【レビュー】読み終わったら書き込むスレ【感想】at BOOKS
【レビュー】読み終わったら書き込むスレ【感想】 - 暇つぶし2ch250:無名草子さん
14/02/14 20:27:46.27 .net
(終)
①~③に述べたような事がただちに見て取れないようでは,新聞TVその他を“マスゴミ”呼ばわり
したところでそれはどっちもどっちである。伝える阿呆に真に受ける阿呆といったものだ。

かくしてぐっちー氏の本など読まなければ,即ち経済のことは実際にお客のお金の運用ができる人
に聞かなければ何もわからぬのである。

ついでに言えば山口氏はすでにお客の資金は全部中国から引き揚げさせたそうな。中国バブルは崩壊
間近ということだ。そして消費税率引き上げで日本は戦後最悪の不況に落ち込んで行くだろうが,財
務省キャリアたちはそれは「想定の範囲内」というつもりなのであろう,と山口氏は言う。
残念ながらどちらの予想も当たるだろうと僕も思う。

251:無名草子さん
14/02/15 22:03:38.58 .net
伝え方が9割…この本を読むあなたは素晴らしく云々って

早よ本題出せや!って苛々くる書籍で大したことは書いてなかった

買って非常に損した作品

252:無名草子さん
14/02/16 11:37:00.75 .net
林真理子「世紀末思い出し笑い」文藝春秋

エッセイ集、著者が有名人と会って旅行、会食した話が多め
一番興味が湧いたのは郷ひろみが出した本はゴーストライターが書いたって話かな
★★☆

253:無名草子さん
14/02/16 17:37:38.63 .net
>>243
これはひどいwww
まそうだろうなと90年代から予想はついたが

254:無名草子さん
14/02/16 17:39:31.34 .net
>>250
経済ってちょっと読めばわかるもんなんですか、かんたんなんですね

255:無名草子さん
14/02/17 16:09:35.80 .net
んな事だれも言うてへんがな。

256:無名草子さん
14/02/17 16:23:55.11 .net
>>252
「盲亀の浮木」「優曇華の花」なんて必要もないのにむやみとむつかしい言い方をしたりとか,あのヘンテコ
な文章はライターがわざとあんなふうに書いたんだって話かい? それはちょっと信じ難いな。

257:無名草子さん
14/02/17 16:55:22.67 .net
今井むつみ/岩波新書『ことばと思考』

“サピア=ウォーフの仮説”というのがあって、これによれば「言語がなければ自然/世界は人間にとって
まったくの混沌である」と云った意味のものである。
ソシュール(この本では触れられていないが)によれば,「言語以前の人間の思考は星雲のようなもので
そこには必然的に区切られているものは何もない」という。

僕はこういう考えがどうにものみ込めず,長年首をひねり続けていた。だっておかしいではないか?
もし彼らの言う通りなら一体言語というのは誰が作ったのやら,どこから生まれてきたものやら全く
不明としか言えまい。

この本の著者は奇妙にウォーフ仮説に好意的だけれど,彼女が行ってきた数々の実験の結果は明らか
にそれを否定しているか,少なくとも大幅に修正をせまるもののように思われる。僕はやっと得心が
いった。
どうしてこういう実証的・科学的な研究が今まであまりなされてこなかったのか不思議である。
★★★☆

258:無名草子さん
14/02/19 14:24:55.43 .net
内田隆三/講談社現代新書『ミシェル・フーコー』

同性愛者特有の奇妙にまわりくどい/持ってまわった文章で有名なフーコー本人の著作よりもっと難解、と言うより
理解不能である。
と言ってもこの著者もゲイであるというわけではたぶんなく,単に日本にはあんまりまともな社会学者がいない,と
いうだけの話であると思われる。


259:無名草子さん
14/02/19 14:34:09.07 .net
中山元/ちくま新書『フーコー入門』

こちらは非常に良い入門書。この方面に関心のある人には一読をお薦めする。
「“パノプティコン”なんてものの話にレアリテがあるかどうかはかなりあやしいね」
なんてことを考えるためにも。
★★★

260:無名草子さん
14/02/19 14:37:51.93 .net
中山元/洋泉社新書y『はじめて読むフーコー』

これはたぶん上記の本が評判が良かったので,「どうかうちでも一つ・・・」と洋泉社の
編集者から頼まれて中山氏,断り切れずに仕方なしに書いたものと思われる。


261:無名草子さん
14/02/19 15:04:13.08 .net
茂木大輔/新潮文庫『オーケストラ楽器別人間学』

クラシック音楽業界人の書き手としてはこの人はそんなに面白い方ではないが,「たまには悪くないね」と
いう水準には達している,と思う。

この本には「ヴァイオリン弾きにはいやな奴が多い」(これは芥川也寸志も言ってたな)とか「お金借りるなら
トランペット吹きに」とか,さもありなんと思うような話が多くて愉快である。
★★☆

262:無名草子さん
14/02/21 14:27:47.89 .net
原田曜平/幻冬舎新書『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』

「週末一家でイオンモールに行くのが一番の楽しみ」「“弾丸”と称して別に意味なく夜中に
ミニバンで仲間とお台場とかまでドライブ」「子供連れていける居酒屋があったらいいのに・・・」
なんて言ってるような連中がこれからの“消費の主役”って、本気で言ってんのかな,この博報
堂の何やら研究所長氏は?


263:無名草子さん
14/02/22 18:26:30.52 .net
西原理恵子/新潮文庫『サイバラの部屋』

対談集。重松清の章が特に面白いので立ち読みだけでもしてみることをお奨めする。
サイバラの漫画はなぜ面白いか,どうしてあんなにお金に執着する割に元夫への情が
深いのか・・・なんてことがよくわかる。
「広末涼子とか,高知の女は男選びのセンスが悪い」って話は可笑しかった。
★★☆

264:無名草子さん
14/02/24 20:07:16.32 .net
椎名誠/岩波新書『活字たんけん隊』

椎名誠のエッセイはもう20年くらい前に見限ったのだけれど,この岩波新書の四部作
だけは今でも読むに耐える。少年のように無邪気な好奇心や冒険心いっぱいだ。
★★★

265:無名草子さん
14/02/25 11:16:39.49 .net
森炎/ちくま新書『司法権力の内幕』

著者はこの本で日本の司法界への「激烈な批判」をしているつもりらしい。でも実際のところは
ちょっと物知りな人なら誰でも知ってるし,書ける程度の話ばかりである。
しかもさして必然性もなくM.フーコーやニーチェ,フロイトなど持ち出してもっともらしく見せかけ
ようとしている。なんだかやることが三流私大生みたいである。

でもこの御方,何とまぁ元裁判官なのであった。真に恐るべきはむしろその事であるようにわたく
しには思われる。


266:無名草子さん
14/02/26 19:01:24.44 .net
鬼平犯科帳 


抽出レス数:1

267:無名草子さん
14/02/26 22:19:38.58 .net
>>266
アホかお前

268:無名草子さん
14/02/26 22:22:44.41 .net
夢野久作『ドグラマグラ』

「実はそれほど大した本でもないが,長いし厚いし完読するとそれなりに達成感のある本」というのがあるものだ。
モーム『人間の絆』,サド『悪徳の栄え』,『家畜人ヤプー』...etc.
★★

269:無名草子さん
14/02/26 22:33:01.84 .net
田舎者の背伸びな感じ

270:無名草子さん
14/02/26 22:46:49.58 .net
コリン・ジョイス/NHK生活人新書『「ニッポン社会」入門』

中身の濃い本ではないが,こういうものは読んで損した気持ちにはならない。「外国人からはこんなふう
に見えるのか・・・」という発見があるから。妙に可笑しかったのは著者が感心した日本語表現の章。

●「全米が泣いた」
 “まぎれもなく独創的な表現” で“日本についての二つの大きな誤解を吹き飛ばしてくれる。日本人は
 ユーモアに欠けているわけでもなくアメリカのものなら何でも有難がるわけでもない”という事だそうな。
 言われみると確かにケッ作だねw
●「勝負パンツ」
 “この言い回しを聞いて感心しなかったイギリス人の友人は一人もいない”という。そ,そんなに・・・?
●「おニュー」
 “この言葉を初めて聞いた時、ぼくは声を出して笑い、その日一日この言葉について考えをめぐらせたものだ”
 ・・・もう死語のような気もするが,こういう「ユーモアとアイロニーを同時に感じさせる」ようなものが甚だイギリス
 人好みなのだろうと僕は思った。
★★☆

271:無名草子さん
14/02/27 06:05:49.14 .net
橘玲/幻冬舎『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』

「自己啓発本などいくら読んでも頑張ってもダメな人はダメだから“恐竜の尻尾の中に頭を探せ”」と著者は言う。
で,それはどういうことかは具体例がほとんど何も示されていないので僕にはさっぱり理解不能であった。
まあ要するに社会ダーウィニズムのようなものを橘は信じたいらしい。

どうも以前取り上げた『臆病者の株入門』といい,『不道徳な経済学─擁護できないものを擁護する』のリバタリ
アニズムといい,この人の言っている事はどこまで本気なのやらわからぬ。


272:無名草子さん
14/02/28 23:21:36.26 .net
「永遠の仔」
登りたけりゃ一人で勝手に登ればいいじゃん

273:無名草子さん
14/03/01 19:45:45.95 .net
石井光太/新潮文庫『レンタルチャイルド』

故郷のアル中のDV父からムンバイに逃げて来て,物乞いをして暮らし,マフィアに搾取され
暴行され,痛み止め代わりにシンナー吸いながら死を待つ幼い男の子(実は女の子)の話とか
もはや悲惨過ぎて読めない。ゆえに評価なし。

274:無名草子さん
14/03/02 19:46:19.06 .net
宇野常寛・更級修一郎/CYZO『批評のジェノサイズ』

宇野氏:今どき本を読んでいる奴は地頭が悪い。10年くらいかけて読者を入れ替えて、もうちょっと質の良い
      “考えるための批評”ってものをこれからやっていかなきゃいけない。
更科氏:いやだから,もうオレは批評を書きたくないんだよ。10年も待つほど批評に思い入れはないし、入れ
      替わる前に餓死するのはイヤだよ。金にもならないしルサンチマンに訴える品のない人寄せしか出来
     ないんだったら本業の編集やってる方がいい。

更科氏の方が賢いと思う。僕は「アンチAKBの人たちはいっぺん負けを認めるべきだと思うんですよ」なんて言って
るような男にオマエは頭が悪いなんて言われたくはない。
★★

275:無名草子さん
14/03/02 19:54:54.74 .net
渡辺京二/平凡社ライブラリ『逝きし世の面影』

学問的には無意味な「美しかりしかつての日本人の心」の思い出に浸る“のすたる爺”の
繰り言のようなもの。こういう本に感動するようになったら人間おしまいである。


276:無名草子さん
14/03/03 20:00:51.34 .net
小林信彦/文春文庫『本音を申せば⑦ 伸びる女優,消える女優』

こういう本は僕のような昔からのこの人のファンしか読まないのだろうし,今の若い読者が読んで面白いか
どうかは疑問だ。でも僕には面白いからいいや。

それでも読んでみようと言う人にはひとこと助言しておこう。小林信彦の言うことはいちいち真に受けない方
が良い。昔は(後日自分でも認めたように)大して面白くないマルクス兄弟をしつこく持ち上げたりしていたし
今はなぜか日本の若手女優を見境なくホメたりしている。
タイトルからしてバカバカしい座頭市映画『ICHI』なんてものまで「綾瀬はるかがまことに美しい」なんて称賛
していやがる。ストーリーが成立してない映画だって自分でも事実上認めてるのに困ったもんだ(苦笑)。
★★☆

277:無名草子さん
14/03/04 11:31:27.32 .net
宮台真司・大塚英志/太田出版『愚民社会』

「日本にはまだ本当の○○思想がない」というのは日本の駄目なインテリもどきの常套句である(吉本隆明)。

「日本人は民度が低い」というのが正しいとしても,それはそのことを言いたてる人間が愚かではないという保証
には少しもならない。当たり前だが(僕)。


278:無名草子さん
14/03/04 20:17:31.80 .net
藤原正彦/新潮新書『国家の品格』
同/文春文庫『名著講義』

欧米に長く留学や滞在していた物書きは得てして保守反動・愛国者(?)になってしまうという例。
しかし南部陽一郎先生や小澤征爾のような本当に世界的業績を挙げた人はこんなみじめったらしい本
など書かない。


279:無名草子さん
14/03/04 20:20:37.13 .net
鹿島茂/平凡社新書『吉本隆明1968』

やれやれこの人が今さらこんな本を書くとは・・・


280:無名草子さん
14/03/04 20:28:38.64 .net
町山智浩・柳下毅一郎/文春文庫『ベスト・オブ・映画欠席裁判』

故笠原和夫氏曰く「(作る側が)見世物精神を失くしたら誰も映画なんて観に来ないですよ」。
そう,それがなくちゃTVと同じである。最近の日本映画がそれだ。でも洋画より客が入っている。
これを言っちゃあおしまいだけど,今の日本はもう客が面白い映画というものがわかっていないのだ。
この二人の言っていることも結局それである。
★★★☆

281:無名草子さん
14/03/05 16:47:45.18 .net
「客が悪い」
wwwwwwwwww

282:無名草子さん
14/03/05 18:11:01.78 .net
なーんちゃってw

283:無名草子さん
14/03/07 00:22:23.86 .net
三橋貴明・渡邉哲也/ビジネス社『大恐慌情報の虚と実』

この本に限らず,ユーロ圏は泥沼につっこんでいるしアメリカも中国も先行きは真っ暗・・・と
云う人は多いようだけれど,クラッシュの日は一向に来ない。何が起きているのやら。
★★

284:無名草子さん
14/03/07 00:38:31.50 .net
バーバラ・エーレンライク/河出書房新社『ポジティブ病の国、アメリカ』

「癌になってよかった」なんてことを言う人間まで出てくるくらいアメリカ人の「ポジティヴで
ありさえすればきっといいことがある」信仰は病膏肓に入っているらしい。
著者はそれを「厳しすぎるプロテスタント道徳の時代の反動」と考えているらしいが,どうもこれには
説得力がないし,たぶん学問的にも無意味だと思う。別にアメリカにはプロテスタントの信者しか
いないわけじゃないし。
★★☆

