【レビュー】読み終わったら書き込むスレ【感想】at BOOKS
【レビュー】読み終わったら書き込むスレ【感想】 - 暇つぶし2ch300:無名草子さん
14/03/26 20:55:02.17 .net
宮崎俊一/講談社『成功する男のファッションの秘訣』

松屋のバイヤーが書いたスーツの本。こういうものはだいたい宣伝も多分に入っているし,有益な情報を
引き出せるかは読み手次第。

・「スーツの試着は最低10着」・・・確かに試着は大事だ。本当に体つきに合い,かつ体つきをキレイに見せてくれ
 るスーツを着ている人は滅多にいない。問題はでもそのサイズが適正か判断できる目を持った人も滅多にいない
 ということだ。
・「ミディアムグレーのスーツに紺系のタイならハズレなし」・・・これもこれでうまく合わせるには経験がものを言
 うし,そもそも最近のスーツは黒のストライプだらけではないか,百貨店も。

・・・著者は最近NHK/Eテレでもスーツ講座を担当して「センスよりルール」を提唱しているようだが,上記のようなこと
を考えると,すぐにも身嗜みを良くしたきゃ結局洋服に詳しくて趣味の良い人に選んでもらうしかあるまい。
★★☆

301:無名草子さん
14/04/02 21:56:31.85 .net
柳下毅一郎/カンゼン『皆殺し映画通信』

ご苦労にも『ハダカの美奈子』『アントキノイノチ』『体脂肪計タニタの社員食堂』『R100』といった存在
意義不明,箸にも棒にもかからない映画を次々選んで観て的確すぎるツッコミを入れている。笑える。

でも『永遠の0』がいかに気持ち悪い話であるか,『図書館戦争』『劇場版 ATARU』のストーリーや設
定のデタラメぶり等,至極まっとうな日本映画批判の書でもある。
映画がテレビ屋のおもちゃ化し,客もその程度でかまわないで観ている悲惨な現状がよくわかる。
やっぱり客も悪いのである。
★★★★

302:無名草子さん
14/04/02 22:28:30.27 .net
姫野カオルコ/ドールハウス(1991)

処女三部作の一作目(作者のあとがきにそう書いてあった)、バブル真っ盛りの1989年が舞台だが、
毒親、親の介護、アダルトチルドレンがテーマで今読んでもそんなに古く感じない、文学部出だけあって文章も達者、ライトな恋愛小説の体をとりつつ、文学趣味をさり気無く披瀝する
痛快で希望に満ちたラストは日本の未来に希望のあったあの時代だからこそと思う

303:無名草子さん
14/04/03 08:26:04.69 .net
上田和夫/講談社現代新書『ユダヤ人』

①ユダヤ人が2000年にもわたってユダヤ人性を保ち続けることが出来たのはなぜか
②なぜあれほど嫌われてきたのか
③ユダヤ人はなぜあんなにも多くの優秀な人物を輩出し続けることが出来たのか
④なぜ大資本家たり得たのか

「プロローグ」で著者はこの本を読めばこうした疑問も解ける、と言う・・・のかと思ったら、早くも「ある程度
解けるのではあるまいか」などと頼りないことを言う。
これは僕が“だろう本”と呼んでいる、肝心なところで「~だろう」「~であろう」「~ではなかったか」などと
言い出すダメダメ本の一典型である。
こんな本はたぶん著者が教えている田舎大学の教科書として使っているから絶版にもならないのだろう。


304:BOCONON
14/04/04 03:07:37.99 .net
大槻ケンヂ/白夜書房『サブカルで食う』

「小説書きたきゃ小説読むよりハリウッド製B級ラブコメ映画を観て定番ストーリーのパターンをつかめ。
面白エッセイ書きたきゃ考えるより外に出て行ったことのないところを歩け」…なんてのが良いやり方らしい。
まあ確かに群ようこやゲッツ板谷みたくエッセイストが遠出もしない/できないようになっちゃおしまいだね。
丸谷才一のように頭ん中の引出しにネタがたくさんつまってりゃ別だけど。
その点東海林さだおは偉い。
★★☆

305:無名草子さん
14/04/06 11:08:43.59 .net
佐々木敦/講談社現代新書『ニッポンの思想』

このタイトル丸山真男『日本の思想』のもじりらしいがそれなら看板に偽りありだ。実際のところは
浅田彰・中沢新一・蓮實重彦・柄谷行人の言わば「ニューアカ四天王盛衰記」といったものであり
そしてそれだけである。だから読んでもしょうがない。この四人も、彼らが依拠していたフランス現
代思想もマルクス主義も、今や単なる流行遅れに成り果てているから。
その上この書き方では,初心者が読んでも彼らの思想の概略すら多分理解不能である。
こういう本の存在意義がどこにあるのか僕にはわからない。


306:無名草子さん
14/04/07 20:08:49.58 .net
小谷野敦/幻冬舎新書『21世紀の落語入門』

この2,30年江戸時代は美化され過ぎているという著者のかねてからの主張は正しいと思う。
女郎の実態も近松の心中ものなど観たくらいじゃわからない。『品川心中』のような滑稽にして
悲惨な噺が大部分だったのだ。談志みたいに「人間の業の肯定」なんて理屈をこねる必要もない。

著者は「寄席行くよりまず名人の録音聴くべし」という考えらしいが,これも賛成。クラシック音楽
と同じでへたくそな演者のものを聴いても良さはわからないのである。
★★★☆

307:無名草子さん
14/04/09 19:52:24.44 .net
河出書房『文藝別冊 タモリ』

新潮新書『タモリ論』というのは僕は読んでいないが,あんなものは読むに値しない(これはもうそう
に決まっている。僕のようなデビュー以来のファンでもないどこの馬の骨やらわからない書き手の
書いた本なんざ。)
そもそもタモリを「論」ずること自体甚だ反タモリ的だ。

こちらはその『タモリ論』に“違和感を持った”のがきっかけで作られた本だそうで,だから「チンケな理屈
こねるよりタモリに関する証言を集めました」といったオモムキである。むろんそれでタモリの全体像や
人間性の本質的な部分0が明らかになるわけではない。それは読み手が勝手に考えればいい。

僕はタモリ自身の言葉で面白いのがいくつかあった。「俺,“笑い”ってそう言えばあんまり関心なかったな。
だからいろんな“笑い”のこと,よく知らない。せいぜい『シャボン玉ホリデー』よく視てたくらいで」。
・・・高田文夫や志村けんが一時タモリに反感を露わにし,小林信彦もあまりタモリについて書くのに積極的で
なかった理由はこのへんにありそうである。
★★★

308:無名草子さん
14/04/09 20:41:48.62 .net
今柊二/ちくま新書『定食学入門』

東海林さだおが推奨するだけのことはある愉しい本。文章は中途半端にマジメであまり弾まない
感じだけれど引きこまれてしまう。つまりテレビ東京の旅&食べ物番組みたいな味わいである。
★★☆

309:無名草子さん
14/04/09 20:55:08.53 .net
中山康樹/講談社現代新書『これがビートルズだ』

ビートルズ研究がここまで進んでいるとは知らなんだ。よくもこんな細かいところまで調べ上げたもんだ。半ば感心し、半ば
あきれる思いがする。
僕はこの本によって「ビートルズは技術的には下手なバンド」という固定観念を破られた。言われてみればもともとハンブルグ
のクラブなどで酔漢どもを相手にガンガン演奏して鍛えたライブバンドなわけだし、初期の曲はほぼ一発録りなのだ。
日本武道館での来日公演の動画を視てガッカリした人は少なくないだろうけれど,あれはビートルズ自身もびっくりしたような
ものだったのだ。「僕らはいつの間にかこんなへたくそなバンドに成り下がっていたのか・・・」と。
★★★

310:無名草子さん
14/04/09 22:14:20.99 .net
「情報の呼吸法」津田大介 アイディアインク
URLリンク(yaplog.jp)

311:無名草子さん
14/04/09 23:20:03.22 .net
>>305
激しく同意
佐々木敦は偏差値40

312:無名草子さん
14/04/10 13:44:23.47 .net
そう言やなぜか(今時珍しく)著者略歴にどこの大学出なのか書いてないねw

313:無名草子さん
14/04/11 20:18:00.49 .net
大平健・倉田真由美/新潮文庫『こころの薬』

大平は最初から「診察に入ってきた患者を人目見ただけで与えるべき薬が頭に浮かぶ」などと言う。
まあそんなもんだろうな,ヴェテラン精神科医なら。くらたまも珍しく高学歴女らしく頭の切れる
ところを見せるし,この本は世間話としては面白い。
でもボクは私は仮に自分や家族が精神疾患になっても大平を選んで受診したくはない。なぜなら精神
分析じみたことを言いたがるから。精神分析は精神病はおろか神経症にも効果はなんら実証されては
いない(大平は日本的精神分析『甘えの構造』で有名な土居健郎の弟子だ)。
かくして,大平自身が言うように「本出したりマスコミに登場したがるような医者はろくなもんでは
ない」と僕はまたしても思わざるを得ないのだった。
★★

314:無名草子さん
14/04/12 20:26:07.35 .net
松井正文/小学館101新書『外来生物クライシス』

僕はこの本“外来生物をめぐるドタバタ珍騒動話”的に読んで結構面白かった。
読んでいて思い出したのは、むかし中国で「雀は害鳥だから駆除し尽くせ」と短絡的な運動をやって
その結果かえって雀の餌になる害虫が大発生して困ったというエピソードであった。
日本もしかし中国を笑えない。ブラック・バスはもともと食用として移入されたのだ。山椒魚ですら
最近は中国オオサンショウウオが増えているらしく「あんなものがどうやって日本に入ってきたんだろう?」
と僕は思っていたが、この本によればこれも食用として輸入した業者がいて、しかし当然ながら誰もそんな
ものは食いたがらず、処分に困って放流したのが元になっているらしい。
うちの近所でもこの間夜僕が自転車で走っていたら、猫とも狸ともつかない奇妙な生き物が道を横切ったので
よく見たらアライグマだった、なんてことがあった。
そのうち日本の生態系は気がついたら以前とはまったく違うものになっていた、なんて可能性は大いにあるな。
★★☆

315:無名草子さん
14/04/13 10:52:58.22 .net
井筒俊彦/岩波新書『イスラーム哲学の原像』

岩波文庫『意識と本質』は,読もうとしては中途挫折する人続出らしいが,僕はそんなに難しい本とは思
わなかった。この本は新書本であるからさらに分かりやすい。
でもおよそ東洋哲学は本を読んだだけじゃ肝心のところはちっともわからないのである。理屈で解った
つもりになってもダメなのである。「色即是空」なんてことも修業して体得しなきゃわかったことにはなら
ないのである。
僕はかねがねイスラーム神秘主義でも禅でもなんでもいつか本格的に修業したいと思っているが,まだ
果たせないでいる。ただ闇雲に修業してもダメで,良い師匠=グルにつかないと,修業が進んでいるのか
単に精神異常を起こしているのか区別がつかないから。麻原みたいな師匠についたんでは身の破滅だ。

ああ,どこか近間に良い師匠はいないかな。
★★★★

316:BOCONON
14/04/15 19:23:28.00 .net
東谷暁/朝日新書『間違いだらけのTPP』

こういう本を読むと「日本のエコノミストだの経済学者だの官僚などには“アメリカではそう言われ
てるんだから”以外何もなし」の感を強くする。
ゆとり教育だの大学改革だの裁判員制度だの法科大学院だの,なんでアメリカの良くないところ
ばかり真似したがるんだか。
そのくせ死刑廃止だけは半ば宗教的に善であると信じて疑わないとか,もうアホらしい限りである。
★★★

317:無名草子さん
14/04/15 19:40:15.44 .net
小谷野敦/ベスト新書『文学研究という不幸』

この本は全部読む必要はない。特に文学研究に関心のない人はカバー表見返し部分に引用してある“「あとがき」
より”だけでじゅうぶんである。かい摘んで紹介すれば・・・

今の大学の人文系学部とか人文系の学者などというのは幕末の幕府・武士のようなもので、もはや社会から必要
とされていない。おそらく5~10年くらいで弱小私立や地方国立大あたりから本当に大学は倒産してゆき、残った
ところで「もう文学研究の人など要りません」ということになり、文学研究の本など出なくなるだろう。純文学や文学
研究は、今後はほかに仕事を持つ人の趣味・余技としてしか存在し得なくなるに違いない。

残念ながら同意せざるを得ない。
ああ,日本がどんどんつまらない国になって行く・・・
★★★

318:無名草子さん
14/04/16 00:50:43.00 .net
柳美里 JR上野駅公園口


山狩りなどホームレス用語が出てくるあたり。実際にホームレスに取材してたのはいいんだけど。
東日本大震災で元々のストーリーを変えざるおえなかったように思えました。

319:無名草子さん
14/04/16 11:45:18.68 .net
単なる書き間違いだとは思うけど,“変えざるを得なかった”と書きたかったんだよね?

