佐藤大輔 99at ARMY
佐藤大輔 99 - 暇つぶし2ch711:名無し三等兵
17/06/24 16:26:33.60 L7rd3WL/.net
ゴンゴラ総指揮官は、遂に白紙命令書百枚を金博士に手交して、博士の手腕
に大いに期待するところがあった。
「おい、金博士の動静についてのニュースはないのか。すくなくとも一巻の
 ニュース映画になるくらいのものは持って来い」
将軍は、金博士の行動のニュースに飢うえているのであった。
情報蒐集官たちは、残念ながら、博士についてのニュース材料の持ち合わせが
なかった。それで次回から、せいぜい気をつけることにして、金博士の身辺を
猟犬の如く、或いはダニの如く、或いは空気の如く搦からみついて、何を博士が
実行に移しているかを調べたのであった。
その結果は、毎日毎夜それぞれの情報蒐集官から、ゴンゴラ総指揮官のところ
へ集ってきた。
「金博士は、本日午前十時、セバスチァン料理店に現れ、午後二時まで四時間
 に亘り昼酒をやり、大いに酩酊せり」
「ふん、大いにやっとるな」
 と、ゴンゴラ将軍は次の報告書を取上げる。
「金博士は、本日午後二時十五分より、カセイ・ホテルに現れ、飲酒三時間に
 及べり。午後五時三十分、退出す」
「よく飲むなあ。身体をこわさなきゃいいが……」
 次の報告書には、こう書いてあった。
「金博士は、本日午後五時四十五分、ピカデリー街に於て、数名の東洋人に
 襲撃せられ……」
「おや、これはニュースらしいニュースだ」
 と、総指揮官は、思わず前に乗りだして、さてその次を読むと、
「……街上に於て、ウィスキーのラッパ呑みを強要されしが、それより博士の
 提案により、会場をコルコット街裏通りのバー、ホーンに於て一同揃って
 痛飲会が開催せられることとなり、同夜午後十一時まで、通計五時間……」
 将軍は、苦り切って、その報告で洟をちんとかむと、紙屑籠へ投げこんだ。
「金博士は、地酒窟ランタンに現れ、午後十一時十五分……」
 どこまで読んでいっても、金博士が酒を飲む報告書ばかりであった。
 将軍は、うんざりしてしまった。


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