285:無名草子さん
14/03/07 00:53:20.54 .net
武田知弘/彩図社『ナチスの発明』

「アウトバーンはナチスがつくった」とか「フォン・ブラウン博士はナチスの庇護のもとに宇宙ロケットの元になった
ロケット弾を開発した」というのは知っていたが、IBMのナチスとの深いかかわりや「ヘリコプター、ジェット機、電子
顕微鏡もつくったのはナチス」というのは知らなんだ。
科学技術というのは軍事目的抜きには発達しづらいもののようである。このインターネットや携帯電話もその産物だし。
★★☆

286:無名草子さん
14/03/08 20:20:26.40 .net
ASIOS/彩図社『謎解き古代文明DX』

コンビニで売ってたと学界本みたいなもの。実際山本弘も執筆している。結構面白い。
僕には最後の「江戸しぐさ」の話がいちばん面白かった。あんなものが今は教科書に載って
いるとは,ヒドい話もあったもんだ。
★★

287:無名草子さん
14/03/09 20:03:44.90 .net
中村敦彦/宝島社新書『デフレ化するセックス』①

僕は21世紀中には素人売春は事実上日本でも解禁になるだろう,と思っている。国家が国民を幸福に
豊かにする能力を持っていないのが明らかになればそうならざるを得まい? “アベノミクス”が奏効する
とかしないとかいう以前に,なぜ政治家や官僚なんぞに日本の景気を良くする能力があると皆さん思う
のか不思議である。

288:無名草子さん
14/03/10 19:58:29.87 .net
清野とおる/講談社『東京都北区赤羽以外の話』

漫画.というより漫画つきエッセイ。結構おもしろい。駅で跳びこみ自殺を目撃するとあまりの
グロさに吐いてしまう,とか。漫☆画太郎のエピソードなど事実とは信じ難いくらいのもの。
★★☆

289:無名草子さん
14/03/11 20:35:28.33 .net
橋本玉泉/彩図社文庫『ビンボーになったらこうなった!」

売れないライターの著者。紙媒体はもう売れっ子でなきゃ食えないらしい。
しかしひとの不幸は栗きんとんの味。

「肉体労働一か月で10万円にしかならないから家賃で消える。ライター仕事は滅多に依頼がない」
  ・・・警備員でももっとマシだろうになんで転職しないんだろ。電気止められそうになったりしながら
    奥さんは働いてないようだし,どうやって食っているのやら。
「貧乏だというのが知れわたるとライター仲間にも避けられるようになる」
  ・・・そりゃそんな事を聞かれもせんのに自分から言ってるような男じゃなあw

―と無責任なことも言っていられる。

でも「生活保護を受けても今時クルマも持てないんじゃ余計に困ってしまう」「たとえ好景気
になっても,日本の企業はもう人件費削って利益率を上げるやり方が身についてしまって
いるから,末端の労働者が豊かになる事は今後ないだろう」と云った指摘は重要な気がする。
★★☆

290:無名草子さん
14/03/12 10:52:29.28 .net
 ヽ(`Д´)ノ ボッキアゲ!!

291:無名草子さん
14/03/13 08:41:29.54 .net
中村敦彦/宝島社新書『デフレ化するセックス』②

だがこの本によれば現実は僕が考えていたよりずっと先に行っているらしい。
最初に出てくるのが,慶應大学卒,東証一部上場の一流企業で第一線で活躍しているという若いOLである。
この人は学生時代は高級ソープで働いて学費を捻出していたのだという。両親は地元の国立大に入らせた
がったのを敢えて「仕送りはするが,学費は自分で稼ぐこと」を条件に上京してきたから,ということで。

しかしこのOLも著者も「そんなのは今どき珍しくもない」と云った調子で書いているが,どうもヘンな話だなあ。
そもそも娘が「学費は自分で稼ぐから」と言ったって,フツーの親がそんなことを信じるだろうか? 水商売か風
俗の仕事でもしなきゃ稼げる額じゃないくらいわからない筈はあるまいに。

292:無名草子さん
14/03/13 08:50:34.04 .net
逢沢 明/PHP文庫『頭がよくなる論理パズル』

こういうパズルを簡単に解ける人はたぶん地頭がいい。何かの役に立つかどうかは?だけど。
★★☆

293:無名草子さん
14/03/13 09:06:59.87 .net
友里征耶/新潮新書『グルメの嘘』

某有名グルメ評論家や某有名パティシエのいかがわしい言動やら,ギド・ミシュランの
調査法のいい加減さ,“天然鰻使用”が売り物の某高級うなぎ屋のインチキぶり・・・等々
マジメな本なのに笑ってしまう。
★★★★

294:無名草子さん
14/03/15 10:45:30.68 .net
小谷野敦/新潮文庫『日本人のための世界史入門』

やっぱり小谷野先生のようなゴシップ好き,あるいはエピソード好きな人でなければ
面白い歴史の本は書けないもののようである。
★★★★

295:無名草子さん
14/03/17 19:50:36.74 .net
小林信彦+萩本欽一/集英社『ふたりの笑タイム』

「ジジイの昔ばなしなんて・・・」と思いつつ読みだしたら,これが面白い。
若き日の小林信彦とテレビ作家仲間が萩本欽一に笑わされっぱなしになって仕事にならなくなった話。
タモリが突然「近所だから」と訪ねて来て,萩本&パジャマ党を笑いっぱなしに笑わせて,しまいに仕事
ができなくて困った欽ちゃんが「もう帰ってくれ」と頼んだ話,等々。
「いろいろあってもやっぱり人生捨てたもんじゃない」と思わされる。
★★★★

296:無名草子さん
14/03/18 20:04:38.49 .net
丸谷才一/講談社文芸文庫『忠臣蔵とは何か』

敵対していた江藤淳のものと同じくらい無意味な批評家の学者ごっこ。
この人は三島などが早く死んだせいで言わば“繰り上げ当選”した作家だから
全集出すほどのもんではない。


297:無名草子さん
14/03/18 20:10:09.49 .net
アンブローズ・ビアス/岩波文庫『悪魔の辞典』

はじめて出版された当時にはこれでも毒気たっぷりの本だったのだろうけれど
今となっては至極他愛もない冗談ばかりの本。


298:無名草子さん
14/03/20 08:32:25.92 .net
今野晴貴/朝日新書『ブラック企業ビジネス』

弁護士や社会保険労務士の中にはブラック企業経営者の味方(をするフリ)をして手数料や弁護料を
荒稼ぎする者が少なからず出てきている・・・というのは大体予想通りだった。

それより「司法制度改革」とやらの所為で司法試験に合格しても司法研修を受けるお金がなくて諦める
者や,弁護士になっても所謂イソ弁にすらなれない=実務の勉強はおろかそもそもとても食えない者が
大量に発生している,という話の方が僕には大きな問題に思える。「どうせそんな事になるだろう」と僕も
以前言っていた通りになってしまっているのだ。まことにお粗末な話である。
★★☆

299:BOCONON
14/03/26 20:28:55.07 .net
冬野花/中経文庫『インド人の頭ん中』

「インドへ行って俺は人生観変った」などと言いたがる鬱陶しい人間は今でもいるのだろうか。僕は「オマエのチンケな人生
観なんざどうとでも好きなように変えたら良かろ」としか思わないが。

この本はインド在住の女性の話なので、旅行者しただけの人からはあまり聞けないような話が多くて楽しい。
おっさんヒジュラーの下半身丸出し攻撃の話,インドは「性欲抑圧天国」(やな天国だな)で、痴漢も多いという話。
「痴漢なんてものは日本独特の存在」ってのはウソだな。
著者は長距離バスの中で隣りの男が○○○ーを始めてエラい目に会ったそうだけれど、詳しくは引用するのをはばかる。
★★☆

300:無名草子さん
14/03/26 20:55:02.17 .net
宮崎俊一/講談社『成功する男のファッションの秘訣』

松屋のバイヤーが書いたスーツの本。こういうものはだいたい宣伝も多分に入っているし,有益な情報を
引き出せるかは読み手次第。

・「スーツの試着は最低10着」・・・確かに試着は大事だ。本当に体つきに合い,かつ体つきをキレイに見せてくれ
 るスーツを着ている人は滅多にいない。問題はでもそのサイズが適正か判断できる目を持った人も滅多にいない
 ということだ。
・「ミディアムグレーのスーツに紺系のタイならハズレなし」・・・これもこれでうまく合わせるには経験がものを言
 うし,そもそも最近のスーツは黒のストライプだらけではないか,百貨店も。

・・・著者は最近NHK/Eテレでもスーツ講座を担当して「センスよりルール」を提唱しているようだが,上記のようなこと
を考えると,すぐにも身嗜みを良くしたきゃ結局洋服に詳しくて趣味の良い人に選んでもらうしかあるまい。
★★☆

301:無名草子さん
14/04/02 21:56:31.85 .net
柳下毅一郎/カンゼン『皆殺し映画通信』

ご苦労にも『ハダカの美奈子』『アントキノイノチ』『体脂肪計タニタの社員食堂』『R100』といった存在
意義不明,箸にも棒にもかからない映画を次々選んで観て的確すぎるツッコミを入れている。笑える。

でも『永遠の0』がいかに気持ち悪い話であるか,『図書館戦争』『劇場版 ATARU』のストーリーや設
定のデタラメぶり等,至極まっとうな日本映画批判の書でもある。
映画がテレビ屋のおもちゃ化し,客もその程度でかまわないで観ている悲惨な現状がよくわかる。
やっぱり客も悪いのである。
★★★★

302:無名草子さん
14/04/02 22:28:30.27 .net
姫野カオルコ/ドールハウス(1991)

処女三部作の一作目(作者のあとがきにそう書いてあった)、バブル真っ盛りの1989年が舞台だが、
毒親、親の介護、アダルトチルドレンがテーマで今読んでもそんなに古く感じない、文学部出だけあって文章も達者、ライトな恋愛小説の体をとりつつ、文学趣味をさり気無く披瀝する
痛快で希望に満ちたラストは日本の未来に希望のあったあの時代だからこそと思う

303:無名草子さん
14/04/03 08:26:04.69 .net
上田和夫/講談社現代新書『ユダヤ人』

①ユダヤ人が2000年にもわたってユダヤ人性を保ち続けることが出来たのはなぜか
②なぜあれほど嫌われてきたのか
③ユダヤ人はなぜあんなにも多くの優秀な人物を輩出し続けることが出来たのか
④なぜ大資本家たり得たのか

「プロローグ」で著者はこの本を読めばこうした疑問も解ける、と言う・・・のかと思ったら、早くも「ある程度
解けるのではあるまいか」などと頼りないことを言う。
これは僕が“だろう本”と呼んでいる、肝心なところで「~だろう」「~であろう」「~ではなかったか」などと
言い出すダメダメ本の一典型である。
こんな本はたぶん著者が教えている田舎大学の教科書として使っているから絶版にもならないのだろう。


304:BOCONON
14/04/04 03:07:37.99 .net
大槻ケンヂ/白夜書房『サブカルで食う』

「小説書きたきゃ小説読むよりハリウッド製B級ラブコメ映画を観て定番ストーリーのパターンをつかめ。
面白エッセイ書きたきゃ考えるより外に出て行ったことのないところを歩け」…なんてのが良いやり方らしい。
まあ確かに群ようこやゲッツ板谷みたくエッセイストが遠出もしない/できないようになっちゃおしまいだね。
丸谷才一のように頭ん中の引出しにネタがたくさんつまってりゃ別だけど。
その点東海林さだおは偉い。
★★☆

305:無名草子さん
14/04/06 11:08:43.59 .net
佐々木敦/講談社現代新書『ニッポンの思想』

このタイトル丸山真男『日本の思想』のもじりらしいがそれなら看板に偽りありだ。実際のところは
浅田彰・中沢新一・蓮實重彦・柄谷行人の言わば「ニューアカ四天王盛衰記」といったものであり
そしてそれだけである。だから読んでもしょうがない。この四人も、彼らが依拠していたフランス現
代思想もマルクス主義も、今や単なる流行遅れに成り果てているから。
その上この書き方では,初心者が読んでも彼らの思想の概略すら多分理解不能である。
こういう本の存在意義がどこにあるのか僕にはわからない。


306:無名草子さん
14/04/07 20:08:49.58 .net
小谷野敦/幻冬舎新書『21世紀の落語入門』

この2,30年江戸時代は美化され過ぎているという著者のかねてからの主張は正しいと思う。
女郎の実態も近松の心中ものなど観たくらいじゃわからない。『品川心中』のような滑稽にして
悲惨な噺が大部分だったのだ。談志みたいに「人間の業の肯定」なんて理屈をこねる必要もない。

著者は「寄席行くよりまず名人の録音聴くべし」という考えらしいが,これも賛成。クラシック音楽
と同じでへたくそな演者のものを聴いても良さはわからないのである。
★★★☆

307:無名草子さん
14/04/09 19:52:24.44 .net
河出書房『文藝別冊 タモリ』

新潮新書『タモリ論』というのは僕は読んでいないが,あんなものは読むに値しない(これはもうそう
に決まっている。僕のようなデビュー以来のファンでもないどこの馬の骨やらわからない書き手の
書いた本なんざ。)
そもそもタモリを「論」ずること自体甚だ反タモリ的だ。

こちらはその『タモリ論』に“違和感を持った”のがきっかけで作られた本だそうで,だから「チンケな理屈
こねるよりタモリに関する証言を集めました」といったオモムキである。むろんそれでタモリの全体像や
人間性の本質的な部分0が明らかになるわけではない。それは読み手が勝手に考えればいい。

僕はタモリ自身の言葉で面白いのがいくつかあった。「俺,“笑い”ってそう言えばあんまり関心なかったな。
だからいろんな“笑い”のこと,よく知らない。せいぜい『シャボン玉ホリデー』よく視てたくらいで」。
・・・高田文夫や志村けんが一時タモリに反感を露わにし,小林信彦もあまりタモリについて書くのに積極的で
なかった理由はこのへんにありそうである。
★★★

308:無名草子さん
14/04/09 20:41:48.62 .net
今柊二/ちくま新書『定食学入門』

東海林さだおが推奨するだけのことはある愉しい本。文章は中途半端にマジメであまり弾まない
感じだけれど引きこまれてしまう。つまりテレビ東京の旅&食べ物番組みたいな味わいである。
★★☆