320:無名草子さん
14/04/16 22:19:12.67 .net
百田尚樹/幻冬舎「モンスター」
主人公が「ブス」って虐められてる所がかなり辛くて読む気なくしたけど
整形の話から面白くなった。「蒙古襞」とか初めて知った。
内容はamazonでも書かれてますがテンプレって言えばテンプレ
★★☆

321:BOCONON
14/04/17 06:00:07.94 .net
村田らむ/鹿砦社『ホームレス大博覧会』

>319
で思い出した,ホームレス取材暦10年の著者による『実話ナックルズ』連載をまとめた漫画記事の多い本。
“村田らむ”なんて名前は大半の人が知らないだろうけれど,この方面の書き手としてはかなりイケる。
この本では使っていないが“松田望”名義で絵が端正な漫画も描く。
柳美里の本は読んでないから知らないけど,サブカル好きためのホームレス四方山話としては多分こっち
の方がずっと面白い。なにしろ年季が入っているから,つかず離れずの距離感がいい。ホームレスによくい
る凶暴なタイプにも平然と対処している。
これを読めばホームレス一般についての基礎知識が得られる。「得てもしょうがねえだろ」と言わず,ご一読
を。これから急速に増えるであろう「親が死んでしまったニート」や「元ホワイトカラー」のホームレスについて
も書いてあるから参考になる。
★★★

322:無名草子さん
14/04/17 07:35:13.38 .net
勢古浩爾/ちくま選書『最後の吉本隆明』

どっちかと言えば「俺がヨシモトを読んでいた頃の思い出」。
これも存在意義のよくわからない本だ。
★★

323:無名草子さん
14/04/18 22:32:29.89 .net
平野威馬雄/ちくま文庫『陰者の告白』

著者は平野レミの実父和田誠の義父和田唱の祖父でイギリス人の父と日本人の母をもつ詩人・仏文学者(大学教授ではないようだが)。
戦前のコカイン中毒のジャンキーで、その戦前15年間の中毒ぶりを回想して綴ったもの(書かれたのは1970年代)。
薬物を手に入れるために犯罪に手を染めたり松沢病院に入院したり薬物によるおもに性的な妄想やらが
フランス象徴詩を思わせる美文で綴られている。話は面白いし、感動する。これほどの人なのに、薬物で失ったものは大きいだろう、もったいない。
松沢病院での院長は人格者なのだろうが、こんにちの目で見ると、依存症患者に絶対やってはいけないことばかりを平気でやっていて、
かなり驚いた。医学の進歩というのもすごいんですね
★★★★☆

324:無名草子さん
14/04/20 20:18:17.95 .net
緒方英子/新潮文庫『オーケストラを好きになる事典』

日本の有名オーケストラの楽員たちに担当楽器とその周辺について聞いた本。思った以上にプロの演奏家
というのはタイヘンである。
特にリード楽器(オーボエ、クラリネット、サクソフォンなど)は、リードを竹を削って自作せねばならず,しかも
何十枚も作っても本当に気に入るような出来のものは滅多にないのだという。聞くだに面倒な話だ。
それから実は僕は「ピアノの音は今ひとつ好きになりきれないところがあるから、ハープはいいんじゃないか。
ピアノの曲も弾けるし、音は美しいし。ハーポ・マルクス好きだしw ジジイになったらハープ習おうかしら」と
思っていたのだが,この本によるとあれは非常にきつい楽器であるらしい。ペダル操作がピアノよりはるかに
複雑である上に、いくら練習しても指に負担がかかり過ぎるので、ギターのように十日もすれば指先も固まっ
て後はへっちゃらというようなものではないのだとか。見かけほど女性的な楽器でもないのだな。

・・・こんな話を面白がる人がどれほどいるのか私にはよくわからないのだが、少なくともクラシック音楽愛好
家は知っておいたほうが演奏を聴くのにより深く楽しめると思う。
★★★

325:無名草子さん
14/04/20 21:20:36.89 .net
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326:無名草子さん
14/04/20 22:15:18.21 .net
島村奈津/講談社文庫 『エクソシストとの対話』

イタリアのカトリックに現在も実在する(そしてなお増加中の)公式エクソシスト(悪魔祓いをすることを認められた神父)に関するルポ。
かつての魔女裁判は悪魔に取り憑かれた人を処刑する間違いを犯しており、憑いた悪魔を退散させることが救いになるという現代的な
(刑罰モデルから治療モデルへの)悪魔祓い正当化には目から鱗。登場するエクソシストらは、精神医療とも共存し、依頼者の九割は病人であって
悪魔憑きではないといい、悪魔祓いは異教徒にも有効でイスラム教徒の悪魔祓いもしたことがあると言明する…などの現代性が興味深い。
中心に据えられている神父の深みのある人間像にもうたれる。著者が悪魔祓いの現場に同席できたのは一度だけのようでそこがやや食い足りないが
取材の難しさがわかってない私の勝手な高望みですね、はい。
★★★半☆

327:無名草子さん
14/04/20 22:33:55.66 .net
>>326 
訂正 ×島村奈津
    ○島村菜津    失礼しました

328:無名草子さん
14/04/21 20:29:38.42 .net
松村雄策/小学館『ウィズ・ザ・ビートルズ』

「生涯一ビートルズファンのジイサマの居酒屋談義」または「 私は如何にして
思い煩うのをやめてジョン・レノン信者になったか」と云ったふうなもの。
★★

329:無名草子さん
14/04/23 11:10:19.28 .net
鈴木亘/講談社現代新書『社会保障亡国論』

この書名は誤解を招く。著者はむろん社会保障をやめろ,などと言っているのではない。年金制度や
各種社会保障のやり方を根本的に改革せねばならない,と言っているのだ。どう改革すべきかはこの
本に書いてある。
著者の言うことはたぶんほとんど全面的に正しい。こうした改革はよどど強力なリーダーシップを持った
政治家が現れなければ無理,ということを含めて。そしてしかし実際のところ今後も政府は消費税率を
引き上げ続けるくらいしか能がなく,遠くない将来日本は財政破綻するだろう,という予想を含めて。
★★★★★

330:無名草子さん
14/04/23 20:34:44.34 .net
グレアム・グリーン/早川書房・早川epi文庫/二十一の短篇

もっと早くに読んでいればなあ、という感想。
終止子供(少年)目線で書かれた短編がいくつかあり、子供の知識と経験で解釈し描写された風景/出来事が登場する。
中年になって初めてこれを読んだので、(ああこれはこういう事だな、可哀想に主人公は何が起こったのかわかるまい)となったが、中学生のころに読んでおけば大人になってから(これはこういう事だったのか…)という驚きがあり、意味がわかって今より切ない思いを味わうのかも。

331:無名草子さん
14/04/24 06:37:49.38 .net
三浦展・原田曜平/角川oneテーマ21『情報病』

今の大学生は友人との「情報外交」(やれやれ)に忙しく、考えるのは友達のことばかり、お金も
時間も大部分交際に費やしてしまうのだと著者たちはいう。本当かしら。
どうも読んでて頭の痛くなってくるようなまことにくだらない雑談ばかり続く本で,僕としては「い
くら何でもこんな集団生活する虫みたいな生き方している学生ばかりじゃあるまい」と思いたい。

ところで「最近は、むかしなら○○女子短大へ行ってたような娘が早稲田とか入ってきますからね」と
一人の“草食系男子”学生が言っている,というのは一体誰の何のことだ? そんな子がそんなに
お手軽に僕の母校に入れてたまるもんかい。


332:無名草子さん
14/04/24 06:44:18.10 .net
佐藤優/NHK生活人新書『はじめての宗教論 右巻』

どうでもいいようなことばかり書いてあるので読んだ端からみんな忘れてしまい、本ごと
駅のゴミ箱に捨てきてしまった。‘SPA!' でやってる身の上相談も実につまらないし,この
人がロシヤの大学で神学を教えていた、ってホントかね。

それはまあどうでもいいが,僕が今後この人の本をお金出して読む気になることはありそうもない。
NHKの本に当たりなし,である。


333:無名草子さん
14/04/26 19:55:53.46 .net
久住昌之/晋遊舎『野武士のグルメ』

カバー絵が泉晴紀なので一見漫画の本のように見えるが,エッセイ集。『孤独のグルメ』
が売れたのでそれに乗っかったもののようである。久住昌之のエッセイはだいたいつまら
なくはないが格別面白くもない。
最近コミック版も出たから,読むならこっちの方が面白いかも知れない。僕は土山しげるの
絵は好きになれないからパスだけど。
★★

334:無名草子さん
14/04/27 20:13:40.70 .net
堤未果/岩波新書『貧困大国アメリカ Ⅱ』

みな事実ではあるのだろうけれど,この人の言っている事を聞いただけではどうもアメリカと
いう国がよくわかる気はしない。
たとえばサブプライムローンの証券化なんて,なぜそんな危なっかしい商品が成立するのか。
これはアメリカでは家を手入れしつつ何代にもわたって住むのが当たり前なので価格が下がら
ない,という日本の“土地神話に似たものがあったからである・・・といった事情を知らないと
「アメリカ人て・・・バカ?」としか思えまい。
それから中流層の没落ということも,もともとそんなものはアメリカでも日本でも戦後の一時期
存在しただけなのだ,と見るべきである。

と云ったわけで,どうも僕にはむず痒い本だ。
★★☆

335:無名草子さん
14/04/28 20:35:43.06 .net
三橋貴明・渡邉哲也/ビジネス社『大恐慌情報の虚と実』

ユーロ圏は泥沼につっこみ,アメリカも中国も先行きは真っ暗・・・と僕も思うがなかなか破局が来ない。
何が起きているのか??
たぶんお金を刷りまくって銀行や株式市場に注入してゴマ化しているものと思われる。いつまで続くやら
見ものだ。
★★

336:無名草子さん
14/04/29 19:33:39.88 .net
鶴我裕子/新潮文庫『バイオリニストは目が赤い』

実際のところこの本にはそれほど興味深い話が書いてあるわけではないし、著者は時々冗談を言ったりもするのだが
他愛無くて一向に可笑しくもない。
しかし不思議とすいすい読めてしまう。それは多分著者の人柄のせいである。この人は私より年長らしいが、何か可愛
らしいのである。もともと東北のどこかの社長令嬢だそうで、そのことが<育ちの良い感じ=要らぬ屈折をしていない>と
いう形で現れている。
(お坊ちゃま・お嬢様育ちの人は、悪い方に転ぶと太宰治や石原慎太郎、團伊玖磨、田中真紀子のような「奇妙なくらいの
恥じらいのなさ、無神経」という方向に行ってしまう・・・これは余談。)
例えばこの人は写真を撮られるのが苦手だそうで、実際カバー表見返しの著者近影を見ても、何か微妙にこわばった表情を
しているのが子供のようでて可愛らしく、また妙に可笑しいのである。文章もどこか子供の作文みたいで,だがそこがいい
のである。
もともと壇ふみがこの人の文章のファンで「もっと読みたい」と言っていたのが著者がこの本の元になった連載を始める
きっかけになったのだそうだが、それもなんとなくわかる気がする。どちらかと言うと女性向きな本かも知れない。
★★★

337:無名草子さん
14/04/30 19:25:07.05 .net
森岡正博/ちくま新書『感じない男』

オレはミニスカートが好き。パンツが見えそうだから。制服も好き。ロリコン男の気持ち
もいくら分かる。
著者は「男はみんなそうだよな?」と言っているようでもあるが,「いいのかなあ,これで?」と
思っているようでもある。
結局大した結論もなくて終わるけれど,こういう正直な本はめずらしいからか,結構売れた
らしく最近ちくま文庫で『決定版 感じない男』も出た。
そこまでの本ではないと思うが,まあお暇な方はどうぞ。
★★

338:無名草子さん
14/05/01 04:26:05.62 .net
大貫隆/岩波新書『聖書の読み方』

僕も聖書は旧約の最初から読もうとしたことがある。そして『出エジプト記』まで読んで挫折した。
支離滅裂とまでは言えないにしても、どうもわかったようなわからないような、話が繋がっている
ようないないような記述ばかり続くのでいやになったのだ。
だからこの本のⅠ~ⅢのうちⅠには共感できる。著者が学生にアンケートを取って聖書のどこ
が読みづらいか,その理由をいくつかのパターンに整理した部分。「何でこの神は、モーセの一
行がカナン=パレスチナに帰還した時、そこの住民皆殺しせよ、なんてことを命じるのか」等。
しかし当然Ⅱ、Ⅲではそれが解決されるのだろうと期待すると裏切られる。著者は「聖書では
残酷な神をただやみくもに肯定しているわけではない」などとキリスト教擁護論じみたことを
言うだけだ。
まあ考えてみれば当たり前で、こんな小著で細かい部分(「シナイ山てどこにあるのだ? 「マナ」って
一体何だ?)など一々詳しく解説していられるわけもない。立花隆の言うように、聖書は良い注釈つき
の本でなければ読んでも本当のところはわからない、ということであろう。
結局“注釈らしい注釈のない岩波文庫で『源氏物語』や『聖書』などは読んではいけない”という
ことは再確認できたが,それだけであった。


339:無名草子さん
14/05/02 20:03:59.71 .net
柴田元幸/講談社新書『アメリカ文学のレッスン』

文学を通してアメリカ人の特異な発想のパターンが見えてくる。「アメリカ人の本領はエンターテイン
メントにある」「これではアメリカ文学が日本ではあまり人気がないのもむべなるかな」ということも。
★★★

340:無名草子さん
14/05/02 20:12:07.88 .net
日本語力向上会議/角川oneテーマ21『デキる人は「言い回し」が凄い』

この本は別の本と間違えて買ったのだけれど、「たまには日本語のお勉強もいいか」と思って読み始めた。
しかし2,3ページ読んで放り出した。気味が悪いくらい頭の悪い本である。なにしろ本文1ページ目に
「こういう言葉遣いはやめましょう」という例に挙がっているのが―

「あのコピー機、5回に1回は紙詰まりするんですよ。うざいったらありゃしない」
「今日はずっと外回りだっていうのに、夕方まで雨か・・・うざいなぁ」

次の項「上司に仕事の進捗具合を報告するのにこういう言葉遣いしてはいけません」という例―

「ではぶっちゃけ申し上げます。やばい状況です」

・・・なんだよ,こりゃ? 笑かそうとしてるのか。


341:無名草子さん
14/05/04 20:16:50.39 .net
乾正雄/朝日選書『夜は暗くてはいけないか  暗さの文化論』

椎名誠が「愛読書」「“西の文化が静かさ・暗さの文化であるに対して吾々の東の文化は
なぜ明るい速さの文化であるのか”について解き明かす本」と言うので読んでみたが,僕
には単なる思いつきじみたことを書き連ねたつまらない本にしか見えなかった。
なぜこういう本を愛読するのやらちっともわからないので評価なし。

342:無名草子さん
14/05/06 06:35:02.78 .net
奥田英朗/無理
地方都市で微妙な生活を繰り広げる5人の物語
五人(特に宗教女)を取り巻く環境の酷さやどんよりとした空気の描写は上手いと感じた
しかし、物語の進行に必要のない社会の問題提起、風刺が中盤から増えエンタメ小説の域を超えてもはや自分の社説発表会に過ぎないものにな
★★☆☆☆

343:無名草子さん
14/05/06 06:43:42.99 .net
鈴木翔/教室内(スクール)カースト
昔から存在しているスクールカーストについて論じた一作
図・グラフが多く使われ理解が容易い。
また、生の声として“一軍”に属している女、教師などからカーストについての実態
や意見がふんだんに盛り込まれている。
ただ、それだけが本作の特徴で特に優れた見解はない
★★☆☆☆

