【レビュー】読み終わったら書き込むスレ【感想】at BOOKS
【レビュー】読み終わったら書き込むスレ【感想】 - 暇つぶし2ch150:無名草子さん
13/12/01 20:05:49.62 .net
中島義道/河出ブックス『ニーチェ ニヒリズムを生きる』

言ってる事が間違っているとも思わないけれど,この男がニーチェについて偉そうに
語る理由がどこにあるのかわからぬ。


151:無名草子さん
13/12/02 10:57:24.58 .net
八幡和郎/ソフトバンク新書『本当は恐ろしい江戸時代』

内田樹が「江戸時代,日本は世界一教育水準が高かった」と言っているのはウソである,とか
なぜ幕府は金がなくていつもピイピイしていたのか,と云った類のいろんな疑問が解けた。
江戸時代というのはどうもいじけた感じのするいやな時代だ。
★★★

152:無名草子さん
13/12/02 11:08:39.42 .net
勝山実/太田出版『安心ひきこもりライフ』

若い頃のノイローゼ(鬱?)で障害年金貰って暮らしてるダメなおっさんの面白くもない寝言。
今はよほど重くもなければウツ程度じゃそんなものは支給されないから参考にもならない。


153:無名草子さん
13/12/02 11:11:16.70 .net
鉄人社ノンフィクション編集部『映画になった戦慄の実話 2』

>148 に同じ。

154:無名草子さん
13/12/04 19:12:15.19 .net
鉄人社ノンフィクション編集『映画になった奇跡の実話』

売れたもんだから調子に乗ってシリーズ化するつもりらしい。この本は少し文章が舌足らずになっているけれど
まだ面白い。TVに『世界仰天ニュース』なる番組があるが,あれを2,3倍濃くしたような感じ。
例えば“兄の冤罪を晴らすために妹が弁護士資格を取って闘い,18年目にして無罪釈放と賠償金をを勝ち取った”と
いう話も実際はまったく(番組のようには)ハッピーエンドでは済まなかった,という具合に。
★★☆

155:無名草子さん
13/12/04 19:21:57.22 .net
カラスヤサトシ/竹書房『オレなんかが親になって大丈夫か?』

漫画だけど,いいや。
カラスヤサトシはギャグは一向に面白くもないが,いわゆる「巧まざるユーモア」の
ある人である。このマンガも「こんなに自分の赤ちゃん(女の子)をまったく可愛い見
た目に描こうともしないマンガってのも珍しいね」といった風で奇妙に可笑しい。
★★☆

156:無名草子さん
13/12/05 00:01:50.26 .net
山内昌之/新潮選書『嫉妬の世界史』

新潮新書によくある,明らかに新刊の員数合わせのために適当にでっちあげた本。
気軽な読み物としても大して面白くない。
まぁ「徳川慶喜は非常に性格の悪い男で,家臣みんなに(勝海舟にまで)嫌われていた」
という話はなんだか奇妙に可笑しかったけど。
★☆

157:無名草子さん
13/12/06 05:46:52.28 .net
村井幸三/新潮新書『お坊さんが困る仏教の話』

これも「80歳過ぎた実質素人のジイサマの本なんて自費出版すりゃいいだろ」と云ったようなもの。


158:無名草子さん
13/12/07 11:05:02.49 .net
樋口裕一 編著/だいわ文庫『クラシック名曲名盤独断ガイド』

タイトルの割には妥当な選択が多い。むしろベスト3だけではなくワースト1がもれなく挙げられているのが
変っている。バーンスタイン+ウィーン・フィルの『大地の歌』に於けるフィッシャー=ディースカウの歌唱につ
いて「作り過ぎで気持ちが悪い」なんて書いてあるのはこの本くらいだろう。
まあこういうものは飽くまで読み物で,初心者は“レコード芸術推薦”とオビに書いてあるCDを選んでおけば
さほど酷いものを摑んでしまう配はないのである。
★★★☆

159:無名草子さん
13/12/07 11:06:10.84 .net
↑「つかんで」

160:無名草子さん
13/12/08 11:04:33.64 .net
副島隆彦/幻冬舎新書『なぜ女と経営者は占いが好きか』

邱永漢先生曰く「努力や才覚だけでお金持ちになった人は見たことがない」。すなわちそういう事は
運による部分が大きいらしい。だからたぶん僕がお金に縁がなく(そもそも大して関心がなく)占いにも
全く興味がないのは同じ心性の二つの表れなのだろう。
・・・というわけで,この本も読み終えた途端に内容をすっかり忘れてしまったので評価無し。

161:無名草子さん
13/12/09 20:31:56.77 .net
高橋洋一/小学館101新書『「借金1000兆円」にだまされるな!』

“「国債暴落説」「財政破綻論」など煽るエコノミストはただの馬鹿または財務省のポチ”というのは
正しい,と思う。しかし「日本政府には650兆円もの資産があるから大丈夫」というのは違うだろう。
例の(実際には使えそうもない/使うべきでもない)埋蔵金の話と言い,この「日本大丈夫論者」もあん
まり信用は出来そうもない。
まあTVに出るような人間の言う事は基本的に真に受ける方がバカなのである。「消費税率を上げたら
日本は戦後最悪の不景気のどん底に落ちるだろう」(山口正洋)とか,3年半前に「日本の原発は近い
将来間違いなく取り返しのつかない大事故を起こすだろう」(僕の友人)なんて事を平気で言うような
人間がTVその他に呼ばれるわけはないのだから。


162:無名草子さん
13/12/10 20:16:13.44 .net
大野晋/岩波新書『日本語の源流を求めて』

一般に古代のことについては専門家でもあんまり大したことは言えないもので,この本の「日本語は
南インドから来た」という説が正しかったとしても―読めばわかるとおり―実証は不可能である。
言語学/国語学というのは元来変わり者でないと出来ないような学問で,こんな面白いものではない。


163:無名草子さん
13/12/11 09:11:33.72 .net
筋肉少女帯の大槻けんじ?の本を何年か前に読んだ。
タイトルは、忘れたが、出てくる言葉が、今はほとんど使われない死語のオンパレード(←これも死語だけど)
死語を使うとその人の時が昔で止まってるように思えるから注意した方がいいと思った。

164:無名草子さん
13/12/11 10:59:29.49 .net
オーケンはサブカルとして敢えてやってるんだろ

165:無名草子さん
13/12/11 11:54:05.12 .net
更科功/講談社現代新書『化石の分子生物学』

僕は「ネアンデルタール人と現生人類のあいだには交流があったのかなかったのか」という問題にずっと
関心があった。この本によればそれはある程度解明されたらしい。近年ネアンデルタール人の化石から
採取したDNAを増幅・解読する,なんてことが出来るようになった結果,吾々モンゴロイドとコーカソイド
(白人)にはネアンデルタール人の血が混じっているのがわかったというのだ。

ミトコンドリア・イヴ―現人類は全員古代にアフリカの大地溝帯のどこかに住んでいた一人の女性
の子孫であるという話―の事もなぜそんな事が言えるのか,この本を読んでやっとわかった。

・・・といった按配でこれは僕には非常に興味深い本であった。
★★★☆

166:無名草子さん
13/12/11 22:03:14.83 .net
8勝2敗で日本の勝ち
川口マーン

おばさんの小言。
ゴミ箱にその本を捨てた。

167:無名草子さん
13/12/16 19:56:25.56 .net
日垣隆/幻冬舎新書『秘密とウソと報道』

今思えばこの頃既に日垣隆は終わっていたようである。唯一科警研に呼び出された話が面白かった。
足利事件のDNA鑑定がまったく信用できない所以を述べて連中(8人がかり)を軽く論破した話。
まあ案外とシロウトでもちょっと勉強すればわかることは多いのである。去年「子宮頸癌ウィルスの
予防接種など有害無益」とブログで警告した僕の友人のように。


168:無名草子さん
13/12/16 20:04:22.35 .net
内田樹/文春新書『私家版・ユダヤ文化論』

ユダヤ人が賢いのは「自分が現在用いている判断枠組みそのものを懐疑する力」があるから
というのは間違ってはいないが,そんな事は見りゃ誰でもわかることである。
どうも無駄に長たらしい本だ。内田が地方の3流大学の教員で終わったのもむべなるかな。


169:無名草子さん
13/12/20 18:44:09.13 .net
北杜夫/新潮文庫『マンボウ遺言状』

読まなくても内容の想像はつくような本だが,唯一埴谷雄高があれでエロ話の探求者だった、という
話が面白かった。埴谷さんは「ヨーロッパではもう紀元前から“山羊とヤるのが一番いい”と言われて
いた」なんて事を教えてくれたとか。
★☆

170:無名草子さん
13/12/20 19:01:08.13 .net
下田淳/筑摩選書『ヨーロッパ文明の正体』

著者はどうやらM.ウェーバーやJ.ダイヤモンドの向こうを張って「なぜヨーロッパのみが
技術文明を発達させ,逸早く資本主義化するのに成功したか」を解明しようとしたらしい。
僕はしかし『銃・病原菌・鉄』も「なんだかまわりくどい本だなあ」で中途挫折したような人間
なので,この本は(最後まで読んだものの)著者の試みがどの程度成功しているか,評価不能
である。
歴史家というのはこういうものなのか知らん。

171:無名草子さん
13/12/21 11:06:29.09 .net
若田部昌澄+栗原裕一郎/ちくま新書『本当の経済の話をしよう』

若田部先生の説明は立板に水だけど,調子が良すぎてなにかだまされているような気分にもなる。
聞き手の栗原氏もさして深く理解・納得しているようにも見えない。この本だけで経済学を凡そでも理解
するのはたぶん無理である。
それに「どんな分野であれ,理論的にあり得る事を予見できないようなものは学問と呼ぶべきではない」
以上,若田部氏がこれまでそういう事が出来ていたか検証した上でないとどうも真剣に読む気が起きぬ。
(東谷暁『エコノミストを格付けする』では“日本の現実よりP.クルーグマンの言う事の方が大事な人”と
いう扱いだったし。)
★★

172:無名草子さん
13/12/22 10:47:07.13 .net
レイモンド・P・シェインドリン/河出文庫『ユダヤ人の歴史』

何の説明もなく,例えば“アシュケナージム”なんて言葉が出てくる。
なぜ注をつけないのだろう? これではフツーの日本人にはわからぬ。


173:無名草子さん
13/12/22 11:04:22.43 .net
別冊裏モノJAPAN vol.1 『怪しい現場全部のぞいてみた』

鉄人社の古いコンビニ本だが,どこかで見つけたら買っておくといい。面白い話が多い。例えば―

・最近のラブドールは良く出来ているが高価なので、風俗業者が貸し出しサービスを始めたそうで、これを借りた記者が
 女子高校生の制服まがいの衣装を着せたそれを車椅子に乗せてお花見の名所に出かけていったら、若い男たちに大受け
 だったそうな。まったくよくやるよ。
・「盗撮されたマヌケ盗撮魔たち」なる記事で、秋葉原(?)の路上でいかにもオタクくさい風体の男がカメラをメイド服
 着た女の子たちのスカートの中に向けている写真や、オッサンが書店で女子高校生のスカートの中を背後から狙っている
 写真など、見ていて可笑しいやら情けないやら。
・孤独死した老人などの部屋を片付け清掃する「遺品整理屋」の記事は話も写真も生々しくて少しぎょっとする。内容を詳しく
 紹介するのは憚られるが、遺品整理屋氏の悲惨な孤独死した人々についての意見は重みがある。
 「もちろん気の毒だとは思います。しかし自業自得と言うと言葉がきついですが、彼らはそういう生き方をしてきたんですよ。
 家族とも隣人などともコミュニケーションを取らずにきてしまった。1日1回でも話す相手がいれば、せめて死んだ直後に発見
 されることもあり得たかも知れないのに。」
 この整理屋氏、独居老人同士のコミュニティーを作ったり、死後24時間以内に発見するシステムが出来ないものか思案中だという。
 こういう本読んで日本社会(と自分)の行く末について考えさせられるとは思わなんだ。
★★★☆

174:無名草子さん
13/12/24 11:18:07.01 .net
福澤徹三/幻冬舎新書『もうブラック企業しか入れない』

「ブラック企業は離職率が高いので,いつも求人をしています」(第二章 ブラック企業に入らないために)とか
誰でも知っているような事やどーでもいいようなことばかり書いている。一体何がしたかったのだろう?


