18/06/10 18:17:59.47 sAhtP0b4.net
「僕は諦めません、必ず美世さんの嘘を暴いてみせます、時間がかかっても必ずです」
美世はロックを解除すると慌てて車に乗ってエンジンをかけ、シフトをドライブに入れて前を見たがそのまま硬直した。
山田が言うように自分が間違ってるのだろうか。もう二度と合わない事以外に山田の未来を守る方法があるのだろうか。振り返ると山田が強く、真剣な眼差しで美世を見ている
否。切り離すしかない。希望的観測に身を任せて失敗したのだ。同じ轍は踏まない。それに胃に穴が開くような思いをしてまで山田を愚弄したのに、もう二度とあんな事を言う勇気は残っていなかった。振り切るなら今しかない。
美世はめまいのようなものを感じながら再び前を見ると車を走らせた。そしてサイドミラーを畳んでルームミラーに一発パンチを入れるとひたすら前だけを見て駐車場を後にした。
「くそ、途中までうまい事いってたのに、なんで追いかけてくんねんアホゥ
弱い女やろうと思うても全然でけへんのに強い女やろうと思うたらなんで弱ぁなってまうんやろ」
また涙が溢れてきた美世は車中で声を出して泣いた。ミラーを畳んで不自然に蛇行する美世は警察に止められた。泣きながらトランス状態で話にならない美世は
パトカーで話を聞くと連行されそうになり、逆ギレして警官に首苅り式腕ひしぎを掛けてしまったため、鷹山が迎えに来るまで留置された。
ひたすらごめんとしか言わない美世に、迎えに来た鷹山は何も聞かなかった。腹は減ってないかと一言聞いただけだった。
「あー失敗した、どうせ逮捕されたんならカツ丼食わせてもらうんやった」
美世がしゃかしゃかと卵を溶きながら言う。
「バカ逮捕じゃねぇよ、懲らしめられただけだこの不良娘が、それにカツ丼は自腹で食べるのが普通だ、警察が奢ってくれるのは病院食みたいなやつだ」
翌朝目を覚ました美世は極めて普通だった。
「さすが経験者はちゃうな」
「うるせぇよ」
「車取りにいかなあかんなぁ、どないしょ……」
「こっち見んじゃねぇ、タクシーで行けよ」
「このおっさん容赦無いな、失恋した女相手に」
鷹山はドキっとした。そんなフランクな感じで核心を話してくるとは思わなかった。唖然とする鷹山を見て心の動きを理解した美世がニコっと笑って言った。
「気ぃ使われるのも辛いねん」
「そ、そうか、でも泣きたくなったら言え、胸を貸してやるから、一回100円で」
「金取るんかいな、ほんならいらんわ、姉さんにお願いする、そのほうがやらかいしパフパフしてもらうわ」
「おっさんかお前は」
「フフフ」
美世は満足そうに笑った。
「ウ