石牟礼道子at BOOK
石牟礼道子 - 暇つぶし2ch7:吾輩は名無しである
13/11/03 19:43:46.78 .net
石牟礼道子の一つの表徴にいくつもの意味と現象をたぐり寄せようとする文体を鶴見和子は「石牟礼道子語」とよんだ。たとえば次の文章のように。

「―水俣病のなんの、そげん見苦しか病気に、なんぞ俺がかかるか。
彼はいつもそういっていたのだった。彼にとっては水俣病などというものは
ありうべからざることであり、実際それはありうべからざることであり、
見苦しいという彼の言葉は、水俣病事件への、この事件を創り出し、
隠蔽し、無視し、忘れ去らせようとし、忘れつつある側が負わねばならぬ道義を、
そちらの側が棄て去ってかえりみない道義を、このことによって
死につつある無名の人間が、背負って放ったひとことであった。」

8:吾輩は名無しである
13/11/03 21:01:59.16 .net
「苦海浄土」、
どっかの文庫では「くがいじょうど」で
池澤夏樹文学全集では「くかいじょうど」になってたけど
「くがいじょうど」が正しいんかな
どっちで読んでもいいんかな

9:吾輩は名無しである
13/11/04 06:34:50.29 .net
地頭のいい女流作家も次々にお亡くなりになるな
高村薫氏は若いが、頭が左にねじ切れてて残念だし

10:吾輩は名無しである
13/11/04 09:37:47.89 .net
石牟礼道子のアニミズムは発光する。その時彼女は巫女となる。

「石の神さんも在らすぞ、あの石は、爺やんが網に、沖でかかったこらした神さんぞ。
あんまり神さんに形の似とらいたで、爺やんが沖で拝んで、自分にもお前どんがためにも
護り神さんになってもらおうと思うて、この家に連れ申してきて焼酎(おみき)ば
あげたけん、もう魂の入っておらす」

11:吾輩は名無しである
13/11/04 09:39:40.09 .net
また石牟礼道子は「未開」の世界にも開けていく。近代化以前の「未開」の世界を。

「話に効けば東京の竹輪は腐った魚でつくるちゅうばい、炊いても食うても当たるげな。
さすれば東京に居らす人たちゃ一生ぶえんの魚の味も知らず、陽さんにも当たらん
かぼそか暮らしで一生終わるわけじゃ。わしどんからすれば東京ンものはぐらしか
(かわいそう)。
 それにくらべりゃ、わしども漁師は天下さまの暮らしじゃござっせんか。
たまの日曜に都のの衆たちは汽車に乗って海岸にいたて、高か銭出して旅館にまでも泊まって、舟借りて釣りにゆかすという。
 そら海の上はよかもね。
 そら海の上におればわがひとりの天下じゃもね。」

12:吾輩は名無しである
13/11/04 09:40:50.91 .net
「未開」の労働観としても興味深い。今村仁司の「仕事」によれば、
南太平洋にあるニュー・ブリテン島のマエンゲ族の、一日あたりの平均
労働時間は4時間だという。マエンゲ族では美しく畑を作ることが賛美される。
貨幣によりすべての価値が数量化されて単色となった世界とは違う、
豊かな世界だといえる。同じような豊かさは不知火の海にもあった。

13:吾輩は名無しである
13/11/04 09:44:05.81 .net
「まだ海に濁りのいらぬ梅雨の前の夏のはじめには、食うて食うて(魚が餌を食う)
時を忘れて夜の明けることのある。
こりゃよんべはえらいエビスさまのわれわれが舟についてとらしたわい。
だいぶ舟も沖に流された。さてよか風のここらあたりで吹き起こってくれれば
一息に帆を上げて戻りつけるが。
すると、そういう朝に限って、あの油凪ぎに逢うとでごす。
不知火海のべた凪ぎに油を流したように凪ぎ渡って、そよりとも風のでん。
そういうときは帆をあげて一渡りにはしり渡って戻るちゅうわけにゃいかん。
さあそういうときが焼酎ののみごろで。
いつ風が来ても上げらるるように帆綱をゆるめておいて。
かかよい、飯炊け、おるが刺身とる。ちゅうわけで、かかは米とく海の水で。
沖の美しか潮で炊いた米の飯の、どげんうまかものか、あねさんあんた
食うことのあるかな。そりゃ、うもうござすばい、ほんのり色のついて、
かすかな潮の風味のして。
かかは飯炊く、わしゃ魚ばこしらえる。わが釣った魚のうちからいちばん
気に入ったやつの鱗ばはいで舷の潮でちゃぶちゃぶ洗うて。鯛じゃろと
おこぜじゃろと、肥えとるかやせとるか姿のよしあしのあったでござす。
あぶらのっとるかやせとるかそんときの食いごろのある。鯛もあんまり
太かとよりゃ目の下七、八寸しとるのがわしどんの口にゃあう。鱗ば
はいで腹とってまな板も包丁もふなばたの水で洗えばそれから先は洗う
ちゃならん。骨から離して三枚にした先は沖の潮ででも、洗えば味は
無かごとなってしまうでごわす。
そこで鯛の刺身を山盛りに盛り上げて、飯の蒸るるあいだに、かかさま、
いっちょ、やろうかいちゅうてまずかかに(焼酎を)さす。
あねさん、魚は天のくれらすもんでござす。天のくれらすもんをただで、
わが要ると思うしことってその日を暮らす。
これより上の栄華のどこにゆけばあろうかい。

14:吾輩は名無しである
13/11/04 20:02:46.07 .net
>>12みたいなの読むとほんとうにいいなあと思うんだけど
でもそんな生活には戻れないし、戻ったとして実はそんな夢みたいな生活なのかなあ
とも思うんだよね。>>11もいいなあと思うけど、ただなぜわざわざ「東京」を比較対象として
出してくるのかね…。現代社会への批判としての象徴? 東京に出てきた人間というのは
地元ではたちゆかんからという事情の持ち主が多いと思うんだけどね。どうなんだろう。

15:吾輩は名無しである
13/11/04 20:11:54.27 .net
じゃあどこを出すんだよ大阪?愛知?

16:吾輩は名無しである
13/11/04 20:14:43.68 .net
江戸

17:吾輩は名無しである
13/11/04 20:39:49.43 .net
うん。「都会」とか「まち」とかじゃなくて
具体的に「東京」というのが気になったんだ。
それだけです。気にさわったらごめんね。

18:吾輩は名無しである
13/11/04 21:07:36.18 .net
さぁどうだろう
具体的に「大阪」「愛知」だったら
特に気にならなかったんじゃね

19:吾輩は名無しである
13/11/04 21:12:16.05 .net
それはひねくれすぎというものさ。

20:吾輩は名無しである
13/11/05 08:48:13.85 .net
熊本=地方裁判所
大阪=株主総会
東京=チッソ本社

という世界観じゃね?

21:吾輩は名無しである
13/11/05 09:16:45.95 .net
しかしこのような「未開」は、その豊かさの代償に、識字率の低下と権威主義に
楽々と飲み込まれる危険もあった。

成文法は異なった文化の衝突の際に生まれたという。同じ文化同士では慣習法で
済んだものが、違った文明を持ったものと出会うと、お互いに納得できた言葉を使う必要がある。
そしてそのような法律の言葉の前では、言葉を持たなかった「未開」は
あたかも存在しなかったもののように扱われてしまうのだ。

そして「国会議員の、お父様、お母様」という言葉に示されるように
権威主義に安易に跪いてしまうのだった。

22:吾輩は名無しである
13/11/05 09:44:46.47 .net
テスト

23:吾輩は名無しである
13/11/21 19:57:31.23 .net
アニマねぇ、なんでしょうねえ。永遠なるものですね。不滅、死なない。あ
る時は死んだ形をしていても、あるいは死ななければ復活しないみたいなもの、非常に簡
単にいえば。たびたび死ぬからこそ蘇って、永遠なるものになっていくのだと、書きなが
らずっと思ってました。そして人間だけでなくて、生命たちの魂というのは、そういう
意味で本質的に自由というか、自由ということはあとから私たちははくっつけますけれど、
自由という言葉以前にもっと本質的に自由なものである。だれにも束縛されない、一番理
想的な宇宙と共にあるもの、宇宙の生命と一体になっているもの。言葉にすれば、魂とい
う言葉を共通の言葉としていいいますけれども、もっとそれ以前に、存在そのものから、
いつでもどこでも飛翔することができる。

鶴見和子との対談より

24:吾輩は名無しである
14/01/16 09:01:09.57 .net
皇后様は宮中歌会で水俣の歌を歌われた。
石牟礼さんも感慨深いだろう。

25:吾輩は名無しである
14/02/27 14:54:46.04 .net
妣たちの国に入ってる
あやとり祭文てエッセイが良かった

26:吾輩は名無しである
15/02/07 18:43:28.45 .net
新年明けましてオメ

27:吾輩は名無しである
15/02/07 19:15:46.09 .net
最近石牟礼さんの著作が書店の飾り棚に並んでるのを見るけど何か新刊でも出た?


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