344:無名草子さん
14/05/06 20:34:21.96 .net
孫崎享/講談社『戦後史の正体』

安保騒動もロッキード事件も郵政民営化もアメリカ発。それを請けた日本の政治家・官僚・マスコミの策謀に
国民が乗せられただけの話である。

孫崎享/小学館『アメリカに潰された政治家たち』

吉田茂,小泉純一郎などはアメリカのポチ。岸信介や田中角栄,小沢一郎は愛国者。日本人は自分らの敵と
味方の区別もつかないこの愚かな日本国民よ。


・・・まあどこの国も似たようなものではあるが,日本が先進国になれたのも偶然に過ぎないと思った方が
良いのだろう。
★★★★

345:無名草子さん
14/05/06 20:35:26.27 .net
「日本人は」は余計でした。

346:無名草子さん
14/05/07 11:41:42.78 .net
副島隆彦/徳間書店『金融市場を操られる絶望国家・日本』

「アメリカはドイツから預かっていた莫大な量の金をどうやらもうこっそり使ってしまったらしい。
それとドルの威信/信頼性を守るために明らかに金相場を操作している。だから,今は以前に較べたら
比較的金は高くなっているが,今後また暴落する時が必ず来る。資産を守りたい人はその時にこそ金を
買わなくてはならない。」

・・・という事だそうです(自己責任でどうぞ)。
★★★

347:無名草子さん
14/05/08 05:56:21.66 .net
瀬木比呂志/講談社現代新書『絶望の裁判所』

僕は4年前に「日本の原子力発電は近い将来間違いなく取り返しのつかない大事故を起こすだろう」と
予言した。1年もしないうちに言った通りになったけど,それが僕が賢いことを意味しない。基礎知識が
あれば誰でもわかることである。JCOやもんじゅの事故,東電の不祥事などTVのニュースで視ていただけ
でも「こんな普通起こしたくても起こせないようなレヴェルの事故起こすって,明らかにマトモじゃないな,
日本の原子力発電関係者は・・・」と。僕は影響力のない人間だから平気で口に出せるってだけの話だ。

困ったことに,同じような事は政治家や官僚や裁判官(あるいは弁護士も)の世界でも起きつつあるらしい。
弁護士の狂態は光市の裁判の弁護団見ていればわかるが,この本読むと裁判官もドッコイドッコイである。
このスレに断片的に書いてきたような疑いの少なくとも一部は事実であると証明されたようなものだが,僕
は別に嬉しくもないのであった。
★★★★

348:無名草子さん
14/05/09 20:05:52.23 .net
小谷野敦/幻冬舎新書『面白いほど詰め込める勉強法』

「自分のような学者になりたい人のための勉強法」といったふうな本で,そういう人には役に立つかも
知れない。
僕にはむしろ「トクヴィル『アメリカの民主政治』は当時としては先見の明があった,というだけで,今
読む意味はない」「丸山真男がそんなに大したもんか?」といった雑談的評論の部分が面白かった。
★★★

349:無名草子さん
14/05/11 06:16:06.11 .net
町山智浩/文藝春秋『知ってても偉くないUSA語録』

>203 の続編。あれよりは政治的主張は抑え気味で良い。アメリカ社会の流行語やキーワードよりも
僕には「アメリカではコンビニや酒屋は命がけの仕事。だからむかしは韓国人の仕事だったが,今は
アラブ系が多い」とか「アメリカでは街の書店が(超大手チェーン以外は)壊滅してしまった」「アメリカ
では現金を使うのは子供だけ」なんて,住んでいる人ならではの話の方が面白かった。
今のアメリカを見ていればだいたい10年後の日本は想像がつくものであるし。
★★★☆

350:無名草子さん
14/05/11 23:18:31.31 .net
佐々木健一/文藝春秋 『辞書になった男 ケンボー先生と山田先生』

去年のNHK番組の制作に携わったディレクターによる書籍化。番組放送後にわかったことも書かれている。
三省堂で『明解国語辞典』を編纂した同級生の国語学者二人が後に袂をわかち、同じ三省堂から『新明解国語辞典』
と『三省堂国語辞典』という対照的な国語辞典を作っていく経緯を書いたノンフィクション。
両者の個性の違い、言語観、辞典観の違いがはっきりしていて非常に面白い(またそう図式的にわりきれないところも
最後まで読むと感じられるのも面白い)。
繰り返しがおおい、という書評がアマゾンにあり、たしかにTVマンらしく読者のレベルを低く見積もって下りていく感じはあるが、
許容範囲と思う。
★★★★★

351:無名草子さん
14/05/13 20:24:32.88 .net
小谷野敦/新潮新書『頭の悪い日本語』

・“立ち上げる” という言葉に違和感を感じるのは「立つ」と「上げる」の主語が違うから。
 自動詞他動詞の問題ではない。
・僕は「 “容貌魁偉” なクナッパーツブッシュ」などと誤用していた。
 まあ「立派」といっても良いようなもんだが。
・“タイトルロール” は「テレサ・ベルガンサが『カルメン』のタイトルロールを演じた」と
 いった風に使うべきものらしい。
・日清食品は日清製粉とは関係ないのだそうな。

・・・といったあたりが面白かった。
★★★

352:無名草子さん
14/05/15 05:56:33.97 .net
町山智浩/講談社『99% 対 1% アメリカ格差ウォーズ』

アメリカでは2050年頃には非白人の方が多数派になるらしい。そしてその多くは貧しいままだろう。
なぜならアメリカは最近金融業が信用を失くし,そのほか結局製造業に代わる産業は育っていないから。
おまけに中流層も没落しつつある有様だから。儲かっているのはアップルなどを除けば阿漕な保険会社
などばかりである。
しかしどこの国も貧富の差があまりに大きくなる一方ではもたない。中国などは,そのせいで国が滅ん
では興る,の繰り返しがつまり歴史だ。

・・・というわけで,町山は「アメリカの悲喜劇」といった調子で書いているが,これは他人事ではない。
日本もドイツ車のように “その製品を持つことがステイタス”(本当にそんなに良いものかはともかく)
と云った方向に梶を切るべきではないのか? あるいは資生堂のようにそれを志向しつつもっとアジア
市場に目を向けるべきではないのか? などと僕はいろいろ柄にもないことを考えてしまった。
★★★

353:無名草子さん
14/05/17 19:45:58.87 .net
群ようこ/朝日文庫『ぬるい生活』

この人も五十歳近くなって「体形が崩れた」「体のあちこちがあまり調子が良くない」「生理が不順」
といった話題が多くなってきたな。
同年輩の女性が読むと共感するところが多いのかも知れないが、私などが読んでも愉しくはない。
★★

354:無名草子さん
14/05/17 19:52:53.55 .net
中山康樹/小学館文庫『愛と勇気のロック50』

かつてスターだった、あるいは今もスターだけれど既に(日本では)「現役感」がなくなってしまっている
ロック・ミュージシャンの最近のアルバムを取り上げて、その素晴らしさを説いている。
僕は一種のゴシップ集として読んだ。

甲状腺癌から立ち直ったものの、一時は忘れられかけていたロッド・スチュワートが(ロックに限らない)
スタンダード・ナンバーを歌った一連のアルバムで大ヒットを飛ばしていること。

ジョン・フォガティがアメリカではいまだに声もルックスも人気も衰えずにいること。

再結成したレッド・ツェッペリンのことをボロクソにこきおろしているジャック・ブルース。

元バーズのロジャー・マッギンが最終的に最高と思っているギタリストはエリック・クラプトンと(なぜか)
アンドレス・セゴビア・・・等々。

なんだか愉快であるな。
★★★☆

355:無名草子さん
14/05/17 20:05:01.18 .net
テリー伊藤『お笑い大蔵省極秘情報』

これは手に入ったら是非読むべき本である。財務省キャリアが威張りまくり駄法螺を吹きまくっている。
しかしそれは高橋洋一氏が(明らかにこの本のことを指して)言っているように「別に大したことじゃない」こと
ばかりである。
なぜ日本に於いてはエリート中のエリートとされる人間に限って途方もない大馬鹿者だったりするのかは一
度真剣に考えねばならない問題だとの感を強くする。宮台真司だの死刑廃止派弁護士だの寺脇研だの・・・
★★★★

356:無名草子さん
14/05/18 18:13:44.15 .net
NHKニューヨークメガ盛り塩素プール問題 ホワイトフレンチプラン 72762885

NHKニューヨークメガ盛り塩素プール問題 ホワイトフレンチプラン 72762885

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357:無名草子さん
14/05/20 20:06:42.99 .net
町山智浩/マガジンハウス『アメリカのめっちゃスゴい女性たち』

これも面白い。アメリカン・ドリームの話が好きな人はどうぞ。

358:無名草子さん
14/05/21 21:03:11.25 .net
清水潔/新潮社『殺人犯はそこにいる  隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』

著者は桶川ストーカー事件で警察より早く犯人を発見・特定した人。
今回は例の菅谷さんが冤罪着せられた事件以外の足利・太田近辺で起きている5件の幼女
性的暴行殺人は同一犯だとし,その犯人もほぼつきとめている。
この本,警察・検察や裁判所,マスコミ,国民のお粗末ぶり・下劣ぶりに胸クソが悪くなりそうで
手を出しかねていたのだけれど,読んだら案外すらすら読め,いくぶん勇気づけられ救われた
気分になれるところもあった。

でも,もう当分こういうのは読みたくなりそうもない。
★★★☆

359:無名草子さん
14/05/22 08:57:45.29 .net
副島隆彦/PHP研究所『隠された歴史 そもそも仏教とは何ものか?』

「コミケに行ってわかった。阿弥陀如来と観音さまは所謂萌え絵の女性になって現代に甦っていたので
ある」などと(本気で)言いい,本にへたくそなカラー萌え絵イラストをはさんで見せる副島せんせい。

『人類の月面着陸は無かったろう論』と言い,日中殴り合い対談』,『原発事故、放射能、ケンカ対談』・・・
稚気愛すべしといった感じもしないではないが,どうも困った御仁であるな。


360:無名草子さん
14/05/22 09:24:05.81 .net
柴田元幸/角川文庫『つまみぐい文学食堂』

この人のエッセイ『生半可な学者』『死んでいるかしら』などは面白かった記憶があるが、この本は文庫本でなかったら
ちょっと損した気持ちになったろう、といった程度の出来だ。
何故あまり面白くないか、と言えば出てくる食べ物がどれもマズそうだし、それにまつわるエピソードも大方は何だか
気の滅入るようなものだから。
僕にははむしろ「あとがき対談」のほうが面白かった。実際はこの本の挿絵を描いた吉野朔実、早大“准教授”(何度聞いて
も耳障りだな、この言い方)の都甲幸治との鼎談である。

柴田:アメリカの食べ物でも、イタリア人がアメリカに来て開くイタリアン・レストランはおいしい。ベトナム人その他も同様。
    ただこう、日々のベーシックな食べ物はというと・・・
都甲:ひどい。アメリカに留学していたときに「この授業をともに受けるためにわれわれが出会うことが出来たことを祝してケーキ
    を食べよう」と盛り上がって、スーパーで買ってきたケーキが、これはもう深刻に罰ゲームだと思った(笑)。「これは食べ
    物じゃないな。いや~世の中にこんな不味いものがあるんだ」と思って周り見たら、みんなすごくおいしいとか言っていて。
    もうこの人たちとは一生理解し合えないと思った。

そこまでマズいならかえって一度食べてみたい気もしてくるな(笑)。もしかしてアメリカの食べ物ってのは(アメリカ文学と同じく)何か
ゲテモノのような味わいなのであろうか。
★★★

361:無名草子さん
14/05/22 14:51:21.72 .net
amazonにレビューするとバカに見えるからって2chで同じことやることないだろw

362:無名草子さん
14/05/23 01:10:33.12 .net
僕は三浦淳教授の「読書月録」をお手本にしただけ。

363:無名草子さん
14/05/23 20:19:57.62 .net
>>361
僕は新潟大学の三浦淳教授の「読書月録」をお手本にしただけ。

364:BOCONON
14/05/25 20:22:27.56 .net
友里征耶/角川SSC新書『堕落のグルメ』

前著『グルメの嘘』等で身も蓋もない真実を書きまくった友里センセイは,あちこちで出禁にされたり
訴訟を起こされたり,脅迫までされたり(「うちの若い衆は血の気が多い。お子さんは気をつけた方が
いい」だと)しているが,相変わらず意気軒昂で笑える。

今回は食べログや客まで切り捨てている。「関西人は味にうるさいからかの地は美味い食べ物屋が多い
のだ」というのはまったくのウソで,むしろ外食不毛の地だ,などと。
そう言えばTVでこの間どこかの寿司屋が店を閉めてアメリカ進出する,というので中田ヒデとかが店主
に花束贈っている映像を流していたな。田舎もん/成り上がり丸出しで気持ち悪いね。
★★★

365:無名草子さん
14/05/26 20:16:28.00 .net
トム・ジーグフリード/文春文庫『もっとも美しい数学 ゲーム理論』

解説者が言うように「この本はゲーム理論をやさしく説明する入門書ではない」。
よって僕には読んでも何もわからず中途で挫折したから評価なし。

366:無名草子さん
14/05/29 01:53:25.63 .net
小口彦太監修/PHP文庫『同時にわかる! 日本・中国・朝鮮の歴史』

「 “コリア” というのは “高麗(コリョ)”からきた言い方」「朝鮮半島の南には昔から
韓部族が住んでいた。だから国名が “韓国” になった」といった知識が得られる。
時間つぶし用の雑学本としてはヒジョーに面白い部類。
★★★

367:無名草子さん
14/05/29 08:14:48.99 .net
金子隆一/サイエンス・アイ新書『大量絶滅がもたらす進化』

読んで思ったこと。
・ブラックバスが生態系を壊すのなんの言うのは大した問題ではない。地球自体が今まで何度も
 ほぼ定期的に(多分超大規模な地殻変動によって)環境/生態系を全地球規模で破壊してきた
 のだから。
 頭の悪い人は答えに詰まるとよく「自然の摂理だから」なんてことを言い出すが、別に地球は自
 身の上で生物に繁栄してもらいたいなどとは思っちゃいないのだ。

・京都大学の研究者たちは「暗闇でショウジョウバエを飼育する継代実験」を地道に続けていて、つ
 いに飼育環境下で初めて進化が起きたことを最近発表したらしい。体毛が伸び、嗅覚が鋭くなり、
 生殖はフェロモンによってのみ行うようになったので,既に野生種のショウジョウバエとは交尾できな
 くなっているのだという。つまり新しい種の誕生だ。
 これがなぜ画期的的かといえば、進化が起きたこと自体ではない。その驚くべき速さである。ヒトで
 言えば3~4万年程度の短期間で暗闇に適応した進化が起きたのだ。これは偶然だのみのダーウィン学
 説(中立説進化論)を根本から危うくする。環境が生物に進化を何らかの形で促したか、或いは生物が
 (今西錦司の悪名高い言い方を真似て言うなら)「変わるべき時がきたのでいっせいに変わった」と言う
 のに近い現象だから。
(なんだか愉快であるな。)
・木村資生の「分子進化の中立説」については岩波新書で読んで知っていたが、この本読んでやっと
 その画期的意義がわかった。吾ながら迂闊千万な話だ。
★★★

