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☆☆☆ドストエフスキー統一スレッド①☆☆☆ - 暇つぶし2ch145:吾輩は名無しである
20/12/24 09:49:39.27 uXZmIrC+.net
ついでに読み直して目についたエピソードを一つ
「最後にもう一つ、囚人の懐ろをあたためはしないが、いつもきれないで、ありがたい収入の道があった。
それは施しものである。わが国の上層階級の人々は、商人や町人や一般民衆がいわゆる『不幸な人たち』にたいして
どれほどの思いやりをもっているか、理解していない。…わたしははじめて金の施しを受けたときのことを、覚えている。
それは監獄について間もないころだった。わたしは看守につきそわれて、一人で朝の労働からもどってきた。
向こうから母親と、十歳ばかりの天使のようにかわいらしい少女がやってきた。…
少女はわたしを見ると、顔を赤らめて、母親に何ごとかささやいた。
すると母親はすぐに立ちどまって、包みの中から四分の一コぺイカ銅貨をさがして、それを少女にわたした。
少女は私を追ってはしってきた……
「さあ、『不幸なおじさん』、このお金をどうぞ、キリストさまのためよ」と少女はわたしのまえへかけぬけて、
わたしの手に銅貨をおしこみながら、叫んだ。わたしはそれを受け取ると、少女はすっかり満足して母親のところへもどっていった。
その銅貨をわたしは長いこと大切にもっていた。」
件の聖書もペテルブルグからシベリアに行く途中トポリスクでデカブリストでの妻たちに贈られたものらしい。


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