21/01/07 10:34:31.96 gwZTyYeZ.net
「貧しき人びと」は書簡体小説ですが
二人の手紙の中にはワルワーラの手記やジェーヴシキンの知り合いの三流作家ラタジャーエフの小説(作家によるセルフ引用)
更にはプーシキン全集やゴーゴリの外套など様々なテクストが顔を出します
バフチンのいうパロディの手法なのでしょうが
似たようなテクストごちゃまぜ小説(と言ったら怒られそう)として思い出したのが
ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」とスティーブン・キングのデビュー作「キャリー」
あと小説ではないけれど放送時アメリカにパニックを巻き起こしたと言われるオーソン・ウェルズによるラジオ放送「宇宙戦争」
で思ったのがこのパッチワーク的手法って雑誌や新聞の編集と似てるのかなと
という事は雑誌等の出版文化が花開いた19世紀(かどうか知らんけど)的小説作法なのかなと思ったりした
それはそれとして
そのワルワーラの手記の中に薄幸の青年ポクロフスキーとの淡い恋の思い出がでてきますよね
その時のワルワーラの感情とジェーヴシキンに対する感情はちょっと違うものなのかなぁと今は思ってます
余談ですが病で亡くなったポクロフスキー青年の葬式の場面
言葉は悪いけどベタでメロドラマ的(と言ったらまた怒られるか)な場面ですが
息子を亡くした父親の悲しみが切々と胸に迫ってきて上手いなあと感心する