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前スレ
【ハスミ】蓮實重彦13【テクスト】
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蓮實 それは私もそうなんです。ただし私自身、「吉本隆明論」なんていうものも書
いているし、それから彼はナッシングではないわけで、そういう人が一方にいて、他
方に若い人たち、たとえば山城さんみたいな人がいたとすれば、やはり吉本の方が面
白いと思う。でたらめもいろいろと書いていますけれど、吉本の方が役者やなあとい
う感じがする。そのあたりはどうなんですか。もう終わってしまったとみるのか。し
かしあの人は過去十年間確かにいたわけだし、それ以上の人が出たのかっていう気が
する。いや、馬鹿にしなければいけないケースはたくさんあったし、何を書くかとい
うことについては、『マス・イメージ論』あたりから彼の選択に、私もまったく同調
できないんだけれども、しかしどう書くかっていうことに関しては、まだ誰も彼を越
えていないと思う。
しかし同時代の批評、たとえば
「批評空間」や文芸雑誌に出ている批評よりは、はるかに大きな喜びを私に与えてく
れたことは間違いない。これはいろいろな意味での喜びですよ。その通りだと思うと
いう喜びではなくて、この人変なこと言っているなとも思いますよ。比喩を正直に押
さえていくと比喩として成立しないことだってある。でもそれを強引にやっていると
ころはやっぱり批評家だと思う。
蓮實重彦『「知」的放蕩論序説』河出書房新社、2002
明治維新を文章体験として相対化するこ
と。『日本小説批評の起源』(河出書房新社、
二〇二〇年)以降の渡部直己の仕事は、その
政治的な一点において他を圧倒している。
その視点をさらに深く推し進めているこの
最新作は、批評的な実践がかつてなく弱
まっている二十一世紀の日本にとっては過
ぎた収穫にほかならぬ。
蓮實重彥
渡部直己『子規的病牀批評序説』(月曜社、2022年)