2ch厨房が新書等のベスト 5冊目at BOOKS
2ch厨房が新書等のベスト 5冊目 - 暇つぶし2ch350:無名草子さん
11/06/13 01:09:42.49 .net
外山滋比古は?っていうか高島俊男を全部読んでるくらいなら、こっちが教えて欲しいくらいだわw

351:無名草子さん
11/06/17 13:02:34.32 .net
おいなんか語れや

352:無名草子さん
11/06/17 19:35:50.40 .net
う~ん……


353:無名草子さん
11/06/17 22:47:49.93 .net
ぼちぼち読んでますわ、いろいろと。本読むの遅いから積ん読が減らなくて大変。
日本語関連エッセイでは林望の『日本語の磨きかた』『日本語へそまがり講義』(PHP新書)というやつ。
そつはないけど、これといった特徴もない軽い読み物だったな。
あと川北稔『イギリス近代史講義』(講談社現代新書)も読んだ。
岩波ジュニアの名著『砂糖の世界史』の著者。
これあちこちで評価が高いので、読むのが楽しみだったんだけど、
自分的には引っかかるところが結構多くて微妙でした。
詳しくは論じませんが、要するに経済史を記述する上で世界システム論と標準的な国際経済学とのズレをどう考えるかという問題ですね。
まぁ面白いところも多いので一般的にはオススメの新書だと思います。

354:無名草子さん
11/06/18 01:13:55.03 .net
PHP新書(笑)

355:無名草子さん
11/06/18 06:00:15.94 .net
今年出た中で面白かったの…何だろうなあ

356:無名草子さん
11/06/18 14:51:40.32 .net
もう新書は全部電子書籍にして欲しい。家に本の形で置いておく気にならない。1冊200円くらいで。ブックオフで100円で転売されるよりマシだろ

357:無名草子さん
11/06/18 21:08:12.85 .net
俺は割と全体をパラパラ見てから買うので電子化はちょっと嫌。
冒頭の2,3ページだけサンプルにされてもよくわからない。

358:無名草子さん
11/06/19 05:25:40.02 .net
俺も電子化は困るな
本の形で置きたくないなら図書館で読めよ

359:無名草子さん
11/06/19 13:44:10.62 .net
社会科学の本だと、まず終章を読んで作者の価値観やイデオロギーの偏向を知る、
自分が最も詳しいテーマの節を読み、どこまで事実や用語法に誤りがないかを確認する(ここに間違いがあれば本の全文が信頼できない)
という読み方がデフォだから、小説と違って積極的にネタバレしてもらわないと買えない。

360:無名草子さん
11/06/19 13:53:17.17 .net
全部の電子化はダメだけど、電子化が主流になってもいい気がする。
検索できるのは大きいわ。

361:無名草子さん
11/06/19 17:19:55.49 .net
クソ本はみんな電子化でおk


362:無名草子さん
11/06/19 20:33:20.06 .net
まぁ両方出せばいいかもね。

363:無名草子さん
11/06/22 20:51:33.30 .net
最近出版された本で評判がいい本ってある?

364:無名草子さん
11/06/24 12:21:09.58 .net
おいまた落ちるぞー

365:無名草子さん
11/06/24 13:02:02.55 .net
ここはもうあれだろ、本スレが荒れた時の避難所くらいの意味しかないだろ。

366:無名草子さん
11/06/24 14:41:31.56 .net
このスレのアクティブユーザーは何人なんだろうか?

367:無名草子さん
11/07/02 05:03:22.08 .net
いないから、こうなんだろね。


368:無名草子さん
11/07/02 07:40:14.57 .net
いるよ、ここに。

369:無名草子さん
11/07/05 01:05:19.35 .net
もう落としちゃえ

370:無名草子さん
11/07/05 15:33:51.66 .net
age

371:無名草子さん
11/07/05 15:34:16.09 .net
サゲ

372:無名草子さん
11/07/11 11:23:34.17 .net
最近面白い本を読んだんだがレビューしていいか?

373:無名草子さん
11/07/11 13:47:06.58 .net
どうぞ。

374:無名草子さん
11/07/11 17:18:17.43 .net
レビュー書いても、内容について具体的に批判してくれるならいいけど、
ただ意味なく叩くだけの奴が多いんだよなこのスレw

375:無名草子さん
11/07/12 02:34:35.97 .net
それはオマエが論評にすら値しないものを書くからだ

376:無名草子さん
11/07/13 19:06:33.92 .net
いや、ほんとに意味もない書き込みもあるだろ
文面からそれが信用できる書き込みか、個々人が判断するしかないね

377:無名草子さん
11/07/14 20:52:59.67 .net
合田正人『吉本隆明と柄谷行人』(PHP新書)読了した。
ちゃんとしたレビューは書けないし書く気ないので、意味ない感想だけ書き殴っとく。
これ知的高級連想ゲームだね。関連する哲学者や現代思想家の名前が芋づる式にだらだら出てくる。
あと複雑系とか科学の断片的な話題など。この人のレヴィナスの入門書もそんな感じで散漫だった。
それだけに参照すべきものはだいたい網羅されてる感じはする。
割とわかりやすく書かれてるけど、やっぱり吉本と柄谷の本をある程度読んでないと意味不明だろうなと思う。
俺は吉本の『共同幻想論』は通読したけど、『心的現象論序説』は半分で挫折、
『言語にとって美とはなにか』は20ページで挫折しました。あと『最後の親鸞』とかは読んだ。
柄谷の本は10冊ぐらいは読んでいる。
で、結論としては、この手のインテリが何を考えてるのかだいたいわかったからまぁよかったかな。
俺にはあんまり関係ないけどな。

378:無名草子さん
11/07/15 10:36:06.54 .net
ふむ、長文のくせに内容がない。

379:無名草子さん
11/07/15 10:46:54.65 .net
吉本や柄谷がそういう芸風だから、どうしても真似しちゃうだろうね。
読んでる本の影響は大きいよ。

380:無名草子さん
11/07/16 02:50:35.83 .net
吉本とか柄谷とかオワコンにこだわるやつの気が知れないよ ´・ω・`;

381:無名草子さん
11/07/17 10:47:00.35 .net
俺は終わってないからこそ問題だと思うけど。
現代思想や現代哲学というか人文系全体で共有されているある種の価値観、
たとえば市場経済に対する紋切り型の敵意とか、実証性の軽視とかが、
思想全体を貧しくしている。
しかし彼らがそういう思想を持つのはそれなりの理由があるわけで、
そのあたりを内在的に検討しないといけないと思う。

382:無名草子さん
11/07/17 10:50:44.12 .net
ただ吉本なんかは80年代に高度消費社会を肯定的に評価していたわけだが、
これも単に右肩上がりの経済に無自覚に乗っかっただけの薄っぺらなもんだよな。

383:無名草子さん
11/07/19 15:55:30.39 .net
東とかは「市場経済に対する紋切り型の敵意」を批判してるでしょ?
徐々に終わりつつあるんじゃないの

384:無名草子さん
11/07/19 18:20:33.93 .net
先日、内田樹の『街場のメディア論』読んだけど、終わる気配はなかったがなw
左翼・右翼・ポストモダンを問わず、思弁的な事をやってる知識人はみんなそっち系の感じ。
もちろん、一方には紋切り型の市場原理主義は厳然としてあるのも確かだけどね。池田信夫とかね。
ま、どっちもどっちではなかろうか。

385:無名草子さん
11/07/19 18:36:44.30 .net
広井良典『コミュニティーを問いなおす』(ちくま新書)が09年の大佛次郎論壇賞、
内田樹『街場のメディア論』(光文社新書)が2011年の新書大賞で3位。
そして昨年のサンデルブーム。311の大震災も相俟って論壇の主流は共同体主義に傾いてる感がある。
その中でも保守主義的なものから左翼的なものまでいろいろあるんだろうけど。

386:無名草子さん
11/07/20 18:12:06.14 .net
古川隆久『昭和天皇』はどうなの? 評判良いみたいだけど

387:無名草子さん
11/07/21 07:54:12.27 .net
そういう評判の良い本があるなら何でもっとはやく書き込まない。

388:無名草子さん
11/07/21 18:46:51.63 .net
自分で調べなさいな。


389:無名草子さん
11/07/21 20:47:25.90 .net
原武史の『昭和天皇』(岩波新書)がそこそこ面白かったから、もういいやって感じ。
古川先生のは何か斬新な視点でもあるの?

390:無名草子さん
11/08/02 21:07:45.83 .net
積ん読をちょっとずつ消化中だが、正直あまり推薦したいような本はない。

391:無名草子さん
11/08/03 15:32:39.36 .net
原たけしって有名?

392:無名草子さん
11/08/04 18:30:12.50 .net
有名かどうかは知らんけど、岩波新書の昭和天皇が出た時はそこそこ話題にはなったな。

393:無名草子さん
11/08/04 19:43:09.17 .net
そこそこって微妙だな。

394:無名草子さん
11/08/08 19:15:47.28 .net
思想史の人だからな。

395:無名草子さん
11/08/09 12:56:04.61 .net
最近のなかでおすすめの新書ないの?

396:無名草子さん
11/08/09 12:59:00.63 .net
最近の動向は本スレの方に行った方がいいだろう

397:無名草子さん
11/08/09 13:22:26.61 .net
岩波の日本の漢字って本いいよ。、

398:無名草子さん
11/08/10 01:38:03.99 .net
移民について書かれた新書ってないですか?
「移民と現代フランス」は翻訳がひどいそうで


399:無名草子さん
11/08/10 02:18:13.45 .net
移民か~…面白いネタのはずだが、新書では見かけないな。
なんかあったかな?

400:無名草子さん
11/08/10 02:28:41.73 .net
>>399
どうやら新書では上記の「移民と現代フランス」以外は無いっぽい

401:無名草子さん
11/08/10 03:59:24.39 .net
古いけど、中公のこれはどう?

林瑞枝 フランスの異邦人―移民・難民・少数者の苦悩
URLリンク(www.amazon.co.jp)

402:無名草子さん
11/08/11 00:25:03.19 .net
>>401
ありがとう。しかし確かに古いですなw
30年も経てばまた状況が変わってきていそうですが。
いちおう図書館で目を通してみます

403:無名草子さん
11/08/11 11:17:56.93 .net
じゃあ、新書じゃなくても良いから何か良い移民の本教えて

404:無名草子さん
11/08/11 11:58:50.15 .net
レッド・ツェッペリン「移民の歌」

405:無名草子さん
11/08/11 12:25:49.83 .net
「物理学とは何だろうか 上・下」(朝永振一郎)
敗戦後日本の散文の最も美しいものの一つ。
「私の万葉集 一~四」(大岡信)
日本語詩歌の源泉。

406:無名草子さん
11/08/14 15:26:24.72 .net
ここで聞くことじゃないけど、半藤一利の本ってどうなの?
有名すぎて一冊も読んだことないんだけど。

407:無名草子さん
11/08/26 08:04:54.83 .net
>>404
ツッコミ待ちなんだろうか

408:無名草子さん
11/08/27 09:10:46.77 .net
半藤一利ってまだ生きてんの?

409:無名草子さん
11/09/29 13:01:52.98 .net
落ちちゃうぞ。

410:無名草子さん
11/09/30 11:12:03.07 .net
では落ちる前に読んだ本の感想を

鈴木眞哉『刀と首取り』(平凡社新書)

日本刀の歴史における実際の使われ方を実証的に明らかにし、日本刀にまつわる神話を解体する。
また日本刀の主な使いどころであった「首取り」の実態に関して史料を引きながら詳述している。
戦場において日本刀の武器としての重要度は高くなく、初期には弓矢、鉄砲伝来以降は鉄砲が主体で、日本の戦争は元々遠戦志向だった。
接近戦においても槍が主体であって、刀は脇役であった。そして戦場における刀の用途は主に「首取り」であった。
論旨明晰でわかりやすいが、繰り返しが多くややクドい。武術や軍事に興味がある人なら面白く読めると思う。

411:無名草子さん
11/09/30 11:13:29.94 .net
田中圭一『百姓の江戸時代』(ちくま新書)

上の『刀と首取り』以上に、既成の歴史学の通念に対する批判が辛辣であり、近世史学の根本的見直しを提言する姿勢が強い。
講談社現代新書で『貧農史観を見直す』というのがあったが、その流れにある歴史啓蒙書だろう。
今までの近世史学では、支配者側からの視点で法や制度の建前的な表面だけを見ているようなものであって、百姓の活き活きとした実態を取り逃がしているという。
たとえば、「定免制」という数年間分の作量の平均を基準とした年貢の固定化について、
通説だと幕府の方が年貢の増額と安定化を意図して百姓に強制した制度であったかのごとくだが、実際は百姓の方から検見制よりは定免制の方を要望したのである。
ちょっと考えてみれば、年貢が固定していた方が、努力して豊作を目指すインセンティブが生じるのは理の当然かもしれない。
検見制で、豊作の時はその分年貢を増額されていたら、努力する気が失せる。他にも百姓が主体となって制度を変えさせたり、勘定奉行を罷免させたりした例が紹介される。
身分についても、農工商に関しては、身分の上下は建前であって、実際は職分に過ぎなかった。
侍も含めて、身分間の移動は少なくなかったという。それに百姓は文字通り「百姓」であって、農業だけではなく、ものづくりをやり、商売もやった。
また田畑永代売りの禁止についても、ほとんど有名無実で、実際には売買は盛んであった。
村から村への人の移動、商品の流通も盛んで、江戸時代というのは資本主義が芽生え育った時代である。
百姓一揆の関しても、従来は追い詰められた貧農のやぶれかぶれの暴動というイメージが強いが、実際はもっと理性的で秩序があり目的の明確な抗議の方法だったと言う。
近世史学における経済史的見地の欠如を痛烈に批判していて自分には面白かった。

412:無名草子さん
11/09/30 11:17:43.89 .net
南川高志『ローマ五賢帝』(講談社現代新書)

一般には「平和と安定の時代」とされる五賢帝時代の陰の部分を実証的に明らかにしている。
また一般に世襲より優れたものだと言われる、優秀な者を選んで皇位を継がせる「養子皇帝制」も、実質的なものではなかった事が暴かれている。
後世では賢帝という評価が定着したハドリアヌスにしても、政治的勢力の均衡に苦慮し、即位の際には元老院議員の処刑、
後継者決定の際には姪の息子のフスクスと義兄のセルウィアヌスを処刑するなど、血なまぐさい事件を起こしていて、古代では暴君との評価だったという。
これらも政治力学的均衡を取るためのやむを得ぬ措置であったことが、婚姻や血縁関係・諸勢力の繋がり方を
「プロソポグラフィー的研究法」で実証的に調べていくことで明らかにされる。特に後継者騒動の際のいくつかの謎は鮮やかに解決されているようだ。
哲人皇帝のマルクス・アレニウスも、帝国内を統めるために、パルティア戦争やマルコマンニ戦争を戦わなくてはならなかった。
本来は政治や戦争より、静かに哲学をしていたかった学者肌の人物だったということで、人間的には非常に興味深い人である。
五賢帝時代に対して、既にあるイメージを持っている人には目からウロコの内容かもしれない。
ただ、俺のように「五賢帝って誰?」レベルのゆとり君にはとっつきにくい。もっと初心者向けかと思っていた。
そもそもシーザーが大活躍する時代や、カリグラやネロのような暴君が大暴れする時代に比べても地味な時代である。
先に高校世界史レベルのローマ史をおさらいしておくか、モンタネッリ『ローマの歴史』(中公文庫)のような気楽に読める入門書を併読するといいかもしれない。

413:無名草子さん
11/09/30 11:21:39.78 .net
H.G.ウェルズ『世界史概観』上(岩波新書)

約220ページ×上下巻で世界通史を詰め込んでいるので、かなりスカスカの内容かもと思っていたが、結構中身は濃い。
最初の三分の一は、地球の誕生から人類の誕生・石器時代という先史時代を扱っていて、狭義の歴史の叙述はその後に始まる。
1944年という時代に書かれた本(65年に改訂・66年に邦訳出版)なので、60年以上前の知見であり、古生物や原始人類に関する情報などはかなり古くなっていると思われる。
しかし当時の科学の水準に依拠した、それなりに緻密な叙述で、ほとんど違和感はない。
ヨーロッパ中心史観・白人中心史観も退けられているが、やはり今読むとその残滓がそこはかとなく感じられる。
ギリシア史とローマ史に関して、もう少し詳しくわかりやすく書いてあることを期待していたが、さすがにこのスペースでは厳しかったようだ。
インド・中国、アラブにもちゃんと目を配っており、構成は見事だと感じた。歴史観としては、知の歴史・理性の歴史という観点をとっているように見受けられた。
宗教も科学も理性の進歩という価値観で評価されているようだ。もっとも、精神分析や文化人類学の知見も取り入れられていて、単純な進歩史観は薄まっている。
こうした観点からなのか、ローマの時代についての著者の評価は低い。知的にはあまり進歩しなかったという見方をしている。
それに対して、哲学・数学・科学の進歩に寄与したアラブに対して賛辞を惜しまない。十字軍と教会の権勢の高まりと退廃について述べて上巻は終わる。

414:無名草子さん
11/09/30 11:23:24.54 .net
H.G.ウェルズ『世界史概観』上(岩波新書)

約220ページ×上下巻で世界通史を詰め込んでいるので、かなりスカスカの内容かもと思っていたが、結構中身は濃い。
最初の三分の一は、地球の誕生から人類の誕生・石器時代という先史時代を扱っていて、狭義の歴史の叙述はその後に始まる。
1944年という時代に書かれた本(65年に改訂・66年に邦訳出版)なので、60年以上前の知見であり、古生物や原始人類に関する情報などはかなり古くなっていると思われる。
しかし当時の科学の水準に依拠した、それなりに緻密な叙述で、ほとんど違和感はない。
ヨーロッパ中心史観・白人中心史観も退けられているが、やはり今読むとその残滓がそこはかとなく感じられる。
ギリシア史とローマ史に関して、もう少し詳しくわかりやすく書いてあることを期待していたが、さすがにこのスペースでは厳しかったようだ。
インド・中国、アラブにもちゃんと目を配っており、構成は見事だと感じた。歴史観としては、知の歴史・理性の歴史という観点をとっているように見受けられた。
宗教も科学も理性の進歩という価値観で評価されているようだ。もっとも、精神分析や文化人類学の知見も取り入れられていて、単純な進歩史観は薄まっている。
こうした観点からなのか、ローマの時代についての著者の評価は低い。知的にはあまり進歩しなかったという見方をしている。
それに対して、哲学・数学・科学の進歩に寄与したアラブに対して賛辞を惜しまない。十字軍と教会の権勢の高まりと退廃について述べて上巻は終わる。

415:無名草子さん
11/09/30 11:24:39.13 .net
H.G.ウェルズ『世界史概観』下(岩波新書)

絶対王政の時代から第二次大戦まで(付録では60年代に出た改訂部分が載っていて、そちらは戦後の冷戦時代まで記述されている)
この下巻のほとんどが近代と現代の記述に割かれていて、著者の同時代の問題意識からか、両世界大戦(特に第二次)については詳細に述べられている。
旧版のラストでは、なぜかまた生命の誕生について再論していて、妙に悲観的なムードで終わる。
改訂版では第一次世界大戦後の状況から書き直されている。スターリンや毛沢東に対する評価は辛辣であり、またアメリカのマッカーシズムの赤狩りについても批判している。
近代から現代に近づくに従って、政治家や国家の愚行に対する批判的口調が熱を帯びてくる。
通史と言うには近現代史の比率がバランス的に多めではあるが、名著と言っていいと思う。

以上はすべて既にベストに入っているもの

あと二重投稿してしまいました本当にごめんなさい

416:無名草子さん
11/09/30 18:39:53.64 .net
>>415
おつ。なかなか熱が入ってていいね!

417:無名草子さん
11/10/01 06:55:50.40 .net
レビューのお手本みたいな文章だな。
読んだことないけど内容が想像できるし読みたくなってくる。

418:無名草子さん
11/10/26 22:23:16.69 .net
ほめてんだかけなしてんだか。
落ちちゃうのであげ!

419:無名草子さん
11/10/26 22:46:33.45 .net
>>418
明らかにほめてると思うぞw

420:無名草子さん
11/10/29 02:21:57.87 .net
test

421:無名草子さん
11/10/31 14:42:05.53 .net
age

422:無名草子さん
11/11/15 14:12:41.53 .net
保守

423:無名草子さん
11/11/15 23:49:44.37 .net
小林登志子『シュメル-人類最古の文明』(中公新書)「シュメル」という古代文明の名については、自分の記憶の中に全く存在しておらず、
こんなの世界史で習ったっけ?などと思っていたが、メソポタミア文明の中でも最古のものということである。
考古学的要素も強く、遺跡や遺物の図版が豊富である。最初に三笠宮崇仁による推薦文が載っている。
序章ではメソポタミア史とその風土について、ざっと概観している。
第一章は世界初の文字の発明について詳論していて、この章がもっとも興味深い。
文字の前身としてトークンとブッラという物が存在していた事や、交易の記録の必要から文字が発明されていったことなど。
文字よりも経済の方が先なのかという驚きがある。そして粘土板に書かれた文字だったからこそ長い時の試練に耐えて残ったという点にある種の感動がある。
紙だったら残っていなかったであろうし、現代の電子メディアの情報は後世に残せるのかという思いもよぎる。
第二章では食と農について。シュメル人はビールやパンやなつめやしなどを食していた。
第三章ではハンコについて。最初はスタンプ印だったが、後に円筒印章が一般化する。
第四章では「ウルのスタンダード」と称するモザイクパネルに描かれた像や王碑を手がかりに当時の戦争の実態を推測。

424:つづき
11/11/15 23:50:40.61 .net
第五章では王が弱者救済のために行った徳政について。また法の起原を探る。現存する最古の法典として「ウル・ナンム法典」が紹介される。
ただしこれは厳密には法典とは言い難い要素があるらしい。
第六章ではアッカドとの関係を始めとする当時の国際情勢を叙述。この辺から少しわかりにくくなる。
第七章では当時の教育・学問・文学について書かれている。学校の実態なども結構くわしくわかっているようだ。
第八章では宗教について。このあたりもゴチャゴチャしていて、あまり面白くないし頭に入りにくい。
キメラ的な怪獣ムシュフシュや霊鳥アンズーは印象に残る。
第九章では旧約聖書に出てくるバベルの塔のモデルになった「ジグラト」という塔について述べられる。
そしてウル第三王朝の滅亡へと時代が進む。滅亡の原因は、異民族の侵入に加えて、土壌の塩化による大麦の収穫減、飢饉による国力の減退だったとのこと。
最後にシュメル文化の継承について語って終わる。個々の文化や文物についての解説は面白く読めるのだが、歴史の流れはちょっとわかりにくい。
あと、この著者が女性であることは読み終わってから改めて名前を読んで気づいた。本文を読んでいる間は女性っぽい感じは受けなかったのだが。

425:無名草子さん
11/11/15 23:52:04.77 .net
林健太郎『ワイマル共和国』(中公新書)。第一次世界大戦後からナチスが政権をとるまでのドイツの歴史。
史上最大の民主主義憲法と言われたワイマル憲法を持った共和国がなぜ長続きしなかったのか、そしてなぜナチスの台頭を許したのか、その経緯を詳細に描く。
左翼政党と右翼政党が複雑に入り乱れ鬩ぎ合う政治的混沌、ヴェルサイユ条約による過酷な賠償金の重荷、
ソ連との関係、ようやく経済復興がなりつつあるところに襲来した世界恐慌、右翼陰謀家達の失敗、これらがナチス台頭の前提条件となった。
分けても、恐慌に対して財政緊縮政策を取った点を経済政策上最大の失敗として指摘しているのは見事。
(知られているとおり、ナチスによる政権奪取後、ヒトラーはアウトバーンなどへの公共投資により失業を解決し景気を回復させた)
63年初版の割と古い本だが、左派に対しても容赦なく厳しい評価をしているので、おそらく当時は左翼からの批判は多かったであろう。
しかし、今読むとバランスもとれており明らかに妥当な分析と感じる。むしろ今こそ読むべき名著だと思う。

以上2冊は既にベストに入っているもの。

426:無名草子さん
11/11/15 23:55:28.77 .net
芝健介『ホロコースト』(中公新書)。先に『ワイマル共和国』を読んだので、その流れで長らく積ん読だった本書を手に取った。
ホロコーストについては『夜と霧』などを読んで「知ってるつもり」なのだが、まとまった歴史書は一冊も読んだことはなかった。
ナチス関係の新書は今までにもたくさん出ているようだが、ホロコーストについての新書はこれが決定版か。
冷静な筆致でユダヤ人に対する迫害と大量虐殺の過程が淡々と記述されている。
序章では、ヨーロッパの歴史上に伏在した反ユダヤ主義の潮流をざっとたどり、第Ⅰ章から第Ⅴ章まで、ナチスのユダヤ人政策の変遷を追っていく。
まずユダヤ人の追放→次にゲットーへの隔離→ソ連侵攻の際の行動部隊による大量射殺→強制収容所・絶滅収容所と進んでいく。
追放やゲットー政策が行き詰まることによって、絶滅政策が場当たり的に採用されていったということらしい。
収容所というとアウシュビッツが有名だが、その前段階の「ラインハルト作戦」におけるいくつかの絶滅収容所での犠牲者は、アウシュビッツより多い。
しかし、証拠隠滅と生存者が少ないことから、その全貌はなかなか明らかにならず知名度が低かったが、近年やっと研究が進んできたとのこと。
終章では歴史学におけるホロコースト研究の歴史と現状を述べている。犠牲者数については約600万という数字に充分な根拠があることが示されている。
また外交と戦争を中心とした国家史を記述する伝統的な歴史学ではホロコースト研究は軽視された、と述べられており、これはちょっと意外であった。
実証は困難であろうが、それだけに歴史家はその解明に全力を尽くしていたのだと思っていた。
ドイツの伝統的歴史家フリードリヒ・マイネッケの『ドイツの悲劇』という戦後すぐ出版された現代史書ではホロコーストに全く言及されてないそうである。
戦後すぐでは不明のことが多かったとは言え、完全無視とはひどい話だと思った。
人間悪の極致と言えるこの残虐行為がたかだか80年前の出来事であったこと、この一見異常な行為が反面、凡庸なありふれた悪でしかなかったことに今更ながら恐怖する。
そして現在イスラエルがパレスチナに対して行なっていることを考えるとさらに複雑な気分にもなる。
ナチスに関しては、もう一冊まとまったものを読んだほうがいいかもしれない。

427:無名草子さん
11/11/16 00:38:30.02 .net
他に最近読んだものを列挙しておく↓

蟹澤聡史『石と人間の歴史』(中公新書)→地質学の権威が書いた、石の文化の歴史。ちょっとマニアック。鉱物オタ向け。

日端康雄『都市計画の世界史』(講談社現代新書)→自分には読みこなせなかった。都市計画図は豊富なので、そういうのを見るのが楽しい人向け。

長谷川英祐『働かないアリに意義がある』(メディアファクトリー新書)→中身が濃く平易で丁寧な説明。科学啓蒙書のお手本。

阿部彩『子どもの貧困』(岩波新書)→良書だとは思うが、少し引っかかるところも(もしかしたら後で詳しく書く鴨)

428:無名草子さん
11/11/16 00:53:10.35 .net
>>426
>たかだか80年前の出来事?

すまん70年前だったか



429:無名草子さん
11/11/16 23:26:46.29 .net
宮本太郎『生活保障・排除しない社会へ』(岩波新書)読了。
これは良書。福祉・社会保障関連新書の決定版か?
ただ、一点引っかかる点が…(詳しく書く気はないが、マクロ経済政策の軽視がどうしても気になる)

430:無名草子さん
11/11/16 23:35:04.00 .net
スウェーデン型福祉社会政策に興味ある人は上の『生活保障』と共に
岡沢憲芙『スウェーデンの挑戦』(岩波新書)も読んでみてください。

431:無名草子さん
11/11/24 21:05:10.28 .net
氏家幹人『かたき討ち』(中公新書)読了。この人は新書をたくさん出しているが、自分が読んだのはこれが初めて。
主に江戸時代の仇討ちの諸相をたどっっているが、正攻法ではなく絡め手というか、ややひねった角度からアプローチしている。
一章では室町時代に始まった「うわなり打」という習俗が取り上げられる。本妻や先妻が後妻を妬んで打つというもの。
殺すわけではなく、先妻が親しい女どもをかたらって後妻の家に押しかけて暴れる。これが習俗化することによって、深刻な紛争を防止するガス抜きになった。
本来の仇討ちとはかなり距離があるが、めちゃくちゃ面白いのは確か。二章は「さし腹」。これは恨む相手を名指しした上で自ら切腹することによって、
その相手も切腹に追い込まれるということである。これも普通の仇討ちとは違う復讐だが、面白すぎる。現代では、いじめられっ子の自殺がしばしば問題になり
「自殺するくらいなら戦え」などと言われたりするが、復讐のための自殺というのは案外日本の伝統から来ているのかもしれない、などと思った。
三章は「太刀取」。これは敵(かたき)が逮捕されて死刑が決まった時に、犠牲者の遺族が自分の手で処刑させてくれということ。
四章以降でも、衆道がらみの仇討ちや、女の仇討ちなど、正統からちょっと外れた事例が紹介される。特に衆道ネタは実に濃い。
七章の「狙われている者に頼まれたら、必ずかくまうのが武士の作法だった」という話も面白い。

432:つづき
11/11/24 21:05:55.33 .net
九章・十章では、仇討ちに関する制度と法について論じられる。
十一章では「妻敵討」という、姦夫姦婦つまり間男と不貞妻を寝取られ夫が討つという、これまた周辺的な事例が検討される。
十二章では仇討ちを当時の人々がどう受容していたのかに触れて、その演劇性が指摘される。
十三章では再び手続き論で「帳付」について。最後に敵討ちと武士道のあり方・考え方の歴史的変遷をざっと素描する。
よく言われるように、江戸時代初期には荒々しい戦士のリアリズムとしての武士道がまだ残っているが、後期では武士道は美学化し観念化するわけだ。
全体的に読みやすく、史料の引用もすべて現代語訳されており、サービス満点で娯楽性も高い。
ただ紹介されている諸エピソードが、当時の典型的な事例なのか特殊な事例なのかは注意して判別しながら読む必要があるだろう。
復讐と倫理・法の関係や、現代の死刑問題を考えるのにも役立つかもしれない。

433:無名草子さん
11/12/10 20:36:57.39 .net
久しぶりに来たら、良レビューが。


434:無名草子さん
11/12/14 20:17:11.07 .net
小島剛一『トルコのもう一つの顔』(中公新書)
名著であるとのネット上の評判を読んで買ったもので、結論から言うとやはり名著だった。
著者は言語学者で、トルコの少数民族言語の調査のため、トルコを何度も旅している。
一章では、自転車やヒッチハイクでトルコを旅した時の、トルコ人の人情豊かな歓待ぶりが綴られている。
二章からは「トルコのもう一つの顔」すなわち陰の部分を掘り起こしていく。
まず大きなものとしてはクルド人問題だが、トルコ当局はクルド人の存在自体すら公式には認めていないらしい。
そしてクルド語やその他の少数民族言語もトルコ語の方言だとして、独立した言語だとは認めていないと言う。
(言語学的には方言とは言えないほどかけ離れているとのこと)
著者は学問的良心に従って、少数民族と言語の調査を進めていくが、当局の妨害やトルコの知識人らの無理解に阻まれ苦闘する。
また、外国人である著者を歓待する親切でお人好しのトルコ人が、同時に少数民族や異端の宗教を露骨に差別するのである。
それが人間というもんだと言えば身も蓋もないが悲しい事実。

435:つづき
11/12/14 20:17:46.44 .net
最後にトルコ政府は、著者を懐柔しコントロールしようとする。
著者はこれに対して大人の対応をし、妥協しつつ監視されながらも最大限に機会を利用して研究を敢行する。
このあたりの駆け引きはスリリングである。そして最終的には国外退去命令を受けてしまう。
内容も興味深いが、特に驚くべきは著者のコミュニケーション能力である。
短期間で様々な少数民族言語をマスターしてしまう語学力もさることながら、
民謡を歌っては現地の人々の心に溶け込み(著者は音楽好き)、折り紙で子供の心を捉える。
外国どころか日本中を旅しても友達ひとりすらできるかどうかわからない自分には羨ましい限り。
91年出版の本で、20年前の事情であるから、その後のトルコの状況については新たに情報を得なくてはならない。
これの続編も単行本で出ていて、より本音剥き出しで書かれていてさらに面白いらしい。
名著と言っていいと思うが、ちょっと気になるのは「できすぎ」感。
著者の行動や会話を著者自身が再現し構成していて、後半は小説みたいになっている。
もう一つの名著『ルワンダ中央銀行総裁日記 』もそうだったが、著者がかっこよく描かれすぎてる感はある。
もっとも著者が言うには、謙譲の美徳などトルコでは通用しないとのこと。

436:無名草子さん
11/12/23 00:25:16.02 .net
モース研究会『マルセル・モースの世界』(平凡社新書)読了。複数の研究者による、一応入門を意識して書かれた概説書。
第一部では、モースの弟子でもあった岡本太郎との関わりを導入として、モースの人類学的直観がどのようなものであったのかを描き出している。
第二部の第一章では、レヴィ=ストロースに連なる思想的系譜を考える上で、モースにとっての「フィールド」として社会主義協同組合運動があったことが指摘される。
二章では、モースの学問的師として、母方の叔父であるデュルケムと並ぶ影響を与えた、シルヴァン・レヴィというインド学者が紹介される。
ヴェーダなどの文献を読むことによって、最初の主著『供犠論』が準備された。
第三章ではその『供犠論』と同時期に出筆された「社会主義的行動」という論文について。モースの宗教論と社会主義的思想に共通するものは何か。
第四章では、モースが従来の宗教論に対して、どのように認識論的枠組みを修正したかが検証される。
第五章は未完の『ナシオン』という著作について。しかし、この「ナシオン」なるものが(英語で言えばネイションなのだろうが)
モースにとってどのようなものなのかわかりやすくまとめられているわけではない。

437:つづき
11/12/23 00:26:16.18 .net
次の第六章はよく知られている『贈与論』についてであり、これだけはわかりやすかった。文章も他のよりわかりやすい(筆者は佐久間寛)
ただしこれも、従来の交換・所有の面から『贈与論』を見る一般的な見方とは異なり、
モースの社会主義思想や当時の経済学批判と連動した生産面についての考え方に焦点を当てた、一段階レベルの高い議論をしている。
いずれにしろ、現代の左派・右派・ポストモダン問わず「市場主義批判」的思想全般の大元締めと言っていいのではないか(柄谷行人・内田樹・中沢新一・広井良典・佐伯啓思etc…)
第七章ではモースの芸術論・音楽論での影響と「全体性」ということについて。(近代西欧的な「芸術のための芸術」ではなく、社会や人間の生活全体に関わる芸術、というようなこと)
正直、第六章以外は文章も生硬なものが多く、内容も初心者にはハードルが高い。少し歯ごたえがある方が好きな人にはいいだろう。
そういえば平凡社新書の『闘うレヴィ=ストロース』も難しくて初心者向けではなかった。
自分はモースの本は一冊も読んだことがないので、ちくま学芸文庫から出ている『贈与論』くらいはそのうち読もうかと思う。

評価 ★★★

438:無名草子さん
11/12/23 00:30:48.12 .net
今回から五段階で★を付けてみた。もちろん私の独断なので気にしないでください。

★★★★★=名著・新書ベストに推薦
★★★★ =良書・オススメ
★★★  =まぁまぁ
★★   =いろいろ不満 
★    =読まなきゃよかった

ちなみに小島剛一『トルコのもう一つの顔』(中公新書) は★★★★★です。

439:無名草子さん
11/12/23 00:49:50.34 .net
きだみのる『気違い部落周游紀行』(冨山房百科文庫)きだみのるは上の『マルセル・モースの世界』でも、モースの弟子としてチラッと言及されている。
じつは岩波新書の『にっぽん部落』がベストに入っているのだが、これは絶版なので自分は読んでいない。このまま復刊したら岩波をほめてあげたいが。
『気違い部落周游紀行』の方が絶版ではないし手に入りやすいと思う。
ちょっと事前のイメージと違い、著者は教養を前面に出し、最後までインテリとしてのアイデンティティーを捨てない。
村民とは一定の距離を取り、その知識人と民衆との微妙な距離感から一種のユーモアを引き出している。
ある意味、上から目線とも言えようが、決して蔑んでいるわけではない。文化人類学的な参与観察といった趣。
「気違い」というのは、村民の前近代性を表象しているようだが、それほど不合理な行動をしているようには見えず、やはり「気違い」というのは失礼だろうと思う。
部落は助け合い共同体ではあるのだが、人々の示す本性はむしろ、利己的で小狡く嫉妬深い。
近代的都会の感覚からは不合理に見える行動も、部落の中で生きるにはそれなりに理にかなっている。
教養も近代性もないが、彼らなりに筋の通った生活の知恵や土着の倫理を、著者は少しの揶揄を交えつつ愛情込めて描き出している。
著者はこの本を出したことで、結局村には居づらくなったらしい。さもありなんというところだが、ちょっと悲しい顛末ではある。

名著 ★★★★★

440:無名草子さん
11/12/24 00:32:01.41 .net
ヨーロッパや中東あたりの近現代史の新書でおすすめある?

441:無名草子さん
11/12/24 03:54:08.35 .net
ゲーム理論入門 武藤滋夫
★★★★

442:無名草子さん
11/12/29 16:06:01.52 .net
ニュースに騙されるな 椎名健次郎
★★★★★
テレビ局や記者クラブの実情を体験者が
ここまで大胆に書いた本はなかったと思う


443:無名草子さん
11/12/29 17:32:28.38 .net
厨房ではないが
情報提供

■下山の思想(五木寛之)(200Pくらい) 

評価 ☆☆☆☆

文字数少なめ、サクサク読めた
世代が違うと理解し辛い場所がある、戦争の時代を生きた人なら共感できるそう
現代社会を下山の時代に例えてる点が面白かった

444:無名草子さん
12/01/02 15:41:35.19 .net
適菜収が公式サイトでこのスレで選ばれたことを宣伝文句に使用しているんだけどどう思う?
俺は匿名スレでこういうことをされると自演し放題になっちゃうから、
商業利用ないしは本人の公的な使用が発覚した段階でスレから外すべきだと思う。
あまりにも評価が高いものはまた別だが、適菜収の新書がそれに該当するとも思えないし。

445:無名草子さん
12/01/02 16:39:43.30 .net
>>444
こんな場末のスレの宣伝効果なんて微々たるもんだし気にすることはないんじゃないの?
ニーチェの超訳だって、ネタとして面白い程度の評価だったし。

446:無名草子さん
12/01/02 18:52:30.73 .net
だからその程度の評価なのに
本人が公式のサイトに引用しとるのが問題なのよ
まあこのスレで紹介されたという一文を見て
はたして宣伝効果があるのかというのは俺も思うけど
こういう例があると自演して自分のサイトに載せる奴が出てくるかもしれんし
単純にスレの議論の中立性を守る意味で厭だな~と思うわけです

447:無名草子さん
12/01/03 09:13:12.21 .net
> 本人が公式のサイトに引用しとるのが問題なのよ
どういうふうに問題があるの?

448:無名草子さん
12/01/03 09:43:32.36 .net
匿名スレという設計上、自演を排除できないからな。
しかし所詮2chだし、「2ch厨房が選ぶ」と銘打ってあるし、
権威を帯びるおそれはないけどなw

449:無名草子さん
12/01/04 00:23:41.52 .net
>>444
自己愛が強そうで、一般大衆を見下してる様なところが
2ch厨房と同類だよな。だから選ばれて嬉しかったんだろうw








450:無名草子さん
12/01/09 12:17:48.37 .net
そういや、ステマって言葉をよく見かけるようになったな。
この過疎スレでやっても意味ないだろうけど。

451:無名草子さん
12/01/13 08:03:11.74 .net
新書初心者です。
新書は、一冊でザックリその分野が理解出来るものと理解してるのですが、合ってますか?

452:無名草子さん
12/01/13 08:06:37.13 .net
どう理解しようとも君の自由だよ

453:無名草子さん
12/01/13 10:59:34.80 .net
>>451
入門書や概説書みたいなタイトルなのに、中身はそうじゃない、というのも結構多いので注意。

454:無名草子さん
12/01/19 18:12:42.55 .net
人間関係を上手くやっていく本、神経図太くなる本、
対人関係のストレスを解消する本などありますでしょうか?

対人恐怖症の本はいくつか読んだけどいづれも一般論の域を出ない感じでした。

455:無名草子さん
12/01/19 21:50:48.88 .net
新書はだいたい一般論だからねぇ
自己啓発的なことを期待するのはお門違い

456:無名草子さん
12/01/21 01:23:58.62 .net
古川隆久も原武史も両方とも
大正天皇、昭和天皇という題の著書があるね(全部が新書ではないが。)
大正は古川<原、昭和は古川>原 かな?

457:無名草子さん
12/01/28 02:58:57.04 .net
>>451
遅レスですが、新書一冊ってこんなもんかもね。 つ

私は昔から「異業種の人から、業界話を聞く」のがたいへん好きなのである。
あまりに熱心に話を聞くので、相手がふと真顔になって「こんな話、面白いですか?」
と訊ねられることがあるほどである。
私が読書量が少なく、新聞もテレビもろくに見ないわりに世間の動向に何とかついて
いけるのは、「現場の人」の話を直接聞くことが好きだからである。
新書一冊の内容は、「現場の人」の話5分と等しい、というのが私の実感である。
(さよならアメリカ、さよなら中国、内田樹ブログ)

458:無名草子さん
12/01/30 17:29:02.16 .net
新書じゃなくてもいいからもっと教えて

459:無名草子さん
12/01/30 17:31:00.32 .net
>>444
このスレで選ばれたことを書いてるの?
すごいな。こんな場末のスレまでチェックしてるんだ

460:無名草子さん
12/02/04 21:06:59.73 .net
磯部潮『発達障害かもしれない』(光文社新書)読了。医学博士・臨床心理士の著者による、発達障害に関する基礎知識。
ここではあまり重症ではない軽度発達障害…高機能自閉症、アスペルガーを中心に、LD(学習障害)とADHD(注意欠陥多動性障害)にも言及する。
まずは、現代の精神医学の定説では、自閉症とは生得的な脳の障害だということを強調し、世間の無理解に警笛を発する。
著者は、医者でさえ「社会的ひきこもり」と「自閉症」の区別がついていなかった例を挙げているが、いまだに知識人の間ですら無知がまかり通っていると思われる。
(吉本隆明・上野千鶴子・養老孟司らが、自閉症に関する偏見に満ちた俗説を垂れ流していたのは、そう古いことではない)
診断に際しては、アメリカ精神医学会の診断基準「DSM-Ⅳ」か、WHOの「UCD-10」が用いられる。
また、自閉症やアスペルガーやその周辺も包含した「自閉症スペクトル」という概念も場合に応じて用いられる。
先天的な脳の疾患*であるため、基本的に根治は不可能なので、可能な限りで社会に適応できるように「療育」するということになる。

461:つづき
12/02/04 21:07:35.73 .net
学会の定説だけでなく、著者独自の考えを述べた部分も多く、中には憶測レベルのものも見られた。
精神疾患については依然としてわからない事だらけであり、著者もわからないことについては「わからない」とはっきり書いている。
しかし、わからないからと言って何もしないわけにはいかないので、臨床の現場では、経験と勘によって仮説を立て試行錯誤していくしかない事はあるだろう。
その限りで仮説だと断った上で「こうではなかろうか」と書くことは許されると思う。
ただ、「環境ホルモンや食品添加物の影響も少なからずあるのでは」などと書くのは、あまりにも根拠薄弱なのでまずいと思う。
(一応「確たる証拠はみつかっていない」と断ってはいるのだが)
こうした憶測を安易に書いてしまうと、発達障害に対する世間の俗論を批判できなくなってしまうのではないか。
若干の不満はあるが(重症の場合には言及されていないなど)こうした知識が広まる事は重要だと思うので、評価高めの星4つ★★★★。

*最近では「環境要因」も大きいという研究結果が出されている。ただし、この場合の「環境」とは「母胎内環境」などが主だと思われる。
以下参照↓
URLリンク(d.hatena.ne.jp)

462:無名草子さん
12/02/08 11:30:15.13 .net
>>460
レビュー乙です。
感動しました

463:無名草子さん
12/02/08 23:35:19.47 .net
おすすめの漢字の本教えてください。

464:無名草子さん
12/02/09 01:02:49.05 .net
>>463
白川静

465:無名草子さん
12/02/20 21:06:57.52 .net
福田歓一『近代民主主義とその展望』(岩波新書)。1977年第一刷発行の岩波黄版。序章では現代史についてザッと触れる。
第一章は民主主義の歴史、第二章は民主主義の理論を検討、第三章・終章では民主主義の現状と展望、という構成になっている。
歴史編では、まず古代ギリシアのデモクラシーを検討する。これは近代民主主義に影響を及ぼしたものの基本的には別物である。
古代ギリシアでは自由民の共同体としてのポリスは初めから与えられたものであるのに対して、
近代民主主義は理論上は「社会を構成する原理」として我々が立てるものである。
この「主義」としての近代民主主義の直接の起原は、一つはアメリカ独立と憲法、もうひとつはフランス革命であった。
民主主義思想の祖と言われるロックやルソーも民主主義という語の近代的用法を確立したわけではない。
実質的な政治運動として起こったのはイギリス・ピューリタン革命である。
ここで「民主主義とは長い歴史の中で直線的に成長してきたのだ」というような通念が批判される。
英国で長い歴史を持っていたのは「立憲主義」であって、民主主義とは異なる。
この立憲主義がいかにして議会制民主制を確立し近代民主主義に繋がっていくのかが詳細に述べられる。
イギリスとフランスの革命やアメリカの独立、その他少数者の抵抗運動といった複数の契機が、法や制度や思想の変革につながり、
構成原理としての民主主義が生じた。さらに共産主義の流れも民主主義と合流する。

466:つづき
12/02/20 21:08:25.04 .net
第二章の理論編では「自由と平等」という価値原理、「代表」と「多数決」という機構原理、「討論と説得」「参加と抵抗」という方法原理がそれぞれ検討される。
第三章では、大衆化の問題、管理社会の問題、共産主義社会の問題、非西欧社会(インドや中国)の民主主義などについて。
終章では、民主主義の条件として近代的な人間個人の人格の自立(の歴史性)や、国家・ナショナリズムの問題、冷戦や軍備競争の問題などを指摘している。
この本が発行された当時の時代による制約は若干ある。当時はまだ冷戦が続いている時代。
著者はソ連に対してはかなり厳しい見方をしているが、中国の「下からの民主化」についてはかなり楽観的である。
文革の惨状がまだ伝わっていなかったのだろうか?自分が感じた違和感は僅かにそれだけであった。
正直、自分は政治学とかあまり興味が持てない方なのだが、これは文句なしの名著★★★★★
難しい言葉は使われていないが、これはまさにフーコー的な系譜学であり、正確な理解のためには精読が要求される。
新書としては品切れ絶版?であるのは解せない。岩波青版の『近代の政治思想』の方は在庫があるようだ。

467:無名草子さん
12/02/24 23:45:07.45 .net
>>464
高島俊男の本とかおすすめ。

468:無名草子さん
12/03/17 16:23:54.26 .net
>>465
乙です

469:無名草子さん
12/03/23 19:36:50.58 .net
乙です

470:無名草子さん
12/04/24 13:55:10.54 .net
乙です

471:無名草子さん
12/04/24 14:21:17.89 .net
丙です

472:無名草子さん
12/04/24 15:25:46.45 .net
誰か、働き方の教科書の感想文を宜しく。

473:無名草子さん
12/04/24 16:41:24.82 .net
丙です

474:無名草子さん
12/04/26 09:18:05.44 .net
働き方の教科書って何新書だよと思ってググったらどうやら新書じゃないようだな

475:無名草子さん
12/04/27 01:42:39.91 .net
朝永振一郎『物理学とは何だろうか・上』(岩波新書・黄版)。近代科学史を辿りながら、物理学とは、どのような学問なのかを考察する。
第Ⅰ章では、天動説から地動説への移行と、ケプラー、ガリレオ、ニュートンの業績を辿る。科学における、実験・観察・仮説演繹法の意義など。
第Ⅱ章ではワットの蒸気機関の改良から始まって、熱力学の誕生を語る。カルノー機関について詳しく説明されている。
比較的わかりやすい説明だとは思うが、やはり図があった方がよかったと思う。
カルノー、トムソン、クラウジウスなどによって誕生した熱力学から、エントロピーの概念も作り出され、これについても説明されている。
数理的な仮説演繹法によって、理論体系が整備されていくのだが、こうした科学的な思考法というのは、我々一般人には、なかなか実感レベルまで降りてこない。
明晰な文章で書かれた理系啓蒙書の名著なのだが、一般の人に勧めるのは躊躇する。理系脳を持っていない限りは、理解するのにそれなりの訓練が必要。

476:無名草子さん
12/04/27 01:43:43.25 .net
朝永振一郎『物理学とは何だろうか・下』(岩波新書・黄版)。上の後半では熱力学の歴史が詳しく書かれていたが、下巻ではそれに引き続いて、統計力学の産みの苦しみを描いている。
マクスウェルとボルツマンが熱力学に確率論を導入したわけだが、そうなると、古典力学と確率論の整合性が理論的な問題となってくる。
統計力学というのは、とうの昔に完成されきっていたものだと自分は思っていたのだが、これが書かれた時点でもまだ理論的な問題が残されているというのは意外であった。
マッハやツェルメロがボルツマンの理論を厳しく批判していたというのは初めて知った。分子の運動は力学的に決定論的であるにもかかわらず確率論を導入するのは矛盾ではないか、
とい疑問が出てくるのだが、これは結局、確率論を分子の運動の側ではなく、人間が測定する過程に導入するのだという理屈によって整合化される。
この結論に至るまで紆余曲折があるのだが、かなり難しく、説明不足の部分もあるので、素人には理解しがたい部分が多い。
思っていたより専門的なトピックに踏み込んだ内容であった。

477:つづき
12/04/27 01:45:22.53 .net
最後の「科学と文明」は科学論の講演であり、倫理的社会的な概論。
ここではゲーテによる近代科学批判が取り上げられている。実験によって「自然のベールを剥ぎとる」ような物理学のあり方とは違う科学の可能性を「地球物理学」の成果に見ている。
全体として名著だとは思うが、統計力学の話題については、ちょっと難しすぎて、文系の人に勧めるのは躊躇する。
逆に理系の人のとっては数式が省略されすぎているために却ってわかりにくい面もあるかもしれない。学部生向けの熱力学・統計力学の教科書や入門書と併読するといいだろう。
新書では、竹内淳『高校数学でわかるボルツマンの原理』、竹内薫『熱とはなんだろう』(両方ともブルーバックス)がある。後者は既にベストに入っている。
名著だけどいまいち一般性がないし自分の学力では難しかったので星4つ★★★★

478:無名草子さん
12/04/27 01:46:30.97 .net
青山拓夫『分析哲学講義』(講談社現代新書)。分析哲学の入門書的な体裁ではあるが、途中から著者が自分の哲学を実践し始めるために、
初心者には付いて行くのが大変な部分もある。永井均などと同様に、哲学においては「実技」が重要だという考え方の人のようだ。(この人は永井均らと一緒に本も出している)。
ただ基礎もできていない者にとって、いきなり実技はきつい気もする。この本ではフレーゲ・ラッセルから説き起こしているが、
分析哲学の基礎たる論理学の中身についてはほとんど解説していないし、論理式も使っていない。
講義1では分析哲学の歴史・対象・手法について、ザッと概観。述語論理学の確立と言語の分析への転回を指摘する。
講義2から5までは、フレーゲ、ラッセル、ウィトゲンシュタイン、クワインなどの理論を追いながら、意味とは何かについて言語の分析を中心にして考察する。
講義6では「意味の貨幣」という比喩を使い、「原初的自然」や哲学的自然主義との関係から「意味」について探求する。

479:つづき
12/04/27 01:47:34.70 .net
講義7ではクリプキが登場し、固有名についての理論を検討。様相論理学・可能世界意味論について解説される。
講義8では「心の哲学」についてザッと駆け足で概観する。講義9では時間論について、マクタガートやダメットや入不二基義らの論を踏まえながら、
著者自身の思考を展開している。著者の研究者としての目下の興味は時間論にあるそうで、やや突っ込んだ考察となっており、なかなか難しい。
エントロピー増大をもって時間の矢とすることにも色々な問題があるらしく、一筋縄ではいかない。
哲学的な問題というのは、そもそも問題の意味を理解するのも難しいことが多いし、しかも哲学的な問題を自分なりに考えたことがあまりない人にとっては、
たとえば哲学的パラドックスが提出されても、それのどこがパラドックスなのかわからないことも多い。
そういう意味では読者を選ぶだろう。巻末の文献案内は非常に充実。文献リストを眺めているだけでワクワクする。読めるかどうかは別にして。★★★★

480:無名草子さん
12/04/27 01:53:08.12 .net
大庭健『「責任」てなに?』(講談社現代新書)。分析哲学系の倫理学。
この人は、永井均との独在性をめぐる論争で見かけて、その際にいささかの反感を覚えたので、ずっと敬遠していた。
この本も買ってから数年間、積ん読のまま放置。先に分析哲学の入門書を読んだので、その流れでついでに読んでしまおうと手に取る。
第一章では、倫理的責任の概念について、法的・政治的な責任概念や宗教的責任と区別しながら、規定していく。
ここでは「リスポンシビリティ」という原義から出発して、人と人との共生を前提とした、応答・呼応可能性、信頼関係の維持にコミットメントし引き受けていく態度と規定される。
レヴィナスの思想から拝借したと思しき考え方だが、レヴィナスは人間の無限責任を主張して宗教的な領域に踏み込んでいるのに対し、
著者はあくまで人間の有限性を前提としていて、宗教的な責任までは論じていない。しかし、冒頭でこのように責任を規定してしまうと、最初に結論ありきの議論に見えなくもない。
「人間には責任を負う責任がある!以上!」みたいな感じ。

481:つづき
12/04/27 01:54:06.36 .net
第二章では、決定論と因果性、自由・意志の問題という、カント的な問題系が検討されるが、ここではカントの名は出てこないで分析哲学的に論じられる。
責任倫理の問題を考える上で、この辺の問題から考えるのは順当であろう。ムーアやフランクフルトの説が紹介され、このあたりの話が個人的には一番面白かった。
ところが、この章の終わりに著者の見解が早足で開陳されるのだが、これは正直よくわからないものであった。
著者は、複雑系の科学で扱われる「自己組織化」の局面では因果的決定論が成立していないと言い、そこに自由意志の余地があると言うのだが、
なぜ「自己組織化」では決定論的ではないのか、たとえ非決定論的だとしてもなぜ自由意志が存在すると言えるのか、全く意味不明である。
このあたりは先日読んだ朝永振一郎『物理学とは何だろうか』の統計力学における古典力学的決定論と確率論の整合性を論じた部分や、
青山拓夫『分析哲学講義』のエントロピーと時間論の部分ともリンクするので、興味のある人は合わせて読んで考えてみてほしい。
第三章では、行為と無為の非対称性などについて論じられている。ここで経済学から「機会費用」の概念が持ち出されるのだが、その扱いに混乱が見られる。
「機会費用」の概念が「行為と無為の非対称性」の根拠になりうるかのように書いてある。これはむしろ逆だろう。
普通「機会費用」の概念は「行為と無為の原理的な非対称」(何かをすることが、しないことよりも常にコストが高いということ)が錯覚であることを言うために参照される。
行為と無為のどちらを選ぶのが経済的に合理的であるかは、両者の(機会費用を含めた)コストとベネフィットを勘案して決めるわけだが、
どちらを選ぶべきかは当然ながら場合によって違うとしか言えないはずである。そして著者は結局は「行為と無為の非対称性」を否定しているのだから脱力してしまう。
このあたりは単純に思考の混乱を呈しているとしか思えない。

482:つづき
12/04/27 01:55:15.67 .net
第四章では「責任の主体」と題して、主に集団の責任について論じている。
第五、六章は「役割と自己」「解離傾向」と題して、要するにある種の独我論(厳密に言えばメタ独我論か)が批判されている。
つまり社会の中の自己とは別に「本当の自分」がいるかのような考え方が、責任の放棄につながるという議論。
実際に槍玉に挙げられているのはネーゲルだが、暗に永井均が批判されているようである。
確かに、社会や他者から完全に切り離された「この私」を想定してしまうと、他者への倫理的責任という思想は意味を失い、
何をしても許されるという「善悪の彼岸」が現出する。(酒鬼薔薇の事件を想起)。
最初に結論ありきで倫理的責任の実在を確信している著者にしてみれば、こうした独我論に怒りを覚えるのは当然だろう。
個人的には「善悪の彼岸」を直視しない哲学は不徹底だと思うが、こうした倫理的な怒りもある意味合理的なものだとは思う。
第七、八章では、戦争責任や右翼テロについて。このあたりはウヨサヨ抗争を煽り立てるようなネタだが、とりあえずスルー(責任放棄w)。
終章では、責任の呼応可能性を社会システム論的モデルで基礎づけている。著者に対する印象としては、
まじめで誠実でちょっと怒りっぽいめんどくさいおっさんという感じ。長々と書いたが評価はどっちつかずの星3つ★★★

483:無名草子さん
12/04/27 04:51:09.76 .net
大庭健か。岩波だったかの新書でニーチェは弱いものいじめの哲学だとかいうふうに悪意的に曲解して
意味不明な批判をやってたキチガイという印象しかない。
この人、哲学やってるくせに、ニーチェ的による近代の倫理観j批判に対して何も応答しないところがダメダな。
『はじめての分析哲学』も分析哲学としてはわりといい本なんだが、変なウヨサヨネタを入れないで欲しい。
真っ当な左翼と言うより奴隷道徳的左翼って感じがして、本業の分析哲学分野の業績が霞んでしまう。

484:無名草子さん
12/04/27 10:28:40.31 .net
丙です

485:無名草子さん
12/05/05 19:35:54.63 .net
ブルマ&A.マルガリート『反西洋思想』(新潮新書)。これはなかなか要点が把握しにくく、感想を書くのに苦慮した。
内容をある程度要約しようと思ったのだが、まとめきれず挫折したので、細かい中身については実際に読んでみてください。
ブルマはオランダ生まれのジャーナリストで、マルガリートはイスラエル生まれの哲学者。後者は当然ユダヤ人であろう。
ここではイスラム過激派などが持つ西洋文明に対する敵意に満ちた偏見を「反西洋思想=オクシデンタリズム」と呼んでいる。
「オリエンタリズム」が西洋による東洋への善意の偏見というか余裕のある上から目線であるのに対して、
オクシデンタリズムには被害者意識と激しい憎悪がこもっている。オクシデンタリズムの系譜のルーツに遡ると、実はヨーロッパの中で生まれたものだという。
脱宗教=世俗化、近代化、都市化、資本主義化が最初に進んだのは西洋なので、それに対する反感・反動が起こったのも西洋が最初だということだろう。
日本においては戦前の「近代の超克」論がその典型として言及されている。

486:つづき
12/05/05 19:36:49.45 .net
マルクス主義も自由主義同様に進歩主義の一種だからオクシデンタリストの攻撃の的になるが、一方で毛沢東やポルポトの中にもオクシデンタリズムが見出される。
著者らは、反合理主義・反近代主義一般と狭義のオクシデンタリズムを一応区別しており、宗教的原理主義などとの同一視も慎重に避けているが、
どこに境界を置いているのかは、やや恣意的でわかりにくい。拡大解釈すれば、アダムとイヴが知恵の実食った原罪にまで遡れるんじゃないの?とも思う。
古今東西の思想史を広範に分析していて、その教養の深さには圧倒されるが、ぶっちゃければ、ユダヤ人・イスラエル人としての問題意識や政治的スタンスが、
問題の範囲を規定しているようにも見える。これは極論かも知れないが、イスラエルの安全保障に資する事を最大の目的とした思想史分析ではなかろうか。
ルース・ベネディクトの『菊と刀』同様に「敵を知るため」の戦略的分析という印象。
イスラエル寄りだからと言って分析自体にバイアスがあるわけではなく、むしろ敵を知るためだからこそバイアスを排し、冷静で客観的だと言える。
この新書はどうやら品切れ・絶版らしい。古書店で安く見つけたら買っておいて損はないと思う。★★★★

487:無名草子さん
12/05/05 19:37:49.59 .net
山井教雄『まんがパレスチナ問題』(講談社現代新書)。『反西洋思想』との関連で、パレスチナ問題を簡単に知っておこうと思って読む。
ベストに入っている、広河隆一『パレスチナ・新板』(岩波新書)はだいぶ前に読んだが、ほとんど頭に残っていないので。
イラスト部分が多いため、文章による情報量は少ない。細かいところまで詳しく書かれているとは言えないが、パレスチナ紛争全体の流れをザッと概観するには適している。
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教という一神教三兄弟の由来から、一応、911とイラク戦争まで。
こうした難しい国際政治的な問題に、完全に中立的・客観的立場を貫くのは不可能に近いと思われる。
が、ここではユダヤ人少年とパレスチナ人少年のキャラを登場させ、双方からの視点で意見を言わせることによって、ある程度の客観性を保つことに成功している。
著者は、サダトの現実主義を高く評価しており、それに対してアラファトに対する評価はかなり厳しい。
イスラエルのシャミルやシャロンはいかにも憎々しげに描かれているが、まぁこれは人情として仕方ないかというところ。
最後に二人の少年が、ネルソン・マンデラを見習って「融和」を目指そう、と誓い合う結末はなかなか泣けるが、やはり甘いかな~とも思う。
既に知識のある人には物足りないだろうが、無知な自分には丁度良い入門書だったので星4つ★★★★

488:無名草子さん
12/05/05 19:39:45.38 .net
臼杵陽『イスラエル』(岩波新書)。
イスラエル建国前夜から2009年現在までの歴史をたどりながら、多文化社会としての現実と国家統合の理念との鬩ぎ合い及び政治の変遷を描き出している。
ごく単純なイメージとしては「イスラエル=ユダヤ国家」であるが、何世紀も世界中に離散していたユダヤ人が移民してできた国だから、
当然、多文化・多民族で、人種すら多様であり、たとえ同じユダヤ教徒であっても一枚岩とは言えないのである。
またイスラエル国民はユダヤ教徒だけではない。アラブ人ムスリム、ドルーズ教徒、ギリシア正教徒、カトリック教徒もいる。
第一章では、この複雑極まる多文化・多民族社会の現状についての基礎知識が書かれている。
宗教的・政治的な立場も細かく分かれており、さらに社会的・経済的な階層性もあって、一読しただけではとても把握しきれないし、要約も不可能。
宗教と政治の関係もなかなか複雑。たとえば「超正統派」と呼ばれる最も厳格なユダヤ教徒は国から特別扱いされているが、
これは国家が宗教の上位に立つことを許さないので、シオニズムとは対立する。
第二章ではシオニズムの歴史をたどる。このシオニズムにも様々な潮流がある。
第三・四章では建国の経緯。第五章では第三次中東戦争と領土拡大。
第六・七章では、テロ・紛争と和平の試みの経緯。政治的には次第に右派が優勢になっていく。

489:つづき
12/05/05 19:40:32.65 .net
どちらかと言うと、複雑な社会や内政についての叙述に力が入れられていて、中東戦争の経緯などはあまり詳しくは書かれていない。
しかし、アラブ・パレスチナとの対立関係の中で、イスラエルを一枚岩の国家だと錯覚しがちだった無知な自分にとっては啓蒙的な内容だった。
シオニズムの思想についても自分の知らなかったことがたくさん書かれていた。
たとえば、ホロコーストの犠牲者に対して、当初シオニストは冷淡であった(無抵抗で殺されるのは英雄的ではない、抵抗して死ぬのが名誉という価値観)
が、その後シオニズムが国家統合の理念として弱体化してくると、ホロコーストの犠牲を統合の象徴として祭りあげていったという話などは興味深い。
あまり読みやすいとは言えないが内容の濃い良書。★★★★。
先に読んだ『まんがパレスチナ問題』と比べてみると、細かい点だが、第一次中東戦争に関する見解に違いが見られる。
『まんが』の方では、戦力はアラブ側の方が圧倒的に強く当初はイスラエルが劣勢だったが、一時停戦によって武器の調達や体制の立て直しを得てきわどい勝利を得たと書いてある。
これに対して、この『イスラエル』の方では最初からイスラエル側の方が戦力優勢で、停戦前に趨勢は決していたとしている。どっちが正しいのか

490:無名草子さん
12/05/11 10:32:54.31 .net
乙です。感動しました

491:無名草子さん
12/05/11 15:19:10.66 .net
余計なお世話かもしれないが、こういうしっかりしたレビューは2chのレスなんかではなくて
ご自身でブログか何かをやられてそちらに記載された方がいいのではないかと思う。
何というか、ほとんど誰も見ないスレできちんとした内容のレビューが朽ち果てていくのは勿体無い気がするので。

492:無名草子さん
12/05/11 20:06:51.07 .net
何言ってるんですか、ROM数も知らないんですか?
ざっと計算しただけでも1000万人ぐらいはこのスレみてますよ。

493:無名草子さん
12/05/11 22:54:35.44 .net
>>491
いや、このスレに愛着あるし、Wikiの方にスレは保存しとけばいいしね。

>>492


494:無名草子さん
12/05/11 22:56:26.73 .net
まぁ過疎スレだから恥ずかしげもなく長文書けるってのもあるし。
もし何万人も見てたら逃げるわ。

495:無名草子さん
12/05/11 23:03:13.91 .net
何万人も見てますよ。自信持ってください!!

496:無名草子さん
12/05/14 21:05:31.04 .net
イスラエル、パレスチナ関係の割と最近のものでは、
中公新書から高橋正男『物語・イスラエルの歴史』と船津靖 『パレスチナ - 聖地の紛争』が出てるな。
買おうと思ったけど、ちょっとしんどくなったのでやめた。

497:無名草子さん
12/05/15 20:40:04.50 .net
>>496
そんな出てるんだ、知らなかった

498:無名草子さん
12/05/18 17:20:16.52 .net
>>488->>489
久しぶりにこのスレ覗いたんだが・・・ちょっとそれ買ってくる。

499:無名草子さん
12/05/18 20:33:49.62 .net
毎日見ろよカス

500:無名草子さん
12/05/18 20:46:17.56 .net
500

501:無名草子さん
12/05/18 20:47:13.80 .net
めったに書き込みないから3ヶ月に1回見れば充分

502:無名草子さん
12/05/19 00:39:19.32 .net
主題の近い新書を三冊紹介します。
塚原史『人間はなぜ非人間的になれるのか』(ちくま新書)。これはタイトルから予想される内容としては、
人間の残虐性を人類学的・社会心理学的に分析したようなものかと思ってしまうが、かなり異なったものであった。
近代芸術史をたどりながら、近代の人間主義の中から非人間的な観念や現実が生じてくる逆説を追ったもの。
問題意識としては、アドルノとホルクハイマーの『啓蒙の弁証法』と似たものだと言えるが、なぜかそれはほとんど参照されていない。
第一章では、個から全体へと題して、近代における都市化と群集の現象を見る。
第二章ではダダや未来派などのアヴァンギャルド芸術運動とファシズムやナチズムとの関係。ここでは「無意味」がキーワードとなる。
第三章では岡本太郎の太陽の塔の謎をバタイユからの影響を元に解明する。この謎解きは面白いので必読。この章では「未開」がキーワード。
第四章では精神分析とシュールレアリスムの出現を見る。ここでは当然近代知における「無意識」の発見が鍵となる。「私」という主体の自明性が疑われてくる。
終章ではベンヤミンとボードリヤールを参照し、「シミュラクル」に満たされた高度消費社会の非人間性に焦点を当てる。

503:つづき
12/05/19 00:40:26.29 .net
フランクフルト学派の議論などをある程度知っていれば、さほど新奇な論考ではないのだが、
いかんせん「人間的」はともかく「非人間的」とは何かがはっきりしていないので、タイトルの問いと本文の内容がどう関係するのか、最後までよくわからない。
(ナチスの非人間性と高度資本主義の非人間性は同じものだろうか?同根だとしても一緒くたにするのはあまりにも大雑把な話だろう)
特に岡本太郎の太陽の塔の謎と主題がどう繋がるのか理解困難。
おそらく、岡本太郎の表現は「未開」を呼び出すことによって、反近代的な非人間性を表現すると同時に、
近代的な非人間性へのカウンターパンチにもなっているという両義的な芸術というようなことなのだろうけれど、正直難解である。
結局表題の、「なぜ」については明確な回答は出ていないように見える。近代前衛芸術史として見れば、それなりに面白い。
タイトルの問いの答えが結局わからなかったのはさすがにあれなので星3つ★★★

504:無名草子さん
12/05/19 00:42:24.09 .net
石井洋二『フランス的思考』(中公新書)。マルキ・ド・サドを正面から取り上げている新書は珍しいので買ってみた。
(自分の知る限りでは丸善ライブラリー新書で稲垣直樹『サドから「星の王子様」へ』というのがあるくらい)
序章ではタイトルについて「フランス的」なんて実体はないかもしれないけれど、云々と、まず言い訳じみたことから述べられている。
次に「周知のごとく」とか初心者に配慮しない書き方はしない、と言う。読者へのハードルを下げたのはいいけれど、著者自身ののハードル上げたな~、と思っていると、
「アプリオリ」などという語をなんの説明もなく使っていて、ありゃりゃと思う。まぁ「アプリオリ」の意味などわからなければググればいいわけだが、
それなら最初から初心者向けですみたいなことを書く必要はないじゃないかと思う。こういうどうでもいいところで引っかかってなかなか読み進めない。
合理主義と普遍主義についてざっくりと整理していて、まずはフランスの合理主義的伝統の起点としてデカルトが参照される。デカルトは本論でも参照点となる。
冒頭で「思考の快楽」という言い方が出てきて、結局これが全体を貫くキーワードになっているようだ。本論に入ってからは割とサクサク読み進められた。

505:つづき
12/05/19 00:44:30.93 .net
第一章ではサドについて。自分もサドについてはある程度読んでいて(と言ってもごく表面的に知ってるだけ。澁澤龍彦によるサド翻訳と『サド侯爵の生涯』その他のエッセイ、
三島由紀夫の『サド侯爵夫人』、ドゥルーズの『マゾッホとサド』、バゾリーニの遺作映画など)、多少のイメージは持っており、特に目新しい内容もなかった。
ここでは、絶対的な孤独のエゴスイスト(唯一者)達による共同体の思想が、モーリス・ブランショなどを引きながら提起される。
第二章は、シャルル・フーリエのユートピア思想について。過去の文明のすべてを懐疑に付し、新しく定義された人間の様々な情念のエネルギーを編成して作られる奇妙な共同体である。
後継者によって実験的なコミュニティも作られたがことごとく失敗し、結局は空想に留まった。これについては浅田彰が一時取り上げていたのでなんとなく知っている。
最近では哲学者の國分功一郎氏がブログ等でしきりに言及していたのを見かけた。
第三章ではランボーの、「人が私において考える」「私は一個の他者なのです」といった言葉を取り上げ、
デカルトの「我思う故に我あり」と対置される。「主体の充足性」に対する反逆である。
第四章ではアンドレ・ブルトンのシュールレアリズム宣言が検討される。それはあらゆる二項対立や差異を廃棄しようとする思考の革命だった。
第五章ではバタイユのエロティシズム論を紹介。不遜な言い方で恐縮だが、これも自分は大体知っていることばかりで退屈であった(もちろん深く理解しているわけではないが)。

506:つづき
12/05/19 00:46:04.81 .net
第六章ではロラン・バルトの晩年の講義を紹介。これは割と面白かった。バルトは母の死をきっかけに小説を書こうと決意し、
プルーストの『失われた時を求めて』をなぞるように小説を書く準備を延々と行う(という事について講義する)が遂に小説は書かれない。
目標には到達することなく、「書くことの快楽」を味わい続けた。これが、反合理主義的・反普遍主義的なバルト的「教養」の概念と合致する、とのこと。
一つ一つの章は難しくないのだが、これらがどう関連してひとつの主題に繋がっているのかを理解するのは結構難しい。
終章ではこれらがまとめられ、「進歩などする必要はない…その場にとどまって、ただ考えることの愉悦に身を浸せばいい。」と述べられ「明るい不条理」と総括される。
すなわち冒頭の「思考の快楽」に回帰する。身も蓋もない事を言うと、「ってことは脳のオナニーみたいなもんすか?」という感じもする(別に非難する意図はない)
実際、サドの絶対的利己主義者の共同体は不可能であり、フーリエのユートピアは空想に終わり、バタイユのエロティシズムはただ蕩尽され、バルトの小説は遂に書かれない。
まったく現実社会の改善には役立ちそうもないネタばかりだが、まぁ面白ければいいじゃないかということで(適当
サドを取り上げたユニークさを評価して星4つ★★★★

507:無名草子さん
12/05/19 00:54:51.52 .net
酒井健『シュルレアリスム』(中公新書)。シュルレアリスム運動の歴史と思想を概説したものだが、ほとんどアンドレ・ブルトン中心にページが割かれている。
アラゴンの去就については少し詳しく書かれているが、他のエルンスト、デュシャン、マグリット、マッソン、ミロ、ダリと言った美術家については、
ラスト近くにあっさりとまとめられているのみである。シュルレアリスムの周縁にいたバタイユについてはたっぷり言及されている。
これは著者がバタイユ研究者でもあるから読む前から予想はできていたことである。ベンヤミンについてもバタイユほどではないが、ある程度詳しく言及されている。
第一章では、第一次大戦の戦争からの影響を検討する。ここでは同じく戦争から大きな影響を受けたユンガーのその後の思想的遍歴と対比しつつ、
シュルレアリスムの誕生の意味が吟味されている。戦争はブルトンやマッソンらの自我に対して両義的な影響を与えた。
戦争は近代的自我を揺るがすと同時に、近代的自我の暴虐そのものでもあったわけである。
シュルレアリスム運動には近代的自我への反逆という意味が込められていた。自我については、著者は『自我の哲学史』(講談社現代新書)も出している(絶版?)。
第二章では、シュルレアリスム誕生に際しての、狂気と夢という契機を検討。ブルトンは精神科医であった。狂気に惹かれると同時に、狂気の危険性に恐怖した。
ダダイズムからの継承、フロイトの精神分析の影響、自動書記という技法、かけ離れたイメージのぶつかり合いから超現実を生み出す方法など。

508:つづき
12/05/19 00:58:56.13 .net
第三章では、都市文化との関係について。まず、ブルトンよりも過激な近代批判的立場を取ったバタイユについて詳述される。
次にアラゴンの「パッサージュ」について。都市のショッピング・アーケードをそぞろ歩き、都市の中の非近代的生を見出す。これはベンヤミンに影響を与えた。
アラゴンは文体を重んじ、シュルレアリストの中では近代的理性の働きが強い方であった。そのためか、後には社会主義リアリズムに転向し、ブルトンと離反した。
次にブルトンの代表作『ナジャ』について紹介。これはメンヘラの実在モデルが存在し、彼女は結局心を病んで精神病院で死ぬ。
ブルトンはメンヘラ女子に惹かれるが結局は見捨てるわけである。狂気とどのように関係するべきかという問題が現れている。
第四章では政治と芸術との関係について。ベンヤミンはシュルレアリスムがもっと深く社会主義にコミットすることを望んでいたのだが、
ブルトンはもっと芸術の自由を求めていた。アラゴンは社会主義リアリズムに行ったわけだが、ブルトンはトロツキーにシンパシーを持っていた。(実際トロツキーに会ってもいる)。
バタイユはブルトンよりももっと過激な反近代性を持っていて、ブルトンと反目した。
最後に、エルンスト、マグリット、デュシャン、ミロ、ダリについて簡単に触れて終わる。
著者の考える精神の自由度という基準で単純に序列化すると、バタイユ>ブルトン>ベンヤミン>アラゴン、という感じになるのだろうか?
叙述がちょっとブルトンとバタイユに偏っていて、シュルレアリスム入門としては初心者向けではないかもしれない。★★★★

509:無名草子さん
12/05/19 01:50:56.98 .net
今思い出したが、シャルル・フーリエについては、重田園江『ミシェル・フーコー』(ちくま新書)にもちょっと出てきた。
最近また注目されてるんでしょうかね。

510:無名草子さん
12/05/19 20:16:13.63 .net
>>506

酒井健(バタイユ)と酒井潔(ハイデガー)は別人だってw

竹下節子は、他のamazonレヴュー見るとかなりトンデモ著者のようだけど、
『キリスト教の真実』以外読んだ事のある人、どうですか?

511:506
12/05/19 20:27:13.12 .net
>>510
ありゃりゃ、ほんとだ…まったく気づかなかった。これは大変失礼しました。。

512:無名草子さん
12/05/20 11:40:38.33 .net
>>511
そんな謝り方で許されると思ってんのか?ちゃんと謝罪文をうpしろ

513:無名草子さん
12/05/24 23:43:35.72 .net
良スレですね

514:無名草子さん
12/05/25 01:53:39.98 .net
このスレがだいすきです。

515:無名草子さん
12/05/25 19:12:05.95 .net
松屋の新作牛めしを食べました。
ふわふわしていておいしかったです。
タレの味もさらにおいしくなりましたね。
味噌汁が無料で付くのが嬉しいですね。
店員さんの愛想もよくサービスも行き届いていました。
お金ができたらまた行きます。

516:無名草子さん
12/05/25 19:47:09.30 .net
松屋最高だよな

517:無名草子さん
12/05/25 19:47:26.21 .net
一緒にまっつしにいこうぜ

518:無名草子さん
12/05/25 20:06:14.96 .net
ごめん、俺はすき家の中盛が好きや

519:無名草子さん
12/05/29 00:28:25.51 .net
すき家のゼンショーはブラック会社として有名だが松屋はどうなのかね?

520:無名草子さん
12/05/29 00:43:10.45 .net
松屋は味噌汁がタダでついてくるから最高だよ。
でも、豚丼辞めたのがなー。

521:無名草子さん
12/07/09 23:04:48.43 .net
一ノ瀬俊哉『皇軍兵士の日常生活』(講談社現代新書)。これは出版された当初はかなり評判になったと記憶するが、遅まきながら最近やっと読了。
昭和の人々が徴兵され兵士となっていく過程と軍隊での生活と、戦時下の日本社会に徴兵制がもたらした不平等・不公平を様々な資料を元に明らかにしようとする。
後者の論点は、赤木智弘の戦争待望論に応える形で提出されている。
第一章では徴兵の実態をたどる。徴兵忌避のために身体毀損・詐病・逃亡を行った例が興味深い。章の終わりでは学歴によって待遇や命の安否まで差がついた事実を指摘。
第二章では軍隊での生活を詳述。これは平時と戦時下では兵士達の心情に大きな差がある。平時では厳しくはあるが、どこか牧歌的な明るさがある。
まるで体育会系の合宿のように楽しそうな雰囲気すらある。それは一つにはやがて必ず除隊の日が訪れたことによる。もう一つは軍隊は人生の修練道場だという通念があったためだという。
戦時下においては軍紀は乱れ、古参が初年兵の上に君臨し、階級制度は機能せず、私的制裁が蔓延する。
こうした軍紀の乱れにも関わらず、実戦において兵士が命がけで戦ったのは、「力と勇気」の価値観による相互監視が機能していたからだ、と著者は分析している。
少年兵についても触れられている。ガ島以降の航空消耗戦に直面して航空兵の大量速成に駆り出され、少年兵は訓練不足のまま飛び立ち大量の戦死に至った。さらに特攻要員とされる。
少年兵の間でも臆病はタブーであり「生きて虜囚の辱めを受けず」が規範であったが、その相互監視が解けた時には投降することができた。

522:つづき
12/07/09 23:05:42.24 .net
第三章では銃後の社会、夫や息子を徴兵に取られた後の家族の実態について。銃後の家族の困窮に対しては、公的な扶助・手当、大企業による保障などがあったが、
そこには様々な不公平・不平等があった。他に一見瑣末な現象ではあるが、軍事郵便における不平等、戦死者墓石の不平等などについて考察している。
最後に軍隊内での食の不平等について分析。第四章では戦死の伝えられ方について詳しく追求している。軍は戦死者遺族の感情を重視していた。
だが実際には遺骨が帰ってこないという事態は頻発していた。戦後は軍が崩壊してしまったため、戦死を伝える公的な仕組みも崩壊してしまった。
生き残った戦友による遺族への伝達などが行われる。役所による死亡認定事務の困難などが詳述されている。
最後に「戦争が社会を公平化する」というテーゼはほとんど正しくないと結論されている。
声高に反戦を唱えるのではなく、事実を冷静に吟味し、当時の人々の生活と心情をつぶさに再現することによって、戦争の悲惨を際立たせている良書。
※ひとつ気になったのは、軍隊における「食」の問題については詳しく述べられているが、「性」に関してはスルーされている点。
まぁこれは慰安婦問題が絡み、ウヨサヨ抗争含めていろいろ面倒くさいし、それのみを論じた本はたくさんあるので省いたのだろう。★★★★

523:無名草子さん
12/07/09 23:06:39.84 .net
本村凌二『馬の世界史』(講談社現代新書)。著者は、馬好き、競馬好きの西洋古代史学者。馬が世界史に果たした役割の大きさを論じている。
1章では馬についての生物学的な来歴と人類によって家畜化された起原について考察している。人類が家畜化に成功した動物の種類の少なさを指摘し、
馬との出会いは人類にとっての僥倖であることを強調している。2章では馬が曳く戦車の登場について。
3章では「ユーラシアの騎馬遊牧民の活躍と世界帝国」と題して、スキタイ人や匈奴らの活躍と古代帝国との関係を考察。
第四章では、ギリシア・ローマなど地中海世界における馬の文化について。古代ギリシャやローマの戦車競走やクセノフォンの『馬術論』、
アレクサンドロスやローマ軍の騎兵隊などを概観する。だがこの古代地中海世界では「馬と人間が織りなす文明のダイナミズム」は希薄である。
ここで古代ギリシアの神ポセイドンは、元は「馬の神」であったものが「海の神」に変わっていったことが指摘される。
すなわちこれは、ある時点で、馬による陸上交易よりも海域交易が発達してきたということである。
近代においては大航海が近代世界システムをもたらしたわけだが、この古代地中海世界ではそれを先取りしていたわけである。
補論では、インカやアステカなどのアメリカ古代文明においては馬は全く知られていなかった事が述べられている。
また海路の利用もあまりなかったためユーラシアの古代文明などと違って発展しなかった。

524:つづき
12/07/09 23:07:39.57 .net
第五章ではゲルマン民族大移動とローマ帝国解体の時代におけるフン族の活躍。またフン族と匈奴が同じ民族かどうかという問題が検討されている。
さらに中央アジアにおける「夷狄」の活動が歴史に果たした役割の重要性が強調されている。
6章ではイスラム世界でアラブ馬が生み出された経緯が推理されている。また十字軍とイスラム軍の騎馬について比較されている。
7章ではヨーロッパ中世における馬事情。トゥール・ポアテイエ間の戦い以降、キリスト教国側にも武装騎馬軍団が編成され騎士の時代が到来する。
8章ではモンゴル帝国について詳しく述べられる。ヨーロッパ人による歴史観ではモンゴル帝国の歴史的重要性が過小評価されていると著者は言う。
騎馬による交易や流通の進歩が、海路による交易の拡張と共に近代資本主義に至る道を準備した。
この点に関して、モンゴル帝国が「世界史」をもたらした、という岡田英弘の説に言及している。この章では朝鮮と日本の馬についても軽く触れられている。
9章では近世・近代に入る。ルネサンス期には馬術・馬産・獣医学が進歩した。またアメリカ新大陸が発見されると馬も上陸し急激に繁殖する。
先住民も17世紀には騎乗をマスターしていく。しかしヨーロッパの軍事においては火器と歩兵の重視へと戦術が転換し、騎兵中心の軍事力に陰りがみられるようになる。
一方で馬車が登場する。ヨーロッパの馬車の発展はハンガリーでの改良に負うとのこと。

525:つづき
12/07/09 23:08:23.94 .net
最後に「馬とスポーツ」と題して、近代以降の馬術の発展や、イギリス発祥の競馬の歴史について語られる。
ポロとか馬術競技は一般の日本人にとってはせいぜいオリンピックの時に注目されるくらいのもので、ハイソなイメージもあってあまり馴染みがないが、競馬ファンは依然として多いだろう。
自分は競馬もやらないので、サラブレッドの由来や名馬の血統の話など聞かされてもあまりピンとこないのだが、著者の文章からは馬好きの熱い思いがほとばしっているのはわかる。
ちょっと前までは「競馬はロマンだ」などと熱く語る競馬狂のオッサンがたくさんいたような気がするが、最近では衰退しつつあるような気もする。
全体として情報量が多く楽しい豆知識も豊富、馬への熱い思いも詰まっているし、騎馬遊牧民を中心とした大胆でダイナミックな世界史像も提起されている良書だと思う。
ただし一箇所「この純潔の故にアラブ馬にはことのほか優性遺伝の力が備わった」などと書いてあって、意味不明。遺伝の「優性」には「優秀な種を残す」というような意味はないはず。
これさえなければ余裕で星5つなのだが、こういうのが一箇所でもあると他の部分の信頼性も一気に低下してしまう。で星4つ★★★★。残念ながら絶版のようだ。

526:無名草子さん
12/08/12 00:42:07.92 .net
加藤文元『物語・数学の歴史』(中公新書)読了。数学の通史を時代を追ってただ淡々と述べるのではなく、
著者の数学観に基いて、数学の発展の上で重要と考えられるいくつかの契機を重点的に論じている。
まず第1章、「数学の芽」と言えるのは何か、という問いに対して、著者は「割り算」だと述べている。
加減乗除の中で除法だけは他の演算と異質である。例えば、16÷7という割り算に対して、どのような答えを期待するのか?
「16÷7=2…余り2」なのか「2,285714…」なのか「16/7」という分数なのかは文脈によって異なる。
古代文明においては、文明によってどの答えを要求するかが異なっている。そして古代エジプト、古代ギリシア、古代中国の数学の萌芽についてそれぞれ述べている。
ただ、これだけの論拠では、なぜ著者が割り算を数学の萌芽としたのかよくわからないのだが、
著者によると、割り算には格段に人間の精神の息吹が感じられ、ここからより深い数学が生まれてきたのだとのこと。
第2章では、改めて数学とは何かについて、科学哲学における科学の規定などを参照しながらさぐっていく。
数学における「正しさ」の認識において、ミクロ的側面とマクロ的側面があることが指摘される。
また、計算や論理・演繹と並んで直観・「見ること」も数学において重要であると言う。そして西洋の数学だけでなく東洋の数学を視野に入れると、
「演繹的構造」はギリシア数学から近代西洋数学に至る潮流に限られており、数学の特性とは言えない、としている。

527:つづき
12/08/12 00:43:00.62 .net
第3章では「西洋数学らしさ」として、古代ギリシアのピタゴラスやユークリッドが取り上げられ検討される。
ユークリッド「原論」に代表される、論証の形式化・儀式化・ゲーム化という特徴が抽出され、中国の数学との違いを際立たせる。
第4章では「古代から中世へ」と題して、西洋においてはアルキメデスとディオファントスが取り上げられ、中国においては『孫子算経』が紹介される。
次に10進表記の作られた歴史とアラビア文化の果たした役割について触れている。さらに円周率の計算の歴史を外観。
第5章では微積分の出現。ニュートン、ライプニッツ以前の微積分の萌芽についても触れている。
第6章では、オイラーの膨大な業績の一つとしてゼータ函数(著者は「関数」ではなく「函数」の字を使用している)に触れられ、和算では関孝和が出てくる。
第7章では非ユークリッド幾何学の出現。ガウスの先駆性が称揚される。第8章ではガロア理論。対称性という概念が浮上してくる。
ここでは、「ガロア理論を知っているが二次方程式の公式を知らない人」が「二次方程式や三次方程式を解く」という斬新な設定によって、
ガロア理論のイメージの一端をわかりやすく描写している。

528:つづき
12/08/12 00:44:17.54 .net
第9章では「射影幾何学」について。第10章では19世紀の数学を概観。ガウスやリーマンの業績として、楕円函数論や代数函数論などが挙げられる。
このあたりになってくると、自分にはもう何がなんだかお手上げである。さらに多様体の概念や、集合論が登場する。
多様体については入門教科書に目を通したことがあるので、多少はイメージが掴めたが。
第11章では「フェルマーの大定理」についての歴史。これについては、アンドリュー・ワイルスによる解決が話題になり、サイモン・シンなどによる一般向けの解説書が出て、
その経緯を知っている人は多いだろう。最後の第12章では、非ユークリッド幾何学の「モデル」について紹介し、また、多様体の概念の確立を契機として、ブルバキが登場する。
最後にグロタンディークの「スキーム」と「トポス」を紹介する。これらについては、言葉で説明するだけ無駄ではないかと思われる。
一般読者としては「わからなくて当然」と割りきって読むしかないだろう。著者の強調する、数学のマクロな美的直観なるものについても、
ある程度本格的に勉強した人が何となくわかるといった類のものであろうし、一般人には全く雲をつかむような話である。
我々としては、わかったつもりになるよりも、実際に大学の数学教科書を開いてみて、うわあ学部レベルですらわからんwwwと絶望を実感した方が有意義かもしれない。
一つ引っかかったのは、「古代ギリシア的な意味での証明は…仮説演繹法である」と述べている部分。
普通、科学哲学などで言われる「仮説演繹法」における「仮説」は反証可能なものとして設定される。
仮説を演繹して得られた帰結が実際の観測や実験と合致しない場合は、仮説が否定されたり修正されたりするわけである。
これは数学の証明の構造とは違う。著者の勘違いなのか、「仮説演繹法」をそういう意味で使う用法があるのか、ちょっとわからない。
著者の数学観の当否については、もちろん自分には全く判断できない。数学をやっている人の同意がどの程度得られるのか知りたいところ。
名著なのかもしれないが、先の「仮説演繹法」の件が引っかかっているので星4つ★★★★

529:無名草子さん
12/08/16 15:45:45.41 .net


530:無名草子さん
12/09/07 00:57:16.92 .net
松戸清裕『ソ連史』(ちくま新書)。革命・ソビエト樹立から91年の崩壊まで(この本では「ソヴェト」と表記されている)
革命の経緯についてはあまり詳しくは書かれていない。著者は、ソ連や社会主義を擁護する気はまったくないが非難する意図もない、と言っており、
基本的にはニュートラルでドライなスタンスで書かれているようだ。著者は「教訓としての歴史」を訴えるような意識には乏しいが、
ソ連という壮大な歴史的実験から「学び得ることは学び尽くすべき」と言う。
外政に関しては、第二次大戦から戦後の冷戦、東欧諸国への介入、中国との関係、キューバ危機、アフガン介入など、自分もだいたい知っていることではあるが、
わかりやすく整理されていて流れをつかみやすくなっている。内政については、主に農業集団化などの経済政策の失敗について詳しく分析されている。
「大テロル」を始めとするスターリンによる圧政については、その実態や民衆の受け取り方はどうだったかなど、冷静に検証している。
それによると、必ずしも民衆の全てがスターリンの圧政を憎悪していたわけではなく、没後のフルシチョフによるスターリン批判の時代となっても
スターリンを支持する人々は少なくなかったとのこと。著者は社会主義・共産主義に対しては何の思い入れもなく冷徹な分析を行なっているが、
共産主義と祖国の未来を信じて革命と労働に身を捧げた人々に対して敬意を払うことでは一貫している。
また、共産党は決して民意を無視していたわけではなく、むしろ積極的に民衆の要望を掬い上げようと努力しており、
一般にイメージされているよりも「民主的」だったとのこと。当局の「善意」にも関わらず経済が失敗したという事実がポイントなのだろうと思う。

531:つづき
12/09/07 00:58:32.31 .net
社会主義としては本来ありえないはずだが、60年代には失業も多かったとのこと(物資は常に不足していたにも関わらず)。
また治安の悪化にも悩まされた(スターリン死去後の大赦によって犯罪者が大量に釈放されたため)。
また社会主義は利潤追求第一ではないので公害はないと言われていたが実際には資本主義国以上の環境汚染にも見舞われた。
著者は冒頭で、社会主義の良かった部分も公平に評価すると宣言していたが、これを読む限りではほとんどいいとこなしである。
ペレストロイカにおいては、改革が遅々として進まなかったことが指摘されているが、
ソ連崩壊後、急激な市場経済化のハードランディングによって、人々にさらなる混乱と痛みをもたらしたわけだが、このあたりについてはほとんど述べられていない。
一応、経済改革に成功した中国との比較には触れているが、ペレストロイカの失敗についてはもう少し掘り下げて欲しかった気はする。
全編にわたってゴルバチョフによる回想を主に参照している。思想的な臭みがなく自分には読みやすかった。★★★★

532:無名草子さん
12/09/07 00:59:56.01 .net
エンツォ・トラヴェルツ『全体主義』(平凡社新書)。著者はユダヤ問題などを研究しているイタリア人学者。
「全体主義」をめぐる言説の歴史を系譜学的に辿る。序章で、「全体主義」の言葉の内には、「事実」「概念」「理論」が混在しており、
「受容の仕方の違いが相互に干渉して絡みあい、使用者によって同じ言葉が意味を変える」と指摘している。
つまり「全体主義」という言葉は、時代状況や使う人の立場や思想によって使い方が変わり、それぞれ政治性を帯びているわけである。
そして、イタリアのファシズム、ドイツのナチズム、ソ連のスターリニズムの歴史を追いながら、その中で「全体主義」の概念がどのように誕生し、
また様々な思想家によってどのように使われ論評されてきたかが詳しく分析されていく。なお日本の「天皇制ファシズム」については全く言及なし。北朝鮮にも言及なし。
また、毛沢東、ポルポト、東欧の共産国などは軽く言及はされているがほぼ分析の対象外となっている。
取り上げられている思想家・政治家・文学者は非常に多い。それぞれの思想家の「全体主義」に関する考え方の微妙な差異を慎重に見極めながら分類し位置づけていくので、
内容は濃いが叙述は錯綜していて読むのは結構大変。ただ最後の「結論」の章では著者自ら全体をわかりやすく整理しているのでありがたい。

533:つづき
12/09/07 01:00:33.06 .net
著者が最も注目しているのは、自由主義陣営による、ファシズム・ナチズムとスターリニズムを同一視し両者の差異を無視した「全体主義」の使い方である。
要するに、ナチスと共産主義を同じ「全体主義」であるとすることによって、反共と自由主義・資本主義擁護のイデオロギー性、
および、ユダヤ人虐殺というナチスの特殊性を隠蔽することになる。(左翼によるスターリニズム批判を自由主義陣営が取り込んでいったという面もある)
全体的に分析は公平かつ客観的であり、著者自身の思想的バイアスはほとんど感じられない。ただしラストの、
「強制ではなく社会関係の物象化を通して行為や思考が画一化される時代……市場の征服が権力の目的であるような時代、つまり「グローバリゼーション」の時代…」
という一文には、著者の思想的スタンスが端的に現れている。基本的にはマルクス主義を基盤とした(ネグリみたいな)グローバル資本主義批判の立場だろう。
論旨明晰で内容は割と高度。政治思想史の本としては良書なんだろうと思う。しかし自分の興味と微妙にずれていたので星3つ★★★

534:無名草子さん
12/09/19 01:02:22.66 .net
レビュー書くためにメモとかしてる?

535:無名草子さん
12/09/19 01:33:12.99 .net
>>534
まず通読してから、再度、本をパラパラめくりながら要点らしきところをまとめていく。
全体が把握できない時は一章ずつ要約していく。それに適当に感想を付け加えて出来上がり。
だから自分のはレビューというより、ここに書いてるもの自体がメモに毛が生えたようなもん。
自分のための覚え書きであって、人様に読んでもらえるようなもんじゃないかもね。

536:無名草子さん
12/09/19 15:08:50.49 .net
そうなんだ
俺は図書館で借りてるから線引くわけにもいかんし
読書ノートつけたほうがいいな
何書いてあったから思い出せないこと多いし

537:無名草子さん
12/09/19 20:31:57.02 .net
自分は、読んだ本の感想文というか読書メモは必ず書く!と決めてから3,4年たつが、
いまだに書くのがものすごい苦痛な事が多いw
これは内容がまとめにくいな~という本の時は何日も後回しにしてしまう。
しかし頑張って書く訓練をしてれば、そのうち頭も良くなるぞと自分に言い聞かせて無理やり書いてる。

538:無名草子さん
12/09/19 21:57:06.26 .net
小浜逸郎『頭はよくならない』(洋泉社新書)
URLリンク(www.amazon.co.jp)

539:①
12/09/21 12:02:01.26 .net
頭がよくなるかは知らないが、わからない状態→わかる状態の変化はあるわけで。
それに関連した数学板からのコピペ。

現代数学の系譜11 ガロア理論を読む6
スレリンク(math板:334番)

334 名前:現代数学の系譜11 ガロア理論を読む[] 投稿日:2012/09/02(日) 22:59:51.06
>>324
前スレでも紹介したわんこら式数学の勉強法(抜粋)
スレリンク(math板:187-189番) URLリンク(wankora.blog31.fc2.com)
Author:かずゆき 京都大学理学部を数学専攻で卒業
わんこら式数学の勉強法(受験生、小学生から中学生、高校生、大学生、社会人まで通用)
これを参考に効率ではなく『拘りを捨てて出来ることをやる』を常に念じて自分にあわせてやってください。

問題を見てすぐに解答、解説を読みます。
英語なら英語を読んですぐに対応する日本語を読みます。
最初に30秒ぐらいで出来た範囲をすぐに7周ぐらい繰り返す感じでやります。

1,最初の周は問題も解答も意味わからんわ~って感じで読むだけで超高速で終わらせます。
2,またその範囲を、意味や理解などすぐに拾えるものだけ拾って一周します。
3,またその範囲を、すぐに拾えるものだけ拾って一周します。
4,またその範囲を、すぐに拾えるものだけ拾って一周します。
5,またその範囲を、すぐに拾えるものだけ拾って一周します。
…こんな感じで7周ぐらいやってみてください。
これで、だんだん理解出来ていったり、処理が速くなったり、覚えられてきたら成功です。


540:②
12/09/21 12:02:14.94 .net
拾えるものだけ拾うって言うのは
○こういう意味だから、こうなのか
○これとあれは似てる
○こういう計算になるから、こうなる
○語呂合わせ などです。

最初の周は意味わからないスピードにするのがポイントです(限界突破) 2周目からは、スピードを余り落とさないで意味を拾えるだけ拾っていきます。
ほんまに速すぎたり、めっちゃ難しいのは、何も拾えずに出来ないので注意して下さい。拾えるものを拾おうとしたり、計算を紙に書いて確認して結構時間かかっても大丈夫です。
繰り返すたびに整理していって、話を簡単にしていくようにします。

こんな勉強法が良いのでは? 数学の本が最後まで読めないという勉強法は古いように思う
証明の細部は飛ばして、まず全体像をつかむ、定理と証明の組み立ての構図をつかむ、その後、細部の証明を読む
全体像がつかめていれば、証明は自分で見出すことも可能だろう

541:③
12/09/21 12:03:00.74 .net
455 名前:現代数学の系譜11 ガロア理論を読む[] 投稿日:2012/09/17(月) 08:38:11.71
>>454
つづき

URLリンク(www.ms.u-tokyo.ac.jp)
セミナーの準備のしかたについて 河東泰之
抜粋
セミナーの準備のしかたは個人ごとに自分にあったやり方でやればいいので,別に特定のやり方を押し付けるつもりはありませんが,一つの例としてやり方を説明します.
まず,当然書いてあることを理解することが第一歩です.書いてあるのはすべて,なぜなのか徹底的に考えなくてはいけません.
「本に書いてあるから」とか「先生がそう言うから」などの理由で,なんとなく分かったような気になるのは絶対にアウトです.
そして「全部完全にわかった」という状態になるまで,考えたり,調べたり,人に聞いたりするのをやめてはいけません.

まだ準備は終わりではなく,始まったばかりです.
本を閉じてノートに,定義,定理,証明などを書き出してみます.すらすら書ければO.K.ですが,ふつうなかなかそうはいきません.
それでも断片的に何をしていたのかくらいは,おぼえているでしょう.そうしたら残りの部分については,思い出そうとするのではなく,自分で新たに考えてみるのです.

542:④
12/09/21 12:03:27.42 .net
そうして,筋道が通るように自分で再構成する事を試みるんです.
これもなかなかすぐにはできないでしょう.そこで十分考えたあとで,本を開いてみます.するといろいろな定義,操作,論法の意味が見えて来ます.
これを何度も,自然にすらすらと書き出せるようになるまで繰り返します.普通,2回や3回の繰り返しではできるようにならないでしょう.

さらにそれができるようになったとしましょう.今度は,紙に書き出すかわりに頭の中だけで考えてみます.
全体の流れや方針,ポイントは頭の中だけで再現できるものです.

このようにして,何も見ないでセミナーで発表できるようになるんです.
数学の論理は有機的につながっていて,全体の構造を理解していれば,正しく再現できるようになります.

以上のような準備をきちんとするには当然,膨大な時間がかかります.1回の発表のために50時間くらいかかるのは,何も不思議ではないし,100時間かかっても驚きはしません.
実験系統の院生は,朝から晩まで(あるいは晩から朝まで)実験しているんですから,数学だってたっぷり時間をかけないと身につかないのは当然です.

543:無名草子さん
12/09/21 19:04:45.23 .net
>>539-542
確かに何にでも「訓練」は必要ですね。スポーツでもゲームでも同じ。
ただ、どんな訓練法がいいのかは、ジャンルや個人によって違うでしょうね。
それに自分の意志で努力を継続できる人はやはりごく一部の優秀な人だけで、
我々のほとんどは強制されないと無理ですね。

544:無名草子さん
12/09/27 14:18:47.98 .net
片岡剛士『円のゆくえを問いなおす』(ちくま新書)読了。副題「実証的・歴史的に見た日本経済」。
第一章では「円高が深刻化しています」とひとまず断言した上で、日本経済の現状を概観。
日本企業への影響、円高のデメリットがメリットを上回っている点、政府の対応、日銀の金融政策などを一通り見ていく。
第二章では為替レートとは何か、という基礎的な解説から始まる。
為替レート・名目実効為替レート・実質実効為替レートという3つの指標、購買力平価説・金利平価説、などを説明。
その後、浜矩子らの「円高ではなくドル安だ」(※1)といったグローバル要因説が批判される。
そして為替レートに影響するのは国と国の間の通貨比率であり、中央銀行の金融政策である、と結論される。
第三章では、まず経済政策の3分類「経済安定化政策」「成長政策」「所得再分配政策」(※2)、
マンデル・フレミング効果、国際金融のトリレンマなどを説明した後、為替相場制度の歴史を概観する。
そして大恐慌について現在主流の説とされる「金本位制が大恐慌の主因」説を紹介する。
また70年代の日本経済における低成長化とインフレの原因についても最新の説を提示している。
この高インフレについても日銀の金融政策の誤りを指摘しているのは新鮮でもあり、また一般常識と食い違うところだろう。

(※1)は第一刷では「円高ではなくドル高だ」と誤植されている。名指しで他人を批判する部分で誤植はまずい。
(※2)の「再分配」は「再配分」と誤植されている。分配と配分は区別するのが慣例。紛らわしいけれど。

545:つづき
12/09/27 14:19:27.95 .net
第四章では、まずアメリカからの圧力(プラザ合意)による「円高シンドローム」を検討。
しかし95年以降はアメリカは「強いドル」政策に転換したので、現在の円高についてはアメリカの圧力では説明できない。
もう一つは政治家や日銀総裁らの「強い円」信仰が指摘される。ここで、なぜプラザ合意直後の円高は日本経済にダメージは与えなかったのか、
そして現在の円高はなぜ問題なのかが説明されている。それによると実質実効為替レートへの交易条件の改善が寄与する割合が大きい場合は、円高の害は少ないということ。
90年代~現在は交易条件の悪化と円高が同時進行する「過度な円高」である。
そして「変動為替相場制では各国の名目金利および予想物価上昇率に応じて為替レートが決まる」のであれば、過度な円高とは取りも直さずデフレのことである。
円高とデフレは貨幣的現象であることが再確認され、結局、中央銀行の金融政策が決め手となる。章の最後ではユーロ危機について触れている。
第五章では「円高とデフレを止めるために何をすべきか」と題して、リフレ論が展開され、日銀とFRBの金融政策を比較したりしている。
また「デフレと金融政策に関する10の論点」として、リフレ論に対するありがちな反論・疑問に答えるFAQが置かれている。
「おわりに」では全体の論旨をまとめている。

546:つづき
12/09/27 14:20:44.61 .net
力作ではあるが、やはり既にリフレにある程度好意的な人たちの間で消費されて終わるのではないか、と自分はちょっと悲観的。
まず純然たる初心者向けとは言えない点。一応、第二章では初歩的な事柄を説明しているが、もともと頭の良い人は別として、これらを初めて読んでサラッと理解できる人は少数だろう。
また既に自己流の経済理解で頭が固まっている人も脳内を修正するのは困難だろう。なんでもそうだが、経済学の論理や因果関係を理解するにも多少の訓練がいる。
そしてここに書いてあることを理解できたとしても、それがどこまで正しいのか判断するのはまた難しい。
一般に因果関係の実証は難しいが、経済学では厳密な実験が困難ゆえなおさらだろう。だから「他の可能性」はどこまでいっても排除できない。
よって相当おかしな事を言っているエコノミストでも淘汰されにくい。いくら批判されても浜矩子や藻谷浩介はビクともしないだろう。
通俗エコノミストだけでなく、アカデミックなマクロ経済学者でもこうしたリフレ論に冷淡もしくは懐疑的な人の方が多いのは周知の通り。
自分はこの本の内容に納得したが、かと言って、斎藤誠や大瀧雅之などのマクロ経済学の大御所先生を批判する能力があるわけでもない。
全体の構成に関しては、著者はできる限りわかりやすく整理しようと苦闘した跡がうかがえるが、やはり経済書に慣れていない人だと見通しが悪いと感じるかもしれない。
初心者は先に岩田規久男の『国際金融入門』(岩波新書)あたりを読んでから取り掛かるといいかもしれない。
安達誠司『円高の正体』(光文社新書)は同趣旨のものだが、あっさりしすぎていて、既にリフレ派の議論を知っている人には目新しさはないし、
リフレに懐疑的な人を説得できるものでもないと思う。現代日本における問題の重要性を鑑みると星5つ付けたいところだが、
やはり誰にでも勧められる本ではないので星4つか…★★★★

547:無名草子さん
12/10/28 13:20:29.12 .net
長谷川眞理子『進化とはなんだろうか』(岩波ジュニア新書)。進化生物学の入門書。
この人の新書は、性淘汰を解説した『オスとメス=性の不思議』(講談社現代新書)がベストに入っているが、本書はより基礎的な内容。
第1章では、種の多様性・生物の生活史やサイズの多様性、環境への適応ということを様々な具体例と共に見ていく。
これらを説明するためには進化という考えが必要になる。
第2章では、生物の定義、遺伝・DNAについて説明した後、DNAの複製に伴う間違いや組み換えによって個体変異が生じることを説明。
また生命の誕生はただ一回きりであり、すべての生物が共通の祖先から派生してきたものだという。
第3章では自然淘汰と適応について解説。この章の後半では、進化論についてのありがちな誤解を正している。
すなわち「進化には目的はない」「進化とは“進歩”ではない」「適応は万能ではない」。
第4章では変異と淘汰の種類について詳しく述べる。さらに中立進化についても簡単に説明している。
第5章では、種とはなにか、種の分岐とはどういうことかが述べられる。
第6章は「進化的軍拡競争と共進化」。アリと蝶の共生、虫と植物の「食う・食われない」競争、カッコウの托卵など、さまざまな共生や騙し合い・軍拡競争の面白い例が紹介されている。

548:つづき
12/10/28 13:21:31.52 .net
第7章では「最適化」について説明。第8章ではゲーム理論が導入され、「タカ・ハトゲーム」などを説明。
また、多くの生物で雄と雌の数の比が1:1になっているのはなぜか、という問題をフィッシャーの理論によって解く。
この7章と8章では初歩的な数理的分析が登場し、進化論では工学や経済学に似た手法を使っていることがわかる。
第9章では、雄と雌はなぜあるのかなど、性の起源と性淘汰について掘り下げている。
第10章では進化論学説史の概説。博物学の時代から、リンネの分類学、ウィリアム・ペイリーのデザイン論、ラマルクの獲得形質遺伝説などを経て、ダーウィン、ウォレス、メンデルが登場する。
岩波ジュニアということで中高生を主な対象としているのだろうが、手抜き一切なしの良質な内容で万人にお勧めできる。
基礎をきっちり押さえた上で、動物の面白い生態の具体例も豊富(自分も知らなかった事が多い)。
また現代の研究でわかっていることとわかっていないことの峻別、自分の専門でカバー出来ている部分と漏れている部分も明確化しており、科学的知的誠実さという点で申し分ない。
欲を言えばより進んだ学習のための文献案内があればよかった。初心者向けの進化生物学入門書というのはあまり良い物がないのだろうか。
これは数少ない良質な入門書ということで星5つ進呈★★★★★。あとこれは1999年発行で既に13年経過しているが、研究の進歩が早い分野なので、そろそろ改訂版が欲しいかも。

549:蛇足
12/10/28 13:22:59.15 .net
個人的に気になった事(批判ではない)。著者は「自然主義的誤謬」(「自然の事実が~である」から「~であるべきだ」を導出する誤謬)に注意を促しているが、
同時に「進化を知り…生命の流れを知ると、みんな一人ひとり個人的に、自分自身が生きていく上で、何か重要なものを見いだせるのではないでしょうか?」とラストで述べている。
また冒頭でも「生物の美しさと多様性とを同時に説明する唯一の理論」という風に「美しさ」という主観的な価値観を入れている。
自然から直接に普遍的な規範を導くのは誤謬でも個人的な価値観を読み込むのは自由なのかもしれない。
(また「自然主義的的誤謬」がなぜ誤謬なのかと突っ込んで考えるとよくわからないし、実際に「誤謬ではないかもしれない」という議論もあるらしい)。
しかし自分は進化には美しさなどよりもどちらかと言えば残酷さを感じてしまうし(自分が淘汰される側の弱い生き物だという感覚があるのだろう)それもまた自然な感情だと思う。
そしてこうした“自然”な感情が、進化論への誤解や歪曲や拒否の原因となることもある。ならばやはり進化を論じる際には「残酷」というような感情や価値観は括弧に入れた方がいい。
とするなら「美しい」という価値観も平等に括弧に入れた方がいいのではないか、と思う。
もう一つ、これも批判でも何でもなく個人的に気になったことにすぎないのだが、「進化には目的はない」と述べつつ、実際には進化的な究極要因が目的論的に記述されていること。
まぁ機能論的に限定して記述しようとしても、どうしても目的論が紛れ込んでしまうだろうし、言葉や人間の認知の枠組みの問題なのだろうけれど、中には混乱する人もいるのではないかと思う。考えすぎか。


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