16/07/18 19:39:53.67 .net
まず、芥川賞候補に選ばれたことと、周囲で割と評判なのに興味を惹かれて、読んだ。本作は……
面白いとかそういう言葉で済ませてしまえる作品では、無い。紋切り型の言い方になるが、傑作だ。
可読性の高い文体に反して、意外に構成は工夫されている。アメリカのオレゴン州の高校を退学に
なるパートから始まる本作は主人公の女の子、ジニの一人称が主だが、演劇のト書きや、北朝鮮から
ジニに宛てた手紙、ジニの手記ーー以上の四つが、全31の断章より成る本作のつくりだ。
ホームステイ中のジニが過去の記憶を頼りに、家出中の二日間に書かれた手記と読むのが正しいと思う。
前述の通り、学校を辞めたジニはホームステイ先のおばさん、ステファニーと会話をする。そして
続く6章「告白、親愛なる紙へ」で、ここから先はジニの過去が語られるという事が明かされる訳だ。