もしも、CCAアムロが種・種死の世界にいたら57at SHAR
もしも、CCAアムロが種・種死の世界にいたら57 - 暇つぶし2ch700:K
12/08/24 23:00:53.10
第4話

「ウォレス、コロニーの港からの通信はまだか?」
「駄目です、応答ありません。」
「…とにかく通信を続けるんだ。
中に入れなければ状況が分からない。最悪、返答がなければ開口部を突破する。」

ザフト軍は攻撃を止めラー・カイラムの有効射程から離脱していた。
ブライトはヘリオポリス内部の被害状況把握の為に入港を試みていたがヘリオポリスからの通信が途絶えていた。

「…!…通信?オープンで!?」
「…ちら…地…連邦軍……ベル隊…応答…よ……へ入港…る…応答…よ!」
「!!……連邦軍!?…まさか!」

ベアードのブロッサムが高感度センサーによる電波受信機能で通信を捉えた。

「フラガ大尉!!おそらく友軍がヘリオポリスの外にいます!」
「何!?そいつは助かるな!
だがヤツが内部に侵入している!ベアードはさっきの工場区に生存者がいないか確認しろ!」
「了解!」

ムゥは被害が及んだ場所へベアードを向かわせてクルーゼを追う。

「さて…!ラウ・ル・クルーゼ!」
「貴様もGタイプとはな。この辺で消えてくれるとありがたいんだがね、ムゥ!!」

ヘリオポリス内の工場区から外れた場所でムゥとクルーゼは火花を散らす戦いをしていた。
互いに一歩も譲らず互角に近い戦いだった。
しかし、クルーゼはムゥの攻撃を避けながら工場区へ向かっている。

「くそ、逃げ回るだけかヤツは!」
「この辺りのはずだが……ん?
ほう…あれか。」
「ん!?あれはストライク!」

クルーゼはヘリオポリス内部に侵入し、ミゲルのジンを撃墜したストライクに興味を示しており、
その破壊に向かっていたのだった。

「「「うわあぁぁぁ!」」」

ストライクが止まっている先にはキラや友人のサイ、ラミアスがいた。

「目的はストライクだったか!
やらせんぞ!」
「フン!しつこいな。」

ムゥはクルーゼへビームサーベルを右手に止めに入るがクルーゼはシグーの機体を宙に回し同時にネティクスの背中を蹴りネティクスは前のめりに倒れる。
機体性能はシグーを上回るネティクスだが操縦技術の差が次第に現れて来ていた。

701:K
12/08/24 23:02:45.23
「う……何っ!!」
「フッ…今のうちに沈んでもらう!!」

シグーはネティクスが倒れた隙に標的を再びストライクに定め、マシンガンを放つ。

「くっ。」

キラは既に機体へ乗り込みPS装甲を展開し、ストライクを再起動させ、運び込まれたランチャーストライカーパックを装着する。
その時コロニーの開口部が突然爆発を起こす。

「「「!!!」」」

その場にいたキラやラミアス、クルーゼも爆発の場所に目をやる。

「開口部を抜けました!コロニー内部に進入!」
「モルゲンレーテは大破!ストライクとネティクスが起動中!…いや、戦闘中です!」

爆発の中から現れたのは連合軍の新造艦、強襲機動特装艦アークエンジェルだった。
アークエンジェルのブリッジクルーは状況を報告し司令席に座るナタル・バジルール少尉に報告する。

「相手は1機だ!友軍機と連携を取り撃退するぞ!!」

ナタルはクルーに指示を出し、迎撃態勢を取るがクルーゼは直ぐに攻撃目標をアークエンジェルに切り替え、威嚇射撃を行い再びクルーゼは距離を離す。

「!!回避!面舵!」
「くっ。」

ナタルの指示により操舵士、アーノルド・ノイマン曹長は舵を右に切りシグーの攻撃をギリギリで回避する。

「フェイズシフトか…これはどうだ。」

アークエンジェルを攻撃したクルーゼは旋回するとトレーラー付近にいるラミアスやサイ目掛けてAPSV(アンチフェイズシフト)弾を放つ。

「伏せて!!」
「「「うわああああ!!」」」
「!ちっ!?」

シグーの攻撃にとっさに身を伏せるラミアス達にキラが盾となりシグーの攻撃を防ぐ。

「チッ…強化APSV弾でもやはり駄目か!やはりGに関してはシャアの言っていた事は事実か…。」

702:K
12/08/25 00:25:32.89
「ブライト、コロニーの開口部が破壊されている。先に中に入るぞ。」
「分かった。アムロは先行してくれ。
ラー・カイラム全速前進!!
これよりコロニー内部へ入るぞ!」