368:無名草子さん
14/05/29 09:25:57.26 .net
原田武夫/かんき出版『最もリアルなアメリカ入門』

実は右派の金持ちの黒幕のいる “茶会運動 Tea Party Movement” が「草の根民主主義」のあらわれだと
思っているようなナイーヴな人=バカ者が「これがリアルなアメリカだッ!」って・・・(苦笑)。


369:無名草子さん
14/06/02 20:30:36.67 .net
大槻ケンヂ/角川書店『FOK46』

知り合いに亡くなる人も徐々に増えてきた46歳にもなってなぜかギターに目覚めたオーケン。
自身でも言っているように「フォークギター初心者あるある」ネタ集みたいになってる。
察するにこの人,僕と同じ程度にしか弾けない,即ち高校生の頃の僕と同じくらいくらいにヘタである。
だから読んでいて可笑しくてしょうがない。
楽器店の娘ほどに若い女子店員に「わたしもピアノはやってたけどギター始めたのは最近です。でも意外
とイケるもんです。楽しいですよぉ。初心者向けの楽譜も教則本もたくさん出てますし」などといろいろ説明
され,アセったオーケンが「『天国への階段』(古いw)のタブ譜もあるのかな?」などと言って変な顔されたり。
自分の作った曲のコードが分からずギターの達人の友人に教わって呆れた顔をされたり,等々。
★★★☆

370:無名草子さん
14/06/07 19:47:46.67 .net
小口彦太 監修/PHP文庫『同時にわかる! 日本・中国・朝鮮の歴史』

「コリア」は「高麗(コリョ)」からきた言い方。半島の南には昔から韓部族が住んでいたから韓国って国名になった。
・・・なんて知識が得られる。雑学本としてはかなり面白い方。
★★★☆

371:無名草子さん
14/06/12 07:15:42.05 .net
皆神龍太郎/Gakken『都市伝説の真実』

「都市伝説」じゃないな,こりゃ。フリーメイソン支部P2のテロ事件とか(ベルルスコーニも多少の関与を
していた,とかいう噂はとも角)本当の話だし。
“オオカミに育てられた少女カマラとアマラ”とか,同じく“アヴェロンの野生児ヴィクトール”等,動物に
育てられた人間の子,という話は世界に案外とたくさんある。しかし近年では,こういうのは幼いうちに親が
捨てた子供がなんとか生き延びたというだけの話らしいというのが定説になりつつある,というのも僕にはもう
大分前に聞いた話であんまり面白くないや。
★★

372:無名草子さん
14/06/12 08:11:29.30 .net
副島隆彦/幻冬舎新書『陰謀論とは何か」

私は「共同謀議論者」である。宇野正美とかとか中丸薫とか太田竜なんぞと一緒にすな。

・・・と著者は申しております。
★★

373:無名草子さん
14/06/12 08:15:38.50 .net
春日武彦・文 吉野朔実・漫画/アスペクト文庫『精神のけもの道』

「他人の愚行を見物するくらい愉快なことはあまりない」とは故倉橋由美子の言。
この本は愚行というより微妙ながら明らかに常軌を逸した言動をする愉しみを教えてくれる。
春日武彦の本の中では珍しくお金出して買って読んでも損をしたような気持ちにはならずに済む。
★★★

374:無名草子さん
14/06/12 08:17:47.65 .net
「言動をする人々を見物する」でちた。

375:無名草子さん
14/06/12 08:23:47.46 .net
清永賢二・清永奈穂/新潮新書『犯罪者はどこに目をつけているか』

「人気のない道で子供や女性が痴漢や物盗りに抱きつかれた場合,足を踏んづけて撃退なんて無理。噛み
つくのが一番効果的」とか,参考になる部分もないではないが,どうも教科書的な書き方で面白くない。
・・・というよりこれは(新潮新書によくある)「何かの教科書にするために書かれたと思しき本」の一冊。


376:無名草子さん
14/06/12 08:59:56.81 .net
唐沢俊一/徳間書店『日中韓お笑い不一致』

対談本。中・韓国人から見ると「日本人は人前で他愛なく笑いすぎで(幸か不幸か)毒の効いた社交的
政治的ジョークが下手」というふうに見えるらしい。
日本人が「他愛なく(大して可笑しくもないのに)笑い過ぎだ」というのはTVなど見ていると僕も思う
けれど,中国人韓国人がユーモアに富んだ国民というふうには一向に見えないがなあ?
『Mr.Boo!』とか,じつにつまらない映画だったし,香港映画で笑ったことはないな,僕は。
個人的につき合うと違うのだろうか?
★★★

377:無名草子さん
14/06/14 20:02:58.44 .net
小谷野敦/ベスト新書『病む女はなぜ村上春樹を読むか』①

よく本を出す人だなw

小谷野の村上批判は『反=文藝評論』で既になされているし,この本でもあれ以上の事は大して書けていない。
(本人も言う通りだ。)
で,その批判は別に間違っているとも思わないけれど,特段の説得力がある訳でもない。何しろ小谷野の周囲
には “村上が好きでかつ文学のわかる女” がおらず,いても「なんで村上が好きか」と訊いても「好きに理由は
ない」というばかりだというのだから。そして小谷野自身も村上が嫌いな理由は言えても「ではなぜこんなに人気
があるのか」についてはよ分からないらしいから。
これで「村上春樹なんか好きな女は病んでいるのだ」は無理だろう。「病んでいるのはオマエだろ」と言われるのが
落ちだ。

378:無名草子さん
14/06/14 20:15:51.16 .net

・・・というわけで,この本で村上批判として目新しいのは「安原顕が村上の原稿を売りとばした問題」に
ついて,だ。これについては全面的に小谷野が正しいと思う。なぜなら―

・作家の原稿なぞ文学研究上は何の価値もない(未発表原稿ならとも角)。だから昔から所有権の曖昧な
 ものである。好事家が欲しがるなら売ったってかまやしないのである。
・ヤスケンは生前村上の奥さんから「今の村上に厳しいことが言えるのは安原さんだけだから,これからも
 よろしくお願いしますね」と言われたような編集者である。その厳しいアドヴァイスに対する私怨をこんな
 かたちではらしてやろうとはよくない了見である。

379:無名草子さん
14/06/17 20:05:54.65 .net

第二項は僕の知見を加えて要約↑。

マア僕は,ブンガクのわかる人皆仰言るように,村上は初期作品―『羊をめぐる冒険』あたりまで―以外は
馬鹿々々しいと思っているので,村上批判もどーでもいいのである。
例によって,小谷野せんせいの本は評論的雑談の方が面白い。「蓮實重彦とともに,自分は三島由紀夫の作品
には1%の文学的価値も認めない」とか。評論家兼売れない作家のくせにナマイキなことを言っていらあw
どうもこの人の趣味はよくわからない。田山花袋の『布団』とか,大江健三郎の最近の作品とか,うじうじ鬱陶しい
感情のもつれを描いた作品を異様に高評価する一方で,漱石『こころ』等は「重苦しい」と嫌うとか,よくわからぬ。

380:無名草子さん
14/06/18 11:33:11.66 .net
古市憲寿/新潮新書『だから日本はズレている』

読めばわかる通り,この著者にはどうやら「これだけはどうしても言いたい」といった事は特にない。
学者でなければ言えないような,読んで感心するようなところも特にない。僕には読まなくても見当が
つく程度の話ばかりであった。なんだか学生の書いたブログか同人雑誌みたいであるな。或いはせい
ぜいオヤジ週刊誌になら売れるかも知れないといった程度のもの・・・と思ったら,もともと雑誌に書いた
短文を集めたものらしい。

というわけで,どうも僕にはこんなものを本にする人の気持ちがわからない。もっとわからないのはこれ
が結構なベストセラーになっているらしいことだ。一体誰がこんな無内容な本を読むんだか。
まあ上記のようなことがそのまま売れる理由になっているのかも知れない,という気もする。


381:無名草子さん
14/06/18 16:57:16.79 .net
海猫沢めろん/幻冬舎『全滅脳フューチャー&#8252;&#65038;!』
作者の自伝?なのかまとまりがまるでなく、文章力のなさに読んでいて不快になるだけだった

382:無名草子さん
14/06/24 20:30:47.03 .net
増田悦佐/東洋経済新報社『夢の国から悪夢の国へ』

アメリカはどうやら「黒人・ヤダヤ人・インディアン=アメリカン差別」から言わば “貧乏人差別” の方向に
梶を切ったようである。増田氏には彼らアメリカの高所得者層の傲慢ぶりが我慢ならないらしい。
けれども僕にはそれは歴史の必然であるように思われる。

①「アメリカは吾等正しい清教徒の国であり,だから異教徒や劣等人種は差別して良い。そして金持ちになれた
  人間は,努力し神の祝福を受けた人間なのであるから何ら恥じることはなく,むしろ誇りに思うべきである。
  逆にこのアメリカという良い国で貧乏な人間は,努力が足りず,神に愛されない人間なのだから自業自得なのだ」
  という考えの帰結としての現在のアメリカ。

②アメリカは製造業が駄目になり,金融業も信用されなくなりつつあり,中産階級も消滅しつつあり・・・で,もはや
  打つ手がない。即ちこの先再び豊かな国になることはまったく期待できない以上,高収入な人々が既得権益の確保
  に走るのは当然のことである。
  「労働者の賃金を下げて会社の利益率を上げるのも致し方ない。会社がつぶれるよりはまし」とか「みんなが豊かには
  なれない以上,金持ちは金持ちでいる方が,国民みんなが貧乏になるよりはずっと良いだろ?」といった考え。

日本は①はまだしも,②の方向には確実に向かいつつある。増田氏とともに,安倍晋三や竹中某,宮内某など,この方向に
日本を誘導しようとする者たちには警戒おさおさ怠りないようにせねばなるまい。
★★☆

383:BOCONON
14/06/26 01:22:38.74 .net
小谷野敦/洋泉社 新書y『天皇制批判の常識』

著者いわく―
「身分制/身分差別というものは良くない、そう教えられて育ってきていながら我々日本人は天皇制について語るとなると途端に
そのことを棚に上げてしまう。しかし考えてもみよ、天皇・皇族は生まれながらに日本国民ですらないのである。
当然所謂基本的人権もない。選挙権も信教・職業居住地の選択の自由等々すらもないのだ。なぜこの矛盾に気がつかないのか。
私は日本国民に呼びかけたい。あなたは人間が生まれによって差別されることを是認するのか。平和でありさえすればそれでいい
のか!(大意)

うん,別にかまわないと思う。ボクは天皇の権威を借りて自分が威張りたいだけの人間には警戒するけど,それだけ。
小谷野先生も別に皇族のためを思っているわけでもなく,なんだか尤もらしい理屈をつけて無理に憂えている感じがするな。

この本もしかし,横道にそれて歴史に関する薀蓄を語る部分は面白い。
・「今上」とは「今の天皇陛下」という意味であるから「今上天皇」というのは畳語である
・山本七平の未完の著書にあるように「現人神」というのは近代になって急に言われだした与太話の類である。江戸時代までは天皇の
 存在すら知らない日本人の方が圧倒的に多かった
・天皇制の問題については知識人たちも大方は正面から議論したがらない。彼らはヘタレにして卑怯な営業左翼・営業右翼に過ぎない。
等々。
★★☆

384:無名草子さん
14/06/26 01:28:53.79 .net
服部圭郎/洋泉社 新書y『道路整備事業の大罪』

著者はもともと本書のタイトルを『道路をつくると地方は衰える』にするつもりだったという。
実際そういうことを述べた本である。
世界的に先進国ではすでに脱クルマ社会化の方向に進んでおり、「道路を作っても地方都市が栄えることはない」
「高速道路を作っても結局は渋滞は緩和されない」というのは常識になっているらしい。車がなければ生活出来
ないようなアメリカですら、住民運動によってハイウェイ建設が中止されるなどの例が続出しているそうな。
逆に「道は車が走るところじゃなく人間が歩くためのものだ」という考えから、暗渠の上を走る自動車道を取り
壊し,清渓川を取り戻して住民はもとより世界から称賛されたソウル、ヨーロッパ最大の歩行者道を作って中心部
に人を呼び戻すことに成功したコペンハーゲンなど、興味深い実例がたくさん挙げられている。
東京が公共交通機関が発達していることが世界的に高く評価されていることもこの本で知った。

ボクは「こんな車だらけ、騒音だらけ、排気ガスだらけの国で文化もへったくれもないわな」との意を強くしたことであった。

385:無名草子さん
14/06/27 00:41:44.96 .net
↑★★

386:無名草子さん
14/06/27 00:42:44.46 .net
さわやか/星海社『10年代文化論』

くだらん。


387:無名草子さん
14/06/27 19:05:42.55 .net
もうちょっと頑張って書いてくれよw

388:無名草子さん
14/06/27 20:17:55.13 .net
どーもすいませんw

389:無名草子さん
14/06/28 15:53:58.77 90ZPst52h
今野敏/「精鋭」 現在朝日新聞で連載中の小説

朝日新聞という、どちらかというと権力側から一歩引いたスタンスでの
社会的批評を期待しがちなメディアだが、今回の連載小説が、まさに公権力
の手足となって職務を執行する警察官の物語であることに、新鮮さを覚えた。
 
警察学校や配属先でのでの正義感に燃える教官や上司の話などは、一般メディア
でも比較的扱い易く、ストーリーとしては穏当なものだが、興味を引き始めたのは
主人公の柿田が、現場での検挙や取締りに迷うシーンあたりからだ。

自らも、一人の不完全な人間として、他の人間を杓子定規に取り締まったり、検挙した
りすることに不安を覚える。あるとき、まだ新米である柿田のために教育係から、取締り
のコツを教えられる。住宅街での一時停止はたいてい完全停止はしないから、検挙し放題。
曲がりくねった細い道から直線になる道の脇にいれば、速度違反は入れ食い。

柿田自身も過去に羽目を外したことはいくらでもある。警察官とは、その気になれば、
こうした普通の人間の隙間につけ込んで犯罪者にしてしまうことができる職業なのだと、
柿田は自らの人生を振り返って、新人らしい素朴な自問自答を続けてゆく。

