て替えるとか能力開発機構の運動場にプレハブでも建てたら?
湯:やりたいけど実際は難しい。国はもう公営住宅を作る気がないし、地方自治体は「貧乏な人に集まってこられちゃ困る」
   と思っているし。
海:それは,勉強になるなあ。

海;日本の労組は既得権益を守ることばかり考え過ぎだ。
湯:それは一理はあるが、正社員だって住宅ローンその他抱えてかつかつで生きているのだから、そんなことを言っていても
   話は一歩も進まない。

・・・といった調子である。

★★

400:無名草子さん
14/07/10 00:58:51.90 .net
お前ら他人様の書いた本のレビューしてる暇あったら自分で1冊でも本出せば?
バカなの?
死ぬの?

401:無名草子さん
14/07/10 01:38:18.50 .net
それは以前書いた通りさ。

僕は4年前に「日本の原子力発電は近いうちに取り返しのつかない大事故を起こすだろう」とブログで予言した。
一昨年は「子宮頸癌ウィルスの予防接種など有害無益」と警告した。
去年は「NHKは “TPPに参加するとどうなるか・・・韓国はFTAに参加して関税が0になったおかげで工業製品の売り上げが30%も
伸びました” などと印象操作をしているが,そんなことは絶対に起こりえない。もともと安いのが取り柄で関税が50%以上も
かかっていた国と,高品質製品が売りで今現在でも15%しか関税のかかっていない国を比較する馬鹿があるかい」と指摘しておいた。

こんな東電に訴えられるであろうようなことを平気で書く人間の本を出す出版社があるかね?
出しても読む人がいるか?
ある/いるというなら連れてきてくれたまえよ,君。

402:無名草子さん
14/07/10 20:59:49.67 .net
小泉武夫/新潮文庫『これがC級グルメのありったけ』

この人のエッセイの本はどれもつまらなくはないけれど,どれを読んでも同じようなものでもある。
だから僕には同じ新潮文庫の『不味い!』が面白かった。この本でも美味かったものよりマズかったものの話の
方が面白い。

いや、うまいまずいなんてレベルじゃないな。小泉センセイは探究心が旺盛過ぎてもはや奇人の部類に入る。
「はじめに」を読んだだけでも、小学2年の時からすでに “へびいちご” や “あせびの花” を食べて食中毒を起
こした話が出てくるのだ。
へびいちごを食べた後は「激しい嘔吐におそわれ」あせびの時はこれに「痺れも加わって入院し,胃洗浄を受けた」
というのだからあまりシャレにならない。

で、これで懲りたかと思えばまったく懲りておらず,むしろ以後ますます「食べられるか食べられないかに異常に関心が
わき」「それに挑戦したい気持ちが気持ちが強くなりました」というのだから凄い。

・・・というわけでこの本は一読に値する。でもそういう人の言うことだから,あんまり真に受けるとヒドい目に会い
そうな気もする。沖縄の「ぴーじゃー汁」(=山羊汁)も「独特の山羊臭が鼻にきついですが、この汁の真髄といった
ものを知れば、あとはどんどん食べられます」などと書いている。
別に沖縄差別でもなく、かの東海林さだおも堪らず逃げ出したという猛烈な臭いのする山羊汁なんてものには普通
の人はそんなに簡単に「慣れ」やすまい。

★★★

403:無名草子さん
14/07/10 23:53:56.91 .net
殺戮に至る病

最後のどんでん返しが有名なこの小説、
一気に読もうとしたけど途中でグロテスク過ぎて気持ち悪くなって一日置いて再読したほどのシロモノ。
今は整理つかなくてなんとも言えないが二週目になったらまた改まった考えで読めるのだろう

★★★☆☆

404:無名草子さん
14/07/11 20:16:54.78 .net
紅山雪夫/新潮文庫『イスラム物知り事典』①

世界的にイスラム建築の美しさには定評があるらしい。この本で知った。
とは言っても僕は建物の外観よりも口絵にあるような内部の装飾の方にしか心惹かれないのであった。
ほかには多分似たものもないような、細かな幾何学文様・草花文様・アラビア文字の彩釉タイルやモザ
イクによる天井まで覆いつくした装飾。
(ドビュッシーのピアノ曲『アラベスク』などもこうしたものをイメージして書かれたに違いない。)
そのうちこの方面の美術書、あるいは実物を見てみたいものだ。

405:無名草子さん
14/07/13 20:01:10.79 .net

ムハンマドに率いられたメディナ・イスラーム軍との戦いでは、メッカ側は当事珍しかった騎兵隊を編成して出陣してきた。
普通なら馬など投入されたら一気に蹴散らされてしまうところである。
しかしムハンマドはペルシャ軍にいたことがあるという商人の建策を聞き入れ、町のまわりの騎兵隊の通りそうなところに
は空掘りを掘り巡らしておいたのであった。メッカ騎兵隊の馬はみんなこれに落っこちて、もたもたしているところへ次々矢
を射込まれて何の役にも立たなかったらしい。

…僕がなんでこんな事に興味を持つかというと、歴史の本を読んでいて馬を戦闘用に使った民族の圧倒的な強さに驚かさ
れたことが何度もあるからである。
たとえば中央アジアに住んでいたらしい古代アーリア人(所謂白人の祖の一)が馬に戦車を引かせる戦法を身につけるとイン
ドやペルシャをたちまち征服してしまった話。ケルト人も同様の事情で東ヨーロッパ、黒海近くの僻遠の地からあっという間に
西ヨーロッパまで広がった話。中国がなぜあんなに(隋・唐時代、あるいはもっと以前から元・清に至るまで)北方の騎馬民族に
征服されてばかりいたかと言えば、中国ではなぜか馬が育たず歩兵中心だったからであるという話。チンギス・ハーンの世界帝
国は言わずもがな、である。
中国も世界の三馬鹿に数えられる万里の長城なんぞより、滅多にない黄河の渡れるところあたりに空堀か水堀でも掘ってお
けば良かったろうに。
(「世界の三馬鹿」とは戦時中日本海軍内で自嘲気味に言われた言葉。ほかの二つは「ピラミッド、戦艦大和」だそうな。)

406:無名草子さん
14/07/13 20:15:18.90 .net
下関マグロ・北尾トロ/幻冬舎文庫『おっさん問答①おっさん傍聴にいく!』(前)

おっさんだろうと若い人だろうと面白けりゃ別にいいのだが、困ったことに北尾トロは今回妙に真面目だし下関マグロ
は明らかに裁判傍聴になぞ大して関心がない。たぶんこの対談後も傍聴なんて仕事でもなきゃしやすまい。
面白い裁判傍聴記読みたければ、阿曽山大噴火/河出文庫『裁判狂時代』『裁判狂事件簿』や(やや落ちるが)北尾トロ
文春文庫『裁判長!ここは4年でどうすか』『裁判長!これで執行猶予は甘くないすか』がいい。霞っ子クラブの本も大
して面白くないのでブック・オフかどっかでどうぞ。

ところでこの本にも誰が読んでも興味深い、というより腹が立つところがある。よく聞く話ではあるのだが、弁護士には
どうかと思うような人間がかなりいて、たとえば痴漢事件―下着に手を入れられ下腹部を触られた―の被害者女性に以下の
ような証人尋問をするのだ。

407:無名草子さん
14/07/13 20:16:27.33 .net
(後)

弁護士:私は個人的にはこういうことは訊きたくないのですが……デリケートな問題ですから失礼な質問をしてしまうかも
      知れないけれども、仕事ですから……。
      下着に手を入れられて、最初はお尻を触られていて、そのうち前に手がまわってきて、最後は下着の中に手が
      入ってきて,思わず叫んで捕まった、ということですが、大体何秒くらい? お尻に当たっていたのは?
被害者:わかりませんけど、1分か2分だと思います
弁護士:ああわかりました。それから前にまわってくる。それはいきなり前にまわってきたのか、ジリジリとまわってきた
      のか…
被害者:ジリジリという感じです
弁護士:じゃああなたは嫌だったらそこで叫ぶこともできましたよね?
被害者:いえ違います。怖くて声が出なかったんです
弁護士:そりゃそうですよね。いや失敬失敬

北尾トロ注:つまり弁護人は「気持ちが良かったんじゃないの?」という具合にもっていきたいわけ。思い出して泣き出して
しまう証人もいるよ。

弁護士:前に手がきて、怖いのであれば本当に体が固くなって両足なんかガシッと閉じますよね。なかなかその状態で下着に
      手を入れて触るというのはしにくい状態になるわけですよね?