アムロはヘリオポリスへの入口探していたがアークエンジェルが破壊した開口部を発見し先行する。
ブライトもクルーへ指示を出しヘリオポリス内部へ突入する。


「艦尾ミサイル発射管、7番から10番まで発射準備!
目標、敵モビルスーツ!
レーザー誘導!
いいな!?間違えてもシャフトや地表に当てるなよ!」
「!!!」
「てぇ!」
「チィッ!」

ヘリオポリス内ではアークエンジェルがシグーへ追尾ミサイルを放つ。
横っ面を叩かれたクルーゼだが追尾ミサイルをすんでの所で回避するとコロニー内部へ被弾する。

「やはり戦闘か!
コロニー内部で何をしているあの戦艦は!?」

アムロがヘリオポリス内に到着すると戦闘が行われており、アークエンジェルの攻撃により内部に被害が拡大している。

「じょ、冗談じゃない!!」

キラはこれ以上被害を出さぬ為に装着された320mm超高インパルス砲アグニを構えシグーに
砲塔を向け、ロックオンする。

「!待って!!それは!」

ラミアスは慌てた様子で静止をしようとするがコックピットにいるキラには声が届かずアグニを発射した。

「!?」

ストライクから発射されたアグニはシグーに向かったが、クルーゼは右腕に被弾したがこれを避ける。
アグニの高圧縮されたエネルギーはヘリオポリスの表層を消滅させ大きな穴が空く。

「あ…あああ…。」
「これほどまでの火力、MSに持たせるとは。
やはり我々が少しでもGを侮った結果か…。」

703:K
12/08/25 00:28:38.61
キラは自分が放ったアグニの開けた穴を見て言葉を失う。
クルーゼは連合軍の開発したMSはザフトには無いMSの威力を肌に感じており、シャアの言葉に偽りは無かったと確信していた。

「ん!!?」
「このプレッシャー…肌にまとわり付く感じはニュータイプか!」

クルーゼはアグニによって空いた穴へ向かい離脱を図っていたが、νガンダムと遭遇した。
アムロとクルーゼは互いのプレッシャーを感じていた。
だがクルーゼはここが引き際と判断したのかνガンダムを相手をせずに撤退した。

「あのGのパイロット…あの感覚…気に入らんな。」

クルーゼは言葉とは裏腹に体の中から沸々と湧き上がるものを感じていたのだった。

「敵MS、離脱します。」
「ハァ…着陸する。対地速度合わせ。重力の発生に注意しろよ。」

トノムラの報告に、ようやく戦闘が終わったと感じたナタルは肩を撫で下ろし大きく息を吐き着陸指示を出した。

「クルーゼ隊長機帰還。被弾による損傷あり。消火班、救護班はBデッキへ。」
「隊長機が腕を…」
「装甲冷却開始!」
「(…まさか…でもあいつなら…)」

クルーゼが帰艦したヴェサリウスの格納庫デッキにアナウンスが流れ、ザフトの整備士達は損傷したクルーゼ専用シグーを見て驚いていた。
そのアナウンスを聞いていたアスラン・ザラはキラがやったのかもしれないと感じた。
 
終わり

704:通常の名無しさんの3倍
12/08/25 02:06:11.59
スレチ乙

705:K
12/08/25 08:38:18.66
第5話

「ラミアス大尉!」
「バジルール少尉!」
「御無事で何よりでありました!」
「あなた達こそ、よくアークエンジェルを…おかげで助かったわ。」

アークエンジェルに乗っていたナタル達はラミアスと再開を果たした。
ラミアスは激しい戦闘ゆえに生き残った部下達を労った。
そしてストライクからキラが降りて来た。

ナタル 「!」
「おいおい何だってんだ?子供じゃないか!あのボウズがあれに乗ってたってのか。」

コックピットから降りて来たキラを見たナタルや整備士のコジロー・マードック曹長は少年がストライクを操縦していた事に驚き顔を見合わせた。

「…ラミアス大尉…これは?」
「ああ…」
「へー、こいつは驚いたな。
本日付けでアークエンジェル隊に配属となったムウ・ラ・フラガ大尉、よろしく。」
「同じくアークエンジェル隊に配属になりました、ジャック・ベアード少尉であります。」

