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ユリイカで特集された中島らも特集…「砂漠のスカラベ」という丹生谷さんとの対談の、創士さんとのパートを、
ここに抜粋して掲載しますか?読みたい方がいたらやってみます。というわけで冒頭部分。
鈴木「今日は作家としての中島らもについて考えてみるという事なんだけど。何から始めようかな。まず、特に
印象的だったことから。らもは稲垣足穂の「歴史に対して垂直に立つ」っていう考え方が好きで、つまり
当時の新左翼のマルクス主義の様に、水平的に集団的に時間を動かすという事が嫌いだったわけ。だから
なんとかして垂直に飛ぶ、というかむしろ、スカラベか蝸牛の様にのろのろと上昇するというやり方を見
つけなければならなかった。そこで最初に出会ったのがヘンリ・ミラーとかセリーヌだったわけです。当
時らもがよく面白がって引き合いに出していたセリーヌの論法にこんなのがある。サルトルを批判するの
にセリーヌは、「眼鏡なんかかけやがって」「垂れた尻しやがって」って言うわけ(笑)。この一段論法
がまずらもにとっての垂直性なんだよね。これはかなり説得力があります(笑)。だかららも作品に特徴
的な独特のユーモアっていうのも、そして彼の「天使的な」(!)露悪趣味や、少女チックな趣向も、最
初からこの「垂直性」に関係していたと思う。