ウラジーミル・ナボコフ 6at BOOK
ウラジーミル・ナボコフ 6 - 暇つぶし2ch100:吾輩は名無しである
14/07/28 10:49:38.59 .net
>>78
話の意味ねえ? ナボコフに村上春樹風の話を期待されても困るよな。
とにかく文体の細部を愛でることだよ。

101:吾輩は名無しである
14/08/04 10:35:57.59 .net
『道化師をごらん!』復刊するか若ちゃんが訳してくれ

102:吾輩は名無しである
14/08/04 17:00:23.08 .net
若島はまずアーダを出す目処が立ってから他の仕事を受けてくれ

103:吾輩は名無しである
14/08/05 20:13:19.86 .net
大枚叩いて『ナボコフ全短篇』買ってしまった

104:吾輩は名無しである
14/08/05 21:45:40.84 .net
>>103
どんな感じよ
ロリタ読んで晦渋な文体が気に入ったからああ言う感じなら俺も買おうと思うんだが

105:吾輩は名無しである
14/08/06 13:20:39.66 .net
全短編は買って損なし

106:吾輩は名無しである
14/08/06 15:31:50.68 6ds1egVr5
全短篇は一生モノだよ
何度でも読み返せる
絶版になる前に買うべし
103はえらいぞよくやった

107:吾輩は名無しである
14/08/06 21:52:06.14 .net
ナボコフだったら小説の翻訳は見つけ次第買ってしまうな。
『青白い炎』はちくまを持っているのに、岩波を買ったし、
『マグダ』なんて4種類の翻訳持っていて、まだ一つも読んでないw
今は『青春』を読書中。

108:吾輩は名無しである
14/08/10 17:44:45.82 .net
青春読みたいけどどこにもねぇ
アーダと青春は復活はよ

109:吾輩は名無しである
14/08/18 22:46:05.78 .net
いつかアレッポで…

110:吾輩は名無しである
14/08/18 23:40:18.86 .net
>>109
俺も今回の日本人人質事件でナボコフの短編のタイトルを想起した。
シェイクスピアの『オセロ』の台詞から取ったタイトルだ。

111:吾輩は名無しである
14/08/19 06:32:59.14 .net
>>1
前スレぐらい貼れ

ウラジーミル・ナボコフ 5
スレリンク(book板)

112:吾輩は名無しである
14/08/19 12:08:08.80 .net
>>111
2か月も経って今頃やってくるなよ。

113:吾輩は名無しである
14/08/20 00:41:24.48 0mNENO4y9
>>111
>>4で貼ってるわボケ
よく見ろや

114:吾輩は名無しである
14/08/22 16:47:53.44 .net
苦手な作家だわ
ロリータは途中で挫折、透明な対象は無理して最後まで読んだがよくわからん
青白い炎も途中で投げ出した

これはさよならした方がいいよな

115:吾輩は名無しである
14/08/22 18:41:34.02 .net
ベンドシニスターてどうなん?

116:吾輩は名無しである
14/08/23 16:07:00.88 bZGCaViUe
ベンドシニスター、悪くはないよ。
シェイクスピアの『ハムレット』論議が出てくるので
先にハムレット読んでから読むとわかりやすいかも

117:吾輩は名無しである
14/08/24 21:34:54.71 .net
面白い。

118:吾輩は名無しである
14/08/26 06:00:27.97 .net
>>117
買うわ

119:吾輩は名無しである
14/08/27 23:15:17.90 .net
>>114
自伝嫁

120:吾輩は名無しである
14/08/30 23:20:46.99 .net
ナボコフの4冊目に「青白い炎」を読んで、ちらっとプニンが出てきたので今度はこれを読もうと思ってたが
その前に最近出た中公新書の「スターリン」をたまたま読んだ。
いま「プニン」読んで これまで自分が当時の政治情勢をあまりに軽視してナボコフを読んでいたことに気づいた

121:吾輩は名無しである
14/09/01 23:49:33.07 bjm+nWufB
色眼鏡で見るようになる危険性がある故に政治情勢は知らない方が良いのでは?

122:吾輩は名無しである
14/09/11 17:12:19.49 .net
ナボコフの中心テーマはずばりノスタルジア。
タルコフスキーもそうだが、ロシア人なら誰しも抱く心の秘密。

123:吾輩は名無しである
14/09/22 07:54:11.59 .net
ベンドシニスター買った

124:吾輩は名無しである
14/09/26 12:33:07.41 .net
やっぱり賜物が最強だな

125:吾輩は名無しである
14/09/29 21:44:08.59 .net
ナボコフの書くテーマは割とストレートだよね
つっても戦前の人か、むしろ文章が新しいってことかな

126:吾輩は名無しである
14/10/01 22:03:02.25 .net
「青白い炎」
はじめの詩に素直に胸打たれた。イイ!
ここに膨大な注釈が加わるんか…なんだかなあ

127:吾輩は名無しである
14/10/02 13:24:58.58 .net
>>126
註釈とは名ばかりで、カンケイない物語が展開される。
ナボコフ一流のユーモアと皮肉、そして一抹の哀感が心に響く。
やっぱり『青白い炎』が一番いいな。

128:吾輩は名無しである
14/10/02 15:15:55.67 .net
「青白い炎」を読むと、文学ってカッコいいと思ってしまう。

129:吾輩は名無しである
14/10/06 03:06:29.51 .net
『青白い炎』読んでみたいんだが、訳が不正確というので手が出しづらい……
ちくまと岩波で刊行されてるみたいだが、どっちが原書により忠実なんだろう

130:吾輩は名無しである
14/10/06 08:57:20.36 .net
同じ訳者の改訳版が岩波
>>72-74のあたりに出ているよ
誤訳と指摘された所は変わっていないみたい

筋を追う分には困らないよ
そういう読み方をナボコフ本人は毛嫌いしているし
雑な訳では様々な仕掛けがわからないって言うけど

131:吾輩は名無しである
14/10/06 09:54:21.04 .net
>>130
誤訳とされてる部分だけ注意して読めば、とりあえず大丈夫ってことでいいんですね
アドバイスありがとうございます

132:104
14/10/16 23:11:46.11 .net
『青春』残り20ページまで来た。すぐ読み切ってしまうのはもったいないので、
じっくりゆっくり読み進めてきた。まあ、他の本も並行して読んでいたんだけどね。
最近はノーベル賞が決まったモディアノの『暗いブティック通り』を読み始めたが、
やはり自分はナボコフの文体がしっくりくる。次は『マクダ』を読もうかな。

133:吾輩は名無しである
14/10/17 12:35:44.38 .net
『青春』って何だよ?と思ったらGloryか。
邦訳は廃刊だけど英語版から?
ロシア語オリジナルからのナボコフ英訳(改作?)と
初めから英語作品での文体の違いはある?

134:吾輩は名無しである
14/10/17 13:34:23.89 .net
>>133
いや、邦訳だ。昔、荻窪か阿佐ヶ谷の古本屋で、2000円で購入した。
渥美昭夫訳で、こなれた日本語だ。後書きによると、不明な点はナボコフに問い合わせ、
夫人から返事が来たらしい。若い頃の作品らしい青春恋愛小説で、「マーシェンカ」に似ている。
後期の作品のような凝った文体や構成ではない。

135:吾輩は名無しである
14/10/17 15:47:11.89 .net
>>134
すまない、言葉足らずだった。
ロシア語版からの邦訳か、ナボコフ自身の英語版からの邦訳かってこと。
ナボコフ自身がロシア語は十全な使い手としての自負があるのに、
英語では四苦八苦してしまうと書いてて、さらにそれを日本語に直しても
そういう苦闘の痕や妙味が出ているのかという関心だね。

136:129
14/10/17 15:50:45.38 .net
「渥美昭夫」でググッたら自己解決しました。
英文学の人なので、たぶんロシア語版(1932)からでなく
息子ドミトリの翻訳・父改作協力の英語版(1971)からの翻訳だね。

137:吾輩は名無しである
14/10/17 16:19:19.47 .net
『青春』、ロシア語 "Подвиг" 1932年出版、英訳ドミトリー・ナボコフ "Glory" 1971年出版。
渥美昭夫の訳は英語版からだけど、ロシア語版と英語版に大きな違いはない。
この小説に「ナボコフ英訳(改作)」とか「初めから英語作品」とかはないよ。

138:吾輩は名無しである
14/10/18 00:29:22.32 .net
>>133-137
GraysonのNabokov Translatedって本がある。
ロシア語ができなくても諸作品の露語版と英語版の違いと
ナボコフがどのようにreviseしたかがわかる。

139:吾輩は名無しである
14/10/18 00:53:24.16 .net
いつの日か日本でナボコフ全集が刊行される場合、原書初版がロシア語のものはロシア語から、
英語のものは英語から翻訳されたもので揃えてほしいね。
確か『断頭台への招待』までがロシア語、『セバスチャン・ナイトの真実の生涯』からが英語だったな。

140:吾輩は名無しである
14/10/21 00:03:38.36 .net
ナボコフいいね
「ロリータ」と「青白い炎」読んでしばらく経つけど
頭にチェス盤埋め込められた感じが心地よい

141:吾輩は名無しである
14/10/21 10:07:48.97 .net
初期のロシア語版の翻訳を小笠原豊樹にもっとやってもらいたかったな。
沼野允義に今後頑張ってもらおう。

142:吾輩は名無しである
14/10/21 10:23:38.72 .net
充義だな

143:吾輩は名無しである
14/10/22 14:30:46.14 .net
小笠原豊樹のナボコフの翻訳書は英語版からの『四重奏/目』だけだよね。
あれはじつに優雅で美しい作品だったな。

144:吾輩は名無しである
14/10/26 12:05:20.82 .net
四重奏はよくわからなかった……。
二つ目の最後の「それは私の靴です」とか、博物館にいたのにどうして捕まったのかとか(うろ覚え

145:吾輩は名無しである
14/10/27 01:05:58.11 .net
>>143
翻訳で読んで「優雅で美しい作品」とかわかった気になれる感性が羨ましい
ナボコフはその種類の愚かしさに容赦なかった

146:吾輩は名無しである
14/10/27 01:13:01.57 .net
ナボコフじゃないんだからいいじゃん

147:吾輩は名無しである
14/10/27 01:42:04.87 .net
ナボコフ自身も翻訳してたけど

148:吾輩は名無しである
14/10/27 09:55:20.73 .net
>>145
ナボコフ先生が怖いんだねw

149:吾輩は名無しである
14/10/27 22:21:30.51 .net
ナボコフ先生は怖いだろ

150:吾輩は名無しである
14/10/28 14:48:53.33 .net
翻訳を否定する奴は消えろ。たかが英語を読める程度のくせに偉そうに。
5か国語くらい読めてから自慢しやがれ。

151:吾輩は名無しである
14/10/28 22:38:31.73 .net
>>19 それは大事な部分ですね
まえからそうあるべきと思っておりました!

152:吾輩は名無しである
14/11/01 22:56:38.86 .net
でも英語だけでほとんどの作品を、それも本人訳かreviseで読めるというのは素晴らしいよな。
いい研究書もたくさん出てるし。

153:吾輩は名無しである
14/11/25 11:25:21.75 .net
ロシア文学講義読んでる。

154:吾輩は名無しである
14/11/27 09:21:38.37 .net
>>153
あんまり面白くない。

155:吾輩は名無しである
14/11/27 12:39:03.25 .net
しょせんロシア人。

156:吾輩は名無しである
14/11/27 22:15:43.43 .net
やっぱり小説が面白い。
長編なら『青白い炎』『ロリータ』『アーダ』
短編なら「チョルブの帰還」「フィアルタの春」「忘れられた詩人」

157:吾輩は名無しである
14/11/27 23:38:26.82 .net
つーかアーダいつだよ
こんだけ時間あって上げられないなら復刊してくれりゃそれでいいよもう

158:吾輩は名無しである
14/11/28 14:39:30.96 .net
そのとおりだ
若島訳いらないから復刊すればいい
あるいは他の人に訳してもらうのもいい

159:吾輩は名無しである
14/12/12 01:12:05.69 .net
この人の「ニコライ・ゴーゴリ」って読みやすいですか?

160:吾輩は名無しである
14/12/28 22:35:23.13 .net
加齢臭ムンムンのくっさいくっさいバブル世代・団塊世代の特徴

●自分たちより前の世代の努力のお陰で日本経済が高度成長し、就職、学業などになんの努力もせず上手くいったため甘やかされ役に立たず、日本を借金まみれにする

●酒(特にビール)、テレビ、マスコミ、エロ週刊誌、風俗、痴漢、パチンコが大好きで週に一度は性犯罪を犯す

●タバコや酒や加齢で体臭と口臭がキツく脂まみれのメタボ体型

●精子、卵子、羊水が老化し子供を作れない無能

●ゴキブリのように数ばかり多く少子高齢化社会のお荷物

161:吾輩は名無しである
15/01/10 07:57:26.11 .net
なんだロリータ以外まともに手に入らないのかよ

162:吾輩は名無しである
15/01/10 10:03:22.69 .net
岩波文庫から青白い炎が去年出た

163:吾輩は名無しである
15/01/10 10:10:23.67 .net
ゴミは相手するな

164:吾輩は名無しである
15/01/14 11:43:07.65 .net
 
お世話になります。
私、責任者の加茂と申します。以後、宜しくお願い致します。
URLリンク(www.apamanshop.com)
浪速建設様の見解と致しましては、メールによる対応に関しましては
受付しないということで、当初より返信を行っていないようで、今後につい
てもメールや書面での対応は致しかねるというお答えでした。
URLリンク(www.o-naniwa.com) 事務員 東条 南野
URLリンク(www.o-naniwa.com)
このように現在まで6通のメールを送られたとのことですが、結果一度も
返信がないとう状況になっています。
URLリンク(www.apamanshop-hd.co.jp) 加茂 舟橋
URLリンク(s-at-e.net)
私どものほうでも現在までのメール履歴は随時削除を致しております
ので実際に11通のメールを頂戴しているか不明なところであります。
  
 ・ハンガー・ゲーム   URLリンク(s-at-e.net)
 ・スタートレック     URLリンク(s-at-e.net)
 ・アバター        URLリンク(s-at-e.net)
 
 ・アバター       URLリンク(s-at-e.net)
 ・トランスフォーマー URLリンク(s-at-e.net)
 ・Star Citizen     URLリンク(s-at-e.net)
 
 ・T   URLリンク(s-at-e.net)
 ・Zle  URLリンク(s-at-e.net)
 
大阪府八尾市上之島町南 4-11 クリスタル通り2番館203
に入居の引きこもりニートから長期にわたる執拗な嫌がらせを受けています。
この入居者かその家族、親類などについてご存知の方はお知らせ下さい。
hnps203@gmail.com

165:マグナ ◆vI4NRkhGyA
15/01/15 02:49:09.12 .net
とある童貞青年が、ナボコフを「良分」と「前衛」と呼び、ジュリアン・グラックを引き合いに出してた。諸君どう思うかね?