175:無名草子さん
13/12/25 18:12:05.21 .net
ヤマハミュージックメディア『亀渕昭信のロックンロール伝』

C&Wはアメリカ(白)人に圧倒的人気がある。でもスーパースターのハンク・ウィリアムズですら
日本では名前も知られていない…等々いろいろ勉強になる上に面白い。どうせなら「なぜ黒人は
C&Wが大嫌いなのか」なんてことまで書いてくれたらもっと良かったのに。
★★★

176:無名草子さん
13/12/25 18:35:33.18 .net
コリン・ジョイス/NHK出版生活人白書『「アメリカ社会」入門』

タイトルよりは大分軽いエッセイ。名前からもわかるようにアイルランド系イギリス人の著者によれば―
・アメリカは未だに宗教国家の色合いが強いのに対して、イギリスでは国民の多くがすでに宗教には関心を持たなく
 なっているらしい。
・アメリカ人のファースト・ネームには、イギリス人なら苗字にしかあり得ないようなものがよくあるらしい。タウン
 ゼント、チャンドラー、バークリー,などがそれ。

・・・なんてことに関心がある人はどうぞ。
★★☆

177:無名草子さん
13/12/26 05:39:26.43 .net
 
 最上川 逆白波の たつまでに ふぶくゆふべと なりにけるかも

 ブンガクくさくてつまんない歌だな。

178:無名草子さん
13/12/26 06:42:23.57 .net
久繁哲之介/ちくま新書『地域再生の罠』『商店街再生の罠』

どちらも失敗の分析は正しいのだろうけれど,「ではどうすれば良いのか」という処方箋の話になると
どうも一向に説得力がない。(たいていの人は「商店街のおっさんに“サンキューレター”なんて貰っても
なあw」「地方公務員が職員食堂ではなく地元の商店街で飲食したところで根本的な解決にはなるまい」と
思うであろう。)
結局基本的に地方の「再生」なんて無理なんじゃあないのかね。

でもまあ僕はそこそこ面白く読んだ。「他人の愚行を見物するくらい愉快な事はあまりない」(故倉橋由美子)から。
★★☆

179:無名草子さん
13/12/28 20:07:21.69 .net
許光俊/光文社文庫『世界最高のピアニスト』

「ブーニンやポゴレリッチは自らの頂点を極めた時が若すぎた」「アルゲリッチは天才
過ぎてどれ聴いても同じ」といった話。
そうだよなあ,天才というのはよくわかんない方向に行っちゃうね。山下和仁とかw
★★★

180:無名草子さん
13/12/29 11:23:49.82 .net
鹿島茂/中公文庫『文学的パリガイド』

僕のパリのイメージはアラン・ドロンの映画『フリック・ストーリー』などで見たなんだか“灰色の街”と
いった感じのものだ。ユトリロ描くところのパリの街もなんだか陰気な感じがする。たいがいシャンソン
にはぞっとするほど孤独感が漂っているし。
だからフロベールやモパッサン、ロートレアモンなど好きなフランス作家はいても、彼らとパリを結びつけた
このガイドブックを読んでもあまり行ってみたい気持ちにもならない。でも鹿島氏は随分楽しげに書いている
ので、つられて読んでしまった。
フランス人や中国人というと嫌な奴が多い、という定評があるが、鹿島氏はそれはわかっていてもフランスが
好きらしい。僕にはよくわからない。
★★★

181:無名草子さん
13/12/29 20:07:32.36 .net
紀田順一郎/ちくま文庫『東京の下層社会』

むかしいくつもあった東京の貧民街の話。四谷とか,みな軍の駐屯地等の近くにあったらしい。
残飯が出るから・・・。
★★★

182:無名草子さん
13/12/30 14:10:31.27 .net
中森明夫/アナーキー・イン・ザ・JP/新潮
学校の課題図書だったので読んだけどあまりにも酷い…文章はメチャメチャだしオチはないし、ラノベの方がマシなレベル
今まで読んだ中で1番酷かったわ…ある意味強烈だった

183:無名草子さん
13/12/30 20:39:39.20 .net
武田知弘/金曜日『税金は金持ちから取れ!』

著者は「消費税など要らない。80年代以前の税制に戻せば良い」という。著者を批判する人間は
「そんなことをしたら金持ち・大企業は日本から逃げ出してしまう」と言う。
僕は「ナニ今だって小金を持った人間は海外へ着々と逃げ出しているさ。東南アジアでは5,000万円
もあれば一生遊んで暮らせるし,見境なく何にでも消費税をかけるというのは実質名目の数字の3倍
以上の消費税率ということだもの」と思う。
★★★☆

184:無名草子さん
13/12/31 10:24:34.34 .net
中森明夫って今何やってんだろうね。
竹内義和とか,見なくなったサブカル系ライター多いな。

185:無名草子さん
14/01/01 18:57:15.53 .net
カレル・ヴァン・ウォルフレン+孫崎享『独立の思考』

言っている事はいちいち御尤もである。けれども―
・小沢一郎こそが愛国者である ← 国民の大部分は「マスコミが悪いって言うんだから悪い政治家なんだろう」
 くらいにしか思っていない
・”守旧派”が橋本龍太郎で“改革派”が小泉純一郎なのではない。逆である。 ← これも国民はちっともわかって
 いない。だからいまだに小泉氏の単なる思いつき発言などに注目が集まるのである。
・野田佳彦はISD条項について国会で質問されて「それについては,あの,よく知りませんで」などと答えつつTPP
 参加しようなどとという大馬鹿者であった ← 国民の大部分もそんなものは知らない。 

等々。
ではどうすればいいのかというと・・・大した結論もない。「アメリカ言いなりはある意味楽だが,もうやめよう。
“考える個人”が国家を支えるのだ」って言われてもな。
★★

186:無名草子さん
14/01/01 19:03:13.74 .net
↑角川学芸出版 刊

187:無名草子さん
14/01/01 19:39:25.11 .net
本村凌二/中公文庫『馬の世界史』

先だって青木健/講談社新書メチエ『アーリア人』なる本を読んでいると「アーリア人はもともと中央アジアで
牧畜生活をしていたが,馬に戦車を引かせる戦法を誰かが思いついて以来急に強力になり,たちまちインド,
ペルシアを制服した。ヨーロッパにも向かった一派もあったがこちらは結局北ヨーロッパに落ち着いてゲルマン
人の祖となった」といったようなことが書いてあった。
青木氏はしかし「なんで馬戦車なんてものがそんなに強力な武器になるのかは軍事の専門家でないからよくわからない」
と古代史学者にしては些か頼りないことを言う。それになぜ地中海世界は征服できなかったのだろう?

一方岡田英弘先生によると,中国がしょっちゅう異民族に征服されていた(たぶん周も隋も唐も,だ)のは中国ではあまり
馬が育たなくて,軍隊が歩兵主体だったからだという。

といったわけで,僕は「割合最近まで馬とモンゴル・中央アジアの騎馬遊牧民が世界史に果たした役割は非常に大きなものが
あるようだが今一つ実体がよくわからないな。誰か『馬の世界史』といった本でも書いてくれないもんかな。・・・いやもう既に
あるかも知れない」と思っていたのだが,本当に本屋で見つけたのがこの本。
実に面白い。いろんな疑問が解けた。
★★★★

188:無名草子さん
14/01/02 07:30:43.52 .net
仲正昌樹/NHKブックス『集中講義! アメリカ現代思想』

哲学も美術と同じくアメリカが今や世界の中心になっているらしい。ロールズなど「カント以来の偉大な哲学者」扱い
する人まで出ているのだそうな。
しかし僕はこういうなんだか中途半端に真面目な話はなんだか馬鹿々々しい気がする(仲正先生の書き方が,ではなく
アメリカ政治哲学そのものが)。その理由については永井均/産業図書『倫理とは何か 猫のアインジヒトの挑戦』第6章
をどうぞ。章題からして「これらの論議はどこがつまらないか」だ。
★★★

189:無名草子さん
14/01/02 07:35:29.89 .net
V.ナボコフ 若島正訳/新潮文庫『ロリータ』

ビッチなガキに振り回される男のドタバタ珍騒動。新訳で滑稽かつ感動的な小説だというのが
よくわかるようになった。(ロリコン男が読んでもたぶんガッカリするだけだからやめておけ。)
★★★

190:無名草子さん
14/01/02 08:05:27.93 .net
鹿島茂/朝日新書『セックスレス亡国論』

鹿島先生は現代日本の「結婚は恋愛結婚が当然」という風潮を疑問視し「お見合いというのは大変に
よくできた制度」だったのに、と残念がっている。
僕もそう思う。恋愛なんてものは誰にでも出来るものではないから。欧米はまだしも現代日本では。
鹿島氏は「若衆宿」の復活を唱えてもいる。「おばさま方に性愛の手ほどきをしてもらえ」というのは
良いアイデアのような気もするが・・・本気かしら?
★★★

191:無名草子さん
14/01/02 08:07:23.72 .net
「なんだか」って2回言ってしまった >188

192:無名草子さん
14/01/02 11:05:12.43 .net
ジェイン・エア C・ブロンテ/吉田健一訳 集英社

起承転結がしっかりしてて途中からはまった。話の内容で「青ヒゲ」と十二国記(序盤に主人公が災難にばっかりな所)を思い出したけど
まあ終わり良ければ良いよねロリが主人公だし(ry
次は嵐が丘だ・・・

193:無名草子さん
14/01/02 22:57:03.20 .net
江村洋/講談社現代新書『ハプスブルグ家』

ハプスブルグ家はもともと地方領主に過ぎず,神聖ローマ帝国の皇帝に選ばれた当時の当主も
「大した奴じゃないから傀儡として担ぐのには丁度良かろう」と選帝侯たちに思われたからに過ぎ
なかったらしい。
ところがこの(例のしゃくれアゴの)見かけからしてぱっとしない男が実は意外に頭脳明晰にして
やり手でしかも人望もあり,これをきっかけにハプスブルグ家が次第にヨーロッパで一、二争う名
門王家にのし上がっていく,というその書きぶりがまるで大河歴史小説のようである。
(「“神聖ローマ帝国”ってのもなんだかよくわからない国名だなあ、と高校生の頃から持っていた
疑問もこの本読んで氷解した。)
★★★

194:無名草子さん
14/01/02 23:05:04.81 .net
>>192
「イングランド文学はアイルランドやスコットランドに比べるとだいたいあんまり面白くはない。
モームなんて実につまらないね」と僕は思うけど,『嵐が丘』について言えば,少なくとも『ジェイン
エア』よりはずっと面白いと思いますよ。

195:無名草子さん
14/01/03 20:12:10.24 .net
服部正/光文社新書『アウトサイダー・アート』

郵便配達夫シュヴァルの理想宮、ダーガー絵巻,二笑亭、ワッツ・タワー等についての広くて浅い情報。
まあ好きな人はどうぞ。
★★

196:無名草子さん
14/01/04 11:14:39.42 .net
石井光太/新潮文庫『絶対貧困』

世界の最低辺の人々の暮らしぶりを紹介する本。スラムに住んでいる人たちなどはまだいい方らしい。
路上で生まれて路上で死ぬ(失礼な言い方を敢えてすれば)野良人間みたいな人たちもいるのである。
下には下がある。

フィリピンの鉄道沿スラムの人達はビタミン剤を飲むのだという。チキンのフライしか食べられないから。
そのせいで案外(不健康に)太った人が多いとか。滑稽・・・と言っていいものやら。
もっと呆然とするような話も続出するのだが,引用も憚られるので関心のある向きは買って読んで下さい。
★★★★

197:無名草子さん
14/01/08 23:46:45.18 .net
折口信夫『死者の書』

同性愛者特有の怪奇趣味 >例:モーリス・ラヴェル,妙に怪奇小説好きな三島由紀夫
同じく異様にまわりくどい文章 >例:ミシェル・フーコー
話がつながっていない

・・・の所為で,中途挫折。

198:無名草子さん
14/01/09 00:09:01.18 .net
藤田真一/岩波新書『蕪村』

蕪村は子規が“発見”し朔太郎が“郷愁の詩人”として評価を決定づけたのだそうな。
でも僕には俳句というのは蕪村のもの以外はどれもあんまり大したものとは思えぬ。
「芭蕉に駄句多し」というが,実際のところ「駄句ばかり」じゃないのか? 閑さや岩に
しみ入る蝉の声」なんてそんなにいいか?)

   愁ひつつ岡にのぼれば花いばら

★★★

199:無名草子さん
14/01/09 00:41:15.20 .net
>170 の続き。

考えてみればしかし,この本で疑問が氷解したこともあったのだった。
僕は昔から以下のようなことが疑問だったのだ。
・なぜモーツァルトの頃まで音楽家は地位がひどく低かったのか。
 当時は例えば料理人よりもえらいわけでもなく,オーケストラも与太者みたいな楽員が多かったらしいし。
・そのモーツァルトやベートーヴェン,或いは当時の有名人の死因を調べてもよくわからないらしいのは何故か。
 マルクスの頃になれば肺癌で死んだのが確実にわかるようだ。でもモーツァルトは何やら内臓の病気で死んだ
 らしい,という程度のことしかわからない。ベートーヴェンは酒とコーヒーの飲み過ぎで死んだというのも本当
 なのやら。

200:無名草子さん
14/01/09 00:59:16.22 .net
(承前)
・ちょっと古いヨーロッパの小説など読んでいるとよく“瀉血療法”なるものが出てくる。「悪い血を出す」という
 奇怪な治療法だ。なんでそんなむしろ体に悪いであろうことが治療法なんだか。もしかして西洋医学が発達した
 のは割と最近なのじゃなかろうか?

下田氏の本を読んだら思い当たった。氏の言う通りで,これらは(ほかの世界各地同様)職人/技術者というものの
社会的地位が低かったから,ということであるらしい。医者も音楽家も一種の職人に過ぎなかったのだ。例の床屋の
前の赤青のぐるぐる回る目印が動脈静脈を現している,即ち床屋は昔は医者も兼ねていたのだ,という話のように。

そんな状態から西欧がいち早く資本主義を発達させることが出来た理由は,技術をお金に換える市場を成立させる条件
が整っていた所為だと論じるのだが,僕にはこの説の当否を論ずるほどの知識がない。でも以上のようなことを知ること
が出来ただけでも読んで良かったのだ,と僕は考えを改めた。
★★★☆

201:無名草子さん
14/01/09 07:57:59.72 .net
副島隆彦/ビジネス社『あと5年で中国が世界を制覇する』
2009年に出た本を見直してみた。

◆中国はGDPで今年中に日本を追い越す(既にEUの下同率世界三位タイだ)
◆アメリカの世界覇権は終焉する。中国は2010年の終わり頃から保有資産の目減りに我慢ならず米国債を売り始める(ガイトナー財務長官
 は北京大学での講演で「中国の保有する米国債は非常に安全である」と述べて学生たちの失笑を買った)
◆その時オバマはドル切り下げを宣言し、更にデノミを実行せざるを得なくなるかも知れない。いづれ <1ドル=60円=2人民元 >の時代
 になるだろう。
◆2012年ドルは基軸通貨の位置を失い、IMFと世界銀行はその役割を終え、決済機能を持つ「新しい世界銀行(仮)」がカザフスタンのアルマティ
 に作られるだろう。
◆その後に来るのは「コモディティ・バスケット通貨体制」=「金・石油だけでなく、天然ガス、貴金属・レアメタルから農産物に至るまで
 実物資産を担保・裏打ちとする通貨体制」である
◆そのために中国は資源を求め世界各地にインフラストラクチャーを建設し、着々と世界帝国化を進めている。
◆ユーロは案外弱いから世界基軸通貨にはなり得ない

202:無名草子さん
14/01/09 08:00:10.96 .net
(続き)
◆これから世界は多極化には向かわず、BRICs及びEUが話合いで決めていく世界になる。BRICsの合言葉は「まずアメリカをつぶそうぜ」である。
◆中国はむしろヨーロッパから学ぼうとしているが、日本の先端技術、特に空気・水を浄化する技術と欧米文化は日本から輸入するほかないであろう。
◆中国もアメリカも最早北朝鮮など放り出そうとしている。中国には首都を北朝鮮のミサイルの届かない西安あたりに移そうとする計画もあるし
 ヒル全権大使は6ヶ国協議の後「北朝鮮問題からは撤退する」とポロリと言ってしまった。拉致被害者問題などは日本と北朝鮮の二カ国協議で解決
 するほかはないことである
◆チベットやウイグルも漢人化が進んでおり、これは止められそうもない。台湾も本音では独立ではなく中国内の経済特区になることを望んでいる。北京
 語を事実上の標準語にしているのがその証左だ。
◆“世界皇帝”デイヴィッド・ロックフェラーは可愛いシティ・バンクに35兆円もの(GMなどとは比べ物にならない額の)公的資金を注入させたが、実質
 200兆円もの負債を抱えていてはどうにもならない。2010年末にはもたなくなるだろう。彼はロックフェラー王朝の事実上最後の老皇帝である。

・・・当たっているところもないでもないが,うーむ(笑)。
★★

203:無名草子さん
14/01/09 08:36:43.05 .net
町山智浩/文藝春秋『教科書に載っていないUSA語録』

誰かの本に書いてあったが,僕らが子供の頃TVで視て憧れたアメリカ製ホームドラマ=中産
階級の世界/生活はアメリカでも戦後の一時期存在しただけであったらしい。
大学生の時「アメリカを見ていれば10年後の日本がわかる」とある教授に教わったが,これも正し
そうである。
つまり日本もこの本に書いてあるような“新たな階級闘争の時代”に入りつつある,ということだ。

まぁしかし,著者お気に入りの保守派のアイドルの眼鏡っ子,自称“口紅をつけた闘犬”サラ・ペイリンの
ようなパワフルな大バカ政治家が現れて楽しませてくれるようなことは日本では期待できそうもないね。

 こうして日本は終わる
 爆裂的にではなくめそめそと

★★★★

204:無名草子さん
14/01/10 03:46:57.01 .net
石井宏/新潮文庫『反音楽史』

「イタリアこそクラシック音楽の本場であると考えるべきだし,もともとそれが常識であった」(評者注:これは
本当だ,ただしモーツァルトの時代頃までは)。
「楽しく美しいイタリア音楽より重厚長大なドイツ音楽の方が偉大であるという考えが蔓延しているのはドイツ人
の陰謀・策略のせいだ」(注:イタリア人にもドイツ音楽こそ最高と考える人は少なからずいるから必ずしもこれは
正しくない)。

・・・といった風で,言いたいことはわかるのだがこの本がその証明に成功しているようには見えない。著者もモー
ツァルトが天才中の天才であることは事実上認めてしまっているし,ヴィヴァルディに関するエピソードは面白いけ
れど「自分は『四季』のような(一山いくら的な)音楽を愛聴している」などとは一言も言ってないし。
しかしまあ,エピソード集的音楽史の本として読むなら厚さも苦にならず楽しめる本ではある。
★★★

205:無名草子さん
14/01/10 11:05:57.62 .net
在日の親は、子供を朝鮮幼稚園・朝鮮学校に入れたいっていうのが多いのよ。
日本人からすると、なんでだろうって思うけど、日本人の学校では、民族の誇りを持った教育がしてもらえないんだそうだ。
よく分からないけど、流刑者の白丁が密入国して住み着いたじゃ誇りが持てないけど、日本人に強制連行された被害者なら誇りが持てる、とかそういう事かな??

市原市の能満は昔から市街化調整区域で、新規の建物は造れないことになっている。
そのため土地が安く、日本の法律を無視した在日が、次々と移り住んできた。
そこで問題になったのが、朝鮮学校だ。なかなか許可が下りず、一番近くても千葉市にしかない。
そこで在日居住区の能満内にあった、能満幼稚園・市原小・市原中・緑高の保育士や教師を、朝鮮化する事を考えた。
今では通称在日幼稚園の保育士は全て朝鮮帰化人で、在日の父兄からの絶大な支持を受けている。
遠くからでも、わざわざ通称在日幼稚園に入園させたいという在日の親は、後を絶たない。
この在日幼稚園卒園者はほぼ朝鮮系の帰化人と在日で、現在各所でクレーマーとなり問題を起こしている。

206:無名草子さん
14/01/11 10:52:11.25 .net
渋谷直角/扶桑社『カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生』

能町みね子や久保ミツロウ先生絶賛の駄目なサブカル男子女子の漫画。僕はそういう人たちの
生態はよく知らないので何が可笑しいのかよくわかりませんでした。作者本人も言ってる通りで
実に絵がへたくそだしw
★★

207:無名草子さん
14/01/12 20:24:55.76 .net
中島義道/講談社学術文庫『哲学の教科書』

小林秀雄やトーマス・マン、ドストエフスキーなどには哲学的なセンスはまったくないそうです。
そもそも哲学的な文学なんてものは,あるようでほとんどないと僕は思う。
但し中島先生も言う通り,J=P.サルトル『嘔吐』は「涙が出るほどすばらしい」稀有な例外,という
のには賛成。
(ついでに言うと,サルトルやベルモンド,ゴルチエの名前はジャンではなくジャン=ポールである。)

208:無名草子さん
14/01/12 20:28:42.59 .net
↑★★★

209:無名草子さん
14/01/13 00:33:15.26 .net
いつやるの?今でしょ!(林修・宝島社)
宝島らしいすっきり構造の人生哲学書。
本人の喋り口のうまさもあり受け止め易い内容。対人面での悩みにも良さそう
6章の勝負勘話はウメハラや羽生名人に通じる内容でなかなか興味深かった。

210:無名草子さん
14/01/14 08:54:05.13 .net
堀江貴文さんの「ゼロ」
官僚や政治家は、自分の知ってる中で、物事が起こったり、消えたりしなければ気がすまない女の性格みたいだとつくづく思い知らされた。
逮捕された時に官僚や政治家にITに詳しい人がいなかったために、
どんどん進んで行くIT企業のlivedoorは政治家や官僚に気に入られなかったのかもしれない。
堀江さんがIT革命は、これこれこういうものだと親切丁寧に政治家や官僚に教えていれば、何も問題がなかったのかもしれない。

211:無名草子さん
14/01/14 20:13:22.77 .net
清水義範/集英社文庫『夫婦で行くイスラムの国々』

僕は岩波文庫『ルバイヤート』や『アラブ飲酒詩選』や井筒俊彦が好きだ。この本も面白かった。
イスラーム建築の美しさには定評があるが,清水義範がイスラーム文化に関心を持ったのも初めての
海外旅行でタージ・マハルを見たのがきっかけらしい。「現物を見てしまえば、なんて美しいのだと声を
飲み、圧倒されるしかない宝石のような建造物」だそうな。
僕も写真を壁紙にしていたが,あれは不思議と飽きない。ほかの建築物も実物を見たい。世界3大料理
のひとつ,トルコ料理も本当に美味いらしいから食べてみたいもんだ。
★★★

212:無名草子さん
14/01/15 13:00:20.67 .net
竹内薫/講談社ブルーバックス『超ひも理論とはなにか』

数学的に整合性のあると考えられる宇宙の究極は10次元に住む「超ひも」である…って言われてもなぁ???

最近の素粒子物理学はもはや純粋数学同然で,物理学者がフィールズ賞を貰ったりしているらしい。殊に超ひも
理論ともなれば実験で証明できるような性格のものではないので「たぶん数式の読めない僕などには無理だろう
な」と思ってはいたのだが,うーむ・・・
つまらなくはなかったけどね。
★★

213:無名草子さん
14/01/16 00:29:53.61 .net
藤田令伊/集英社新書『現代アート、超入門!』

ピカソ『アヴィニョンの娘たち』やウォーホル『ブリロボックス』など具体的に作品をいくつか挙げて
解説している。でもそれは「なぜ現代においてはこういう作品が作られなければならなかったのか」
という理屈をつけているだけだ。
「如何に素晴らしい作品であるか」という話ではないし「好きだ」とさえ言っていない。

僕思うになんでも“芸術”なんてものになってしまってはお終いである。


214:無名草子さん
14/01/17 08:14:40.74 .net
中村のん/新潮新書『社長、その服装では説得力ゼロです』

タイトルとオビのイラストを見ると男性/ビジネスマン向けの本のように見えるけれど、大部分は女性の服の話である。
紳士服の話もないこともないが・・・

 「男の服のうち、もっとも好感度の高い究極のアイテムは白のカッターシャツ」であるから、高価でも良いものを買って
 スーツに合わせるのはもちろん「オフの日は、このシャツにブルージーンズと白いスニーカーを合わせる。あるいは、V
 ネックのセーターと合わせる」のが良い。

・・・などと仰言る。でも僕はそんな事をやって様になるような人は既にしてお洒落の達人だと思うな。それがたとえボタン
ダウンシャツであっても。
(お若い人は知らないかも知れないので付言しておくと,カッターシャツとは昔の和製英語で「ふつうの白いワイシャツ」
のことである。語源はわからない)
★★

215:無名草子さん
14/01/17 08:45:50.80 .net
眞鍋圭子/幻冬舎新書『素顔のカラヤン』

一時カラヤンの秘書的役割をしており、亡くなるまで家族ぐるみの親交のあった女性による回想。
カラヤンはレッスン生たちにいつも「オーケストラをドライヴしてはいけない」と教えていたという話は僕も聞いたことがある。
小澤征爾との対談でも「自分は若い頃乗馬を習っていて、ジャンプのレッスンの時、どうやって馬をジャンプさせたものか考え
あぐねていたら先生が笑いながら言った。“君が馬を持ち上げて壁を乗り越えるわけではないだろう? ジャンプするのは馬なん
だよ。君がやるべき事は、馬をジャンプしやすい状態にして壁の前まで連れて行くことだけさ”と教えられた。指揮も同じ事さ」と
極意を語ったらしい。
この辺,落合博満氏の打撃論みたいで面白い。「力づくでバットを振るのではなくバットの動きに手を添える気持ちで」という・・・。

意外だったのは、カラヤンが東洋思想に傾倒し、長年ヨガを実践していた話。禅の研究もしていたらしい。著者が「輪廻転生を信じ
ますか?」と聞くと「“信じる”とかじゃないよ。私にとっては“事実”なんだ」と答えたとか。

カラヤンという人は存外東洋的な精神の持ち主だったのかも知れない。アルメニア系でゲルマンの血はまったく入ってない人だし。
★★★☆

216:無名草子さん
14/01/17 09:51:09.74 .net
小谷野敦/弘文堂『ムコシュウト問題』

「二十一世紀日本の“結婚”というものについて考えていきたい」などと序文に書いてあるが,実際のところはゴシップ
集みたいなもの。面白いからいいんだけど。
・川端康成の養女の政子は美貌であったが,川端の弟子みたいだった三島由紀夫がある時ふと「政子と結婚したい」と
 漏らしたら,川端夫人秀子は即座に断ったそうな。賢明ですねw
・阿川佐和子が結婚できないのは父親がコワいからだろうと著者は言う。そりゃそうかも知れないが・・・(苦笑)。
・東大卒ながらそれ以外にウリがない著者は高学歴女性には振られてばかりいたが低学歴女性にはよく標的にされた
 らしい。彼女らはさりげなく父親の職業を訊いてきた。これは親も高学歴高収入かを確かめてようとしていたのだと。
 女性はそういうところをよく見ているのだが,「婚活本」のたぐいにはあまり書いてないのは「そういう事を書くと絶望して
 しまう男子がいるから」だそうです。身も蓋もないねw
★★★

217:無名草子さん
14/01/18 10:43:52.98 .net
ルドルフ・シュタイナー/ちくま学芸文庫『いかにして超感覚的世界の認識を獲得するか』

花の種などじっと見つめていれば君にもオーラが見えるはずだ,などと書いてある。僕も
ペットボトルのお茶のおまけについてきた貝割れの種をじっと見てみた。10分ほどしたら
・・・自分で何をやっているのかわからなくなってきた。

くわばらくわばら。
(評価不能)

218:無名草子さん
14/01/18 11:04:08.49 .net
コリン・ジョイス/NHK出版新書『驚きの英国史』

「KEEP CALM AND CARRY ON(落ち着いて行動しましょう)」という古い戦時中のポスターの文句が
“中庸がイギリスの国の心”という事をよく現しているそうな。ベートーヴェンやドストエフス
キーのような偉大にして仰々しい芸術家が出なかったのもむべなるかな。

‘JERUSALEM’というイギリス聖歌(映画『炎のランナー』でも使われ,EL&Pも取り上げている)が
僕は大好きなのだが,詞の意味がわからず困っていたのが,この本でやっと見当がついた。
★★☆

219:無名草子さん
14/01/19 10:21:57.04 .net
E・ブロンテ/永川玲二訳/集英社「嵐が丘」

ようやく読み終わったって感じ、ヒースクリフの復讐のやり方はなんかネチネチしてて女っぽいな
まあ負の連鎖を断ち切ったのは良かったのか
総合 ★★☆

220:無名草子さん
14/01/20 11:22:41.25 .net
あれは復習譚だったっけ。
読んだのが20年前だし,なんだかモーローとした感じの小説なのでみんな忘れてしまった。

221:無名草子さん
14/01/20 11:25:59.18 .net
仲正昌樹/明月堂書店『 <リア充> 幻想』

世間話みたいなもの。


222:無名草子さん
14/01/21 11:14:56.00 .net
東谷暁/文春新書『エコノミストを格付けする』

東谷氏は信頼出来る気がする。「○○○一辺倒論者」ではないからである。

エコノミストの多くは「景気回復には財政出動だ」「いや公共投資なんぞは効果がない。金融緩和だ」とか
「インフレターゲット策で景気は良くなるはずだ」「いや構造改革しなきゃダメだ」「日本には埋蔵金がある
から大丈夫」・・・等々「これさえやれば必ず良くなる」と主張する人たちである。

しかし落ち着いて考えた時,「これさえやれば絶対イケる」なんて話は先物取引の電話セールスとどこが
違うのか・・・と疑問に思わないのであるならそれはむしろ奇妙な事であると僕は思う。
★★★☆

223:無名草子さん
14/01/22 12:09:50.40 .net
能町みね子/文春文庫『トロピカル性転換ツアー』

性転換がごく当たり前のことであるかのように平然と書いている。期待も葛藤も苦労も
まったくない訳はないだろうと思うがその辺のことはちっとも書かれていない。
従ってなんだか歯医者に行った話でも聞かされてるようでぜんぜん面白くない。
僕にはこの人の本は『オカマだけどOLやってます』以外は何が面白いのかわからぬ。


224:無名草子さん
14/01/22 23:01:48.58 .net
仲正昌樹/明月堂書店『〈ネ申〉の民主主義―ネット世界の「集合痴」について』

インタビュー本だけど,聞き手が明らかに「コイツの話,つまんねえな」と思っているのがわかる。


225:無名草子さん
14/01/22 23:20:25.92 .net
立花隆/文藝春秋『読書脳 ぼくの深読み300冊の記録』について①

この本はものすごく刺激的な本だ。最先端の情報・学問研究の世界を垣間見るのは楽しい。
でもこの本に取り上げられている本,「読みたいか?」と言われると「いいえ,ちっとも」と答える。
理由の一つは,立花隆は新書本のたぐいをバカにしているようだけど,僕はそういうレヴェルの本でも
じゅうぶんに楽しめるから。僕が時代/日本・世界の先端を行く必要もない。
もう一つは僕は立花隆という人をあんまり信用していないから。もっと簡単に言うと馬鹿者だと思って
いるから。

226:無名草子さん
14/01/24 19:54:11.37 .net

なぜそう思うのかは立花批判本が何冊か出ているからそちらをご覧いただきたい。『立花先生,かなり
ヘンですよ』『立花隆の無知蒙昧を衝く』などである。寡聞にして立花氏がこれらに反論した/出来たと
いう話は聞いた事がない。

227:無名草子さん
14/01/26 10:51:04.03 .net

しかしまあ,そう言っただけでは無責任すぎるので僕がなぜ立花隆が阿呆だと思うか書いておこう。

ひとつは権威主義的なところである。たとえばこの本ではP.クルーグマンや浜田宏一の著書を好意的に取り
あげている。しかし彼らの言っていることは景気浮揚のためには「公共投資をやれ」「金融緩和しろ」というだけ
で,ありきたりもいいところである。
・・・いや,単にありきたりなだけならまだいい。それらは日本が(民主党政権時代も)ずっとやっている事なのだ。
それで効果があったか,は御承知の通りである。アベノミクスというのは「それを大規模にやれば少しは効果が
あるかも知れない」という,言わばヤケクソみた様なものに過ぎない。

228:無名草子さん
14/01/27 19:58:22.64 .net

と云った訳で,ノーベル賞だのイェール大学名誉教授といった肩書以外はさして取り柄もなく,実際の
政治・経済の世界では別段何の実績もない彼らの言う事を有難がるなど馬鹿げたことである。そもそも
消費税率引き上げをを抜きにして景気対策など論じて何の意味があろう。これをしも権威主義という。
(僕は予言するが,これのせいで日本は不況不のドン底に落ちるであろう。)

立花はさらに「日本を経済大国にしたのは大蔵省や財務省」などととんでもない事を言出だす。トヨタも
ソニーもニンテンドーも役人が世界企業に育てた,とでも言うのかね。
もしそうなら日本は安泰だ。財務省の幹部には米国留学させられてクルーグマンに学んで来た者が多い
のだから,立花は「景気対策でもなんでも経済は財務省に任せておけばOK」と一言言えば済む。
まことにアホらしい話である。

229:無名草子さん
14/01/30 06:56:23.33 .net

もう一つ原子力発電についての立花の言説も見ておこう。

彼は「最新式の軽水炉は絶対に福島のような事故起こらないように出来ているのだ」と云った意味のことを(なぜか
得意げに)言う。「日本の論議は驚くほど遅れている」とも。
それから「“トリウム原子炉”というものが実用化されれば原発の問題点はほぼなくなる」とも言う。

そんなことがどうしたというのだろう? それが「今目の前にある日本の」原子力の問題解決に何の足しになるなるのか
僕にはわからない。

東北の復興等もさることながら,今問題にしなければならないのは東電はじめ(立花も言及している斑目某等も含め)
「日本に於いてはまともな人間はあんまり原発なんぞには関わりたがらない。すなわち責任感も責任能力もない人間
が原子力発電を動かしているのだ。これじゃ放っておけば事故も不祥事も,そりゃ起こすに決まっているよ」ということ
である。
科学技術の問題ではないし,安全基準がどうのいうような問題でもない。エネルギーの問題ですらない。
既得権益にしがみつく薄汚い人々をどうするか,という問題に過ぎないのである。

230:無名草子さん
14/01/30 07:35:48.83 .net

以上はしかし,彼の権威主義的であるところではなく,もう一つのもっと重大な欠点を示している。
それはつまるところ彼は「“僕は君らなんかの知らないすごい世界の事知ってるんだぞおっ!”という
以外には何も言ってないに等しいし,言いたいのもそれだけのようなものである」ということだ。

どうにも奇妙な人間性であるが,マァこういう「頭の性能はいいのかも知れないが,それを駆使して
目指す方向が基本的にズレている」というのは東大出の“エリート”にはありがちな話ではある。
役人としての森鴎外,宮台真司,寺脇研,結局橋本龍太郎氏が国民に陳謝せざるを得ないようにして
しまった構造改革(と言うよりはむしろ節約主婦の発想的なもの)が大好きな財務省キャリア等々,
いちいち言うのも莫迦らしいようなものだ。

231:無名草子さん
14/01/30 07:48:32.21 .net
(終)
以上が・・・エート,何の話だっけ?
そうだ立花隆が信用ならないと僕が考える理由のことであった。

書いているうちにどうでもよくなってきたが,以上のようなわけで立花隆の本などマジメに読むのは危険である
と僕は思う。
・・・尤も立花自身も最近あんまり本が売れないらしく,愚痴っぽいことを書くこと多くなってきているが,それは
自業自得というものである。いっそ僕が上に書いたような事どもを取り上げて『私の東大論』など書くならばまだまだ
注目すべき書き手だと僕も言えるのに。

232:無名草子さん
14/01/30 08:13:38.51 .net
9.11の頃でもビルの構造に関して頓珍漢な事言ってたからね、もうボケてんだよ

233:無名草子さん
14/01/31 20:16:51.42 .net
ホリエモン×ひろゆき/集英社『なんかヘンだよね...』

むしろヘンなのはホリエモンの言うことであるように僕には思われる。

・格差なんてどこにあるの? ネットカフェ難民になるような人たちは実家も金持ちでなくスキル
 もないっていうけど、実家に帰れなきゃ友達の家に居候したっていいわけじゃない?

  「じゃない?」って言われてもな。今時居候なぞ置く余裕のある家がどこにあろう。「パンが
  なければお菓子を・・・」みたいな話だ。

・派遣を1~2ヶ月やって10万円貯まったら、3万円のアパートを借りられるわけじゃないですか。
 そこから普通の仕事始めるとかランクアップをすべき

  新卒で正社員になれなかったらもう一生薄給決定,みたいな社会で何をどう“ランクアップ”
  するのだろう?

ホリエモン:痴漢冤罪事件でこの前無罪判決を出した裁判長は、1年前に防衛医科大教授に有罪
判決を書いた人だし...

  日本の裁判・裁判官がヘンなのは誰でも知っているが,だからって粉飾決算していいわけでは
  ない。ホリエモンはよろしく東谷暁『金より大事なものがある』でも読んで拳々服膺すべし。
★★

234:無名草子さん
14/02/01 20:00:08.52 .net
仲正昌樹/NHK生活人白書『今こそルソーを読み返す』

民主主義の根本にあるものとしてルソーは「一般意思」というものの存在を想定し、その正しさの根拠を
「神によって吾々の精神に刻印された良きものへの意志」といったものに求めたのだという。
けれどもそれは正しさの証明であるよりは願望に過ぎないように思われる。ルソー自身もこんな話に説
得力があると信じ切っていたかは疑わしい。何しろ「“社会”は必要悪」と考えていた人だもの。

僕らは「“民主主義は衆愚政治に陥る可能性が常にある”のではなくもともと衆愚政治なのだ。そして衆
愚とはむろん吾々自身のことである」ということをもっと真剣にとらえ、すべては自業自得と覚悟すべき
だと僕は思う。
まあ著者の意図とは違うかも知れないけど。
★★★

235:無名草子さん
14/02/02 10:46:44.46 .net
茂木健一郎/PHPサイエンスワールド新書『あなたにもわかる相対性理論』

特殊相対論は誰でもまぁわかるようなものだと思うけれど,一般相対論は高等数学がわからないと
本当にはわからなのだろうと思う。この本読んでも重力とは何かとか,イメージ出来ませんでした。
★★

236:無名草子さん
14/02/02 11:28:01.17 .net
宮部みゆき/新人物往来社『狐宿の人 上下』

時代小説、読んでて楽しい気分になる話ではない、切ない
丸海の人々が抑えてた不満や怒りが爆発する所のカオス差は上手いと思う。
不満点はほうメインって最初書いてあったけど宇佐の描写の方が多いよね
★★☆

237:無名草子さん
14/02/03 20:08:03.11 .net
石井光太/新潮文庫『神の棄てた裸体』

>196 の『絶対貧困』と同じくらいには読ませる。
面白い・・・というのもアレだけど。
★★★

238:無名草子さん
14/02/04 20:00:33.66 .net
いしかわじゅん/小学館『秘密の本棚』

『漫画の時間』『漫画ノート』に続く一冊。些か出がらし気味だ。前の2冊を読んで面白かったという人なら
読んで損をした気にはならないだろうけれど、それ以外では特にマニアックな漫画好きでもない人には
推奨しかねる。読むなら前記2冊、というより『漫画の時間』だけでじゅうぶん。
★★

239:無名草子さん
14/02/05 07:39:41.69 .net
「ケネディ暗殺 ウォーレン委員会50年目の証言 上」
フィリップ・シン/文藝春秋

総合:★★★★
内容の濃さ:★★★★★
オリジナル度:★★★★
徹夜度:★★★
充実度:★★★
平和度:★
グロ度:★★
犯罪度:★★★★★
恐怖度:★★★

これを読むと陰謀など存在しなかったのではないかと思わせる。
これまで世間が抱いていたケネディ暗殺事件への印象を180度とガラリと変えてしまう内容。
読む価値があり。
下巻も購入済み。

240:無名草子さん
14/02/05 20:18:20.85 .net
それ,ちょっと面白そうだね。

241:無名草子さん
14/02/05 20:27:25.10 .net
太宰治/新潮文庫『津軽』

太宰は好きでもないけど,これは共感した。僕も似たような子供時代だったから。
一体に日本の近代文学には産みの親と育ての親が違う,といった生い立ちの書き手が
多いのは奇妙なのか奇妙なのか別に不思議でもないのか。
漱石,芥川,太宰,三島,安吾,犀星,三島・・・

242:無名草子さん
14/02/06 07:33:18.29 .net
メンタリストDaiGo/扶桑社新書『メンタリズム』

著者は「恋人と上手くいかなくて悩んでいる女性(実はDaiGoもこの人が好き)をメンタリズムを駆使して
相談に乗りつつ結局自分を好きにさせた」という話を書いているが,そういうのはメンタリズムなぞ抜き
にしてもよくある話だろう。

セールスマン向けのテクニックもいくつも載っているが,商売は「売れるものを売る」のが基本で「売れない
ものをうまくゴマ化して売る」なんてやり方をしてもどうでもいいようなものしか売れないと思う。
まあ「人は高い方にあるものを良いものだと思ってしまうものだから,両手に商品を持って見せる場合には
売りたい方を上にあげて持て」というのは簡単でいいや。機会があったらやってみようか。

「すべての超常現象は科学で再現可能」というならしかし,江原某などのやり口を暴いてみせてくれた方が
きっと面白い本になるだろうに,と思う。
★★

243:無名草子さん
14/02/07 20:25:43.19 .net
福田和也+香山リカ/中公新書ラクレ『「愛国」問答』

福田「自分の愛国者的物言いは飽くまでポーズだから真に受けられても困る」だとさ。恥知らずとはこの事也。
この男,「自分があちこちに原稿書き散らし本を出しまくるのは銀座で飲む金のため」なんてことを言ったりも
していたな。
そんな風だから連載を持っている『SPA!』で“最も信用ならない批評家”に選ばれてしまうのである。
まぁこんな本,読む方が悪いようなもんだが。


244:無名草子さん
14/02/07 23:15:57.80 .net
福田和也+香山リカ
このメンツの時点で読む気無くすわ

245:無名草子さん
14/02/09 00:33:19.72 .net
だからそう言うてるやん。

246:無名草子さん
14/02/09 07:51:06.97 .net
佐藤優・西原理恵子/新潮社『とりあたまJAPAN 日はまた昇る!編』

佐藤優は立花隆と同じく賢いのではなく勉強オタクなだけのような気がする。
「中国に警戒せよ」「戦いに備えよ」と云った意味のことをしきりに言っているが,本気ならまず
「憲法改正せよ。今のままでは自衛隊は相手が攻撃してこなきゃ何も出来ないんだからこれ
では国は守れない」と言わなきゃ筋が通らない。でもそうは言わないんだからズルい。
もしかしてこの人、小谷野敦の言う通りで「ただの右翼」なのではないかしらん。
西原の方がが常識人に見えるんだから、もうね、漫画がなかったら読むに耐えない。
★★★

247:無名草子さん
14/02/10 14:50:29.51 .net
ぐっちーさん/東邦出版『なぜ日本経済は世界最強と言われるのか』
山口正洋/東洋経済新報社『本当は凄い日本経済入門』
山口正洋/朝日新聞出版『日本経済ここだけの話』


どんな分野でも「読むならまずこの人の本で基本的な考え方・知識を身につけるべき」というのがある。
たとえば中国・モンゴル史においては僕にとってはむかしの岡田英弘先生とか。
経済においてはこの人の本がそれだ。

よくマスコミをマスゴミ呼ばわりする人がいるが,そんな事は当たり前で,それらはもともと娯楽か世間
話のたぐいに過ぎない。勉強してなかったら見ても何もわからない。

大分前NHKのニュース解説のようなものを見ていたらアナウンサーが「TPPに参加したらどうなるか、韓国
が参考になりそうです」などと言い出したので呆れたことがある。

248:無名草子さん
14/02/13 00:51:22.26 .net

その番組によれば「韓国はFTAに参加して関税が0%になったおかげで,工業製品の輸出が30%も
増えた」という。まるで日本もそうなると言わぬばかりである。

無論そんな事はあり得ない。日本と韓国の経済は,似ているようであんまり似ていないから。

韓国は極端な工業製品輸出依存の国で,その製品はとに角安いのが取り柄である。それで国家ぐるみ
で常にウォン安誘導してなんとか息をついているのだ。
おまけにFTAに参加する前は50%以上の関税がかけられていたのだから,それがゼロになれば輸出
が増えるのは当たり前である。

249:無名草子さん
14/02/14 20:09:48.03 .net

一方言うまでもなく日本の工業製品は“安いのが取り柄”なんて時代はとっくに越えてきてしま
っている。
その上,今現在でも関税など大してかかっちゃいないのだ。せいぜい15%程度である。即ちTPP
に参加する意義すらあるのかどうかあやしいようなものだ。

誰が原稿を書いているのか知らないが,NHKが以上述べたような事を知らずに“解説”などして
いるなら,そんな者は箸にも棒にもかからぬ大馬鹿であるし,知っていて敢えて言っているなら
それは悪質な印象操作である。

250:無名草子さん
14/02/14 20:27:46.27 .net
(終)
①~③に述べたような事がただちに見て取れないようでは,新聞TVその他を“マスゴミ”呼ばわり
したところでそれはどっちもどっちである。伝える阿呆に真に受ける阿呆といったものだ。

かくしてぐっちー氏の本など読まなければ,即ち経済のことは実際にお客のお金の運用ができる人
に聞かなければ何もわからぬのである。

ついでに言えば山口氏はすでにお客の資金は全部中国から引き揚げさせたそうな。中国バブルは崩壊
間近ということだ。そして消費税率引き上げで日本は戦後最悪の不況に落ち込んで行くだろうが,財
務省キャリアたちはそれは「想定の範囲内」というつもりなのであろう,と山口氏は言う。
残念ながらどちらの予想も当たるだろうと僕も思う。

251:無名草子さん
14/02/15 22:03:38.58 .net
伝え方が9割…この本を読むあなたは素晴らしく云々って

早よ本題出せや!って苛々くる書籍で大したことは書いてなかった

買って非常に損した作品

252:無名草子さん
14/02/16 11:37:00.75 .net
林真理子「世紀末思い出し笑い」文藝春秋

エッセイ集、著者が有名人と会って旅行、会食した話が多め
一番興味が湧いたのは郷ひろみが出した本はゴーストライターが書いたって話かな
★★☆

253:無名草子さん
14/02/16 17:37:38.63 .net
>>243
これはひどいwww
まそうだろうなと90年代から予想はついたが

254:無名草子さん
14/02/16 17:39:31.34 .net
>>250
経済ってちょっと読めばわかるもんなんですか、かんたんなんですね

255:無名草子さん
14/02/17 16:09:35.80 .net
んな事だれも言うてへんがな。

256:無名草子さん
14/02/17 16:23:55.11 .net
>>252
「盲亀の浮木」「優曇華の花」なんて必要もないのにむやみとむつかしい言い方をしたりとか,あのヘンテコ
な文章はライターがわざとあんなふうに書いたんだって話かい? それはちょっと信じ難いな。

257:無名草子さん
14/02/17 16:55:22.67 .net
今井むつみ/岩波新書『ことばと思考』

“サピア=ウォーフの仮説”というのがあって、これによれば「言語がなければ自然/世界は人間にとって
まったくの混沌である」と云った意味のものである。
ソシュール(この本では触れられていないが)によれば,「言語以前の人間の思考は星雲のようなもので
そこには必然的に区切られているものは何もない」という。

僕はこういう考えがどうにものみ込めず,長年首をひねり続けていた。だっておかしいではないか?
もし彼らの言う通りなら一体言語というのは誰が作ったのやら,どこから生まれてきたものやら全く
不明としか言えまい。

この本の著者は奇妙にウォーフ仮説に好意的だけれど,彼女が行ってきた数々の実験の結果は明らか
にそれを否定しているか,少なくとも大幅に修正をせまるもののように思われる。僕はやっと得心が
いった。
どうしてこういう実証的・科学的な研究が今まであまりなされてこなかったのか不思議である。
★★★☆

258:無名草子さん
14/02/19 14:24:55.43 .net
内田隆三/講談社現代新書『ミシェル・フーコー』

同性愛者特有の奇妙にまわりくどい/持ってまわった文章で有名なフーコー本人の著作よりもっと難解、と言うより
理解不能である。
と言ってもこの著者もゲイであるというわけではたぶんなく,単に日本にはあんまりまともな社会学者がいない,と
いうだけの話であると思われる。


259:無名草子さん
14/02/19 14:34:09.07 .net
中山元/ちくま新書『フーコー入門』

こちらは非常に良い入門書。この方面に関心のある人には一読をお薦めする。
「“パノプティコン”なんてものの話にレアリテがあるかどうかはかなりあやしいね」
なんてことを考えるためにも。
★★★

260:無名草子さん
14/02/19 14:37:51.93 .net
中山元/洋泉社新書y『はじめて読むフーコー』

これはたぶん上記の本が評判が良かったので,「どうかうちでも一つ・・・」と洋泉社の
編集者から頼まれて中山氏,断り切れずに仕方なしに書いたものと思われる。


261:無名草子さん
14/02/19 15:04:13.08 .net
茂木大輔/新潮文庫『オーケストラ楽器別人間学』

クラシック音楽業界人の書き手としてはこの人はそんなに面白い方ではないが,「たまには悪くないね」と
いう水準には達している,と思う。

この本には「ヴァイオリン弾きにはいやな奴が多い」(これは芥川也寸志も言ってたな)とか「お金借りるなら
トランペット吹きに」とか,さもありなんと思うような話が多くて愉快である。
★★☆

262:無名草子さん
14/02/21 14:27:47.89 .net
原田曜平/幻冬舎新書『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』

「週末一家でイオンモールに行くのが一番の楽しみ」「“弾丸”と称して別に意味なく夜中に
ミニバンで仲間とお台場とかまでドライブ」「子供連れていける居酒屋があったらいいのに・・・」
なんて言ってるような連中がこれからの“消費の主役”って、本気で言ってんのかな,この博報
堂の何やら研究所長氏は?


263:無名草子さん
14/02/22 18:26:30.52 .net
西原理恵子/新潮文庫『サイバラの部屋』

対談集。重松清の章が特に面白いので立ち読みだけでもしてみることをお奨めする。
サイバラの漫画はなぜ面白いか,どうしてあんなにお金に執着する割に元夫への情が
深いのか・・・なんてことがよくわかる。
「広末涼子とか,高知の女は男選びのセンスが悪い」って話は可笑しかった。
★★☆

264:無名草子さん
14/02/24 20:07:16.32 .net
椎名誠/岩波新書『活字たんけん隊』

椎名誠のエッセイはもう20年くらい前に見限ったのだけれど,この岩波新書の四部作
だけは今でも読むに耐える。少年のように無邪気な好奇心や冒険心いっぱいだ。
★★★

265:無名草子さん
14/02/25 11:16:39.49 .net
森炎/ちくま新書『司法権力の内幕』

著者はこの本で日本の司法界への「激烈な批判」をしているつもりらしい。でも実際のところは
ちょっと物知りな人なら誰でも知ってるし,書ける程度の話ばかりである。
しかもさして必然性もなくM.フーコーやニーチェ,フロイトなど持ち出してもっともらしく見せかけ
ようとしている。なんだかやることが三流私大生みたいである。

でもこの御方,何とまぁ元裁判官なのであった。真に恐るべきはむしろその事であるようにわたく
しには思われる。


266:無名草子さん
14/02/26 19:01:24.44 .net
鬼平犯科帳 


抽出レス数:1

267:無名草子さん
14/02/26 22:19:38.58 .net
>>266
アホかお前

268:無名草子さん
14/02/26 22:22:44.41 .net
夢野久作『ドグラマグラ』

「実はそれほど大した本でもないが,長いし厚いし完読するとそれなりに達成感のある本」というのがあるものだ。
モーム『人間の絆』,サド『悪徳の栄え』,『家畜人ヤプー』...etc.
★★

269:無名草子さん
14/02/26 22:33:01.84 .net
田舎者の背伸びな感じ

270:無名草子さん
14/02/26 22:46:49.58 .net
コリン・ジョイス/NHK生活人新書『「ニッポン社会」入門』

中身の濃い本ではないが,こういうものは読んで損した気持ちにはならない。「外国人からはこんなふう
に見えるのか・・・」という発見があるから。妙に可笑しかったのは著者が感心した日本語表現の章。

●「全米が泣いた」
 “まぎれもなく独創的な表現” で“日本についての二つの大きな誤解を吹き飛ばしてくれる。日本人は
 ユーモアに欠けているわけでもなくアメリカのものなら何でも有難がるわけでもない”という事だそうな。
 言われみると確かにケッ作だねw
●「勝負パンツ」
 “この言い回しを聞いて感心しなかったイギリス人の友人は一人もいない”という。そ,そんなに・・・?
●「おニュー」
 “この言葉を初めて聞いた時、ぼくは声を出して笑い、その日一日この言葉について考えをめぐらせたものだ”
 ・・・もう死語のような気もするが,こういう「ユーモアとアイロニーを同時に感じさせる」ようなものが甚だイギリス
 人好みなのだろうと僕は思った。
★★☆

271:無名草子さん
14/02/27 06:05:49.14 .net
橘玲/幻冬舎『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』

「自己啓発本などいくら読んでも頑張ってもダメな人はダメだから“恐竜の尻尾の中に頭を探せ”」と著者は言う。
で,それはどういうことかは具体例がほとんど何も示されていないので僕にはさっぱり理解不能であった。
まあ要するに社会ダーウィニズムのようなものを橘は信じたいらしい。

どうも以前取り上げた『臆病者の株入門』といい,『不道徳な経済学─擁護できないものを擁護する』のリバタリ
アニズムといい,この人の言っている事はどこまで本気なのやらわからぬ。


272:無名草子さん
14/02/28 23:21:36.26 .net
「永遠の仔」
登りたけりゃ一人で勝手に登ればいいじゃん

273:無名草子さん
14/03/01 19:45:45.95 .net
石井光太/新潮文庫『レンタルチャイルド』

故郷のアル中のDV父からムンバイに逃げて来て,物乞いをして暮らし,マフィアに搾取され
暴行され,痛み止め代わりにシンナー吸いながら死を待つ幼い男の子(実は女の子)の話とか
もはや悲惨過ぎて読めない。ゆえに評価なし。

274:無名草子さん
14/03/02 19:46:19.06 .net
宇野常寛・更級修一郎/CYZO『批評のジェノサイズ』

宇野氏:今どき本を読んでいる奴は地頭が悪い。10年くらいかけて読者を入れ替えて、もうちょっと質の良い
      “考えるための批評”ってものをこれからやっていかなきゃいけない。
更科氏:いやだから,もうオレは批評を書きたくないんだよ。10年も待つほど批評に思い入れはないし、入れ
      替わる前に餓死するのはイヤだよ。金にもならないしルサンチマンに訴える品のない人寄せしか出来
     ないんだったら本業の編集やってる方がいい。

更科氏の方が賢いと思う。僕は「アンチAKBの人たちはいっぺん負けを認めるべきだと思うんですよ」なんて言って
るような男にオマエは頭が悪いなんて言われたくはない。
★★

275:無名草子さん
14/03/02 19:54:54.74 .net
渡辺京二/平凡社ライブラリ『逝きし世の面影』

学問的には無意味な「美しかりしかつての日本人の心」の思い出に浸る“のすたる爺”の
繰り言のようなもの。こういう本に感動するようになったら人間おしまいである。


276:無名草子さん
14/03/03 20:00:51.34 .net
小林信彦/文春文庫『本音を申せば⑦ 伸びる女優,消える女優』

こういう本は僕のような昔からのこの人のファンしか読まないのだろうし,今の若い読者が読んで面白いか
どうかは疑問だ。でも僕には面白いからいいや。

それでも読んでみようと言う人にはひとこと助言しておこう。小林信彦の言うことはいちいち真に受けない方
が良い。昔は(後日自分でも認めたように)大して面白くないマルクス兄弟をしつこく持ち上げたりしていたし
今はなぜか日本の若手女優を見境なくホメたりしている。
タイトルからしてバカバカしい座頭市映画『ICHI』なんてものまで「綾瀬はるかがまことに美しい」なんて称賛
していやがる。ストーリーが成立してない映画だって自分でも事実上認めてるのに困ったもんだ(苦笑)。
★★☆

277:無名草子さん
14/03/04 11:31:27.32 .net
宮台真司・大塚英志/太田出版『愚民社会』

「日本にはまだ本当の○○思想がない」というのは日本の駄目なインテリもどきの常套句である(吉本隆明)。

「日本人は民度が低い」というのが正しいとしても,それはそのことを言いたてる人間が愚かではないという保証
には少しもならない。当たり前だが(僕)。


278:無名草子さん
14/03/04 20:17:31.80 .net
藤原正彦/新潮新書『国家の品格』
同/文春文庫『名著講義』

欧米に長く留学や滞在していた物書きは得てして保守反動・愛国者(?)になってしまうという例。
しかし南部陽一郎先生や小澤征爾のような本当に世界的業績を挙げた人はこんなみじめったらしい本
など書かない。


279:無名草子さん
14/03/04 20:20:37.13 .net
鹿島茂/平凡社新書『吉本隆明1968』

やれやれこの人が今さらこんな本を書くとは・・・


280:無名草子さん
14/03/04 20:28:38.64 .net
町山智浩・柳下毅一郎/文春文庫『ベスト・オブ・映画欠席裁判』

故笠原和夫氏曰く「(作る側が)見世物精神を失くしたら誰も映画なんて観に来ないですよ」。
そう,それがなくちゃTVと同じである。最近の日本映画がそれだ。でも洋画より客が入っている。
これを言っちゃあおしまいだけど,今の日本はもう客が面白い映画というものがわかっていないのだ。
この二人の言っていることも結局それである。
★★★☆

281:無名草子さん
14/03/05 16:47:45.18 .net
「客が悪い」
wwwwwwwwww

282:無名草子さん
14/03/05 18:11:01.78 .net
なーんちゃってw

283:無名草子さん
14/03/07 00:22:23.86 .net
三橋貴明・渡邉哲也/ビジネス社『大恐慌情報の虚と実』

この本に限らず,ユーロ圏は泥沼につっこんでいるしアメリカも中国も先行きは真っ暗・・・と
云う人は多いようだけれど,クラッシュの日は一向に来ない。何が起きているのやら。
★★

284:無名草子さん
14/03/07 00:38:31.50 .net
バーバラ・エーレンライク/河出書房新社『ポジティブ病の国、アメリカ』

「癌になってよかった」なんてことを言う人間まで出てくるくらいアメリカ人の「ポジティヴで
ありさえすればきっといいことがある」信仰は病膏肓に入っているらしい。
著者はそれを「厳しすぎるプロテスタント道徳の時代の反動」と考えているらしいが,どうもこれには
説得力がないし,たぶん学問的にも無意味だと思う。別にアメリカにはプロテスタントの信者しか
いないわけじゃないし。
★★☆

285:無名草子さん
14/03/07 00:53:20.54 .net
武田知弘/彩図社『ナチスの発明』

「アウトバーンはナチスがつくった」とか「フォン・ブラウン博士はナチスの庇護のもとに宇宙ロケットの元になった
ロケット弾を開発した」というのは知っていたが、IBMのナチスとの深いかかわりや「ヘリコプター、ジェット機、電子
顕微鏡もつくったのはナチス」というのは知らなんだ。
科学技術というのは軍事目的抜きには発達しづらいもののようである。このインターネットや携帯電話もその産物だし。
★★☆

286:無名草子さん
14/03/08 20:20:26.40 .net
ASIOS/彩図社『謎解き古代文明DX』

コンビニで売ってたと学界本みたいなもの。実際山本弘も執筆している。結構面白い。
僕には最後の「江戸しぐさ」の話がいちばん面白かった。あんなものが今は教科書に載って
いるとは,ヒドい話もあったもんだ。
★★

287:無名草子さん
14/03/09 20:03:44.90 .net
中村敦彦/宝島社新書『デフレ化するセックス』①

僕は21世紀中には素人売春は事実上日本でも解禁になるだろう,と思っている。国家が国民を幸福に
豊かにする能力を持っていないのが明らかになればそうならざるを得まい? “アベノミクス”が奏効する
とかしないとかいう以前に,なぜ政治家や官僚なんぞに日本の景気を良くする能力があると皆さん思う
のか不思議である。

288:無名草子さん
14/03/10 19:58:29.87 .net
清野とおる/講談社『東京都北区赤羽以外の話』

漫画.というより漫画つきエッセイ。結構おもしろい。駅で跳びこみ自殺を目撃するとあまりの
グロさに吐いてしまう,とか。漫☆画太郎のエピソードなど事実とは信じ難いくらいのもの。
★★☆

289:無名草子さん
14/03/11 20:35:28.33 .net
橋本玉泉/彩図社文庫『ビンボーになったらこうなった!」

売れないライターの著者。紙媒体はもう売れっ子でなきゃ食えないらしい。
しかしひとの不幸は栗きんとんの味。

「肉体労働一か月で10万円にしかならないから家賃で消える。ライター仕事は滅多に依頼がない」
  ・・・警備員でももっとマシだろうになんで転職しないんだろ。電気止められそうになったりしながら
    奥さんは働いてないようだし,どうやって食っているのやら。
「貧乏だというのが知れわたるとライター仲間にも避けられるようになる」
  ・・・そりゃそんな事を聞かれもせんのに自分から言ってるような男じゃなあw

―と無責任なことも言っていられる。

でも「生活保護を受けても今時クルマも持てないんじゃ余計に困ってしまう」「たとえ好景気
になっても,日本の企業はもう人件費削って利益率を上げるやり方が身についてしまって
いるから,末端の労働者が豊かになる事は今後ないだろう」と云った指摘は重要な気がする。
★★☆

290:無名草子さん
14/03/12 10:52:29.28 .net
 ヽ(`Д´)ノ ボッキアゲ!!

291:無名草子さん
14/03/13 08:41:29.54 .net
中村敦彦/宝島社新書『デフレ化するセックス』②

だがこの本によれば現実は僕が考えていたよりずっと先に行っているらしい。
最初に出てくるのが,慶應大学卒,東証一部上場の一流企業で第一線で活躍しているという若いOLである。
この人は学生時代は高級ソープで働いて学費を捻出していたのだという。両親は地元の国立大に入らせた
がったのを敢えて「仕送りはするが,学費は自分で稼ぐこと」を条件に上京してきたから,ということで。

しかしこのOLも著者も「そんなのは今どき珍しくもない」と云った調子で書いているが,どうもヘンな話だなあ。
そもそも娘が「学費は自分で稼ぐから」と言ったって,フツーの親がそんなことを信じるだろうか? 水商売か風
俗の仕事でもしなきゃ稼げる額じゃないくらいわからない筈はあるまいに。

292:無名草子さん
14/03/13 08:50:34.04 .net
逢沢 明/PHP文庫『頭がよくなる論理パズル』

こういうパズルを簡単に解ける人はたぶん地頭がいい。何かの役に立つかどうかは?だけど。
★★☆

293:無名草子さん
14/03/13 09:06:59.87 .net
友里征耶/新潮新書『グルメの嘘』

某有名グルメ評論家や某有名パティシエのいかがわしい言動やら,ギド・ミシュランの
調査法のいい加減さ,“天然鰻使用”が売り物の某高級うなぎ屋のインチキぶり・・・等々
マジメな本なのに笑ってしまう。
★★★★

294:無名草子さん
14/03/15 10:45:30.68 .net
小谷野敦/新潮文庫『日本人のための世界史入門』

やっぱり小谷野先生のようなゴシップ好き,あるいはエピソード好きな人でなければ
面白い歴史の本は書けないもののようである。
★★★★

295:無名草子さん
14/03/17 19:50:36.74 .net
小林信彦+萩本欽一/集英社『ふたりの笑タイム』

「ジジイの昔ばなしなんて・・・」と思いつつ読みだしたら,これが面白い。
若き日の小林信彦とテレビ作家仲間が萩本欽一に笑わされっぱなしになって仕事にならなくなった話。
タモリが突然「近所だから」と訪ねて来て,萩本&パジャマ党を笑いっぱなしに笑わせて,しまいに仕事
ができなくて困った欽ちゃんが「もう帰ってくれ」と頼んだ話,等々。
「いろいろあってもやっぱり人生捨てたもんじゃない」と思わされる。
★★★★

296:無名草子さん
14/03/18 20:04:38.49 .net
丸谷才一/講談社文芸文庫『忠臣蔵とは何か』

敵対していた江藤淳のものと同じくらい無意味な批評家の学者ごっこ。
この人は三島などが早く死んだせいで言わば“繰り上げ当選”した作家だから
全集出すほどのもんではない。


297:無名草子さん
14/03/18 20:10:09.49 .net
アンブローズ・ビアス/岩波文庫『悪魔の辞典』

はじめて出版された当時にはこれでも毒気たっぷりの本だったのだろうけれど
今となっては至極他愛もない冗談ばかりの本。


298:無名草子さん
14/03/20 08:32:25.92 .net
今野晴貴/朝日新書『ブラック企業ビジネス』

弁護士や社会保険労務士の中にはブラック企業経営者の味方(をするフリ)をして手数料や弁護料を
荒稼ぎする者が少なからず出てきている・・・というのは大体予想通りだった。

それより「司法制度改革」とやらの所為で司法試験に合格しても司法研修を受けるお金がなくて諦める
者や,弁護士になっても所謂イソ弁にすらなれない=実務の勉強はおろかそもそもとても食えない者が
大量に発生している,という話の方が僕には大きな問題に思える。「どうせそんな事になるだろう」と僕も
以前言っていた通りになってしまっているのだ。まことにお粗末な話である。
★★☆

299:BOCONON
14/03/26 20:28:55.07 .net
冬野花/中経文庫『インド人の頭ん中』

「インドへ行って俺は人生観変った」などと言いたがる鬱陶しい人間は今でもいるのだろうか。僕は「オマエのチンケな人生
観なんざどうとでも好きなように変えたら良かろ」としか思わないが。

この本はインド在住の女性の話なので、旅行者しただけの人からはあまり聞けないような話が多くて楽しい。
おっさんヒジュラーの下半身丸出し攻撃の話,インドは「性欲抑圧天国」(やな天国だな)で、痴漢も多いという話。
「痴漢なんてものは日本独特の存在」ってのはウソだな。
著者は長距離バスの中で隣りの男が○○○ーを始めてエラい目に会ったそうだけれど、詳しくは引用するのをはばかる。
★★☆

300:無名草子さん
14/03/26 20:55:02.17 .net
宮崎俊一/講談社『成功する男のファッションの秘訣』

松屋のバイヤーが書いたスーツの本。こういうものはだいたい宣伝も多分に入っているし,有益な情報を
引き出せるかは読み手次第。

・「スーツの試着は最低10着」・・・確かに試着は大事だ。本当に体つきに合い,かつ体つきをキレイに見せてくれ
 るスーツを着ている人は滅多にいない。問題はでもそのサイズが適正か判断できる目を持った人も滅多にいない
 ということだ。
・「ミディアムグレーのスーツに紺系のタイならハズレなし」・・・これもこれでうまく合わせるには経験がものを言
 うし,そもそも最近のスーツは黒のストライプだらけではないか,百貨店も。

・・・著者は最近NHK/Eテレでもスーツ講座を担当して「センスよりルール」を提唱しているようだが,上記のようなこと
を考えると,すぐにも身嗜みを良くしたきゃ結局洋服に詳しくて趣味の良い人に選んでもらうしかあるまい。
★★☆

301:無名草子さん
14/04/02 21:56:31.85 .net
柳下毅一郎/カンゼン『皆殺し映画通信』

ご苦労にも『ハダカの美奈子』『アントキノイノチ』『体脂肪計タニタの社員食堂』『R100』といった存在
意義不明,箸にも棒にもかからない映画を次々選んで観て的確すぎるツッコミを入れている。笑える。

でも『永遠の0』がいかに気持ち悪い話であるか,『図書館戦争』『劇場版 ATARU』のストーリーや設
定のデタラメぶり等,至極まっとうな日本映画批判の書でもある。
映画がテレビ屋のおもちゃ化し,客もその程度でかまわないで観ている悲惨な現状がよくわかる。
やっぱり客も悪いのである。
★★★★

302:無名草子さん
14/04/02 22:28:30.27 .net
姫野カオルコ/ドールハウス(1991)

処女三部作の一作目(作者のあとがきにそう書いてあった)、バブル真っ盛りの1989年が舞台だが、
毒親、親の介護、アダルトチルドレンがテーマで今読んでもそんなに古く感じない、文学部出だけあって文章も達者、ライトな恋愛小説の体をとりつつ、文学趣味をさり気無く披瀝する
痛快で希望に満ちたラストは日本の未来に希望のあったあの時代だからこそと思う

303:無名草子さん
14/04/03 08:26:04.69 .net
上田和夫/講談社現代新書『ユダヤ人』

①ユダヤ人が2000年にもわたってユダヤ人性を保ち続けることが出来たのはなぜか
②なぜあれほど嫌われてきたのか
③ユダヤ人はなぜあんなにも多くの優秀な人物を輩出し続けることが出来たのか
④なぜ大資本家たり得たのか

「プロローグ」で著者はこの本を読めばこうした疑問も解ける、と言う・・・のかと思ったら、早くも「ある程度
解けるのではあるまいか」などと頼りないことを言う。
これは僕が“だろう本”と呼んでいる、肝心なところで「~だろう」「~であろう」「~ではなかったか」などと
言い出すダメダメ本の一典型である。
こんな本はたぶん著者が教えている田舎大学の教科書として使っているから絶版にもならないのだろう。


304:BOCONON
14/04/04 03:07:37.99 .net
大槻ケンヂ/白夜書房『サブカルで食う』

「小説書きたきゃ小説読むよりハリウッド製B級ラブコメ映画を観て定番ストーリーのパターンをつかめ。
面白エッセイ書きたきゃ考えるより外に出て行ったことのないところを歩け」…なんてのが良いやり方らしい。
まあ確かに群ようこやゲッツ板谷みたくエッセイストが遠出もしない/できないようになっちゃおしまいだね。
丸谷才一のように頭ん中の引出しにネタがたくさんつまってりゃ別だけど。
その点東海林さだおは偉い。
★★☆

305:無名草子さん
14/04/06 11:08:43.59 .net
佐々木敦/講談社現代新書『ニッポンの思想』

このタイトル丸山真男『日本の思想』のもじりらしいがそれなら看板に偽りありだ。実際のところは
浅田彰・中沢新一・蓮實重彦・柄谷行人の言わば「ニューアカ四天王盛衰記」といったものであり
そしてそれだけである。だから読んでもしょうがない。この四人も、彼らが依拠していたフランス現
代思想もマルクス主義も、今や単なる流行遅れに成り果てているから。
その上この書き方では,初心者が読んでも彼らの思想の概略すら多分理解不能である。
こういう本の存在意義がどこにあるのか僕にはわからない。


306:無名草子さん
14/04/07 20:08:49.58 .net
小谷野敦/幻冬舎新書『21世紀の落語入門』

この2,30年江戸時代は美化され過ぎているという著者のかねてからの主張は正しいと思う。
女郎の実態も近松の心中ものなど観たくらいじゃわからない。『品川心中』のような滑稽にして
悲惨な噺が大部分だったのだ。談志みたいに「人間の業の肯定」なんて理屈をこねる必要もない。

著者は「寄席行くよりまず名人の録音聴くべし」という考えらしいが,これも賛成。クラシック音楽
と同じでへたくそな演者のものを聴いても良さはわからないのである。
★★★☆

307:無名草子さん
14/04/09 19:52:24.44 .net
河出書房『文藝別冊 タモリ』

新潮新書『タモリ論』というのは僕は読んでいないが,あんなものは読むに値しない(これはもうそう
に決まっている。僕のようなデビュー以来のファンでもないどこの馬の骨やらわからない書き手の
書いた本なんざ。)
そもそもタモリを「論」ずること自体甚だ反タモリ的だ。

こちらはその『タモリ論』に“違和感を持った”のがきっかけで作られた本だそうで,だから「チンケな理屈
こねるよりタモリに関する証言を集めました」といったオモムキである。むろんそれでタモリの全体像や
人間性の本質的な部分0が明らかになるわけではない。それは読み手が勝手に考えればいい。

僕はタモリ自身の言葉で面白いのがいくつかあった。「俺,“笑い”ってそう言えばあんまり関心なかったな。
だからいろんな“笑い”のこと,よく知らない。せいぜい『シャボン玉ホリデー』よく視てたくらいで」。
・・・高田文夫や志村けんが一時タモリに反感を露わにし,小林信彦もあまりタモリについて書くのに積極的で
なかった理由はこのへんにありそうである。
★★★

308:無名草子さん
14/04/09 20:41:48.62 .net
今柊二/ちくま新書『定食学入門』

東海林さだおが推奨するだけのことはある愉しい本。文章は中途半端にマジメであまり弾まない
感じだけれど引きこまれてしまう。つまりテレビ東京の旅&食べ物番組みたいな味わいである。
★★☆

309:無名草子さん
14/04/09 20:55:08.53 .net
中山康樹/講談社現代新書『これがビートルズだ』

ビートルズ研究がここまで進んでいるとは知らなんだ。よくもこんな細かいところまで調べ上げたもんだ。半ば感心し、半ば
あきれる思いがする。
僕はこの本によって「ビートルズは技術的には下手なバンド」という固定観念を破られた。言われてみればもともとハンブルグ
のクラブなどで酔漢どもを相手にガンガン演奏して鍛えたライブバンドなわけだし、初期の曲はほぼ一発録りなのだ。
日本武道館での来日公演の動画を視てガッカリした人は少なくないだろうけれど,あれはビートルズ自身もびっくりしたような
ものだったのだ。「僕らはいつの間にかこんなへたくそなバンドに成り下がっていたのか・・・」と。
★★★

310:無名草子さん
14/04/09 22:14:20.99 .net
「情報の呼吸法」津田大介 アイディアインク
URLリンク(yaplog.jp)

311:無名草子さん
14/04/09 23:20:03.22 .net
>>305
激しく同意
佐々木敦は偏差値40

312:無名草子さん
14/04/10 13:44:23.47 .net
そう言やなぜか(今時珍しく)著者略歴にどこの大学出なのか書いてないねw

313:無名草子さん
14/04/11 20:18:00.49 .net
大平健・倉田真由美/新潮文庫『こころの薬』

大平は最初から「診察に入ってきた患者を人目見ただけで与えるべき薬が頭に浮かぶ」などと言う。
まあそんなもんだろうな,ヴェテラン精神科医なら。くらたまも珍しく高学歴女らしく頭の切れる
ところを見せるし,この本は世間話としては面白い。
でもボクは私は仮に自分や家族が精神疾患になっても大平を選んで受診したくはない。なぜなら精神
分析じみたことを言いたがるから。精神分析は精神病はおろか神経症にも効果はなんら実証されては
いない(大平は日本的精神分析『甘えの構造』で有名な土居健郎の弟子だ)。
かくして,大平自身が言うように「本出したりマスコミに登場したがるような医者はろくなもんでは
ない」と僕はまたしても思わざるを得ないのだった。
★★

314:無名草子さん
14/04/12 20:26:07.35 .net
松井正文/小学館101新書『外来生物クライシス』

僕はこの本“外来生物をめぐるドタバタ珍騒動話”的に読んで結構面白かった。
読んでいて思い出したのは、むかし中国で「雀は害鳥だから駆除し尽くせ」と短絡的な運動をやって
その結果かえって雀の餌になる害虫が大発生して困ったというエピソードであった。
日本もしかし中国を笑えない。ブラック・バスはもともと食用として移入されたのだ。山椒魚ですら
最近は中国オオサンショウウオが増えているらしく「あんなものがどうやって日本に入ってきたんだろう?」
と僕は思っていたが、この本によればこれも食用として輸入した業者がいて、しかし当然ながら誰もそんな
ものは食いたがらず、処分に困って放流したのが元になっているらしい。
うちの近所でもこの間夜僕が自転車で走っていたら、猫とも狸ともつかない奇妙な生き物が道を横切ったので
よく見たらアライグマだった、なんてことがあった。
そのうち日本の生態系は気がついたら以前とはまったく違うものになっていた、なんて可能性は大いにあるな。
★★☆

315:無名草子さん
14/04/13 10:52:58.22 .net
井筒俊彦/岩波新書『イスラーム哲学の原像』

岩波文庫『意識と本質』は,読もうとしては中途挫折する人続出らしいが,僕はそんなに難しい本とは思
わなかった。この本は新書本であるからさらに分かりやすい。
でもおよそ東洋哲学は本を読んだだけじゃ肝心のところはちっともわからないのである。理屈で解った
つもりになってもダメなのである。「色即是空」なんてことも修業して体得しなきゃわかったことにはなら
ないのである。
僕はかねがねイスラーム神秘主義でも禅でもなんでもいつか本格的に修業したいと思っているが,まだ
果たせないでいる。ただ闇雲に修業してもダメで,良い師匠=グルにつかないと,修業が進んでいるのか
単に精神異常を起こしているのか区別がつかないから。麻原みたいな師匠についたんでは身の破滅だ。

ああ,どこか近間に良い師匠はいないかな。
★★★★

316:BOCONON
14/04/15 19:23:28.00 .net
東谷暁/朝日新書『間違いだらけのTPP』

こういう本を読むと「日本のエコノミストだの経済学者だの官僚などには“アメリカではそう言われ
てるんだから”以外何もなし」の感を強くする。
ゆとり教育だの大学改革だの裁判員制度だの法科大学院だの,なんでアメリカの良くないところ
ばかり真似したがるんだか。
そのくせ死刑廃止だけは半ば宗教的に善であると信じて疑わないとか,もうアホらしい限りである。
★★★

317:無名草子さん
14/04/15 19:40:15.44 .net
小谷野敦/ベスト新書『文学研究という不幸』

この本は全部読む必要はない。特に文学研究に関心のない人はカバー表見返し部分に引用してある“「あとがき」
より”だけでじゅうぶんである。かい摘んで紹介すれば・・・

今の大学の人文系学部とか人文系の学者などというのは幕末の幕府・武士のようなもので、もはや社会から必要
とされていない。おそらく5~10年くらいで弱小私立や地方国立大あたりから本当に大学は倒産してゆき、残った
ところで「もう文学研究の人など要りません」ということになり、文学研究の本など出なくなるだろう。純文学や文学
研究は、今後はほかに仕事を持つ人の趣味・余技としてしか存在し得なくなるに違いない。

残念ながら同意せざるを得ない。
ああ,日本がどんどんつまらない国になって行く・・・
★★★

318:無名草子さん
14/04/16 00:50:43.00 .net
柳美里 JR上野駅公園口


山狩りなどホームレス用語が出てくるあたり。実際にホームレスに取材してたのはいいんだけど。
東日本大震災で元々のストーリーを変えざるおえなかったように思えました。

319:無名草子さん
14/04/16 11:45:18.68 .net
単なる書き間違いだとは思うけど,“変えざるを得なかった”と書きたかったんだよね?

320:無名草子さん
14/04/16 22:19:12.67 .net
百田尚樹/幻冬舎「モンスター」
主人公が「ブス」って虐められてる所がかなり辛くて読む気なくしたけど
整形の話から面白くなった。「蒙古襞」とか初めて知った。
内容はamazonでも書かれてますがテンプレって言えばテンプレ
★★☆

321:BOCONON
14/04/17 06:00:07.94 .net
村田らむ/鹿砦社『ホームレス大博覧会』

>319
で思い出した,ホームレス取材暦10年の著者による『実話ナックルズ』連載をまとめた漫画記事の多い本。
“村田らむ”なんて名前は大半の人が知らないだろうけれど,この方面の書き手としてはかなりイケる。
この本では使っていないが“松田望”名義で絵が端正な漫画も描く。
柳美里の本は読んでないから知らないけど,サブカル好きためのホームレス四方山話としては多分こっち
の方がずっと面白い。なにしろ年季が入っているから,つかず離れずの距離感がいい。ホームレスによくい
る凶暴なタイプにも平然と対処している。
これを読めばホームレス一般についての基礎知識が得られる。「得てもしょうがねえだろ」と言わず,ご一読
を。これから急速に増えるであろう「親が死んでしまったニート」や「元ホワイトカラー」のホームレスについて
も書いてあるから参考になる。
★★★

322:無名草子さん
14/04/17 07:35:13.38 .net
勢古浩爾/ちくま選書『最後の吉本隆明』

どっちかと言えば「俺がヨシモトを読んでいた頃の思い出」。
これも存在意義のよくわからない本だ。
★★

323:無名草子さん
14/04/18 22:32:29.89 .net
平野威馬雄/ちくま文庫『陰者の告白』

著者は平野レミの実父和田誠の義父和田唱の祖父でイギリス人の父と日本人の母をもつ詩人・仏文学者(大学教授ではないようだが)。
戦前のコカイン中毒のジャンキーで、その戦前15年間の中毒ぶりを回想して綴ったもの(書かれたのは1970年代)。
薬物を手に入れるために犯罪に手を染めたり松沢病院に入院したり薬物によるおもに性的な妄想やらが
フランス象徴詩を思わせる美文で綴られている。話は面白いし、感動する。これほどの人なのに、薬物で失ったものは大きいだろう、もったいない。
松沢病院での院長は人格者なのだろうが、こんにちの目で見ると、依存症患者に絶対やってはいけないことばかりを平気でやっていて、
かなり驚いた。医学の進歩というのもすごいんですね
★★★★☆

324:無名草子さん
14/04/20 20:18:17.95 .net
緒方英子/新潮文庫『オーケストラを好きになる事典』

日本の有名オーケストラの楽員たちに担当楽器とその周辺について聞いた本。思った以上にプロの演奏家
というのはタイヘンである。
特にリード楽器(オーボエ、クラリネット、サクソフォンなど)は、リードを竹を削って自作せねばならず,しかも
何十枚も作っても本当に気に入るような出来のものは滅多にないのだという。聞くだに面倒な話だ。
それから実は僕は「ピアノの音は今ひとつ好きになりきれないところがあるから、ハープはいいんじゃないか。
ピアノの曲も弾けるし、音は美しいし。ハーポ・マルクス好きだしw ジジイになったらハープ習おうかしら」と
思っていたのだが,この本によるとあれは非常にきつい楽器であるらしい。ペダル操作がピアノよりはるかに
複雑である上に、いくら練習しても指に負担がかかり過ぎるので、ギターのように十日もすれば指先も固まっ
て後はへっちゃらというようなものではないのだとか。見かけほど女性的な楽器でもないのだな。

・・・こんな話を面白がる人がどれほどいるのか私にはよくわからないのだが、少なくともクラシック音楽愛好
家は知っておいたほうが演奏を聴くのにより深く楽しめると思う。
★★★

325:無名草子さん
14/04/20 21:20:36.89 .net
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326:無名草子さん
14/04/20 22:15:18.21 .net
島村奈津/講談社文庫 『エクソシストとの対話』

イタリアのカトリックに現在も実在する(そしてなお増加中の)公式エクソシスト(悪魔祓いをすることを認められた神父)に関するルポ。
かつての魔女裁判は悪魔に取り憑かれた人を処刑する間違いを犯しており、憑いた悪魔を退散させることが救いになるという現代的な
(刑罰モデルから治療モデルへの)悪魔祓い正当化には目から鱗。登場するエクソシストらは、精神医療とも共存し、依頼者の九割は病人であって
悪魔憑きではないといい、悪魔祓いは異教徒にも有効でイスラム教徒の悪魔祓いもしたことがあると言明する…などの現代性が興味深い。
中心に据えられている神父の深みのある人間像にもうたれる。著者が悪魔祓いの現場に同席できたのは一度だけのようでそこがやや食い足りないが
取材の難しさがわかってない私の勝手な高望みですね、はい。
★★★半☆

327:無名草子さん
14/04/20 22:33:55.66 .net
>>326 
訂正 ×島村奈津
    ○島村菜津    失礼しました

328:無名草子さん
14/04/21 20:29:38.42 .net
松村雄策/小学館『ウィズ・ザ・ビートルズ』

「生涯一ビートルズファンのジイサマの居酒屋談義」または「 私は如何にして
思い煩うのをやめてジョン・レノン信者になったか」と云ったふうなもの。
★★

329:無名草子さん
14/04/23 11:10:19.28 .net
鈴木亘/講談社現代新書『社会保障亡国論』

この書名は誤解を招く。著者はむろん社会保障をやめろ,などと言っているのではない。年金制度や
各種社会保障のやり方を根本的に改革せねばならない,と言っているのだ。どう改革すべきかはこの
本に書いてある。
著者の言うことはたぶんほとんど全面的に正しい。こうした改革はよどど強力なリーダーシップを持った
政治家が現れなければ無理,ということを含めて。そしてしかし実際のところ今後も政府は消費税率を
引き上げ続けるくらいしか能がなく,遠くない将来日本は財政破綻するだろう,という予想を含めて。
★★★★★

330:無名草子さん
14/04/23 20:34:44.34 .net
グレアム・グリーン/早川書房・早川epi文庫/二十一の短篇

もっと早くに読んでいればなあ、という感想。
終止子供(少年)目線で書かれた短編がいくつかあり、子供の知識と経験で解釈し描写された風景/出来事が登場する。
中年になって初めてこれを読んだので、(ああこれはこういう事だな、可哀想に主人公は何が起こったのかわかるまい)となったが、中学生のころに読んでおけば大人になってから(これはこういう事だったのか…)という驚きがあり、意味がわかって今より切ない思いを味わうのかも。

331:無名草子さん
14/04/24 06:37:49.38 .net
三浦展・原田曜平/角川oneテーマ21『情報病』

今の大学生は友人との「情報外交」(やれやれ)に忙しく、考えるのは友達のことばかり、お金も
時間も大部分交際に費やしてしまうのだと著者たちはいう。本当かしら。
どうも読んでて頭の痛くなってくるようなまことにくだらない雑談ばかり続く本で,僕としては「い
くら何でもこんな集団生活する虫みたいな生き方している学生ばかりじゃあるまい」と思いたい。

ところで「最近は、むかしなら○○女子短大へ行ってたような娘が早稲田とか入ってきますからね」と
一人の“草食系男子”学生が言っている,というのは一体誰の何のことだ? そんな子がそんなに
お手軽に僕の母校に入れてたまるもんかい。


332:無名草子さん
14/04/24 06:44:18.10 .net
佐藤優/NHK生活人新書『はじめての宗教論 右巻』

どうでもいいようなことばかり書いてあるので読んだ端からみんな忘れてしまい、本ごと
駅のゴミ箱に捨てきてしまった。‘SPA!' でやってる身の上相談も実につまらないし,この
人がロシヤの大学で神学を教えていた、ってホントかね。

それはまあどうでもいいが,僕が今後この人の本をお金出して読む気になることはありそうもない。
NHKの本に当たりなし,である。


333:無名草子さん
14/04/26 19:55:53.46 .net
久住昌之/晋遊舎『野武士のグルメ』

カバー絵が泉晴紀なので一見漫画の本のように見えるが,エッセイ集。『孤独のグルメ』
が売れたのでそれに乗っかったもののようである。久住昌之のエッセイはだいたいつまら
なくはないが格別面白くもない。
最近コミック版も出たから,読むならこっちの方が面白いかも知れない。僕は土山しげるの
絵は好きになれないからパスだけど。
★★

334:無名草子さん
14/04/27 20:13:40.70 .net
堤未果/岩波新書『貧困大国アメリカ Ⅱ』

みな事実ではあるのだろうけれど,この人の言っている事を聞いただけではどうもアメリカと
いう国がよくわかる気はしない。
たとえばサブプライムローンの証券化なんて,なぜそんな危なっかしい商品が成立するのか。
これはアメリカでは家を手入れしつつ何代にもわたって住むのが当たり前なので価格が下がら
ない,という日本の“土地神話に似たものがあったからである・・・といった事情を知らないと
「アメリカ人て・・・バカ?」としか思えまい。
それから中流層の没落ということも,もともとそんなものはアメリカでも日本でも戦後の一時期
存在しただけなのだ,と見るべきである。

と云ったわけで,どうも僕にはむず痒い本だ。
★★☆

335:無名草子さん
14/04/28 20:35:43.06 .net
三橋貴明・渡邉哲也/ビジネス社『大恐慌情報の虚と実』

ユーロ圏は泥沼につっこみ,アメリカも中国も先行きは真っ暗・・・と僕も思うがなかなか破局が来ない。
何が起きているのか??
たぶんお金を刷りまくって銀行や株式市場に注入してゴマ化しているものと思われる。いつまで続くやら
見ものだ。
★★

336:無名草子さん
14/04/29 19:33:39.88 .net
鶴我裕子/新潮文庫『バイオリニストは目が赤い』

実際のところこの本にはそれほど興味深い話が書いてあるわけではないし、著者は時々冗談を言ったりもするのだが
他愛無くて一向に可笑しくもない。
しかし不思議とすいすい読めてしまう。それは多分著者の人柄のせいである。この人は私より年長らしいが、何か可愛
らしいのである。もともと東北のどこかの社長令嬢だそうで、そのことが<育ちの良い感じ=要らぬ屈折をしていない>と
いう形で現れている。
(お坊ちゃま・お嬢様育ちの人は、悪い方に転ぶと太宰治や石原慎太郎、團伊玖磨、田中真紀子のような「奇妙なくらいの
恥じらいのなさ、無神経」という方向に行ってしまう・・・これは余談。)
例えばこの人は写真を撮られるのが苦手だそうで、実際カバー表見返しの著者近影を見ても、何か微妙にこわばった表情を
しているのが子供のようでて可愛らしく、また妙に可笑しいのである。文章もどこか子供の作文みたいで,だがそこがいい
のである。
もともと壇ふみがこの人の文章のファンで「もっと読みたい」と言っていたのが著者がこの本の元になった連載を始める
きっかけになったのだそうだが、それもなんとなくわかる気がする。どちらかと言うと女性向きな本かも知れない。
★★★

337:無名草子さん
14/04/30 19:25:07.05 .net
森岡正博/ちくま新書『感じない男』

オレはミニスカートが好き。パンツが見えそうだから。制服も好き。ロリコン男の気持ち
もいくら分かる。
著者は「男はみんなそうだよな?」と言っているようでもあるが,「いいのかなあ,これで?」と
思っているようでもある。
結局大した結論もなくて終わるけれど,こういう正直な本はめずらしいからか,結構売れた
らしく最近ちくま文庫で『決定版 感じない男』も出た。
そこまでの本ではないと思うが,まあお暇な方はどうぞ。
★★

338:無名草子さん
14/05/01 04:26:05.62 .net
大貫隆/岩波新書『聖書の読み方』

僕も聖書は旧約の最初から読もうとしたことがある。そして『出エジプト記』まで読んで挫折した。
支離滅裂とまでは言えないにしても、どうもわかったようなわからないような、話が繋がっている
ようないないような記述ばかり続くのでいやになったのだ。
だからこの本のⅠ~ⅢのうちⅠには共感できる。著者が学生にアンケートを取って聖書のどこ
が読みづらいか,その理由をいくつかのパターンに整理した部分。「何でこの神は、モーセの一
行がカナン=パレスチナに帰還した時、そこの住民皆殺しせよ、なんてことを命じるのか」等。
しかし当然Ⅱ、Ⅲではそれが解決されるのだろうと期待すると裏切られる。著者は「聖書では
残酷な神をただやみくもに肯定しているわけではない」などとキリスト教擁護論じみたことを
言うだけだ。
まあ考えてみれば当たり前で、こんな小著で細かい部分(「シナイ山てどこにあるのだ? 「マナ」って
一体何だ?)など一々詳しく解説していられるわけもない。立花隆の言うように、聖書は良い注釈つき
の本でなければ読んでも本当のところはわからない、ということであろう。
結局“注釈らしい注釈のない岩波文庫で『源氏物語』や『聖書』などは読んではいけない”という
ことは再確認できたが,それだけであった。


339:無名草子さん
14/05/02 20:03:59.71 .net
柴田元幸/講談社新書『アメリカ文学のレッスン』

文学を通してアメリカ人の特異な発想のパターンが見えてくる。「アメリカ人の本領はエンターテイン
メントにある」「これではアメリカ文学が日本ではあまり人気がないのもむべなるかな」ということも。
★★★

340:無名草子さん
14/05/02 20:12:07.88 .net
日本語力向上会議/角川oneテーマ21『デキる人は「言い回し」が凄い』

この本は別の本と間違えて買ったのだけれど、「たまには日本語のお勉強もいいか」と思って読み始めた。
しかし2,3ページ読んで放り出した。気味が悪いくらい頭の悪い本である。なにしろ本文1ページ目に
「こういう言葉遣いはやめましょう」という例に挙がっているのが―

「あのコピー機、5回に1回は紙詰まりするんですよ。うざいったらありゃしない」
「今日はずっと外回りだっていうのに、夕方まで雨か・・・うざいなぁ」

次の項「上司に仕事の進捗具合を報告するのにこういう言葉遣いしてはいけません」という例―

「ではぶっちゃけ申し上げます。やばい状況です」

・・・なんだよ,こりゃ? 笑かそうとしてるのか。


341:無名草子さん
14/05/04 20:16:50.39 .net
乾正雄/朝日選書『夜は暗くてはいけないか  暗さの文化論』

椎名誠が「愛読書」「“西の文化が静かさ・暗さの文化であるに対して吾々の東の文化は
なぜ明るい速さの文化であるのか”について解き明かす本」と言うので読んでみたが,僕
には単なる思いつきじみたことを書き連ねたつまらない本にしか見えなかった。
なぜこういう本を愛読するのやらちっともわからないので評価なし。

342:無名草子さん
14/05/06 06:35:02.78 .net
奥田英朗/無理
地方都市で微妙な生活を繰り広げる5人の物語
五人(特に宗教女)を取り巻く環境の酷さやどんよりとした空気の描写は上手いと感じた
しかし、物語の進行に必要のない社会の問題提起、風刺が中盤から増えエンタメ小説の域を超えてもはや自分の社説発表会に過ぎないものにな
★★☆☆☆

343:無名草子さん
14/05/06 06:43:42.99 .net
鈴木翔/教室内(スクール)カースト
昔から存在しているスクールカーストについて論じた一作
図・グラフが多く使われ理解が容易い。
また、生の声として“一軍”に属している女、教師などからカーストについての実態
や意見がふんだんに盛り込まれている。
ただ、それだけが本作の特徴で特に優れた見解はない
★★☆☆☆

344:無名草子さん
14/05/06 20:34:21.96 .net
孫崎享/講談社『戦後史の正体』

安保騒動もロッキード事件も郵政民営化もアメリカ発。それを請けた日本の政治家・官僚・マスコミの策謀に
国民が乗せられただけの話である。

孫崎享/小学館『アメリカに潰された政治家たち』

吉田茂,小泉純一郎などはアメリカのポチ。岸信介や田中角栄,小沢一郎は愛国者。日本人は自分らの敵と
味方の区別もつかないこの愚かな日本国民よ。


・・・まあどこの国も似たようなものではあるが,日本が先進国になれたのも偶然に過ぎないと思った方が
良いのだろう。
★★★★

345:無名草子さん
14/05/06 20:35:26.27 .net
「日本人は」は余計でした。

346:無名草子さん
14/05/07 11:41:42.78 .net
副島隆彦/徳間書店『金融市場を操られる絶望国家・日本』

「アメリカはドイツから預かっていた莫大な量の金をどうやらもうこっそり使ってしまったらしい。
それとドルの威信/信頼性を守るために明らかに金相場を操作している。だから,今は以前に較べたら
比較的金は高くなっているが,今後また暴落する時が必ず来る。資産を守りたい人はその時にこそ金を
買わなくてはならない。」

・・・という事だそうです(自己責任でどうぞ)。
★★★

347:無名草子さん
14/05/08 05:56:21.66 .net
瀬木比呂志/講談社現代新書『絶望の裁判所』

僕は4年前に「日本の原子力発電は近い将来間違いなく取り返しのつかない大事故を起こすだろう」と
予言した。1年もしないうちに言った通りになったけど,それが僕が賢いことを意味しない。基礎知識が
あれば誰でもわかることである。JCOやもんじゅの事故,東電の不祥事などTVのニュースで視ていただけ
でも「こんな普通起こしたくても起こせないようなレヴェルの事故起こすって,明らかにマトモじゃないな,
日本の原子力発電関係者は・・・」と。僕は影響力のない人間だから平気で口に出せるってだけの話だ。

困ったことに,同じような事は政治家や官僚や裁判官(あるいは弁護士も)の世界でも起きつつあるらしい。
弁護士の狂態は光市の裁判の弁護団見ていればわかるが,この本読むと裁判官もドッコイドッコイである。
このスレに断片的に書いてきたような疑いの少なくとも一部は事実であると証明されたようなものだが,僕
は別に嬉しくもないのであった。
★★★★

348:無名草子さん
14/05/09 20:05:52.23 .net
小谷野敦/幻冬舎新書『面白いほど詰め込める勉強法』

「自分のような学者になりたい人のための勉強法」といったふうな本で,そういう人には役に立つかも
知れない。
僕にはむしろ「トクヴィル『アメリカの民主政治』は当時としては先見の明があった,というだけで,今
読む意味はない」「丸山真男がそんなに大したもんか?」といった雑談的評論の部分が面白かった。
★★★

349:無名草子さん
14/05/11 06:16:06.11 .net
町山智浩/文藝春秋『知ってても偉くないUSA語録』

>203 の続編。あれよりは政治的主張は抑え気味で良い。アメリカ社会の流行語やキーワードよりも
僕には「アメリカではコンビニや酒屋は命がけの仕事。だからむかしは韓国人の仕事だったが,今は
アラブ系が多い」とか「アメリカでは街の書店が(超大手チェーン以外は)壊滅してしまった」「アメリカ
では現金を使うのは子供だけ」なんて,住んでいる人ならではの話の方が面白かった。
今のアメリカを見ていればだいたい10年後の日本は想像がつくものであるし。
★★★☆

350:無名草子さん
14/05/11 23:18:31.31 .net
佐々木健一/文藝春秋 『辞書になった男 ケンボー先生と山田先生』

去年のNHK番組の制作に携わったディレクターによる書籍化。番組放送後にわかったことも書かれている。
三省堂で『明解国語辞典』を編纂した同級生の国語学者二人が後に袂をわかち、同じ三省堂から『新明解国語辞典』
と『三省堂国語辞典』という対照的な国語辞典を作っていく経緯を書いたノンフィクション。
両者の個性の違い、言語観、辞典観の違いがはっきりしていて非常に面白い(またそう図式的にわりきれないところも
最後まで読むと感じられるのも面白い)。
繰り返しがおおい、という書評がアマゾンにあり、たしかにTVマンらしく読者のレベルを低く見積もって下りていく感じはあるが、
許容範囲と思う。
★★★★★

351:無名草子さん
14/05/13 20:24:32.88 .net
小谷野敦/新潮新書『頭の悪い日本語』

・“立ち上げる” という言葉に違和感を感じるのは「立つ」と「上げる」の主語が違うから。
 自動詞他動詞の問題ではない。
・僕は「 “容貌魁偉” なクナッパーツブッシュ」などと誤用していた。
 まあ「立派」といっても良いようなもんだが。
・“タイトルロール” は「テレサ・ベルガンサが『カルメン』のタイトルロールを演じた」と
 いった風に使うべきものらしい。
・日清食品は日清製粉とは関係ないのだそうな。

・・・といったあたりが面白かった。
★★★

352:無名草子さん
14/05/15 05:56:33.97 .net
町山智浩/講談社『99% 対 1% アメリカ格差ウォーズ』

アメリカでは2050年頃には非白人の方が多数派になるらしい。そしてその多くは貧しいままだろう。
なぜならアメリカは最近金融業が信用を失くし,そのほか結局製造業に代わる産業は育っていないから。
おまけに中流層も没落しつつある有様だから。儲かっているのはアップルなどを除けば阿漕な保険会社
などばかりである。
しかしどこの国も貧富の差があまりに大きくなる一方ではもたない。中国などは,そのせいで国が滅ん
では興る,の繰り返しがつまり歴史だ。

・・・というわけで,町山は「アメリカの悲喜劇」といった調子で書いているが,これは他人事ではない。
日本もドイツ車のように “その製品を持つことがステイタス”(本当にそんなに良いものかはともかく)
と云った方向に梶を切るべきではないのか? あるいは資生堂のようにそれを志向しつつもっとアジア
市場に目を向けるべきではないのか? などと僕はいろいろ柄にもないことを考えてしまった。
★★★

353:無名草子さん
14/05/17 19:45:58.87 .net
群ようこ/朝日文庫『ぬるい生活』

この人も五十歳近くなって「体形が崩れた」「体のあちこちがあまり調子が良くない」「生理が不順」
といった話題が多くなってきたな。
同年輩の女性が読むと共感するところが多いのかも知れないが、私などが読んでも愉しくはない。
★★

354:無名草子さん
14/05/17 19:52:53.55 .net
中山康樹/小学館文庫『愛と勇気のロック50』

かつてスターだった、あるいは今もスターだけれど既に(日本では)「現役感」がなくなってしまっている
ロック・ミュージシャンの最近のアルバムを取り上げて、その素晴らしさを説いている。
僕は一種のゴシップ集として読んだ。

甲状腺癌から立ち直ったものの、一時は忘れられかけていたロッド・スチュワートが(ロックに限らない)
スタンダード・ナンバーを歌った一連のアルバムで大ヒットを飛ばしていること。

ジョン・フォガティがアメリカではいまだに声もルックスも人気も衰えずにいること。

再結成したレッド・ツェッペリンのことをボロクソにこきおろしているジャック・ブルース。

元バーズのロジャー・マッギンが最終的に最高と思っているギタリストはエリック・クラプトンと(なぜか)
アンドレス・セゴビア・・・等々。

なんだか愉快であるな。
★★★☆


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