15/07/21 00:15:09.16 Jbppnn4L0.net
総選挙は二週間後の、四月十四日、日曜日だった。今日は三日である。
亮は塩谷に遺体と対面して、そのあとすぐに、北海道に飛んだ。そして、あの自衛隊員・川崎隆治に面会に行った。
川崎は、非常に喜んだ。
「どうしたんですか! わざわざ来てくれるなんて!」
大はしゃぎだった。亮は、大樹の下に二人で座った。
「川崎くん」
「はい・・・まさか告白じゃないでしょうね。でも、いいですよ!」
亮は可笑しかった。「ははは」と笑い、
「実は、頼みがある」
「はい。いいですよ」
「まだ言ってない・・・頼みとは、夜に相当な距離から、正確に射撃できるように、準備しておいて欲しいんだ」
サッと、川崎の顔色が変わった。何かを悟ったらしい。
「ええ・・・距離は、一〇〇〇メートルまでです。夜間なら。で・・・誰を、撃つんです?」
亮は、凄い形相で睨んだ。
「これは犯罪になる。しかも、死刑だ」
川崎は、ニコ、と、笑った。
「いいですよ。そんなに凄いターゲットなら、光栄です」
「もちろん本当の話だが、実は、まだターゲットは、決めてない。でも、必ず、夜、遠い距離の射撃になる。しかも、チャンスは、一発だけ・・・」
「分りました。その一発に、命を賭けましょう。ターゲットが決まったら、携帯にメールをください」
「すまない・・・できれば、そんな事をしなくて済むように、願っている」
「僕は、神谷さんの役に立てて死ねるなら、いいですよ。遠慮なく」
「ああ」
手を握った。川崎は、若い頬を赤らめていた。