ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【92】at BOOKALL
ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【92】 - 暇つぶし2ch959:この名無しがすごい!
18/06/14 18:05:03.09 0gStIYRB.net
天正九年三月二十二日、今宵の総掛かりを前に城将の岡部元信殿が主殿にて、最後の軍議を開いていた。
 某、横田甚五郎尹松も軍議の席に居た。
 諸将は長期に渡る、兵粮攻めで食う物にも事欠き、痩せ細り頬はこけている。
「今宵、亥の刻に生き残った兵が一丸となり大手門から敵陣に切り込む。若し首尾良く敵を突破出来たならば一路、甲斐へ向かうべし。主力の七百は儂が自ら先頭に立って突っ込む。手練れの五十は甚五郎、其方が率いよ」
「承知仕りました。此の横田甚五郎、父、祖父の名を汚す事無く、見事に散って見せまする」
「勘違いをしてはならぬ。甚五郎、其方は抜け道の犬走りから此の囲みを突破し、生きて御陣代様に最後の様子を知らせるのじゃ。良いな」
 岡部様は斯様に申されると拙者の右肩を軽く叩いた。
 顔を見上げると優しく微笑んでいた。
「某が生き残れと申されますか」
「左様。死ぬ事だけが御奉公と考えるな。其方はまだ若い、生きて戦場を駆け回り自慢の槍で武功を挙げるのじゃ」
 某は岡部殿の気遣いに胸を打たれ、不覚にも双眼から涙が零れ落ちた。
 此の時、



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