309:無名草子さん
14/04/09 20:55:08.53 .net
中山康樹/講談社現代新書『これがビートルズだ』

ビートルズ研究がここまで進んでいるとは知らなんだ。よくもこんな細かいところまで調べ上げたもんだ。半ば感心し、半ば
あきれる思いがする。
僕はこの本によって「ビートルズは技術的には下手なバンド」という固定観念を破られた。言われてみればもともとハンブルグ
のクラブなどで酔漢どもを相手にガンガン演奏して鍛えたライブバンドなわけだし、初期の曲はほぼ一発録りなのだ。
日本武道館での来日公演の動画を視てガッカリした人は少なくないだろうけれど,あれはビートルズ自身もびっくりしたような
ものだったのだ。「僕らはいつの間にかこんなへたくそなバンドに成り下がっていたのか・・・」と。
★★★

310:無名草子さん
14/04/09 22:14:20.99 .net
「情報の呼吸法」津田大介 アイディアインク
URLリンク(yaplog.jp)

311:無名草子さん
14/04/09 23:20:03.22 .net
>>305
激しく同意
佐々木敦は偏差値40

312:無名草子さん
14/04/10 13:44:23.47 .net
そう言やなぜか(今時珍しく)著者略歴にどこの大学出なのか書いてないねw

313:無名草子さん
14/04/11 20:18:00.49 .net
大平健・倉田真由美/新潮文庫『こころの薬』

大平は最初から「診察に入ってきた患者を人目見ただけで与えるべき薬が頭に浮かぶ」などと言う。
まあそんなもんだろうな,ヴェテラン精神科医なら。くらたまも珍しく高学歴女らしく頭の切れる
ところを見せるし,この本は世間話としては面白い。
でもボクは私は仮に自分や家族が精神疾患になっても大平を選んで受診したくはない。なぜなら精神
分析じみたことを言いたがるから。精神分析は精神病はおろか神経症にも効果はなんら実証されては
いない(大平は日本的精神分析『甘えの構造』で有名な土居健郎の弟子だ)。
かくして,大平自身が言うように「本出したりマスコミに登場したがるような医者はろくなもんでは
ない」と僕はまたしても思わざるを得ないのだった。
★★

314:無名草子さん
14/04/12 20:26:07.35 .net
松井正文/小学館101新書『外来生物クライシス』

僕はこの本“外来生物をめぐるドタバタ珍騒動話”的に読んで結構面白かった。
読んでいて思い出したのは、むかし中国で「雀は害鳥だから駆除し尽くせ」と短絡的な運動をやって
その結果かえって雀の餌になる害虫が大発生して困ったというエピソードであった。
日本もしかし中国を笑えない。ブラック・バスはもともと食用として移入されたのだ。山椒魚ですら
最近は中国オオサンショウウオが増えているらしく「あんなものがどうやって日本に入ってきたんだろう?」
と僕は思っていたが、この本によればこれも食用として輸入した業者がいて、しかし当然ながら誰もそんな
ものは食いたがらず、処分に困って放流したのが元になっているらしい。
うちの近所でもこの間夜僕が自転車で走っていたら、猫とも狸ともつかない奇妙な生き物が道を横切ったので
よく見たらアライグマだった、なんてことがあった。
そのうち日本の生態系は気がついたら以前とはまったく違うものになっていた、なんて可能性は大いにあるな。
★★☆

315:無名草子さん
14/04/13 10:52:58.22 .net
井筒俊彦/岩波新書『イスラーム哲学の原像』

岩波文庫『意識と本質』は,読もうとしては中途挫折する人続出らしいが,僕はそんなに難しい本とは思
わなかった。この本は新書本であるからさらに分かりやすい。
でもおよそ東洋哲学は本を読んだだけじゃ肝心のところはちっともわからないのである。理屈で解った
つもりになってもダメなのである。「色即是空」なんてことも修業して体得しなきゃわかったことにはなら
ないのである。
僕はかねがねイスラーム神秘主義でも禅でもなんでもいつか本格的に修業したいと思っているが,まだ
果たせないでいる。ただ闇雲に修業してもダメで,良い師匠=グルにつかないと,修業が進んでいるのか
単に精神異常を起こしているのか区別がつかないから。麻原みたいな師匠についたんでは身の破滅だ。

ああ,どこか近間に良い師匠はいないかな。
★★★★

316:BOCONON
14/04/15 19:23:28.00 .net
東谷暁/朝日新書『間違いだらけのTPP』

こういう本を読むと「日本のエコノミストだの経済学者だの官僚などには“アメリカではそう言われ
てるんだから”以外何もなし」の感を強くする。
ゆとり教育だの大学改革だの裁判員制度だの法科大学院だの,なんでアメリカの良くないところ
ばかり真似したがるんだか。
そのくせ死刑廃止だけは半ば宗教的に善であると信じて疑わないとか,もうアホらしい限りである。
★★★

317:無名草子さん
14/04/15 19:40:15.44 .net
小谷野敦/ベスト新書『文学研究という不幸』

この本は全部読む必要はない。特に文学研究に関心のない人はカバー表見返し部分に引用してある“「あとがき」
より”だけでじゅうぶんである。かい摘んで紹介すれば・・・

今の大学の人文系学部とか人文系の学者などというのは幕末の幕府・武士のようなもので、もはや社会から必要
とされていない。おそらく5~10年くらいで弱小私立や地方国立大あたりから本当に大学は倒産してゆき、残った
ところで「もう文学研究の人など要りません」ということになり、文学研究の本など出なくなるだろう。純文学や文学
研究は、今後はほかに仕事を持つ人の趣味・余技としてしか存在し得なくなるに違いない。

残念ながら同意せざるを得ない。
ああ,日本がどんどんつまらない国になって行く・・・
★★★

318:無名草子さん
14/04/16 00:50:43.00 .net
柳美里 JR上野駅公園口


山狩りなどホームレス用語が出てくるあたり。実際にホームレスに取材してたのはいいんだけど。
東日本大震災で元々のストーリーを変えざるおえなかったように思えました。

319:無名草子さん
14/04/16 11:45:18.68 .net
単なる書き間違いだとは思うけど,“変えざるを得なかった”と書きたかったんだよね?

320:無名草子さん
14/04/16 22:19:12.67 .net
百田尚樹/幻冬舎「モンスター」
主人公が「ブス」って虐められてる所がかなり辛くて読む気なくしたけど
整形の話から面白くなった。「蒙古襞」とか初めて知った。
内容はamazonでも書かれてますがテンプレって言えばテンプレ
★★☆

321:BOCONON
14/04/17 06:00:07.94 .net
村田らむ/鹿砦社『ホームレス大博覧会』

>319
で思い出した,ホームレス取材暦10年の著者による『実話ナックルズ』連載をまとめた漫画記事の多い本。
“村田らむ”なんて名前は大半の人が知らないだろうけれど,この方面の書き手としてはかなりイケる。
この本では使っていないが“松田望”名義で絵が端正な漫画も描く。
柳美里の本は読んでないから知らないけど,サブカル好きためのホームレス四方山話としては多分こっち
の方がずっと面白い。なにしろ年季が入っているから,つかず離れずの距離感がいい。ホームレスによくい
る凶暴なタイプにも平然と対処している。
これを読めばホームレス一般についての基礎知識が得られる。「得てもしょうがねえだろ」と言わず,ご一読
を。これから急速に増えるであろう「親が死んでしまったニート」や「元ホワイトカラー」のホームレスについて
も書いてあるから参考になる。
★★★

322:無名草子さん
14/04/17 07:35:13.38 .net
勢古浩爾/ちくま選書『最後の吉本隆明』

どっちかと言えば「俺がヨシモトを読んでいた頃の思い出」。
これも存在意義のよくわからない本だ。
★★

323:無名草子さん
14/04/18 22:32:29.89 .net
平野威馬雄/ちくま文庫『陰者の告白』

著者は平野レミの実父和田誠の義父和田唱の祖父でイギリス人の父と日本人の母をもつ詩人・仏文学者(大学教授ではないようだが)。
戦前のコカイン中毒のジャンキーで、その戦前15年間の中毒ぶりを回想して綴ったもの(書かれたのは1970年代)。
薬物を手に入れるために犯罪に手を染めたり松沢病院に入院したり薬物によるおもに性的な妄想やらが
フランス象徴詩を思わせる美文で綴られている。話は面白いし、感動する。これほどの人なのに、薬物で失ったものは大きいだろう、もったいない。
松沢病院での院長は人格者なのだろうが、こんにちの目で見ると、依存症患者に絶対やってはいけないことばかりを平気でやっていて、
かなり驚いた。医学の進歩というのもすごいんですね
★★★★☆

324:無名草子さん
14/04/20 20:18:17.95 .net
緒方英子/新潮文庫『オーケストラを好きになる事典』

日本の有名オーケストラの楽員たちに担当楽器とその周辺について聞いた本。思った以上にプロの演奏家
というのはタイヘンである。
特にリード楽器(オーボエ、クラリネット、サクソフォンなど)は、リードを竹を削って自作せねばならず,しかも
何十枚も作っても本当に気に入るような出来のものは滅多にないのだという。聞くだに面倒な話だ。
それから実は僕は「ピアノの音は今ひとつ好きになりきれないところがあるから、ハープはいいんじゃないか。
ピアノの曲も弾けるし、音は美しいし。ハーポ・マルクス好きだしw ジジイになったらハープ習おうかしら」と
思っていたのだが,この本によるとあれは非常にきつい楽器であるらしい。ペダル操作がピアノよりはるかに
複雑である上に、いくら練習しても指に負担がかかり過ぎるので、ギターのように十日もすれば指先も固まっ
て後はへっちゃらというようなものではないのだとか。見かけほど女性的な楽器でもないのだな。

・・・こんな話を面白がる人がどれほどいるのか私にはよくわからないのだが、少なくともクラシック音楽愛好
家は知っておいたほうが演奏を聴くのにより深く楽しめると思う。
★★★

325:無名草子さん
14/04/20 21:20:36.89 .net
レビューアンテナ
初のレビューサイト専門アンテナ
登録ブログ募集中!
URLリンク(reviewsite.readers.jp)

326:無名草子さん
14/04/20 22:15:18.21 .net
島村奈津/講談社文庫 『エクソシストとの対話』

イタリアのカトリックに現在も実在する(そしてなお増加中の)公式エクソシスト(悪魔祓いをすることを認められた神父)に関するルポ。
かつての魔女裁判は悪魔に取り憑かれた人を処刑する間違いを犯しており、憑いた悪魔を退散させることが救いになるという現代的な
(刑罰モデルから治療モデルへの)悪魔祓い正当化には目から鱗。登場するエクソシストらは、精神医療とも共存し、依頼者の九割は病人であって
悪魔憑きではないといい、悪魔祓いは異教徒にも有効でイスラム教徒の悪魔祓いもしたことがあると言明する…などの現代性が興味深い。
中心に据えられている神父の深みのある人間像にもうたれる。著者が悪魔祓いの現場に同席できたのは一度だけのようでそこがやや食い足りないが
取材の難しさがわかってない私の勝手な高望みですね、はい。
★★★半☆

327:無名草子さん
14/04/20 22:33:55.66 .net
>>326 
訂正 ×島村奈津
    ○島村菜津    失礼しました

328:無名草子さん
14/04/21 20:29:38.42 .net
松村雄策/小学館『ウィズ・ザ・ビートルズ』

「生涯一ビートルズファンのジイサマの居酒屋談義」または「 私は如何にして
思い煩うのをやめてジョン・レノン信者になったか」と云ったふうなもの。
★★

329:無名草子さん
14/04/23 11:10:19.28 .net
鈴木亘/講談社現代新書『社会保障亡国論』

この書名は誤解を招く。著者はむろん社会保障をやめろ,などと言っているのではない。年金制度や
各種社会保障のやり方を根本的に改革せねばならない,と言っているのだ。どう改革すべきかはこの
本に書いてある。
著者の言うことはたぶんほとんど全面的に正しい。こうした改革はよどど強力なリーダーシップを持った
政治家が現れなければ無理,ということを含めて。そしてしかし実際のところ今後も政府は消費税率を
引き上げ続けるくらいしか能がなく,遠くない将来日本は財政破綻するだろう,という予想を含めて。
★★★★★

330:無名草子さん
14/04/23 20:34:44.34 .net
グレアム・グリーン/早川書房・早川epi文庫/二十一の短篇

もっと早くに読んでいればなあ、という感想。
終止子供(少年)目線で書かれた短編がいくつかあり、子供の知識と経験で解釈し描写された風景/出来事が登場する。
中年になって初めてこれを読んだので、(ああこれはこういう事だな、可哀想に主人公は何が起こったのかわかるまい)となったが、中学生のころに読んでおけば大人になってから(これはこういう事だったのか…)という驚きがあり、意味がわかって今より切ない思いを味わうのかも。

331:無名草子さん
14/04/24 06:37:49.38 .net
三浦展・原田曜平/角川oneテーマ21『情報病』

今の大学生は友人との「情報外交」(やれやれ)に忙しく、考えるのは友達のことばかり、お金も
時間も大部分交際に費やしてしまうのだと著者たちはいう。本当かしら。
どうも読んでて頭の痛くなってくるようなまことにくだらない雑談ばかり続く本で,僕としては「い
くら何でもこんな集団生活する虫みたいな生き方している学生ばかりじゃあるまい」と思いたい。

ところで「最近は、むかしなら○○女子短大へ行ってたような娘が早稲田とか入ってきますからね」と
一人の“草食系男子”学生が言っている,というのは一体誰の何のことだ? そんな子がそんなに
お手軽に僕の母校に入れてたまるもんかい。


332:無名草子さん
14/04/24 06:44:18.10 .net
佐藤優/NHK生活人新書『はじめての宗教論 右巻』

どうでもいいようなことばかり書いてあるので読んだ端からみんな忘れてしまい、本ごと
駅のゴミ箱に捨てきてしまった。‘SPA!' でやってる身の上相談も実につまらないし,この
人がロシヤの大学で神学を教えていた、ってホントかね。

それはまあどうでもいいが,僕が今後この人の本をお金出して読む気になることはありそうもない。
NHKの本に当たりなし,である。


333:無名草子さん
14/04/26 19:55:53.46 .net
久住昌之/晋遊舎『野武士のグルメ』

カバー絵が泉晴紀なので一見漫画の本のように見えるが,エッセイ集。『孤独のグルメ』
が売れたのでそれに乗っかったもののようである。久住昌之のエッセイはだいたいつまら
なくはないが格別面白くもない。
最近コミック版も出たから,読むならこっちの方が面白いかも知れない。僕は土山しげるの
絵は好きになれないからパスだけど。
★★

