20/12/03 13:03:02.18 DAXmw/SI.net
>読み手にそう取られないよう、今後気を付けていきたいと思います。
「だったら、元カノとの話と祖母のことは結び付けない方が良かったな。
それぞれ別の話にした方が良かった。
これでは完全にグランドマザコンだ」
811:ぷぅぎゃああああああ
20/12/03 13:07:24.87 PLGFd7XD.net
>>809
内向的な主人公なので臆病に関しては程度の度合いと考えた!
そののような書き方であれば頭で補完する必要がなく、
すんなりと内容が頭に入ってくる!
ナイス、アドバイス!(`・ω・´)b昼食にしよう!
812:ぷぅぎゃああああああ
20/12/03 13:08:41.42 PLGFd7XD.net
そのような、であった!(`・ω・´)ノシ
813:この名無しがすごい!
20/12/03 13:10:22.37 DaVhLXKQ.net
>>809
>>810
ありがとうございます!
目から鱗です。
皆様のご指摘いただいたアドバイスを元に、もう一度きちんと練って書き直そうと思います!
本当にありがとうございましたm(_ _)m
814:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/03 13:12:28.37 DAXmw/SI.net
「実は、この作者は自分の臆病をそんな悪いことと思っていない。
短編の臆病シリーズで連作化してみたら?」
815:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/03 13:18:12.87 DAXmw/SI.net
「臆病がカッコ悪いなら英語にするとかね。
”ティミディティな僕”とか」
816:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/03 13:26:14.81 DAXmw/SI.net
>>804
>しかし三十路を超えた辺りから、どうも億劫なのである。保守的になったのだろう。
億劫、保守的ぐらいの捉え方だからね
そんな否定的に考えていない
817:ぷぅぎゃああああああ
20/12/03 13:27:09.54 PLGFd7XD.net
軽めの昼食にした!
さて、続きをやるか!(`・ω・´)この忙しさではワイスレ杯の開催が、ま、来年でいいよね!
818:この名無しがすごい!
20/12/03 13:31:05.41 DaVhLXKQ.net
>>814
>>815
面白そうなタイトルですね!
読んでみたくなります!
アドバイスありがとうございますm(_ _)m
819:この名無しがすごい!
20/12/03 17:37:28.13 2pCBRTNp.net
>>804
> そう祖母は言うと、テレビに目線を向けたまま、目の前の炬燵の上の林檎をフォークで差し
祖母はそう言うと、テレビに目線を向けたまま、目の前の炬燵の上の林檎をフォークで差し
個人的にはこっちの方が美しいと思う。些末な事だけど。
> 祖母はそう僕に言ったことは、ついと忘れたのか、なんでもなかったかのように「あんたも林檎お食べ。」と勧めてきた。
後にも出てくるけど「そう」が多いし、使い方があまり美しくないように思う、些末な事だけど。
祖母は先程僕に対して言ったことをついと忘れたのか、なんでもなかったかのように「あんたも林檎お食べ。」と勧めてきた。
ただの提案。
> 僕はそう言って目の前の皿に立てかけられたフォークに手を伸ばした。
答えた僕は目の前の皿に立てかけられたフォークに手を伸ばした。
ただの提案。
> 残りの大皿の上の林檎をたいらげ、大皿とフルーツ用の小さなフォーク二つを洗い、
残りの大皿に残された林檎をたいらげ、大皿とフルーツ用の小さなフォーク二つを洗い、
「の」を消せる。
基本的に読みやすい文章。好感が持てる。
> その言葉は彼女に届くはずもなく、彼女の後姿を吹き抜けた風にかき消された。
ここはあまりいただけない。エゴを感じる。
820:この名無しがすごい!
20/12/03 17:46:35.49 2pCBRTNp.net
>>819
残りの大皿に残された林檎をたいらげ、大皿とフルーツ用の小さなフォーク二つを洗い、
これは無し。
821:この名無しがすごい!
20/12/03 17:56:53.32 2pCBRTNp.net
残された林檎をたいらげ、大皿とフルーツ用の小さなフォーク二つを洗い、
この方がスッキリするかな?
822:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/03 18:02:12.33 DAXmw/SI.net
>>821
「元の方が良いね、文章としてのリズムが悪い」
823:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/03 18:08:35.53 DAXmw/SI.net
>>804
>僕はそう言って目の前の皿に立てかけられたフォークに手を伸ばした。
>残りの大皿の上の林檎をたいらげ、大皿とフルーツ用の小さなフォーク二つを洗い、
ちょっとサイズ感がおかしいなあ
「立てかけられたフォーク」って
「フルーツ用の小さなフォーク」なんだろ?
林檎を食べるだけの皿に大皿もおかしいなあ
824:この名無しがすごい!
20/12/03 18:45:54.19 7Y0UM26B.net
最初に『皿』と言って後から『大皿』と言い換えるのは読者のイメージが狂うからよろしくないよね。
最初に『大皿』で次に『皿』なら違和感なく読める。
でもいずれにせよ『大皿』がこの作品の林檎に合わないのはバーチャルに同意。
なるべくこじんまりした雰囲気を壊さないようにした方が良いと思う。
>残りの大皿の上の林檎をたいらげ、大皿とフルーツ用の小さなフォーク二つを洗い、
皿の上に残った最後のひと欠片をたいらげると、台所に行って皿とフォークを洗い、
で、どうだろう。
825:この名無しがすごい!
20/12/03 18:52:11.64 7Y0UM26B.net
>大皿とフルーツ用の小さなフォーク
もしかして、大と小の対比で皿の上に残ったフォーク(主人公の投影)の矮小さを強調したかったのだろうか
826:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/03 18:53:54.60 DAXmw/SI.net
>小さなフォーク二つ
だから違うね
827:この名無しがすごい!
20/12/03 18:56:20.48 7Y0UM26B.net
ああ、二つか
見落とした
828:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/03 19:01:30.90 DAXmw/SI.net
「祖母の言う臆病と元カノの臆病は全然違うんだよな。
元カノのは責めであり、祖母のは心配。
で、主人公は祖母の臆病の方が的確だと思っている」
829:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/03 19:03:47.62 DAXmw/SI.net
「主人公は、”臆病”ってそんなに悪いことかな?って思っている」
830:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/03 19:07:00.43 DAXmw/SI.net
「大皿が、祖母の器の大きさを表わしているとは思うけどね」
831:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/03 19:12:08.40 DAXmw/SI.net
>>804
>「あなたのような臆病な人とは長い目で見てやっていけない。」
ちょっと作り話っぽいけどね
女性がこういった、ハッキリとした物言いをするだろうか?
「臆病だからやって行けない」とか、原因の特定をするかだよな
832:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/03 19:21:14.39 DAXmw/SI.net
「”臆病”みたいな抽象的な話ではなく、
あの時ああだったから、もうやって行けないと思った
みたいな話になると思うんだよね」
833:この名無しがすごい!
20/12/03 19:51:33.67 KionPWms.net
>>832
それはこの文章だけでは判断できない。
彼女のセリフには、その前後もあったはずだから。
834:この名無しがすごい!
20/12/03 19:54:57.10 KionPWms.net
バーチャルは「臆病」というワードを気にしすぎじゃないか?
その言葉が作品の中で重要なのかどうかもこの文だけでは判断できないぞ
835:猫
20/12/03 19:57:26.30 2pCBRTNp.net
なんだ、バーチャル、まともなこと言えるじゃんか。
836:猫
20/12/03 20:00:26.63 2pCBRTNp.net
>>831
確かに、女性はこういうはっきりとしたものいいはしないな。
童貞とは思えない観察眼だ。
837:この名無しがすごい!
20/12/03 20:11:23.99 wEMrZkrs.net
>そうハッキリ言われた。
とはっきり言っているのだから、言ったんじゃないの?
それほど変だとは思わないな。
838:この名無しがすごい!
20/12/03 20:23:11.28 wEMrZkrs.net
「パパのお金」でも、ママはパパよりもはっきりものを言ってるじゃない。
女はね、その時々のテンションで口調も表情も変わる、男の数十倍も感情表現が豊な生き物だよ。
839:この名無しがすごい!
20/12/03 20:29:44.10 aYN6Z4CL.net
テンション自体も一瞬一瞬で変わるしね。
女心はカレイドスコープ。
840:猫
20/12/03 20:45:14.00 2pCBRTNp.net
>>838
そう言われてみれば、妻と口論しても最終的には「なんだおまえこのやろう」で終わってる気がする。
確かに女性は口達者だ。
841:この名無しがすごい!
20/12/03 20:48:24.12 ZTLhDZ5a.net
最初に林檎を丸ごと一個でイメージしたの自分だけ?
八分の一にカットした、とか、半月状にカットした、とか、うさぎりんごにした、とか入れてほしい
842:この名無しがすごい!
20/12/03 20:54:48.73 ZTLhDZ5a.net
あと皿様子の描写もいれたら、おばあちゃんの人物表現ができると思うんだよね
843:この名無しがすごい!
20/12/03 20:55:16.11 ZTLhDZ5a.net
○皿の様子
844:この名無しがすごい!
20/12/03 20:55:43.42 ZTLhDZ5a.net
古びた大山陶器とか
845:この名無しがすごい!
20/12/03 21:26:41.60 aYN6Z4CL.net
>>841
最初っていうと、こういうことか?
「なんだか、急に臆病な性格になりんしたなぁ。」
そう祖母は言うと、テレビに目線を向けたまま、目の前の炬燵の上の丸い林檎をフォークで差し、林檎の半分をしゃくりと音を立てて頬張った。
ばあちゃん豪快だなw
846:804
20/12/03 21:28:46.36 1TKNMeMv.net
皆様、沢山の貴重なご意見ありがとうございます!
久々の2ちゃんへの書き込みだったので、投稿したときはおっかなびっくりだったのですが、皆様のアドバイスのお陰でとても勉強になりました。
以降ロム専に戻りますね。
皆様の事を陰ながら応援致しております。
沢山の貴重なご意見やアドバイス、本当にありがとうございました!
それでは失礼致しますm(_ _)m
847:この名無しがすごい!
20/12/03 21:50:21.67 ZTLhDZ5a.net
>>845
そうそう、フォークを上からぶっ刺したから、え?って
どうやら自分だけらしい
気にしないでください、作者さん
848:この名無しがすごい!
20/12/03 22:03:38.93 aYN6Z4CL.net
>>846
またおいでーノシ
849:シャム猫
20/12/03 22:06:13.15 aZUaESfh.net
また、ドヘタクソのアホの子同士で、勘違いな作文議論をあーだこーだとやっているのか、やれやれであるな
850:シャム猫
20/12/03 22:07:39.52 aZUaESfh.net
さて、極上のビールにするか
ツマミは、カラムーチョにするか
851:この名無しがすごい!
20/12/03 22:26:05.90 aYN6Z4CL.net
>>850
今日は仕事にありつけたのか。良かったな
働いた後のビールは最高だよな
852:この名無しがすごい!
20/12/03 23:43:41.34 qHPt16BF.net
カラムーチョは極上じゃないのか?
853:この名無しがすごい!
20/12/04 00:51:32.62 68KITgZp.net
美世はん、こんばんは
うちのこいさん、ちぃちゃんいう名前やねん
めっちゃかいらしい子やでぇ~
どんな悪さしても、叱れへん
まぁ、猫なんやけどな(#^.^#)
ゆっくり寝たってや
おやすみなさい
854:この名無しがすごい!
20/12/04 01:11:45.38 Kn5FpDGf.net
>>804
>臆病な性格になりんしたなぁ
>どうも億劫なのである。
>あなたのような臆病な人とは
>臆病者になって冷え切った僕の心は
短文なのに、「臆病」が何度も出てきて、くどい
同じ言葉を何度も使うのは最後の一行「臆病者になって冷え切った僕の心は、炬燵でぬくもりを得る」を弱くしてしまっている
855:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/04 05:55:49.17 CF9VU6Ab.net
>>834
「この作品どころか、作者の生き方、スタンスの中で重要なワードだ。
”臆病”って言うとネガティブだけど、作者はそれは”慎重”ってことでもあると反論している。
作者が”臆病”を特に悪いと思っていないのがミソで、あながち間違いではない。
大胆は、無神経、ずうずうしさにも繋がるからね。
でも、全肯定している訳でもない。
それは世の中全体の空気とも通底する重要な視点だ。
良い着眼点なのである。
だから、それを半ばポジティブにシリーズ化せよと言った」
856:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/04 06:01:40.88 CF9VU6Ab.net
「まあ、俺は世の中全体が”臆病”になっているから、
”無神経、ずうずうしさ”を肯定したいけどね。
”もっと、厚かましくなろう!”」
857:この名無しがすごい!
20/12/04 06:34:05.44 HezJGszV.net
>>855
>この作品どころか、作者の生き方、スタンスの中で重要なワードだ。
言いすぎ
>作者はそれは”慎重”ってことでもあると反論している。
作者でなく主人公な
一つの言葉に過剰反応しすぎだ
作者というよりお前にとって重要なんじゃないのか?
