16/07/11 20:01:43.38 .net
(続き)
姫野カオルコ「10年前、貴人にはなかった、違うことが」◎
10年前、帯状疱瘡にかかった「彼女」が、高校時代に同じ病気にかかった
クラスメート、「S」のことを回想する。成績優秀にして、自分に自信のあった(つまり、傲慢な)
性格を持っていた「彼女」は、気が弱い「S」を無理矢理スポーツ部に入れた過去があった。
(彼女は「S」が同意の上で入部した、「させた」のではなくーーと、思い込んでいる)
スポーツ部のマネジャーとして「カンタンなこと」すら失敗続きの「S」はあげくに前述の病気に
かかったのだ。
そして2003年の現在。子供を産むという「カンタンなこと」が「10年たっても」出来ないせいで
「自信に罅が入」り、深夜に庭を散歩するようになった「彼女」は「かつてのSのような」声で
衛士に返事を返し、幕。
とてもいいです。一人の女性の精神的な転落を上手く書けている。そして何より、ここには
人間の姿がたしかに描かれてもいるのだ。
一番印象に残った、優れた文学。
「Dahlia」森絵都△
早助よう子と同じくディストピア的な未来を書いている。
こっちはまだ希望があるっぽいのはよかった。