334:無名草子さん
14/04/27 20:13:40.70 .net
堤未果/岩波新書『貧困大国アメリカ Ⅱ』

みな事実ではあるのだろうけれど,この人の言っている事を聞いただけではどうもアメリカと
いう国がよくわかる気はしない。
たとえばサブプライムローンの証券化なんて,なぜそんな危なっかしい商品が成立するのか。
これはアメリカでは家を手入れしつつ何代にもわたって住むのが当たり前なので価格が下がら
ない,という日本の“土地神話に似たものがあったからである・・・といった事情を知らないと
「アメリカ人て・・・バカ?」としか思えまい。
それから中流層の没落ということも,もともとそんなものはアメリカでも日本でも戦後の一時期
存在しただけなのだ,と見るべきである。

と云ったわけで,どうも僕にはむず痒い本だ。
★★☆

335:無名草子さん
14/04/28 20:35:43.06 .net
三橋貴明・渡邉哲也/ビジネス社『大恐慌情報の虚と実』

ユーロ圏は泥沼につっこみ,アメリカも中国も先行きは真っ暗・・・と僕も思うがなかなか破局が来ない。
何が起きているのか??
たぶんお金を刷りまくって銀行や株式市場に注入してゴマ化しているものと思われる。いつまで続くやら
見ものだ。
★★

336:無名草子さん
14/04/29 19:33:39.88 .net
鶴我裕子/新潮文庫『バイオリニストは目が赤い』

実際のところこの本にはそれほど興味深い話が書いてあるわけではないし、著者は時々冗談を言ったりもするのだが
他愛無くて一向に可笑しくもない。
しかし不思議とすいすい読めてしまう。それは多分著者の人柄のせいである。この人は私より年長らしいが、何か可愛
らしいのである。もともと東北のどこかの社長令嬢だそうで、そのことが<育ちの良い感じ=要らぬ屈折をしていない>と
いう形で現れている。
(お坊ちゃま・お嬢様育ちの人は、悪い方に転ぶと太宰治や石原慎太郎、團伊玖磨、田中真紀子のような「奇妙なくらいの
恥じらいのなさ、無神経」という方向に行ってしまう・・・これは余談。)
例えばこの人は写真を撮られるのが苦手だそうで、実際カバー表見返しの著者近影を見ても、何か微妙にこわばった表情を
しているのが子供のようでて可愛らしく、また妙に可笑しいのである。文章もどこか子供の作文みたいで,だがそこがいい
のである。
もともと壇ふみがこの人の文章のファンで「もっと読みたい」と言っていたのが著者がこの本の元になった連載を始める
きっかけになったのだそうだが、それもなんとなくわかる気がする。どちらかと言うと女性向きな本かも知れない。
★★★

337:無名草子さん
14/04/30 19:25:07.05 .net
森岡正博/ちくま新書『感じない男』

オレはミニスカートが好き。パンツが見えそうだから。制服も好き。ロリコン男の気持ち
もいくら分かる。
著者は「男はみんなそうだよな?」と言っているようでもあるが,「いいのかなあ,これで?」と
思っているようでもある。
結局大した結論もなくて終わるけれど,こういう正直な本はめずらしいからか,結構売れた
らしく最近ちくま文庫で『決定版 感じない男』も出た。
そこまでの本ではないと思うが,まあお暇な方はどうぞ。
★★

338:無名草子さん
14/05/01 04:26:05.62 .net
大貫隆/岩波新書『聖書の読み方』

僕も聖書は旧約の最初から読もうとしたことがある。そして『出エジプト記』まで読んで挫折した。
支離滅裂とまでは言えないにしても、どうもわかったようなわからないような、話が繋がっている
ようないないような記述ばかり続くのでいやになったのだ。
だからこの本のⅠ~ⅢのうちⅠには共感できる。著者が学生にアンケートを取って聖書のどこ
が読みづらいか,その理由をいくつかのパターンに整理した部分。「何でこの神は、モーセの一
行がカナン=パレスチナに帰還した時、そこの住民皆殺しせよ、なんてことを命じるのか」等。
しかし当然Ⅱ、Ⅲではそれが解決されるのだろうと期待すると裏切られる。著者は「聖書では
残酷な神をただやみくもに肯定しているわけではない」などとキリスト教擁護論じみたことを
言うだけだ。
まあ考えてみれば当たり前で、こんな小著で細かい部分(「シナイ山てどこにあるのだ? 「マナ」って
一体何だ?)など一々詳しく解説していられるわけもない。立花隆の言うように、聖書は良い注釈つき
の本でなければ読んでも本当のところはわからない、ということであろう。
結局“注釈らしい注釈のない岩波文庫で『源氏物語』や『聖書』などは読んではいけない”という
ことは再確認できたが,それだけであった。


339:無名草子さん
14/05/02 20:03:59.71 .net
柴田元幸/講談社新書『アメリカ文学のレッスン』

文学を通してアメリカ人の特異な発想のパターンが見えてくる。「アメリカ人の本領はエンターテイン
メントにある」「これではアメリカ文学が日本ではあまり人気がないのもむべなるかな」ということも。
★★★

340:無名草子さん
14/05/02 20:12:07.88 .net
日本語力向上会議/角川oneテーマ21『デキる人は「言い回し」が凄い』

この本は別の本と間違えて買ったのだけれど、「たまには日本語のお勉強もいいか」と思って読み始めた。
しかし2,3ページ読んで放り出した。気味が悪いくらい頭の悪い本である。なにしろ本文1ページ目に
「こういう言葉遣いはやめましょう」という例に挙がっているのが―

「あのコピー機、5回に1回は紙詰まりするんですよ。うざいったらありゃしない」
「今日はずっと外回りだっていうのに、夕方まで雨か・・・うざいなぁ」

次の項「上司に仕事の進捗具合を報告するのにこういう言葉遣いしてはいけません」という例―

「ではぶっちゃけ申し上げます。やばい状況です」

・・・なんだよ,こりゃ? 笑かそうとしてるのか。


341:無名草子さん
14/05/04 20:16:50.39 .net
乾正雄/朝日選書『夜は暗くてはいけないか  暗さの文化論』

椎名誠が「愛読書」「“西の文化が静かさ・暗さの文化であるに対して吾々の東の文化は
なぜ明るい速さの文化であるのか”について解き明かす本」と言うので読んでみたが,僕
には単なる思いつきじみたことを書き連ねたつまらない本にしか見えなかった。
なぜこういう本を愛読するのやらちっともわからないので評価なし。

342:無名草子さん
14/05/06 06:35:02.78 .net
奥田英朗/無理
地方都市で微妙な生活を繰り広げる5人の物語
五人(特に宗教女)を取り巻く環境の酷さやどんよりとした空気の描写は上手いと感じた
しかし、物語の進行に必要のない社会の問題提起、風刺が中盤から増えエンタメ小説の域を超えてもはや自分の社説発表会に過ぎないものにな
★★☆☆☆

343:無名草子さん
14/05/06 06:43:42.99 .net
鈴木翔/教室内(スクール)カースト
昔から存在しているスクールカーストについて論じた一作
図・グラフが多く使われ理解が容易い。
また、生の声として“一軍”に属している女、教師などからカーストについての実態
や意見がふんだんに盛り込まれている。
ただ、それだけが本作の特徴で特に優れた見解はない
★★☆☆☆

344:無名草子さん
14/05/06 20:34:21.96 .net
孫崎享/講談社『戦後史の正体』

安保騒動もロッキード事件も郵政民営化もアメリカ発。それを請けた日本の政治家・官僚・マスコミの策謀に
国民が乗せられただけの話である。

孫崎享/小学館『アメリカに潰された政治家たち』

吉田茂,小泉純一郎などはアメリカのポチ。岸信介や田中角栄,小沢一郎は愛国者。日本人は自分らの敵と
味方の区別もつかないこの愚かな日本国民よ。


・・・まあどこの国も似たようなものではあるが,日本が先進国になれたのも偶然に過ぎないと思った方が
良いのだろう。
★★★★

345:無名草子さん
14/05/06 20:35:26.27 .net
「日本人は」は余計でした。

346:無名草子さん
14/05/07 11:41:42.78 .net
副島隆彦/徳間書店『金融市場を操られる絶望国家・日本』

「アメリカはドイツから預かっていた莫大な量の金をどうやらもうこっそり使ってしまったらしい。
それとドルの威信/信頼性を守るために明らかに金相場を操作している。だから,今は以前に較べたら
比較的金は高くなっているが,今後また暴落する時が必ず来る。資産を守りたい人はその時にこそ金を
買わなくてはならない。」

・・・という事だそうです(自己責任でどうぞ)。
★★★

347:無名草子さん
14/05/08 05:56:21.66 .net
瀬木比呂志/講談社現代新書『絶望の裁判所』

僕は4年前に「日本の原子力発電は近い将来間違いなく取り返しのつかない大事故を起こすだろう」と
予言した。1年もしないうちに言った通りになったけど,それが僕が賢いことを意味しない。基礎知識が
あれば誰でもわかることである。JCOやもんじゅの事故,東電の不祥事などTVのニュースで視ていただけ
でも「こんな普通起こしたくても起こせないようなレヴェルの事故起こすって,明らかにマトモじゃないな,
日本の原子力発電関係者は・・・」と。僕は影響力のない人間だから平気で口に出せるってだけの話だ。

困ったことに,同じような事は政治家や官僚や裁判官(あるいは弁護士も)の世界でも起きつつあるらしい。
弁護士の狂態は光市の裁判の弁護団見ていればわかるが,この本読むと裁判官もドッコイドッコイである。
このスレに断片的に書いてきたような疑いの少なくとも一部は事実であると証明されたようなものだが,僕
は別に嬉しくもないのであった。
★★★★

348:無名草子さん
14/05/09 20:05:52.23 .net
小谷野敦/幻冬舎新書『面白いほど詰め込める勉強法』

「自分のような学者になりたい人のための勉強法」といったふうな本で,そういう人には役に立つかも
知れない。
僕にはむしろ「トクヴィル『アメリカの民主政治』は当時としては先見の明があった,というだけで,今
読む意味はない」「丸山真男がそんなに大したもんか?」といった雑談的評論の部分が面白かった。
★★★

349:無名草子さん
14/05/11 06:16:06.11 .net
町山智浩/文藝春秋『知ってても偉くないUSA語録』

>203 の続編。あれよりは政治的主張は抑え気味で良い。アメリカ社会の流行語やキーワードよりも
僕には「アメリカではコンビニや酒屋は命がけの仕事。だからむかしは韓国人の仕事だったが,今は
アラブ系が多い」とか「アメリカでは街の書店が(超大手チェーン以外は)壊滅してしまった」「アメリカ
では現金を使うのは子供だけ」なんて,住んでいる人ならではの話の方が面白かった。
今のアメリカを見ていればだいたい10年後の日本は想像がつくものであるし。
★★★☆

350:無名草子さん
14/05/11 23:18:31.31 .net
佐々木健一/文藝春秋 『辞書になった男 ケンボー先生と山田先生』

去年のNHK番組の制作に携わったディレクターによる書籍化。番組放送後にわかったことも書かれている。
三省堂で『明解国語辞典』を編纂した同級生の国語学者二人が後に袂をわかち、同じ三省堂から『新明解国語辞典』
と『三省堂国語辞典』という対照的な国語辞典を作っていく経緯を書いたノンフィクション。
両者の個性の違い、言語観、辞典観の違いがはっきりしていて非常に面白い(またそう図式的にわりきれないところも
最後まで読むと感じられるのも面白い)。
繰り返しがおおい、という書評がアマゾンにあり、たしかにTVマンらしく読者のレベルを低く見積もって下りていく感じはあるが、
許容範囲と思う。
★★★★★

351:無名草子さん
14/05/13 20:24:32.88 .net
小谷野敦/新潮新書『頭の悪い日本語』

・“立ち上げる” という言葉に違和感を感じるのは「立つ」と「上げる」の主語が違うから。
 自動詞他動詞の問題ではない。
・僕は「 “容貌魁偉” なクナッパーツブッシュ」などと誤用していた。
 まあ「立派」といっても良いようなもんだが。
・“タイトルロール” は「テレサ・ベルガンサが『カルメン』のタイトルロールを演じた」と
 いった風に使うべきものらしい。
・日清食品は日清製粉とは関係ないのだそうな。

・・・といったあたりが面白かった。
★★★

352:無名草子さん
14/05/15 05:56:33.97 .net
町山智浩/講談社『99% 対 1% アメリカ格差ウォーズ』

アメリカでは2050年頃には非白人の方が多数派になるらしい。そしてその多くは貧しいままだろう。
なぜならアメリカは最近金融業が信用を失くし,そのほか結局製造業に代わる産業は育っていないから。
おまけに中流層も没落しつつある有様だから。儲かっているのはアップルなどを除けば阿漕な保険会社
などばかりである。
しかしどこの国も貧富の差があまりに大きくなる一方ではもたない。中国などは,そのせいで国が滅ん
では興る,の繰り返しがつまり歴史だ。

・・・というわけで,町山は「アメリカの悲喜劇」といった調子で書いているが,これは他人事ではない。
日本もドイツ車のように “その製品を持つことがステイタス”(本当にそんなに良いものかはともかく)
と云った方向に梶を切るべきではないのか? あるいは資生堂のようにそれを志向しつつもっとアジア
市場に目を向けるべきではないのか? などと僕はいろいろ柄にもないことを考えてしまった。
★★★

353:無名草子さん
14/05/17 19:45:58.87 .net
群ようこ/朝日文庫『ぬるい生活』

この人も五十歳近くなって「体形が崩れた」「体のあちこちがあまり調子が良くない」「生理が不順」
といった話題が多くなってきたな。
同年輩の女性が読むと共感するところが多いのかも知れないが、私などが読んでも愉しくはない。
★★

354:無名草子さん
14/05/17 19:52:53.55 .net
中山康樹/小学館文庫『愛と勇気のロック50』

かつてスターだった、あるいは今もスターだけれど既に(日本では)「現役感」がなくなってしまっている
ロック・ミュージシャンの最近のアルバムを取り上げて、その素晴らしさを説いている。
僕は一種のゴシップ集として読んだ。