166:マグナ ◆vI4NRkhGyA
15/01/15 02:49:56.58 .net
「良文」だな。聞き慣れねえ言葉なので変換ミスった。

167:1/2
15/01/24 21:35:05.87 .net
植草甚一の「ぼくは散歩と雑学がすき」がちくま文庫で復刊されていたので、
およそ40年ぶりに読み始めた。「ナボコフの投書と本の話とナボコフィアンのこと」という
コラムは当時もおもしろかったけど、今よくわかったことがあったので、引用してみる。

>「ロリータ」のあとで七年目に「蒼白い火」(原文ママ)が出版されたとき、ナボコフ・ファンには
>二冊買うのが大勢いた。というのは殺された詩人シェードが残した長詩三十数ページに
>二00ページ以上の注釈がついていて、それを読んでいくうちに注釈者の大学教授キンボード
>というのが、じつは北欧から亡命してきた王様であって、それも気ちがいじゃないかということ
>になり、それには原詩と注釈とを絶えず較べて読まなければならないし、いちいちページを
>めくり返すと、指のさきがクタビレてしまうからだ。ぼくは原本を二つに引き裂いて読んでみたが、
>こんなわけで二冊買ったものもいたので。

168:2/2
15/01/24 21:40:49.39 .net
当時はそのままよくわからずに読んでいたけど、今は実によくわかる。
植草氏が本を真っ二つにしたのも、アメリカのペーパーバックというのもあっただろう。
そして現在では「気ちがい」と書いてそのまま出版できるのだろうか?

まだ二度目の読了はしていないけど、この本自体が結構面白いので、
ヒマのある人は、公共図書館で借りて読むのをお勧めします。

169:吾輩は名無しである
15/02/10 02:15:11.41 .net
翻訳を否定する奴はマジで逝ってヨシ

170:吾輩は名無しである
15/02/21 09:19:23.76 .net
翻訳のありがたさは誰も否定してないでしょ
言語的な仕掛けの巧みなナボコフを翻訳だけで読んで読んだことになるのかって話
ナボコフはロシア文学の他人の英訳に手厳しかっただけにそう思う

171:吾輩は名無しである
15/02/21 10:12:41.85 .net
>>170
否定している奴いくらでもいるだろ?

172:吾輩は名無しである
15/02/21 11:29:46.67 .net
たぶん、翻訳自体が否定されているんじゃなくて、
翻訳しか読まないでナボコフをわかったつもりの奴が否定されてるんだよ

173:マグナ ◆vI4NRkhGyA
15/02/21 14:57:16.30 .net
ナボコフが翻訳ではあんまわかんねえのは同意だわ。

174:吾輩は名無しである
15/02/21 18:26:24.22 .net
「文法的にはただしいが英語を母語とする人間なら使わない類の言い回しをする」とかいう評をみてから
英語で読んでもわからんのではないかという諦めが

175:吾輩は名無しである
15/02/21 19:42:59.04 .net
文学は分かったつもりになって語らないと、いつまでたっても語れないぞ。

176:吾輩は名無しである
15/02/22 01:29:31.73 .net
ボルヘスもイタリア語わからんのに神曲を熱狂的に語ってた
まあ英語でもロシア語でも存分に味わえる人は素直に羨ましいしそっちの理解がより明確なのはあっさり認める
がしかしだ、私だってナボコフを愛してるんだ

177:吾輩は名無しである
15/02/22 02:31:14.63 .net
ドン・キホーテ講義は読んでないけど、
さすがのナボコフもスペイン語まではカバーしてないよね?
いや出来ても驚かないけど

178:吾輩は名無しである
15/02/22 09:52:11.89 .net
>>176
イタリア語はスペイン語わかるとある程度はわかるよ

179:吾輩は名無しである
15/02/22 10:10:16.01 .net
>>177
文学講義でもカフカの変身はNRFの仏訳で読んだと言ってた
まあ横文字同士だとまた違うだろうけど
そもそもナボコフは日本に関心ないからねえ
まさか欧米諸国の外で小説がほとんど全て翻訳される程受け入れられるなんて考えてもいなかっただろうし

180:吾輩は名無しである
15/02/22 10:11:21.74 .net
ロ、リ、タ(´・д・`)

181:吾輩は名無しである
15/02/24 15:28:49.97 .net
ナボコフは確かに翻訳じゃ苦しいな
それに比べてトルストイのリズムのちょうどよさはどうよ

182:吾輩は名無しである
15/03/05 17:03:33.40 .net
ナボコフを原書で自在に読める人は滅多にいない。
研究者でない限り、翻訳で楽しめばいいんだよ。
肩ひじ張るなってw

183:マグナ ◆vI4NRkhGyA
15/03/15 15:41:10.72 .net
>>179
三島、つまらん、とか書いてはいたようだ。

184:吾輩は名無しである
15/03/31 12:14:29.60 .net
絶望を読んでみる。

185:吾輩は名無しである
15/04/08 14:00:17.87 .net
>>184
いきなり日本人はあれの最中でも口づけしない、みたいな文章でてきてびっくりした。

186:吾輩は名無しである
15/04/09 14:17:40.33 .net
文庫なのに1000円以上するのキツい。

187:吾輩は名無しである
15/04/11 17:29:19.35 .net
カメラと絶望がおもしろい。

188:吾輩は名無しである
15/04/17 16:03:10.11 .net
ナボコフは服装の趣味がかわっていたんだよね。

189:吾輩は名無しである
15/04/23 20:20:14.41 .net
>>186
なんでそんなに貧乏なの?

190:吾輩は名無しである
15/04/23 20:50:17.22 .net
逆になんでだと思う?

191:吾輩は名無しである
15/04/23 20:52:14.23 .net
学生

192:吾輩は名無しである
15/04/24 07:35:13.36 .net
が臭え

193:吾輩は名無しである
15/04/28 17:31:12.06 .net
Problem Paradise ‏@propara
ナボコフの自伝『記憶よ、語れ』の初稿760枚あがる。かつて晶文社から出ていたものの改訂新版で、後に発表された「幻の第16章」(ナボコフ本人による、自伝の初版の偽書評!)を補遺として含む。なるべく早いうちにお目にかけられればと思っています。

194:吾輩は名無しである
15/05/18 23:18:24.48 .net
ナボコフの『ニコライ・ゴーゴリ』読んだけど観念的で難解だった
小林秀雄みたいだ
初ナボコフ

195:吾輩は名無しである
15/05/18 23:19:28.66 .net
あげ

196:吾輩は名無しである
15/05/19 00:06:33.91 .net
>>194
初ナボコフでゴーゴリ論とかシブいな。

197:吾輩は名無しである
15/05/19 00:32:26.99 .net
>>196
いやちょっとゴーゴリについて調べていて、評伝書いてたのが偶然ナボコフだっただけ
ロリータや賜物はいずれ読もうと思っていたけど

198:吾輩は名無しである
15/06/17 21:58:51.88 .net
しかし1ヵ月もレスがないとは

199:吾輩は名無しである
15/07/06 21:53:44.21 .net
ロリータ読む準備としてカルメンと不思議の国のアリスとアナベル・リー読んだ。

200:吾輩は名無しである
15/07/15 03:01:17.00 .net
『青白い炎』が品切れにならないことを祈る。

201:吾輩は名無しである
15/07/16 00:22:50.92 .net
ロリータ再読したが素晴らしい
こういう小説だったんだ、と若島さんの訳で精読して初めて分かった

202:吾輩は名無しである
15/07/16 20:34:33.26 .net
>>201
何が素晴らしかったのか、詳しく。

203:吾輩は名無しである
15/07/17 01:56:18.77 .net
『記憶よ、語れ―自伝再訪』 ウラジーミル・ナボコフ  若島正訳  
2015/8/7 作品社 ¥ 3,672
URLリンク(www.amazon.co.jp)

204:吾輩は名無しである
15/07/22 20:32:15.49 .net
若島訳の『アーダ』まだかよ。待ちくたびれて、死んでしまいそうなんだが。

205:吾輩は名無しである
15/07/29 21:35:02.24 .net
今出ているアーダの訳って読みづらいの?

206:吾輩は名無しである
15/07/30 02:20:23.51 .net
200

207:吾輩は名無しである
15/08/08 16:31:10.78 .net
hijilijili (hijilijili)
ナボコフの続刊予定 URLリンク(t.co)
8月7日 22時18分 Twitter for iPhoneから
URLリンク(twitter.com)

208:吾輩は名無しである
15/08/08 18:30:53.27 .net
エッセイが地味に楽しみかもしれない
青白い炎は何種類翻訳があってもいいタイプの作品だと思うし、
今の訳はやっぱりどっか信頼出来ない部分もあるんで、これも楽しみ
で一番楽しみにしてるのはアーダなんだけど、
若島と早川まだかよおい

209:吾輩は名無しである
15/08/09 01:17:23.34 .net
『青白い炎』の新訳者は『夜はやさし』の新訳を出した人だな。
俺と小説の好みが合うみたいだ。

210:吾輩は名無しである
15/08/09 13:06:48.64 .net
アーダってそんなに面白いの?

211:吾輩は名無しである
15/08/09 20:11:51.66 .net
ナボコフの『ロリータ』や『青白い炎』、『セバスチャン・ナイトの真実の生涯』を
面白いと思えた人には面白い。ナボコフの魅力は一言では言い表せないけれども。

212:吾輩は名無しである
15/08/09 20:39:43.97 .net
賜物があればそれでいい

213:吾輩は名無しである
15/08/11 02:40:44.40 .net
ナボコフで一冊となったら「スピーク、メモリー」もありかも。
自伝再訪、楽しみだなあ。
でも大津栄一郎さんの、名訳だったから、ちょっと不安でもある。

214:吾輩は名無しである
15/08/16 14:21:16.26 .net
わが命、わが炎

215:335
15/08/17 00:02:56.32 .net
このスレに本当のナボコフ好きがいれば pale fire を読んでいってもいいのだが・・・

216:吾輩は名無しである
15/08/18 17:42:24.82 .net
>>215
意味不明

217:335
15/08/18 18:52:15.55 .net
おまえみたいな馬鹿はわからんでもよい

218:吾輩は名無しである
15/08/18 18:53:45.49 .net
いや意味不明だろ
馬鹿とか利口の問題ではない
たぶんお前が馬鹿

219:吾輩は名無しである
15/08/19 00:32:30.30 .net
キチガイだろ相手にすんな

220:吾輩は名無しである
15/08/24 12:41:49.98 .net
自伝再訪、もう読まれた方いらっしゃいますか。

221:吾輩は名無しである
15/08/26 22:09:44.99 .net
ナボコフは1回読んだだけでは理解しにくい。再読してこそ良さが分かる作家だ。

222:吾輩は名無しである
15/08/28 17:38:28.52 .net
そうだね。

223:吾輩は名無しである
15/08/30 10:37:56.40 .net
作者が『青白い炎』で描きたかったことは何か?

224:吾輩は名無しである
15/08/30 16:47:35.80 .net
>>223
その本、途中で挫折したわw

225:吾輩は名無しである
15/08/30 17:02:14.07 .net
>>224
正直でよろしい

226:吾輩は名無しである
15/08/31 06:56:40.40 .net
小谷野さんは☆ひとつ

227:吾輩は名無しである
15/08/31 09:27:45.95 .net
小谷野に褒められたらオシマイだw

228:吾輩は名無しである
15/08/31 09:41:31.77 .net
222

229:吾輩は名無しである
15/08/31 09:44:30.86 .net
小谷野は鑑賞眼ないからね。

230:吾輩は名無しである
15/08/31 13:00:04.60 .net
順調に英語を勉強して文豪になった人

231:吾輩は名無しである
15/08/31 16:51:06.59 .net
詩はプーシキンのほうが好き。

232:吾輩は名無しである
15/09/01 05:18:53.20 .net
>>223
君の意見は

233:吾輩は名無しである
15/09/01 11:07:54.36 .net
>>232
君の意見は?

234:吾輩は名無しである
15/09/01 13:59:31.73 .net
>>233
だから、途中までしか読んでないと。

235:吾輩は名無しである
15/09/01 18:55:08.96 .net
ナボコフをすみずみまで熟読して、理解して語れるひとなんているのかな。
専門家でも難しいような。

236:吾輩は名無しである
15/09/09 12:53:35.73 .net
タルコフスキーと同じく亡命ロシア人のノスタルジアこそが創作動機だろうね。

237:吾輩は名無しである
15/09/17 01:48:29.41 .net
記憶よ、語れ、実は初めて読むけど、
自伝じゃなくて自伝的作品で、書いてるのがナボコフな以上
油断ならないのは確かだけど、他よりはガードを下げて読める気がする
これまた読んでない道化師をごらんの新訳と、
エッセイと青白い炎の新訳まであるんだから嬉しくてたまらない
これでアーダがあればもう最高なんだけど、そろそろ出してくれませんかね

238:吾輩は名無しである
15/09/17 11:41:57.13 .net
>>237
『道化師をごらん』の新訳どこから出ているの?

239:吾輩は名無しである
15/09/17 19:31:47.63 .net
>>238
12月辺りに作品社から出るっぽい

240:吾輩は名無しである
15/09/17 22:51:10.39 .net
そうすると、あとは『アーダ』と『栄光』の新訳だな。
俺はもう二つの旧訳は読んでいるがね。

241:吾輩は名無しである
15/09/17 22:59:10.84 .net
記憶よ、語れ旧訳の方はノスタルジーたっぷりで好きだった、新訳はどうなんだろ
それに新訳の方は完全版なんだよね、楽しみ

242:吾輩は名無しである
15/09/18 20:13:19.34 .net
記憶よ語れにつられてなんだかんだで買い損ねてた
文学全集の賜物も買っちゃったが、読みきれる気がしない
あと後半のページがすげー折れててテンションが下がる

243:吾輩は名無しである
15/09/18 20:22:26.37 .net
>>242
中古なら仕方ないよ
そういうことよくあるし

244:吾輩は名無しである
15/09/18 20:25:15.68 .net
>>243
いや新品

245:吾輩は名無しである
15/09/18 20:52:50.70 .net
>>244
それは返品しろよ
俺なんかAmazonだろうが書店だろうが交換・返品しまくってるぞ
まあ書店は自分で見て買ってるからあんまりないけど

246:吾輩は名無しである
15/09/18 21:13:08.72 .net
>>245
537Pから20ページほど左隅に折り曲げて戻したような筋が2条ほど付いてるんだけど
普通に読めるし、この程度で返品とか出来るのかね

247:吾輩は名無しである
15/09/18 21:26:09.67 .net
角潰れみたいなのはいやだな

248:吾輩は名無しである
15/09/18 21:29:48.59 .net
>>246
どこで買ったの?
Amazonなら理由関係なく交換きくよ
なんとなく気に食わないでも多分大丈夫なレベル

249:吾輩は名無しである
15/09/25 02:09:19.59 .net
自伝や伝記、文学評論は興味ないな。やっぱり小説しか買う気にならん。

250:吾輩は名無しである
15/09/28 11:02:12.81 .net
筑摩書房か河出書房からナボコフ全集出してくれないかな。

251:吾輩は名無しである
15/09/28 11:49:48.95 .net
裏地見るナボコフ

252:吾輩は名無しである
15/09/29 12:17:18.49 .net
>>246
俺も返品もしくは交換をすすめるよ
アマゾンならしてくれるはず
そんな本送る方が悪いんだから
堂々と返品・交換していい

253:吾輩は名無しである
15/09/30 12:07:26.16 .net
>>252
そうなんだ。
去年だったかアマゾンから送られてきた本(新本)、
表紙のど真ん中にカッターで10センチくらい切り傷が入ってた。
アマゾンで梱包する人が気付かないはずが無い切痕だった。
悲しくなったが、まあ読むのに支障ないからいいか、とあきらめた。
ハードカバーの3000円くらいする本。

254:吾輩は名無しである
15/09/30 16:28:50.78 .net
なんで泣き寝入りするんだよw
そういうのは今後のためにもガンガン言った方が良いぞ
酷い場合は電話してでもクレームつけた方がいい

255:吾輩は名無しである
15/09/30 17:50:00.87 .net
新品でそれはひどすぎる

256:吾輩は名無しである
15/10/01 17:38:41.03 .net
なるべくネットで買わないようにしている。

257:吾輩は名無しである
15/10/14 20:25:13.93 .net
ナボコフ全集早くしろー。なんで弟子のピンチョン全集が先なんだよー。

258:吾輩は名無しである
15/10/14 22:03:08.90 .net
小説は19世紀が黄金期といわれるようだが
20世紀の巨匠たちもかなりかな~り面白いよな

259:吾輩は名無しである
15/10/14 23:39:32.16 .net
汗は男の勲章w

260:吾輩は名無しである
15/10/22 23:36:34.13 .net
『アーダ』まだ~?

261:吾輩は名無しである
15/10/23 20:38:08.47 .net
お待ちくださいませ。

262:吾輩は名無しである
15/10/24 12:31:03.53 .net
ナボコフ好きはまいんちゃんも好きだろうな

263:吾輩は名無しである
15/10/24 13:28:05.19 .net
老婆

264:吾輩は名無しである
15/10/24 18:06:00.38 .net
流石にそろそろ出て欲しいなぁアーダ
最近若島進捗状況についてなんか言ってないんだろうか

265:吾輩は名無しである
15/10/24 18:40:30.89 .net
昔、図書館で『アーダ』斎藤訳を借りて読んだ。ナボコフの翻訳で持っていないのはこれだけ。
早く新訳出ないかな。

266:吾輩は名無しである
15/12/21 07:58:33.64 .net
気取った、金ピカの、結局ずっと単調な、ウラジミールナボコフの散文。
基本的にはつまらない、彼の全作品。

267:吾輩は名無しである
15/12/22 09:20:45.07 .net
まあ、そうだな。ナボコフは読者を選ぶ作家だ。
あの一見メリハリのない文体の魅力がわかる読者は少数のいわば精神の貴族だ。

268:吾輩は名無しである
15/12/22 18:50:14.31 .net
ナボコフは5歳、設定を誤りました。おおかたの男が好きなのは、思春期手前じゃなく、思春期直後の娘ですからね。いずれにせよ、たいした作家でもありません。

269:吾輩は名無しである
15/12/23 00:38:08.71 .net
そういや道化師をごらんはどうなったんだ
サイトに2月までの刊行予定が出てるけど影も形もない

270:吾輩は名無しである
15/12/23 04:10:35.36 .net
できそこないのまずいパイ菓子、ナボコフの文体を見るといつもそう感じる。

271:吾輩は名無しである
16/01/06 13:57:18.43 .net
『アーダ』はまだか?

272:吾輩は名無しである
16/01/06 14:15:56.71 .net
今年出すって言ってるよ
まあここ5年くらい毎年言ってるけど

273:吾輩は名無しである
16/01/07 23:44:11.47 .net
今まで1度たりとも、このつまらん気取り屋のエセ詩人、下手くそなジョイスもどきを良いと思ったことがない。

274:吾輩は名無しである
16/01/08 09:48:40.73 .net
1899年
1月17日 - ネヴィル・シュート、イギリスの小説家(+ 1960年)
2月3日 - 老舍、中国の小説家(+ 1966年)
2月10日 - 田河水泡、日本の漫画家(+ 1989年)
2月23日 - エーリッヒ・ケストナー、ドイツの小説家(+ 1974年)
3月7日 - 石川淳、日本の小説家(+ 1987年)
4月23日 - ウラジーミル・ナボコフ、ロシア生まれのアメリカの小説家、詩人(+ 1977年)
5月8日 - フリードリヒ・ハイエク、オーストリアの経済学者(+ 1992年)
5月10日 - フレッド・アステア、アメリカ合衆国の俳優・ダンサー・歌手(+ 1987年)
5月24日 - アンリ・ミショー、詩人・画家(+ 1984年)
6月14日 - 川端康成、日本の小説家(+ 1972年)
6月13日 - カルロス・チャベス、メキシコの作曲家、指揮者(+ 1978年)
7月21日 - アーネスト・ヘミングウェイ、アメリカ合衆国の小説家(+ 1961年)
8月13日 - アルフレッド・ヒッチコック、イギリスの映画監督(+ 1980年)
8月24日 - ホルヘ・ルイス・ボルヘス、アルゼンチンの小説家・詩人(+ 1986年)
12月3日 - 池田勇人、日本の政治家、第58・59・60代内閣総理大臣(+ 1965年)
12月25日 - ハンフリー・ボガート、アメリカ合衆国の映画俳優(+ 1957年)

275:吾輩は名無しである
16/02/14 00:09:45.70 .net
あーだこーだ言える作家

276:吾輩は名無しである
16/03/10 10:37:01.46 .net
1ヵ月も過疎ってる作家じゃないだろ

277:吾輩は名無しである
16/03/10 18:09:48.15 .net
にちゃんで語るにはもったいない作家。

278:吾輩は名無しである
16/03/10 20:01:24.52 .net
アーダが出ないのはいつもの事だが(若島早くしろ)、
作品社の道化師をごらんとかは一体どうなったんだ

279:吾輩は名無しである
16/03/10 22:45:11.42 .net
アーダ
第一部 43章 52% 一章あたり 1.2% 
第二部 11章 20% 一章あたり 1.8%
第三部 8章 14% 一章あたり 0.9% 
第四部 1章 5%  一章あたり 5%
第五部 6章  3%  一章あたり 0.5% (Kindleでの本文94%から)
計 69章 ペーパーバックで500ページ、ハードカバーで720ページ、邦訳で626ページ
一日2章ずつ読めば35日で読み終わる(一日2-4時間)
誰か覚悟決めて一緒に読むやついないか?

280:吾輩は名無しである
16/03/11 08:25:22.05 .net
いない

281:吾輩は名無しである
16/03/11 12:26:51.56 .net
ロリータならいいよ

282:273
16/03/11 12:49:13.44 .net
>>281
もし付き合ってくれるとして、どれくらいのペースでやろうか?
一応日本語訳もあるのでアーダよりは早く進むと思うけれど
休日だけ、とかでもかまわないけれど

283:吾輩は名無しである
16/03/11 12:58:14.91 .net
一日一章かな

284:273
16/03/11 14:04:55.53 .net
了解です。ゆっくりと読んでいくのに賛成です。
ロリータ
第一部 33章
第二部 36章
合計  69章(さて、アーダと章の数が一致することに意味はあるでしょうか?)
二月と少しですね。このスレッドでよいかどうか、いつからはじめるかなどはまた夜にでも決めましょうか。

285:吾輩は名無しである
16/03/11 21:51:52.49 .net
このスレでよい
いつでも好きな時に始めて
簡単な感想なり気づいたことなどを書いていけばよいと思う

286:273
16/03/11 23:19:31.23 .net
>>285
毎日感想で上がると他の人に迷惑なのでsageるようにしませんか
第○部○章(p○~p○) (感想、気づいたことなど)
自分はノートとるときこんな感じで書いているのでそのように書き込みますが、好きなように書いてください
邦訳だけで該当箇所に対し思ったことを書いてくださる方も歓迎です
目安としては一章あたり1-数ページずつになると思います
最初の枠物語に当たるはしがきから始まって
3章 アナベル               3/15 
8章 ヴァレリア(長め)          3/20
10章 ヘイズ夫人とLo           3/22
16章 ヘイズ夫人の滑稽なラブレター 3/28
23章 秘密の暴露とヘイズ夫人の死 4/4
29章 「魅惑の狩人たち」での初めての性交渉 4/10
32章 母が死んだことを告げる 4/13
これくらいのペースになるけれど他の方に迷惑にならない範囲で明日からはじめてみますか?
多少読むペースがずれたらそれはそれで許容ということで

287:吾輩は名無しである
16/03/11 23:44:31.15 .net
>毎日感想で上がると他の人に迷惑なのでsageるようにしませんか
変な意味じゃなく素で聞くのだが、なぜ、どのように、迷惑になるのか教えてくれ

288:吾輩は名無しである
16/03/12 00:01:09.49 .net
>>287
あんまり頻繁に上のほうにスレッドがあると、荒らしがでてきたり、とかを考えていましたが
ナボコフの他の作品を語りたい人にとって、ロリータだけでスレが埋まってしまうと邪魔になることもありますし、ネタバレ全開になるのであまり人目につくところでないほうがよいのではないかな、と思います

289:吾輩は名無しである
16/03/12 00:23:34.35 .net
他の作品を語りたい人は語ればいい
ナボコフのスレなのだからロリータの話をするのは当を得たこと
ネタバレってロリータ読んだことのない人がナボコフスレに来るかと思うのだがな
あらしは無視すればよい

290:273
16/03/12 00:46:30.30 .net
>>289
掲示板の仕組み上、上のほうにあるとナボコフに興味のない、あるいはまだ読んだことのない人の目にも触れてしまいます
できたら雑談などは少なめで、作品だけについて語るくらいにしたいのですが毎回ageなくてはならない理由とかってありますか?
荒らしは無視すればいいといっても、他のナボコフスレの方には単に迷惑ですし、私としてはなんとなく落ち着かないこともあって、他のナボコフスレの人に対する配慮も必要かと思うのですが
どうしても意見の一致が見られないならとりあえずはじめてみて、問題があれば場所を移るか検討することにしましょうか
とりあえず明日ははしがきについてですね。22時以降の書き込みになると思います

291:吾輩は名無しである
16/03/12 01:09:19.72 .net
ageるのは、というよりageてしまうのは、いちいちsageとかやらないから
それと下の方にあると探すのがめんどいから
まあ、他の住民に迷惑だということなら自分は書き込まんようにするが
他の住民、そうならどうぞそういってくれ

292:273
16/03/12 23:07:23.99 .net
はしがき (p5~p9)邦訳で4p
そっけない文章でCoronary thrombosisで死んだH.Hの死(November 16, 1952)などが語られる。
ところどころ普通は使わない単語が入っており、言葉遊びになっているものが多い。
ロリータらしき人物の後日談もこのはしがきに書いてあるが、これも再読しないと分からない。
書き出しは“Lolita, or the Confession of a White Widowed Male” such were the two titles under which the writer of the present note received the strange pages it preambulates.
本文のラストが my Lolita.であることと対応している。(Lolitaで始まり、lolitaで終わる)
H,Hの弁護士であるClarence Choate Clark(CCC)は本文には出てこないが、ロリータの級友名が列挙されるなかにGordon Clarkeがいて、どうやらオナニー狂いのGordonの父親らしいことが分かる。
はしがきの作者ジョンレイジュニアは頭文字だけとるとJRJrになる。H.Hの精神鑑定行ったのは白黒男博士(Blanche Schwarzman)
作者の奇妙な家名(Author’s Bizzare cognomen)はABCとなる(続けて読むとABCは作者自身の発明である)
上の書き出しもwhite widowed, two titles, which writer, pages preambulatesとよく考えると不自然な構文と言い回しで文字を重ねる。
矛盾したカマトトは、paradoxical prude’sでp-p、コップの中の嵐はtempest in a test tubeとT-T-T
describes with such despair; that had our demented diarist d-d-d-d tragic tale tendingでt-t-t
shadow of this sorry and sordid business s-s-s などなど 4pの中に50近い頭文字の連続が含まれる。
登場人物Vivian Darkbloomはaabdiiklmnoorvv→Vladimir Nabokovのアナグラム。「アーダ」にはNotes to Ada by Vivian Darkbloomがついている
名前だけ、二回くらいしか出てストーリーにほぼ関わらない彼女が事件後に“My Cue,「私の指図」.という自伝を書いた、という一見無意味な一文の意味が変容する。
ロリータ本文とはしがきの両方にこういう言葉遊びをぶち込んだのはH.Hでも編集者JRJrでもなく、「My Cue(私の指図)」であるということ。
Adaは1969年、自伝「記憶よ語れ」は1966年、どちらにもDarkbloomが出てくる。
小説内、作家の回想、別の小説にこっそり出現するこの女性は羅列される固有名の中に忍び込まされている。