北尾トロ注:「結局拒否しなかったんじゃないか」と言いたいわけです。

・・・まだまだ続くのだが胸くそ悪いので以下略。
まったく「仕事ですから」じゃないだろという話であり、弁護士としてどうとかと言うより人間としてどうか、という話で
ある。しかもこういう事実上(金のためなら)どんな依頼も安請け合いするような弁護士の話は珍しくないのだ。
こんなふうだから僕は弁護士や医者を「先生」などとは呼んだことがないのである。
★★

408:無名草子さん
14/07/15 19:59:13.81 .net
と学会/楽工社『トンデモマンガの世界2』

この本,山本弘や唐沢俊一の文章も載っているが、大部分は新田五郎という人が書いている。
この人は “評価の対象外となった漫画” の収集家で、同人誌・講演活動をやっているそうで,要するに
シロウトである。
まあなんでも面白けりゃいいのだけれど,あんまりお金が取れるレヴェルではない。
唯一新田氏自身も書いていて面白かっただろうと思えるのは「あり得たかも知れない未来世界でジャイ
アント馬場やカール・ゴッチやタイガー・ジェット・シンなどが見守るなか、アントニオ猪木と前田日明が数
時間に及ぶガチンコ勝負を繰り広げる」という、上川瑞徹作『格闘王伝説 Jr.WARS』なる作品の話だけ。


409:無名草子さん
14/07/17 00:09:42.08 .net
小原誠/文春文庫『探偵裏事件ファイル』

多分この小原という人は自分で書いていないと思う。そもそもこの本,本当にあったか事かどうかも
あやしい話ばかりである。
依頼の内容が「長女(20代後半)と子供の頃から仲が良かった父親が,先日一緒に酒を飲んで帰宅
して同じ部屋に寝ているうちに(なぜか)レイプしてしまい,それでその長女が行方不明になってしま
ったから探してくれと依頼してきた夫婦」とか。
「カツラをかぶっているのが周囲にバレていないか、バレているとしたら陰で笑われてやしないか調べて
くれと依頼してきた男」とか。
どうもバカバカしくていかんね。

この本が役に立つとすれば,ダメな探偵の見分け方・料金など、依頼する場合の一応の目安になること
が書かれていること、そして探偵になるにはどういう人が向いているか,が書いてあることくらいだろう
(これもどれほど信頼できる話やら)。


410:無名草子さん
14/07/17 00:31:01.78 .net
久繁哲之助/ちくま新書『地域再生の罠』 (1/Ⅱ)

著者は数多くの地域振興策の失敗例を挙げているが、私にはどれも当たり前のことのように思える。

●宇都宮109は4年も持たずに撤退した
   宇都宮の109に行くくらいなら、そりゃ東京渋谷の本家に行くだろうよ。
●中心街再生の切り札として建てられた「宇都宮表参道スクエア」からは撤退するテナントが続出
   これも当然だろう。大して人口も多くなく、みんな車で移動するのに,車では行きづらい地方
   都市の中心部に商業ビルを建てれば人が集まるだろうなんて,なんでそんなヘンなことを考え
   るのか僕にはわからない。(「表参道」・・・)
●松江市の天神町商店街は地域再生や地域活性化の成功例として数多くの書籍等に取りあげられているが
  実はイベント以外ではほとんど人っ子一人歩いていない
   それはそうだろう。地方都市で繁盛している個人商店は、スーパーでは手に入らない商品(特に食べ物)
   の店だけである。そもそも商店街なんてもう基本的に必要ないのだ。
●レトロ化で成功したと言われる長野市「ぱてぃお大門」や「昭和の町」を謳う大分県豊後高田市の商店街には
 見学の客は来ても店に入る人はあまりいない
   そりゃ店に入る理由は別にないこと上に同じである。川越の古い町並みを見るための「小江戸ばす」も同様。
   川越は長~い商店街が今でもあって面白いが、それ以外は江戸明治から続く街並みも車だらけだから歩くのも怖い。

411:無名草子さん
14/07/17 00:53:19.74 .net
(2/Ⅱ)

著者ももっと違うやり方があるはずだ、といろいろ提案し成功例を挙げてはいるのだが、残念ながらどれも
説得力があるとは言いがたい。例が特殊過ぎるのだ。

・「宇都宮はジャズのまちでかつ優れたバーテンダーの店がいくつもあり…」とか言われてもな。
  そんな金持ちの商売道楽みたいな店に本当に客が入っているのかしらん?

・「青森市では駅前に電車待ち用の “アウガ” なる商業ビルを建て、それ自体は赤字だが、そばに
  ある新町商店街と共存共栄が出来ている」というのもどうかな。
  一時間に一本しか電車が来ないところの話じゃあんまり参考にはなるまい。

・「皇居のまわりにある銭湯は、ジョギングをする人が汗を流す場として賑わっており」・・・って地方
  都市じゃないじゃん(あの辺に銭湯がいくつもあるとはオドロキだけど)。

そもそも著者の提案によって実際地域再生が出来たところの例を挙げるのでなきゃこういう本を書いても
しょうがあるまいと思うが、そういう話は出てこない。
著者はあちこち地方都市から地域振興・再生について講演を頼まれて行くそうだが、失礼ながらそれも地方
都市の役所の「私たちだっていろいろ考えてるんです!」という市民への言い訳のために利用されているだけ
ではないのかね、と僕は思ってしまった。
★★

412:無名草子さん
14/07/17 01:14:08.76 .net
森川嘉一郎/幻冬舎文庫『趣都の誕生 萌える都市アキハバラ』

著者によれば「秋葉原の変化は商業資本主導ではなくオタクの趣味の構造による集合であるところが
決定的に新しいのである」。
そうかも知れないけれど、だから何?


鎌田遵/岩波新書『ネイティブ・アメリカン』

彼らがいまだにこんなに悲惨な境遇だとは知らなんだ。(今更ながら)アメリカ白人はナチスより酷い。
★★★


清谷信一/講談社文庫『ル・オタク フランスおたく物語』

フランスではもう日本製アニメ・マンガは当たり前のものになっていて、これ以上の伸びは期待できない
らしい。
★★★

413:無名草子さん
14/07/17 01:21:46.17 .net
藤原正彦/新潮文庫『数学者の言葉では』

こりゃまたクソつまらないただの雑談。この人は数学以外のことを語るとまるで駄目。『国家の品格』
なんて問題外。


恵比須半蔵/彩図社『就職先はブラック企業』

パソコン教室、英会話学校、高速バス会社など、いかにもなところの話が多くてあんまり面白くない。
ただ、大企業でも実質ブラックな部署もあるというのは参考にならないでもない。
★★

414:無名草子さん
14/07/18 21:18:37.22 .net
司馬遼太郎 / 播磨灘物語

1巻 黒田官兵衛を題材に小説でも書いてみるか、まずは官兵衛の祖先から・・・(以下余談)
2巻 中国攻めを書くためには、まず信長のことから触れないと・・・、ああ・・・信長様サイコー
3巻 イカンイカン、官兵衛のことを書かないと・・・、でも秀吉のことも気になる
4巻 秀吉・・・、秀吉、秀吉秀吉秀吉秀吉秀吉秀吉ィィー!!(昇天)・・・ふう、え?官兵衛?ぶっちゃけ平凡な紳士だよね(あとがき)

415:無名草子さん
14/07/19 22:01:45.94 .net
猿猴
前半はまあ面白いのだが
後半大和神話、各国の神話などがばっと出てきて物語がだれてくる
設定上説明が必要なのはわかるが神の名前とかみんな似ててよくわからんわ
終始、主人公には共感できなかった

星ふたつ

416:無名草子さん
14/07/24 09:07:23.24 .net
呉智英+適菜収/講談社『愚民文明の暴走』(1/Ⅱ)

僕はもともと文学が専門みたいなもので,政治については勉強中。おまけに新聞もTVのニュースも積極的には
見ない。なので,この二人の言っていることについてはよくわからないところが多い。
(「橋下徹を政界に送り込んだ某漫才師」って一体誰のことだ?)

でもまあ,理解できた範囲のことを見たところでは,どうもあんまり大したことは言っていないと思われる。
(大意)「民主主義という制度そのものに疑念を持つ人が増えている」というのはその通りだろう。でもだからって
「投票するには選挙人資格試験をパスしないといけないという制度を作るべきだ。中卒程度の常識を問うのが第
一次試験」なんてのはどうかな。
なんだか高校生みたいな発想ざんすね。

417:無名草子さん
14/07/24 09:44:19.61 .net
(2/Ⅱ)
実は僕も似たような事を考えてはいるのだが,試験をするなら例えば「 “不景気だと言うけれど,お金掛け
なくても/経済成長しなくても幸福に生きていく方法を考えればいいじゃないか” という考えはなぜ間違って
いるか」なんてことを問うのでなければバカを篩い落とすことは出来ない,と思うな。
(答えはもちろん「それは資本主義の否定であるから」。)

この本は一方,「知識人業界の裏話・噂話」といった風なものとして読むことも出来るし,その方が面白いし
たぶん正解だ。このスレでも『ふしぎなキリスト教』について批判的に取り上げたけれど,その著者の橋爪大
三郎も大澤真幸も(二人によれば)とんでもなく愚かしい事を平気で書いているのだとか。
以前橋爪の『民主主義は最高の政治制度である』なんて「ずいぶん変な本を出すもんだな??」と僕も思った
のだが,やっぱりね。買わなくて良かったw

まあ当然ながら,他人を舌鋒鋭く批判したところでその分呉・適菜が賢いという証明になるわけでもないが
インテリ業界に関心のある人にはこの本,消夏読み物としてまことに好適であると思う。

★★★☆

418:無名草子さん
14/07/25 00:31:12.94 .net
小林泰三/光文社新書『日本の国宝、最初はこんな色だった』

マンダラが美術品として好きな人間は東大寺大仏殿の復元されたカラフルな内部見たら嬉しくなる筈。
(不思議と復元前のものの方がいいとしか思えないのもあるが)
★★★

俵万智/新潮新書『考える短歌』

シロウト投稿短歌を添削しているが、びっくりするほどへたくそな歌ばかりで読むに耐えず。


419:無名草子さん
14/07/26 10:34:17.08 .net
宮部みゆき/『火車』/新潮文庫
★×5

有名なのに読んだことなかった
これホント凄いわ
こんなに引き込まれる作品は久々

420:無名草子さん
14/07/27 19:44:51.72 .net
推定驚異

キモオタが大人の恋愛ってこんな感じ?って書いたような不快な小説だった

ミリオタならウケるのだろうか

421:無名草子さん
14/07/28 17:25:19.79 .net
夜ごとの闇の奥底で

タイトルに惹かれて買ったけど目茶苦茶面白かった
個人的に大好きな兄妹愛(ほんとは姉妹愛が一番好きだが)を書かれていてよかった
サイコサスペンス物

422:無名草子さん
14/07/30 20:11:13.75 .net
川合光/講談社現代新書『はじめての<超ひも理論>』

この本,はじめて読んだ時は正直ちんぷんかんぷんであった。まあそれは仕方のないことである。
なにしろ著者は大学の教科書としても使えるように書いたというのだから(僕は物理なんて高校1年
の時既に落ちこぼれであったのだ)。
しかし僕はなぜかその後徐々に宇宙論、相対論、量子論にはまって行き、数冊易しい本を読んだ後
最近になってこの本のことを思い出して再読してみたら・・・うーん、こりゃ面白い。既に大統一理論(強
い力・弱い力・電磁気力を統一した)は確立しているのは知っていたが「超ひも理論」によって重力をも
加えた“超大統一理論” が導ける可能性がある,すなわち宇宙のすべてを記述可能な根本理論が成立間近
らしい,なんてことを聞くと、マヌケな話ながら「こんなすごいことを言っている本だったのか!」とわくわく
してしまった。
とは言え超ひも理論そのものについては私はこの本ではじめて知ったようなもので、理解したとはとうてい
言えない。そもそも数式が読めなきゃ本当にわかったことにはならないようであるし。
まあこっちはシロウトであるから,何だって面白きゃいいのである。