甲状腺癌から立ち直ったものの、一時は忘れられかけていたロッド・スチュワートが(ロックに限らない)
スタンダード・ナンバーを歌った一連のアルバムで大ヒットを飛ばしていること。

ジョン・フォガティがアメリカではいまだに声もルックスも人気も衰えずにいること。

再結成したレッド・ツェッペリンのことをボロクソにこきおろしているジャック・ブルース。

元バーズのロジャー・マッギンが最終的に最高と思っているギタリストはエリック・クラプトンと(なぜか)
アンドレス・セゴビア・・・等々。

なんだか愉快であるな。
★★★☆

355:無名草子さん
14/05/17 20:05:01.18 .net
テリー伊藤『お笑い大蔵省極秘情報』

これは手に入ったら是非読むべき本である。財務省キャリアが威張りまくり駄法螺を吹きまくっている。
しかしそれは高橋洋一氏が(明らかにこの本のことを指して)言っているように「別に大したことじゃない」こと
ばかりである。
なぜ日本に於いてはエリート中のエリートとされる人間に限って途方もない大馬鹿者だったりするのかは一
度真剣に考えねばならない問題だとの感を強くする。宮台真司だの死刑廃止派弁護士だの寺脇研だの・・・
★★★★

356:無名草子さん
14/05/18 18:13:44.15 .net
NHKニューヨークメガ盛り塩素プール問題 ホワイトフレンチプラン 72762885

NHKニューヨークメガ盛り塩素プール問題 ホワイトフレンチプラン 72762885

NHKニューヨークメガ盛り塩素プール問題 ホワイトフレンチプラン 72762885

357:無名草子さん
14/05/20 20:06:42.99 .net
町山智浩/マガジンハウス『アメリカのめっちゃスゴい女性たち』

これも面白い。アメリカン・ドリームの話が好きな人はどうぞ。

358:無名草子さん
14/05/21 21:03:11.25 .net
清水潔/新潮社『殺人犯はそこにいる  隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』

著者は桶川ストーカー事件で警察より早く犯人を発見・特定した人。
今回は例の菅谷さんが冤罪着せられた事件以外の足利・太田近辺で起きている5件の幼女
性的暴行殺人は同一犯だとし,その犯人もほぼつきとめている。
この本,警察・検察や裁判所,マスコミ,国民のお粗末ぶり・下劣ぶりに胸クソが悪くなりそうで
手を出しかねていたのだけれど,読んだら案外すらすら読め,いくぶん勇気づけられ救われた
気分になれるところもあった。

でも,もう当分こういうのは読みたくなりそうもない。
★★★☆

359:無名草子さん
14/05/22 08:57:45.29 .net
副島隆彦/PHP研究所『隠された歴史 そもそも仏教とは何ものか?』

「コミケに行ってわかった。阿弥陀如来と観音さまは所謂萌え絵の女性になって現代に甦っていたので
ある」などと(本気で)言いい,本にへたくそなカラー萌え絵イラストをはさんで見せる副島せんせい。

『人類の月面着陸は無かったろう論』と言い,日中殴り合い対談』,『原発事故、放射能、ケンカ対談』・・・
稚気愛すべしといった感じもしないではないが,どうも困った御仁であるな。


360:無名草子さん
14/05/22 09:24:05.81 .net
柴田元幸/角川文庫『つまみぐい文学食堂』

この人のエッセイ『生半可な学者』『死んでいるかしら』などは面白かった記憶があるが、この本は文庫本でなかったら
ちょっと損した気持ちになったろう、といった程度の出来だ。
何故あまり面白くないか、と言えば出てくる食べ物がどれもマズそうだし、それにまつわるエピソードも大方は何だか
気の滅入るようなものだから。
僕にははむしろ「あとがき対談」のほうが面白かった。実際はこの本の挿絵を描いた吉野朔実、早大“准教授”(何度聞いて
も耳障りだな、この言い方)の都甲幸治との鼎談である。

柴田:アメリカの食べ物でも、イタリア人がアメリカに来て開くイタリアン・レストランはおいしい。ベトナム人その他も同様。
    ただこう、日々のベーシックな食べ物はというと・・・
都甲:ひどい。アメリカに留学していたときに「この授業をともに受けるためにわれわれが出会うことが出来たことを祝してケーキ
    を食べよう」と盛り上がって、スーパーで買ってきたケーキが、これはもう深刻に罰ゲームだと思った(笑)。「これは食べ
    物じゃないな。いや~世の中にこんな不味いものがあるんだ」と思って周り見たら、みんなすごくおいしいとか言っていて。
    もうこの人たちとは一生理解し合えないと思った。

そこまでマズいならかえって一度食べてみたい気もしてくるな(笑)。もしかしてアメリカの食べ物ってのは(アメリカ文学と同じく)何か
ゲテモノのような味わいなのであろうか。
★★★

361:無名草子さん
14/05/22 14:51:21.72 .net
amazonにレビューするとバカに見えるからって2chで同じことやることないだろw

362:無名草子さん
14/05/23 01:10:33.12 .net
僕は三浦淳教授の「読書月録」をお手本にしただけ。

363:無名草子さん
14/05/23 20:19:57.62 .net
>>361
僕は新潟大学の三浦淳教授の「読書月録」をお手本にしただけ。

364:BOCONON
14/05/25 20:22:27.56 .net
友里征耶/角川SSC新書『堕落のグルメ』

前著『グルメの嘘』等で身も蓋もない真実を書きまくった友里センセイは,あちこちで出禁にされたり
訴訟を起こされたり,脅迫までされたり(「うちの若い衆は血の気が多い。お子さんは気をつけた方が
いい」だと)しているが,相変わらず意気軒昂で笑える。

今回は食べログや客まで切り捨てている。「関西人は味にうるさいからかの地は美味い食べ物屋が多い
のだ」というのはまったくのウソで,むしろ外食不毛の地だ,などと。
そう言えばTVでこの間どこかの寿司屋が店を閉めてアメリカ進出する,というので中田ヒデとかが店主
に花束贈っている映像を流していたな。田舎もん/成り上がり丸出しで気持ち悪いね。
★★★

365:無名草子さん
14/05/26 20:16:28.00 .net
トム・ジーグフリード/文春文庫『もっとも美しい数学 ゲーム理論』

解説者が言うように「この本はゲーム理論をやさしく説明する入門書ではない」。
よって僕には読んでも何もわからず中途で挫折したから評価なし。

366:無名草子さん
14/05/29 01:53:25.63 .net
小口彦太監修/PHP文庫『同時にわかる! 日本・中国・朝鮮の歴史』

「 “コリア” というのは “高麗(コリョ)”からきた言い方」「朝鮮半島の南には昔から
韓部族が住んでいた。だから国名が “韓国” になった」といった知識が得られる。
時間つぶし用の雑学本としてはヒジョーに面白い部類。
★★★

367:無名草子さん
14/05/29 08:14:48.99 .net
金子隆一/サイエンス・アイ新書『大量絶滅がもたらす進化』

読んで思ったこと。
・ブラックバスが生態系を壊すのなんの言うのは大した問題ではない。地球自体が今まで何度も
 ほぼ定期的に(多分超大規模な地殻変動によって)環境/生態系を全地球規模で破壊してきた
 のだから。
 頭の悪い人は答えに詰まるとよく「自然の摂理だから」なんてことを言い出すが、別に地球は自
 身の上で生物に繁栄してもらいたいなどとは思っちゃいないのだ。

・京都大学の研究者たちは「暗闇でショウジョウバエを飼育する継代実験」を地道に続けていて、つ
 いに飼育環境下で初めて進化が起きたことを最近発表したらしい。体毛が伸び、嗅覚が鋭くなり、
 生殖はフェロモンによってのみ行うようになったので,既に野生種のショウジョウバエとは交尾できな
 くなっているのだという。つまり新しい種の誕生だ。
 これがなぜ画期的的かといえば、進化が起きたこと自体ではない。その驚くべき速さである。ヒトで
 言えば3~4万年程度の短期間で暗闇に適応した進化が起きたのだ。これは偶然だのみのダーウィン学
 説(中立説進化論)を根本から危うくする。環境が生物に進化を何らかの形で促したか、或いは生物が
 (今西錦司の悪名高い言い方を真似て言うなら)「変わるべき時がきたのでいっせいに変わった」と言う
 のに近い現象だから。
(なんだか愉快であるな。)
・木村資生の「分子進化の中立説」については岩波新書で読んで知っていたが、この本読んでやっと
 その画期的意義がわかった。吾ながら迂闊千万な話だ。
★★★

368:無名草子さん
14/05/29 09:25:57.26 .net
原田武夫/かんき出版『最もリアルなアメリカ入門』

実は右派の金持ちの黒幕のいる “茶会運動 Tea Party Movement” が「草の根民主主義」のあらわれだと
思っているようなナイーヴな人=バカ者が「これがリアルなアメリカだッ!」って・・・(苦笑)。


369:無名草子さん
14/06/02 20:30:36.67 .net
大槻ケンヂ/角川書店『FOK46』

知り合いに亡くなる人も徐々に増えてきた46歳にもなってなぜかギターに目覚めたオーケン。
自身でも言っているように「フォークギター初心者あるある」ネタ集みたいになってる。
察するにこの人,僕と同じ程度にしか弾けない,即ち高校生の頃の僕と同じくらいくらいにヘタである。
だから読んでいて可笑しくてしょうがない。
楽器店の娘ほどに若い女子店員に「わたしもピアノはやってたけどギター始めたのは最近です。でも意外
とイケるもんです。楽しいですよぉ。初心者向けの楽譜も教則本もたくさん出てますし」などといろいろ説明
され,アセったオーケンが「『天国への階段』(古いw)のタブ譜もあるのかな?」などと言って変な顔されたり。
自分の作った曲のコードが分からずギターの達人の友人に教わって呆れた顔をされたり,等々。
★★★☆

370:無名草子さん
14/06/07 19:47:46.67 .net
小口彦太 監修/PHP文庫『同時にわかる! 日本・中国・朝鮮の歴史』

「コリア」は「高麗(コリョ)」からきた言い方。半島の南には昔から韓部族が住んでいたから韓国って国名になった。
・・・なんて知識が得られる。雑学本としてはかなり面白い方。
★★★☆

371:無名草子さん
14/06/12 07:15:42.05 .net
皆神龍太郎/Gakken『都市伝説の真実』

「都市伝説」じゃないな,こりゃ。フリーメイソン支部P2のテロ事件とか(ベルルスコーニも多少の関与を
していた,とかいう噂はとも角)本当の話だし。
“オオカミに育てられた少女カマラとアマラ”とか,同じく“アヴェロンの野生児ヴィクトール”等,動物に
育てられた人間の子,という話は世界に案外とたくさんある。しかし近年では,こういうのは幼いうちに親が
捨てた子供がなんとか生き延びたというだけの話らしいというのが定説になりつつある,というのも僕にはもう
大分前に聞いた話であんまり面白くないや。
★★

372:無名草子さん
14/06/12 08:11:29.30 .net
副島隆彦/幻冬舎新書『陰謀論とは何か」

私は「共同謀議論者」である。宇野正美とかとか中丸薫とか太田竜なんぞと一緒にすな。

・・・と著者は申しております。
★★

373:無名草子さん
14/06/12 08:15:38.50 .net
春日武彦・文 吉野朔実・漫画/アスペクト文庫『精神のけもの道』

「他人の愚行を見物するくらい愉快なことはあまりない」とは故倉橋由美子の言。
この本は愚行というより微妙ながら明らかに常軌を逸した言動をする愉しみを教えてくれる。
春日武彦の本の中では珍しくお金出して買って読んでも損をしたような気持ちにはならずに済む。
★★★

374:無名草子さん
14/06/12 08:17:47.65 .net
「言動をする人々を見物する」でちた。

375:無名草子さん
14/06/12 08:23:47.46 .net
清永賢二・清永奈穂/新潮新書『犯罪者はどこに目をつけているか』

「人気のない道で子供や女性が痴漢や物盗りに抱きつかれた場合,足を踏んづけて撃退なんて無理。噛み
つくのが一番効果的」とか,参考になる部分もないではないが,どうも教科書的な書き方で面白くない。
・・・というよりこれは(新潮新書によくある)「何かの教科書にするために書かれたと思しき本」の一冊。


376:無名草子さん
14/06/12 08:59:56.81 .net
唐沢俊一/徳間書店『日中韓お笑い不一致』

対談本。中・韓国人から見ると「日本人は人前で他愛なく笑いすぎで(幸か不幸か)毒の効いた社交的
政治的ジョークが下手」というふうに見えるらしい。
日本人が「他愛なく(大して可笑しくもないのに)笑い過ぎだ」というのはTVなど見ていると僕も思う
けれど,中国人韓国人がユーモアに富んだ国民というふうには一向に見えないがなあ?
『Mr.Boo!』とか,じつにつまらない映画だったし,香港映画で笑ったことはないな,僕は。
個人的につき合うと違うのだろうか?
★★★

377:無名草子さん
14/06/14 20:02:58.44 .net
小谷野敦/ベスト新書『病む女はなぜ村上春樹を読むか』①

よく本を出す人だなw

小谷野の村上批判は『反=文藝評論』で既になされているし,この本でもあれ以上の事は大して書けていない。
(本人も言う通りだ。)
で,その批判は別に間違っているとも思わないけれど,特段の説得力がある訳でもない。何しろ小谷野の周囲
には “村上が好きでかつ文学のわかる女” がおらず,いても「なんで村上が好きか」と訊いても「好きに理由は
ない」というばかりだというのだから。そして小谷野自身も村上が嫌いな理由は言えても「ではなぜこんなに人気
があるのか」についてはよ分からないらしいから。
これで「村上春樹なんか好きな女は病んでいるのだ」は無理だろう。「病んでいるのはオマエだろ」と言われるのが
落ちだ。

378:無名草子さん
14/06/14 20:15:51.16 .net

・・・というわけで,この本で村上批判として目新しいのは「安原顕が村上の原稿を売りとばした問題」に
ついて,だ。これについては全面的に小谷野が正しいと思う。なぜなら―

・作家の原稿なぞ文学研究上は何の価値もない(未発表原稿ならとも角)。だから昔から所有権の曖昧な
 ものである。好事家が欲しがるなら売ったってかまやしないのである。
・ヤスケンは生前村上の奥さんから「今の村上に厳しいことが言えるのは安原さんだけだから,これからも
 よろしくお願いしますね」と言われたような編集者である。その厳しいアドヴァイスに対する私怨をこんな
 かたちではらしてやろうとはよくない了見である。

