16/12/12 22:14:10.48 lvw8xq/p.net
「内なる辺境」所収の「ミリタリィ・ルック」によると
ナチス軍服の特質はファッション性や実用性にあるのではなく
国家機構の公共的役割に国民を再編成する形式性重視の衣装性(記号性)にある、としている
まあ、一種の劇場国家論であり、劇作家安倍公房の世界の見方と言っても良い
これが外部条件によって平和が確保された現代資本主義の世になると
原義たる記号性が換骨奪胎されてパロディ的、つまり道化的批評性を含んだ扮装になるので
ミリタリィルックに軍靴の響きを読み取る進歩的(実は保守的)文化人による批判は的外れだとし、
新たなるファシズムは別の部分から出て来るだろうとしている
たとえばエルンスト・ブロッホが
原型によって国民をパターン的に解体・把握・再編しようとする
ユングの試みはファシズムそのものなのだ、と批判していたが
安部も似たようなことをナチスの制服を叩き台に指摘し、
現代社会におけるその無効性を論じているわけだ