★★★☆

423:無名草子さん
14/08/01 20:10:32.88 .net
今野晴貴/ちくま新書『生活保護 ―知られざる恐怖の現場』

吉本芸人なんぞ叩いて溜飲を下げている場合ではないのである。生活保護は受けるも地獄,受けないも地獄なのだ。
自動車すら持てず,お金に換えられるものはすべて処分せねばならず,住むところだって安アパートに引っ越さねば
ならなかったりする。再就職だってろくすっぽ出来やしないのである。

ここ数年,生活保護を打ちきられ,あるいは申請することすら拒否されて,餓死・孤独死する人が続出しているのだ。
'13年にはさらに生活保護を受けにくくする法案が成立してしまった。こんな国民の命の安い “先進国” がどこにあろう?
“集団的自衛権” もへったくれもあるものか。

しかも国民も役人も政治家もそれを何とも思っていない,というのが問題だ。これでは「食料も燃料も補給してやらない。
現地調達で戦争をやれ」で,東南アジアで何十万人もの兵隊が餓死してしまった時代と本質的に同じことである。

日本人の劣化が激しい。年金制度改革どころか生活保護の切り捨てとか,国も国民ももう節約主婦的な発想しかできなく
なっている。消費税率をちょびちょび引き上げるだの,切り詰めてはならないものまで切り詰めて「何もしてないわけじゃ
ない」という言い訳に使おうというのだ。
「明日は我が身」とはこのことである。

★★★★

424:無名草子さん
14/08/07 02:48:25.56 .net
増田悦佐/PHP研究所『「景気は操作できる」と思っているエリートたちの大間違い』(1/Ⅲ)

僕も政治家や役人や経済学者に経済を良くする能力がある,というのは何かの錯覚だと思う。
アベノミクスなんてものでなぜ日本の景気が良くなると思うのか不思議である。

通産省が「アメリカの要求を巧みに躱しつつ日本の産業を育ててきた,などというのも(高橋洋一氏が言う
通り)事実はむしろその逆である。「自動車業界を再編してアメリカのように寡占市場にすべきだ」などと
要らぬお節介を焼くのがせいぜいだ。

以前も書いた通りで,立花隆はなぜ「日本を経済大国にしたのは大蔵省」などと世迷言を言っているのか。

宮澤喜一は「戦後最もよく経済がわかっていた総理大臣」(孫崎享)というのは本当かも知れないが,実行力
のある政治家とはとても言えない。だから賢くても何にもならない。

田中角栄は志も能力も実行力もあった人であるが,増田氏も言うように「だからむしろ始末に悪い」ようなもの
である。

経済学者などいちいち言うも莫迦らしいようなものだ。

425:無名草子さん
14/08/07 09:13:08.22 .net
(2/Ⅲ)

しかし >383 にも書いたように,増田氏が熱く語っているのはむしろ「アメリカの現状には我慢がならない」と
いうことである。経済一般の話のはずが,しょっちゅうアメリカのエリートや金持ちに対する批判の方へ
ずれていく。そしてその方が面白い。例えば―

・GMは近い将来再び破綻するだろう。なぜなら何も変わっていないから。安くて良いクルマを作る方向にも
 行っていないし,経営合理化も何らしていない。アメリカ政府のやったことは,税金8兆円をGMに注ぎ込み
 その後売れもしない車を増産させ,経営が上向いたように見せかけて株価を釣り上げ,その後GM株を売り抜けて
 「1兆円損しただけで済んだw」・・・という茶番劇だけである。
 貧しくてガソリンも買えない若者も増える一方であるし。

・採掘するだけでもひどく手間のかかるシェールガスなど高くつくから使い物にならない。そもそもアメリカは何を
 するにもクルマ=石油に依存しすぎているから,景気の良い企業・業界があっても国全体はちっとも豊かには
 ならないように出来てしまっているのだ。

・・・等々。

426:無名草子さん
14/08/17 20:26:33.40 BE:564952376-2BP(0).net
(3/Ⅲ)

ところで氏はケインズまでも否定して「デフレは庶民の味方なんだから無理に景気を良くしようとする
必要はない=生産調整が進めば自然と景気は上向く」というのだが,これは違うと思う。今の日本は明
らかに単なるデフレではなく,社会が急速に変化しつつあるからである。僕のまわりでもろくな就職
口がなくて就職浪人している人間が続出しているし,各企業が人件費を削って利益率を上げる方向に
動いているのは間違いない。おまけに焼石に水の消費税率引き上げ等々,政府の無能っぷりも酷い。

427:無名草子さん
14/08/17 20:29:32.48 BE:564952376-2BP(0).net
(おまけ)
ということは,何らかの対策を立てない限り,栄えるのは貧困ビジネスやブラック企業であるのは明白であろう。

思うにケインズ経済学が悪いのではない。ニューディール政策のおかげでアメリカが不況から立ち直ったというの
は確かに眉唾ものだが,上手くやれば効果はある。良いお手本もある。ナチスである。
増田氏には武田知弘/祥伝社新書『ヒトラーの経済政策』を一読されるようお奨めする。

★★☆

428:無名草子さん
14/08/19 20:14:06.80 BE:564952376-2BP(0).net
W.ソウルゼンバーグ/文春文庫『捕食者なき世界』(1/Ⅲ)

“緑の世界仮説” というのがあって,これは「オオカミやらライオンやら,その土地の食物連鎖の最高位に
あるもののおかげで世界は緑を保っていられるのだ」という話である。
二本にいるとピンとこないが,これはまあ考えてみれば当たり前の話ではある。いや日本だって,猿や猪の
所為でどれだけ里山が荒らされているやらわからない。猿の場合は大型犬を放てば済むのだが,今は法によ
ってそれが出来ないのだ。

429:無名草子さん
14/08/19 20:16:25.57 BE:564952376-2BP(0).net
(2/Ⅳ)

ましてライオンのいなくなったアフリカでのマントヒヒの好き放題な暴れっぷりや,アメリカのピューマや
狼が人間に駆逐された地域での鹿や羚羊による自然の荒廃ぶりは本当にひどい。
この本はそのアメリカ各地にオオカミやピューマ(ベーリング海峡を渡ってアメリカで独自の進化を遂げたライ
オンだ)の再導入の記録である。

430:無名草子さん
14/08/20 18:28:14.19 .net
(3/Ⅳ)

この本,動物学にも生態学にもアウトドアにも格別関心のないボクが,なぜだか巻措く能はざる勢いで読んでしまった。
まるで生物学的戦争SF画のように。
それは多分,最近うちの近くにもアライグマが出没したりして生態系が根本的に崩れつつある,という危機感がボクの
どこかにもある,ということだろう。
「このままではこのあたりの田舎の里山も,草食動物も食わない葛やいばらばかりの世界に変っていってしまうかも
知れない・・・」。

431:無名草子さん
14/08/20 18:36:14.73 .net
(4/Ⅳ)

「生態系が壊れつつあるといっても,定期的にめぐってくる “地球の生物の大量絶滅期” に較べたら
大したものではない」という人もいるが,そういうことではないと思う。ボクの考えでは今全地球で
砂漠化が進行しつつあるのだ。そしてこれは人間が自らを滅ぼしつつあるということでもある。
たとえば古代に於いてはほとんどが森林地帯だったヨーロッパも既に長い農業時代のせいで土地が塩化
しつつあるのだ。

いつも思うことではあるが,そして頭のおかしい人みたいではあるが,「人間にも捕食者が必要なのでは
ないか?」と今回も考えさせられたことであった(『進撃の巨人』? いや,ああいうものではなく。)

★★★★

432:無名草子さん
14/08/20 19:18:43.13 .net
竹内薫+竹内さなみ/中公文庫『シュレディンガーの哲学する猫』
原作:同+新崎三幸:漫画/イーストプレス『シュレディンガーの哲学する猫』

“知的アクセサリー” と云ったものの典型のような本。
これを読んだだけで哲学が分かった人がいたら,間違いなくその人は天才だ。



433:無名草子さん
14/08/21 08:10:23.43 .net
船山信次/中公新書『毒と薬の世界史』

「毒」も「薬」も「世界史」も漠然としているが.三つ合わせても扱う範囲が広過ぎで掴みどころがない。
特に何を書きたかったのかも判然としない。

僕は長いこと「死刑執行の時ソクラテスが飲まされたという “毒ニンジン” というのはどんなものなの
だろう?」と思ってきたが、それについての著者の説明が “一種のアルカロイド” だ,というのだから
困ってしまう。
そりゃ当たり前である。植物の薬効成分=毒性のある成分のことをアルカロイドと言うのだから。
どうも馬鹿々々しくっていかんね。



434:無名草子さん
14/08/24 20:13:16.06 .net
大槻ケンヂ『グミ・チョコレート・パイン』

グミ編は面白い。でもチョコレート編,パイン編と書くのに間を置き過ぎて流れが悪くなり,終わりの方は
少なからずぐだぐだ感あり。
★★☆

小林誠/講談社ブルーバックス『消えた反物質』

たぶん院生レベルを想定して書かれている。僕には今のところまるで歯が立たないので評価なし。

幻冬舎新書『25人の偉大なジャズメンが語る名盤・名言・名演奏』

意外に皆色々な音楽を聴いたり演奏していたり、非常に真摯な姿勢で音楽に取り組む人が多くて感心
する。 まぁクスり好きのジャズメンだって多い筈だし、少々キレイ事過ぎる気もするが。

