16/05/08 15:49:23.42 .net
ジニ冒頭12Pの感想 ―繊細な人が繊細な作品を読む―
クラスでウサギの解剖が嫌でわんわん泣き出すクラスメイト。
彼を無視するクラスメイトたち。全体を観察し、学校や世界の残酷さをかみ締める主人公―というのが冒頭のシーンだ。
センシティブで繊細な感情の持ち主が主人公なのだ。この繊細さが作品全体を貫いているのだろう。
主人公のジニは、世界中をたらい回しにされている。
東京、ハワイ州、そしてオレゴン州。オレゴン州の学校でも退学ということに。
選評で源一郎が書いてるけど、境界を生きている人のまなざしで物語が進む。
傑作らしい。だけど傑作という言葉や、冒頭のセンシティブさや高密度さに息苦しさを覚える。
文体も大人しく刈り込まれていて俺には合わない。
だけど傑作と太鼓判を押してくるのだし、壮大なスケールの物語らしいから、
真剣に向き合って読んでいこう。
選考委員たちは、こぞってこの作品について「繊細」という言葉を使っている。
ジニは冒頭のシーンでもわかるが、弱者の存在に敏感なのだ。
俺も繊細だとよく周りから言われるか、ここまで繊細ではない。
ジニのように境界に生きてるわけでもないし、ウサギの解剖で泣き出す子でもない。
俺もネズミの解剖したことあるけど平気だったな。いるんだよ。
クラスで一人は泣き出す奴、と懐かしくなった。
俺は、泣き出した子をスルーする大多数の側だ。
だから、まだ俺は大丈夫だととてもとても安心した。
繊細な人とは、決して弱い人のことではない。再認識させて欲しい。
今後の力強い展開に期待する。