12/02/04 14:45:06.71 UStdFtEk0
東京近郊で行われたレセプションに参加された天皇陛下を乗せて車は皇居に向けて快走していた。
後ろの席から陛下が運転手に声をかけた。
「きみ、悪いけど少し運転を変わってくれないかな?」
「え?陛下、困りますよ」運転手は驚いて言った
「実は私は車の運転が大好きなんだけれど、皇居内でしか走ってはいけないことになっているんだ。
しかし、一度でいいから街中を自分でハンドルを握って走ってみたいんだよ。」
意外なことに、高齢の陛下は車の運転が大好きだったようだ。
「そんなことを仰せられましても・・」
「そんなことを言わずに頼むよ。この通りだから」
運転手がバックミラーで見やると、後部座席の陛下が頭を下げていらっしゃるではないか。
陛下にここまでされては、運転手もこれ以上何も言えなかった。
「陛下、ほんの少しだけですよ。本当にほんの少しだけでお願いしますよ。」
「ありがとう。本当にうれしいよ。きみには絶対に迷惑をかけないから。」
陛下と運転手は席を交代した。そして陛下の運転する車が動き出したのはいいが、
すごい急加速をして国道を疾走し始めた。陛下はかなりのスピード狂のようだ。
と、動き出して5分と経たぬうちに赤い旗を持った警察官に車を止められた。
「スピード超過ね。はい、免許書出して」警察が窓越に声をかけた。
「申し訳ない」謝りながら運転席から出てきた陛下の顔を見て、警察官は真っ青になった。
日ごろ、ニュースや新聞等で見慣れた天皇陛下だったからだ。
警察官はあわてて携帯電話を取り出し、上司へ連絡を入れた。
「大変です。とんでもない大物の車を捕まえてしまいました。どうしたらいいでしょうか?」
「大物?大物って誰のことだ?」
「わかりません。とにかくすごい大物なんです。」
「すごい大物と言われてもわからんだろ。いったい誰のことなんだ?」
「それがわからないんです。でもすごい大物であることは間違いありません」
「誰かわからないのに、なぜすごい大物だってわかるんだ?」
「すごい大物だってことはわかります。なぜなら、天皇陛下が彼の運転手を努めているくらいですから!」