森田ゆり/岩波新書『子どもへの性的虐待』

この本は記述が具体的かつ適切なのでこういう問題の日本に於ける基本文献になるだろうと思う。
但し終わりの方、精神分析なんて持ち出したのはいただけない。無駄に話がややこしくなるだけ。
★★★

435:無名草子さん
14/08/26 20:33:03.90 .net
竹内薫/晋遊舎新書『バカヤロー経済学』

日本の政治経済を理解するには,この本は絶対に読んでいなければならない。なぜなら経済学や政治の主張に
ついてどんなに良く理解していたところで財務省キャリアがそれらを好き放題に骨抜きにして省益・私利私欲
を守るやりくちを知らなければ無意味だから。
実はこの本,例のつまらないスキャンダルのせいで名前が出せなくなったらしいが,高橋洋一氏との対談本で
ある。財務省出身の氏がその功名かつ悪質なやりくちやしくみを徹底的に暴いている。その点,テリー伊藤の
『お笑い大蔵省極秘情報』も貴重なものだが,あれは読んでいると頭痛がしてくる。こちらはむしろあまりの
ことに笑いたくなるくらいのものだ。そもそも氏や植草教授や本間教授,中川昭一氏が巻き込まれたスキャン
ダルからして明らかに不自然な話なのは見ればわかるし,この本を読めばもっとよくわかる。

これでは(以前書いた原子力発電関係者に限らず)政治家や官僚の世界もあんまりまともな人間が関わりたがる
ようなものではない。日本国民は一度はこの本を読んで絶望せねばなるまい。そうでなければ何も始まらない。

★★★★★

436:無名草子さん
14/08/28 07:44:22.17 .net
筒井康隆/岩波現代文庫『文学部唯野教授』

こんなんで批評理論がわかるわけはない。小説としても大した話はない。
まあ文学理論だの文系大学教授の実態だのいうような “知的”な世界を垣間見てみたいという
(今どき奇特な)人はどうぞ。調子の良い語り口だから読んで退屈はしない。

この方面でもう少しまともな本が読みたい人は,テリー・イーグルトン/岩波文庫『文学とは何か
―現代批評理論への招待(上) 』を。左翼嫌いでければ,ですが。

★★

437:無名草子さん
14/09/01 22:01:36.89 .net
高嶋ちさ子/PHP新書『ヴァイオリニストの音楽案内』 Ⅰ

この本は面白い。と言っても音楽案内として特に優れているという訳ではない。面白いのはむしろ著者の
人柄である。ものの言い方が奇妙にあけすけで子供みたいなのだ。たとえばハイドンについて:

交響曲の父と呼ばれたハイドンは百四曲というぼうだいな量の似たような曲(失敬! ((^┰^))ゞ)を残しています。

などと書く。まあそうなんだけど…

ベートーヴェン交響曲第五番について書くのに、先づベートーヴェンの風貌について:

実際の彼は身長は160cmそこそこ、あばた顔に丸くて低い鼻と短い首、その上不器用で髭を剃るたび顔中血だらけに
していたのだとか。音楽家につきものの恋の話も少なく、生涯を独身で通したというかわいそうな男性なのでした。

…エートまあそれはそうなんだけど、天国のベートーヴェンが聞いたら「誰が“かわいそうな男” じゃ、コラ」と苦情を
言ってくるであろう。

438:無名草子さん
14/09/01 22:03:12.64 .net


もう一つ、これは知ってる人は皆知っているのかも知れないが、私には驚きだった。『水戸黄門』のテーマ曲につて:

一般のクラシック愛好家でない方は、もしかしたらラヴェルの《ボレロ》を聴いて「これって水戸黄門のパクリじゃん」と
思いかねないですよね。もちろんメロディは違うんですけど雰囲気がね~。

いや、リズムが3拍子→4拍子になってるし,それはないと思うけど…うーん、言われてみると確かに似てるなw

こうしたわけで、本のオビの「読めばきっと高嶋さんとクラシック音楽が好きになります!」(恵俊彰)というのも
古典音楽はともかく高嶋女史についてはあながち社交辞令ばかりでもない気がするのであった。

★★★

439:無名草子さん
14/09/01 22:38:43.72 .net
この夏、谷崎潤一郎の『細雪』を読みました。
最初はだるかったけど、途中からどんどん惹き込まれて行きました。
あれだけ社会の風習や価値観が違うのに魅了されてしまうのは、
さすが文豪のなせる業なのでしょうか。
次は、源氏物語を読んでみたいです。

440:無名草子さん
14/09/02 15:04:39.25 .net
大谷崎現代語訳の『源氏物語』を読むのかな。原文はむつかしいし,全体が長過ぎるから
良い選択ですね。
僕は国文科出だけど,原著を岩波文庫で読んだらほとんど注釈らしい注釈も現代語訳も
ついていないから,ほとんど意味が読み取れませんでした。
文学に限らず,古典は岩波文庫で読んじゃ駄目ですね。

441:439
14/09/04 18:28:50.21 .net
>440
谷崎訳の源氏物語を読んでみようと思っています。
なんでも細雪は源氏物語の影響を受けたとか。
日常生活の些細なことを書いているのに魅力的な小説でした。

谷崎の源氏物語は比較的難しいといわれていますがトライしてみようと思っています。

442:無名草子さん
14/09/06 06:04:59.10 .net
>>436
あれは『感想』レベルの内容を『評論』と言って筒井を叩いてた奴らへの皮肉だからね
日本沈没を受けて日本以外沈没書いたのと同じよ。ジョーク

443:無名草子さん
14/09/06 19:59:25.12 .net
そうかな。
まあいづれ真剣な顔して読むようなもんじゃないのでしょうね。

444:無名草子さん
14/09/06 20:08:03.37 .net
野村哲也/中公新書『パタゴニア』

この本,書店で見かけて「僕はインドア派だけどNHKの秘境探検番組なんかは好きだしな」と思って買って読む。
確かに世界でこんな清潔感があって美しいところはほかにあんまりあるまいと思う。
でも僕は風の強いところはイヤだな。空っ風の本場に育った人間はついそう思ってしまう。
そしてこの間NHK視てて気づいたのだが、僕はメキシコの荒れ地やアラブの砂漠を美しいと思ってしまうような
割合ヘンな感受性の持ち主であるらしい。でも実際にそんな寒暖の差が大きいところへ行ったら,一日で音を
上げるに決まっているな。やっぱり本やTVで見るだけにしといた方が良さげである。

★★★

445:無名草子さん
14/09/07 20:22:24.96 .net
古田博司/ちくま新書『ヨーロッパ思想を読み解く ―何が近代科学を生んだか』

「日本人にとってはこの世の反対側は全部異界だが,西洋人にとって向こう側とはこの世に属しながら見え
ない世界=我々の五感でとらえられない世界を指す」などと著者は言うが,これでは何もわからない。
たぶん,たとえばデカルトの「理性でとらえられるものだけが実在する。なぜなら理性によってとらえられない
ものは明確に存在するとは言えないからである。その正しさは神によって保証される」という奇妙な循環論
のことなどを言っているのだと思われる。
あるいはニュートン力学の基礎となった考え―この宇宙は神が作った以上,神の定めた理法があるはずだ
―といったような。
でもこういうのは,こちらにある程度の素養がなかったら見当もつかないことである。
その上著者はまるでこうした奇妙な考えをする西洋人の方が偉い,と言っているかのようでもある。
どうも馬鹿々々しくっていかんね。



446:無名草子さん
14/09/24 12:56:10.23 .net
小浜逸郎/PHP文庫『なぜ人を殺してはいけないのか』

「人は何のために生きるのか」「売(買)春は悪か」等,10の倫理問題が取り上げられている。
たとえば「なぜ人を殺してはいけないのか」については小浜氏自身も言うように,結論が平凡ながら
しかしそれでじゅうぶんな気が僕もした。

でも僕は主として「死刑は廃止すべきか」の項が読みたかったのだ。そして読んで良かったと思った。
廃止派の主張について―

・冤罪だった場合散り返しがつかない → 「だから冤罪をゼロに近づける方法を模索するべきだ」なら
 わかるが「だから死刑なんて廃止してしまえばいいんだ」などというのは理屈になっていない。
・死刑は残酷だ → ならばできる限り残酷でない死刑の方法を考えよ,というのが筋である。そもそも
 被害者はもっと悲惨な目に会っているのに何を言っているのか。

・・・等々。
僕は溜飲が下がった。

★★★☆

447:無名草子さん
14/09/24 12:59:03.14 .net
今泉忠明/ソフトバンククリエイティブ サイエンス・アイ新書『猛毒動物 最恐50』

捕食者と言えば・・・
以前高知の漁師町育ちの西原理恵子が「法螺貝がいなくなったからオニヒトデ増えて…」などと
漫画に書いていて,僕は意味がわからなかったのだけれど、この本によると法螺貝というのは
平気でオニヒトデを食ってしまうらしい。
また、キングコブラの主食はなんとヘビで、毒ヘビでも平気で食うというのでちょっと驚いた。

大体猛毒生物の話というのは妙に面白いものだけど,この本も美しい(かつ不気味な)カラー写真
が豊富で楽しい。

★★★☆

448:無名草子さん
14/09/24 13:24:25.73 .net
ウィリアム・ソウルゼンバーグ/文芸春秋『ねずみに支配された島』

>428 とは逆に,これは “いてはならない場所に人間が持ち込んだ捕食者から固有の希少・貴重動物を
守れ” 大作戦の話である。その捕食者は,鼠,山羊,猫等々,どこにでもいるような動物ばかり。人間
が持ち込んだんだから当たり前だし,別段彼らが悪いわけではない。ただその場所で生きて繁殖しただけ
だ。
だが,ベーリング海の島々でネズミたちが希少な海鳥を次々襲い,脳を喰らい,習性によって大量の死体を
溜めこんで腐るままに放置し・・・といった痛ましい描写を読んでいると,義憤のようなものを感じずにはいら
れない。
また口絵写真にあるニュージーランドの飛べないオウムの一種のヘンテコな鳥カカポがのん気そうに歩いて
いる姿も狐の所為で見られなくなるとしたら僕は非常に悲しい。
上記と下記のように,生物は多様でなければ人間も地球も荒廃の一途だということもあるし。
だから僕は “ネズミだけに効く毒餌を開発し,ヘリポクターで撒き,全滅させるのに成功し・・・” といった
話にはまるで戦争アクションものSFのような興奮を感じてしまうのだ。

