18/06/14 18:51:02.08 /IuW585W.net
「え、無しって……どゆこと?」
震えながら、それでも無理して笑いかけた俺に、美悠は眼を逸らしたままもう一度言った。
「だから……無かったことにして欲しいの」
「無かったって、何を?」
「だから……結婚の約束を、無しにしてって……何度も言わせ無いで」
言葉を無くす俺。
「俺が、職無しだからか?」
「そういう訳じゃ無い……けど……」
「言っとくけど、会社が勝手に倒産しただけで俺がクビになった訳じゃ無いんだからな」
「でも……、お金無いんでしょ? 今月の給料も出無かったって」
「今月どころか先月も無かったけどな。けど仕事は探せば無い訳じゃ無いから」
「ごめんなさい! 怒ら無いでっ!」 美悠はそのまま駆け出し、後ろを振り返ることも無く去って行った。
俺は引き止める気力すら無くし、呆然と立ち竦んだ。
「はは……、仕事が無くなったと思ったら恋人まで無くしちゃったよ」
美悠の言う通り金も無いし。つーか金の切れ目が縁の切れ目って、そんなの愛情とは言え無いだろ。いや、そもそも愛情なんて無かったって