読者として琴線に触れたというのなら悪くはないけど、評価者としては作品の対象化が出来ていない。この文が全体のごく一部に過ぎず、ストーリーは始まってもいないという事を忘れるなよ
むしろ>>854に同意だな
この作者は同じ単語を繰り返し使う癖があるようだ
癖というより、書きなれていないという感じかな。もっとたくさん書くと気付いてくる部分だと思う
858:ぷぅぎゃああああああ
20/12/04 06:37:21.65 Az8yXQoP.net
おはよう諸君!
作者には色々と考えがある!
くどい個所は強調であり、大げさな表現はのちの伏線の場合もある!
あと細かい指摘は作者の個性を消してしまうかもしれない!
深読みし過ぎて作者の本意を見落とすこともあるだろう!
どのような動機であってもアドバイスは作者の為にある!
くれぐれも己の欲求を満たす行為には走らないように!
さて、今日も執筆に励むとしよう!(`・ω・´)
859:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/04 06:41:17.86 CF9VU6Ab.net
>>857
>作者でなく主人公な
「作風として、作者と主人公が明確に分離されている訳ではないな。
主人公の考え=作者の考えと考えて差し支えない。
これは、読者としてではなく、アドバイザーとしての読み、分析である」
860:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/04 06:44:11.31 CF9VU6Ab.net
>>858
>あと細かい指摘は作者の個性を消してしまうかもしれない!
>くれぐれも己の欲求を満たす行為には走らないように!
「お前がやっていることじゃん。
他人に言う前に自分が自覚しろ」
861:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/04 06:46:42.51 CF9VU6Ab.net
>>857
>一つの言葉に過剰反応しすぎだ
「単に”一つの言葉”ではなく、重要な言葉、キーワード。
それに着目するのは当たり前の話である」
862:ぷぅぎゃああああああ
20/12/04 06:46:44.21 Az8yXQoP.net
嘘吐きは豚の始まり!m9っ`・ω・´)ノシ 所詮は小者! ワイを頼らなければ自スレの維持もできない!
863:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/04 06:51:04.00 CF9VU6Ab.net
「キーワードを読み取れない、お前の読解力に問題がある。
他人を指導できるレベルにない」
864:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/04 06:53:54.40 CF9VU6Ab.net
>>862
「じゃあ、以下のにはレスしないことだな。
このスレと俺の前スレはご破算のスレ」
☆バーチャル編集部が作家をプロデュースするスレ【2】☆
スレリンク(bookall板)
865:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/04 06:59:46.52 CF9VU6Ab.net
>>862
「俺のお陰で、議論が盛り上がったのだから逆に感謝しろ!
俺がレスしないと過疎って維持できないのは、そっちだろ?」
866:この名無しがすごい!
20/12/04 07:01:58.65 v4HOWc9R.net
もっと荒れろ
867:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/04 07:02:56.24 CF9VU6Ab.net
「俺は、俺のスレでのお前の指導を一切咎めなかった。
内容の否定もしなかった。
咎めるお前は、器が小さいな」
868:シャム猫
20/12/04 07:16:34.81 H8psCCMY.net
>>852
カラムーチョは、カラムーチョであろう
やはり、君はアホであるな
869:シャム猫
20/12/04 07:19:47.69 H8psCCMY.net
>>851
>働いた後のビールは最高
だとか思うのは、それだけ君が普段キツイ仕事や、嫌いな仕事を嫌々やっている。ということであろうな
そんなんなので、働いた後は何をやっても最高wだとかいう思考になるのであろう
まさに、底辺労働者の思考回路であるな
870:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/04 07:19:55.36 CF9VU6Ab.net
「"極上のうま辛ポテチ"と言えば良かったな」
871:シャム猫
20/12/04 07:20:56.19 H8psCCMY.net
私の場合はただ極上のビールを普通に飲んで、いつも味わっているだけなので
872:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/04 07:22:27.75 CF9VU6Ab.net
>>869
> 今日は仕事にありつけたのか。良かったな
> 働いた後のビールは最高だよな
「まさに、ワイのライフスタイルだよな。
まずワイに言ってやれって話」
873:ぷぅぎゃああああああ
20/12/04 07:53:25.82 Az8yXQoP.net
腹八分目!
さて、続きをやるか!(`・ω・´)
874:この名無しがすごい!
20/12/04 07:55:10.29 LbJlkmYE.net
あーあ
たった一日しか持たんかったな
豚の限界
一つのことにこだわり過ぎて呆れられ、ちょっとでも反論されると逆上する
毎度のパターンだよ
875:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/04 07:58:45.00 CF9VU6Ab.net
「俺の前スレに先にレスしたのはワイ豚の方じゃん
だから、このスレと俺の前スレはご破算だ。
互いの次スレから仕切り直し。
俺のスレはもう更新済み、ここはマダ」
876:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/04 08:02:03.10 CF9VU6Ab.net
「反論されると逆上し、人格攻撃し出すのはバカの証拠。
理屈で言い返せないから、小学生みたいに豚とか言い出す」
877:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/04 08:05:46.18 CF9VU6Ab.net
> 腹八分目!
>
> さて、続きをやるか!(`・ω・´)
「これが読者にとって不快だとわからない。
こういう無意味なレスを平気でするのは、プロ作家ではない証拠」
878:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/04 08:10:48.21 CF9VU6Ab.net
「毎度のパターンだよな。
理屈で言い返せないから人格攻撃、バカのバカたる所以」
879:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/04 08:15:12.79 CF9VU6Ab.net
>>874
>>814
>>815
> 面白そうなタイトルですね!
> 読んでみたくなります!
「作者からは高評価を得ている」
>どのような動機であってもアドバイスは作者の為にある!
「お前の師匠もこう言っている」
880:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/04 08:16:26.12 CF9VU6Ab.net
「じゃあこれで、邪魔したな」
881:シャム猫
20/12/04 08:17:06.41 H8psCCMY.net
豚豚と他人に対して豚を悪口として使っているような者が、普段は豚肉を美味しく食べている時点で、なんとも滑稽なわけだが
まだ、ゴキブリを悪口として使うのならば話もわかるが
882:シャム猫
20/12/04 08:18:38.57 H8psCCMY.net
結局、何にしてもセンスが無いので、悪口にしても全然上手く出来ないのであろうな
883:この名無しがすごい!
20/12/04 08:19:56.35 LXS/4FUL.net
>>881
まだいたのか? ゴキブリ
884:この名無しがすごい!
20/12/04 08:28:15.95 fFN+uUyz.net
>>882
今日は仕事にありつけなかったのか、ゴキブリ
885:シャム猫
20/12/04 08:31:43.54 H8psCCMY.net
と、このように、センスの無いアホの子はすぐに他人の真似をするのでわかりやすいであるな
886:シャム猫
20/12/04 08:34:12.42 H8psCCMY.net
結局、自分で何かを考えて上手く決められるような頭が無いので、そうなるのであろう
このようなスレに長年入り浸る理由にしても、それであろう
作文のことも自分で何も上手く決められないので、ここのワイくんに頼ったり、ワイくんのお題が無いと何も書けなかったり、ということであろう
887:この名無しがすごい!
20/12/04 08:34:39.38 fFN+uUyz.net
>>885
顔真っ赤だぞゴキブリ
888:この名無しがすごい!
20/12/04 08:36:30.79 Kn5FpDGf.net
「であるな」「であろう」の連発での口調の癖でしか書けないシャム猫も問題は多いとみる
889:シャム猫
20/12/04 08:36:42.50 H8psCCMY.net
自分だけでは何も出来ないアホの子というのは、何をするにしても、他人にどうすれば良いですか?何をすれば良いですか?とイチイチ聞かないと何も出来ないような無能なので
890:この名無しがすごい!
20/12/04 08:37:00.58 fFN+uUyz.net
顔真っ赤なのは君であろう
と脊髄反射レスするんだろゴキブリ
891:シャム猫
20/12/04 08:37:25.62 H8psCCMY.net
>>888
いやいや、私は数々の作品で、色々なキャラを上手く使いこなしているので
892:この名無しがすごい!
20/12/04 08:38:08.68 Kn5FpDGf.net
ところで、今日は「鬼滅の刃」のコミックスの最終巻発売日なので
お前らも買えよw
893:シャム猫
20/12/04 08:39:52.91 H8psCCMY.net
作文というのは、本来自分一人でやるものなので、他人にイチイチ聞かないと出来ない時点で、向いてないわけなので
そんなんであれば、とっとと辞めるべきであろうな
894:この名無しがすごい!
20/12/04 08:40:13.42 Kn5FpDGf.net
>>891
いつも「であろう」とやってると、その書き癖が
知らないうちに出てしまい、弊害になりかねないぞ
癖というのは怖いもんだよ、気を付けたほうがいい!
895:シャム猫
20/12/04 08:40:41.54 H8psCCMY.net
>>894
それは、君のアホな思い込みでの決め付けなだけであろう
896:シャム猫
20/12/04 08:41:35.81 H8psCCMY.net
私のは癖ではなくて、ただの1つのキャラの喋りなだけなので
897:この名無しがすごい!
20/12/04 08:42:17.10 fFN+uUyz.net
>数々の作品
数年前に書いた数えるほどの作品だろ
しかもキャラが底辺しかいない
898:この名無しがすごい!
20/12/04 08:42:27.94 Kn5FpDGf.net
せっかく持ってる文才が劣化するぞ
899:シャム猫
20/12/04 08:43:42.71 H8psCCMY.net
癖というのは、ここの名無しの書き込みでいうと、たかもりくんや負け猫くんやミヨのガイジくんの書き癖とかのことであろう
そういうのは、名無しであっても、すぐにわかるので、お前たかもりだろ!負け猫だろ!とかってすぐにバレるわけであるわな
900:シャム猫
20/12/04 08:44:25.01 H8psCCMY.net
>>897
いやいや、私は名無しでワイハイでもかなりの作品を書いているので
901:シャム猫
20/12/04 08:45:11.28 H8psCCMY.net
私は名無しで潜伏すれば、他人からバレることはないので
902:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/04 08:45:36.22 CF9VU6Ab.net
>>896
「そういうことだな。
小説やマンガのキャラの口癖と同じ」
903:シャム猫
20/12/04 08:47:21.58 H8psCCMY.net
さて、極上のパンと、極上のコーヒーにするか
904:(`・ω・´)バーチャル編集長
20/12/04 08:53:08.91 CF9VU6Ab.net
>>903
「ちょっともうそれ飽きたな。
違う、バリエーションは無いのか?」
905:この名無しがすごい!
20/12/04 08:55:27.75 fFN+uUyz.net
>>900 >>901
とうとうそんな嘘までつき始めたか
もはや末期であるな
906:シャム猫
20/12/04 09:07:30.36 H8psCCMY.net
>>905
いやいや、君がただの無知なだけであろう
907:この名無しがすごい!
20/12/04 09:24:29.62 QqQAkzHI.net
>>896
気持ち悪いな、ゴキブリ
908:ぷぅぎゃああああああ
20/12/04 09:27:38.03 Az8yXQoP.net
>ところで、今日は「鬼滅の刃」のコミックスの最終巻発売日なので
なるほど、だからなのか!
新聞の二面を使って桜が散る中、白目を剥いた人が手を合わせていた!
コーヒーを淹れて続きに励むとしよう!(`・ω・´)
909:シャム猫
20/12/04 09:32:50.51 H8psCCMY.net
idをイチイチ変えて、カサカサカサカサ出てくるような者こそ、ゴキブリっぽいであろう
910:ぷぅぎゃああああああ
20/12/04 13:43:32.63 Az8yXQoP.net
なるほど、新聞の種類によって鬼滅のキャラが変わるのか!
全種類コンプの為に走り回っていた者達の理由がわかった!
腹は満ちた! 引き続き執筆に勤しむ!(`・ω・´)
911:ぷぅぎゃああああああ
20/12/04 17:08:44.53 Az8yXQoP.net
ふむ、切りがいいので終わるとしよう!
そうそう、今日の新聞広告で白目を剥いていた人は、
悲鳴嶼行冥と云う名が判明した! 文字化けしなければいいが!
かなりの強キャラみたいなので銀杏をチンする包装紙に使う!
神社から拾ってきた銀杏はおそらく数百個!
破れずに耐えてくれることだろう!(`・ω・´)まずは精米を始めよう!
912:シャム猫
20/12/04 18:01:16.42 W0Ah0RkI.net
>>911
また、そんな拾った新聞と拾った銀杏でのビンボー飯を食べるのか、やれやれであるな
913:この名無しがすごい!
20/12/04 20:55:44.57 YrQry5BI.net
美世さん見ないな
また死にかけたりしているのだろうか
914:ぷぅぎゃああああああ
20/12/04 21:40:26.19 Az8yXQoP.net
美世君はどうなのだろう!
そのようなことはないと思うが、
山の測量中に足を滑られて半ば滑落!
落ちた衝撃で持参した機器は壊れ、通信手段を失った!
自力で何とかしようともがいてみたが一本の足が折れていた!
深く息を吸い込むと鈍痛がする! あばらも無事ではなかった!
近くには社員がいる! そこでじっと痛みに耐えるが空腹と喉の渇きに苛まれる!
手の届く範囲で地面を掘る! 爪に土が食い込み、指先に血が滲む!