私は、こうした職責の重さと、執行する人間の自らの生き方と重ね合わせる誠実さの中で
いろいろな具体的な場面での更なる緊張や葛藤に出会う主人公の行く先に、深い関心と期待
をもって読み続けている。

今のところ、ストーリーは、走破訓練や射撃の要領、SATの試験入隊訓練など、厳しさや
その克服過程を描いたスポ根ものに近い印象の話に終始している。そのためか、当初のような
精神的な迷いを深めてゆくような内容からは遠ざかっており、やや、失望の感もある。

しかし、「精鋭」という題名にあるように、SATに入隊すれば、これからが、
本番のストーリーが始まるのかもしれない。サスペンスまがいの派手さだったり、
単純な勧善懲悪や底の浅い正義感よりも、それ以上の人間観察の深さに訴えるような
展開を期待している。

390:無名草子さん
14/06/28 20:26:05.02 .net
・・・って,なんで僕が謝らにゃならないのだろう。
今日もテキトウに行く。

コリン・ウィルソン『カルト』
カルト宗教の教祖は大ていひどく恵まれない育ち方をしており、友達はあまり作れないが子分を作
る能力は異常にある。
(※いい方に転ぶとジョン・レノン等。悪い方に転ぶとアサハラ、C.マンソン、ジム・ジョーンズ等々)
★★

斎藤美奈子『文壇アイドル論』
ちょっと文学に詳しい人間なら誰でも言える程度の事しか書いてない。岩波もこんなものをなぜハード
カバーで出すのやら。


内田樹『下流志向』
根拠らしい根拠もない至極いい加減な話を何故かしたり顔で語る地方私大の教員。
(後記:著者は憧れの人矢作俊彦に会った時「憲法は今のままでも自衛隊でじゅうぶん国防は出来る」
と持論を語って,あっさり「今のままじゃ相手が攻撃してこなけりゃ手も出せないんだぜ? あんたは
間違ってるよ」と切って捨てられていて笑った。)


三浦展『下流社会』
これも内田樹と同断。世間話のネタ程度にしかならないレヴェルのいい加減な若者論。


391:無名草子さん
14/06/29 19:48:47.29 .net
風間賢二/双葉文庫『ホラー小説大全』

ホラー小説の歴史をたどっている。この人はいつも,小説をいかにも面白そうに紹介してくれる。
僕はあんまり小説は読まないけれど楽しい。「ディーン・R・クーンツってアホな話考えるやつだなあw」
などと。
ブックガイドとしては優秀だ。文芸評論として見るとあやしげな部分も多いけれど,僕はただ読み物
として面白かったから良いのである。
★★★

392:無名草子さん
14/07/01 11:17:40.44 .net
久世 原案|春瀬ひろき 作画|トレンド・プロ 製作/オーム社『脱オタクファッションガイド 改』

タイトルに “改” とあるが,内容は前著よりさして新しくなっているところはない。
だから明らかに古くなっている記述も多い(ブーツカットのジーンズ,三つボタンのスーツ・・・)。
今回は所謂「萌え絵」の漫画でページを水増ししているが,これも実につまらない。

・・・というわけで,しごくいい加減でバカバカしい本であった。


393:無名草子さん
14/07/03 00:49:29.12 .net
新潮文庫『三好達治詩集』

春の岬旅のをはりの鴎どり浮きつつ遠くなりにけるかも

冒頭のこの一首と「甃のうへ」以外はどうもあまり大したものではない。
(「太郎を眠らせ ... 」は少しあざといと思う。)


吉田豪/新潮文庫『元アイドル!』

アイドルやっているような子はやっぱりみんな少し頭おかしい(またはおかしくなる)もののようである。
AKBはさて,ね・・・

394:無名草子さん
14/07/04 20:28:08.19 .net
水上はるこ/宝島社文庫『ドリーム・オン!』

『ミュージック・ライフ』には書けなかった話、という割りにこれといって大した話もなし。
(著者が一時ジャン=ジャック・バーネルと恋人同士だったというのは意外なエピソードだった。
 ・・・と言っても、これもさほど面白い話ではない。)


谷沢永一『「国民の教科書』絶版を勧告する』

著者は「つくる会」に私怨があるらしく、しつこく揚げ足を取り,重箱の隅をつついている。当然相手にされず。
まだ若かった頃のこの人の生きの良さを知るものとしては見るに忍びない気分にさせられる。

藤原正彦『心は孤独な数学者』

タイトル通り、心の欠落を埋めるために天才たらざるを得なかった人たちの心情に胸を打たれる。

藤原正彦/文春文庫『天才たちの栄光と挫折』

上記の本の増補改訂版といった処。アンドルウ・ワイルズがフェルマーの定理を解いていく過程が特に
スリリング。(腐女子の方はアラン・チューリングの章をどうぞ。)

群ようこ『おんなのるつぼ』
この人のことは悪く言いたくないんだけれど・・・この本もふつーのオバハンが愚痴っぽい世間話してる本。

ノーマン・マルコム『ウィトゲンシュタインの思い出』
ウィトゲンシュタイン入門するには、彼の奇妙な人間性を知っておいた方がいい。単なる読み物としても面白い。

395:無名草子さん
14/07/06 20:27:09.69 .net
唐沢俊一/三才ブックス『唐沢俊一のトンデモ事件簿』

 第三章、第四章に至ってやっとこの人らしい悪趣味だが奇妙に引きつけられる話になってくる。
 もともとファンではない人には推奨しかねる。

伊集院光/宝島社『の、はなし』

 別に面白い話は何もない。でも案外人気があるらしく続編が出続けている。誰が読むのやら。

和田秀樹/PHP文庫『受験は要領』

 受験数学なんぞは基本的な問題とその解き方を4~500丸暗記しておけば,後はその応用で殆どどんな
 問題でも解ける,という。それが本当でも,僕には数学なんて問題の意味すらわからないから無理だけど。

コリン・ウィルソン+ダモン・ウィルソン/青土社『世界不思議百科』

 オーク島の18世紀に掘られた謎の巨大縦穴など、世界の不思議なものに関心のある人には基本文献だろう。
 実に面白い。

396:無名草子さん
14/07/08 20:29:59.42 .net
永山薫/ちくま文庫『増補 エロマンガ・スタディーズ』

エロ漫画の単行本を全部読んでいた,という筆者ならではの包括的なエロ漫画史。
この手の本は僕は好きだが,広く皆様に推奨は出来ない。長すぎるし,もっと笑える本にだって
出来た筈だし。

 マチズモが崩壊する過程においては,「生意気なクソアマ」のみならず,女性であること自体が
 ヴァルネラビチティ(vulnerability=暴力誘発性)を帯びることになる。

こういう甚だ全共闘世代的な(あるいはいかにも東浩紀の盟友らしい)理屈っぽい文章を読むのが
苦痛でない人はどうぞ。
 
★★☆

397:無名草子さん
14/07/10 00:01:33.45 .net
 マーティン・ガードナー/ハヤカワ文庫『奇妙な論理』

意味不明な邦題で損をしているが,本当はと学会の先達のような擬似科学を平然と斬っていく愉しい本。
(もと社会思想社の現代教養文庫に入っていたものが版元倒産でこちらに版権を買い取られたらしい。
 定評のあるロングセラーだということである。)
★★★

木田元/文春新書『なにもかも小林秀雄に教わった』

内容を正確に言えば “主に小林秀雄に教わった本や音楽の思い出” と云ったところ。
それゆえこの人の著書にすでに親しんでいるのでない人には奨めかねる。
そもそも小林秀雄は < 最後はオカルト肯定に至ってしまう=哲学なんてガラでもない > 人である気がする。
★★☆

春日武彦・平山夢明/扶桑社新書『「狂い」の構造』

非常に面白い世間話(褒め言葉)。その上精神衛生の勉強にもなる。
★★★☆

398:無名草子さん
14/07/10 00:26:21.70 .net
アルジャーノンに花束を、読了

総合:★★★★☆
内容の濃さ:★★★☆☆
充実度:★★☆☆☆

世界的文学作品をようやく読んだ
読破した直後はテーマはわかってるがまぁそうだよな、ってくらいだったが
翌日、翌々日とかになって染み入るようにテーマに共感した
星の王子さまを読んだ時と同じような感じだった

399:無名草子さん
14/07/10 00:26:43.98 .net
海老原嗣生/扶桑社新書『「若者はかわいそう論」のウソ』

この本は門倉貴史『ワーキングプア』、玄田有史『仕事のなかの曖昧な不安』、城繁幸『若者はなぜ3年で
辞めるのか』などのベストセラーを論駁した本だというのでちょっと期待して読んだ。
でも面白くなかった。三氏への批判はまだしも,この人自身が提案する事はどれも単なる思いつきとしか
思われぬ。
フツーの読者は,最後に置かれたかの「反貧困ネットワーク」の湯浅誠氏との対談を読むだけで良いと思う。
一部要約してみる。

海:「若者はかわいそう」という風潮を煽る人が多過ぎる。実際はネットカフェ難民も製造業派遣も4~50代が多い。
湯:高齢者に貧困家庭が多いのは確かだ。しかし貧困のために実家を離れられなくて結婚も出来ない若者も非常に多い。
   しかもそういう人たちは統計上の数字にはあらわれない。公的な家賃補助制度が必要だ。
海:雇用促進住宅とかURの空き家合わせたら100万戸くらいあるはず。とりあえずそれを使ったらどうか。
湯:ボロ家や辺鄙なところにあるものなんぞ数にいれてもしょうがない。使えるのはせいぜい4万数千戸だ。
海:かんぽの宿を住宅に建て替えるとか能力開発機構の運動場にプレハブでも建てたら?
湯:やりたいけど実際は難しい。国はもう公営住宅を作る気がないし、地方自治体は「貧乏な人に集まってこられちゃ困る」
   と思っているし。
海:それは,勉強になるなあ。

海;日本の労組は既得権益を守ることばかり考え過ぎだ。
湯:それは一理はあるが、正社員だって住宅ローンその他抱えてかつかつで生きているのだから、そんなことを言っていても
   話は一歩も進まない。

・・・といった調子である。

★★

400:無名草子さん
14/07/10 00:58:51.90 .net
お前ら他人様の書いた本のレビューしてる暇あったら自分で1冊でも本出せば?
バカなの?
死ぬの?

401:無名草子さん
14/07/10 01:38:18.50 .net
それは以前書いた通りさ。

僕は4年前に「日本の原子力発電は近いうちに取り返しのつかない大事故を起こすだろう」とブログで予言した。
一昨年は「子宮頸癌ウィルスの予防接種など有害無益」と警告した。
去年は「NHKは “TPPに参加するとどうなるか・・・韓国はFTAに参加して関税が0になったおかげで工業製品の売り上げが30%も
伸びました” などと印象操作をしているが,そんなことは絶対に起こりえない。もともと安いのが取り柄で関税が50%以上も
かかっていた国と,高品質製品が売りで今現在でも15%しか関税のかかっていない国を比較する馬鹿があるかい」と指摘しておいた。

こんな東電に訴えられるであろうようなことを平気で書く人間の本を出す出版社があるかね?
出しても読む人がいるか?
ある/いるというなら連れてきてくれたまえよ,君。

402:無名草子さん
14/07/10 20:59:49.67 .net
小泉武夫/新潮文庫『これがC級グルメのありったけ』

この人のエッセイの本はどれもつまらなくはないけれど,どれを読んでも同じようなものでもある。
だから僕には同じ新潮文庫の『不味い!』が面白かった。この本でも美味かったものよりマズかったものの話の
方が面白い。

いや、うまいまずいなんてレベルじゃないな。小泉センセイは探究心が旺盛過ぎてもはや奇人の部類に入る。
「はじめに」を読んだだけでも、小学2年の時からすでに “へびいちご” や “あせびの花” を食べて食中毒を起
こした話が出てくるのだ。
へびいちごを食べた後は「激しい嘔吐におそわれ」あせびの時はこれに「痺れも加わって入院し,胃洗浄を受けた」
というのだからあまりシャレにならない。

で、これで懲りたかと思えばまったく懲りておらず,むしろ以後ますます「食べられるか食べられないかに異常に関心が
わき」「それに挑戦したい気持ちが気持ちが強くなりました」というのだから凄い。

・・・というわけでこの本は一読に値する。でもそういう人の言うことだから,あんまり真に受けるとヒドい目に会い
そうな気もする。沖縄の「ぴーじゃー汁」(=山羊汁)も「独特の山羊臭が鼻にきついですが、この汁の真髄といった
ものを知れば、あとはどんどん食べられます」などと書いている。
別に沖縄差別でもなく、かの東海林さだおも堪らず逃げ出したという猛烈な臭いのする山羊汁なんてものには普通
の人はそんなに簡単に「慣れ」やすまい。

★★★

403:無名草子さん
14/07/10 23:53:56.91 .net
殺戮に至る病

最後のどんでん返しが有名なこの小説、
一気に読もうとしたけど途中でグロテスク過ぎて気持ち悪くなって一日置いて再読したほどのシロモノ。
今は整理つかなくてなんとも言えないが二週目になったらまた改まった考えで読めるのだろう

★★★☆☆

404:無名草子さん
14/07/11 20:16:54.78 .net
紅山雪夫/新潮文庫『イスラム物知り事典』①

世界的にイスラム建築の美しさには定評があるらしい。この本で知った。
とは言っても僕は建物の外観よりも口絵にあるような内部の装飾の方にしか心惹かれないのであった。
ほかには多分似たものもないような、細かな幾何学文様・草花文様・アラビア文字の彩釉タイルやモザ
イクによる天井まで覆いつくした装飾。
(ドビュッシーのピアノ曲『アラベスク』などもこうしたものをイメージして書かれたに違いない。)
そのうちこの方面の美術書、あるいは実物を見てみたいものだ。

405:無名草子さん
14/07/13 20:01:10.79 .net

ムハンマドに率いられたメディナ・イスラーム軍との戦いでは、メッカ側は当事珍しかった騎兵隊を編成して出陣してきた。
普通なら馬など投入されたら一気に蹴散らされてしまうところである。
しかしムハンマドはペルシャ軍にいたことがあるという商人の建策を聞き入れ、町のまわりの騎兵隊の通りそうなところに
は空掘りを掘り巡らしておいたのであった。メッカ騎兵隊の馬はみんなこれに落っこちて、もたもたしているところへ次々矢
を射込まれて何の役にも立たなかったらしい。