379:無名草子さん
14/06/17 20:05:54.65 .net

第二項は僕の知見を加えて要約↑。

マア僕は,ブンガクのわかる人皆仰言るように,村上は初期作品―『羊をめぐる冒険』あたりまで―以外は
馬鹿々々しいと思っているので,村上批判もどーでもいいのである。
例によって,小谷野せんせいの本は評論的雑談の方が面白い。「蓮實重彦とともに,自分は三島由紀夫の作品
には1%の文学的価値も認めない」とか。評論家兼売れない作家のくせにナマイキなことを言っていらあw
どうもこの人の趣味はよくわからない。田山花袋の『布団』とか,大江健三郎の最近の作品とか,うじうじ鬱陶しい
感情のもつれを描いた作品を異様に高評価する一方で,漱石『こころ』等は「重苦しい」と嫌うとか,よくわからぬ。

380:無名草子さん
14/06/18 11:33:11.66 .net
古市憲寿/新潮新書『だから日本はズレている』

読めばわかる通り,この著者にはどうやら「これだけはどうしても言いたい」といった事は特にない。
学者でなければ言えないような,読んで感心するようなところも特にない。僕には読まなくても見当が
つく程度の話ばかりであった。なんだか学生の書いたブログか同人雑誌みたいであるな。或いはせい
ぜいオヤジ週刊誌になら売れるかも知れないといった程度のもの・・・と思ったら,もともと雑誌に書いた
短文を集めたものらしい。

というわけで,どうも僕にはこんなものを本にする人の気持ちがわからない。もっとわからないのはこれ
が結構なベストセラーになっているらしいことだ。一体誰がこんな無内容な本を読むんだか。
まあ上記のようなことがそのまま売れる理由になっているのかも知れない,という気もする。


381:無名草子さん
14/06/18 16:57:16.79 .net
海猫沢めろん/幻冬舎『全滅脳フューチャー&#8252;&#65038;!』
作者の自伝?なのかまとまりがまるでなく、文章力のなさに読んでいて不快になるだけだった

382:無名草子さん
14/06/24 20:30:47.03 .net
増田悦佐/東洋経済新報社『夢の国から悪夢の国へ』

アメリカはどうやら「黒人・ヤダヤ人・インディアン=アメリカン差別」から言わば “貧乏人差別” の方向に
梶を切ったようである。増田氏には彼らアメリカの高所得者層の傲慢ぶりが我慢ならないらしい。
けれども僕にはそれは歴史の必然であるように思われる。

①「アメリカは吾等正しい清教徒の国であり,だから異教徒や劣等人種は差別して良い。そして金持ちになれた
  人間は,努力し神の祝福を受けた人間なのであるから何ら恥じることはなく,むしろ誇りに思うべきである。
  逆にこのアメリカという良い国で貧乏な人間は,努力が足りず,神に愛されない人間なのだから自業自得なのだ」
  という考えの帰結としての現在のアメリカ。

②アメリカは製造業が駄目になり,金融業も信用されなくなりつつあり,中産階級も消滅しつつあり・・・で,もはや
  打つ手がない。即ちこの先再び豊かな国になることはまったく期待できない以上,高収入な人々が既得権益の確保
  に走るのは当然のことである。
  「労働者の賃金を下げて会社の利益率を上げるのも致し方ない。会社がつぶれるよりはまし」とか「みんなが豊かには
  なれない以上,金持ちは金持ちでいる方が,国民みんなが貧乏になるよりはずっと良いだろ?」といった考え。

日本は①はまだしも,②の方向には確実に向かいつつある。増田氏とともに,安倍晋三や竹中某,宮内某など,この方向に
日本を誘導しようとする者たちには警戒おさおさ怠りないようにせねばなるまい。
★★☆

383:BOCONON
14/06/26 01:22:38.74 .net
小谷野敦/洋泉社 新書y『天皇制批判の常識』

著者いわく―
「身分制/身分差別というものは良くない、そう教えられて育ってきていながら我々日本人は天皇制について語るとなると途端に
そのことを棚に上げてしまう。しかし考えてもみよ、天皇・皇族は生まれながらに日本国民ですらないのである。
当然所謂基本的人権もない。選挙権も信教・職業居住地の選択の自由等々すらもないのだ。なぜこの矛盾に気がつかないのか。
私は日本国民に呼びかけたい。あなたは人間が生まれによって差別されることを是認するのか。平和でありさえすればそれでいい
のか!(大意)

うん,別にかまわないと思う。ボクは天皇の権威を借りて自分が威張りたいだけの人間には警戒するけど,それだけ。
小谷野先生も別に皇族のためを思っているわけでもなく,なんだか尤もらしい理屈をつけて無理に憂えている感じがするな。

この本もしかし,横道にそれて歴史に関する薀蓄を語る部分は面白い。
・「今上」とは「今の天皇陛下」という意味であるから「今上天皇」というのは畳語である
・山本七平の未完の著書にあるように「現人神」というのは近代になって急に言われだした与太話の類である。江戸時代までは天皇の
 存在すら知らない日本人の方が圧倒的に多かった
・天皇制の問題については知識人たちも大方は正面から議論したがらない。彼らはヘタレにして卑怯な営業左翼・営業右翼に過ぎない。
等々。
★★☆

384:無名草子さん
14/06/26 01:28:53.79 .net
服部圭郎/洋泉社 新書y『道路整備事業の大罪』

著者はもともと本書のタイトルを『道路をつくると地方は衰える』にするつもりだったという。
実際そういうことを述べた本である。
世界的に先進国ではすでに脱クルマ社会化の方向に進んでおり、「道路を作っても地方都市が栄えることはない」
「高速道路を作っても結局は渋滞は緩和されない」というのは常識になっているらしい。車がなければ生活出来
ないようなアメリカですら、住民運動によってハイウェイ建設が中止されるなどの例が続出しているそうな。
逆に「道は車が走るところじゃなく人間が歩くためのものだ」という考えから、暗渠の上を走る自動車道を取り
壊し,清渓川を取り戻して住民はもとより世界から称賛されたソウル、ヨーロッパ最大の歩行者道を作って中心部
に人を呼び戻すことに成功したコペンハーゲンなど、興味深い実例がたくさん挙げられている。
東京が公共交通機関が発達していることが世界的に高く評価されていることもこの本で知った。

ボクは「こんな車だらけ、騒音だらけ、排気ガスだらけの国で文化もへったくれもないわな」との意を強くしたことであった。

385:無名草子さん
14/06/27 00:41:44.96 .net
↑★★

386:無名草子さん
14/06/27 00:42:44.46 .net
さわやか/星海社『10年代文化論』

くだらん。


387:無名草子さん
14/06/27 19:05:42.55 .net
もうちょっと頑張って書いてくれよw

388:無名草子さん
14/06/27 20:17:55.13 .net
どーもすいませんw

389:無名草子さん
14/06/28 15:53:58.77 90ZPst52h
今野敏/「精鋭」 現在朝日新聞で連載中の小説

朝日新聞という、どちらかというと権力側から一歩引いたスタンスでの
社会的批評を期待しがちなメディアだが、今回の連載小説が、まさに公権力
の手足となって職務を執行する警察官の物語であることに、新鮮さを覚えた。
 
警察学校や配属先でのでの正義感に燃える教官や上司の話などは、一般メディア
でも比較的扱い易く、ストーリーとしては穏当なものだが、興味を引き始めたのは
主人公の柿田が、現場での検挙や取締りに迷うシーンあたりからだ。

自らも、一人の不完全な人間として、他の人間を杓子定規に取り締まったり、検挙した
りすることに不安を覚える。あるとき、まだ新米である柿田のために教育係から、取締り
のコツを教えられる。住宅街での一時停止はたいてい完全停止はしないから、検挙し放題。
曲がりくねった細い道から直線になる道の脇にいれば、速度違反は入れ食い。

柿田自身も過去に羽目を外したことはいくらでもある。警察官とは、その気になれば、
こうした普通の人間の隙間につけ込んで犯罪者にしてしまうことができる職業なのだと、
柿田は自らの人生を振り返って、新人らしい素朴な自問自答を続けてゆく。

私は、こうした職責の重さと、執行する人間の自らの生き方と重ね合わせる誠実さの中で
いろいろな具体的な場面での更なる緊張や葛藤に出会う主人公の行く先に、深い関心と期待
をもって読み続けている。

今のところ、ストーリーは、走破訓練や射撃の要領、SATの試験入隊訓練など、厳しさや
その克服過程を描いたスポ根ものに近い印象の話に終始している。そのためか、当初のような
精神的な迷いを深めてゆくような内容からは遠ざかっており、やや、失望の感もある。

しかし、「精鋭」という題名にあるように、SATに入隊すれば、これからが、
本番のストーリーが始まるのかもしれない。サスペンスまがいの派手さだったり、
単純な勧善懲悪や底の浅い正義感よりも、それ以上の人間観察の深さに訴えるような
展開を期待している。

390:無名草子さん
14/06/28 20:26:05.02 .net
・・・って,なんで僕が謝らにゃならないのだろう。
今日もテキトウに行く。

コリン・ウィルソン『カルト』
カルト宗教の教祖は大ていひどく恵まれない育ち方をしており、友達はあまり作れないが子分を作
る能力は異常にある。
(※いい方に転ぶとジョン・レノン等。悪い方に転ぶとアサハラ、C.マンソン、ジム・ジョーンズ等々)
★★

斎藤美奈子『文壇アイドル論』
ちょっと文学に詳しい人間なら誰でも言える程度の事しか書いてない。岩波もこんなものをなぜハード
カバーで出すのやら。


内田樹『下流志向』
根拠らしい根拠もない至極いい加減な話を何故かしたり顔で語る地方私大の教員。
(後記:著者は憧れの人矢作俊彦に会った時「憲法は今のままでも自衛隊でじゅうぶん国防は出来る」
と持論を語って,あっさり「今のままじゃ相手が攻撃してこなけりゃ手も出せないんだぜ? あんたは
間違ってるよ」と切って捨てられていて笑った。)


三浦展『下流社会』
これも内田樹と同断。世間話のネタ程度にしかならないレヴェルのいい加減な若者論。


391:無名草子さん
14/06/29 19:48:47.29 .net
風間賢二/双葉文庫『ホラー小説大全』

ホラー小説の歴史をたどっている。この人はいつも,小説をいかにも面白そうに紹介してくれる。
僕はあんまり小説は読まないけれど楽しい。「ディーン・R・クーンツってアホな話考えるやつだなあw」
などと。
ブックガイドとしては優秀だ。文芸評論として見るとあやしげな部分も多いけれど,僕はただ読み物
として面白かったから良いのである。
★★★

392:無名草子さん
14/07/01 11:17:40.44 .net
久世 原案|春瀬ひろき 作画|トレンド・プロ 製作/オーム社『脱オタクファッションガイド 改』

タイトルに “改” とあるが,内容は前著よりさして新しくなっているところはない。
だから明らかに古くなっている記述も多い(ブーツカットのジーンズ,三つボタンのスーツ・・・)。
今回は所謂「萌え絵」の漫画でページを水増ししているが,これも実につまらない。

・・・というわけで,しごくいい加減でバカバカしい本であった。


393:無名草子さん
14/07/03 00:49:29.12 .net
新潮文庫『三好達治詩集』

春の岬旅のをはりの鴎どり浮きつつ遠くなりにけるかも

冒頭のこの一首と「甃のうへ」以外はどうもあまり大したものではない。
(「太郎を眠らせ ... 」は少しあざといと思う。)


吉田豪/新潮文庫『元アイドル!』

アイドルやっているような子はやっぱりみんな少し頭おかしい(またはおかしくなる)もののようである。
AKBはさて,ね・・・

394:無名草子さん
14/07/04 20:28:08.19 .net
水上はるこ/宝島社文庫『ドリーム・オン!』

『ミュージック・ライフ』には書けなかった話、という割りにこれといって大した話もなし。
(著者が一時ジャン=ジャック・バーネルと恋人同士だったというのは意外なエピソードだった。
 ・・・と言っても、これもさほど面白い話ではない。)


谷沢永一『「国民の教科書』絶版を勧告する』

著者は「つくる会」に私怨があるらしく、しつこく揚げ足を取り,重箱の隅をつついている。当然相手にされず。
まだ若かった頃のこの人の生きの良さを知るものとしては見るに忍びない気分にさせられる。

藤原正彦『心は孤独な数学者』

タイトル通り、心の欠落を埋めるために天才たらざるを得なかった人たちの心情に胸を打たれる。

藤原正彦/文春文庫『天才たちの栄光と挫折』

上記の本の増補改訂版といった処。アンドルウ・ワイルズがフェルマーの定理を解いていく過程が特に
スリリング。(腐女子の方はアラン・チューリングの章をどうぞ。)

群ようこ『おんなのるつぼ』
この人のことは悪く言いたくないんだけれど・・・この本もふつーのオバハンが愚痴っぽい世間話してる本。

ノーマン・マルコム『ウィトゲンシュタインの思い出』
ウィトゲンシュタイン入門するには、彼の奇妙な人間性を知っておいた方がいい。単なる読み物としても面白い。

395:無名草子さん
14/07/06 20:27:09.69 .net
唐沢俊一/三才ブックス『唐沢俊一のトンデモ事件簿』

 第三章、第四章に至ってやっとこの人らしい悪趣味だが奇妙に引きつけられる話になってくる。
 もともとファンではない人には推奨しかねる。

伊集院光/宝島社『の、はなし』

 別に面白い話は何もない。でも案外人気があるらしく続編が出続けている。誰が読むのやら。

和田秀樹/PHP文庫『受験は要領』

 受験数学なんぞは基本的な問題とその解き方を4~500丸暗記しておけば,後はその応用で殆どどんな
 問題でも解ける,という。それが本当でも,僕には数学なんて問題の意味すらわからないから無理だけど。

コリン・ウィルソン+ダモン・ウィルソン/青土社『世界不思議百科』

 オーク島の18世紀に掘られた謎の巨大縦穴など、世界の不思議なものに関心のある人には基本文献だろう。
 実に面白い。

396:無名草子さん
14/07/08 20:29:59.42 .net
永山薫/ちくま文庫『増補 エロマンガ・スタディーズ』

エロ漫画の単行本を全部読んでいた,という筆者ならではの包括的なエロ漫画史。
この手の本は僕は好きだが,広く皆様に推奨は出来ない。長すぎるし,もっと笑える本にだって
出来た筈だし。