それでも掘り続けて湿った土を手で掬い、唇に押し当てて吸った!
慌てたせいで土を吸い込んで激しく咳き込む! 腹を壊し、その場で漏らす!
余計に脱水症状が酷くなり、意識が朦朧としてくる! 臭いを嗅ぎ付け、獰猛な羆が現れた!
為す術がない! 己が食われる様子をぼんやりした意識が眺める!
絶命の危機に瀕し、ふと思う! もう一度、ワイスレ杯で優勝したかったと!
等と云う妄想をしているうちに眠気がきた!(`・ω・´)ノシ 少し早いが横になるとしよう!
915:ぷぅぎゃああああああ
20/12/04 21:41:10.75 Az8yXQoP.net
うむ、滑らせてであった!(`・ω・´)ノシ
916:ぷぅぎゃああああああ
20/12/04 21:43:34.12 Az8yXQoP.net
ぼんやりした意識で、がいいか!(`・ω・´)ノシ 眠気でワイの意識が怪しい!
917:この名無しがすごい!
20/12/04 21:52:46.22 YrQry5BI.net
まさか食われながらワイスレでうぇうぇwww言ってただなんて……
918:ぷぅぎゃああああああ
20/12/04 21:56:07.10 Az8yXQoP.net
合掌!(`―人―´)美世君、安らかに、うぇうぇ!
919:この名無しがすごい!
20/12/04 22:38:33.51 25Yi3Yvu.net
ぷぅぎゃああああああがとってるのは読売新聞だな
920:この名無しがすごい!
20/12/04 22:39:51.56 25Yi3Yvu.net
>>918
>合掌!(`―人―´)美世君、安らかに
あーあ、美世を殺しちゃったよwww
921:美世だが
20/12/04 22:46:07.13 1OkFp2aV.net
はい残念なお知らせがあります
おっちゃん生きてましたwwwwwうぇうぇ
カナダ製のグリズリー用スプレーも持ってます残念でしたー
さて
とは言うもののかなり危険な状態を脱したばかりで軽口もたたけませーん
という訳でお蔵入りシリーズ公開
922:美世だが
20/12/04 22:50:00.59 1OkFp2aV.net
押忍!千夏姉さんとピロキ
悩める女
あたしは千夏。気合の入った職人系女子だ。相棒はピロキこと冬月博紀。超一流企業の商社マンだ。あたしは博紀より勉強はできないが、頭の回転が速いし勘が鋭いなんて言われている。
それに比べてピロキは頭はいいのに絶望的に勘が悪いし世間を知らない。そんなピロキは今日は飲み会だと言っていた。そして、早く帰るといっていたのに終電の時間を過ぎた。イライラして待っていると、玄関がガチャコンと開く音がした。そしてリビングに入ってくると、小さくて可愛い女を連れていた。あたしぽっかーん。相手の女もぽっかーん。
「あのさ、彼女実家住まいなんだけどさ、家に帰りたくないって泣くんだよ、千夏ちゃん相談乗ってあげて」
空気が凍りついた。しばしのあと、絶望的に空気を読めないピロキ。
「きっと複雑な事情があるんだよ」
いや、複雑な事情はあるが、お前に通じてないだけだ。あたしは溜息をついて女を見た。
「そういうわけだ、諦めな、お嬢ちゃん」
わけがわからずきょろきょろするピロキ。泣き出した女。
「まあ、風呂にでも入ってさっぱりするがいいさ、今日は泊まっていきな」
泊まる気満々だったろうけどさ。
女はおつまみ食い散らかしてビール飲んで寝た。
ご都合主義
あたしとピロキは商社が海外に建設するプラントの基礎をあたしが設計した事で出会った。一目惚れだとかなんだとか、そんな事始めて言われたあたしもまんざらな気持ちではなかったが。ピロキは見た目はカッコイイし、高収入だが、どうも野性味が足りない。
はっきり言ってタイプではなかった。なのにある日告白されてしまった。普通の男はあたしが土木関係の仕事だと言うと去っていくが、ピロキにそれは通用しない。どうしようか迷った挙句、嘘をついた。
「千夏さんが好きです、付き合ってください」
「あーえーと、実は好きな人がいるから」
「え! それってもしかして僕の事!?」
ちげーよそんなフラグ立てた覚えねーよ。
923:美世だが
20/12/04 22:50:53.01 1OkFp2aV.net
ガッツ
ピロキは見かけによらず根性だけはあった。ブリンカーを装着した馬のようにあたししか見えていないらしい。正直ウザかったが、毎日毎日好きと言われても不思議と迷惑とまでは思わなかった。そんなある日、ぱたりと連絡が来なくなった。
こざかしきかな、不器用なふりしていっちょ前に駆け引きをし掛けてきやがった。こちらから連絡なんかしてやるもんかと思ったが、そのまま3日経過した。ぜってぇ連絡しねえ、と思ったが、ちょっとピロキの部署に用事を作って様子を探ってみた。
「申し訳ありません、冬月は3日前から体調を崩して自宅療養しております」
インフルエンザかー、流行ってるもんなー。心配なんてしてないけど一応お見舞いで声かけた方がいいのかな。ビジネスパートナーだし。
「プルルルルもしもし」
『……はぁ、はぁ』
「もしもし、もしもし?」
『ぁ”あ”あ”う”ぁ”あ”』
ひぃー! 死にかけてんじゃん!
「もしもし! どこにいるの? 住所は!?」
『あ”う~、と……とう……きょうと』
そっからかよ……。
あたしは何とか住所を聞き出すとタクシーでそこへ向かった。
ここで間違いないはずだが……。目の前のアパートは、築30年は経ってそうなアパートだった。平均年収1500万の企業で働く社員の家じゃない。何か戸惑ってぼーっとアパートを見上げていると、近くで掃き掃除をしていた老人が声をかけてきた。
「うちのアパートに何か用かい?」
ふむ、オーナーか。だめもとでやってみるか。
「冬月博紀の姉ですけど、連絡がとれなくて困っています、でも鍵を持ってなくて」
こんなんじゃ開けてくれないか。
開けてくれた。
部屋はゴミ袋が積み上げてあって、奥の窓際の煎餅布団で博紀は倒れていた。枕元には空になったペットボトルが3本。頭上の壁際には魚の水槽。あたしはうつ伏せの博紀をごろんと転がすと、布団を直した。体が異様に熱い。なんとかしなければならないと部屋を見渡すと、ちゃぶ台の上に薬の袋。悪化する前に病院に行ったようだ。
さらに見回すが、この部屋に体温計などあるはずがない。そこで着目したのが水槽の温度計だ。近寄って見ると40度まで設定されている。水槽に手を突っ込んで吸盤を剥がし、台所で洗って全体を脇に抱えさせた。時々確認しながら待つ事10分。温度計は39度をわずかに超えている。薬の袋を確かめてみたが、熱さまし系がない。あたしは冷蔵庫をチェックした。うわ、ロクなもん食ってねーななどと思いながら。ドアポケットに座薬を発見した。
のはいいが、さて。あたしは博紀の横に座ってしばらく考えたが、思い切ってちゃぶ台返しをした。そしてズボンとパンツをひっぺがす。なんか見えてるけど見てない見てない。そして剥いた座薬をティッシュで摘み、尻の肉をどけてえいや!
どっと疲れたが、しばらくして顔色がよくなってきた。なんか食わさねーとなーと思ったあたしは冷蔵庫の中のものを駆使してお粥を作った。
「ほらご飯だよ」
軽く頬を叩くとピロキはうっすら目を開けた。
「か……母さん、来なくていいっていったのに」
幻覚を見ているらしい。
「いいから食べなさい」
そういうと「ありがとう」を繰り返しながら涙を流した。
お粥を半分ほど食べると、口を開けなくなった。そして目を瞑ると、うわ言のように喋り出した。はっきりとは喋れないが、意訳はこうだ。
「俺さ、今好きな人がいるんだ」
「そう」
「凄い素敵な人で、だから俺相応しい男になれるように仕事を頑張ってるんだ」
「そう、偉いね」
「会社行かなきゃ……会社……」
「いいから寝てなさい」
「ガッツだ……ガッツだ、千夏さんに相応しい男になるんだ……」
不覚にもきゅんとしてしまった。ナイチンゲール症候群もプラスされているような気がするが、結局後日、あたしたちは付き合う事となった。
付き合ってしばらくした時、親友の美菜にランチがてらピロキを紹介した。
「かっこいいじゃん」
「まあ、見た目はね」
照れて恥ずかしそうなピロキはクネクネしてキモイ。
「で、お2人さんどこまで行ったのよ」
どこまでも何もピロキが奥手すぎてまだ手も繋いでいない。しかしピロキは嬉しそうに答えた。
「ディズ○ーに行きました!」
ぽかんとする美菜とあたし。空気読めないなりに何か感じたらしく、付け加えた。
「あ、ランドの方っす」
爆笑する美菜。
「え? え?」と混乱するピロキ。頭を抱えるあたし。ガッツはあるんだ、ガッツは。
これがあたしが冬月千夏というカオスネームになるきっかけとなる事件だった。
924:この名無しがすごい!
20/12/04 22:57:55.70 25Yi3Yvu.net
>あたしは千夏。気合の入った職人系女子だ
と自己紹介から入る書き方は安易なので、文才のない奴がやる書き方です
925:この名無しがすごい!
20/12/04 23:03:33.15 25Yi3Yvu.net
飲み会だと言っていた相棒のピロキが、終電の時間を過ぎたというのに帰ってくる様子がなかった。
イライラして待っていると、玄関がガチャコンと開く音がした。
しかも、小さくて可愛い女を連れていた。
「千夏ちゃん相談にのってあげて」
帰るなり、いきなりあたしに……
↑こんな感じで書き始めた方が良い
926:この名無しがすごい!
20/12/04 23:13:22.10 YrQry5BI.net
あ、生きてた
927:この名無しがすごい!
20/12/04 23:16:01.02 YrQry5BI.net
スプレーすごいな
生態系壊すから使うなって書いてあるw
URLリンク(www.tmm-net.com)
928:ぷぅぎゃああああああ
20/12/05 05:37:32.78 I+vZmIbH.net
>>921
無事で何より!(`・ω・´)……チッ!
>>922-923
悩める女
この時点の二人の関係がよくわからない!
恋人関係になっているのだろうか!
夫婦の時なのか! ぼんやりした書き方なのではっきりしない!
ご都合主義
この時点の二人は恋人関係になっていない!
時系列通りに書けば、この話が先にくるのでは!
ガッツ
二人は恋人同士となった!
未来の夫婦も匂わせている!
全体的に雑な印象を受ける!(`・ω・´)
929:ぷぅぎゃああああああ
20/12/05 05:38:57.92 I+vZmIbH.net
今日の寒さは緩い!
だがコーヒーは淹れる!
ゆるゆると執筆に取り掛かるとしよう!(`・ω・´)
930:この名無しがすごい!
20/12/05 06:32:10.07 I74CK/7Y.net
おはようございます。あー。そういえば、ワイさんご都合主義嫌いだったっすねえ。
と、思い出しつつ、ええ作品ですやんと、個人的感想。
それはそうと、時間がかかりましたが、書き上がりましたので投稿します。
結局2万字をゆうにこえて、三万字と三千に届かんばかりとなりました。
931:1
20/12/05 06:33:22.68 I74CK/7Y.net
図書室にはスピリちゃんがいる。
スピリちゃんはゆうれいだ。でもこの子は、ゆうれいと言われると、とても怒る。
だからあたしはスピリちゃんの前では、ゆうれいのことは言葉にしないようにしている。
お化け、おんりょう、アクリョウ、ジバクレイみたいな、類義語もふくめて。
「何度も!! 言ったけれど!! 何度だって言うからね!! あい ねぶぁ ぎばっ……!! こぉー みー スピリ!!」
「アタシ エイゴ ワカラナイ」
インディアンうそつかない、みたいな言い方を、あたしはしてしまう。
しながら、しっぱいしたと思う。いつもは気をつけているのに、何でだろう。ふしぎだ。
スピリちゃんは、インディアンじょうたいのあたしを、じっとにらんでくる。
茶色っぽい目のふちが赤い。目と同じ色のふわふわのかみの毛も、心なしか赤く見える。
そして、何故だか分からないけれど、この子のかみの毛は、怒っている時が一番きれいに見える。
いつも着ているワンピースはむねの前にリボンがついていて、とてもすてき。
でも、あざやかにきれいなのは、スピリちゃんのかみの毛の方だ。
なんでだろう?
ゆらゆらとゆれるからかな。
キャンプファイヤーの炎が、とてもきれいなのは温かいからだと思う。ぼーっとあたっていると、はだが内側から熱く、いたくなるような温かさ。
そんな温かさに、あたしの心はとてもひかれる。
けれど、スピリちゃんに温度はない。
でも怒りがゲンカイを超えると、理科の静電気のジッケンみたいに茶色は赤くなって広がる。
クジャクみたいなぶわわっとした広がり方だ。
ゆうれいが怒ってかみの毛をさか立てたら、ふつうはとてもこわいはず。
でも、あたしとこの子は、冬休みが始まるちょっと前からの付き合いだ。
だから分かる。この子はもうすぐ泣く。
でもふつうの子みたいには泣かない。顔をしわくちゃにしたりしない。
声だって出さない。ただ、あたしをにらみながら、涙をぽろぽろと流す。
虹みたいにきれいな形の目をとても赤くする。そしてほっぺたも耳たぶも同じ色に染まる。
932:この名無しがすごい!
20/12/05 06:35:58.57 I74CK/7Y.net
「泣けばすむとか思ってる子、あたしは好きじゃない。何回も言うけれど、人間でもお化けでも悪りょうでもジバクレイでも関係ないからね」
あたしは声をものすごくおさえて言う。
だれかに聞かれてしまったら、あたしは図書室の本だなのおくでひとりごとをつぶやく、変な図書委員になってしまう。
これはあたしにとって世界のはめつを意味する。でも、スピリちゃんにとっては、ゆうれいと呼ばれることが、はめつなのかな。
だからこんなに怒るのかな。
悪いことをしてしまったような気持ちがする。体の後ろが見えない何かにさわさわされるような、不安な気持ちだ。罪悪感って、これのことかも。
ごめんなさい、は、たしか[さり]だ。あたしは言いかける。
でも、それよりも先に、スピリちゃんにどなられてしまった。
「泣いてないし!!! カタカナ使うくせに ゆー どん の いんぐり なんて信じられない!!! これだからいなかはいやなのよ!!! いんだねっ もなあい、いなかなんて、世界の果てにもほどがあるわ!!!」
スピリちゃんは、なみだを流したあとは、日本語が多くなる。ふしぎだ。
れいせいになるのかな。あたしも泣くとすっきりするから、スピリちゃんも同じ感じなのかな。
分からない。けど、スピリちゃんの[いんだねっ]と大きく言った後の[なあい]の声が、すごくバカにした感じだった。
だから、あたしの中から、[さり]という言葉が消えてしまった。
「いんだねっが何か知らないけど、アメリカにあるものが世界のどこにでもあるなんて考えるのは、変だと思う」
言いながら、やっぱりかわいそうになってきて、[さり]がふっかつしかける。
タイミングが悪いとも思う。おたがいに分からない言葉が多いのが、あたしたちをむずかしくしている。それは分かる。
でも言葉以上の問題がある気がする。何かは分からない。けどもどかしい。
このもどかしさを、スピリちゃんも感じてくれてたら、話はかんたんなのだけど……。
よりによってこういう時にかぎって、スピリちゃんはうでを組んで、ふん、と鼻で笑ってくる。
笑われたあたしは、すごくカチンときて、
もう、知らない!!
と大きな声を出しかける。
その時……。
スピリちゃんの目が大きく開いた。この子の目は白目がほとんどない。
茶色っぽい目がきれいにかがやく、大きな目をしている。まるで宝石みたい。
けど、おどろく時は、トムとジェリーの猫くんみたいな目になる。ネズミくんのいたずらに引っかかった時の猫くんの目だ。
あたしはこの目につられて、いっしょにびっくりする。
「しゅどぅんすぴあう……!!」
超スピードで口走るスピリちゃん。
スピリちゃんはAラインのクリーム色のワンピースから出た、うすい肩をななめにかたむける。
白くて細いうでが、口の前でバッテンを作る。
むねの前のすてきなリボンがほんのちょっとだけ、うでのおくにかくれる。
933:この名無しがすごい!
20/12/05 06:38:10.03 I74CK/7Y.net
あたしは[しゅどぅんすぴあう]のつづりは分からない。けれどもう何回も聞いている。
聞くたびにものすごいキキをむかえたので、いやでも意味は分かる。
もし忘れてしまっても、スピリちゃんの身ぶり手ぶりが教えてくれる。
話すな!!
と言ってくれてる。
あたしは本だなをふり向く。もちろんずらりと並ぶ本の列が目の前に広がる。
列はところどころ欠けて、たまに本がななめになっている。
このななめを真っすぐになおすのが、図書委員の仕事だ。でも仕事はこれだけじゃない。
カウンター当番もする。本のかし出しやヘンキャクを受けつけたりするのが、当番の仕事だ。
あたしはかし出しよりも、ヘンキャクの時の方がうれしくなる。読書カードにスタンプを押せるから。
カードはクウランの四角が10こ1列で、9こ目までは丸のスタンプを押す。10こ目には二重丸。
列は5つあって、最後の50こ目はうずまきグルグルの花丸を押すことになっている。
二重丸には本のしおり、花丸には図書券と、ごほうびが用意されている。
だけど、この学校の子たちはスタンプ集めにあんまりキョウミがない。
勇一くん以外は。
勇一くんは6年の2学期のはじめに転校してきた男の子だ。
その前は東京にいて、お父さんとお母さんがしょっちゅうケンカをしていたらしい。
リコンのキキもむかえたらしいけど、みんなでやり直そうということで、この町に引っこしてきたそうだ。
お父さんは背広をきるマンから林業の人になって、お母さんはスーツをきるウーマンからセンギョウシュフになって、リョウサイケンボを目指しているらしい。
勇一くんは読書マスターを目指せと、お父さんから言われているそうだ。
そして、マスターを目指すのにジャマなゲームの機械とソフトを全部すてられてしまったらしい。
それは東京からこちらに引っこすための荷づくりの日。
お父さんは勇一くんにファミコン、スーパーファミコンとあとたくさんのソフトをボストンバッグにつめさせた。
バッグに入れられるファミコンもスーパーファミコンも、すごい静かだった、と勇一くんはあたしに話してくれたことがある。
お父さんが勇一くんをつれてゲームショップに行ったのも。
財宝のドウクツみたいなショップのおくのカウンターに、お父さんがバッグをおいて、ちょっとランボウに中身を取り出しはじめたのも。
店員さんが静かな目で、サテイをしますからおまちください、と言ったのも。
「けっこう高い値段がついてさ。オヤジはそのあと、本屋につれてってくれてさ。マンガ以外ならなんでも、この金で買っていいぞ、って言うんだけどさ。
わかんねえの。読まねえから。だから、マンガっぽいのをえらんでさ。こっちに来る時も読んでみたけど、全然わかんなかった。
オヤジ、バカじゃねえのって思った」
バカじゃねえのって言うわりに、勇一くんはうれしそうだった。
多分、お母さんとケンカばかりしていたお父さんは、勇一くんにもピリピリしてたんだろうな。
あたしのパパとママはめったにケンカをしない。
もともと顔を合わせないから、そんなキカイがないのかも。
934:この名無しがすごい!
20/12/05 06:39:44.14 I74CK/7Y.net
あたしのパパは遠くの町で、高校のバレーボールのコーチをしている。
リョウに泊まりこみで、熱心に生徒たちに教えているみたい。
去年全国2位になった。その前は3位。今年は1位かな? とうわさされている。
テレビきょくの人たちも注目していて、ドキュメント番組もパパを取材したことがある。
去年の話だ。うちにも来た。
あたしは取材のカメラの前で、カチコチになってしまった。
色んなことをいつもよりもたくさん話した。ムチュウだった。
けれど、テレビに映ったあたしは、パパといっしょにテレビを見ているだけだった。
テレビの中のテレビの画面には、パパがコーチをしているブカツのお姉さんたちが出ていた。
鳥がさけぶような声で鳴いていた。あ、逆か。鳴くような声でさけんでいた。
そんなお姉さんたちを、パパはうで組みをして、むすっとにらんでいた。
うちではぜったいにしない顔。
あたしはお父さんのこの顔をみると、いつもこわくなってしまう。
こわくなってママを見る。ママは、いつもとてもうれしそうだ。
だから、あたしは安心できる。知らないママを、いつものママがよろこんでいる。
つまり、大丈夫ということだ。
パパがシュウマツしか帰ってこなくても、大丈夫。
ママがシュミの切り絵にムチュウでも大丈夫。
ちなみにドキュメント番組では、ママの切り絵もショウカイされていた。
鳥とかタイとかヒラメとかイカとかタコとかフジサンとかナミキミチとかが、ママの切り絵にかかると、写真よりも本当になる。もっとソンザイしている感じ。
ママはビダイを出て、ビジュツの先生になった。大学のころは切り絵にそんなにキョウミはなかったみたい。
でも、キンムサキでパパと出会って、ケッコンタイショクして、あたしが生まれた時、とても切り絵がしたくなったそうだ。
でもまず、あたしをちゃんとそだててから、とガマンしてくれた。おかげであたしはちゃんとそだった。絵本もたくさん読んでもらえた。
歌もたくさんきかせてもらえた。ジャガイモの皮のむき方だって、ニンジンの切り方だって、リンゴをウサギにする方法だって、全部教えてもらえた。
でもベンキョウはあんまり教えてくれない。ママいわく、学校のことは学校でかんがえればいい、らしい。だからあたしはジュクも行かない。
クラスの子たちで、ジュクに行っていないのは、勇一くんとあたしだけだ。
勇一くんはどうか分からないけれど、あたしはそれでよいと思っている。
だって、ママは切り絵にムチュウだけど、きいたらちゃんと答えてくれるし。セツメイだって分かりやすい。
紙を切るハモノから目も手もはなさないけれど、本当に分かりやすくおしえてくれる。
あたしはママのセツメイをききながら、ママは頭がよいと思う。上品なかおをしたママ。
体もかおもごつごつと四角くれ大きいパパ。
あたしはどちらにもにていない。
テレビにうつったあたしは、マグカップのココアを大事そうにのんでいた。
同じ部屋のパパとママは、あたしじゃなくてテレビの画面をみていた。
画面ではちょうど、ママがひらいたコテンをうつしていた。
コテンは去年大きなマチでひらかれたもので、たくさんの人が来ていた。
ナレーションの人が、えらそうなおじさんの名前をショウカイしていた。お母さんのビダイのオンシで、有名なゲイジュツカさんらしい。
けれど、あたしは知らない。うちでもワダイにはでない。
そもそもあたしたちの家族はほとんど話をしない。でも、なかが悪いとかじゃなくて、言葉じゃない何かで、ちゃんと会話をしている。
そんな家族だ。そして、こんな家族があってもよいと思う。
935:この名無しがすごい!
20/12/05 06:41:08.12 I74CK/7Y.net
こんなあたしたちの家族でも、パパとママがケンカをする時が、あるにはある。
この時は、あたしには分からないムズカシイ言葉が飛びかう。
言葉をつかって、もっとハゲシイカンジョウがやり取りされる。
そういう時は空気がすごく変になる。しまいにだれも何も話さなくなって、テレビのニュースとかレイゾウコの音がやけにうるさい。
それでもパパもママもあたしにはやさしいし、鬼みたいな顔はしない。けれどあたしはこわくて、算数のベンキョウをしてくる、とセンゲンして、部屋に引っこむ。
引っこんでから、安心する。部屋は静かだけど、落ちつく静かさだ。
あたしは算数のドリルをひらく。とても長い時間をかけて、とく。それからセーラームーンを読んで眠る。
次の日の朝、おきると、パパとママは元どおりで、家もちゃんと家になっている。テレビのニュースの声も、レイゾウコもうるさくない。あたしはすごくほっとする。
東京の時の勇一くんには、そんな朝がなかったのだろうと思う。
そしてこの町にお父さんとお母さんと勇一くんでこして来て、ピリピリがなくなった。
みんなで同じ何かを目指すようになった。
お父さんは林業の人。お母さんはリョウサイケンボ。勇一くんは読書マスター。
それぞれちがうけれど、目指す何かにはかかせないらしい。
だから、勇一くんは毎日図書室に来てくれる。花丸スタンプだって、もう2回も押している。
本を借りた夜に、勇一くんはその本を2回読む。そしてあたしに内容を教えてくれたりする。
「どんなお話だった?」
スタンプを押しながら、あたしはきく。
あたしの横でスピリちゃんがじっとタイトルを見ている。
よだかの星。
表紙では黒い空に星がたくさん光っている。
白い鳥が羽根を広げて、表紙の右ななめ上の、その先のどこかを目指している。
去年からマイバン見えるすい星にも、実は羽根があるのかもしれないと思う。
鳥は宇宙のどこかを目指し、すい星は地上にトツゲキしようとしているけど。
「なんか悲しかった。おれもぶち切れたら星になるかもしれないと思った」
カウンターの向こうで、勇一くんは悲しそうな顔をする。
「よだかって星になったの?」
スタンプから顔を上げて、あたしは勇一くんにきく。
勇一くんはうなずく。
「なった。味方が家族しかいなくて、他はいやなヤツしかいなくてさ。家族はソンケイされてっけど、よだかはバカにされてんの。でも、よだかのせいじゃないんだ。
苦しいことばっかでさ。けっきょくぶち切れて星になった」
「そうかあ」
あたしも調子を合わせて、ちょっと落ちこんだ声をだす。
「おれはバカにされたくない。星になるならもっと楽しくなりたい」
「どうやってなるの?」
「わかんねえけど」
勇一くんは笑った。あたしもつられて笑う。
なれるよ、あたしもわからないけど、と言ってあげたい。けれど、言ったあととてもはずかしくなりそうで、言えない。
936:この名無しがすごい!
20/12/05 06:43:24.01 I74CK/7Y.net
勇一くんが図書室から出ていったあと、あたしはスピリちゃんにお礼を言った。
「教えてくれてありがとう」
「のー ぷろぶれむ。でも……」
スピリちゃんはあたしを見ずに口ごもる。というか、勇一くんがよだかの星の話をしてから、ずっと本のセを見ている。よだかの星は、ヘンキャク本のワゴンにおさまっている。
でも、スピリちゃんがじっと見ているものだから、よだかみたいに光をはなっているような、そんなサッカクをあたしはおぼえる。
「でも、何?」
「わい でぃじゃい びかま スピリ」
「あのね。スピリちゃん」
あたしたち以外、だれもいなくなった図書室で、あたしはスピリちゃんを見る。
茶色がかったかみの毛がまゆにかかっている。きれいで小さな横顔。
スピリちゃんの横顔は動かない。返事もしてくれない。
「あたしは、英語が本当に分からないの。アルファベットもおぼえられないの。すごくむずかしいの」
「知ってるわ。でも、それはあなたのセキニンではない」
スピリちゃんの声はかすれている。女の子の声から、キボウとか前向きな何かをブンリしてしまえば、こういうかすれ方になるのだと、あたしは悲しく思う。
……英語が分からないあたしでも、スピリちゃんと出会ったことで、おぼえたタンゴがある。
スピリ。アルファベットの書き方も、これだけはおぼえた。
spirit
意味はセイレイ。漢字で書くとむずかしいけど、意味だってジショでしらべた。
草や木や動物や人や物に宿っているフシギなソンザイ、という意味らしい。
あと、肉体からとき放たれた自由なレイ、という意味でも、セイレイは使われる。
スピリちゃんは後ろの方だと、あの子はシュチョウする。
けれど、あたしはちがうと思う。
たしかに、ゆうれいとは時間帯がちがう。これはジジツ。
ゆうれいは夜しかあらわれないそうだし、足だってない。
それに、スピリちゃんはゆうれいのポーズ第一をとらない。
ゆうれいのポーズ第一はだれでもできる。
まずうでを両方、キョンシーみたいにむねの高さまで上げる。
それからひじをおって、にのうでを体に引きよせる。
さいごに、手首の上の手のひらを前に折る。
これで完成。とてもカンタンなポーズなのに、スピリちゃんはぜったいにこのポーズをとらない。
面白半分でいっしょにしてみようとさそうと、
「あたしはスピリなの!!」
と怒る。それから大げさに小さな肩をすくめて、舌打ち。決めぜりふ的に、
「とぅうううー いでぃお!!」
とさけぶ。
937:この名無しがすごい!
20/12/05 06:44:47.57 I74CK/7Y.net
そんなスピリちゃんが、あたしから見てゆうれいたる理由。
それは、この子の声がだれにも届かないということだ。
どんなに大きくさけんでも、あたし以外の人のコマクがふるえることは、ぜったいにない。
声どころか、やっぱりあたし以外のだれもスピリちゃんを見ることはできない。
スピリちゃんは聞こえるのに。
図書室から出ることができない代わりに、図書室に近づく人の足音は分かる。
あたしは聞こえないのに、この子は、だれかがドアをひらく前に、分かる。そして教えてくれる。
だからあたしは、今のところひとりごとを口走る変な図書委員にならずにすんでいる。
もちろん、ヨボウ的に声はおさえているけれど。
とにかく、世界はまだはめつしていない。勇一くんは毎日図書室に来てくれる。本の内容も話してくれる。
あたしはベンキョウになるし、実はスピリちゃんだって、楽しみにしているはず。
だって、この子は本をさわることができない。本どころか、あらゆる物にさわることができない。
そもそもさわろうとしない。
ちょっと前に、あたしと大ゲンカをして、空中でふり回した手が本だなの本をすりぬけたことがあった。
すりぬけたんだから、いたくないはずなのに、スピリちゃんはとても悲しそうな顔をしていた。
多分、自分がゆうれいだとみとめるのが、いやなんだろうな。
だから、どんなに怒っても、あたしにはつかみかかってこない。
どんなに友だちのように思っても、言葉がつうじないからあたしたちはケンカをするし、下校だっていっしょにできない。
スピリちゃんはあたしが図書室を出るとき、またね、とは言わない。
ただ、やっと眠れるわ、と肩をすくめる。
この子はあたしといない時、眠ってばかりいるらしい。
夜中にたまにおきて、まどの外の空をながめるたりするそうだ。去年から、夜の空にはすい星がいつも尾を引いている。
まだ生きていたころ、スピリちゃんは昼間の空にも、すい星を見たそうだ。
昼間に見れるすい星なんて聞いたことがない。
しかも名前だってちがう。ママにきいたら、あのすい星の名前は、ヘールボップすい星というらしい。
でもスピリちゃんにとっては、あれは、みっくのーとぅ。
うん。ぜんぜんちがう。
けれど、スピリちゃんの話はわけが分からないのが多いから、スピリちゃんがいた世界ではそうだったんだろうな。
938:この名無しがすごい!
20/12/05 06:46:02.90 I74CK/7Y.net
大人も子どもも板チョコを小さくしたみたいな、折りたたみ式の電話を持っているとか。
電話は電話線がなくてもつながっていて、計算もできるとか。
計算だけじゃなくて、[いんだねっ]もできるとか。
あたしはソウゾウすることができない。ポケットベルなら、去年、白須江涼子ちゃんのCMを見た。
でもあれは文字を送ることしかできない。
そういえばケイタイ式の電話も、CMでたまに見たかも。
でもあれは本のしおりみたいな大きさで、厚さはブンコ本くらいだったはずだ。
折りたたみなんてできるはずがない。
もしかしたら、スピリちゃんは並行世界から来たのかもしれない。
あたしたちの地球と似ていて、科学が進歩している世界。
そこにはポケベルがなくて、折りたたみ式の電話をみんな持っている。
そうして、[いんだねっ]をするんだろうな。
勇一くんからよだかの星について話してもらってからしばらくたった日。
あたしは[いんだねっ]について、スピリちゃんに教えてもらった。けど、よく分からなかった。
世界中の人と文通ができる場所が[いんだねっ]らしく、分からないことは[いんだねっ]でしらべればいいらしい。
うん。分からない、と言いかけた時、スピリちゃんがれいのジェスチャーをした。
Aラインの白のワンピースから出た、うすい肩をななめにかたむける。
白くて細いうでが、口の前でバッテンを作る。
ここまではお決まりだけど……。
くちびるから、ほおから色が引いていた。スピリちゃんだけさむいのかな、とかんちがいするくらい、かみの毛も肩もふるえている。
とてもこわい何かがくると、つられてあたしも思う。
そうして、8才の時に見たテレビを思い出す。北海道の小さな島をおそったつなみ。
夜中にたくさんの人や物をのみこんだ。あたしはつなみは見たことがないから、分からなかった。
けれど、生きのこった人がインタビューにこたえていた。ニュースのアナウンサーさんみたいな、すらすらとした話方ではなかった。
かかえきれないデキゴトが、むねにうまっている。
うまりすぎて、出てこない。けれど、ひっしに話す。そんな感じが、肩のふるえから伝わってきた。
スピリちゃんも同じふるえ方をする。
939:この名無しがすごい!
20/12/05 06:47:54.57 I74CK/7Y.net
そしてドアがひらく。あたしは1回ふるえて、それから安心する。
図書委員会のコモンの先生だ。他の先生よりもせが低い。タマゴみたいな体の形をしている。
声があったかくて、やさしいけど怒るときびしい。
すいません、と言っても、何が悪かったのか、セツメイできるまでゆるしてもらえない。
スピリちゃんはこの先生がニガテだ。でも先生だけがニガテなんじゃなくて、大人の男の人がニガテだそうだ。理由はスピリちゃんも分からない。
そもそも、この子は自分の名前すら分かっていない。だから、自分のことをスピリと言う。
先生はカウンターに本を5冊おいた。キフを受けたらしい。
全部が動物ズカンだった。
ラベルを貼ったりする作業は明日でいいから、と言って、ショクインシツにもどって行った。
カウンターうしろのせんようワゴンにうつそうとすると、スピリちゃんが、
「あああああああああああっ!!!!!!!!!!!!」
とさけんだ。
あたしはびっくりして、スピリちゃんを見た。
スピリちゃんは、自分の頭のかみに指を全部立てて、かきむしっていた。
大きな目がもっと大きくなっている。目の中心の黒い部分が、ものすごく大きくなって、茶色をほとんどなくしている。
いつもは可愛らしい口が大きくひらいて、きれいな歯の列がてらてらと光っている。
あたしは何がおきたのか分からない。何がスピリちゃんをこんなふうにしたのか。
それは分かる。先生がおいていった本だ。
カウンターの板の上に、5冊つみ上げられた本の一番上の1冊。
サクランするスピリちゃんのシセンは本の表紙から動かない。というより、動けないのだろう。
でも、あたしは理由が分からない。
本の表紙には、川でシャケを狩るクマが一匹、うつっているだけだ。
スピリちゃんはさけび続ける。
あたしはそのイヨウに圧倒されて、しばらく何もできなかった。
けれど……。この子の茶色いかみの毛が、はしっこから赤に変わった時。
その赤の内側が白くかがやき始めて、そこからけむりみたいなものが立ちのぼりかけた時。
あたしの体はやっと動いた。
クマの本を両手でつかみ、かかえこむ。
そのまま床にうずくまる。
落ちついて、スピリちゃん……!!!!
と、心の中でいのる。
そう。あたしはいのることしかできなかった。こわかったからだ。
スピリちゃんが燃え始めたことがこわかったんじゃない。
この子をカイキ現象をモクゲキするみたいに、見てしまうことがこわかった。
だって、もしあたしがスピリちゃんなら……。
そんな目で見られたら、ぜったいにきずつく。ゆうれいとかお化け、おんりょう、アクリョウ、ジバクレイと呼ばれるよりも、もっと世界ははめつしてしまう。
940:この名無しがすごい!
20/12/05 06:49:31.02 I74CK/7Y.net
だから、あたしは床にうずくまったまま、じっとしていた。
じっとしながら、図書室の時計の音がずっと耳にひびいていた。
シンゾウのどくどくんというミャクの方がパワフルで、そっちの方が大きな音を立てている気がした。
「あい あぷりしゃえいちゅー」
「え?」
クマの本をかかえてうずくまったまま、あたしは顔だけをあげた。
スピリちゃんがあたしの横にしゃがみこんで、とても悲しそうな顔をしていた。
かみの毛は茶色にもどって、スピリちゃんのまぶたやワンピースのひざ部分にゆるく落ちている。
「ごめんね。わたしはお化けみたい。のー。のっと らいく ばっ じゃすと おんり あ ごうす」
「スピリちゃんは……」
言いながら立ち上がり、スピリちゃんを燃やしかけたクマの本をワゴンのおくにかくす。
そうしてふり返る。
スピリちゃんはあたしを、しゃがんだまま見上げている。ヒョウリュウしてしまった女の子みたいだ。
気がつけばだれもいない島に流れついて、トホウにくれる。そんな女の子。
もしかしたら、この子はこんな顔で、毎晩すい星を見上げているのかもしれない。たった1人で。
「スピリちゃんはスピリちゃんだよっ。だって、スピリちゃんだもんっ!!!」
自分でも何を言っているのか、よく分からないかった。
けど、これがあたしの気持ち。ウソもイツワリもない。
本当の本当を、あたしは声にこめた。大きな声を出してしまった。
ろうかをだれかが歩いていたら、きこえたかも。
でも、いいや。あたしは変な図書委員になるだけだ。世界はちょっとだけはめつするけれど、スピリちゃんが燃えちゃうよりもまし。
「必要以上に大きな声だわ」
「うん。大きな声で言いたかったの」
「そう。ありがとう。でもね。わたしはスピリじゃないの」
「え?」
あたしの目は丸くなったと思う。とてもびっくりしたから。
スピリちゃんは立ち上がって、あらためて、あたしをじっと見てきた。
この子はあたしよりもほんの少し小さい。だからあたしを見上げる形になる。
もしスピリちゃんが同じクラスだったら、あたしが列で2番目になれるのに。残念。
「まい ねーむ いず あんじゅ きのした。日本語なら、木下アンジュ」
「……思い出したの? 名前を」
あたしはききながら、とてもドキドキしていた。トキョウソウの前みたいな、ドキドキ。
何かが始まる、そんなヨカン。
「うん。名前は思い出した。他はあなたがいない時の でいたいむ みたいにぼんやりして完全じゃないけど。
でも思い出したわ。まむ とか、おとうさん、とか、おばあちゃんとか……。それだけじゃなくて、思い出しちゃったの。わたしの、ね」
そこで口をとじて、スピリちゃん、もとい、アンジュちゃんはワゴンにシセンをうつした。
並ぶ本たちのおくに、クマの本が息をひそめてかくれている。
「人間だった時の最後の めもるぃ。わたしがころされた時のことをね。思い出しちゃった、の」
まゆをいたそうによせるアンジュちゃん。
本当に死んじゃった人みたいに、血の気のない顔。
この子が[めもるぃ]と声に出した時の、英語ドクトクのくぐもった発音がとても重くひびいて……。
アンジュちゃんは友だちだよ!!! 生きてるとか死んでるとかカンケイないよ!!!
