25/06/15 21:56:45.84 RY6LPoNP.net
第三話「神の欠片と“忘れられた街”への招待状」
「―おいおい、本当に拾っちまったじゃねぇか……」
俺、**日向 蓮**は、いまだに現実味のないスキル《ゴミ収集》の力に振り回されながらも、その真価を理解し始めていた。
さっき拾った禁書《アガスの記録》の第一章を読んだことで、俺の中に確信が芽生えた。
この世界には、“意図的に忘れ去られた過去”が存在する。
そしてそれは、神々すら手出しできない“ごみ箱”に封印されていた。
だが、俺のスキルなら、そこに手が届く。
そして今、そのスキルが新たに拾い上げたのが、―これだった。
【神の欠片 ×1】
属性:記憶
説明:神格存在が崩壊した際に飛び散った精神情報の断片。人間の脳に触れると“幻視”を引き起こす。
備考:再利用には精製・安定化が必要。
「これで、さっきの剣―《ユグ=エリス》の再構築素材が、あと2つ……」
俺は思わず笑ってしまった。
「マジで、俺、なんでゴミ扱いされたんだ……?」
そのときだった。
―ザザッ。
ゴミ山の奥から、何かが動く音がした。
「……誰かいるのか?」
身構えた俺の前に、現れたのはフードを深く被った、小柄な影だった。
「……日向蓮、だね?」
「……あんた、誰だよ」
「私は、キルネ。“忘れられた街”の管理者よ。あなたを迎えに来たの」
「……忘れられた、街?」
キルネはうなずき、懐から一枚の破れた羊皮紙を取り出した。
【廃都イン=ルィアへの招待状】
内容:招待対象は《回収者》資格を持つ者
条件:スキル《ゴミ収集》を保有していること
備考:この招待は“神々の目”からも隠されている
「あなたのスキルは、単なる収集じゃない。“世界の隠された基盤”にアクセスできる。だから、あなたにしか開けない扉があるのよ」
「つまり、俺に来てほしいと?」
「ええ。廃都には“神の欠片”が集まっている。……あなたがそれを集めるなら、避けては通れない場所になるわ」
俺は、ふと剣のステータスを思い出した。
―必要素材:神の欠片×3、封印解除キー。
ここにあるのは一つ。なら、残りはその“廃都”にあるかもしれない。
「わかった。行ってやるよ。どうせこのままゴミの中でくすぶってても仕方ねぇ」
キルネがわずかに笑ったように見えた。
「なら、急ぎましょう。あの街は今、“記憶災害”の影響で崩壊しかけている。間に合えば、あなたがすべてを回収できる」
「“記憶災害”?」
「ええ。世界そのものが、過去を拒絶し始めているの。……あなたは、過去を拾う者。つまり、“世界そのものに逆らう存在”になる」
冗談じゃねぇ。なんだよそれ。
けど―
「面白ぇじゃん。上等だよ」
俺は剣を腰に収め、背中に禁書をくくりつけた。
ゴミの山から足を踏み出す。
その一歩は、もう、“拾われた存在”じゃなかった。
俺が拾い上げる側だ。
スキル《ゴミ収集》。
世界に捨てられたすべてを、拾い尽くしてみせる。