ナタルは思わぬ状況にラミアスへ説明を求めたが、ラミアスはキラを横目に困った質問だと感じた。
その時脇で話を聞いていたムゥとベアードがラミアス達の前に出て、敬礼をし挨拶をする。

「第2宙域、第5特務師団所属、マリュー・ラミアス大尉です。」
「同じく、ナタル・バジルール少尉であります。」

ラミアス、ナタル達士官、下士官達はムゥとベアードへ敬礼を返し、挨拶を済ませる。
それと同時にνガンダム、ラー・カイラムがラミアス達のもとに現れる。

706:K
12/08/25 08:39:54.52
「!!」
「あれは…G!?」
「何だなんだ!?」

ラミアスやアークエンジェルクルー達は突如、前に現れたMSとラー・カイラムに驚く。

「ラミアス大尉!安心して下さい今は友軍のはずです。」
「えっ?」
「もしかして戦闘中に外でザフトと戦ってたっていうのは…こいつらか?」

ベアードは動揺するラミアス達を落ち着かせるように言うと。
ムゥは戦闘中にベアードが言っていた友軍だと気付き確認する。

「はい。おそらくは僕のような転移者だと思います。」
「!?転移者…って、待って…あなたまで…?」
「はい。多分彼らは向こうの世界の地球軍です。詳しい説明は彼らが降りてから話します。」

その場に居合わせた全員が初めて見る転移者に緊張の面持ちでいた。
そしてラー・カイラムからブライトとメラン、ウォレス、シーサーが出てきた。
同時にνガンダムのコックピットが開きアムロも出てきた。



ラミアス達はこちらへ歩いて来るアムロやブライト達を待つがベアードが敬礼をすると続くようにムゥやラミアス達も敬礼をする。

そしてブライト達も見知らぬ軍服やノーマルスーツを着たラミアス達に向かい敬礼をし、挨拶する

「地球連邦軍外郭新興部隊ロンド・ベル、ラー・カイラム艦長ブライト・ノア大佐だ。こちらは副官のメラン少佐だ。」
「MS部隊隊長アムロ・レイ大尉だ。」

707:K
12/08/25 08:41:03.49
ブライト達は挨拶を済ますとラミアス達も敬礼をし挨拶する。

「……地球連合軍?聞いた事がない名前だが…?」
「え?は、はい。」
「それに見た事も無い戦艦とMSだが…新型か?…それとここの指揮官とパイロットは?」

ラミアスは転移者であっても大佐という階級を聞いて少し緊張していた。
しかし、ラミアスだけではなくムゥやナタル達士官も同様、緊張していた。

「……ブライト大佐。私からですが、失礼致します。
艦長以下艦の主立った士官は皆、戦死されました。
よって今は、ラミアス大尉かフラガ大尉がその任にあると思いますが。」
「…!?」

ブライトの質問に答えたのはナタルだった。
アークエンジェルの現状を報告し、それを聞いたラミアスは絶句する。

「無事だったのは艦にいた下士官と、十数名のみです。
私はシャフトの中で運良く難を。」
「艦長が…そんな…」

ナタルが報告を続けるとラミアスは最悪の状況になっている事に気付き、顔を下に向ける。

「…そうか、大変だったな。あの艦の現状は分かった…。」
「で、あのMSパイロットは?フラガ大尉とベアード少尉は分かるがもう1人いるんじゃないのか?」

ブライトがラミアス達の置かれた現状を見ていると昔の事をふと思い出しているようだった。
そしてアムロはノーマルスーツを着たパイロットが1人足りない事に疑問を持っていた。

708:K
12/08/25 08:43:37.51
「…御覧の通り、民間人の少年です。
襲撃を受けた時、何故か工場区に居て…
私がGに乗せました。キラ・ヤマトと言います。」
「ふーん。…で?」