と大きな声でまくしたてたくなった。けど、あたしはできなかった。
アンジュちゃんには、聞く人が必要だったから。
あたしだって、冬休みが始まるちょっと前からの付き合いなんだから。それくらいは分かった。
分かる、ということにあたしはほっとした。でも、ほっとするのと同じくらい、分かることしかできないあたし自身に、がっかりした。
941:この名無しがすごい!
20/12/05 06:50:51.43 I74CK/7Y.net
……ちゃんと物にさわれる体で生きていた時、アンジュちゃんは、お父さんの方のおじいさんとおばあさんの家にいた。
その家は雨戸がざらざらしていて、たたみは線香のにおいがしたそうだ。
庭から海が見えて、朝方は太陽がのぼって水平線を白くわったらしい。
アンジュちゃんは毎朝、朝日を見ていた。太陽のずっとむこうにアメリカがあると思っていた。
アメリカにはアンジュちゃんのお母さんがいる。服のデザインをして生活をしている。
お母さんはずっと前にリコンをしていて、毎月手紙をくれる。
アンジュちゃんの体にあった服も送ってくれる。
でも、おじいさんとおばあさんは、お母さんのことがとてもきらいらしい。
きらいというよりも、うらんでいるように、アンジュちゃんには見えたそうだ。
理由は、アンジュちゃんのお父さんのこと。
アンジュちゃんのお父さんはずっと前からブツダンの中でほほえむ人になっていたらしい。
そんなお父さんの人生をめちゃくちゃにしたのがお母さんらしい。
おじいさんとおばあさんはそう思っていた。
アンジュちゃんの前ではあんまり言わなかった。
けど、アンジュちゃんが目のとどく所にいない時は、2人でお母さんのことをのろっていた。
でも、アンジュちゃんはよく分からない。やさしい人たちに悪口を言わせるお母さんが。
お父さんがそこまでの完璧なヒガイシャだったのかも。
手がかりが少なかったから。
アンジュちゃんは、おじいさんとおばあさんの家にくる前、まだ生きていたお父さんとくらしていた。
アメリカで2人ぐらしだった。名前は思い出せても、このころのことを、今のアンジュちゃんは思い出せない。
インショウがうすいみたい。手をつないでお父さんとクウコウ行きのバスにのりこんだことは思い出せたみたい。
だけどひこうきのマドのけしきはあたまから消えてる。
死んでしまった今、思い出せる一番古いキオクは、光がさらさらする湖。
湖の向こうには、こんもりとした緑の山。
富士山みたいにのっぽじゃないけれど、雪をかぶっていて、王様みたいにどーんとした山だったらしい。
その山と湖を、お母さんのつばの広いぼうしとかみの毛がかくしていたらしい。かみの毛は茶色。
つばの広いぼうしは麦わらの色。
目も茶色。お父さんの黒くて小さくてやさしい目よりも、もっとはっきりとしていた強い色。
やさしいお父さんも、強い色の目のお母さんも、アンジュちゃんからしたら、とてもくつろいでいるように見えたそうだ。
でもそのキオクと、おじいさんとおばあさんのお話は、ぜんぜんつながっていない。
だからアンジュちゃんはとてもこまったみたい。
お父さんは天国だし、お母さんはアメリカ。
しかもお母さんは『あいしてる』としかメッセージカードに書いてくれないし。
でもカードといっしょに送ってくれる服は、手ざわりがふつうの服とぜんぜんちがう。
デザインも細かいところはほかのとそんなに変わらないはずなのに、インショウが別格。
おもいがこもった服だと、アンジュちゃんはかんじていた。
多分、おじいさんとおばあさんも、同じようにかんじていた。だって、服をすてなかったから。
すてるどころか、タンスもちゃんと大きくてりっぱなものを買ってくれたそう。
そういうタンスはおじいさんとおばあさんの家のまわりにはなかった。
だから、JRの大きなえきがあるマチにまで出ないといけなかった。
アンジュちゃんが殺された日も、おじいさんとおばあさんはこの子をつれて、マチに出ていた。
3人はちゃんとカイサツを出た。
おじいさんとおばあさんは、タイルの道を、2人に手を引かれながら、アンジュちゃんは正月が終わってすこしたったマチを歩いた。
見上げると空がビルと人で小さく細くなっていて、昼のタイヨウの横にすい星が見えた。
942:この名無しがすごい!
20/12/05 06:53:00.36 I74CK/7Y.net
この子が覚えているのはここまで。気がつくと、知らない場所で、知らない男の人に首をしめられていた。マフラーがしめヒモ代わりだった。
男の人は、べったりしたキノコみたいなカミガタの、お月さまみたいな丸がおで、手がとても大きかった。
指がぜんぶ丸くて太かった。しかも毛深かった。
たまごが古くなったにおいがして、アンジュちゃんがかおをしかめた時。
男の人は、人間じゃないみたいな、カイブツのような暗い目で、アンジュちゃんをみすえたまま……。
マフラーにこめた力を強くした。
アンジュちゃんは気が遠くなった。
気がつくと夜になっていた。ゆれが伝わってくるいす。四角いマド。車だと分かった。
うしろのザセキ。前のウンテンセキをのぞくと、アンジュちゃんの首をしめたカイブツの横顔が見えた。
アンジュちゃんはさけびたくなった。けどタマゴがくさったニオイがきつくて、むせかえりそうになった。
だからちょっとレイセイになって、横顔をカンサツした。
何の色もない目が本当にこわいと、アンジュちゃんは思った。からっぽ。本当にからっぽ。
でも、にくしみみたいな何かがうずまいている感じ。
ハンドルをにぎる手が上下にぶれるたびに、ザセキはぶわんぶわんとうごく。
アンジュちゃんはそのたびにザセキの下に落ちそうになる。
カイブツは前を見ない。ハンドルをにぎるのと別の手を見続ける。
そのクマみたいな手の中には、折りたたみ式の電話が白く四角く光っていた。
アンジュちゃんはカイブツにユウカイされたのだと、この時、分かった。
そのあとのキオクは、はっきりとしないみたい。
多分、こわすぎて思い出せないんだろうな。
で、この次がアンジュちゃんが生きていたころの、さいごのキオク。
暗い天井をふさぐみたいに、アンジュちゃんにおおいかぶさってくるカイブツ。
バタバタと手や足をうごかして、テイコウするアンジュちゃん。
つめがカイブツの目をひっかく。
カイブツの口から、変な声とひどいニオイのイキがもれる。けど、男の人はアンジュちゃんにかぶさったまま。
かおも近づけたまま、手だけがふりあげられる。
その手はアンジュちゃんのほおや耳やこめかみをまとめて打つ。
男の人の手がとても大きいからだ。
アンジュちゃんのお母さんとはぜんぜんちがう。とてもキョウボウな、強い手。
そのショウゲキに、アンジュちゃんはタマシイが、はじきとばされてしまった。
そして見てしまった。
ベージュのダッフルコートにつつまれた小さな体を。
体にのしかかるカイブツを。クマみたい丸くアンジュちゃんをヒョウテキにして曲がるセを。
アンジュちゃんの目の前で、カイブツはアンジュちゃんの死体のガンメンに鼻をすりつける。
暗い床に広がるかみの毛のニオイをかぐ。肩は手をふり上げる。死体はまたぶたれて……。
もう、いやだ、とアンジュちゃんはさけぶみたいに思った。
それがさいごのキオク。
クマの本の表紙の写真は、クマがシャケに取っていたポーズは、ボウコウするカイブツにそっくりだった。
クマがふり上げてはじいた水面には何もない。でも、アンジュちゃんは自分のすがたを重ねた。
チュウをとぶシャケには、アンジュちゃんのタマシイを。
943:この名無しがすごい!
20/12/05 06:54:35.97 I74CK/7Y.net
※※※※※
「どうしかしたんですか?」
「え?」
「ええと……おつりを、ですね」
こまった声でそう言って、摩周さんは目を水色の皿に落とした。
この町ではあまり見ない感じのメガネがおしゃれで、あたしはすてきだと思った。
ふちの色がミルクをとかしたチョコレートみたいなマーブルで、トカイの人っぽい。
じっさいこのお兄さんはトカイから来た人だ。
千円札の夏目ソウセキが若くなって、ひげをそって、かみの毛をおろしておしゃれなメガネをかけたら、摩周さんになると思う。
あたしが相談するべきは、先生でもママでもパパでもなくて、やっぱりこの人ではなかったのかと、思う。
ずっと前に話してくれたケンキュウのために、日本全国を回っているこのお兄さんなら、あたしの話だって、マジメにきいてくれたかもしれない。
けっきょく、あたしはオクビョウだった。だから、こんなケッカになってしまった。
ひどいコウカイをしながら、あたしは袋に入れられた野球の本を、むねの前でぎゅっとだきしめる。
新しい本のにおいがする。
水色の皿の上では、おつりの百円玉とか十円玉が、それぞれの色で光っている。
今さっき、あたしが買った本のおつりだ。指をのばすべきだけど、あたしは本をだきしめることしかできない。多分、いや、ぜったい泣いてしまう。
だって、もう鼻がいたくなってるんだもん。
カウンターをはさんで、摩周さんがとてもこまっている。
あたしは小皿の上のコゼニをわしづかみにする。
そうして本屋さんの入り口にかけ出す。
摩周さんの声が後ろからする。
何かがポケットから落ちた気がする。
けどあたしは止まらずに、ショウテンガイを走り続ける。
手とほおに、冷たいものが当たった。
あたしは立ち止まって、空を見上げる。雨が細い。
944:この名無しがすごい!
20/12/05 06:56:01.75 I74CK/7Y.net
……アンジュちゃんからクマのことをきいたあたしは、とてもこわくなった。
そして、アンジュちゃんのために何かをしなければと、思いつめた。
でもそれは、あたしの心の動きは、本当にアンジュちゃんを思っていたのかな。
自信がない。
ただ、とてもこわいボウリョクの話をきいて、コンランしただけかもしれない。
世の中に、アンジュちゃんをユウカイする人がいる。
車にのせて、そしてだれもいないタテモノにつれていって、死んじゃうくらいにひどいことをする。
そんなカイブツがいる。
あたしはとてもこわくなった。
大きな体の男の人がとてもこわくなった。
まず、あたしのキョウフに気づいてくれたのは、図書室タントウの先生だった。
先生のタイカクはクマじゃなかったから、正直に話すことができた。
世界のハメツ? カンケイない。だって、アンジュちゃんの世界はもう、クマのカイブツにハメツさせられているんだもん。
それに先生なら、あたしの知らないことを知っていて、カイケツ方法を見つけられるかもしれない。
あたしはバカみたいにキタイしていた。
ううん。みたい、じゃない。本物のバカだ。
先生はあたしの話すことを信じてはくれなかった。
でも、でたらめを話すなと、怒ることもしなかった。
ただ、あたしの目をじっと見て、何かを探すような目で、
「アンジュちゃんは君のとなりにいるんだね」
ときいてきた。
あたしは、はい、とうなづいてから、アンジュちゃんを見ながらつけたした。
「アンジュちゃんはねています。すごい眠いって、いつも言ってます。前はそんなことはなかったのに……」
「前って、いつのことかな」
「クマの話をあたしに話す前、です」
「分かった。話してくれて、ありがとう」
先生は小さく笑顔を作ってくれた。
あたしはこの時、まちがったことが分かった。
先生の目が笑ってなかったからだ。お化けとか、オンリョウとか、エタイの知れないものを見る目つきになるのを、ヒッシにこらえている。
そんな目だった。
945:この名無しがすごい!
20/12/05 06:57:40.07 I74CK/7Y.net
うちにれんらくが来たのは次の週。
ママが学校に呼ばれて、その日から、ママの切り絵作業は中止になった。
それから、JRの大きなエキのある病院につれて行かれた。
この時には、土日でもないのに、パパも仕事を休んで、ついてきた。
あたしは、とても大きなことになっている、と思った。
病院ではおじいさんの先生とお話しをした。サンタクロースがダイエットに成功をしたみたいな、やさしい感じの先生だった。
あたしは初めはとてもキンチョウしていたのだけれど、おじいさん先生がとてもやさしくきいてくれたので、すらすらと話すことができた。
先生はさいごまであたしの話を、じゃましないできいてくれて、
「大変だね。君も。アンジュちゃんも」
と言ってくれた。エタイの知れないものを見る目つきではなかった。
だから、あたしは泣いてしまった。分かってもらえた気がしたから。
そんなあたしに、ほほえんでくれてから、先生はパソコンのキーボードをカタカタと打ち始めた。
あたしが泣いているあいだ、ずっと打っていた。
パパもママも、テレビとか映画の人みたいに、じっとしていた。
サイバンのハンケツを待つ人。大事件が起きて、家族の無事の知らせを待つ人。
とにかくそんな風に、すがるように待っている人たちと、同じ顔。
あたしは泣きやんで、そんなパパとママ、先生をコウゴにちらちらとながめた。
「うーん」
「はい?」
「いや。おかしいなあ。パソコンの調子が悪い。キーボードがうまく打てない。いや、ちがうか。僕が速く打ちすぎるんだな。指の調子がよい」
先生は画面にムチュウだ。たしかに指が速い。ザンゾウみたいな影も見えるくらい。
あたしはちょっと見とれた。
そんなあたしに目をもどして、先生は口を横に、にっと広げてわらった。
「僕も本が好きなんだよ。とくに、未来の話は心がおどる。いんだねっ、はインターネットだね。大学でケンキュウがされているんだ。
ユウレイが見える男の子の映画も、ハリウッドでサツエイチュウだ。新聞にもこの前トクシュウがくまれていた。
ケイタイ電話もパソコンも、キバンを使っているのは同じだからね。大学のコウハイがケンキュウをしているんだ。
つとめ先もセンモンもちがうけれど、色んな話をきくよ」
おじいさん先生の声はやさしかった。
でも、だから、あたしは分からなくなった。図書室タントウの先生の方が、エタイの知れないものを見るような目をしてくれた分、まだわかりやすかったと思う。
あたしは何も言えなくなった。
そんなあたしを、先生はじっと、何かとてもこわれやすいものでも見るように、見てから、こう付けくわえた。
「君は何も、まちがったことは言ってないんだよ」
946:この名無しがすごい!
