18/10/24 07:59:53.03 GZ5ZTOZ00.net
そんな本気の出され方をされても俺はちっとも嬉しくないぞ。
目を丸くしたかと思えば、冗談だと笑い飛ばされ、真剣さに対してかと僅かな苛つきとやるせなさを覚える。
「実はな、お前は俺とばあ様の実子なのだ」
「は、なん、はああぁぁぁ!?ま、真か!」
「真よ。俺らの姿が若いことに疑問を持たなんだか」
それは、まあ、じい様ばあ様と呼ばせる割には、四、いや、ぎりぎり三十でも通るかもしれない見た目だが。
「ある日川から小さな桃が流れてきてな。それを食べたらなんと吃驚、力が湧くわ歳は若返るわの大騒ぎよ」
「だからお前を桃太郎と名付けたのですよ」
「そん、な、馬鹿な」
床に拳をつく。頭を上げることができない。
だがはっと気づいた。まだ諦めるわけにはいかぬ。
「ならば剣の腕前は如何様にして!」
「桃の力だろ。なんて言っても若返るほどだぞ?」
「美猴殿か大聖殿でしたらこうした逸話にも通じているでしょう」
「あの三人は!」
「そこいらにいた獣にも試しに与えてみたら人の形をとってな」
想定から外れすぎ、胸に落ちたはずのものが今や奈落にあるのではと感じるほど。
今の俺は打ちのめされ、うちひしがれていた。