いささか不謹慎な気もするし,一番悪いのは人間という気もする。でも私には面白いんだからしょうがない。

★★★★

449:無名草子さん
14/09/24 13:30:19.56 .net
モイゼス・ヴェラスケス=マノフ/文藝春秋『寄生虫なき病』(1/Ⅱ)

以前中国人はよく食べる割に太った人がいないのはなぜかと言うと,まだ寄生虫持ってる人が多いせいだと聞いた。
「さもありなん」とも思ったが,「どうも変だな」とも思う。寄生虫が人間から横取りする熱量なんてたかが知れている
から。

先日うちの大学生の姪がⅠ型糖尿病(自己免疫疾患)だと診断された。僕みたいなジジイは「昔はこれやアトピー,喘息
の子供なんてあんまりいなかったけどなあ?」とよく思う。

歯磨きは食べる前にした方が良いらしい。理由は食べた後すぐ磨いて歯の汚れや細菌を洗い流してしまっては免疫が働く
余地がないかので,しまいに仕事怠けるようになるから。

お風呂も石鹸使うのは一週間に2回くらいでじゅうぶんらしい。それ以上になると,これまた免疫の仕事を奪ってしまう
のでかえって風邪を引きやすくなったりするのだそうな。

450:無名草子さん
14/09/24 19:50:00.39 .net
(2/Ⅱ)

何の話をしているかと言うと,それほど免疫の働きというのは微妙なものだということ。だから僕は
この本の著者がアレルギー治療の一環としてわざと寄生虫の卵を飲んだ話を聞いてもあんまり驚かな
かったのだ。
しかし別に寄生虫飲めばアレルギー,喘息,糖尿病等が治るとかいったような単純な話ではない。腸内
細菌叢や寄生虫や,果てはピロリ菌に至るまで体に害ばかりとは言えず,むしろ僕達の体は彼らのもの
でもあり,彼らと免疫細胞の闘争と友好の上に健康というものは成り立っているのだ,ということに多
くの人々が気がつき始めている,ということである。巻末の福岡伸一の言葉を借りれば,この “動的均衡”
が先進国では揺らいでいるせいで未開人には見られないような自己免疫疾患が急増しているのだ。
病原菌を突きとめることよりも,今後はこの “「不在」による病” の究明にわれわれの運命は懸っている。
病気のことだけではなく,多分吾々人類および地球環境全体の未来が,である。

★★★★

451:無名草子さん
14/09/26 09:14:29.01 .net
岩波明/新潮文庫『心に狂いが生じる時』

この本は明らかに自分で書いたものではない。たぶん喋ったことをライターが文章にしたものである。
普通もともと物書きでもないのにこんなふうにセンテンスが短くて歯切れが良くて読みやすい,即ち手
慣れた文章を書く人はいない。それでも面白けりゃ別にいいのだが,この本は結局何が言いたいのか
わからない。馬鹿らしいから第二章まで読んでやめた。



452:無名草子さん
14/09/26 18:10:56.46 .net
突然の結論。それに至る根拠は不明。
もしかしたらこれが根拠か?と思える箇所を探し出し
原書に当たると曲解としかいいようがない恣意的解釈。
結論と根拠が離れ離れ、どれが根拠かも明確でなく非常に読みづらい。
説明不足。評価を見ても著者は誤解しているなどとまである。。
このような読んでて疲れる、頭に入ってこない、
読まれることを拒絶しているかのような文章。
もしや?と思い著者の経歴を見ると
だいたい外国語大出の人であることが多いという法則に気づく。

453:無名草子さん
14/09/29 20:33:48.12 .net
仁藤夢乃/光文社新書『女子高生の裏社会 「関係性の貧困」に生きる少女たち』

JKリフレや所謂お散歩ビジネスに堕ちた少女たちに取材した本。確かに憐れをさそう娘たちだ。
でも著者は「私達は少女たちを救うために援交おじさんたちのしつこさを見習わうべきだ。めげずに
声をかけ,裏切られても諦めずに伴走し続けなければならない」と著者は言うが,そんな事はフツー
の人間には無理。僕も(子供ならまだしも)そこまで他人の人生には関われない。
それにこれはいたちごっこでもある。“アイドル” が握手会ビジネスなんてものを平気でやる時代だもの,
「秋葉原観光案内は誇りの持てる立派なビジネス」なんてズレた事を本気で言うような女子高校生が
出てくるのも致し方ない事というもんである。

★★★

454:無名草子さん
14/10/02 03:12:14.47 .net
町山智浩 / 集英社 『 トラウマ映画館 』

町山が十代のまだ初々しかった頃,TVなどで観ていろんな意味でどきどきした洋画について語っている。
何にドキドキするのかと言えば,性的なこと(『尼僧ヨアンナ』『早春』),人種差別/虐待(『マンディンゴ』),
キ〇ガイ(A.パーキンス主演『可愛い毒草』),貧乏白人の身も蓋もない現実(『ロリ・マドンナ戦争』)など
である。
正直今となっては観てもたぶん大して面白くないであろう映画が多い。でも私は町山と年齢が近いので『悪魔
のいけにえ』など観て「アメリカの映画ってスゲえ…」と呆然としたりした頃のことが思い起こされて懐かしくも
嬉しくなってしまったのだった。

★★★☆

455:無名草子さん
14/10/06 09:17:42.28 .net
高橋洋一+竹内薫/インフォレスト『鳩山由紀夫の政治を科学する』

この本は『バカヤロー経済学』の続編である。タイトル見ればわかる通り,2009年刊の古い本。でもまだ新刊
本書店で買える。つまそれほど面白く貴重な本だという事である。例こそ古いが,政治家(そして政治家)の言う
事する事の裏にある真意,あるいは魂胆が事細かに暴かれている。

尤もらしく国民のためを装いつつ,実は自民党の支持層を弱体化させ,民主党の支持基盤を固めるやりくち。
鳩山内閣の閣僚の選び方に隠された小沢一郎の隠然たる支配力・影響力,等々。

一方,「八ッ場ダム工事はマニフェストにやめると書いちゃったからやめる」だの「CO2大幅削減をサミットでの
演説でぶち上げたけど,高速道路は無料化する」などと明らかに勢いでバカげたことを言ってしまうような考え
のなさ。

今回政治家も財務官僚同様あんまりまともな人間のする事じゃないということがよくわかって,しまいには笑う
しかなくなる。

★★★★☆

456:無名草子さん
14/10/06 19:36:01.27 .net
間違えた。“(そして官僚)”。

457:無名草子さん
14/10/07 09:42:30.71 .net
岩田靖夫/ちくま新書『ギリシア哲学入門』(1/Ⅱ)

この著者は最近まで一般向きの著書が少なかったので「知る人ぞ知る偉大なヨーロッパ哲学研究者」と
いった扱いらしい。けれども僕にはこの人は「正義」や「愛」や「道徳」が大好きな熱心なキリスト教賛美
者≒プラトン主義者であって,哲学的センスといったものを持った人間とは少しも思えない。
「自分はクリスチャンである」とは言ってはいないが,この本でも岩波ジュニア新書『ヨーロッパ思想入門』
でも,この人がイエスやソクラテス/プラトンやレヴィナスについて語る時,その口ぶりは実際のところ「論
ずる」と言うよりは全くの「賛美」である。
「ヨーロッパ哲学がキリスト教とプラトン哲学を主たる源泉にしている」というのは正しいが,そんなことは
誰でも見りゃわかることである。

458:無名草子さん
14/10/07 10:02:21.39 .net
(2/Ⅱ)
だが,僕は永井均とともに「 “よく生きる” やて? それがなんぼのもんや?」あるいは「ソクラテスは
『国家』の中で“何があろうと道徳的に生きることが一番幸福なのだ” ということをむやみとひつこく
証明しようとしているが,それは全く成功していない」と思う者である。
また僕は「哲学」よりも木田元のいう「反哲学」の方に0共感するものでもある。そして齢を取るに従って
つくづく「キリスト教というのは禍々しく絶望的な感じのする嫌な宗教だなあ」と思うようになっている。
従ってそういう視点がまったく欠如しているこの著者には,尊敬よりも珍獣を見たような気持ちにさせられ
たのであった。(※個人の感想です。)

一方著者はたとえば老荘思想についても「すべての人は兄弟姉妹だということなのです」などと奇怪な解説を
しているが,『老子』や『荘子』のどこにそんな事が書いてあるというのだろう?
柄にもないことについては沈黙しなければならない。僕は辟易して途中で放り出した。



459:無名草子さん
14/11/01 11:23:52.45 .net
増田利明/彩図社文庫『今日から日雇い労働者になった』

日雇い労働者を一か月やってみたライター増田のリポート。日ごとに増田氏の気持ちが荒んでいくのがよく
わかる。「あのオヤジ,こんな簡単な仕事をあんなダラダラやりやがって同じ賃金てのは納得できねえ」。
僕も貧乏育ちだし,しょっちゅう口げんかしていた親を見てきたらこういうのはよくわかる。
貧乏・低収入なのは恥かしいことではない。だが「 君子もとより窮す 小人窮すればここに濫(みだ)る」だ。
そして残念ながら世の中大部分の人間は(僕を含めて) “小人” でしかないのだ。

とは言え,幸いなことに(今のところ)僕なんぞには他人事だから,読んでいて思ったのは「ネットカフェや
山谷のドヤに泊まるのも一週間くらいなら楽しそうな気もするな」ということであった。山谷は最近外国人の
間でも一種のゲストハウスとして人気らしいし。

★★★

460:無名草子さん
14/11/05 23:26:12.12 .net
鉄人社『映画になった戦慄の実話3 真相はそうだったのか!』

コンビニ本のこのシリーズも3作目。これも猟奇ネタが好きな人なら読んで損はない。

今回僕がひどく胸くそ悪い思いをさせられたのは,子供が巻き込まれた事件の話だった。
アイルランドの教会が'70年代まで未婚の母の子供を取り上げて,主としてアメリカに里子として売
りとばしていた事実。彼女ら自身には洗濯女として強制労働させていた(罰を与える名目で教会が
金儲けをしていたのだ)。
これまた70年代まで,英国の教会と政府が組んで,社会福祉費の削減と白豪主義のために,養護
施設の子供たちをオーストラリアに棄民していた事実(子供はそこで奴隷労働をさせられた)。
1998年,オーストリアで当時10歳の少女が,珍種の両生類のような顔をしたキモ男に拉致監禁され
・・・って,書くに耐えないからもうやめておこう。子供のこういう話は滅入る。

(もっとエグい話も出くるから閲覧注意!)

