16/01/24 15:52:20.22 IH+ouady0.net
「三雲賢次郎だな」
三雲は座ったまま相手を睨み、
「何者だ」聞き返した。
「国家反逆罪で、逮捕する」
と、「逮捕状」を、見せた。
「貴様ら、何をやっているのか、分っているのか?」
「拘束しろ」
将校が部下に合図すると、兵士たちは三雲を抱え込み、手錠を掛けて、部屋を出て行った。亮は、見ているしかなかった。下手に反抗すると、自分が「公務執行妨害」で現行犯逮捕される。将校は、少し亮を睨んでから、出て行った。
「始まった・・・」
亮は、愕然とした。
「三雲共和党代表逮捕」の報道は、全国を駆け巡った。本田首相は、記者に答えていた。
「三雲が私を暗殺しようと図っていた証拠を掴んだ。今、実行役の犯人を指名手配して追っている。間もなく捕まるだろう」
記者が、「証拠とは、何ですか」と聞くと、本田は、
「数日内に、公表する」
と、断言した。
数日後、公表された「証拠」とは、電話の録音テープだった。三雲らしい人物の声で、誰かに、
「本田を暗殺してくれ」
と、言っている内容だった。
しかしマスコミは、その「声紋」を徹底的に調べて、「これは本人ではない」と、公表した。すると今度は、議会で、
「公正報道監視法」
という、新しい法律が成立した。それは、
「意図的に誤った報道をして、国民を混乱させる行為は、国家に対する重大な過失である」
という内容であった。そして、「テープの声は三雲ではない」と報道した、テレビ局のディレクターが、数人、一気に逮捕された。