…僕がなんでこんな事に興味を持つかというと、歴史の本を読んでいて馬を戦闘用に使った民族の圧倒的な強さに驚かさ
れたことが何度もあるからである。
たとえば中央アジアに住んでいたらしい古代アーリア人(所謂白人の祖の一)が馬に戦車を引かせる戦法を身につけるとイン
ドやペルシャをたちまち征服してしまった話。ケルト人も同様の事情で東ヨーロッパ、黒海近くの僻遠の地からあっという間に
西ヨーロッパまで広がった話。中国がなぜあんなに(隋・唐時代、あるいはもっと以前から元・清に至るまで)北方の騎馬民族に
征服されてばかりいたかと言えば、中国ではなぜか馬が育たず歩兵中心だったからであるという話。チンギス・ハーンの世界帝
国は言わずもがな、である。
中国も世界の三馬鹿に数えられる万里の長城なんぞより、滅多にない黄河の渡れるところあたりに空堀か水堀でも掘ってお
けば良かったろうに。
(「世界の三馬鹿」とは戦時中日本海軍内で自嘲気味に言われた言葉。ほかの二つは「ピラミッド、戦艦大和」だそうな。)

406:無名草子さん
14/07/13 20:15:18.90 .net
下関マグロ・北尾トロ/幻冬舎文庫『おっさん問答①おっさん傍聴にいく!』(前)

おっさんだろうと若い人だろうと面白けりゃ別にいいのだが、困ったことに北尾トロは今回妙に真面目だし下関マグロ
は明らかに裁判傍聴になぞ大して関心がない。たぶんこの対談後も傍聴なんて仕事でもなきゃしやすまい。
面白い裁判傍聴記読みたければ、阿曽山大噴火/河出文庫『裁判狂時代』『裁判狂事件簿』や(やや落ちるが)北尾トロ
文春文庫『裁判長!ここは4年でどうすか』『裁判長!これで執行猶予は甘くないすか』がいい。霞っ子クラブの本も大
して面白くないのでブック・オフかどっかでどうぞ。

ところでこの本にも誰が読んでも興味深い、というより腹が立つところがある。よく聞く話ではあるのだが、弁護士には
どうかと思うような人間がかなりいて、たとえば痴漢事件―下着に手を入れられ下腹部を触られた―の被害者女性に以下の
ような証人尋問をするのだ。

407:無名草子さん
14/07/13 20:16:27.33 .net
(後)

弁護士:私は個人的にはこういうことは訊きたくないのですが……デリケートな問題ですから失礼な質問をしてしまうかも
      知れないけれども、仕事ですから……。
      下着に手を入れられて、最初はお尻を触られていて、そのうち前に手がまわってきて、最後は下着の中に手が
      入ってきて,思わず叫んで捕まった、ということですが、大体何秒くらい? お尻に当たっていたのは?
被害者:わかりませんけど、1分か2分だと思います
弁護士:ああわかりました。それから前にまわってくる。それはいきなり前にまわってきたのか、ジリジリとまわってきた
      のか…
被害者:ジリジリという感じです
弁護士:じゃああなたは嫌だったらそこで叫ぶこともできましたよね?
被害者:いえ違います。怖くて声が出なかったんです
弁護士:そりゃそうですよね。いや失敬失敬

北尾トロ注:つまり弁護人は「気持ちが良かったんじゃないの?」という具合にもっていきたいわけ。思い出して泣き出して
しまう証人もいるよ。

弁護士:前に手がきて、怖いのであれば本当に体が固くなって両足なんかガシッと閉じますよね。なかなかその状態で下着に
      手を入れて触るというのはしにくい状態になるわけですよね?

北尾トロ注:「結局拒否しなかったんじゃないか」と言いたいわけです。

・・・まだまだ続くのだが胸くそ悪いので以下略。
まったく「仕事ですから」じゃないだろという話であり、弁護士としてどうとかと言うより人間としてどうか、という話で
ある。しかもこういう事実上(金のためなら)どんな依頼も安請け合いするような弁護士の話は珍しくないのだ。
こんなふうだから僕は弁護士や医者を「先生」などとは呼んだことがないのである。
★★

408:無名草子さん
14/07/15 19:59:13.81 .net
と学会/楽工社『トンデモマンガの世界2』

この本,山本弘や唐沢俊一の文章も載っているが、大部分は新田五郎という人が書いている。
この人は “評価の対象外となった漫画” の収集家で、同人誌・講演活動をやっているそうで,要するに
シロウトである。
まあなんでも面白けりゃいいのだけれど,あんまりお金が取れるレヴェルではない。
唯一新田氏自身も書いていて面白かっただろうと思えるのは「あり得たかも知れない未来世界でジャイ
アント馬場やカール・ゴッチやタイガー・ジェット・シンなどが見守るなか、アントニオ猪木と前田日明が数
時間に及ぶガチンコ勝負を繰り広げる」という、上川瑞徹作『格闘王伝説 Jr.WARS』なる作品の話だけ。


409:無名草子さん
14/07/17 00:09:42.08 .net
小原誠/文春文庫『探偵裏事件ファイル』

多分この小原という人は自分で書いていないと思う。そもそもこの本,本当にあったか事かどうかも
あやしい話ばかりである。
依頼の内容が「長女(20代後半)と子供の頃から仲が良かった父親が,先日一緒に酒を飲んで帰宅
して同じ部屋に寝ているうちに(なぜか)レイプしてしまい,それでその長女が行方不明になってしま
ったから探してくれと依頼してきた夫婦」とか。
「カツラをかぶっているのが周囲にバレていないか、バレているとしたら陰で笑われてやしないか調べて
くれと依頼してきた男」とか。
どうもバカバカしくていかんね。

この本が役に立つとすれば,ダメな探偵の見分け方・料金など、依頼する場合の一応の目安になること
が書かれていること、そして探偵になるにはどういう人が向いているか,が書いてあることくらいだろう
(これもどれほど信頼できる話やら)。


410:無名草子さん
14/07/17 00:31:01.78 .net
久繁哲之助/ちくま新書『地域再生の罠』 (1/Ⅱ)

著者は数多くの地域振興策の失敗例を挙げているが、私にはどれも当たり前のことのように思える。

●宇都宮109は4年も持たずに撤退した
   宇都宮の109に行くくらいなら、そりゃ東京渋谷の本家に行くだろうよ。
●中心街再生の切り札として建てられた「宇都宮表参道スクエア」からは撤退するテナントが続出
   これも当然だろう。大して人口も多くなく、みんな車で移動するのに,車では行きづらい地方
   都市の中心部に商業ビルを建てれば人が集まるだろうなんて,なんでそんなヘンなことを考え
   るのか僕にはわからない。(「表参道」・・・)
●松江市の天神町商店街は地域再生や地域活性化の成功例として数多くの書籍等に取りあげられているが
  実はイベント以外ではほとんど人っ子一人歩いていない
   それはそうだろう。地方都市で繁盛している個人商店は、スーパーでは手に入らない商品(特に食べ物)
   の店だけである。そもそも商店街なんてもう基本的に必要ないのだ。
●レトロ化で成功したと言われる長野市「ぱてぃお大門」や「昭和の町」を謳う大分県豊後高田市の商店街には
 見学の客は来ても店に入る人はあまりいない
   そりゃ店に入る理由は別にないこと上に同じである。川越の古い町並みを見るための「小江戸ばす」も同様。
   川越は長~い商店街が今でもあって面白いが、それ以外は江戸明治から続く街並みも車だらけだから歩くのも怖い。

411:無名草子さん
14/07/17 00:53:19.74 .net
(2/Ⅱ)

著者ももっと違うやり方があるはずだ、といろいろ提案し成功例を挙げてはいるのだが、残念ながらどれも
説得力があるとは言いがたい。例が特殊過ぎるのだ。

・「宇都宮はジャズのまちでかつ優れたバーテンダーの店がいくつもあり…」とか言われてもな。
  そんな金持ちの商売道楽みたいな店に本当に客が入っているのかしらん?

・「青森市では駅前に電車待ち用の “アウガ” なる商業ビルを建て、それ自体は赤字だが、そばに
  ある新町商店街と共存共栄が出来ている」というのもどうかな。
  一時間に一本しか電車が来ないところの話じゃあんまり参考にはなるまい。

・「皇居のまわりにある銭湯は、ジョギングをする人が汗を流す場として賑わっており」・・・って地方
  都市じゃないじゃん(あの辺に銭湯がいくつもあるとはオドロキだけど)。

そもそも著者の提案によって実際地域再生が出来たところの例を挙げるのでなきゃこういう本を書いても
しょうがあるまいと思うが、そういう話は出てこない。
著者はあちこち地方都市から地域振興・再生について講演を頼まれて行くそうだが、失礼ながらそれも地方
都市の役所の「私たちだっていろいろ考えてるんです!」という市民への言い訳のために利用されているだけ
ではないのかね、と僕は思ってしまった。
★★

412:無名草子さん
14/07/17 01:14:08.76 .net
森川嘉一郎/幻冬舎文庫『趣都の誕生 萌える都市アキハバラ』

著者によれば「秋葉原の変化は商業資本主導ではなくオタクの趣味の構造による集合であるところが
決定的に新しいのである」。
そうかも知れないけれど、だから何?


鎌田遵/岩波新書『ネイティブ・アメリカン』

彼らがいまだにこんなに悲惨な境遇だとは知らなんだ。(今更ながら)アメリカ白人はナチスより酷い。
★★★


清谷信一/講談社文庫『ル・オタク フランスおたく物語』

フランスではもう日本製アニメ・マンガは当たり前のものになっていて、これ以上の伸びは期待できない
らしい。
★★★

413:無名草子さん
14/07/17 01:21:46.17 .net
藤原正彦/新潮文庫『数学者の言葉では』

こりゃまたクソつまらないただの雑談。この人は数学以外のことを語るとまるで駄目。『国家の品格』
なんて問題外。


恵比須半蔵/彩図社『就職先はブラック企業』

パソコン教室、英会話学校、高速バス会社など、いかにもなところの話が多くてあんまり面白くない。
ただ、大企業でも実質ブラックな部署もあるというのは参考にならないでもない。
★★

414:無名草子さん
14/07/18 21:18:37.22 .net
司馬遼太郎 / 播磨灘物語

1巻 黒田官兵衛を題材に小説でも書いてみるか、まずは官兵衛の祖先から・・・(以下余談)
2巻 中国攻めを書くためには、まず信長のことから触れないと・・・、ああ・・・信長様サイコー
3巻 イカンイカン、官兵衛のことを書かないと・・・、でも秀吉のことも気になる
4巻 秀吉・・・、秀吉、秀吉秀吉秀吉秀吉秀吉秀吉ィィー!!(昇天)・・・ふう、え?官兵衛?ぶっちゃけ平凡な紳士だよね(あとがき)

415:無名草子さん
14/07/19 22:01:45.94 .net
猿猴
前半はまあ面白いのだが
後半大和神話、各国の神話などがばっと出てきて物語がだれてくる
設定上説明が必要なのはわかるが神の名前とかみんな似ててよくわからんわ
終始、主人公には共感できなかった

星ふたつ

416:無名草子さん
14/07/24 09:07:23.24 .net
呉智英+適菜収/講談社『愚民文明の暴走』(1/Ⅱ)

僕はもともと文学が専門みたいなもので,政治については勉強中。おまけに新聞もTVのニュースも積極的には
見ない。なので,この二人の言っていることについてはよくわからないところが多い。
(「橋下徹を政界に送り込んだ某漫才師」って一体誰のことだ?)

でもまあ,理解できた範囲のことを見たところでは,どうもあんまり大したことは言っていないと思われる。
(大意)「民主主義という制度そのものに疑念を持つ人が増えている」というのはその通りだろう。でもだからって
「投票するには選挙人資格試験をパスしないといけないという制度を作るべきだ。中卒程度の常識を問うのが第
一次試験」なんてのはどうかな。
なんだか高校生みたいな発想ざんすね。

417:無名草子さん
14/07/24 09:44:19.61 .net
(2/Ⅱ)
実は僕も似たような事を考えてはいるのだが,試験をするなら例えば「 “不景気だと言うけれど,お金掛け
なくても/経済成長しなくても幸福に生きていく方法を考えればいいじゃないか” という考えはなぜ間違って
いるか」なんてことを問うのでなければバカを篩い落とすことは出来ない,と思うな。
(答えはもちろん「それは資本主義の否定であるから」。)

この本は一方,「知識人業界の裏話・噂話」といった風なものとして読むことも出来るし,その方が面白いし
たぶん正解だ。このスレでも『ふしぎなキリスト教』について批判的に取り上げたけれど,その著者の橋爪大
三郎も大澤真幸も(二人によれば)とんでもなく愚かしい事を平気で書いているのだとか。
以前橋爪の『民主主義は最高の政治制度である』なんて「ずいぶん変な本を出すもんだな??」と僕も思った
のだが,やっぱりね。買わなくて良かったw

まあ当然ながら,他人を舌鋒鋭く批判したところでその分呉・適菜が賢いという証明になるわけでもないが
インテリ業界に関心のある人にはこの本,消夏読み物としてまことに好適であると思う。

★★★☆

418:無名草子さん
14/07/25 00:31:12.94 .net
小林泰三/光文社新書『日本の国宝、最初はこんな色だった』

マンダラが美術品として好きな人間は東大寺大仏殿の復元されたカラフルな内部見たら嬉しくなる筈。
(不思議と復元前のものの方がいいとしか思えないのもあるが)
★★★

俵万智/新潮新書『考える短歌』

シロウト投稿短歌を添削しているが、びっくりするほどへたくそな歌ばかりで読むに耐えず。


419:無名草子さん
14/07/26 10:34:17.08 .net
宮部みゆき/『火車』/新潮文庫
★×5

有名なのに読んだことなかった
これホント凄いわ
こんなに引き込まれる作品は久々

420:無名草子さん
14/07/27 19:44:51.72 .net
推定驚異

キモオタが大人の恋愛ってこんな感じ?って書いたような不快な小説だった

ミリオタならウケるのだろうか

421:無名草子さん
14/07/28 17:25:19.79 .net
夜ごとの闇の奥底で

タイトルに惹かれて買ったけど目茶苦茶面白かった
個人的に大好きな兄妹愛(ほんとは姉妹愛が一番好きだが)を書かれていてよかった
サイコサスペンス物

422:無名草子さん
14/07/30 20:11:13.75 .net
川合光/講談社現代新書『はじめての<超ひも理論>』

この本,はじめて読んだ時は正直ちんぷんかんぷんであった。まあそれは仕方のないことである。
なにしろ著者は大学の教科書としても使えるように書いたというのだから(僕は物理なんて高校1年
の時既に落ちこぼれであったのだ)。
しかし僕はなぜかその後徐々に宇宙論、相対論、量子論にはまって行き、数冊易しい本を読んだ後
最近になってこの本のことを思い出して再読してみたら・・・うーん、こりゃ面白い。既に大統一理論(強
い力・弱い力・電磁気力を統一した)は確立しているのは知っていたが「超ひも理論」によって重力をも
加えた“超大統一理論” が導ける可能性がある,すなわち宇宙のすべてを記述可能な根本理論が成立間近
らしい,なんてことを聞くと、マヌケな話ながら「こんなすごいことを言っている本だったのか!」とわくわく
してしまった。
とは言え超ひも理論そのものについては私はこの本ではじめて知ったようなもので、理解したとはとうてい
言えない。そもそも数式が読めなきゃ本当にわかったことにはならないようであるし。
まあこっちはシロウトであるから,何だって面白きゃいいのである。