20/12/05 06:59:08.99 I74CK/7Y.net
※※※※※※
そのあと、いくつかのケンサを受けた。
ママだけが呼ばれて、おじいさん先生から結果をきかされた。
その日から、ママの口ぐせは、
『特別じゃなくても、いいのよ』
になった。1番じゃなくても、いい。特別じゃなくても、いい。
この口ぐせは、あたしの周りの全員に感染した。本当に、病気みたい。
パパも、ママも、学校の先生も、クラスのみんなも、勇一くんだって、あたしに言ってくる。
みんな無理に明るく。またはやさしく。たまにとても心配そうに。
……このヘンカから、あたしはおじいさん先生がママにどんなセツメイをしたのか、分かってしまった。
あたしは特別になりたい子ども。
でも、なれないから、ゲンジツとちがうことをジジツだと思いこませている。
それで、つりあいを取っている。
パパは有名なバレーボールのコーチ。
ママは切り絵のコテンを開くゲイジュツカ。
クラスのみんなは、バスとかお父さんお母さんの送りむかえでちょっと大きなマチのジュクに通うくらい、頭が良い。
テストのヘイキンテン。うちの学年はイジョウに高い。
あたしが60点しか取れなくても、みんなヨユウで90点とか取ってる。
勇一くんも、
「おれ、ここ来て頭よくなったみたいだ」
と、フシギそうにヘンキャクされたカイトウヨウシを見たりする。点数は100点マンテン。
おくれているのはあたしだけ。
みんな英語のベンキョウをはじめているけれど、あたしはアルファベットもおぼえられない。
だから、あたしはアンジュちゃんを生み出した、とおじいさん先生はブンセキしたらしい。
英語にコンプレックスがあるから、英語を話す友だちを作った。
新聞とかテレビとか、色んなジョウホウをシンソウシンリがつなぎ合わせて、アンジュちゃんに語らせる。
アンジュちゃんのお父さんとお母さんがリコンしたのは、あたしの、自分の家族についての不安のあらわれ。
つまり、全部あたしのモウソウ。
……ふざけている、と思う。
アンジュちゃんは本当にいるのに。自分をユウレイだとみとめてしまってから、いつもうつらうつらとするようになったけれど。
ちゃんと、
「アンジュちゃん、おきて」
と声をかけたらおきてくれるのに。つっぷしていた図書室のカウンターから、ちゃんときれいな顔をあげてくれるのに。
947:この名無しがすごい!
20/12/05 07:03:07.01 I74CK/7Y.net
でも、だれもみとめてくれないし、アンジュちゃんはカイブツころされたままだ。
だから、あたしはあせる。たまにさけびたくなる。
そして本当にさけんでしまう。
学校のトイレとか。かえり道とか。図書室以外のどこかで、あたしはカイブツがこわくなる。
だから、さけぶ。
そんな時はホケン委員の子が、あたしをホケン室に連行する。
ホケン室には女の先生がいて、ベッドにねかせてくれる。
あたしは、1人だけ、みんなと切りはなされた時間にうかんだような、ぽっかりとした気分になって、メモチョウをポケットからとり出す。
これは、おじいさん先生があたしにくれたプレゼントだ。
みんなに話せないことは全部このメモチョウに書くといいよ、とおじいさん先生は言ってくれた。
ため込むのはよくないからね、とも。
だからあたしは、アンジュちゃんと話したことを、全部書く。
あの子が見たけしきとか、あの子の世界でおきたこととか、とにかく全部だ。
でも、どこかで落としてだれかに読まれたらはずかしいので、キーワードだけを書きつらねる。
たとえば、パパの好きなダイエーホークスは、ソフトバンクになっている、とか。
ダイエーホークス=ソフトバンク
みたいに。
948:この名無しがすごい!
20/12/05 07:04:49.38 I74CK/7Y.net
ちなみに、あたしがカイブツがこわくなくなる場所が2つある。
パパがいてくれる日の家と、摩周さんが店番をつとめる本屋さんが、この2つだ。
本屋さんは、みんなが通うジュクと同じマチにある。
学習キョウザイがたくさんおいてある。
図書委員のあたしは、この本屋さんでコウニュウ図書のケンキュウをしたりする。
もちろんコウニュウをハンダンするのは先生だ。けれど、先生はどんな本が読みたいか、よく聞いてくれるから、こちらもガンバラネバと思う。
これは、アンジュちゃんに会う前からの、図書委員としての使命だ。
そして、摩周さんはあたしが図書委員になった春に、この町に引っこしてきた。
あたしたちが話すようになったのは……。
たしか、あたしがコウニュウ図書のことを考えながら、ムズカシイかおをして、絵本コーナーにつったっていた時。
摩周さんが声をかけてくれた。若いおしゃれメガネの夏目ソウセキに話しかけられた!!! とあたしはびっくりした。
あの時の思い出は、何故かむねがくすぐったくなる。クマのカイブツのことも、忘れる。
そんな摩周さんの前では、あたしはフツウでいられる。
色んなことも話せる。でも、アンジュちゃんのことは話せない。カワイソウな子だと思われたくない。
だから、あたしはそれイガイのことを、ヒッシでソウダンする。
たとえば、勇一くんのこと。
勇一くんは、花丸スタンプ10回目をタッセイした。
セイセキもクラスで一番。100点の常連になって、雪合戦でも負け知らずだ。
雪がふる前、トキョウソウでもトップでゴールをかけ抜けていた。
そんな勇一くんを、勇一くんのお父さんもお母さんもとてもよろこんだ。
そして、はれて勇一くんは読書マスターとしてみとめられた。
次はスポーツマンを目指すらしい。
でも、どんなスポーツをすればいいのか、勇一くんは分からないらしい。
サッカー、野球、卓球、陸上、バレーボール。
どのスポーツをやっている人も、勇一くんにはかがやいて見える。
949:この名無しがすごい!
20/12/05 07:06:55.65 I74CK/7Y.net
「何がニアウと思う? おれ」
「うーん。考えてみる」
「おう。たのんだ。分かったらおしえてくれ」
「うん」
こういう会話の時、あたしはセイジョウだ。勇一くんも、すごく明るいかおでわらってくれる。
うれしい。
だから、あたしはシンケンに考える。やっぱりバレーボールがいいかな。
パパ、バレーボールのコーチだし。いや、でもこれはあたしの気持ちだから、押し付けたらダメかも……。でも、うーん。
と、もんもんとしていた気持ちを摩周さんにぶつけた時。
摩周さんは、うーん、と言って、うでを組んだ。目を閉じて、うつむく。
うでを組んだまま、ひとさし指でマユの間をおさえる。
「野球がいいんじゃないかな。クラスメイトの彼におすすめするのは」
目をつむったまま言う摩周さん。
首をかたむけて見上げるあたし。
「何で、ですか?」
「目に浮かぶ気がするんだよね」
「え?」
「メガホンを持つ君がね。けっこうキレイに成長した君が。首とかほおを赤くしてね。あせを細いあごからたらしながら、必死にさけんでるんだ。
ケイジバンが大きくて、それから……。フラッシュをたいてる人たちもいる。大きな試合。甲子園かな。
光が割れたガラスみたいになって、君をふくめた全部にふりそそいでる。僕は勇一くんって彼の顔は知らないけれど、応援する君は目に浮かぶ」
……多分、アンジュちゃんのことをソウダンするならこの時だったんだ。
だって、摩周さんはとてもフシギなことを、フツウに話していたから。
でも、あたしは、未来のあたしのスガタがキレイとか、勇一くんをヒッシにオウエンしているとか、ドキドキするくらいショウゲキで。
けっきょくそのままかえってきてしまった。
かえりのバスには、ジュクかえりの子たちものっていて、あたしをちらちらと見てきた。
たぶん、あたしが、野球、コウシエン、野球とうわごとのようにつぶやいていたからだと思う。
950:この名無しがすごい!
20/12/05 07:09:10.53 I74CK/7Y.net
次の日、あたしは勇一くんに野球をすすめた。
勇一くんは、バレーボールって言われるかと思ってたけど、サンキュっ!!! ってわらってくれた。
それから、本の読みすぎでカサカサした指がのびてきて、あたしのかみの毛をくしゃくしゃにした。
勇一くんと、ちゃんと話せたのは、その日がサイゴだった。
バレンタインデーに、あたしは(アンジュちゃんに後押しもされて)チョコレートを用意して待っていたけれど、勇一くんは図書室には来なかった。
もう、勇一くんは読書マスターを目指す人ではなくなっていた。
「まあ。人生は長いわ。あなたは、わたしとちがって、生きているから」
アンジュちゃんが、ちょっとばつがわるそうに肩をすくめて、それからあくびをした。
そのあくびはあたしにもうつって、なぜか涙が目のはしからにじんだ。
……春休みの前。
あたしは転校することになった。
カンキョウを変えるべきだと、パパとママは長い話し合いのすえに、そうケツロンを出した。
家族はいっしょに住む。
パパは土日にかえってくるパパじゃなくなる。
ママはコテンをひらくペースを落とす。
そして、あたしはちょっとモンダイをかかえて通学ができなくなった子たちのための、特別な学校に行く。
このことを、パパとママから話された時、あたしはさけんだ。わめいた。
ひざがぐにゃっと曲がって、尻もちをついた。
そのままあおむけに転がって、泣きながらさけんだ。
自分で自分じゃないような声が出て、そのあとはおぼえていない。
気がついたら、ベッドでねていた。天井が病院だった。
シーツから薬のにおいがした。
おじいさん先生がお母さんと話していた。
でも、あたしは眠くて、眠すぎて2人がどんな会話をしているのか、分からなかった。
もしかして、アンジュちゃんが眠い時も、こんなかんじなのかな。
……みたいなことを、落ちたまぶたで閉じられた世界の中、思った。
951:この名無しがすごい!
20/12/05 07:11:16.01 I74CK/7Y.net
何日か入院してから、あたしは退院した。
おじいさん先生は、いつもどおりにすごさせてあげてください、とお母さんにおねがいしてくれた。
だからあたしは自由にすごすことができて、アンジュちゃんにもちゃんとお別れのことばを言えた。
「ゆっくり眠れるわ」
「え?」
どういう意味から分からないあたし。
そんなあたしを、ケイベツの目でさしてくるアンジュちゃん。
「意味が分からないみたいね。教えてあげる。あたしは死者なの。のっと スピリ、 そお にーじゅ すりーぷ。死者は沈黙し、眠るもの」
「ぜんぜん意味が分からない」
自分の声がふるえているのが分かる。
そんなあたしに、アンジュちゃんはヒョウジョウを変えない。でも、茶色のかみの毛のはしが、ちょっとだけ赤く、きらめく。
「すい星、毎晩出てるでしょ」
「うん」
「あなたは、暗いこの図書室で、わたしが夜空を見上げている、と思っているでしょう」
「うん」
「のー」
アンジュちゃんは小さく首を横にふった。
「ちがうの?」
「ちがうわ。あたしは、死んでから、ずっと暗い場所にいるの。眠くなるほど色というものがなくて、黒と白しかない。黒に白がリンカクを与える。
そんな ものとぅーん な世界。色を変えるのは2つの時しかない。
1つは、すい星を見ている時。青い尾の光が、わたしも照らしてくれる気がする。もう1つは、あなたがあたしをおこす時。この部屋にひしめく墓石の列は、本棚に変わる。
あらゆる本の表紙には、シキサイが与えられる。静かな空間が、妙に生き生きとして、わたしは自分がまるで生き返ったように思う。
ちがうのにね。死者は死者に過ぎない。あなたがいなくなったら、わたしは死者として眠るだけ。それは正常なことなの。せいせいするわ」
アンジュちゃんは……まったくせいせいとしているようには見えなかった。
白くてきれいなほおが、涙でぬれすぎていた。
952:この名無しがすごい!