★★★☆

461:無名草子さん
14/11/08 20:06:58.63 .net
副島隆彦/光文社『税金官僚に痛めつけられた有名人たち』

デヴィ夫人がフランスに持っていたアパルトマン(所謂マンション)を売って得たお金を日本に送金
したら多額の税金をかけられた。フランスと日本で二重取りだ。この上死ねば莫大な相続税をかけ
られるなら娘に家も残せない。いずれ日本を離れるしかない。

・・・悪いけど僕は金持ちになったことがないし,自慢じゃないが相続税払うほどの資産もない。
ボロ家と市街化調整区域の田畑があるだけだ。「金持ちは大変だねw」って感想しか浮かばないや。
よって評価なし。

462:無名草子さん
14/11/12 11:44:49.87 .net
「もしもノンフィクション作家がお化けに出会ったら」を読んだ。
冒頭で、「霊能者」をひとくくりにしてけなしてるのは、多分近親憎悪では。
むかしの祈祷師の中には、差別に加担する人たちがいた。
それをわたしは霊能本質主義と呼んでいる。
見える人もいれば、そうでない人もいるのは当然だが、大事なのは感性。
見えないと言われる人だって、私とはみているものが違うことがある。
自分に見えないものが見える、というのは、不思議系に限ったことではない。
この本の著者は、霊能本質主義に陥っていると思う。
最初の章で、何の罪のない人の写真を出してきて、
「自分が見た悪霊と同じ顔だ」だなんて、びっくりした。
あまりの無神経さにあきれた。
不思議エピソードは、なんか突っ込みどころが多い。
見えたんならそれでいい。それに対する反論も、またあっていいのだ。
視点の高さも気になるところだった。
私が知人から聞いた不思議エピソードの方が、よっぽど面白い。
松谷みよ子の本も同時に買って読んだが、こちらはとてもよかった。

463:BOCONON
15/01/16 18:00:58.48 rR9Cdzf46
山下祐介/ちくま新書『地方消滅の罠 「増田レポート」と人口減少社会の正体』

まったくリクツにもなっていないことばっかりむきになって書いている絵に描いたような馬鹿。
こいつも宮台真司と同じ首都大学東京の教員だそうな。なぜ日本の社会学者というのはこうも
野郎自大なのだろう?
・・・いや,社会学だけではないな。経済学でもなんでもまともに社会科学を勉強したいなら
海外留学するほかはない。そして日本の大学も,たとえばアメリカの一流大学の院で学位を取
ってきた者以外は教員として採用しない,というくらいの決まりでもつくらなけりゃどうにも
なるまい。

・・・いや,学者だけではないな。日銀の総裁も世界の中央銀行の総裁たちのように,当然の
ように経済学博士号を持っているくらいの人物を据えなきゃ日本全体が困るのだ。いつまでも
バーナンキやクルーグマンに “クレイジー!” と一言で切り捨てられるようなことばかりやって
る総裁ばかりじゃ日本はお終いみたいなもんである。
(その点,安倍首相は日銀総裁を自分で決めた,即ち自分の言うことを聞く人間を選んだ,という
のは画期的なことである。どうやら安倍さんは「財務省の言いなりにはならない」と決意を固めて
いるかのようである。消費税10%も先送りにする,というのもそうだ。さて,この人がどの程度財
務省の逆襲に耐えられるか,これは見ものである。)

464:BOCONON
15/01/18 11:41:11.73 QOBMmfAs.net
山下祐介/ちくま新書『地方消滅の罠 「増田レポート」と人口減少社会の正体』

まったくリクツにもなっていないことばっかりむきになって書いている絵に描いたような馬鹿。
こいつも宮台真司と同じ首都大学東京の教員だそうな。なぜ日本の社会学者というのはこうも
野郎自大なのだろう?
・・・いや,社会学だけではないな。経済学でもなんでもまともに社会科学を勉強したいなら
海外留学するほかはない。そして日本の大学も,たとえばアメリカの一流大学の院で学位を取
ってきた者以外は教員として採用しない,というくらいの決まりでもつくらなけりゃどうにも
なるまい。

・・・いや,学者だけではないな。日銀の総裁も世界の中央銀行の総裁たちのように,当然の
ように経済学博士号を持っているくらいの人物を据えなきゃ日本全体が困るのだ。いつまでも
バーナンキやクルーグマンに “クレイジー!” と一言で切り捨てられるようなことばかりやって
る総裁ばかりじゃ日本はお終いみたいなもんである。
(その点,安倍首相は日銀総裁を自分で決めた,即ち自分の言うことを聞く人間を選んだ,という
のは画期的なことである。どうやら安倍さんは「財務省の言いなりにはならない」と決意を固めて
いるかのようである。消費税10%も先送りにする,というのもそうだ。さて,この人がどの程度財
務省の逆襲に耐えられるか,これは見ものである。)



465:無名草子さん
15/01/20 12:29:19.71 .net
副島隆彦/ビジネス社『副島隆彦の政治映画評論 ヨーロッパ映画編』

アメリカ映画を語る時と違って今一つさえない感じだし,読んでも(オビの惹句と違って)
これではフランス文化もイスラム教もわからないと思う。
でも例の副島節で僕には面白いからいいや。

★★☆

466:無名草子さん
15/01/24 16:46:33.08 .net
神永正博+小飼弾/角川oneテーマ21『未来予測を嗤え!』

この本はなんだかすごいことをいろいろ言っているようである。でも僕にはあんまりよくわからない。
著者二人ともが根っからの理系なので,私立文系の僕には噛み砕けないのだ。僕が理解し得た範囲で
面白かったのは―

・「どうも人間には “自由意志” と言うのは無いんじゃないか?」と僕は思ってきたが,実際この
 二人によれば,いろいろ科学的な実験からも今のところそういう結論にしかならないらしい。
・そして人間は自分が何を欲しているのかも知らない。それがわかるのは一応の結論を出した後から
 である。
・従って確かなのは,昨今の(文学部を軽視するような)すぐに実利を求める態度からは大して優れた
 アイディアは生まれない。結局はむしろ社会が行き詰まるもとである。
・だから結局,好きで遊びのように研究や勉強をする人間こそ貴重なのだ。
・しかし好奇心や探究心は既に持っているもの/知っているものからしか生まれない。だから本も読まず
 ネットの世界しか知らない人間には大したものは生み出せない。

 ・・・僕はどうやら間違ってはいないようだとの意を強くした。

★★★★

467:バカヤロー経済学
15/02/03 20:08:05.42 .net
>>435
今頃になってやっと読みました
高橋洋一さんの本はすでに2冊くらい読みましたが
これがダントツで分かりやすかったです。
こういう本を長年さがしていました。
どなたにもおすすめです
ありがとうございました

468:無名草子さん
15/02/04 21:30:22.75 .net
嘘じゃなかったでしょ,僕の書いたことw
続編の >455 も是非お読みになって下さい。面白くてためになる。
保証します。

469:無名草子さん
15/02/09 22:26:19.40 .net
BLACK ザ・タブー編集部/ミリオン出版『ザ・逮捕!』
つまらない上に,読んでいると「紙媒体もここまで堕ちたか・・・」となんだか荒んだ気分になってくる。
猟奇ネタのコンビニムックはミリオン出版もコアマガジンももうおしまい也。


470:無名草子さん
15/02/10 23:27:20.13 .net
高橋洋一/あさ出版『バカな外交論』(1/Ⅱ)
これも外交について語るなら読んでいないと話にならないくらいの本である。たとえば “集団的自衛権” なんて
ものはNATO(ネイト―と読む)と同じで,戦争や国際紛争を起こさず,起きたとしても被害を小さくて済ませる
ためのものである。逆ではない。
事実NATOに加盟していないからウクライナはあんなことになって,しかもどこの国も仲裁もしてくれないのである。
或いは,フィリピンでは頭が悪くて反米的なアキノ大統領がアメリカ軍を撤退させてしまった。で,当然その直後
元々領土問題でもめていた○○諸島を中国にあっさり占拠されてしまった。だから今ごろになって集団的自衛権容
認発言などしているのである。
一方自衛隊は海外では戦争ではなく人道支援しか出来ないし,現にしていない。自国でも相手が先に攻撃してこない
限りは反撃も出来ないのだ。だから尚更集団的自衛権を重視せねばならないのである。

471:無名草子さん
15/02/11 06:06:02.48 .net
トマ・ピケティ/みすず書房『21世紀の資本』
マルクス主義の夢は繰り返された。1度目は人類の希望の光として。2度目は単なる悪あがきとして。


472:無名草子さん
15/02/17 16:39:44.30 .net
苫米地英人/サイゾー『カジノは日本を救うのか?』
図書館で借りた。
賛否両論が、要領よくまとめられていて、参考資料も充実しているし
読みやすい。
しかし一読した後、カジノ賛成派になる人いますかね?
日本でこんなの嫌だわって、洗脳されてしまったの
★★★☆
>>471
今話題の本らしいね。