ラミアスはアムロの質問にどこか歯切れの悪い返答だった。
その返答にムゥは反応を示し、ラミアスは少しバツの悪そうな表情を浮かべ話を続ける。

「…っ…彼のおかげで、先にもジン1機を撃退し、あれだけは守ることができました。」
「ジンを撃退した!?」
「「「!!?」」」
「あの少年が!?」

ラミアスの言葉にその場にいる全員が驚き、ブライトとアムロは互いに顔を見る。
そしてムゥがおもむろにキラに歩み寄りキラへ話かける。

「な、なんですか?」

近づいて来たムゥにキラは少し警戒したような表情で問いかける。

「君、コーディネイターだろ。」
「「「!!!」」」

ムゥの予想外の言葉に一気にその場に緊張が走る。
そしてキラ少し間を置いて顔を上げ答える。

「……はい。」


709:K
12/08/25 08:44:47.65
~ヘリオポリス周辺宙域~
ヴェサリウス内

「ミゲルやバーチ達がデータを持って帰ってくれて助かったよ。
でなければ、いくら言い訳したところで、地球軍のモビルスーツ達相手に機体を損ねた私は、大笑いされていたかもしれん。
オリジナルのOSについては、君らも既に知っての通りだ。
なのに何故!この機体だけがこんなに動けるのかは分からん。
だが我々がこんなものをこのまま残し、放っておく訳にはいかんと言うことは、はっきりしている。
捕獲できぬとなれば、今ここで破壊する。
戦艦もな…。侮らずにかかれよ。」
「「「は!」」」
「ミゲル、オロールは直ちに出撃準備!D装備の許可が出ている。
今度こそ完全に息の根を止めてやれ!」
「「はい!!」」

クルーゼ隊は再び行う戦闘の為に態勢を整えていた。
クルーゼはムゥのネティクスを追い詰めたがストライクによって機体を損傷させられた上に他のストライクを含む3機ものGを逃したとあってはクルーゼ自身、立場が無くなる可能性もあった。
ヴェサリウスの艦長アデスはミゲルやザフト兵へ次の命令を出し、ミゲルらの目は並々ならぬ決意の目をしていた。


710:通常の名無しさんの3倍
12/08/25 09:51:35.14
お、投下来たか?

支援砲撃、てーっ!!!

711:K
12/08/25 09:55:08.51
~ヘリオポリス~

「な、なんなんだよそれは!」
「トール…」
「コーディネイターでもキラは敵じゃねぇよ!さっきの見てなかったのか!
どういう頭してんだよ、お前らは!」

キラがコーディネイターである事を知ると警備兵達がキラ達を取り囲み銃を構える。
同じゼミのトール・ケーニヒは差別によって銃を突き付けられているキラを必死に守ろうと声を荒げた。

「ラミアス大尉…。軍人が民間人に銃を向けるとはどういう事だ?」
「……アムロ、よすんだ。
ラミアス大尉とりあえず話をするのが先決だろう…とりあえず引かせるんだ。」
「そうですね…銃を下ろしなさい。」

アムロは民間人に銃を向ける光景に眉を細め、ラミアスやナタル達に詰め寄る。
ブライトがアムロを制止しラミアスに進言しラミアスは警備兵に銃を下ろさせる。

「ラミアス大尉、これは一体…」
「そう驚くこともないでしょう?ヘリオポリスは中立国のコロニーですもの。
戦渦に巻き込まれるのが嫌で、ここに移ったコーディネイターが居たとしても不思議じゃないわ。
違う?キラ君。」
「ええ、まぁ…僕は一世代目のコーディネイターですから。」

712:K
12/08/25 09:58:12.30
ナタルがラミアスに説明を求めるとラミアスは自分なりの見解を示し、キラに確認する。
オーブ首長連合王国には戦渦に巻き込まれぬようにナチュラルやコーディネイターの亡命を受け入れている国だった。
キラのように両親がナチュラルだったりハーフコーディネイターの多くはオーブへ移住している。

「そうか…両親はナチュラルってことか。…いや、悪かったなぁ。とんだ騒ぎにしちまって。
俺はただ聞きたかっただけなんだよね。」
「フラガ大尉…」

ムゥは軽い気持ちで聞いた事が騒ぎになった事をキラに謝る。
そしてそれを見ていたブライト達が問いかける。

「すまないが、先程から言っているナチュラルやコーディネイターとはなんだ?」
「ああ…説明してくれるとありがたいんだが。」
「あっ!?し、失礼しました!
では説明しますので、あちらのテントで話しましょう。
ベアード少尉?立ち会ってくれるかしら?」
「了解しました。白い流星と伝説の指揮官にお目にかかれるとは光栄ですから。」

