☆☆☆ドストエフスキー統一スレッド②☆☆☆at BOOK
☆☆☆ドストエフスキー統一スレッド②☆☆☆ - 暇つぶし2ch35:吾輩は名無しである
21/02/05 08:04:03.21 P1UeJmUD.net
図書館への返却期限を過ぎた岩波文庫版平井肇訳ゴーゴリ「外套」を読んだ
ゴーゴリの最高傑作にも比される60ページ余りの短編(中編?)だが
写実主義的手法で帝政ロシアにおける旦那衆(当時のロシア国民を大きく二つの階級に分けると上の階級)のおそらく最下層である万年九等官で
役所の文書をもっぱら清書する仕事しかできずまたその仕事を愛してやまないが同僚からは嘲笑の的となっているコミュ障気味の50代独身アカーキイ・アカーキエヴィッチ・バシマチキンの
貧しく惨めではあるが本人は欲も持たずそれなりに満足している日常の描写に始まり
人の命を容易に奪いかねない冬のペテルブルグの尋常でない寒さは貧しい人びとには強敵で
ろくに蓄えもなくカツカツで暮らしている主人公がボロキレ同然になるまで着ツブした外套はもうすっかりダメになっていて
渋りに渋った挙句農奴上がりの仕立て屋ペトローヴィッチの勧めに従って外套を新調することになったあたりから主人公はまるで嫁でも貰うことになったかのようにウキウキし始める
新品の外套は役所で賞賛の的となりあのアカーキイ・アカーキエヴィッチが素敵な外套をあつらえたからにはお祝いの席を設けないわけにはいかないと人付き合いゼロの社会的引きこもり主人公がついぞ繰り出したことのない冬の危険な夜のペテルブルグに足を踏み出すあたりから悲劇が始まる
その後は帝政ロシアの旧態依然たる役所を救済を求めて主人公が彷徨するカフカ的状況を経て最後怪奇譚幽霊譚になって終わるのだが
単なる幽霊譚ではない深刻な寓話的味わいを感じた
「貧しき人びと」の主人公ジェーヴシキンは作中で「外套」を読みオレの悲惨な人生をあからさまに書きやがってと憤慨するが
「貧しき人びと」自体がゴーゴリの「外套」を下敷きに発想されているのかということがよくわかった
アカーキイ・アカーキエヴィッチの陥った不条理に比べればジェーヴシキンはまだ(命を取られなかっただけでも それでも悲劇には変わりないかもしれないが)幸い(?)と言えるかも


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