473:無名草子さん
15/02/17 22:24:55.67 .net
Dr.苫米地の本は信用して良いのかどうか,僕は少し怪しいと思う。
そしておおよそ「サイゾーの本に当たりなし」とも。

474:471
15/02/17 22:32:49.95 .net
>>473
でしょ? だから
一回読んでみてって、ここでお願いしてるんですよm(__)m

475:無名草子さん
15/02/18 12:32:18.42 .net
じゃあ,まあ,機会があったら(多分ないと思うけどw)。

476:無名草子さん
15/02/18 13:21:45.44 .net
高橋洋一/BUNGEISYA『経済復活  金融製作の失敗から学ぶ』
2013年の本。もう高橋先生の本も既に聞いた事が多過ぎてあんまり面白くはない。だがその分先生がアベノミクスや
消費税増税について述べていることは僕の思っていたこととほぼ同じだったので「僕の理解は間違っていないらしい」と
ちょっと安心する。僕の思っていたこととは,例えば―
・三本の矢のうち①財政出動:これは一時的には効果があったように見える。だが “マンデル=フレミングの法則” で証明
 されている通り,変動相場制の国では財政出動は結局は効果がない。(実際そうなった)
・②金融緩和:これこそが一番大事・・・と言うよりこれ以外は不要である。だから安倍首相が自分の言うことを聞いてインフレ
 目標を設定し達成するように努める日銀総裁を自分が選んだ,というのは画期的な事である。
 (消費税と込みではなんにもならんが)
・③成長戦略:これはバカげた話だ、役人や政治家,ビジネス経験のない人たちにそんな事が出来るわけがない。
 (実際国に育ててもらった産業なんてものは存在しない)
・消費税は日本を不景気にするだけ。財政健全化などしないし,福祉が充実もしない。(実際増収分は財務省がみんなばら撒
 いてしまった)
 ・・・こんな予想が当たっても嬉しくもないし,本当は誰でもわかることなのだ。だから賢い人たちは早いうちに株を買って
 おいて,そこそこ値上がりしたところで売り払って儲けたらしい。やれやれ。
★★★

477:無名草子さん
15/02/18 20:04:05.08 .net
>>452
外語大出身者の書き手というと田中克彦(古いw)と大久保佳代子くらいしか思いつかないなあ,僕は。
でも田中克彦は確かにヒドい。「漢語には例えば “運賃” など,ウンとかチンとか読むものが多い。従って
漢字は日本語を汚くしているから使わない方がいいのだ」などと本気(?)で言っているのだから驚く。80年代にも
なって「自分はスターリン主義者である」なんて公言しているのにもあきれた。
「ソ連/ロシヤが好きなのか? ならザミャーチンやバフチンはどうなんだ?」と僕は思ったものだ。岩波新書からも
本を出しているが,この出版社も「TK生騒動と言い,お前らは左翼ならなんでもいいんかい」と言いたくなることしば
しばであるな。

478:無名草子さん
15/02/19 07:40:08.43 .net
間違えた。「政策」。

479:無名草子さん
15/02/21 08:49:40.93 .net
中村敦彦/幻冬舎新書『ルポ 中年童貞』
もともとはこの著者の主戦場はAV業界だったらしいがオレはそういう方面にはあまり関心がない。
でもそれ以外なら大体この人の本にはハズレがないと言える。なぜかと言えば―著者本人は心外
だろうけれど―どれも言わば “ダメ人間博覧会” といったオモムキがあるからである。オレには見世
物的興味をそそるのだ。
この本もなかなかツワモノ揃いである。最初に出てくるアニメおたくは「大阪から “自分を変えたくて”
上京したはいいが結局東京でも何も出来ず秋葉原のシェアハウスに住んで日雇い労働者をやっている高校
中退32歳の男」。
シェアハウスったって,もと中小企業の事務所だったようなビルの1フロアを細かく区切っただけだ(1.5畳だと。
押入れに籠る子供だね,まるで)。家賃月39,500円って高くねえか?
当然アニメDVDなど買えないから,ネットかゲオのレンタルだとさ。こんな未来もなにもない生活していながら
「童貞じゃなくなったら処女に相手にされなくなる」などと面妖な価値観にしがみついている。どこの処女がそんな
こと言ったんだか。だいいちそんな事よりしなきゃならないことがあるだろ。
・・・と云ったふうだからまことに面白いのである(本当は面白がってる場合じゃないんだが)。
もっと悲惨にして強烈に駄目な人間も出てきます。オレみたいな不謹慎な人も,日本社会の未来について真剣に考えて
いるような人も読む価値ありである。
★★★★

480:無名草子さん
15/02/21 13:14:00.50 .net
>>473
書いている人が詐欺師ですので、ラノベを読むように楽しめばいいと思います。

481:無名草子さん
15/02/22 01:04:43.72 .net
>>480
「読んだ本」について書くのがここのお約束ではなかったっけ?

読む人に対して(だけ)、感想言うのってなんだか

482:無名草子さん
15/02/23 22:30:30.02 .net
レザー・アスラン/文藝春秋『イエス・キリストは実在したのか?』
何だか邦題と内容が逆みたいな本だ。
僕は「厳密に言えばイエスは実在したとは言えまい。山本七平は “ローマの正式な歴史書に名前が
出てくるんだから・・・” なんて言っていたが,それだけじゃしょうがあるまい。少なくともそれは
福音書に書いてあるイエスの生涯が史実であることの証明には全くなっていない。その福音書にも
元ネタがある。エジプト神話に出てくる或る人物の生涯をなぞっているのだから,ふつうに考えたら
福音書なんてものは全部作り話であると思わざるを得まい」と思ってきた。
でもこの著者にはそういう視点はまったく欠如している。例えばイエスがナザレなる寒村で生まれ育
ったという話を事実上否定しておきながら,数ページ後では「イエスは近くの復興工事に歩いて通った
だろう」と,いつの間にかイエスがナザレに住んでいたことを前提にしてものを言っている,と云った
按配である。まあイエスやキリスト教が好きなのだろう,この著者は。
莫迦々々しいので僕は6,70頁読んで放り出したので評価無し。

483:無名草子さん
15/02/26 02:02:56.65 .net
岡本裕一郎/中公新書『フランス現代思想史』
この本は分かり易く書いてあるように見える。しかし多分ほとんどの人は読んでも大したことは何もわからない。
だが安心するがいい,それはこの著者が頭が悪くてよく分かっていないせいである。何がかと言えば,フランス現代
思想が,ではなく,わかるような書き方が,である。
例えば第1章で「『一般言語学講義』では “構造” という言葉はほとんど使われていないし,レヴィ=ストロースは
構造人類学を構想した頃まだソシュール言語学をよく知らなかった。なのにソシュール言語学を構造主義の起源と見
なしてよいのか?」と云った意味のことを書いている。
そう言われても,ソシュールなど知らない大方の読者にはよいとも悪いとも判断のしようがあるまい。
一方僕のようにある程度は知っている読者には「そりゃ構造主義のヒントになったのはソシュールの流れの一部を汲む
R,ヤコブソンの音韻論で,しかしソシュールも言う通り “音韻論/音声学などは言語学の補助的な学問に過ぎない” の
だから,構造主義がソシュール言語学から生まれたってことはないよなあ,記号論ならまだしも」といったもので,言わ
ば当たり前である。だがそういう,敢えて言うなら高級な読者はこんな本は多分読んでもしょうがない。
そうなれば,わかってもらうためには著者はソシュール言語学講義から始めなければなるまいが,それじゃあそれだけで
1冊終わってしまうから無理・・・といった按配。
これ以外,レヴィ=ストロースのサルトル批判等々にも同様なことが言える。つまり何もかも中途半端な書き方で,一体
誰に読ませるつもりで書いたのやらどうも判然としない。
新書本も最近こういうのが多くて困る。学歴差別じみているが「九州大学で博士号を取って玉川大学で教えている程度の
学者じゃなあw」と僕は思わざるを得ない。


484:無名草子さん
15/02/26 07:59:39.68 .net
堤未果/集英社新書『沈みゆく大国アメリカ』
これは「オバマケア(国民皆保険制度)は共和党や保険会社のロビイストに骨抜きにされて失敗し,
むしろ余計にひどいことになった」と言っている本である。でもそれは町山智浩やこの人自身の本
で何度も聞いた話である。もちろんこの本の方が詳しいけれど,普通の日本人がそういうことをそ
んなに詳しく知っていてもしょうがないのである。少なくとも僕はそうだ。
最後の方でこの人はTPPのせいで日本も同じ轍を踏むのではないか=アメリカの保険会社等に食い物
にされるのじゃないかと心配しているがTTP規約から見てそんな事はあり得ないし,アメリカ自体が
医療の分野でそんなことはしないとわざわざ言っているし,実際既にTPPに参加している国でもそんな
事は起きてやしないのである。
・・・というわけで,この人の本は岩波新書『ルポ貧困大国アメリカ』シリーズを読んでいれば,それ
以外は読む必要はないと僕は考える。
★★

485:無名草子さん
15/02/28 19:29:14.16 .net
>>477
遅レスですが大久保さんは千葉大、外語大は光浦さんですよー

486:無名草子さん
15/03/01 21:38:48.11 .net
どうやらそのようですね。ずいぶん前『めちゃイケ』で大久保さんが中国語を喋って
いるのを見て勘違いしたままだった。実際なぜか挨拶程度の中国語は話せるらしい。
そんな事はとも角,僕は「光浦なんかより大久保さんの方が面白いのになー」とずっと
思っていたので彼女が売れっ子になったのはめでたい。

487:無名草子さん
15/03/03 20:54:32.57 .net
『聖なる怠け者の冒険』森見登美彦
総合:★★★★★
充実:★★★★★
徹夜:★★★★☆
タイトル、表紙が気になり、図書館で借りました。
京都、宵山の土曜日を舞台に、怠け者の小和田くん、謎の怪人ぽんぽこ仮面、小和田くんの上司と彼女の恩田先輩、桃木さん、所長、探偵とその助手などなど様々な登場人物が最高の土曜日を求めて冒険する。
読んでいて楽しくなり、森見さんの世界に引き込まれます。
果たしてぽんぽこ仮面の正体は?謎の組織の目的とは?是非読んでみて下さい。