アムロやブライト達が話の流れを読めない為、ラミアスに聞くが
ラミアスは先程の騒ぎからアムロ達が転移者である事を忘れていた。
説明が曖昧にならぬよう同じ転移者であるベアードに立会いをしてもらいアムロ達と共にテントへ移動しラミアスは説明をした。

713:K
12/08/25 10:04:53.99
~ヴェサリウス内~

「D装備だってよ。」
「要塞攻略戦でもやるつもりなのか?クルーゼ隊長は。」
「でも、そんなことしてヘリオポリスは…」

ヘリオポリス、モルゲンレーテ社の工場からGの強奪に成功した若き赤服兵士、イザーク・ジュール、ディアッカ・エルスマン、ニコル・アマルフィは艦内の休憩所で忙しないドッグを眺めながら話をしていた。

「しょうがないんじゃない?」
「自業自得です。中立とか言っといてさ。」

ニコル・アマルフィは拠点制圧用のD型装備を始めるジンを見て、ヘリオポリスの崩壊を懸念したが、ディアッカやイザークは気にも止めない様子だった。

「お?こりゃご苦労さん。
若き赤の英雄殿じゃない。お前達は任務成功したそうだな。」
「ライデン少佐。ありがとうございます。
大変でしたね…ご無事で何よりでした。」

イザーク達の元にジョニー・ライデンが訪れ、イザークらを労うと
ニコルは敬礼をしジョニーと言葉を交わす。

「これは紅い稲妻殿、新型を撃退されながらも生きているとは流石ですね。」
「イザーク…!!」

イザークとディアッカはジョニー・ライデンが転移した際にジョニーと交戦しており、2人は撃退の憂き目に会いナチュラルであるジョニーに対してライバル視していた。
イザークがジョニーに対して皮肉を言うと、ニコルが宥める。

「ははは。気にするなニコル・アマルフィ。
まあ相手が悪かったってのもあるが、痛い所を突くな。」
「ふん…ザフトの『黒服』でもナチュラルは所詮ナチュラルという事ですかね。」

ジョニーはイザーク達の皮肉にも意を介さず、笑って話を進める。

「お前さん達はまだ若いが時には引き際も大事だ、それも一つの兵法みたいなもんさ。
でなきゃあの時のように死ぬ寸前まで追い詰められる。事は急ぐなよ?」
「……。」
「はい!ありがとうございます。」

ジョニーの話にはイザーク達は黙って話を聞くだけだったが、ニコルは敬礼をし返事をしていた。


714:K
12/08/25 10:06:00.16
第5話

終わり

疲れました。

715:通常の名無しさんの3倍
12/08/25 10:18:42.44
>>714連日投下乙~
ストックの数からいって本当にプロット練りと構想期間長かったのね

716: 忍法帖【Lv=15,xxxPT】
12/08/25 11:25:07.37
乙。
AA格納庫内の会話でロンドベルがおざなりになってた(最後にフォロー入れてたけどね)のが気になったけど、
全体を通して面白かったよ。

マーカスとかベアードとかって元ネタあるんだっけ?
一瞬GoWかと思ったわ

717:通常の名無しさんの3倍
12/08/25 11:57:07.28
ベアードは元々は富士急のイベントででてきたキャラでエコールにも出てきてるな

718:K
12/08/25 12:01:48.44
>>715
とりあえず長かったです。
未だに転移者キャラの人間味を出すのが難しいですがw
シナリオを原作をなるべく崩さないで考えてますがうまく行かないです。

>>716
そこは頭がパンク寸前だったのでフォロー入れる形にしました
やはりそういう所は自分で書いておきながら端折るべきではないと思います。

マーカスは適当ですw
ジャック・ベアードはガンダム・ザ・ライドです。

719:K
12/08/25 12:55:05.45
第6話

「なんて事だ…。」
「ただ飛ばされただけじゃなく、異世界とはな…。」
「…。」

アムロ達ラー・カイラムの面々はラミアスやベアードから詳細な情報を聞かされた。
転移した先が同じ人間が地球やコロニーで暮らす世界で戦争が行われていて尚且つ異世界という現実。
アムロ達は似たような世界、いわゆるパラレルワールドに来たような感覚だが、ラミアス達にとってはこれが現実の世界なのだ。

