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<群像2016年8月号掲載 滝口悠生「MajiでKoiする5秒前」感想>
ボロアパートに住む30男は、夜にアパート前でバットの素振りをするのが趣味。
真向かいの家に住む大学生の女性に恋している。彼女には9時という門限が課されている。
主人公は彼女が家に入るまで素振りをしている。恋するあまり悶々としてしまっている。
恋という邪念を振り払うようにバットを振る。
ネタばれすると、けっきょくはその女性からストーカーとみなされるというオチだった。
男が女性に想いを寄せて、どんなに気をつけても、
振る舞いによってストーカー扱いされやすい現代を感じて哀れになった。
「MajiでKoiする5秒前」の歌詞の一部のフレーズどおりの設定で話が進むけどパンチが弱い。
そういえば流行った歌だけど個人的に好きではない。物語を読むことで少しでも
この歌を好きになれたらと思ったけどな。
主人公は傍観者に徹してるだけなんだよ。ただ素振りしながら意中の女性の帰りを待ってるだけで。
読者に喜びも怒りも何も感じさせない。ストーカーという題材を扱ってこれでは…。
テーマの歌詞のフレーズの表面を拾ってるだけで決まってない。
マジで恋する直前の状態を描写していて、 それが長めの「5秒前」という解釈もできるが、ストーカーオチはさびしい。
(現代らしいといっちゃ、らしいけど)
それに歌詞によれば恋のワクワク感が全体として貫かれてる気がするんだ。だから歌詞と合っていない。