488:無名草子さん
15/03/05 09:04:56.37 .net
内田樹+春日武彦『健全な身体に狂気は宿る』①
この本も言わば「高級世間話」として読むと面白い。十年くらい前の本なのに新刊本屋で買えたのも面白く有益で
だから結構売れ続けているからだろう。対談本というのも莫迦にしたもんでもない。「この人こんなお喋りだっけ?」
と思うほど内田樹がノって喋っている。
と言ってもさすがに第1~3章あたりまでは世代論や自分探しなどつまらぬとか,引きこもりの話題とか,さすが
にネタが古くなってはいるが。

489:無名草子さん
15/03/05 09:22:23.41 .net
↑新書のシリーズ「角川oneテーマ21」の一冊。

490:無名草子さん
15/03/07 00:40:46.36 .net
宇野功芳+中野雄+福島章恭/文春文庫『クラシックCDの名盤』
こういう本は好きな人は見てすぐ買うだろうからレビューは不要みたいなもんであるな。
僕が敢えてつまらぬ評価をするとすれば,この人たちの文春新書のシリーズも3冊めになって
丁度良い取り合わせになった気がする。功芳先生は例によって癖が強いし,これに加うるにまだ
青年じみたところのある福島氏,というだけでは胸焼けしそうだけれど,良くも悪くも常識人の
中野氏の文章が入ることによって,言わばマルクス兄弟(或いはネプチューン)のような効果が生
まれているのだ。
そして宇野功芳が(たぶん年齢的に)死を意識せざるを得なくなり,その心境をショスタコーヴィチ
やR.シュトラウスの曲に託して語っているのに僕は引きつけられる。僕は福島氏に年齢は近いけれど
この年代は既に肉親や幼馴染みなどが亡くなり始めているのが普通だからである。
・・・とまあ,以上は至極個人的な感想。
★★★★

491:無名草子さん
15/03/07 19:45:05.56 .net
東野圭吾/マスカレードホテル
いまさらかもだけど、、
男女どちらにも勧められる
分かり易い爽やかミステリー 
この作者の作品で初めて面白いと思えた。
★★★★★

492:無名草子さん
15/03/12 08:34:52.05 .net
②『健全な身体に狂気は宿る』による教訓集
内田:初めて車買う時,ぶつけるかも知れないから安い中古車を買おうとしたら,ディーラーやってる友人に
    言われました。「絶対にピカピカの新車を買わなきゃダメだ。“ぶつけてもいいもの” なんて買ったら
    間違いなく本当にぶつける」
春日:わたしは患者さんへのアドヴァイスを思いつかないような時は「部屋を片付けなさい」と言うんです。すると
    これが実際効いたりする。部屋の片付き度と頭の整理度はパラレルだと思いますね。

493:無名草子さん
15/03/12 08:43:12.32 .net
そう言えば平山夢明もそれで1年間何も書けないでいたスランプを脱することができたって言ってたな。

494:無名草子さん
15/03/12 16:31:38.96 .net
>>477
外大出身は相方の光浦さんで、大久保さんは千葉だよ。

495:無名草子さん
15/03/14 00:41:22.28 .net
>485,>486 は目に入らざらん乎,君?

496:無名草子さん
15/03/14 12:43:19.92 .net
ノーデザイアっていう無料の本屋、ちょっと変わってる。
URLリンク(www.no-desire.com)
.

497:無名草子さん
15/03/18 13:35:40.57 .net
森本あんり/新潮選書『反知性主義 アメリカが生んだ「熱病」の正体』
「なぜ一般的にはアメリカ人は反知性主義的/インテリ嫌いなのか」ということについてこの著者は
一番肝心なことを書いていない。即ち「アメリカはまったくインテリではないような人が集まって
作ったような国だから,そりゃ当たり前だ」ということ。
始めのうちは「正しい清教徒の国を作るのだ」などと思って海を渡ってきた理想主義的かつ志の高
い人々ばかりだったが,そういう人がそんなにいるわけもない。そしてまだ第一次産業の時代だっ
たから,その後はアメリカなんぞに移住したがる物好きはあまりいなかったのだ。今で言うニュー
ヨーク州もマサチューセッツ州も寒すぎる上に土地も荒地で農業なんてろくすっぽ出来ないから。
それでも移民してくる連中と言えばだから,例えば故郷で悪さをし過ぎて海外に逃亡してきた者やら
あまりに貧乏過ぎてやけくそ気味に移住してきた者とか,「一山当ててやろう」と思って来た山師的
な人物,とかいったたぐいの人間たちであった。そんな連中は当然インテリなど好きではない。ア
メリカに来ても支配階級はやっぱりインテリだから尚更。
でも結果としてはそういう人々がアメリカ合衆国の礎を築いたのである。
以上のことがわかっていないとこの本に事細かに書いてある事どもの本当の意味もわからない。でも
書いてない。たぶん著者は知らないのだと思う。だから結局なんだかわかったようなわからないよう
な気持ちにさせられる話ばかり,という結果になってしまっているのだった。
・・・というわけで最後まで読んでも大したことはわかりそうもないので僕は途中で見切りをつけた。
よって評価なし。

498:無名草子さん
15/03/21 18:44:39.15 .net
池田清彦/新潮文庫『「進化論」を書き換える』
世の中の大半の人間は「原子力発電はCO2を出さない」というのと同じくらい「DNAは生物の言わば設計図」だと
思っている。それは現代の主流派進化論=ネオ・ダーウィニズムの信奉者も同様である。でも間違っている。
もしそれが正しいならたとえば(よく言われるように)DNAがほぼ同じであるから人間とチンパンジーはほと
んど同じような生物でなければならない。だが実際は御覧の通りである。
或いはDNAだけ較べるなら河馬と鯨は,河馬とたとえば牛よりずっと近縁である。でも似ても似つかない。
つまりはDNAは「設計図」などではない。それだけでは決まらない部分が大きすぎるのだ。
では何が生物の体を形作っているのかと言うと…それは今のところまだよく分かってはいない。だが徐々
に明らかになりつつある。母親の卵細胞がDNAから何をいつ読み取って使っているか。ある遺伝子がほか
の遺伝子をいかに抑えたり発現させたりしているか。同じDNAが時期によって違う意味に読み取られたり
…等々。
僕はダーウィン学説にはずっと疑問を持っていたし,池田清彦他の「構造主義進化論」というのは25年前から
知っていて,でも『構造主義生物学とは何か』『構造主義と進化論』なんて本を読んでも専門外な上に抽象的
過ぎて正直あんまりつかみどころがない気がした。だが最近様々な実験によって彼らの主張が裏付けられつつ
あるらしい。著者が「ネオ・ダーウィニズムは自分の目が黒いうちに瓦解するかも知れない」というのは本当
かも知れない,と思った。
★★★★

499:無名草子さん
15/03/21 20:22:28.17 .net
ブックレビュー始めたんでよかったらツイッターみてくだせい。 
URLリンク(twitter.com)

500:無名草子さん
15/03/25 19:53:04.05 .net
洋泉社MOOK『ヘンな本大全』
紙媒体ではサブカルというジャンルは絶滅危惧種みたいなもので,だから若くて才能のある書き手が
出現することはあまり期待できない。この本もだから,面白いのは既に定評のある書き手が担当した
部分だけである。「吉田豪が選ぶ ヘンなタレント本」「同 ヘンなアイドル本」「高野秀行が選ぶ ヘンな
旅本」「早川いくをが選ぶ ヘンな生物本」と云ったところ。
でもそういう部分は多くなく,大方は聞いたこともない人間がつまらないことを書いているだけだ。
だから買ってまで読むことはお奨めできない。僕みたいな物好きな人以外は興味のある部分だけ立ち
読みすればじゅうぶんだと思う。僕は長時間立ち読みしたりジュンク堂で座り読みする人間は好きじゃ
ないが,この場合こんな本を作って出した出版社が悪いのである。
★★

501:無名草子さん
15/03/27 08:47:02.71 .net
柳下毅一郎/KANZEN『皆殺し映画通信 天下御免』
この本は有料WEBマガジンの連載をまとめたもので,業界人にもお金払って読んでいる人間は少なくない
らしい。けれども一般的にはどうも日本映画のひどさに気づいている人間,危機意識を持っている人間は
あまりいないようである。それはこの本のネット上の評判をみるとよくわかる。
その上柳下は(翻訳はともかく)あんまり自分で書いた文章は上手くない。生硬で流れが悪い。今一つど
んな映画だかわからないような書き方だし,関西人なのに(あるいは故に)ユーモアも大してない。
しかし僕には非常に面白かったし,「たかが映画で…」という人も『薔薇色のブー子』の項と巻末の対談
くらいは読んでもらいたい。『ブー子』や『変態仮面』なんて実に客を馬鹿にした映画なのに,それがわ
からないような人間ばかりでは,僕は本当に日本の映画という以上のものに愛想が尽きてしまうから。
★★★☆

502:無名草子さん
15/04/01 19:43:45.77 .net
郷原信郎+森炎/講談社『虚構の法治国家』
非常に面白い本だし,美濃加茂市長事件での検察の暴走について等みんな正しいことを
言っているのだろうと思うのだけれど,何かもう一つよくわかった気がしない。それは
たぶん僕が裁判の実情についてあまりに無知であるから。そしてこの本読んでも「なんで
検察は村木厚子さんや美濃加茂市長のような“本当に悪事を働いていたとしても大した重
罪でもないこと” に目をつけるのだろう?」といったことがよくわからないせいである。
まあこれからこの方面の本にハマそうなり気もするので,好奇心をかき立ててくれたから
僕にとっては入門のきっかけとしてはじゅうぶんであった。
★★★


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch