夏目漱石 八十一夜at BOOK
夏目漱石 八十一夜 - 暇つぶし2ch535:吾輩は名無しである
21/02/21 10:42:48.34 .net
100年以上前に夏目漱石は未来を予言してたんだ

「それから」より  1909年6月27日から10月14日まで朝日新聞で連載

「何故働かないかって、そりゃ僕が悪いんじゃない。つまり世の中が悪いのだ。
もっと、大袈裟に云うと、日本対西洋の関係が駄目だから働かないのだ。(中略)そうして、無理にも一等国の仲間入りをしようとする。
だから、あらゆる方面に向って、奥行を削って、一等国だけの間口を張っちまった。なまじい張れるから、なお悲惨なものだ。
牛と競争をする蛙と同じ事で、もう君、腹が避けるよ。
その影響はみんな我々個人の上に反射しているから見給え。
こう西洋の圧迫を受けている国民は、頭に余裕がないから、碌(ろく)な仕事は出来ない
悉(ことごと)く切り詰めた教育で、そうして目の廻る程こき使われるから、揃って神経衰弱になっちまう。 
話をして見給え大抵は馬鹿だから。
自分の事と、自分の今日の、只今の事より外に、何も考えてやしない。
考えられない程疲労しているんだから仕方がない。
精神の困憊と、身体の衰弱とは不幸にして伴っている。
のみならず、道徳の敗退も一所に来ている。日本国中何所を見渡したって、輝いてる断面は一寸四方も無いじゃないか。
悉く暗黒だ。
その間に立って僕一人が、何と云ったって、何を為たって、仕様がないさ」
これも
山路を登りながら、こう考えた。
智に働けば角が立つ。
情に棹させば流される。
意地を通せば窮屈だ。
とかくに人の世は住みにくい。


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