★★★☆

423:無名草子さん
14/08/01 20:10:32.88 .net
今野晴貴/ちくま新書『生活保護 ―知られざる恐怖の現場』

吉本芸人なんぞ叩いて溜飲を下げている場合ではないのである。生活保護は受けるも地獄,受けないも地獄なのだ。
自動車すら持てず,お金に換えられるものはすべて処分せねばならず,住むところだって安アパートに引っ越さねば
ならなかったりする。再就職だってろくすっぽ出来やしないのである。

ここ数年,生活保護を打ちきられ,あるいは申請することすら拒否されて,餓死・孤独死する人が続出しているのだ。
'13年にはさらに生活保護を受けにくくする法案が成立してしまった。こんな国民の命の安い “先進国” がどこにあろう?
“集団的自衛権” もへったくれもあるものか。

しかも国民も役人も政治家もそれを何とも思っていない,というのが問題だ。これでは「食料も燃料も補給してやらない。
現地調達で戦争をやれ」で,東南アジアで何十万人もの兵隊が餓死してしまった時代と本質的に同じことである。

日本人の劣化が激しい。年金制度改革どころか生活保護の切り捨てとか,国も国民ももう節約主婦的な発想しかできなく
なっている。消費税率をちょびちょび引き上げるだの,切り詰めてはならないものまで切り詰めて「何もしてないわけじゃ
ない」という言い訳に使おうというのだ。
「明日は我が身」とはこのことである。

★★★★

424:無名草子さん
14/08/07 02:48:25.56 .net
増田悦佐/PHP研究所『「景気は操作できる」と思っているエリートたちの大間違い』(1/Ⅲ)

僕も政治家や役人や経済学者に経済を良くする能力がある,というのは何かの錯覚だと思う。
アベノミクスなんてものでなぜ日本の景気が良くなると思うのか不思議である。

通産省が「アメリカの要求を巧みに躱しつつ日本の産業を育ててきた,などというのも(高橋洋一氏が言う
通り)事実はむしろその逆である。「自動車業界を再編してアメリカのように寡占市場にすべきだ」などと
要らぬお節介を焼くのがせいぜいだ。

以前も書いた通りで,立花隆はなぜ「日本を経済大国にしたのは大蔵省」などと世迷言を言っているのか。

宮澤喜一は「戦後最もよく経済がわかっていた総理大臣」(孫崎享)というのは本当かも知れないが,実行力
のある政治家とはとても言えない。だから賢くても何にもならない。

田中角栄は志も能力も実行力もあった人であるが,増田氏も言うように「だからむしろ始末に悪い」ようなもの
である。

経済学者などいちいち言うも莫迦らしいようなものだ。

425:無名草子さん
14/08/07 09:13:08.22 .net
(2/Ⅲ)

しかし >383 にも書いたように,増田氏が熱く語っているのはむしろ「アメリカの現状には我慢がならない」と
いうことである。経済一般の話のはずが,しょっちゅうアメリカのエリートや金持ちに対する批判の方へ
ずれていく。そしてその方が面白い。例えば―

・GMは近い将来再び破綻するだろう。なぜなら何も変わっていないから。安くて良いクルマを作る方向にも
 行っていないし,経営合理化も何らしていない。アメリカ政府のやったことは,税金8兆円をGMに注ぎ込み
 その後売れもしない車を増産させ,経営が上向いたように見せかけて株価を釣り上げ,その後GM株を売り抜けて
 「1兆円損しただけで済んだw」・・・という茶番劇だけである。
 貧しくてガソリンも買えない若者も増える一方であるし。

・採掘するだけでもひどく手間のかかるシェールガスなど高くつくから使い物にならない。そもそもアメリカは何を
 するにもクルマ=石油に依存しすぎているから,景気の良い企業・業界があっても国全体はちっとも豊かには
 ならないように出来てしまっているのだ。

・・・等々。

426:無名草子さん
14/08/17 20:26:33.40 BE:564952376-2BP(0).net
(3/Ⅲ)

ところで氏はケインズまでも否定して「デフレは庶民の味方なんだから無理に景気を良くしようとする
必要はない=生産調整が進めば自然と景気は上向く」というのだが,これは違うと思う。今の日本は明
らかに単なるデフレではなく,社会が急速に変化しつつあるからである。僕のまわりでもろくな就職
口がなくて就職浪人している人間が続出しているし,各企業が人件費を削って利益率を上げる方向に
動いているのは間違いない。おまけに焼石に水の消費税率引き上げ等々,政府の無能っぷりも酷い。

427:無名草子さん
14/08/17 20:29:32.48 BE:564952376-2BP(0).net
(おまけ)
ということは,何らかの対策を立てない限り,栄えるのは貧困ビジネスやブラック企業であるのは明白であろう。

思うにケインズ経済学が悪いのではない。ニューディール政策のおかげでアメリカが不況から立ち直ったというの
は確かに眉唾ものだが,上手くやれば効果はある。良いお手本もある。ナチスである。
増田氏には武田知弘/祥伝社新書『ヒトラーの経済政策』を一読されるようお奨めする。

★★☆

428:無名草子さん
14/08/19 20:14:06.80 BE:564952376-2BP(0).net
W.ソウルゼンバーグ/文春文庫『捕食者なき世界』(1/Ⅲ)

“緑の世界仮説” というのがあって,これは「オオカミやらライオンやら,その土地の食物連鎖の最高位に
あるもののおかげで世界は緑を保っていられるのだ」という話である。
二本にいるとピンとこないが,これはまあ考えてみれば当たり前の話ではある。いや日本だって,猿や猪の
所為でどれだけ里山が荒らされているやらわからない。猿の場合は大型犬を放てば済むのだが,今は法によ
ってそれが出来ないのだ。

429:無名草子さん
14/08/19 20:16:25.57 BE:564952376-2BP(0).net
(2/Ⅳ)

ましてライオンのいなくなったアフリカでのマントヒヒの好き放題な暴れっぷりや,アメリカのピューマや
狼が人間に駆逐された地域での鹿や羚羊による自然の荒廃ぶりは本当にひどい。
この本はそのアメリカ各地にオオカミやピューマ(ベーリング海峡を渡ってアメリカで独自の進化を遂げたライ
オンだ)の再導入の記録である。

430:無名草子さん
14/08/20 18:28:14.19 .net
(3/Ⅳ)

この本,動物学にも生態学にもアウトドアにも格別関心のないボクが,なぜだか巻措く能はざる勢いで読んでしまった。
まるで生物学的戦争SF画のように。
それは多分,最近うちの近くにもアライグマが出没したりして生態系が根本的に崩れつつある,という危機感がボクの
どこかにもある,ということだろう。
「このままではこのあたりの田舎の里山も,草食動物も食わない葛やいばらばかりの世界に変っていってしまうかも
知れない・・・」。

431:無名草子さん
14/08/20 18:36:14.73 .net
(4/Ⅳ)

「生態系が壊れつつあるといっても,定期的にめぐってくる “地球の生物の大量絶滅期” に較べたら
大したものではない」という人もいるが,そういうことではないと思う。ボクの考えでは今全地球で
砂漠化が進行しつつあるのだ。そしてこれは人間が自らを滅ぼしつつあるということでもある。
たとえば古代に於いてはほとんどが森林地帯だったヨーロッパも既に長い農業時代のせいで土地が塩化
しつつあるのだ。

いつも思うことではあるが,そして頭のおかしい人みたいではあるが,「人間にも捕食者が必要なのでは
ないか?」と今回も考えさせられたことであった(『進撃の巨人』? いや,ああいうものではなく。)

★★★★

432:無名草子さん
14/08/20 19:18:43.13 .net
竹内薫+竹内さなみ/中公文庫『シュレディンガーの哲学する猫』
原作:同+新崎三幸:漫画/イーストプレス『シュレディンガーの哲学する猫』

“知的アクセサリー” と云ったものの典型のような本。
これを読んだだけで哲学が分かった人がいたら,間違いなくその人は天才だ。



433:無名草子さん
14/08/21 08:10:23.43 .net
船山信次/中公新書『毒と薬の世界史』

「毒」も「薬」も「世界史」も漠然としているが.三つ合わせても扱う範囲が広過ぎで掴みどころがない。
特に何を書きたかったのかも判然としない。

僕は長いこと「死刑執行の時ソクラテスが飲まされたという “毒ニンジン” というのはどんなものなの
だろう?」と思ってきたが、それについての著者の説明が “一種のアルカロイド” だ,というのだから
困ってしまう。
そりゃ当たり前である。植物の薬効成分=毒性のある成分のことをアルカロイドと言うのだから。
どうも馬鹿々々しくっていかんね。



434:無名草子さん
14/08/24 20:13:16.06 .net
大槻ケンヂ『グミ・チョコレート・パイン』

グミ編は面白い。でもチョコレート編,パイン編と書くのに間を置き過ぎて流れが悪くなり,終わりの方は
少なからずぐだぐだ感あり。
★★☆

小林誠/講談社ブルーバックス『消えた反物質』

たぶん院生レベルを想定して書かれている。僕には今のところまるで歯が立たないので評価なし。

幻冬舎新書『25人の偉大なジャズメンが語る名盤・名言・名演奏』

意外に皆色々な音楽を聴いたり演奏していたり、非常に真摯な姿勢で音楽に取り組む人が多くて感心
する。 まぁクスり好きのジャズメンだって多い筈だし、少々キレイ事過ぎる気もするが。

森田ゆり/岩波新書『子どもへの性的虐待』

この本は記述が具体的かつ適切なのでこういう問題の日本に於ける基本文献になるだろうと思う。
但し終わりの方、精神分析なんて持ち出したのはいただけない。無駄に話がややこしくなるだけ。
★★★

435:無名草子さん
14/08/26 20:33:03.90 .net
竹内薫/晋遊舎新書『バカヤロー経済学』

日本の政治経済を理解するには,この本は絶対に読んでいなければならない。なぜなら経済学や政治の主張に
ついてどんなに良く理解していたところで財務省キャリアがそれらを好き放題に骨抜きにして省益・私利私欲
を守るやりくちを知らなければ無意味だから。
実はこの本,例のつまらないスキャンダルのせいで名前が出せなくなったらしいが,高橋洋一氏との対談本で
ある。財務省出身の氏がその功名かつ悪質なやりくちやしくみを徹底的に暴いている。その点,テリー伊藤の
『お笑い大蔵省極秘情報』も貴重なものだが,あれは読んでいると頭痛がしてくる。こちらはむしろあまりの
ことに笑いたくなるくらいのものだ。そもそも氏や植草教授や本間教授,中川昭一氏が巻き込まれたスキャン
ダルからして明らかに不自然な話なのは見ればわかるし,この本を読めばもっとよくわかる。

これでは(以前書いた原子力発電関係者に限らず)政治家や官僚の世界もあんまりまともな人間が関わりたがる
ようなものではない。日本国民は一度はこの本を読んで絶望せねばなるまい。そうでなければ何も始まらない。

★★★★★

436:無名草子さん
14/08/28 07:44:22.17 .net
筒井康隆/岩波現代文庫『文学部唯野教授』

こんなんで批評理論がわかるわけはない。小説としても大した話はない。
まあ文学理論だの文系大学教授の実態だのいうような “知的”な世界を垣間見てみたいという
(今どき奇特な)人はどうぞ。調子の良い語り口だから読んで退屈はしない。

この方面でもう少しまともな本が読みたい人は,テリー・イーグルトン/岩波文庫『文学とは何か
―現代批評理論への招待(上) 』を。左翼嫌いでければ,ですが。

★★

437:無名草子さん
14/09/01 22:01:36.89 .net
高嶋ちさ子/PHP新書『ヴァイオリニストの音楽案内』 Ⅰ

この本は面白い。と言っても音楽案内として特に優れているという訳ではない。面白いのはむしろ著者の
人柄である。ものの言い方が奇妙にあけすけで子供みたいなのだ。たとえばハイドンについて:

交響曲の父と呼ばれたハイドンは百四曲というぼうだいな量の似たような曲(失敬! ((^┰^))ゞ)を残しています。

などと書く。まあそうなんだけど…

ベートーヴェン交響曲第五番について書くのに、先づベートーヴェンの風貌について:

実際の彼は身長は160cmそこそこ、あばた顔に丸くて低い鼻と短い首、その上不器用で髭を剃るたび顔中血だらけに
していたのだとか。音楽家につきものの恋の話も少なく、生涯を独身で通したというかわいそうな男性なのでした。

…エートまあそれはそうなんだけど、天国のベートーヴェンが聞いたら「誰が“かわいそうな男” じゃ、コラ」と苦情を
言ってくるであろう。

438:無名草子さん
14/09/01 22:03:12.64 .net


もう一つ、これは知ってる人は皆知っているのかも知れないが、私には驚きだった。『水戸黄門』のテーマ曲につて:

一般のクラシック愛好家でない方は、もしかしたらラヴェルの《ボレロ》を聴いて「これって水戸黄門のパクリじゃん」と
思いかねないですよね。もちろんメロディは違うんですけど雰囲気がね~。

いや、リズムが3拍子→4拍子になってるし,それはないと思うけど…うーん、言われてみると確かに似てるなw

こうしたわけで、本のオビの「読めばきっと高嶋さんとクラシック音楽が好きになります!」(恵俊彰)というのも
古典音楽はともかく高嶋女史についてはあながち社交辞令ばかりでもない気がするのであった。

★★★

439:無名草子さん
14/09/01 22:38:43.72 .net
この夏、谷崎潤一郎の『細雪』を読みました。
最初はだるかったけど、途中からどんどん惹き込まれて行きました。
あれだけ社会の風習や価値観が違うのに魅了されてしまうのは、
さすが文豪のなせる業なのでしょうか。
次は、源氏物語を読んでみたいです。