293:273
16/03/13 21:21:10.32 .net
第一部一章 (p9) 1ページ以下
有名な書き出し Lolita, light of my life, fire of my loins. My sin, my soul. Lo-lee-ta: L-l-m-l-f-m-l-m-s-m-s-l-l-t
その後もt-t-t-t-t-t-s-d-p-t-t-t、 Lo. Lee. Ta.となる。共感覚者ナボコフにとっては原色の世界が展開される。
0.8ページ程度だが、注釈本では数ページにわたることが多い。
ロリータはスペイン語のドローレスに由来して、意味は悲しみのマリアであり、「Lolita」発表以前にもスペイン語文献にはロリータという人名はそれなりに見つかる、
In a princedom by the sea.海辺の王子たちの王国はポーの「アナベル・リィ」の一節の海辺の王国をもじっている。
noble-winged seraphsも「アナベル・リィ」からの引用
I and my Annabel Lee— With a love that the winged seraphs of Heaven Coveted her and me.
アナベル・リイとわが身こそ/もとよりともにうなゐなれど/ 帝郷羽衣の天人だも/ものうらやみのたねなりかし(日夏耿之介訳)
Look at this tangle of thorns. L-(a)-t-t-t 明確な色を反映しており、表面上の意味は絡みつく茨のとげであり、自身をアナベルに出会ってしまったことの犠牲者としている
短い文章のほとんどがアナベルを示しているとともに、自分を王子、殉教者として神格化し、murderer for a fancy prose styleとしているあたりたちが悪い。
都合の悪いところになると文学的な修辞をちりばめて責任逃れをしようとする主人公だが、逆に性的な場面になると描写が手が込み始める、と言う意味では読みやすい。

294:273
16/03/14 18:55:36.89 .net
第一部二章(p9~p11) リヴィエラでの王子時代(1910~1923年)
ロリータの文章は一文ごとに「意味よりも響きや言葉遊びを優先した文(A)」「何かの引用など文学的な文(B)」「意味伝達を優先とする文(C)」が別れている。
H.Hの生い立ちとアナベルに出会う直前までの文章はありきたりな美しい回想のように、たんたんと情報が開示され言葉遊びの濃度が薄くなる。
しかし父方の祖父・父方の曽祖父二人・伯父の名前が(ワイン・宝石・絹・香水と)扱う品だけ語られ、父母も差し置いて母の姉「Sybil」だけが名前を提示される。
H.Hが16歳の誕生部を迎えるまでに「自分は死ぬ」というpoeticにsuperstitiousなこの名前はギリシャの「女性予言者」を示す。
10代前半の少年をさして “overwhelmingly obvious”「とんでもなくわかりやすい」という、非常に厳格な女性はH.Hを愛してそういったのだろう。
後にロリータの同年代の友人にこの言葉を向けるH.Hは「self-sufficient rapist with pustules」云々と悪意に満ちた表現になっている。
3歳で死んだ母、結婚してすぐにneglectされH.Hの家庭教師となり15歳で喪うSybil以外にも父の愛人たちや王女たち(Ruined Russian princesses)、使用人、友人にも愛されるprincedomの世界。
ただそれをmy cheerful motherlessnessなどと言ってしまうが。
性についてあけっぴろげに(delightful debonair)教えてくれる父は数々の女優などと浮名を流し、リセに3年行くときも愛人とその娘と旅行している。
奔放な父や伯父は混血(フランスとオーストリアに何かしらダニューブ河付近の血の混じったスイス人)であるのに対しSybilはvictoria期で育ったイギリス人女性。
母方の二人の祖父はともに牧師で奇妙な分野の専門家となっているが、paleopedology(古代土壌学)にはペドフィリアが潜み、風で鳴るハープは詩人の象徴。
父方の「商人家系と奔放な性」に対する母方の対比「学者、詩人、道徳、抑圧された性」。父性的なものは物質的で母性的なものは精神的とするべきか、
ほぼ(C)の文体だが女優である母にほとんど会ったことのない少年との会話は他と書き方が異なる
オレンジ・青い宇宙の中の白い小宇宙・真珠・陰影・ピンク・青い瞳と蝋のように白い肌理、など一章で排除されていた色が現れ始める(1章ではアナベルと同じく、Loの描写に色がひとつもない!)

295:273
16/03/15 02:03:11.46 .net
第一部第三章 (p11~p13) アナベルとの出会い
前章の色を確かめるように、アナベルを思い浮かべるときはlittle ghost in natural colorsを目を閉じて想起する、と色が強調される。
Annabel Leighも混血であるが、英蘭のハーフ。Sybilの友人であり、19世紀後半においては表向き厳格なプロテスタント道徳が支配していた国でもあるため、Leigh夫妻はともに厳格で、H.Hは嫌っている。
Leigh夫人はわざわざ“結婚前はVanessa van Ness”とされるがこれは、例によってVaness Vanessの言葉遊び。
繰り返されるVanessaはJonathan Swiftが始めて発明した名前であり、彼の若い愛人の一人に彼がつけた愛称でもある。
Cadenus and Vanessaという880行の詩を残しているのでそれを調べてみるとその書き出しは
THE shepherds and the nymphs were seen、 羊飼いとNymphは召還される
Pleading before the Cyprian Queen.     女神ビーナスの前で懇願する 
The counsel for the fair began        公正なる裁判を
Accusing the false creature, man. 過ちの生物、男を糾弾される
The brief with weighty crimes was charged  短いけれど重大な犯罪がおかされた
どう考えても「Lolita」の構想にこのアナグラムや言葉遊びを好むSwiftは隠れているだろう。Vanessaは愛人Esther Vanhomrighの名前を組み替えている。
Pale FireでもJonathan Swiftが言及される上にヨーロッパアカタテハ(Vanessa atalanta)が頻出していた。
一応、Vanessa atalantaの色はdark brown, red, and black wing patternであり、powderedというLeigh夫人の形容、Leigh氏のbrownというよくわからない形容はここでつながる。
タテハチョウ科はNymphalidae、アカタテハ属がVanessaになる。特に粉の着いたVannesa(Nymphalidae)である夫人は変態を終えた、成長したNymphetであり、だから嫌悪の対象になっている、と考えてみる。
同じ厳格で、年長であるSybilが白蝋のようで粉を吹いていない石女であることとは対照的であり、Loはいずれmetamorphosisを遂げることになる。(妊娠・出産への嫌悪?)

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16/03/16 02:23:25.48 .net
第一部第四章 (p13~p15)
三章で、二度目の逢引きの不発から4か月後にCorfuでtyphusにより死んだ、とそっけなく書かれたAnnabelとの精神的・肉体的な交流が描かれる。
1923年の秋には、ギリシャでチフスは流行していたか?というと1922年にロシアで2500~3000万人の感染があり、ベルリンにいたナボコフは強く覚えていただろう。
しかしロシア革命後の混乱において衛生がままならないためで、ヨーロッパではない。
わざわざ記されたCorfuという地名はtyphusの言葉遊びに過ぎないのか?
1923年、Corfuは8月29日から9月27日まで「コルフ島事件」でイタリアに占領されていた。
これはムッソリーニの権力強化の基盤になった事件で、後にナボコフが亡命するファシズムの先触れでもある。
Annabelが死んだとされる1923年秋にイタリア軍がCorfu島を砲撃・占領して多くの死者(多くは難民や孤児)が出て、「イギリス人滞在者の死者はいなかった」ことにイタリア側が安堵した。
か弱い生き物が傷つくことに.心を痛め、狂った紛争地(famished Asiatic country)でnurseになりたいという夢を持つ「イギリス人」少女がそこで死ぬことにはやはりナボコフの意図が感じる。
H.HはAnnabelと自分が弱いものに対する感受性を持つ、と言うが紛争地の看護婦になりたいと言う彼女に、自分は有名なスパイになりたい、と語る。
H.Hが延々と自分とAnnabelの共通性を主張しても、Lolitaと同様、H.HとAnnabelも本質的にはまるで似ていない。
Annabel Leeを殺した嫉妬の天使からのchilling windとAnnabel Leighの死因が異なること(fluなど、より対応する疾患はたくさんある)、Loの死因もまた違うことはH.HのAnnabelがLoにincarnationした、という思い込みの虚妄を暴く。
H.H(という偽名の男)が少年の時に出会った少女が本当にAnnabel Leighという名前である根拠もない。
一応、Corfu島はUlyssesがイタケーに帰還する直前に滞在したスケリグ島のことで、Nausicaa王女に求婚された場所でもあるし、名前の元となるKorkyraはポセイドンに、見初められ誘拐されて、島に住まわせられたNymphであって、という謎解きもできる。
NausicaaとUlyssesの出会いはLoを初めて見るH.Hの場面を彷彿とさせるが、テキスト上では興味深い(ナボコフが考えるなら仄めかすであろう)対応はなかった。

297:吾輩は名無しである
16/03/16 07:17:38.14 .net
ガンガレ

298:吾輩は名無しである
16/03/16 19:44:44.87 .net
ナボコフを楽しむには
原書と訳書と注釈書の翻訳が必要な気がしてきた

299:273
16/03/16 23:29:02.92 .net
第一部第五章 (p15~p20)
5章では華やかな都市での遊学をするH.Hが描かれる。1923-26年の中学生活はほとんど描写されず1926年以降のロンドン・パリでの生活が描写される。
友人には好かれるも、学業は散々たるもの、女性関係は「trauma」を理由にするが娼婦で満足する、と言う。
重要なのはいつのまにかSybilは(予言通り)死んでいるし。父親も何も語られることなく当然のように死んだことが語られることであり、H.Hが精神分析に熱をあげようと、才能がなかろうがどうでもいい。(それでも後で触れることになるが)
とりあえず父親の消失を考えると、ちょうど1923年のAnnabelがコルフ島で死ぬとき、父親は愛人と旅行をしている。
その行く先がイタリアであることは偶然か。
前章で、ナボコフがAnnabelの死に「ロシア革命」「ファシズム」という歴史的事件を書き込んでいることが強度を持つなら、父の不可解な退場は説明できるか?
H.Hは家族の死に無頓着、という伝統的な読解も正当で、母はあっさり雷に打たれて死ぬしAnnabelも1行で死ぬ。
ただ、父親はSybilと擬似近親相姦を行った上に忘却しているし、Sybil自身離婚していない状況で夫のいとこにして妹の夫とsexを行い、Cooper氏なる体の不自由な人物に言い寄られてもいる。
Cooper氏やLeigh夫妻はAnnabelとの密会を邪魔するもの扱いされるにもかかわらず、Sybilは一度も密会の邪魔をする人物としては描写されない。
“overwhelmingly obvious”という口癖が時間軸上Annabelとの関係以外でありえず、どうやら厳格なSybilは交際を常にからかっていたにもかかわらず、H.Hの回想ではAnnabelとの密会を邪魔するのは常に他の人間であり、
なによりも「V」たるvicious vigilance、Vaneesa Van Nessである。
愛人とその娘と旅行し、妻の姉と気まぐれに性交してそれを忘却し、自分の知る限りの性についてH.Hに教えた、というこの象徴的な父親は小説から姿を消してしまう。
二章で描写された豪奢な生活から、一転して1935年時点でホテル・ミラナをとうの昔に売り飛ばし、たいした遺産は入らない、という急激な没落はいつのことなのか?
もちろん当てはまる事件は、1929年の世界恐慌であり、H.Hはこの1923-35年の父親の没落を書いていない。
H.Hから好意的に描かれる二人はこうして近親相姦や不倫の影をまといながら、読者の目を逃れるように小説から退場する。

300:吾輩は名無しである
16/03/17 12:16:41.44 .net
ニワカ研究者

301:273
16/03/18 06:25:37.41 .net
第一部第四・五章 (p13~p20)
第二章では意味伝達描写(C)が増え、言葉遊び(A)の濃度が薄くなったのと同様、Annabel後は(A)が増える一方(C)の描写が減少する。
この意味伝達描写の不足から目をそらそうと、この章では(A)(B)の描写にあふれている。少女への嗜好を語り、プルーストや精神分析への言及、Annabelとの性交を華麗な言葉遊びや修辞で語るH.Hに抗って(C)で語られるべき情報の再構成を試みた。
年表を書いてみると、1923年から1935年には具体的な時間記述は存在しない。(もちろんAnnabelの死とDoloresの生誕に気づく)
ただ、H.Hが技巧を凝らした文章を無視するわけにもいかないので、再度彼の(A)(B)を味読する。
“The Proustian theme in a letter from Keats to Benjamin Bailey”は当時T.S.Eliotが再評価をしていたKeats書簡集を読み直したもの。10編残っているBaileyへの手紙の中に、ImaginationをAdam’s Dreamに比べて語るものがある。
適切な場所で適切な声で歌われた古いメロディを聞いて、初めて聞いたときの歌い手の顔をそれ以上なく美しく思い出す、という感覚と時間と記憶に関わる詩的経験のくだり。
H.Hは痛みと快楽(painとpleasure)を常に感じ、Annabelとの性交時にもeerie expression, half-pleasure, half-painを感じ、闖入者によって離れるときにもacheは彼に残る。生涯彼を悩ませる痛みは彼において快楽と常に一緒に出現する。
Annabelとは、出会う前から同じ夢を見ていた、1919年の6月に、迷子のカナリアが家に迷い込んできた、と語られる。
H.Hが精神分析の分析者になろうとしたことは同時期にロンドンへ移住したKleinらの分析を受けていることになる(資格のためには、自ら分析を受けなくてはならない)。
分析でpeculiar exhaustion, I am so oppressed, doctorとなったことは16-19歳のロンドン時代に既に自分の性的嗜好に向き合わされていることを示す。ロンドンを離れ、パリで「解放され」、Uranist(同性愛者)たちと交流する。
Nympholepsyを体系化していく過程は精神分析のparodyであり、欲望を理論化するすべを精神分析で学んでパリで開放してしまった、とも取れる。
有能な精神分析を受けていたらこの事件はなかったかも、と主張するのはナボコフの強烈な皮肉。
(アメリカでM.Mの自殺により精神分析にけちがつくのは1962年)

302:273
16/03/18 07:57:10.40 .net
いずれLolitaが出現したときにNymphetは語られるが、この時点ではH.HはNymphetに会ってはいない。AnnabelはelfであってNymphetではなく、H.H少年はFoulet(牧神パンの小辞形)でしかない。
何がNymphetではないか、を列挙していく核心は、その美しさにまわりが気づかず、自分も気づいていない、ために無遠慮な視線を投げることが可能になるというところか。
少女を凝視しても罰せられない環境づくり(適切な時間と空間により強化される想像力!)にいそしむH.Hは窃視者では実はない。
だからLolitaの登場はHaze夫人もLo自身も半分裸でいることに無頓着であることにより、完璧なNymphetである。
睡眠薬を飲んでも寝てくれないにも関わらず、「自分から」H.Hを誘惑することで成立してしまう最初のLoとの性交はAnnabelと異なり失望を伴うことになる。
the nymphean evil breathing through every pore すべての「毛穴」から「ニンフとしての悪」が噴出してくる、という性交直前のロリータの描写はショックを受けるほどに変貌した元Nymphetへの嫌悪を示す。
砂糖たっぷりのサンデーを頬張るLoにおいて、Nymphetはにきび(acne)が出来ない、と力説し、食べた脂肪が汗腺から染み出て、腐敗して膿が飛び出す、とグロテスクに描写をするH.Hはこれまでの章でも繰り返し「吹き出物」への病的な嫌悪を表明する。
V.Vのpowderedに対するSybilの真鍮のようなという描写。吹き出物ができるくらいなら白蝋のような肌が評価され、Loの男友達はpustule(膿胞)だらけの自分勝手なrapist、にきびだらけの人でなし、と描写される。
H.H自身、ニキビができなかったのか?といえば13-16歳のリヨン時代、16-19歳のロンドン時代がほとんど描写されていないが、実は描写されるH.H自身の顔にニキビの痕跡を読み取ることは難しくない。
Annabelの死因はTyphusだった。これは断じてTyphoid feverではダメで、全身に発疹ができる発疹チフスでなくてはならない。
ニキビのできないNymphet「ではない」Annabelは全身に吹きでものができるTyphusで死ななくてはならないし、その発疹に苦しむさまも描写されてはならない。
(Typhusはギリシア語に由来して、熱に浮かされた、Hazyな状態が語源であり、typhoid feverは熱に浮かされたという点で共通するが別の病原体による。このHazeはDorolesの姓であり、小説のいたるところにhazeは隠れている)

303:273
16/03/19 01:27:20.04 .net
第一部第六章 (p20~p24)(1935年の4月)
二人の対照的な娼婦について語られる。Madeleine(マグダラのマリアに由来)付近を歩いているときに、short slim girl passed me at a rapid, high-heeled, tripping step。
第一章を思わせるリズミカルな登場をさせた少女は、H.Hと同時にglanced back at the same momentと描写され、価格交渉に移る。100フランで、値切ろうとするが、3年前には学校帰りの彼女を見ていただろう、と思った瞬間値切るのをやめる。
誰もが18歳と答える娼婦にあってMoniqueはおそらく16,7歳であり、80人を超える娼婦の経験の中で最大の悦楽とうずき(gave me a pang of genuine pleasure)を味わえた、と150フランを渡す。 (oh, she had been a nymphet all right!)
無邪気に喜ぶMoniqueに翌日も逢う約束をとりつけ、都合四度買春するが、二度目以降は輝きが急速に失われ、風邪をうつされたこともあり思い出に保存することにする。(登場以外にもLoやAnnabelに対するような描写表現が散見される)
二人目はMoniqueに味を占めてより若い少女をいかがわしい女郎屋(Edith : riches or blessed' + 'war')を探して紹介された少女Marie。
女衒に連れられてみると生気のない、「15歳にはなっているだろう」、椅子にやる気なく座って人形をいじくり、奥には赤子がいる生活感に満ちた部屋のmonstrously plump, sallow, repulsively plain girlに出くわす。
ビデとベッドしかない、他の紳士に会わないよう工夫された部屋、しゃがんだ少年の尻よりも小さな尻、tight-fitting tailored dressは真珠色、会話も弾み、感謝もされ、軽やかなMoniqueとの対比はうんざりするほど。
これでもかと前半で讃えた描写をひっくり返して嫌悪感に満ちた描写。踵を返そうとすると少年や乳児や荒くれ者まであらわれ、Marieの贈り物を握らせようやく解放される。
Moniqueに与えた贈り物(50フランの追加)は感激され、H.Hがついていけないほど軽やかに駆け出すのに対し、indifferent handに押し込む。
16歳以上だがかつてNymphetであった少女とより若くてもNymphetからほど遠い少女を経験して娼婦漁りを断念し、結婚を決意する。(次章で、30歳近いが少女のようなValeriaと結婚することになる。)
あまり自信はないが、二人の名Moniqueはmonos(一人)、Marieはアナグラムでarmie(army)。後者は荒くれ者たちとEdithの(裕福な+戦争)に響きあう。

304:273
16/03/19 22:20:17.28 .net
第一部第七章 (p24~p25)(1935年春以降)
前章で、独身者として娼婦を漁る事への危険を味わったH.Hは、もろもろの利得から結婚をしようとしてみる。別の目的のための隠れ蓑にされる二人の妻(ValeriaとCharlot)。
どちらもNymphetを堂々と凝視できる、という目的であり、結婚の時点では成熟した妻との結婚は直接Nymphetを抱くことが目的ではない。
相手はH.Hのspells of dizziness and tachycardiaを治療してくれた Poland出身の医者の娘Varerila。AnnabelのかけたspellはLoが解いた、と語られたことの反映。
しかしH.Hのspell(米語では発作)を解くことは彼の妄想のようにはうまくいかない。
42歳で心筋梗塞を起こすH.Hは生涯健康(healthy、sound)から距離を置く。しかし快楽でなく健康を象徴する人物もいて、H.Hは彼女らに捨てられ、あるいは自ら捨てることになる。(男性の場合は単に忠告を無視するのだが)
Vareriaはラテン語のvalere: "to be healthy"or "to be strong"だが、医者の娘と言うだけでなく"to be healthy"であることは次の章でも明らかになる。
父の遺産として得たわずかばかりの金に加え、my striking if somewhat brutal good looksがあれば女性には困らない、という。
このH.Hの描写で「somewhat」とか「strange」という言葉は要注意。
(typical Nabokovian marker (equivalent to "somehow" or "for some reason"). By wakashima)H.H自身が気づいていないがナボコフがsubtle psychological explanation for the repressionが隠れている。
獣じみたところがある、という小説を通した象徴でもあるが、brutalは後に他の人物の顔の描写に使われ、H.Hの顔面的特徴をほのめかす。
ナボコフは精神分析には攻撃的だが、H.Hは精神分析に傾倒した上にこの後も精神分析に関わる人間であり、精神分析的に読むことを期待する描写をする。
さらに加えて、ナボコフは注釈なしでは意味を持たないような描写を目指す、という点で精神分析的な深読みを要求する、というねじれた関係を持つ。

305:273
16/03/20 19:04:13.13 .net
ロリータ第二部が細かく価格で埋められている(Loの堕落をおねだりの価格や逃避行での観光料金で表している)というのはいいとして、ヨーロッパ時代(1910-1940年)には具体的な価格は限られている。
今回、ここまでで具体的な価格が提示されたのは買春に100フランを要し、さらに50フラン払ったというこの場面だけ。
19世紀の小説に親しんでいる読者にとってはあまりにも高すぎる費用と感じるはず。
鹿島茂によれば1928年の売春窟に潜入したジャーナリストは高級娼婦で代金は50フラン、取り分は20フランと記録している。
射精のみを目的にするサービスは4-5フランとされる。
1935年の、行きずりの少女の要求が100フラン(さらにチップが50フラン)という対価は異常に思える。
つまりはインフレの影響であり、50フランをもらって「これで靴下が買える」と喜ぶMoniqueは無邪気さを示すのはいいとしてやはり靴下しか買えないほどに時代は明確な不況なのだ。
アメリカの物価をこと細かく描写したナボコフが唯一ヨーロッパで物価を記入したのがこの数字だと思うと、どうしてもテキスト外の現実、1923年のルール地方占領をきっかけにしておきたドイツのハイパーインフレをベルリンで経験したであろうナボコフを想像してしまう。

306:273
16/03/21 02:59:50.73 .net
第一部第八章 (p25~p32)(1935年~1939年)
健康にする女「Valeria」は娼婦漁り、nymphet漁りを一時的にでも中止させるだけでなく、身体上も健康にする。キュビスムの絵画を趣味とし、H.Hの眼や指関節(knuckle)を取り出して「ゴミのような」絵に書き込む。
眼はもちろんだが、このH.HのknuckleというのはLoのジーンズに手を伸ばそうとする場面やHazeが死んでLoを迎えに行く直前に出てくる。
さらにLoの夫と出会った場面で相手のきれいな手と比較して、これまで多くの女を痛めつけてきた、醜い手(フランス風に言うならドーセットの農民のようなknuckle)と形容されるように、H.Hのnymphetへの欲望を示す。
例によって登場シーンでは魅力的な描写を行うが、初夜の後に描写は反転する。
She looked fluffy and frolicsome, dressed à la gamine, showed a generous amount of smooth leg, knew how to stress the white of a bare instep by the black of a velvet slipper, and pouted, and dimpled, and romped, and dirndled,
この浮かれた描写が初夜には孤児院でくすねてきた少女の服を着せて朝まで性交し、染められた髪の根の色や産毛が剛毛になっているのを見て幻滅する。
やせて青白い少女の代わりに、a large, puffy, short-legged, big-breasted and practically brainless babaを得たとするが、無口さだけは気に入っている(相手はそうではないが)
みすぼらしいアパートで生活をする日々。隣の食料雑貨店の少女に狂気を呼び起こされるが、Valeriaによりafter all some legal outlets to my fantastic predicamentをえる。
おいしいポトフ(pot-au-feu)と生きたmerkin(ダッチワイフよりオナホールに近い)を求めて結婚し、少女への欲望が抑えきれないときにだけはけ口を求める。不機嫌に黙り込み、困惑させる。
三行半を突きつけられ、タクシー運転手をしているロシアの元大佐に奪われるのも当たり前だと思われる。

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16/03/21 16:16:49.12 .net
第一部第八章 (p25~p32)(1935年~1939年)
8章は三つに別れ、Valeriaとの結婚生活/伯父の死と間男の発覚/その後と刑務所の図書館蔵書となる。
間男は、当時パリに大勢居た亡命ロシア人のタクシードライバーで、H.Hよりも5歳近く年上のValeriaよりも更に年上、父親のような年齢。
Loの場合は若い男に奪われる恐怖を抱き続けて自分と同年代の男に奪われる。
Humbert the Terrible deliberated with Humbert the Small whether Humbert Humbert should kill her or her lover, or both, or neither.
二人を殺そうとして、「これまで語っていなかったと思うが、まぁ気にしないでくれ」と学生時代のことを思い出す。級友の自動拳銃を弄繰り回しながら、彼の透き通るような肌を持った妹を陵辱し、自分を撃つ空想を楽しんでいた。
「抑圧」、見たくないことやいい間違い(puns)にこそ本当の無意識が現れる、という精神分析的解釈をナボコフは馬鹿にしている。
これはJames Joyce、Paul Valerey、譲歩をつけながらVirginia Wolfに共通するフロイトへのアンビバレントかつ明確な反対なのだ。ただしそれは作者の無意識を探ることであって、作者によって周到に作り上げられた登場人物の無意識を探ることではない。
事実、H.Hの無意識を掘り返すとナボコフの手のひらにいるかのように、テキスト上に相応する描写が(時に数百ページを隔てて)見つかる。不自然な描写・文・単語には必ず何かが隠れていて発見は尽きることがない。
繰り返せばなぜここまでH.Hが学生時代を語りたがらないのか、買春以外の女性との交流は皆無で、友人の妹を犯す妄想(もちろん自分の痛み、自殺を伴う)でとどまるのか。
例えば故Harold HazeからH.Hに引き継がれた自動拳銃は、We must remember that a pistol is the Freudian symbol of the Ur-father’s central forelimbとされる。
刑務所の蔵書の場面は有名な場面で、刑務所では言葉遊びしかない、といいながらいまだ登場していないLoの名前、Clare Quilty、Vivian Darkbloomが出てくる。ネタバレを知らない初読では意味が分からない。
Loの出生地やLoと別れる場所、なども書き込んである。ただ、再読時にはほぼ開示されているようなものでもあり、ここを強調する読解は皮相的に過ぎる。

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16/03/22 02:57:22.81 .net
第一部第九章 (p32~p34)(1939-47年)
離婚の手続きをするために予定されていたアメリカ行きが遅れ、戦争が始まる。さらに肺炎で一冬をリスボンですごす。
NYでは香水の広告の仕事(取り留めのないpseudoliterary)に従事し、さらに数年間フランス文学比較史に一日15時間近く取り組む。図書館の光と不眠症の影に二分された生活(ample light and narrow shade)。
ここでも「Let us skip all that」とし、ある時点でdreadful breakdownが起こって精神病院(sanatorium)に一年以上いることになり、仕事に戻るとすぐに再入院する羽目になる。
病院の、「One of my favorite doctors」の弟がカナダの北極圏の調査に向かうのに同行する。
同行者も精神的な問題を抱えている作業療法のようなもので、幻想的なblankness and boredomにもかかわらず、あるいはそのおかげか健康は取り戻される。エスキモーの少女たちは必ずしも不快な描写をされるわけではないが、欲望はそそられない。
Nymphets do not occur in polar regions.(自然と不毛と人工の対比)
20ヶ月の北極圏での中途半端な仕事を終え、1945年か46年の年報にでっち上げの報告を載せる。
文明社会に戻るや否や再びsanatoriumに逆戻りし、精神分析者たちをだますすべ(古典的な症状と夢をでっちあげること)を覚える。彼らにはfake “primal scenes”をでっち上げ、real sexual predicamentを隠す。
医師のカルテを覗き見すると“potentially homosexual” and “totally impotent.”と書かれている。(さて、これは無意味なのかどうなのか?)
1939年に伯父の死とValeriaの離婚
1940年に肺炎、リスボンからNYへ 
1940年~42年 香水の広告と文学研究を平行して(おそらく)鬱になる(語られない)
1942?~44年 精神病院に1年入院し、一度退院して再度再入院する
1944-45年  北極圏での奇妙な探検に同行して精神への影響のインタビュー(20ヶ月)
1946-47年  再入院(3度目)精神分析医に対するすべを学ぶ

309:273
16/03/22 22:10:25.31 .net
第一部第十章 (p34~p40)(1947年5月の終わり)
精神病院から三度目の退院をして郊外に住処を探し、12歳の少女のいる家に下宿しようとしたらその家がたまたま燃えたために、その知り合いの家に案内される、という経過が語られる。
あからさまに興味のなさそうなH.Hにもめげず、無邪気に家を案内する女性についていき、庭へ連れ出された瞬間に理想のnymphetが眼に飛び込んでくる。
再読する際に読み応えのある章で、H.Hの興味のない描写と対照的にHaze夫人の描写さえ軽やかな言葉遊びに満ちており、H.Hが気づかないLoのいる痕跡がテキスト上に散らばされている。
still glistening stone of one plum.果物かごにはまだつやつやしたプラムの芯だけが残されている。(glister、stoneはよい言葉)
its complement— a pinkish cozy, coyly covering the toilet lid.
トイレのふたまで軽やかに描写(coylyははにかみながら、というnymphet用)
H.Hが興味のないHaze夫人にも半分無関心、半分高評価の形容詞を並べて描写される。
the doomed dear(哀れな親しみの持てる人)、shyness and sadness
parallel to the parlor we had already admired、stooped without stopping(Loの白い靴下でこれが第一章のLo in the morning, standing four feet ten in one sock)
“That was my Lo,” she said, “and these are my lilies.”
一目見て、自制心を出して通り過ぎる。Haze夫人は通り過ぎてからどうでもいいように「さっきのが私のLo」、「そしてこれらが私の百合です」過去形と現在形。
“Yes,” I said, “yes. They are beautiful, beautiful, beautiful!”
H.Hの頭の中にはLoのイメージがあるから現在形で。ユリシーズの最後のモリーの独白?
(and yes I said yes I will Yes.)
百合の首のような、白く細い少女はnymphetであり、庭に展開された海辺の王国と同時に賛美する。
Louiseという、Loと略されてもおかしくない黒人のメイドも心憎い配置をされている。(Loの部屋、という言葉とLouiseが先に出て、最後にLouiseは家に帰り、Loの部屋はLouiseの部屋でないことが分かる)

310:273
16/03/23 00:35:36.51 .net
第一部第九・十章 (p32~p40)
この章と九章の最後は、唐突に言葉遊びや軽薄な表現が増えて、うつ病患者が躁患者になったかの印象を受ける。
ただ、よく考えるとValeriaとの離別から健康を徹底的に害し、肺炎、憂鬱、不眠、精神病院入院が続いていた。さらりと流されてはいるが、1年以上の長期入院、退院しても再度すぐに入院、北極圏で回復したと思っても再度入院する。
相当に重度の精神障害を1940-1946年に経験し、唐突に直ってしまうことに理由はないのか?
エスキモーの少女はnymphetではない、サナトリウムにnymphetはいない、としても三度目の退院は明らかに異質に思える。
戦争は1945年に既に終わっており、三度目の北極圏から帰ってきたあとの再入院を説明できない(この任務が戦争に関連したものであることは「hush,hush(H.H)」という言葉から分かるが)
前章で、Valeriaが1945年ごろにカリフォルニアで死んだという情報はいつH.Hの耳に入ったのか?結局それを教えたのは「カリフォルニアから来た」医者であり、1945年くらいに死んだ、ということは1946年以降の出来事である。
Review of Anthropologyには載っていない、というがこれは刑務所では手に入らないから逮捕前でなくてはならず、H.Hは北極圏での研究成果をAnnals of Adult Psychophysics報告している。その掲載もgenialな医師から入院中に聞いた。
死んだという情報を聞いてI had my little revengeというほどに影響を与えているこの出来事はいつ復讐(不健康に追いやられた事件からの回復)がなされたか。
すると三度目に突然精神病院から解放される、というのはその離別が健康の喪失(肺炎・憂鬱・不眠・精神障害)であったValeriaの死を知ってtraumaから解放されたことによるのだろう、と思えた。

311:吾輩は名無しである
16/03/23 20:13:07.72 .net
ナボコフ最後の長編『道化師をごらん!』の新訳『見てごらん道化師を!』が4月刊行。「子供のような、よい読者となること。子供のように、質の良い読書をすること。文学研究というのは、そこから始まるのだと思う」。訳者メドロック麻弥さんの言葉。 URLリンク(t.co)
3月23日 19時18分 Hootsuiteから
URLリンク(twitter.com)
URLリンク(www.sakuhinsha.com)

312:吾輩は名無しである
16/03/23 20:20:12.25 .net
予定よりはちょっと遅れたけど、ちゃんと出るようで安心した
若島も頑張れよマジで
つーか「見てごらん道化師を!」にタイトル変わったのか
正直、「道化師をごらん!」の方がしっくり来るw

313:273
16/03/24 02:43:26.50 .net
第一部第十一章 (p40~p55)1947年5月30日から6月
Haze家に下宿することを決めたH.Hは日記をつけ始める(時間軸が明確になる)
証拠品第二号は黒い合皮の小さな日記帳であり、「5年前」に破壊されたと発現することjから1952年に手記を書いているH.Hはこの日記が少なくとも1年持たずに破棄されることを教えてくれる。
証拠品第一号はすでに第一章で、誤解した単純で高貴な翼をつけた燭天使たちがうらやんだ、つまりAnnabelの記憶を提出している。どちらも現物としては残っておらず、記憶によって描き出す。
日記帳はAnnabelの思い出が繰り返し思い出されたように、最初は鉛筆でたくさんの修正をしながら、二度目はin my smallest, most satanic, handで書き込んだため、記憶は正確であると主張する。
Nymphetの二重性(子供っぽさと野蛮さ)はH.Hを狂わせる。this mixture in my Lolita of tender dreamy childishness and a kind of eerie vulgarityという表現。
この薄気味悪い、というeerieという単語はAnnabelとの性交でH.Hが覚えたdreamy and eerie expression, half-pleasure, half-painを正確に反映する。
堂々とLoを食卓や窓から見ることを可能になったH.Hは「くだらない会話で」邪魔してくるHaze夫人(woman Haze)を罵倒しながらnymphetと交流を深める。
夫人が外出して二人きりになればこれまで経験したことがないくらい幸せだ、といいその夜にはNymphetとともにいることは実は初めてであり、これまで経験したことのないくらいのagonyを覚える。
自分は少女に好かれる、Loが好きな流行歌手や役者に似ている、といわれて有頂天になり、言葉遊びを繰り出し続ける。
私の悲しみに満ちて熱に浮かされた愛しい人、では意味が通じないがmy dolorous and hazy darlingはmy Dolores Hazeであり、何度も反復されるmy Lolitaの変形。翻訳はこういう面白さを切り捨てるしかないのがつらいところ。
その意味で読むと非常に楽しい章ではある。言葉は上滑りしているけれど、その楽しそうな言葉遊びで表面上の意味を超えた浮かれっぷりを表現してしまっている。

314:273
16/03/24 03:02:10.75 .net
第一部第十一章 (p40~p55)
夢の中でpockmarked Eskimo 天然痘の痕のあるエスキモーが手斧でエメラルドの氷を砕こうとするイメージは美しいし、あぁ、カナダのエスキモーの少女にはあばたがあったからnymphetはいなかったのか、と小さな謎解きもある。
有名な50人のクラスメイトの名前はバラに関わる三人と、一人Irvingを除いてけなされる。
Irving, for whom I am sorry これがユダヤ人の姓であるIrvingへの親近性と憐憫をあらわしている、というのはH.Hに好感をもつ数少ない場面で、この読解は好きだ。
(実際ナボコフの妻と息子はユダヤ人であり、だから二度目の亡命をした)
ほかの少年少女への形容はher ripe pimples、blackheads、一見きれいな言葉のように見えて意味は「にきび面の」「黒いにきび」であり、このような描写は同級生に何度も繰り返される。
ここではまだいいものの気に入らなくなると更ににきびを罵倒するバリエーションが増える。(acneという言葉はLoに出来ない、と専用にするからほかの言葉で罵倒)
H.Hは少女に好かれる、といいながら自分の男らしさを誇るがなんとなく奥歯に物が挟まったかの表現で、だんだん野獣とかみだらとかが出てくる。
queer accent, and a cesspoolful of rotting monsters(ちょっと奇妙なところのある、汚泥に満ちた腐りつつある怪物)眉毛が男らしい、目つきは、というが頬や皮膚には言及しないH.H。
悲しみ:という言葉は頻出しているが、それはラテン語のdolorが悲しみや痛みだからで、例えばDelectatio morosa. I spend my doleful days in dumps and dolorsはd-d-d-dだけでなくドロレスの言葉遊び、悲しみに満ちた日々dolefulとか言っているが完全に浮かれている。

315:273
16/03/25 08:45:51.32 .net
第一部第十二章 (p55~p57)
50人の中のクラスメイトAubrey McFate(アイルランド系の名前で運命の息子)がどうも運命の擬人化ではないかと思わせ始める章。
20日ほど、腹部インフルエンザのため学校が集団閉鎖になっている5月30日から経過しており、着実にLoへの接触を増やしている。
湖に行く約束が何度も前章(5月30日から6月20日頃)でされるが、雨だったり、LoがHaze夫人と喧嘩をしたり、でなかなか実現しない。H.Hは三人で湖に行ったとき、忘れ物をしたふりをしてLoと二人きりになる計画を妄想している。
悪意ある運命は、Haze夫人がもう一人Loの友人Mary Rose Hamiltonを連れて行くことを黙っていた、とH.Hが憤るが、このバラの名前を持ち、a dark little beauty in her own rightと描写されnymphet扱いを受ける少女にすれば逆恨みもいいところ。
しかし邪魔者であるはずなのに、この少女は繰り返し高評価を与えられる点でSybilを思わせる。その逆であるのがHaze夫人(ここまで名前すら呼ばれていない)と独身女性であるFahlen女史。
Haze夫人はラムズデイルに来る前にPiskyで一緒だった彼女を呼び、Loの監督役として、自分は仕事に出ることを検討していた。(H.HはおそらくNYに来た直後に「職業婦人」に何らかの形で苦しめられ、精神発作を起こしている)
Loの生まれ故郷の中西部Piskyはpixie(妖精)であるとともに蛾、という意味を持ち、Fahlenという姓もフランス語で蛾を示す。蛾はValeriaとの結婚生活が壊れ始めるときにもmoth holeと描写されていた。
(H.Hは蛾と蝶の区別もつかない、とナボコフが発言していることには注意を要するが、もちろんナボコフは区別をする。とりあえず蛾:mothを追っていく)
この明確な邪魔者(Loは1944年夏に彼女に厳しくしつけられたことを思い出すたびにかんしゃくを起こす)はH.Hがラムズデイルに到着したその日に腰骨を骨折し、Haze夫人の計画が狂う。
これまで妄想や眼の中でnymphetを楽しんできたH.Hはその鉤爪やknucleを伸ばしたことはなかったが、Loの眼球をなめたり、ジーンズに手を書けたり、すこしずつ、時に性急に身体的接触を行っていく。
それを助けるのは火事や学級閉鎖を起こす“腹部インフルエンザ“であり、「転倒による骨折」であり、交通事故によるHaze夫人の死というnegativeな病気や事故、不幸である。

316:273
16/03/26 02:28:39.64 .net
第一部第十三章 (p57~p62)
Mary Roseが熱を出した、という連絡で湖行きは中止になり、また親子の喧嘩(Hot little Haze とbig cold Haze)。捨て台詞は「教会に行かない」「だったらどうぞ」
Haze夫人を見送り、よそ行きのLoを探すquestを開始するH.H。香水をつけ、絹のガウンを羽織る。
時間:6月の日曜日、場所:陽の射す居間、小道具:雑誌や蓄音機、メキシコの土産物
(メキシコはHaze夫妻の新婚旅行先で、家中にある土産物は故Hazeの思い出の品で、H.HはLoをもうけた故Hazeに感謝する)
教会用の靴は履いていない、日曜用のポーチは蓄音機のそば。長椅子の隣にLoが座って心臓がはね躍る。林檎をもてあそぶLo。H.Hが掠め取って、「差し出した」林檎に齧りつく(H.Hはむしろ齧られる林檎の気分)。
nymphetの特徴である、monkeyish nimblenessで雑誌を奪い取って、砂に半分埋まったミロのビーナスと写る画家の記事を見せてくるが触れているLoの膝や頬にそれどころでない。
ここでも歯が痛くなったと言い訳して、Loとの摩擦(friction)を楽しむ。(邪魔をする人Haze夫人は歯医者を紹介しようとし、その甥がC.Q)
ソファに座るH.Hの膝に無作法に足を投げ出すLoを惹きつけるために変形した流行歌を口ずさむ。「Carmen」はsomething, something, those something nights, and the stars, and the cars, and the bars, and the barmen。
H.Hは曖昧に口ずさみ、それを訂正していくLoのハミングを聞きながら、突然、完全な安全、合意の世界にいるような錯覚に陥る(安全な唯我論Lolita had been safely solipsized.)
(美しく、平凡でエデンの果実のように赤い)beautiful, banal, Eden-red appleの食べ終えた芯を放り投げるLoの動きにその肢が乗っているH.Hは刺激される。
どうにか絶えようという苦痛のなか、前日に出来たLoのあざをなでさすり、尻に押し付けてH.Hは達する。(barmen, alarmin’, my charmin’, my carmen, ahmen, ahahamen最後のほうは完全に歌詞に合わせてあえいでいる。)
昼食を三人でとろうというHaze夫人からの電話にLoが出ることで快楽は終わり、どうやら気づかれなかったというH.Hは鼻歌を(不正確に)再構成する。
その中に(男根の象徴)銃でカルメンを殺す(メリメでは刺殺)、とある。32口径で女の眼を打ち抜いた、とするがこれは故Haze氏の遺物として後に登場する。

317:273
16/03/27 02:47:07.02 .net
第一部第十四章 (p62~p64)
この章は言葉遊びが控えめ。
昼食を食べて先に家に帰り、朝の出来事を思い出す。家の中はまだLo-less(doleful:悲しみに満ちたLoだらけとの比較)
魔法使いは少女のかばんに蜂蜜と牛乳とシャンパンをかけて新しくするが、Loのかばんは何も汚されていない。彼が罪深く夢見ているのはLolitaよりもリアルな想像上のLolitaであり、現実のLoに危害を加えていないことを誇る。
六章で、ほとんど同じ言い回しで、自分がこれまで妄想上で「所有」してきたnymphetはその後どうなったのだろう?このcriss-cross cause and effectで影響は出ないのだろうか?ともっともらしく首をひねってみせるH.Hは16-7歳のMonicueを見て、解決してしまう。
精神的影響、精神分析的トラウマの影響に気づくのは第二部でのこと。
害を与えていないからLoが帰ってきて、Haze夫人が料理している間に件の長椅子で再びいたずらを仕掛けることを妄想する。
しかしLoはChatfield家と一緒に映画を見に行って帰ってこない。Haze夫人と二人での食事。Chatfieldが三週間キャンプに行くのに、Loも木曜から予定を早めてついていかせることにした、と告げられる。勉強熱心なH.Hを邪魔しないように学校が始まるまでそこにいると。
ショックを隠すために朝と同じく歯痛を装う。善良なHaze夫人は近所の歯科医Ivor Quilty
を紹介してくれようとする。秋にはLoを矯正してもらいますよ、と言うHaze夫人。実は同じQuiltyに抱擁される、という意味にも取れてしまう。そしてそのとおりのことが起こる。
言葉遊びがほとんどないのはこの急激な落ち込みを表しているかもしれない。

318:273
16/03/28 02:24:35.81 .net
Lolitaに出てくるフランス語について
出版に際して、アメリカではフランス語を減らせないか、との出版社の要請に断固としてナボコフは断ったが、フランス語の言葉遊びやいい間違いなど、注釈もなかった原書を読んでも理解できた読者は少なかっただろう。
彼はアルファベットそれぞれに色を感じる共感覚者であったが、自分のフランス語を見るときにはbrimm:液体があふれ出すイメージを持っていた、という。
このbrimmという単語は小説中にたくさん散らばっていて、重要な役割を果たしている。
H.Hはフランス文学の研究をしていて、小説中に頻出する19世紀の小説・詩(Poe、Keats、Mérimée、Mellville、Ballzac、Verlaine, Byron, Keats, Baudelaire、Doyle、Proust)とは一線を画して16世紀のプレイヤード派フランス詩人が引用される。
中でもピエール・ド・ロンサール(Pierre de Ronsard, 1524年-1585年)の比重が高いが、彼の詩は引用するとどうなるだろう、といわれながら直接引用はされていない。
いくつか彼の詩を読んでいると、1576年に発表されたLe Amoursの冒頭.
Petite Nymphe folâtre,     Frolicsome little Nymph,
Nymphette que j'idolatre,   Nymphet I idolize,
Ma mignonne, dont les yeux my sweetheart in whose eyes
Logent mon pis et mon mieux: I see my best and my worst,
.ニンフェットという言葉はもともとフランスで作られ、その後フランス語からは消えてしまったのがH.H(ナボコフ)が英語に生まれ変わらせた、ということらしい。
何度か出てきたnymphetを形容するfrolic/frolicsomeという最上級の形容詞はここが出典なのだ、と思った。肯定的な形容詞と否定的な形容詞を重ねるH.Hの癖までこの時代の対概念の影響とは言い切れないが、やはり似ている。
フランス最初の文学集団で、ルターのドイツ語聖書と同じように、フランス語の公用語化を宣言した彼らのうちでもロンサールはきわめて衒学的で、同僚の注釈がないと同時代でも理解できない恋愛詩集を書いていた、らしい。
(「改革派詩人が見たフランス宗教戦争」高橋 薫 著から)

319:273
16/03/29 02:29:01.08 .net
第一部第十五章 (p64~p66)月曜日から木曜日
キャンプQへ赴くことになったLoの買い物をし、「H.Hがキャンプ行きに賛成だと聞いたLoが怒ったこと」「お別れに車から二階まで駆け上がって飛びついてきて抱きしめたこと」を悦び、抱きついてきたLoが殺されず、レイプもされずにキャンプに行くことが出来たことを誇る。
ここでは、キャンプQの女管理人から、留守時にかかってきた対応をした際、「一ヵ月かそこら後に、pleasant chatを思い出す」、という唐突な描写がある。(妻を失い、キャンプに電話をかけるが小旅行に出てしまった、という会話をする芝居をする)
これまでも何度か出てきたポプラはどうも陰謀・性交などと共に出てきている。13章のLoとの擬似性行為の場面でもやや唐突に出てくるし、最初の性交渉を持つ「魅惑の旅人たち」にもポプラがあり、Conspiracy poplarとそのものの呼ばれ方もする。
Loが別れを告げたこの家のポプラ(とルイーズ)をLoが見ることはもうない、と書かれ、芝居の場面でまさにいちゃついているルイーズは陰謀・性交と並列される。
翌年の1月1日に13歳となり、その後はyoung girlとなり、さらにcollege girlとなることに恐怖を覚える。(H.Hは大学でフランス文学を講義しているはずで、college girlには接していたはずなのだが、学生時代、教師時代を通して不自然なまでに描写されない)
NymphetであるLoは永久に愛するけれども、Loは永久にnymphetではいられないことを理解している。
(これはロンサール晩年の最後の年若い愛人への詩を思い出させる)
大御所作家の「読者の想像に任せる」のではなく、語ろうといいながら、やはり何が起こったかを隠すような書き方をしている。
ここまでにあげてきたキーツの書簡集や、ロンサールの詩論はいわゆる通常の想像力を排除して方法を強調するものであった。
彼らはどちらも20世紀に再評価され、確固たる詩人の地位を築いた。
(引用されるのは1919年まで忘れられていたロンサールの詩L.M.FやEliotらが再評価したKeatsの書簡集であり、20世紀の反―叙情詩の流れに合致する読み直しであり、やはりヴァレリーやエリオットは1920年代に詩を書いていたナボコフにとって屈折点となったのだろう。

320:吾輩は名無しである
16/03/29 22:26:04.93 .net
0au73709325327x@ezweb.ne.jp
ちんぽまち 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:aa69868e8407a14ba8117b78f27d82ae)


321:273
16/03/30 01:41:12.63 .net
第一部第十六章 (p66~p69)Loの出発した木曜日朝
LoとHaze夫人が出発した後、LoのFrock(少女のガウンの古い表現、H.Hが多用する)やLoの着ていたくしゃくしゃの服などを抱きしめて、毒のある混沌が自分の中に湧き出る。
そこで、Louiseのmaid’s velvety voiceで階下からやわらかく呼ばれ、切手の貼っていない、curiously clean-looking letterをgood Louiseから渡される。
(自分の主人が下宿人に手紙をわざわざ渡す、ということは恋愛ごとだと分かってのことだろう。ここでも閨房の謀を代表する。)
H.Hはこの手紙を破いてトイレに流しているので、正確ではない。
しかし、Haze夫人は「you are the love of my life.」「I have loved you from the minute I saw you.」まるでH.HがLoに対して抱いたのと鏡像の様な表現をする。
ここには二つ解釈があり、ひとつはHaze夫人とLoが「姉妹のように見える」という描写からの強調、もうひとつはH.Hの誇張した表現に過ぎない、という見方。
前者はHaze夫人の名前の由来(Doloresという名の少女が出てくる小説に、姉としてCharlotが出てくる)や第二部でどんどんLoがHaze夫人に似ていくことを説明する。
後者は、そもそもH.Hの妄想という異端の解釈になるらしい。
ただし、you would be a criminal- worse than a kidnaper who rapes a childのように、あまりにもそのものの描写もあるから、H.Hの勝手な付け加えが多数あることは間違いない。
おそらく6/20頃で、月末までの家賃12ドルを返金します、というので月に35~50ドルという「破格の安さ」なのだろう。
覚えている限り、フランス語の間違いも含めて正確だ、というが実際の長さは2倍はあり、「Loの2歳で死んだ弟のこと」「彼をH.Hが好きになっただろうこと」が書いてあったという。
Loの部屋で、皿を持ち、ローブを着たロック歌手の「征服する英雄」の広告(征服された女は出てこない)があり、その顔に「H.H」と書き込みがある。
もうひとつの広告ではDromeをいつも吸っている有名な劇作家が載っている(こちらは似ていない)。
その広告の下にLoの純潔なベッドがある、というがこの劇作家は既に触れられたH.Hに似ているというC.Qであり、C.Qの下に散らかったLoのベッドがある。
Louiseが帰ったことを確かめて、Loのベッドで手紙を読み直す。

322:273
16/03/31 02:01:18.48 .net
第一部第十七章 (p69~p73)Loの出発した木曜日 昼から夕方
ここで初めてHaze夫人の名前が明かされる(Charlot、harlot:売春窟の主人という解釈は面白いがおそらく小説からの由来)。
手紙を破棄して、自室で考え、Dostoevskian grinが 自分の顔にdistant and terrible sunのように出現するのを感じる。
Loの母親の夫になれば、愛撫は好きなように出来るだろう、と。日に三度毎日抱きしめるだろう。「私は健康になるだろう」。
ここでもValeriaと同じ、「健康にする女」であることが分かってくる。彼女は歯痛に歯科医を紹介し、夜驚症(pavor nocturnus、夜の恐怖)を解決する。
(ここも、私の話はすでにincondite散らかりすぎ、としてスキップされるが、間違いなく精神発作と関わる)
H.HはCharlotの食前酒などに、塩化水銀を混入させて殺すことではなく、不眠症で処方された睡眠薬を二人に与え、小さなHazeの方に「無害ないたずら」を仕掛けることを目論む。
red sun of desire and decision(これが人生を豊かにする)が更に高く高く上がる。(この章で、赤い太陽の意味が欲望や陰謀に結び付けられる)
どうやら以前つけていた日記journalではこの章の描写よりもはるかに辛辣な記載が連ねてあったらしい(それは後に当のC.Hによって発見される)。
結婚する気持ちを奮い立たせようと、C.Hへの描写は少しだけ控えめ。
彼女はmy Lolita’s big sister、彼女の大きな尻、実った胸、丸々とした膝、the coarse pink skin of her neck(絹や蜜と比べれば粗い皮膚をしたピンク色の首)をあまり現実的に見なければロリータの姉のようにも見える。
そして残りの、残念な全てを除けば彼女は、ハンサムな女性。
Charlotを抱くために高級な酒や食事、ビタミン剤を買ってくる。彼女が帰ってくるのを待ちながら、酒を何杯も飲み、手入れの行き届いていない芝生をうろつくが、芝生にはタンポポと呪われた犬がいる。
犬はラムズデイルに来たときに車に轢かれそうになった犬で、ほかの場面でも事故を暗示する。
太陽から月に変わった(陽が落ちて夕方花が閉じた)タンポポが気に入らず、酔いに任せて芝刈り機を持ち出し始め、向かいの黒人の運転手兼園丁にからかわれる。
彼女の青いセダンが帰ってくるのを庭から眺め、彼女が青白い顔で上っていき、庭のH.HをLoの部屋の窓から見つけるのを確認してLoの部屋に駆け上がる。

323:273
16/04/01 00:00:34.00 .net
第一部第十八章 (p74~p79)Loが立ってから20-30日ほど (1/3)
Haze夫人と結婚するが、わざわざ呼び戻すこともない、とLoもまだ出てこない、H.HとLoのストーリーからすると読み飛ばされそうな章。
しかし、この章では妙にたくさんの登場人物、固有名詞が出てくる。(重要でないと思える人々ばかりだが、全員再登場することになる)そして不自然な初出の情報の濃度が非常に濃い。
婚姻に当たり、宗教と血筋について聞かれる。on that score my mind was openと言ってもいいが、宇宙の精霊を信じている、と答える。
重要なことは、「仮にH.Hの血にトルコ人が混じっていようとも、気にも留めないが、キリスト教の神を信じないなら、私は自殺をする」と神聖な口調で告げ、彼女が「原則の女性」であることを知ったこと。(これを聞いてH.Hは虫唾が走るようなぞっとする印象を受ける)
この一節はかなりいろんなことを語っていて、C.Hが気にしているのはユダヤ人かどうかで、H.Hがユダヤ人だったら結婚をしない、と言っているに等しい。中西部のwoman of principle。
この章の最後で善良なJohnが“Of course, too many of the tradespeople here are Italians,” “but on the other hand we are still spared‐”ここで彼の妻は関係ない話題でさえぎる。これも明らかにユダヤ人と言おうとしている。
東部のラムズデイルですら反ユダヤ主義から自由な町ではなく、H.Hは少なくとも周りからユダヤの可能性を疑われている。
第二章でドナウの川の血脈がrushとして混じる、青いドナウ(貴族の血)だけでなくドナウ以東はユダヤ人の多く住んだ土地でもある。
40マイル先のParkingtonで雑貨を営むFarlow夫婦(Johnとその従妹でもある若いJean)は唯一心から親交のある友人で、結婚式にも駆けつけ、またパートタイムの弁護士をしてC.Hについても助けてくれている。
その姪がキャンプに一緒に行っているRosalineであり、Loと学校でよく喧嘩をしている。
このユダヤ蔑視を持つJohn Farlowはmiddle-aged, quiet, quietly athletic, quietly successful dealerとあからさまに奇妙な紹介を受けて登場し、どうathleticなのかは語られない。who got me the cartridges for that Coltと言われても、「あの」Coltはここで初出。
小説でも相当に重要な役割を果たす拳銃は、最初からまるで既に周知のように登場させられる。

324:273
16/04/01 07:57:05.51 .net
第一部第十八章 (p74~p79)結婚生活 (2/3)
Charlotとの関係は、罵倒表現だらけの日記の頃からは考えられないほどに良好な関係を築いている。前章で買いあさった各種刺激剤を用いても性交には失敗しているが、そこは娼婦相手につちかった「古い世界の技巧」を用いて満足させる。
Valeriaの時は孤児の服を着せて性交を行ない、ヒステリーを起こさせたが、この女性はLoに最も近い肉親の上に、30年物のアルバムを持ち出させnymphetであったころの写真を手に入れる(CharlotはLottelita, Lolitchen)。
性交の際も、彼女の中にLoやnymphetの残り香を探る上、Valeriaと異なりH.Hの不機嫌な沈黙にも恐れず、礼節をわきまえながらも気軽に話しかけてくる。
初夜の後の朝で幻滅させられたValeriaと違い、驚いたことに、Loを叱る鬼のような成人女性はH.Hがせまると弱弱しく「だめ、いけません、」と少女のような一面を見せ、さらに結婚して美しくなる。
前章で最初に結婚を決意したとき、キャンプQに電話をかけて行き違いになり、先にLoに伝えた場面で、わずか1時間でH.Hよりも「片方の靴下」を引っ張っている「子犬」に心奪われている冷淡なLoと、情熱的に変貌したLotteが入れ替わっている。
Loをすぐに呼び戻すことを急がず、前章までの狂おしい情熱が影を潜めており、Valeriaが「ごみのようなキュビスムの絵」に彼の「眼と魔の手」を封印したように、LotteはLoを「キャンプQ」に封印して「健康に」している。
健康にする女との別れは、H.Hが望んでしたことではなく、Valeriaは(自業自得とはいえ)不倫であったが、Lotteは不倫を決してしない「キリスト教原則の女」であり、その契機は「健康から程遠い」日記を書いていた頃のH.Hが暴露されることである。
おそらく、前章で「日記の調子に合わせてC.Hを軽蔑した調子を続けるのは難しい」と書いているのは本音でもあり、Charlotと名前が頻出するこの結婚生活において、まがりなりにもH.Hは彼女自身と向き合い、Loに近づくためだった結婚を楽しんでいる。
Valeriaとすごしたみすぼらしいアパートと家具は、豪華なダブルベッドやカタログから選ばれた家具。無口なValeriaと過去の愛人について根掘り葉掘り聞き、それに脚色を加えて話すH.Hと対比は尽きない。
LoとCharlotの対比を期待した読者の予想は裏切られ、むしろ共通点と前妻Valeriaとの対比が強調される。

325:273
16/04/02 02:25:56.46 .net
第一部第十八章 (p74~p79)結婚生活 (3/3)
娘に手を出すためにその母と結婚した、という物語からはすぐに悲劇(邪魔者の消失)が語られることを読者は期待する。
が、そこまでに家の家具をカタログで選んだり、結婚式に来てくれた人はこうで、電話するけれど結婚式には来てくれない人たち(Loの級友の母親たち)はこうで、と話が続く。
二人のこじんまりとした結婚式はささやかながらも新聞Ramsdale Journalに載り、誤字や間違いがあっても、ラムズデイルに来て20ヶ月にしかならないCharlotはH.Hのおかげと喜ぶ。
(夫人がHazy姓になり、H.Hが作家兼冒険家になっている。後にHumbertがアメリカ中を旅することを思わせる)
しかし実はこの間違いを仕掛けたのはH.H本人でCharlotteとは何年も前から知り合いで彼女の亡夫の遠い親戚に当たるとすら書かれる。(13年前に、恋愛関係にあったと仄めかしてみたが採用されなかった)
記者のインタビューにでたらめを混ぜたのは「新聞には嘘が混じっているべきなんだよ。」と新妻を納得させるが、この記事は後にLoを連れ出す根拠として役立ってくれる。(血がつながっていることになり、善良なFarlow夫妻を誤解させる)
Charlotは50日間続いた結婚生活が50年であるかのようにぎっしりと活動をつめこませた、というほど活動的になる。これまで小説を読んでいた彼女はillustrated catalogues and homemaking guidesを片手に家中をかき回し、模様替えを行い続ける。
「プルースト風に言えば、娘を愛する代わりにその母親に若さとエネルギーを与えた」と書かれるように、変貌し、これまでおろそかにしてきたことや、したことのないことをtremendous amount of energyでこなしていく。
このおそろしい勢いで理想的な家に作り変えていく情熱によって、H.Hの日記が見つかる羽目になってしまう。
Jean Farlowはハーレクイン(道化師)風の眼鏡をかけ、二匹のボクサー犬と二つの尖った胸と赤い大きな口を持つ手足の長いgirlで、肖像画や風景画を描く。(Valeriaの章では鉄道が描かれ、キュビスムとあわせ人工的な世界だった)
ValeriaはH.Hを描くが、Jeanは可愛らしい姪っ子Rosalineを描く。その年の離れた夫Johnはある日曜日に森の散歩で、銃の使い方を教えてくれる。
RosalineとLoのことについての二人との会話の中で、キャンプにいるLoを想像してあやうく泣き出しそうになる。

326:273
16/04/02 03:00:14.03 .net
第一部第十九章 (p79~p81)
Charlotについて、物事がうまく行っていたときのことについてもうほんの少しだけ、と
前章で全く登場しないLoについて、Charlotは「子供のしつけ」というような本を読んで、厳しく当たっているかのようにH.Hは描写する。Charlotはむしろ、死んだLoの弟について語る。(H.Hは興味ない)
その魂は、H.Hとの結婚生活wedlockで、産みなおすことになるだろう、と感傷的なCharlotに対して、H.Hは故Hazeのレプリカを作ることに興味はないが、帝王切開をすれば数週間Loと二人っきりでいられる、などと考えている。
これまでの女性遍歴を「告白」させられ、またCharlotも「告白」する。これまでの人生でこれほど「告白をしたり、されたりしたことはない」と言うほどだが、その中身はCharlotを喜ばせるためにLoの雑誌から女性の描写を借用する。
二人の告白は奇妙に似通ってくるが、それはCharlotの告白も恋愛小説などからの引き写し(どちらもソープオペラや精神分析や三文小説に影響されている)とする。半ば、売春宿で女性を並ばせている女衒のような気分になってくる。
H.Hは唯一、故Harold HazeがCharlotに要求していたというcertain remarkable sexual habitsにだけ興味を引かれるが、それ以外は彼女の自伝は彼女の解剖を見ているくらいに興味がない。
ここで、I never saw a healthier woman than sheという一文が出てくる。
Valeriaの名前から、「健康」というキーワードで読んできたがこうして明確に記載されているのに出会うと読みが間違っていなかったということに感動する。
Lolitaを読むことはこういう自分が見つけた物語で読み直したときにそれが作者のたくらみであることを追認できるところにもある、と思う。
Loが持ち物をなくしたりしたときに烈火のごとく起こるさまはmy loving wife’s mild natureではほかに現れないほどだ、というが、そのアンクレットを盗んだのはH.Hだったりする。
最後にキャンプのLoからの手紙が来るが、つづりやセーターを森になくしたこと、H.Hが飴を送ったこと、にいちいち難癖をつけることにもLoからの手紙に感激しているH.Hと対比される。

327:273
16/04/04 19:00:10.70 .net
第一部第二十章 (p81~p89)7月の終わり(1/2)
散々ピクニックが延期された湖に、とうとう行くことになる。
7月の最後の一週間は非常に暑く、毎日数マイル先の湖まで車で出かける。
その最後の火曜日に起きた「取るに足らない」出来事について詳細に語られる。
Jean Farlowが朝五時くらいに朝の光を求めて歩いていて、Leslie が湖で泳いでいるところを見た。このLeslie("holly-garden")は向かいの家の庭師で、黒人である。
夫Johnは皮肉っぽく「真っ黒な衣で」と言う。JohnとJean、C.Hの微妙な黒人やユダヤ人への感情の差が描かれている。
H.Hは黒人には常に好意的な形容詞をつけ、JohnやC.Hのように蔑視を見せることはない。Jeanもまた、LeslieをMr.Tomsonと呼ぶ、進歩的な人物として描かれている。
C.Hは、Leslieのことをうすのろなどと呼び、家の黒人女中のLouiseが彼に惚れていることを不快に思っている。
彼女の代わりに、Talbot家にいる「ドイツ人」の女の子のような本当に訓練されたメイドを住みこみで雇いたいという。
10章で、この「Louiseの部屋」が存在せず、「週三回通いで」来ていることが紹介された。その代わりが「住みこみ」なら、「Loの部屋」の部屋はどうなるのか?
Loも家から出して、腰骨を折ってしまったMiss Phalenの妹(「蛾」)が教師をしているSt.Algebraの厳しい学校に送る構想を語る。既に受け入れについての手紙を出している。
精力的に家具を組み替える彼女は家の中の人間も再構成する。
まばゆい湖が見えてくるが、H.Hはサングラスを忘れた、といって引き返す(この言訳はLoと二人きりになる方法として妄想していたもの)。二人きりになる代わりに森の中で一人、思い悩む。
もしCharlotがValeriaのようであったら、彼女をhandleできた。
結婚を決意した日、H.Hは自分に向けられる好意を利用し、捨てられたくなければ娘を差し出せ、と脅迫する妄想を弄んでいたが、現実には、妻の作り上げたH.Hのイメージを保つことに恐々とし、奴隷のようにへつらっている。
原則の女であるC.Hは、音楽家が間違った音を出した奏者をたちどころに聞き分けるように、作られたイメージから離れた意図(intonation)をすぐにかぎつけるだろう。
Valeriaとの関係は家父長制であり、Charlotteとの関係は逆に隷従している。

328:273
16/04/04 19:05:03.22 .net
第一部第二十章 (p81~p89)7月の終わりの火曜日(2/2)
18章ではC.HがValeriaに似ていないためにどれだけ幸福な生活を送っているかが強調された。この章では逆に、似ていないためにどれだけ抑圧されているかが強調されている。
湖に、溺死させる妄想をするが、どうしても実行することが出来ない。
ここでさらっと、「彼女の太った、もろい手首をねじるだけで彼女に言うことをきかせることが出来た」と、DVを行っていたことを告白する。H.Hは「人当たりのよい」American Charlotteに怖気づく。
Valeriaやその不倫相手のロシア人を殴ったり、銃を撃つことは想像が出来るが、C.Hにそうすることは考えられない。考えてみればValeriaはポーランドからの亡命者であり、H.Hはアメリカでは同様に亡命者である。(15章でも、妄想の場面で難民として自己描写をしていた。)
この後も何度か出現する「アメリカ国籍を取ったばかりの根無し草」であることは影響しているのだろう(ユダヤや黒人に寄り添うからと言ってH.Hは差別感に無垢ではない)。
それでも完全犯罪を妄想し、湖の向かいの岸に二人の男(元警官と元配水工)がいるのを確認し、声は届かないが相手は見える状況で、溺れたふりをして彼女の足を水底に引っ張ることで。「心筋梗塞か痙攣で」死んだように見せられる、と考える。
完全犯罪を行うためには1447年でなく1947年には科学者であるか、偶然がなくてはならない、とするH.Hは偶然の助けを得て殺害にもっとも近づいた瞬間を振り返るが、実行に移すことが出来ない。
すぐその後で、茂みで風景画を描いていたJeanが二人を見ていたことが判明し、実行に移していればすぐに露見していたことが分かる。このJeanはかなりよい描写をされており、砂浜でC.HとH.Hの間に座る(C.Hは少し嫉妬する)。
世間話で、この湖で日暮れごろに少年少女がsexしているのを目撃した話(Annabelのことを思わせる)、夜明けにMr. Tomsonを見た話に続いて、Ivor氏のよくない評判と、その甥のみだらな行状に触れる直前に、Johnが迎えに来て話は中断され、ここでもC.Qの話は届かない。
18章がJohnのユダヤ人蔑視をJeanが割り込んだのと対照的に、Jeanの性的ゴシップの話がJohnによって中断されられる。C.Hとの結婚生活の表裏、Valeriaとの関係も含めて、Loについての19章をはさんで18章ときれいな相補的な関係をなしている。

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16/04/05 17:59:44.60 .net
第一部第二十一章 (p89~p93)8月初め
H.Hの沈黙で泣き出してしまうValeriaに対し、沈黙をものともしないC.Hが「驚嘆すべき女性」として語られる。
Miss Phalenの妹へ手紙を出すのを部屋の窓からポプラの木影を通して目撃する。
前章の火曜日から雨が続き、陰鬱な日々をすごすが、その後数日僅かな希望の光が差し込み、そして究極的な太陽の光が訪れる。
秋にイギリスへ旅行しようというC.Hに、初めて「行かない」と伝える。この拒絶と、家の事は二人で決めるべきであること、自分はbossedであるが、意見を尊重して欲しいことを伝える。C.Hは全く気づかなかった、H.Hこそは自分の神なのだ、という。
このH.Hの勇気を振り絞ったであろう「C.Hへの最初の拒絶」はもっともらしい理由をでっち上げて初めて可能になる、「独立したアメリカ婦人」へのコンプレックスに満ちたものである。
この出来事(British incident)はH.Hを有頂天にし、描写が再び軽くなる。
僅かな光の数日といい、ヘイズ夫人とのたった50日、15ページの結婚生活にここまで曲折が存在することを初読で読むのは難しい。
この、通常の物語からすると「引き伸ばされた退屈な描写」には本筋の物語に影を落とし続ける隠喩や象徴、初出となる言葉が異常に多い。
読者の注意がそれる場面にこのような企みを張り巡らせるのがナボコフの戦略であり、ナボコフを読み解く快楽でもある。
このような描写を小説内で響きあうtensionと表現したあるフローベール論はナボコフにも適用されてしかるべきであり、「ボヴァリー夫人を百回読んだ」ナボコフが受け継いだものといえる。
この事件の後、勝手にH.Hの部屋に入ってくるC.HにもLoの面影を描写し、わざわざ唐突に退場した父を引き合いに出してまでLoとの共通性を強調する。(父が出現するのは、ロンドン時代以降これが唯一)
前章で、intonationをかぎ付けるであろう、と描写されたC.HはこのH.Hにとっての希望(british incident)のすぐ後に、なぜ鍵をかけた箱があるのか、を問いかける。
表面上H.Hに服従を誓っても、C.HはH.Hが恐れたとおり、H.Hの隠された秘密の存在に気づきかけているが、H.Hは気づいてはいない。
香水などを通して、ValeriaとC.Hの共通性も再び強調され始め、半ばValeriaと一体化してすらいる。
すぐにwife keeps monkeying with the furnitureはH.Hの隠した鍵を探り当てる。

330:273
16/04/06 01:32:07.16 .net
第一部第二十二章 (p93~p97)1947年8月6日 (1/2)
殺害を試みた火曜日からちょうど一週間後、二番目のPhalenから返信が届き、腰骨を折った姉の葬式から帰ってきたばかりだとのこと。Euphemia(悪い言葉を婉曲に表す、という意味)という名前であったことが分かる。
今からでは今年(9月から)は遅いが、1月ならば受け入れるとのこと(H.HにとってLoが帰ってくることを意味し、大朗報、「究極的な太陽の光」である)
ラムズデイルに帰ってくるLoに備えてかかりつけ医師(Byron)に睡眠薬を処方してもらう。彼は医学知識の不備と無関心を完璧なbedside mannerと特許をとった処方でごまかしているという、感じのいい男(H.Hにとって医者はいつも感じがいいらしい)。
7月の間、C.Hに対して様々な量の睡眠薬を試して、ラジオを大音量で流したりディルドーを顔に突きつけるように懐中電灯の光を当てても起きないことを確認する。
しかし、押したりつついたりつまんだりしても起きないが、キスをするとパッチリと眼を覚まし蛸のように絡み付いてくる、というからC.Hは夫の変わった愛情表現程度に捉えていたのだろう。
この医師に、それまでC.Hや他の誰も熱心に聞かなかった「精神病院での最後の入院」の事を、H.Hはもらしてしまう。医師の耳がピクリと動いたことにおびえるH.Hは、小説の狂人についての研究をしていた、と取り繕う。
首尾よく最強の睡眠薬と言うviolet-blue capsules banded with dark purpleを手に入れ、浮かれた描写と共にHumbert家に車で戻る。(結局、ラムズデイルにはたくさんのcharmがある、と)
Smoothly, almost silkily、 Everything was somehow so right that day. So blue and green.蝉cicadaも鳴いている。正確に3時半で、向かいの看護婦が訪問しているのもいつも通り、吠え掛かる犬もいつも通り、新聞がKennyによって投げ入れられているのもいつも通り。
H.Hがcheerful homecoming callを鳴らすと、Living roomには「初めてあったときに来ていた服」を着たC.Hが何か手紙を書いている。もう一度「暖かく」呼びかけても応えず、手紙を書く手を止めていつもの可愛らしい表情ではなく冷たい表情でゆっくりと向き直る。
“The Haze woman, the big bitch, the old cat, the obnoxious mamma, the- the old stupid Haze is no longer your dupe. She has- she has ・・・”
まるでホラーのよう。


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