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「若し図にはづれて生きたらば、腰抜けなり。この境危ふきなり。図にはづれて死にたらば、犬死気違いなり。恥にはならず。」
(『葉隠』)
案外、三島はこの言葉を本気で受け止めていたのかも知れない。
徴兵検査にはねられても生き永らえたことは腰抜けであった、という悔悟の念は、他人が思う以上に強かったのかも知れない。
三島は「図にはづれて」死ぬことを選んだ。
ただ恥を雪ぎたいという一念で、自殺した。
他人を死にまで巻き込むことは本意ではなく、森田氏を強く戒めた。
しかし、森田氏は森田氏として、「図にはづれて」自分の思念に殉じることを選んだので、三島はそれを容認した。
さてしかし、そのとき生き永らえた同行の人々は、「腰抜け」とそしられはしなかった。