16/01/01 18:29:22.43 hXQS4pbn.net
せっかくの戦闘力も戦場までもっていけなければ発揮しようがない。しかも、戦場でのふるまいにも砲手の
視野確保などの点で課題が大きかったらしい。
一方、シャーマンはかなり満足のいく信頼性を誇っていて、1600kmを自走しても良好だったとのこと。
パンターは150kmで駆動系がおかしくなっている……車両の数に余裕がない方が戦車トランスポーター
を必要とするのでは戦いにならない。
著者はドイツ軍が攻勢にでていたときは防御力に問題があっても信頼性がある三号戦車や四号戦車を
使っていたことを指摘し、火力と装甲を重視したパンターへの転換は戦略状況による影響が大きいと指摘する。
しかし、防御状態でも限定攻勢は仕掛けなければいけない。生産性を考える上で、戦車の種類も絞るべき状況で、
どうやって問題を解決するか、なかなか難しい。
とりあえずドイツのやったことは反面教師になるだろう。パンターの台数が足りず、歩兵部隊には戦車突撃砲
が回されたのを問題視されていたが、結果的に信頼性の点ではマシだった可能性もあるんだよな……小規模部隊
ほど補給が大変になりパーツが確保しやすい戦車がよくなる。
シャーマンの76mm砲が装薬量が3.62kgしかなく、パンターの主砲の8.16kgから大きく水をあけられていることに驚いた。
なお、ファイアフライの17ポンド砲は9.0kgも装薬を使っている。特殊鉄鋼弾を使用した場合の貫通力は特にヤバい。
シャーマンの装薬量でもタングステン弾芯を使えばかなりの貫通力を発揮している。それにパンターの装甲は正面
以外は決して厚くなく、正面も砲塔下側の傾斜が車体正面に砲弾を誘導する弱点がある。
戦例にあげられているフレヌー近郊の戦車戦では2000ヤードの距離でシャーマンがパンターを撃破している。
もちろん逆もあるが、二つの戦車に関する印象が大きく変わる一冊だった。
パンターVSシャーマン バルジの戦い1944 ステーヴン・J・ザロガ
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