 マチズモが崩壊する過程においては,「生意気なクソアマ」のみならず,女性であること自体が
 ヴァルネラビチティ(vulnerability=暴力誘発性)を帯びることになる。

こういう甚だ全共闘世代的な(あるいはいかにも東浩紀の盟友らしい)理屈っぽい文章を読むのが
苦痛でない人はどうぞ。
 
★★☆

397:無名草子さん
14/07/10 00:01:33.45 .net
 マーティン・ガードナー/ハヤカワ文庫『奇妙な論理』

意味不明な邦題で損をしているが,本当はと学会の先達のような擬似科学を平然と斬っていく愉しい本。
(もと社会思想社の現代教養文庫に入っていたものが版元倒産でこちらに版権を買い取られたらしい。
 定評のあるロングセラーだということである。)
★★★

木田元/文春新書『なにもかも小林秀雄に教わった』

内容を正確に言えば “主に小林秀雄に教わった本や音楽の思い出” と云ったところ。
それゆえこの人の著書にすでに親しんでいるのでない人には奨めかねる。
そもそも小林秀雄は < 最後はオカルト肯定に至ってしまう=哲学なんてガラでもない > 人である気がする。
★★☆

春日武彦・平山夢明/扶桑社新書『「狂い」の構造』

非常に面白い世間話(褒め言葉)。その上精神衛生の勉強にもなる。
★★★☆

398:無名草子さん
14/07/10 00:26:21.70 .net
アルジャーノンに花束を、読了

総合:★★★★☆
内容の濃さ:★★★☆☆
充実度:★★☆☆☆

世界的文学作品をようやく読んだ
読破した直後はテーマはわかってるがまぁそうだよな、ってくらいだったが
翌日、翌々日とかになって染み入るようにテーマに共感した
星の王子さまを読んだ時と同じような感じだった

399:無名草子さん
14/07/10 00:26:43.98 .net
海老原嗣生/扶桑社新書『「若者はかわいそう論」のウソ』

この本は門倉貴史『ワーキングプア』、玄田有史『仕事のなかの曖昧な不安』、城繁幸『若者はなぜ3年で
辞めるのか』などのベストセラーを論駁した本だというのでちょっと期待して読んだ。
でも面白くなかった。三氏への批判はまだしも,この人自身が提案する事はどれも単なる思いつきとしか
思われぬ。
フツーの読者は,最後に置かれたかの「反貧困ネットワーク」の湯浅誠氏との対談を読むだけで良いと思う。
一部要約してみる。

海:「若者はかわいそう」という風潮を煽る人が多過ぎる。実際はネットカフェ難民も製造業派遣も4~50代が多い。
湯:高齢者に貧困家庭が多いのは確かだ。しかし貧困のために実家を離れられなくて結婚も出来ない若者も非常に多い。
   しかもそういう人たちは統計上の数字にはあらわれない。公的な家賃補助制度が必要だ。
海:雇用促進住宅とかURの空き家合わせたら100万戸くらいあるはず。とりあえずそれを使ったらどうか。
湯:ボロ家や辺鄙なところにあるものなんぞ数にいれてもしょうがない。使えるのはせいぜい4万数千戸だ。
海:かんぽの宿を住宅に建て替えるとか能力開発機構の運動場にプレハブでも建てたら?
湯:やりたいけど実際は難しい。国はもう公営住宅を作る気がないし、地方自治体は「貧乏な人に集まってこられちゃ困る」
   と思っているし。
海:それは,勉強になるなあ。

海;日本の労組は既得権益を守ることばかり考え過ぎだ。
湯:それは一理はあるが、正社員だって住宅ローンその他抱えてかつかつで生きているのだから、そんなことを言っていても
   話は一歩も進まない。

・・・といった調子である。

★★

400:無名草子さん
14/07/10 00:58:51.90 .net
お前ら他人様の書いた本のレビューしてる暇あったら自分で1冊でも本出せば?
バカなの?
死ぬの?

401:無名草子さん
14/07/10 01:38:18.50 .net
それは以前書いた通りさ。

僕は4年前に「日本の原子力発電は近いうちに取り返しのつかない大事故を起こすだろう」とブログで予言した。
一昨年は「子宮頸癌ウィルスの予防接種など有害無益」と警告した。
去年は「NHKは “TPPに参加するとどうなるか・・・韓国はFTAに参加して関税が0になったおかげで工業製品の売り上げが30%も
伸びました” などと印象操作をしているが,そんなことは絶対に起こりえない。もともと安いのが取り柄で関税が50%以上も
かかっていた国と,高品質製品が売りで今現在でも15%しか関税のかかっていない国を比較する馬鹿があるかい」と指摘しておいた。

こんな東電に訴えられるであろうようなことを平気で書く人間の本を出す出版社があるかね?
出しても読む人がいるか?
ある/いるというなら連れてきてくれたまえよ,君。

402:無名草子さん
14/07/10 20:59:49.67 .net
小泉武夫/新潮文庫『これがC級グルメのありったけ』

この人のエッセイの本はどれもつまらなくはないけれど,どれを読んでも同じようなものでもある。
だから僕には同じ新潮文庫の『不味い!』が面白かった。この本でも美味かったものよりマズかったものの話の
方が面白い。

いや、うまいまずいなんてレベルじゃないな。小泉センセイは探究心が旺盛過ぎてもはや奇人の部類に入る。
「はじめに」を読んだだけでも、小学2年の時からすでに “へびいちご” や “あせびの花” を食べて食中毒を起
こした話が出てくるのだ。
へびいちごを食べた後は「激しい嘔吐におそわれ」あせびの時はこれに「痺れも加わって入院し,胃洗浄を受けた」
というのだからあまりシャレにならない。

で、これで懲りたかと思えばまったく懲りておらず,むしろ以後ますます「食べられるか食べられないかに異常に関心が
わき」「それに挑戦したい気持ちが気持ちが強くなりました」というのだから凄い。

・・・というわけでこの本は一読に値する。でもそういう人の言うことだから,あんまり真に受けるとヒドい目に会い
そうな気もする。沖縄の「ぴーじゃー汁」(=山羊汁)も「独特の山羊臭が鼻にきついですが、この汁の真髄といった
ものを知れば、あとはどんどん食べられます」などと書いている。
別に沖縄差別でもなく、かの東海林さだおも堪らず逃げ出したという猛烈な臭いのする山羊汁なんてものには普通
の人はそんなに簡単に「慣れ」やすまい。

★★★

403:無名草子さん
14/07/10 23:53:56.91 .net
殺戮に至る病

最後のどんでん返しが有名なこの小説、
一気に読もうとしたけど途中でグロテスク過ぎて気持ち悪くなって一日置いて再読したほどのシロモノ。
今は整理つかなくてなんとも言えないが二週目になったらまた改まった考えで読めるのだろう

★★★☆☆

404:無名草子さん
14/07/11 20:16:54.78 .net
紅山雪夫/新潮文庫『イスラム物知り事典』①

世界的にイスラム建築の美しさには定評があるらしい。この本で知った。
とは言っても僕は建物の外観よりも口絵にあるような内部の装飾の方にしか心惹かれないのであった。
ほかには多分似たものもないような、細かな幾何学文様・草花文様・アラビア文字の彩釉タイルやモザ
イクによる天井まで覆いつくした装飾。
(ドビュッシーのピアノ曲『アラベスク』などもこうしたものをイメージして書かれたに違いない。)
そのうちこの方面の美術書、あるいは実物を見てみたいものだ。

405:無名草子さん
14/07/13 20:01:10.79 .net

ムハンマドに率いられたメディナ・イスラーム軍との戦いでは、メッカ側は当事珍しかった騎兵隊を編成して出陣してきた。
普通なら馬など投入されたら一気に蹴散らされてしまうところである。
しかしムハンマドはペルシャ軍にいたことがあるという商人の建策を聞き入れ、町のまわりの騎兵隊の通りそうなところに
は空掘りを掘り巡らしておいたのであった。メッカ騎兵隊の馬はみんなこれに落っこちて、もたもたしているところへ次々矢
を射込まれて何の役にも立たなかったらしい。

…僕がなんでこんな事に興味を持つかというと、歴史の本を読んでいて馬を戦闘用に使った民族の圧倒的な強さに驚かさ
れたことが何度もあるからである。
たとえば中央アジアに住んでいたらしい古代アーリア人(所謂白人の祖の一)が馬に戦車を引かせる戦法を身につけるとイン
ドやペルシャをたちまち征服してしまった話。ケルト人も同様の事情で東ヨーロッパ、黒海近くの僻遠の地からあっという間に
西ヨーロッパまで広がった話。中国がなぜあんなに(隋・唐時代、あるいはもっと以前から元・清に至るまで)北方の騎馬民族に
征服されてばかりいたかと言えば、中国ではなぜか馬が育たず歩兵中心だったからであるという話。チンギス・ハーンの世界帝
国は言わずもがな、である。
中国も世界の三馬鹿に数えられる万里の長城なんぞより、滅多にない黄河の渡れるところあたりに空堀か水堀でも掘ってお
けば良かったろうに。
(「世界の三馬鹿」とは戦時中日本海軍内で自嘲気味に言われた言葉。ほかの二つは「ピラミッド、戦艦大和」だそうな。)

406:無名草子さん
14/07/13 20:15:18.90 .net
下関マグロ・北尾トロ/幻冬舎文庫『おっさん問答①おっさん傍聴にいく!』(前)

おっさんだろうと若い人だろうと面白けりゃ別にいいのだが、困ったことに北尾トロは今回妙に真面目だし下関マグロ
は明らかに裁判傍聴になぞ大して関心がない。たぶんこの対談後も傍聴なんて仕事でもなきゃしやすまい。
面白い裁判傍聴記読みたければ、阿曽山大噴火/河出文庫『裁判狂時代』『裁判狂事件簿』や(やや落ちるが)北尾トロ
文春文庫『裁判長!ここは4年でどうすか』『裁判長!これで執行猶予は甘くないすか』がいい。霞っ子クラブの本も大
して面白くないのでブック・オフかどっかでどうぞ。

ところでこの本にも誰が読んでも興味深い、というより腹が立つところがある。よく聞く話ではあるのだが、弁護士には
どうかと思うような人間がかなりいて、たとえば痴漢事件―下着に手を入れられ下腹部を触られた―の被害者女性に以下の
ような証人尋問をするのだ。

407:無名草子さん
14/07/13 20:16:27.33 .net
(後)

弁護士:私は個人的にはこういうことは訊きたくないのですが……デリケートな問題ですから失礼な質問をしてしまうかも
      知れないけれども、仕事ですから……。
      下着に手を入れられて、最初はお尻を触られていて、そのうち前に手がまわってきて、最後は下着の中に手が
      入ってきて,思わず叫んで捕まった、ということですが、大体何秒くらい? お尻に当たっていたのは?
被害者:わかりませんけど、1分か2分だと思います
弁護士:ああわかりました。それから前にまわってくる。それはいきなり前にまわってきたのか、ジリジリとまわってきた
      のか…
被害者:ジリジリという感じです
弁護士:じゃああなたは嫌だったらそこで叫ぶこともできましたよね?
被害者:いえ違います。怖くて声が出なかったんです
弁護士:そりゃそうですよね。いや失敬失敬

北尾トロ注:つまり弁護人は「気持ちが良かったんじゃないの?」という具合にもっていきたいわけ。思い出して泣き出して
しまう証人もいるよ。

弁護士:前に手がきて、怖いのであれば本当に体が固くなって両足なんかガシッと閉じますよね。なかなかその状態で下着に
      手を入れて触るというのはしにくい状態になるわけですよね?

北尾トロ注:「結局拒否しなかったんじゃないか」と言いたいわけです。

・・・まだまだ続くのだが胸くそ悪いので以下略。
まったく「仕事ですから」じゃないだろという話であり、弁護士としてどうとかと言うより人間としてどうか、という話で
ある。しかもこういう事実上(金のためなら)どんな依頼も安請け合いするような弁護士の話は珍しくないのだ。
こんなふうだから僕は弁護士や医者を「先生」などとは呼んだことがないのである。
★★

408:無名草子さん
14/07/15 19:59:13.81 .net
と学会/楽工社『トンデモマンガの世界2』

この本,山本弘や唐沢俊一の文章も載っているが、大部分は新田五郎という人が書いている。
この人は “評価の対象外となった漫画” の収集家で、同人誌・講演活動をやっているそうで,要するに
シロウトである。
まあなんでも面白けりゃいいのだけれど,あんまりお金が取れるレヴェルではない。
唯一新田氏自身も書いていて面白かっただろうと思えるのは「あり得たかも知れない未来世界でジャイ
アント馬場やカール・ゴッチやタイガー・ジェット・シンなどが見守るなか、アントニオ猪木と前田日明が数
時間に及ぶガチンコ勝負を繰り広げる」という、上川瑞徹作『格闘王伝説 Jr.WARS』なる作品の話だけ。


409:無名草子さん
14/07/17 00:09:42.08 .net
小原誠/文春文庫『探偵裏事件ファイル』

多分この小原という人は自分で書いていないと思う。そもそもこの本,本当にあったか事かどうかも
あやしい話ばかりである。
依頼の内容が「長女(20代後半)と子供の頃から仲が良かった父親が,先日一緒に酒を飲んで帰宅
して同じ部屋に寝ているうちに(なぜか)レイプしてしまい,それでその長女が行方不明になってしま
ったから探してくれと依頼してきた夫婦」とか。
「カツラをかぶっているのが周囲にバレていないか、バレているとしたら陰で笑われてやしないか調べて
くれと依頼してきた男」とか。
どうもバカバカしくていかんね。

この本が役に立つとすれば,ダメな探偵の見分け方・料金など、依頼する場合の一応の目安になること
が書かれていること、そして探偵になるにはどういう人が向いているか,が書いてあることくらいだろう
(これもどれほど信頼できる話やら)。


410:無名草子さん
14/07/17 00:31:01.78 .net
久繁哲之助/ちくま新書『地域再生の罠』 (1/Ⅱ)

著者は数多くの地域振興策の失敗例を挙げているが、私にはどれも当たり前のことのように思える。

●宇都宮109は4年も持たずに撤退した
   宇都宮の109に行くくらいなら、そりゃ東京渋谷の本家に行くだろうよ。
●中心街再生の切り札として建てられた「宇都宮表参道スクエア」からは撤退するテナントが続出
   これも当然だろう。大して人口も多くなく、みんな車で移動するのに,車では行きづらい地方
   都市の中心部に商業ビルを建てれば人が集まるだろうなんて,なんでそんなヘンなことを考え
   るのか僕にはわからない。(「表参道」・・・)
●松江市の天神町商店街は地域再生や地域活性化の成功例として数多くの書籍等に取りあげられているが
  実はイベント以外ではほとんど人っ子一人歩いていない
   それはそうだろう。地方都市で繁盛している個人商店は、スーパーでは手に入らない商品(特に食べ物)
   の店だけである。そもそも商店街なんてもう基本的に必要ないのだ。
●レトロ化で成功したと言われる長野市「ぱてぃお大門」や「昭和の町」を謳う大分県豊後高田市の商店街には
 見学の客は来ても店に入る人はあまりいない
   そりゃ店に入る理由は別にないこと上に同じである。川越の古い町並みを見るための「小江戸ばす」も同様。
   川越は長~い商店街が今でもあって面白いが、それ以外は江戸明治から続く街並みも車だらけだから歩くのも怖い。

411:無名草子さん
14/07/17 00:53:19.74 .net
(2/Ⅱ)

著者ももっと違うやり方があるはずだ、といろいろ提案し成功例を挙げてはいるのだが、残念ながらどれも
説得力があるとは言いがたい。例が特殊過ぎるのだ。

・「宇都宮はジャズのまちでかつ優れたバーテンダーの店がいくつもあり…」とか言われてもな。
  そんな金持ちの商売道楽みたいな店に本当に客が入っているのかしらん?

・「青森市では駅前に電車待ち用の “アウガ” なる商業ビルを建て、それ自体は赤字だが、そばに
  ある新町商店街と共存共栄が出来ている」というのもどうかな。
  一時間に一本しか電車が来ないところの話じゃあんまり参考にはなるまい。

・「皇居のまわりにある銭湯は、ジョギングをする人が汗を流す場として賑わっており」・・・って地方
  都市じゃないじゃん(あの辺に銭湯がいくつもあるとはオドロキだけど)。

そもそも著者の提案によって実際地域再生が出来たところの例を挙げるのでなきゃこういう本を書いても
しょうがあるまいと思うが、そういう話は出てこない。
著者はあちこち地方都市から地域振興・再生について講演を頼まれて行くそうだが、失礼ながらそれも地方
都市の役所の「私たちだっていろいろ考えてるんです!」という市民への言い訳のために利用されているだけ
ではないのかね、と僕は思ってしまった。
★★

412:無名草子さん
14/07/17 01:14:08.76 .net
森川嘉一郎/幻冬舎文庫『趣都の誕生 萌える都市アキハバラ』

著者によれば「秋葉原の変化は商業資本主導ではなくオタクの趣味の構造による集合であるところが
決定的に新しいのである」。
そうかも知れないけれど、だから何?


鎌田遵/岩波新書『ネイティブ・アメリカン』

彼らがいまだにこんなに悲惨な境遇だとは知らなんだ。(今更ながら)アメリカ白人はナチスより酷い。
★★★


清谷信一/講談社文庫『ル・オタク フランスおたく物語』

フランスではもう日本製アニメ・マンガは当たり前のものになっていて、これ以上の伸びは期待できない
らしい。
★★★

413:無名草子さん
14/07/17 01:21:46.17 .net
藤原正彦/新潮文庫『数学者の言葉では』

こりゃまたクソつまらないただの雑談。この人は数学以外のことを語るとまるで駄目。『国家の品格』
なんて問題外。


恵比須半蔵/彩図社『就職先はブラック企業』

パソコン教室、英会話学校、高速バス会社など、いかにもなところの話が多くてあんまり面白くない。
ただ、大企業でも実質ブラックな部署もあるというのは参考にならないでもない。
★★

414:無名草子さん
14/07/18 21:18:37.22 .net
司馬遼太郎 / 播磨灘物語

1巻 黒田官兵衛を題材に小説でも書いてみるか、まずは官兵衛の祖先から・・・(以下余談)
2巻 中国攻めを書くためには、まず信長のことから触れないと・・・、ああ・・・信長様サイコー
3巻 イカンイカン、官兵衛のことを書かないと・・・、でも秀吉のことも気になる
4巻 秀吉・・・、秀吉、秀吉秀吉秀吉秀吉秀吉秀吉ィィー!!(昇天)・・・ふう、え?官兵衛?ぶっちゃけ平凡な紳士だよね(あとがき)

415:無名草子さん
14/07/19 22:01:45.94 .net
猿猴
前半はまあ面白いのだが
後半大和神話、各国の神話などがばっと出てきて物語がだれてくる
設定上説明が必要なのはわかるが神の名前とかみんな似ててよくわからんわ
終始、主人公には共感できなかった

星ふたつ

416:無名草子さん
14/07/24 09:07:23.24 .net
呉智英+適菜収/講談社『愚民文明の暴走』(1/Ⅱ)

僕はもともと文学が専門みたいなもので,政治については勉強中。おまけに新聞もTVのニュースも積極的には
見ない。なので,この二人の言っていることについてはよくわからないところが多い。
(「橋下徹を政界に送り込んだ某漫才師」って一体誰のことだ?)

でもまあ,理解できた範囲のことを見たところでは,どうもあんまり大したことは言っていないと思われる。
(大意)「民主主義という制度そのものに疑念を持つ人が増えている」というのはその通りだろう。でもだからって
「投票するには選挙人資格試験をパスしないといけないという制度を作るべきだ。中卒程度の常識を問うのが第
一次試験」なんてのはどうかな。
なんだか高校生みたいな発想ざんすね。

417:無名草子さん
14/07/24 09:44:19.61 .net
(2/Ⅱ)
実は僕も似たような事を考えてはいるのだが,試験をするなら例えば「 “不景気だと言うけれど,お金掛け
なくても/経済成長しなくても幸福に生きていく方法を考えればいいじゃないか” という考えはなぜ間違って
いるか」なんてことを問うのでなければバカを篩い落とすことは出来ない,と思うな。
(答えはもちろん「それは資本主義の否定であるから」。)

この本は一方,「知識人業界の裏話・噂話」といった風なものとして読むことも出来るし,その方が面白いし
たぶん正解だ。このスレでも『ふしぎなキリスト教』について批判的に取り上げたけれど,その著者の橋爪大
三郎も大澤真幸も(二人によれば)とんでもなく愚かしい事を平気で書いているのだとか。
以前橋爪の『民主主義は最高の政治制度である』なんて「ずいぶん変な本を出すもんだな??」と僕も思った
のだが,やっぱりね。買わなくて良かったw

まあ当然ながら,他人を舌鋒鋭く批判したところでその分呉・適菜が賢いという証明になるわけでもないが
インテリ業界に関心のある人にはこの本,消夏読み物としてまことに好適であると思う。

★★★☆

418:無名草子さん
14/07/25 00:31:12.94 .net
小林泰三/光文社新書『日本の国宝、最初はこんな色だった』

マンダラが美術品として好きな人間は東大寺大仏殿の復元されたカラフルな内部見たら嬉しくなる筈。
(不思議と復元前のものの方がいいとしか思えないのもあるが)
★★★

俵万智/新潮新書『考える短歌』

シロウト投稿短歌を添削しているが、びっくりするほどへたくそな歌ばかりで読むに耐えず。


419:無名草子さん
14/07/26 10:34:17.08 .net
宮部みゆき/『火車』/新潮文庫
★×5

有名なのに読んだことなかった
これホント凄いわ
こんなに引き込まれる作品は久々

420:無名草子さん
14/07/27 19:44:51.72 .net
推定驚異

キモオタが大人の恋愛ってこんな感じ?って書いたような不快な小説だった

ミリオタならウケるのだろうか

421:無名草子さん
14/07/28 17:25:19.79 .net
夜ごとの闇の奥底で

タイトルに惹かれて買ったけど目茶苦茶面白かった
個人的に大好きな兄妹愛(ほんとは姉妹愛が一番好きだが)を書かれていてよかった
サイコサスペンス物

422:無名草子さん
14/07/30 20:11:13.75 .net
川合光/講談社現代新書『はじめての<超ひも理論>』

この本,はじめて読んだ時は正直ちんぷんかんぷんであった。まあそれは仕方のないことである。
なにしろ著者は大学の教科書としても使えるように書いたというのだから(僕は物理なんて高校1年
の時既に落ちこぼれであったのだ)。
しかし僕はなぜかその後徐々に宇宙論、相対論、量子論にはまって行き、数冊易しい本を読んだ後
最近になってこの本のことを思い出して再読してみたら・・・うーん、こりゃ面白い。既に大統一理論(強
い力・弱い力・電磁気力を統一した)は確立しているのは知っていたが「超ひも理論」によって重力をも
加えた“超大統一理論” が導ける可能性がある,すなわち宇宙のすべてを記述可能な根本理論が成立間近
らしい,なんてことを聞くと、マヌケな話ながら「こんなすごいことを言っている本だったのか!」とわくわく
してしまった。
とは言え超ひも理論そのものについては私はこの本ではじめて知ったようなもので、理解したとはとうてい
言えない。そもそも数式が読めなきゃ本当にわかったことにはならないようであるし。
まあこっちはシロウトであるから,何だって面白きゃいいのである。

★★★☆

423:無名草子さん
14/08/01 20:10:32.88 .net
今野晴貴/ちくま新書『生活保護 ―知られざる恐怖の現場』

吉本芸人なんぞ叩いて溜飲を下げている場合ではないのである。生活保護は受けるも地獄,受けないも地獄なのだ。
自動車すら持てず,お金に換えられるものはすべて処分せねばならず,住むところだって安アパートに引っ越さねば
ならなかったりする。再就職だってろくすっぽ出来やしないのである。

ここ数年,生活保護を打ちきられ,あるいは申請することすら拒否されて,餓死・孤独死する人が続出しているのだ。
'13年にはさらに生活保護を受けにくくする法案が成立してしまった。こんな国民の命の安い “先進国” がどこにあろう?
“集団的自衛権” もへったくれもあるものか。

しかも国民も役人も政治家もそれを何とも思っていない,というのが問題だ。これでは「食料も燃料も補給してやらない。
現地調達で戦争をやれ」で,東南アジアで何十万人もの兵隊が餓死してしまった時代と本質的に同じことである。

日本人の劣化が激しい。年金制度改革どころか生活保護の切り捨てとか,国も国民ももう節約主婦的な発想しかできなく
なっている。消費税率をちょびちょび引き上げるだの,切り詰めてはならないものまで切り詰めて「何もしてないわけじゃ
ない」という言い訳に使おうというのだ。
「明日は我が身」とはこのことである。

★★★★

424:無名草子さん
14/08/07 02:48:25.56 .net
増田悦佐/PHP研究所『「景気は操作できる」と思っているエリートたちの大間違い』(1/Ⅲ)

僕も政治家や役人や経済学者に経済を良くする能力がある,というのは何かの錯覚だと思う。
アベノミクスなんてものでなぜ日本の景気が良くなると思うのか不思議である。

通産省が「アメリカの要求を巧みに躱しつつ日本の産業を育ててきた,などというのも(高橋洋一氏が言う
通り)事実はむしろその逆である。「自動車業界を再編してアメリカのように寡占市場にすべきだ」などと
要らぬお節介を焼くのがせいぜいだ。

以前も書いた通りで,立花隆はなぜ「日本を経済大国にしたのは大蔵省」などと世迷言を言っているのか。

宮澤喜一は「戦後最もよく経済がわかっていた総理大臣」(孫崎享)というのは本当かも知れないが,実行力
のある政治家とはとても言えない。だから賢くても何にもならない。

田中角栄は志も能力も実行力もあった人であるが,増田氏も言うように「だからむしろ始末に悪い」ようなもの
である。

経済学者などいちいち言うも莫迦らしいようなものだ。

425:無名草子さん
14/08/07 09:13:08.22 .net
(2/Ⅲ)

しかし >383 にも書いたように,増田氏が熱く語っているのはむしろ「アメリカの現状には我慢がならない」と
いうことである。経済一般の話のはずが,しょっちゅうアメリカのエリートや金持ちに対する批判の方へ
ずれていく。そしてその方が面白い。例えば―

・GMは近い将来再び破綻するだろう。なぜなら何も変わっていないから。安くて良いクルマを作る方向にも
 行っていないし,経営合理化も何らしていない。アメリカ政府のやったことは,税金8兆円をGMに注ぎ込み
 その後売れもしない車を増産させ,経営が上向いたように見せかけて株価を釣り上げ,その後GM株を売り抜けて
 「1兆円損しただけで済んだw」・・・という茶番劇だけである。
 貧しくてガソリンも買えない若者も増える一方であるし。

・採掘するだけでもひどく手間のかかるシェールガスなど高くつくから使い物にならない。そもそもアメリカは何を
 するにもクルマ=石油に依存しすぎているから,景気の良い企業・業界があっても国全体はちっとも豊かには
 ならないように出来てしまっているのだ。

・・・等々。

426:無名草子さん
14/08/17 20:26:33.40 BE:564952376-2BP(0).net
(3/Ⅲ)

ところで氏はケインズまでも否定して「デフレは庶民の味方なんだから無理に景気を良くしようとする
必要はない=生産調整が進めば自然と景気は上向く」というのだが,これは違うと思う。今の日本は明
らかに単なるデフレではなく,社会が急速に変化しつつあるからである。僕のまわりでもろくな就職
口がなくて就職浪人している人間が続出しているし,各企業が人件費を削って利益率を上げる方向に
動いているのは間違いない。おまけに焼石に水の消費税率引き上げ等々,政府の無能っぷりも酷い。

427:無名草子さん
14/08/17 20:29:32.48 BE:564952376-2BP(0).net
(おまけ)
ということは,何らかの対策を立てない限り,栄えるのは貧困ビジネスやブラック企業であるのは明白であろう。

思うにケインズ経済学が悪いのではない。ニューディール政策のおかげでアメリカが不況から立ち直ったというの
は確かに眉唾ものだが,上手くやれば効果はある。良いお手本もある。ナチスである。
増田氏には武田知弘/祥伝社新書『ヒトラーの経済政策』を一読されるようお奨めする。

★★☆


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch