16/08/12 15:54:02.43 Don29hXg0.net
「かぼちゃの馬車を貸してほしいのはヴィラン討伐のためではなく、
わが社マッチカンパニーの業務に必要なので貸してほしいのですわ」
「マッチカンパニーの業務、だと?」
「わたくしとミクサさんで会社を設立しましたの。その業務として各物語世界の物資補給の運搬を行おうと考えてまして。
それを行うにはかぼちゃの馬車の飛行船が必要なんですの」
いきなりリンの口からカンパニーやら業務等の単語が発せられたことで、
あまりのあやしや、いかがわしさに王子が顏を歪めた。
「リン殿は自分の世界よりも商売を優先したいというのですか!」
姫騎士の一人『灰かぶり』の筆頭騎士であるロードピスがリンの考えに怒声を浴びせる。
その声は彼女の見た目通りの勇ましく凛々しい物だ。
「自分の世界の為に商売をするんですの」
涼しい顔で軽くいなすリンはさらに続ける。
「現状、各世界は先のヴィラン迎撃で疲弊し、復興再編を急いでいますが遅々として進んでおりませんわ。それはなぜかわかりますか?」
逆にリンに問われたロードピスは言葉に詰まってしまった。
「正解は各々の世界だけで物資の調達をしてるからですわ。その世界特有の地理、気候がありますから調達しづらい物があるんですの。
海洋連合なんかはわかりやすいですわね。陸が少ないから材木、鉱石の調達に難儀してますわ」
「つまり、あんた達マッチカンパニーがそれら不足物資を他世界から調達すると…」
姫騎士の一人チェネレントラが話かけてきた。他の二人より容姿も声も若いが『灰かぶり』のNo2の実力の持ち主。
レオタードのようなドレスを身に着け、体の線がはっきりわかるのだが、いやらしさよりもかわいさを覚える年の頃だ。
「ええ、そうですわ。復興が行き届けば他の世界の援助する余裕もうまれますわ」
「まずは外堀から埋めていこうということですわね」
ヴィラン侵攻で苦しんでいるのはマッチ売り世界だけでない。
侵攻を退けた世界も復興で苦しんでいるのだ。
そんな中自分の世界を優先せず、他の世界の復興を助ける慈善事業をマッチカンパニーはするとリンは言ってるのだ。
リンの考えを理解したチェネレントラはフムと頷いて納得し黙る。