13/11/11 14:50:42.94 発信元:58.3.74.156
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>>755
会田雄次著 『アーロン収容所』
ところがある日、このN兵長がカンカンに怒って帰ってきた。洗濯していたら、
女 (イギリス兵) が自分のズロースをぬいで、これも洗えといってきたのだそうだ。
「ハダカできやがって、ポイとほって行きよるのや」
「ハダカって、まっぱだか。うまいことやりよったな」
「タオルか何かまいてよってがまる見えや。けど、そんなことはどうでもよい。
犬にわたすみたいにムッとだまってほりこみやがって、しかもズロースや」
「そいで洗うたのか」
「洗ったるもんか。はしでつまんで水につけて、そのまま干しといたわ。阿呆があとでタバコくれよった」
はじめてイギリス兵に接したころ、私たちはなんという尊大傲慢な人種だろうとおどろいた。
なぜこのようにむりに威張らなければならないのかと思ったのだが、それは間違いであった。
かれらはむりに威張っているのではない。東洋人に対するかれらの絶対的な優越感は、
まったく自然なもので、努力しているのではない。女兵士が私たちをつかうとき、
足やあごで指図するのも、タバコをあたえるときに床に投げるのも、まったく自然な、
ほんとうに空気を吸うようななだらかなやり方なのである。
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