20/12/05 07:12:58.54 I74CK/7Y.net
あたしは言葉につまった。
「でも、あたしは……」
「わたしが死者として完全に眠ることを、心苦しく思うなら、約束して」
「約束?」
「そう。ぷろみす みー。あぼいどぅ べあ まん。クマオトコには、近づかないで」
※※※※※※※
転校を次の週にひかえた木曜日。
あたしは色々なことを後悔しながら、摩周さんの本屋さんに行った。
勇一くんにあげる野球の本を買うためだ。
絵じゃなくて文字の多いものを、あたしはえらび、レジの摩周さんに出した。
会計をすませて、実は今日がさいごなんです、とコクハクをする時になって、あたしはむねがぐっとつまった。時計の音がとてもゆっくりとなって……。
世界が止まって、これが走馬灯かな? ってくらい、色々なものが一気に押しよせてきて。
あたしは、えらんではいけないことばかりを、えらんでしまったのかもしれない。
親切な人のことばは、正しいとはかぎらない。
ソウダンする人をまちがえたケッカ、一番大切な友だちを……。
摩周さんの声でわれにかえり、それから、自分にツゴウのよい、もしもをソウゾウして、苦しくなって、泣いてしまって、入り口にかけ出す。
店から走り出て、ショウテンガイをかける。
摩周さんの声がする。何かがポケットから落ちた気がする。
あたしは止まらず、走り続ける。
ふり出した細かい雨に打たれながら、バステイにトウチャク。
ちょうど来たバスにのり込んで、運よくすわることができた。
こんな、むだな運だけよいのは、どうなんだろう。
と、思いながら、マドの外をながめる。もう、見ないケシキ。細かな雨に白くかすれたショウテンガイ。
アンジュちゃんは、このマチを見たことはない、と言っていた。
あの子の世界では、マチはとてもすたれていて、あたしたちのマチとガッペイずみで。
そもそもアンジュちゃんの図書室だって、あの子の世界では、ハイキョで。
クマがつれ込んだタテモノはハイコウになった学校で。
つまり、ぜんぜんちがう。あたしの知っている世界と、あの子の世界は、つながらない。
だから、あの子の真実は、あたしにはでたらめで、そんなでたらめに、あたしはふり回されてしまったのだろうか。
953:この名無しがすごい!
20/12/05 07:14:26.92 I74CK/7Y.net
……ちがう、と思う。たぶん、いやぜったい、どこかでつながっている。
そのつながりが、今のあたしには分からない。それだけのことだと思いながら、手が、その日着ていたパーカーのポケットをさぐる。メモを見たい、と思ったから。
でも、なかった。ショウテンガイで落とした何かは、メモチョウだと分かって、あたしは変な声をあげてしまった。
バス中のシセンをあびながら、もどろうかとも思った。
けど……。もう、雨でダメになっているかもしれない。
マドの外の雨は、強くなって、マチはますますかすれている。
あたしはうつむく。目の前がにじんで、なみだがあふれてくるのが、分かる。
次の日。図書室に行くと、アンジュちゃんはいなかった。
あの子がいつもつっぷして眠っていたカウンターは、ただの木の板以上でも以下でもなく。
図書室は本当にただの図書室にもどっていた。
あたしはその日の仕事をこなして、タントウの先生にアイサツをしてから、図書室を出た。
それから、げた箱の場所におりて、だれもいないのをカクニン。
勇一くんの箱に、野球の本を入れて……。
ぜんぜんドキドキしない、というよりも、しずかに悲しいだけの自分にびっくりしながら、下校した。
954:この名無しがすごい!
20/12/05 07:16:22.02 I74CK/7Y.net
※※※※※※※
10年がたった。あたしは22歳になった。
この10年は色んなことを必死になっているうちに、過ぎてしまった。
例えるならば、突風。予感めいたものが、震動のように地面を伝って、覚悟をすると、一気に吹き寄せる。
姿勢ぐらいは保とうと必死になっているうちに、全ては過ぎ去る。
特殊学級での日々しかり。高校に進む代わりに受けた大検に落ちた後のリベンジ合格しかり。
高校3年生になった勇一君をスポーツ新聞で確認した時の高揚しかり。
メガホン片手に甲子園に駆けつけて、全力の応援のすえ、逆転負けしたエースピッチャーの勇一君を外で待っていた時に……。
バスにのり込む彼に抱きついて泣く女子生徒を、困ったように見おろして、衆目の中でそっと抱きしめる勇一君。
彼の周りで、囃すようにあがる歓声に耳と心を痛めた時しかり。
全部があっという間だった。あたしは大検には受かったけれど、頭は特別良くも悪くもないままだった。
それでも何とか英語の教育に一定の評価がある短大に進学。留年もせずに就職。
東京の中堅の会社に潜り込んだ。扱うのは輸入雑貨。ワイン。そして……アメリカのデザイナーズブランド。
あたしはちゃんと覚えている。アンジュちゃんのお母さんが、デザイナーをしていたことを。
まあ、就職してしているのはデータの入力とか帳票の整理だし。
ブランドの輸入事業セクションなんか、花形も花形で、なみいる大卒の戦士たちを押しのける技量などないのは、百も承知の上で……。
アンジュちゃんのお母さんと、話す機会をたんたんと狙いながら、あたしは毎日コピーを取ったり電話の取次ぎをしたりしている。
955:この名無しがすごい!
20/12/05 07:19:16.64 I74CK/7Y.net
ちなみに、合コンとかには出ない。この10年間、ずっと続けてきた習慣、もとい、必殺の一撃に磨きをかける必要があるからだ。
そう。あたしは会社から真っすぐ帰宅する。
そして、押し入れの奥から、釘バット君3号(1号と2号は折れてしまったのでこれは3代目)を取り出し、丁寧に布に包む。
愛する自転車であるチャリオット君3号にまたがり、神社に向かう。それから、境内で上段にかまえ、おもむろに素振りを開始。
あたしは無心で振ろうとする。でも無理。10年前に落としたメモ。あの内容が頭の中で、ぐるぐる回る。
携帯ではインターネットができるようになった。メールだって普通にやり取りする世の中だ。ダイエーホークスはソフトバンクになった。
何より……。アンジュちゃんの図書室があった学校は、廃校になった。あたしの家があった町は、市町村合併で、もう名前が違う。
全部、あの子の言った通りになっている。小学生の頃のあたしがいた過去は、アンジュちゃんの生きている現在につながっているのだ。このつながりを……。
素振りに腕が悲鳴をあげて、あたしは釘バット君3号を境内の土にぶらりとおろす。そのまま空を見上げる。黒い葉が作る模様の向こうに、夜空がある。
輝くのは、青い尾のすい星。名前はマックノート彗星。アンジュちゃんが、みっくのーとぅと言っていた、あれだ。
でも、彗星だけではない。あの子が話してくれた言葉。ネイティブの英語を、今のあたしはちゃんと理解できる。
『しゅどぅんすぴあう』は『Should'nt speak out』。声をあげるべきではない、だし。他にも色々分かる。
そして、全部はアンジュちゃんの予言通りに進行している。だから、あたしは1つ、確信していることがある。
頭上の彗星が、日中に見える日が来る。その日は正月が明けて少したった日であるはずだ。
956:この名無しがすごい!
20/12/05 07:20:44.85 I74CK/7Y.net
本当は今、この瞬間に、あたしはアンジュちゃんが住んでいる町に向かって出発したい。新幹線に乗れば結構すぐにつく。そしてあの子を探せる。
でもダメだ。バタフライ効果が起きる可能性がある。あたしが何かをすると、アンジュちゃんの予言していた未来から、世界がずれる可能性がある。
そして、その世界でも、アンジュちゃんが無事という保証はない。だから、あたしはぎりぎりまで待つ。
正月休みに帰省もせず、休日出勤の電話番を一手に引き受けて、しかも一切使わずにためた有給は……このためにある!!!!!
そう意気込み、かなり大きく勇んで、あたしは上司の机に有給届けを叩きつけた。
本当はすだれ頭にぴしゃりと叩きつけてやりたかった。
合コンでないの? 彼氏いないんでしょ?
などとちくちくセクハラしてくる上司に、これからいたいけな少女をあたしは救いに行くんです!!!
とどや顔を決めたかった。
が、あたしは少女を救う英雄(予定)だが、社会人である。アンジュちゃんを救った後も、人生は続いていく。
それにこの会社のボーナスは意外に割りが良いので退社する気にはなれない。
何よりも、だ。この会社で出世をするという大志を抱いて実現すれば、アンジュちゃんのお母さんにもあえるかもしれない。
母と娘をとりもつ。それがあたしというガールのアンビシャス(大志)なのである。
……と、長年の積もりに積もった色々のせいでハイテンションになったあたしは。
正月の帰省ラッシュが終わって、ちょっとだけ物悲しい新幹線のグリーン席で幕の内弁当をかき込みながら、すっ飛んでいく景色に闘志を燃やした。
2席分のチケットを購入したために空となった隣には、バイオリンの大型ケース。
もちろん中身はバイオリンではない。釘バット君3号である。
あたしは、クマの怪物の肩にこれを叩きつけ、降参させて、アンジュちゃんを救うのだ。
957:この名無しがすごい!
20/12/05 07:22:42.34 I74CK/7Y.net
と、意気込んだあたしは、馬鹿だった。いや、馬鹿というよりもうぬぼれていた。
しかも、そのうぬぼれは、あの子を救わないといけない、その瞬間まで続いていた。
レミングスは。はるかな昔、崖に飛び込んだネズミたちは、空も駈けれるし、そのまま水平線を目指せると、思っていたのかもしれない。
それは、落下の瞬間まで。
アンジュちゃんの予言を信じて、昼にあらわれる彗星を待ち続けること2日目。彗星は、本当に上空に現れた。
「今日だ……!!!!」
実家の2階のベランダから、その白い軌跡を見上げて、硬く両手の拳を握った。
教師としての定年退職を10年後に控えつつ、コーチ業も成人病の関係で引退した父。
そして視力が衰えて切り絵から遠のいて専業主婦として静かにくらしている母。
この2人に迷惑をかけるわけにはいかないので、あたしはレンタカーを借りた。
だてに仮免許を10回落ちたわけではない。安全運転はおりがみ付きだ。
あたしは、ものすごく慎重に、例の母校に到着した。
2時間かかった。陽は沈んでいない。
あたしはトランクルームから取り出した釘バット君3号の素振りをしながら、武者震いと共に尿意を覚えて、木陰で用も足したりした。
そうしながら、落陽の時を待った。
そして……。
全部はアンジュちゃんが話した通りに進んだ。
男は少女を図書室があった部屋まで肩にかついていったし、あたしもちゃんと一部始終を確認した。
その子を離しなさい!!!!
と叫ぼうとする前に、おまわりさんにだって連絡した。
興奮というか恐怖でろれつがあんまり回らなかったけれど、ちゃんと住所は伝えた。
多分、男が少女を誘拐したとか、そんな要旨だって伝わったはずだ。多分。
でも……。
決めの台詞を、物陰から飛び出て男の後ろに回って叫ぼう!!!
……として、できなかった。
膝が震えた。震えは背を伝わって、横隔膜とか気道を締め上げて、あたしの喉をつまらせた。
958:この名無しがすごい!
20/12/05 07:25:02.67 I74CK/7Y.net
なんで? ありえない。どうして?
こんなに決意してきたのに、なんで今、あたしは、怖い、の?
男は、クマの怪物はあたしに気が付かない。怪物の肩の上で、少女のマフラーの赤とか髪の栗色とかダッフルコートの裾の白が揺れる。
そうして揺れたまま、男と共に、図書室の闇に吸い込まれる。
銀杏の実みたいな、腐敗した臭いだけが、薄闇を伝って、あたしの鼻にのぼってくる。あたしは動けない。
怖い。
あたしを我に返したのは、悲鳴だった。それはアンジュちゃんの。
何をしているんだ。あたしは。救うんじゃないのか。英雄になるとか、大志とか、どうでもいい。救うんだ。
アンジュちゃんを……!!!!
奥歯を噛む。足は走り出している。図書室の闇に飛び込む。
「その子をはなしなさい!!!!!」
あたしは叫んだ。釘バット君3号だってちゃんと振りかぶった。
でも、そこまでだった。丸い肩ごしに振り返った男が、その瞳があたしを射抜いた。
視線は虚無。アンジュちゃんが言っていたことは本当だった。
ガラスの砕けた窓から吹き込む風が、薄めきれない、臭気。でも、それは生ぬるい。ぬるいというよりも、優しい。
この男の瞳に比べれば、だけど。
瞳は虚無。視線の先の相手に、つまりこの場合はあたしに、あたしの命に一切の価値を認めない。
そんな目。人間は人間を必要とする。
船が難破したら、波間で人は助けの手を求める。手は、人間の手だ。人は人を求める。命に価値を認める。でも、この男は違う。
誰の命も、ゴミ以下に思っている。
あたしの膝は震えた。意志よりも、膝がもたなかった。もし、待ち時間に用を足していなかったら、あたしはこの時に失禁しかけていたと思う。
そして、釘バット君3号を後ろからつかまれた時、確実に完全に失禁していたはず。