440:無名草子さん
14/09/02 15:04:39.25 .net
大谷崎現代語訳の『源氏物語』を読むのかな。原文はむつかしいし,全体が長過ぎるから
良い選択ですね。
僕は国文科出だけど,原著を岩波文庫で読んだらほとんど注釈らしい注釈も現代語訳も
ついていないから,ほとんど意味が読み取れませんでした。
文学に限らず,古典は岩波文庫で読んじゃ駄目ですね。

441:439
14/09/04 18:28:50.21 .net
>440
谷崎訳の源氏物語を読んでみようと思っています。
なんでも細雪は源氏物語の影響を受けたとか。
日常生活の些細なことを書いているのに魅力的な小説でした。

谷崎の源氏物語は比較的難しいといわれていますがトライしてみようと思っています。

442:無名草子さん
14/09/06 06:04:59.10 .net
>>436
あれは『感想』レベルの内容を『評論』と言って筒井を叩いてた奴らへの皮肉だからね
日本沈没を受けて日本以外沈没書いたのと同じよ。ジョーク

443:無名草子さん
14/09/06 19:59:25.12 .net
そうかな。
まあいづれ真剣な顔して読むようなもんじゃないのでしょうね。

444:無名草子さん
14/09/06 20:08:03.37 .net
野村哲也/中公新書『パタゴニア』

この本,書店で見かけて「僕はインドア派だけどNHKの秘境探検番組なんかは好きだしな」と思って買って読む。
確かに世界でこんな清潔感があって美しいところはほかにあんまりあるまいと思う。
でも僕は風の強いところはイヤだな。空っ風の本場に育った人間はついそう思ってしまう。
そしてこの間NHK視てて気づいたのだが、僕はメキシコの荒れ地やアラブの砂漠を美しいと思ってしまうような
割合ヘンな感受性の持ち主であるらしい。でも実際にそんな寒暖の差が大きいところへ行ったら,一日で音を
上げるに決まっているな。やっぱり本やTVで見るだけにしといた方が良さげである。

★★★

445:無名草子さん
14/09/07 20:22:24.96 .net
古田博司/ちくま新書『ヨーロッパ思想を読み解く ―何が近代科学を生んだか』

「日本人にとってはこの世の反対側は全部異界だが,西洋人にとって向こう側とはこの世に属しながら見え
ない世界=我々の五感でとらえられない世界を指す」などと著者は言うが,これでは何もわからない。
たぶん,たとえばデカルトの「理性でとらえられるものだけが実在する。なぜなら理性によってとらえられない
ものは明確に存在するとは言えないからである。その正しさは神によって保証される」という奇妙な循環論
のことなどを言っているのだと思われる。
あるいはニュートン力学の基礎となった考え―この宇宙は神が作った以上,神の定めた理法があるはずだ
―といったような。
でもこういうのは,こちらにある程度の素養がなかったら見当もつかないことである。
その上著者はまるでこうした奇妙な考えをする西洋人の方が偉い,と言っているかのようでもある。
どうも馬鹿々々しくっていかんね。



446:無名草子さん
14/09/24 12:56:10.23 .net
小浜逸郎/PHP文庫『なぜ人を殺してはいけないのか』

「人は何のために生きるのか」「売(買)春は悪か」等,10の倫理問題が取り上げられている。
たとえば「なぜ人を殺してはいけないのか」については小浜氏自身も言うように,結論が平凡ながら
しかしそれでじゅうぶんな気が僕もした。

でも僕は主として「死刑は廃止すべきか」の項が読みたかったのだ。そして読んで良かったと思った。
廃止派の主張について―

・冤罪だった場合散り返しがつかない → 「だから冤罪をゼロに近づける方法を模索するべきだ」なら
 わかるが「だから死刑なんて廃止してしまえばいいんだ」などというのは理屈になっていない。
・死刑は残酷だ → ならばできる限り残酷でない死刑の方法を考えよ,というのが筋である。そもそも
 被害者はもっと悲惨な目に会っているのに何を言っているのか。

・・・等々。
僕は溜飲が下がった。

★★★☆

447:無名草子さん
14/09/24 12:59:03.14 .net
今泉忠明/ソフトバンククリエイティブ サイエンス・アイ新書『猛毒動物 最恐50』

捕食者と言えば・・・
以前高知の漁師町育ちの西原理恵子が「法螺貝がいなくなったからオニヒトデ増えて…」などと
漫画に書いていて,僕は意味がわからなかったのだけれど、この本によると法螺貝というのは
平気でオニヒトデを食ってしまうらしい。
また、キングコブラの主食はなんとヘビで、毒ヘビでも平気で食うというのでちょっと驚いた。

大体猛毒生物の話というのは妙に面白いものだけど,この本も美しい(かつ不気味な)カラー写真
が豊富で楽しい。

★★★☆

448:無名草子さん
14/09/24 13:24:25.73 .net
ウィリアム・ソウルゼンバーグ/文芸春秋『ねずみに支配された島』

>428 とは逆に,これは “いてはならない場所に人間が持ち込んだ捕食者から固有の希少・貴重動物を
守れ” 大作戦の話である。その捕食者は,鼠,山羊,猫等々,どこにでもいるような動物ばかり。人間
が持ち込んだんだから当たり前だし,別段彼らが悪いわけではない。ただその場所で生きて繁殖しただけ
だ。
だが,ベーリング海の島々でネズミたちが希少な海鳥を次々襲い,脳を喰らい,習性によって大量の死体を
溜めこんで腐るままに放置し・・・といった痛ましい描写を読んでいると,義憤のようなものを感じずにはいら
れない。
また口絵写真にあるニュージーランドの飛べないオウムの一種のヘンテコな鳥カカポがのん気そうに歩いて
いる姿も狐の所為で見られなくなるとしたら僕は非常に悲しい。
上記と下記のように,生物は多様でなければ人間も地球も荒廃の一途だということもあるし。
だから僕は “ネズミだけに効く毒餌を開発し,ヘリポクターで撒き,全滅させるのに成功し・・・” といった
話にはまるで戦争アクションものSFのような興奮を感じてしまうのだ。

いささか不謹慎な気もするし,一番悪いのは人間という気もする。でも私には面白いんだからしょうがない。

★★★★

449:無名草子さん
14/09/24 13:30:19.56 .net
モイゼス・ヴェラスケス=マノフ/文藝春秋『寄生虫なき病』(1/Ⅱ)

以前中国人はよく食べる割に太った人がいないのはなぜかと言うと,まだ寄生虫持ってる人が多いせいだと聞いた。
「さもありなん」とも思ったが,「どうも変だな」とも思う。寄生虫が人間から横取りする熱量なんてたかが知れている
から。

先日うちの大学生の姪がⅠ型糖尿病(自己免疫疾患)だと診断された。僕みたいなジジイは「昔はこれやアトピー,喘息
の子供なんてあんまりいなかったけどなあ?」とよく思う。

歯磨きは食べる前にした方が良いらしい。理由は食べた後すぐ磨いて歯の汚れや細菌を洗い流してしまっては免疫が働く
余地がないかので,しまいに仕事怠けるようになるから。

お風呂も石鹸使うのは一週間に2回くらいでじゅうぶんらしい。それ以上になると,これまた免疫の仕事を奪ってしまう
のでかえって風邪を引きやすくなったりするのだそうな。

450:無名草子さん
14/09/24 19:50:00.39 .net
(2/Ⅱ)

何の話をしているかと言うと,それほど免疫の働きというのは微妙なものだということ。だから僕は
この本の著者がアレルギー治療の一環としてわざと寄生虫の卵を飲んだ話を聞いてもあんまり驚かな
かったのだ。
しかし別に寄生虫飲めばアレルギー,喘息,糖尿病等が治るとかいったような単純な話ではない。腸内
細菌叢や寄生虫や,果てはピロリ菌に至るまで体に害ばかりとは言えず,むしろ僕達の体は彼らのもの
でもあり,彼らと免疫細胞の闘争と友好の上に健康というものは成り立っているのだ,ということに多
くの人々が気がつき始めている,ということである。巻末の福岡伸一の言葉を借りれば,この “動的均衡”
が先進国では揺らいでいるせいで未開人には見られないような自己免疫疾患が急増しているのだ。
病原菌を突きとめることよりも,今後はこの “「不在」による病” の究明にわれわれの運命は懸っている。
病気のことだけではなく,多分吾々人類および地球環境全体の未来が,である。

★★★★

451:無名草子さん
14/09/26 09:14:29.01 .net
岩波明/新潮文庫『心に狂いが生じる時』

この本は明らかに自分で書いたものではない。たぶん喋ったことをライターが文章にしたものである。
普通もともと物書きでもないのにこんなふうにセンテンスが短くて歯切れが良くて読みやすい,即ち手
慣れた文章を書く人はいない。それでも面白けりゃ別にいいのだが,この本は結局何が言いたいのか
わからない。馬鹿らしいから第二章まで読んでやめた。



452:無名草子さん
14/09/26 18:10:56.46 .net
突然の結論。それに至る根拠は不明。
もしかしたらこれが根拠か?と思える箇所を探し出し
原書に当たると曲解としかいいようがない恣意的解釈。
結論と根拠が離れ離れ、どれが根拠かも明確でなく非常に読みづらい。
説明不足。評価を見ても著者は誤解しているなどとまである。。
このような読んでて疲れる、頭に入ってこない、
読まれることを拒絶しているかのような文章。
もしや?と思い著者の経歴を見ると
だいたい外国語大出の人であることが多いという法則に気づく。

453:無名草子さん
14/09/29 20:33:48.12 .net
仁藤夢乃/光文社新書『女子高生の裏社会 「関係性の貧困」に生きる少女たち』

JKリフレや所謂お散歩ビジネスに堕ちた少女たちに取材した本。確かに憐れをさそう娘たちだ。
でも著者は「私達は少女たちを救うために援交おじさんたちのしつこさを見習わうべきだ。めげずに
声をかけ,裏切られても諦めずに伴走し続けなければならない」と著者は言うが,そんな事はフツー
の人間には無理。僕も(子供ならまだしも)そこまで他人の人生には関われない。
それにこれはいたちごっこでもある。“アイドル” が握手会ビジネスなんてものを平気でやる時代だもの,
「秋葉原観光案内は誇りの持てる立派なビジネス」なんてズレた事を本気で言うような女子高校生が
出てくるのも致し方ない事というもんである。

★★★

454:無名草子さん
14/10/02 03:12:14.47 .net
町山智浩 / 集英社 『 トラウマ映画館 』

町山が十代のまだ初々しかった頃,TVなどで観ていろんな意味でどきどきした洋画について語っている。
何にドキドキするのかと言えば,性的なこと(『尼僧ヨアンナ』『早春』),人種差別/虐待(『マンディンゴ』),
キ〇ガイ(A.パーキンス主演『可愛い毒草』),貧乏白人の身も蓋もない現実(『ロリ・マドンナ戦争』)など
である。
正直今となっては観てもたぶん大して面白くないであろう映画が多い。でも私は町山と年齢が近いので『悪魔
のいけにえ』など観て「アメリカの映画ってスゲえ…」と呆然としたりした頃のことが思い起こされて懐かしくも
嬉しくなってしまったのだった。

★★★☆

455:無名草子さん
14/10/06 09:17:42.28 .net
高橋洋一+竹内薫/インフォレスト『鳩山由紀夫の政治を科学する』

この本は『バカヤロー経済学』の続編である。タイトル見ればわかる通り,2009年刊の古い本。でもまだ新刊
本書店で買える。つまそれほど面白く貴重な本だという事である。例こそ古いが,政治家(そして政治家)の言う
事する事の裏にある真意,あるいは魂胆が事細かに暴かれている。

尤もらしく国民のためを装いつつ,実は自民党の支持層を弱体化させ,民主党の支持基盤を固めるやりくち。
鳩山内閣の閣僚の選び方に隠された小沢一郎の隠然たる支配力・影響力,等々。

一方,「八ッ場ダム工事はマニフェストにやめると書いちゃったからやめる」だの「CO2大幅削減をサミットでの
演説でぶち上げたけど,高速道路は無料化する」などと明らかに勢いでバカげたことを言ってしまうような考え
のなさ。

今回政治家も財務官僚同様あんまりまともな人間のする事じゃないということがよくわかって,しまいには笑う
しかなくなる。

★★★★☆

456:無名草子さん
14/10/06 19:36:01.27 .net
間違えた。“(そして官僚)”。

457:無名草子さん
14/10/07 09:42:30.71 .net
岩田靖夫/ちくま新書『ギリシア哲学入門』(1/Ⅱ)

この著者は最近まで一般向きの著書が少なかったので「知る人ぞ知る偉大なヨーロッパ哲学研究者」と
いった扱いらしい。けれども僕にはこの人は「正義」や「愛」や「道徳」が大好きな熱心なキリスト教賛美
者≒プラトン主義者であって,哲学的センスといったものを持った人間とは少しも思えない。
「自分はクリスチャンである」とは言ってはいないが,この本でも岩波ジュニア新書『ヨーロッパ思想入門』
でも,この人がイエスやソクラテス/プラトンやレヴィナスについて語る時,その口ぶりは実際のところ「論
ずる」と言うよりは全くの「賛美」である。
「ヨーロッパ哲学がキリスト教とプラトン哲学を主たる源泉にしている」というのは正しいが,そんなことは
誰でも見りゃわかることである。

458:無名草子さん
14/10/07 10:02:21.39 .net
(2/Ⅱ)
だが,僕は永井均とともに「 “よく生きる” やて? それがなんぼのもんや?」あるいは「ソクラテスは
『国家』の中で“何があろうと道徳的に生きることが一番幸福なのだ” ということをむやみとひつこく
証明しようとしているが,それは全く成功していない」と思う者である。
また僕は「哲学」よりも木田元のいう「反哲学」の方に0共感するものでもある。そして齢を取るに従って
つくづく「キリスト教というのは禍々しく絶望的な感じのする嫌な宗教だなあ」と思うようになっている。
従ってそういう視点がまったく欠如しているこの著者には,尊敬よりも珍獣を見たような気持ちにさせられ
たのであった。(※個人の感想です。)

一方著者はたとえば老荘思想についても「すべての人は兄弟姉妹だということなのです」などと奇怪な解説を
しているが,『老子』や『荘子』のどこにそんな事が書いてあるというのだろう?
柄にもないことについては沈黙しなければならない。僕は辟易して途中で放り出した。




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