「ブライト大佐…先程はお見苦しい所を見せ申し訳ありませんでした。」
「いや、良いんだラミアス大尉。
事情は分かった…今の情勢では仕方のない流れだったのだろう。」
「俺からも言わせてくれ。
大尉、さっきはすまない…少し威圧的な態度だった。」

互いは先程のいざこざを詫び、さらに詳しい情報やアムロ達の世界の話をしていた。

「へぇ、レイ大尉もあの坊主のように訓練も無しにMSに乗って、敵を撃破したのか。」
「ああ、今となっては懐かしい思い出だがキラ君を見て、あの時の事が鮮明に蘇るよ。」

ムゥはアムロ達の話や一年戦争の話に興味を持ち質問の嵐だった。
アムロ達は互いを理解する為にいくら質問をされても嫌な顔をせずに話ていた。

「しっかし、レイ大尉もそうだがブライト大佐も凄いな…緊急事態だったとはいえ19歳で一隻の艦を任されて最後まで戦い抜くなんて。」
「フラガ大尉、だからさっきから言ってるじゃありませんか。
大尉達は凄い人達だって。」
「まあな。ナチュラルなのにMSを動かせるお前を見た時以上に驚いたぜ。」
「ラミアス艦長や俺も形無しだなこりゃ。」
「ふふ。そうですね。」

ムゥやラミアス達が話をしているとアークエンジェルのクルーから報告が届き談笑していたラミアスの顔が曇る。

720:K
12/08/25 13:00:32.62
「どうした?大尉?」
「はぁー…。コロニー内の避難はほぼ100%完了しているということですが、さっきので警報レベルは9に上がったそうです。」
「?てことはシェルターは、完全にロックされちまったって訳か。
あー、けどそれじゃぁ、あのガキどもはどうすんだ?」

ラミアスの表情を見て、ブライト達は報告の内容を聞き、ムゥはラミアスの表情が曇った理由に気付きキラやサイ達の今後についての話になる。

「え?」
「もう、どっか探して放り込むって訳にも、いかないじゃないの。」
「彼らは、軍の機密を見たため、ラミアス大尉が拘束されたのです。このまま解放するわけには…。」
「じゃぁ、今だって荷の積み込みだの手伝わせてるのに脱出にも付き合ってもらうってのか?
ここを出てきゃ、ド派手な戦闘になるぞ?」

ナタルはムゥに言葉の意味を聞きムゥが説明するが、軍人肌の女性であるナタルは解放には反対しているようだった。
しかし、ムゥの懸念は機密云々よりも子供達を危機に晒す事が重大だと感じていた。

「…子供達の問題もあるし…大佐は…これからどうするおつもりですか?」
「いや…分からんな。
クルー達とも話をせねばならんが、こんな戦艦やMSが下手に動く訳にもいかないだろう?」

ラミアスはキラ達の処遇を考えと同時にブライトへ今後、どうするかを問うがまだ迷っているようだった。

「…しかし、艦長…この状態ではいつかは物資も底を尽きます。
かといってこのコロニーに留まる事になれば危険にさらされます。」
「そうだな…ザフトは俺たちを敵とみなして攻撃をしてきた。
それに運の悪い事に、さっきの戦闘でジオン兵と交戦した。
ライデンとか言う兵士の言い方を考えればシャアがザフト側についている事は間違いなさそうだ。」

メランとアムロは考えるブライトへ進言する。
そしてラミアスが一つの提案をするのであった。

721:K
12/08/25 13:02:11.35
「では、私から提案があるのですが?」
「提案?」
「はい。ブライト大佐には我々アークエンジェルの護衛をお願い出来ないでしょうか?」
「艦長!!お言葉ですが、転移者に関する扱いは必ず軍の承認が必要です!それを許可無しに軍事利用する事は軍規に反します!」

ラミアスの提案にナタルがいち早く反応する。

「ナタル少尉、落ち着いて。
表向きは我々が大佐達を保護しているとすれば良いはず。
その後はハルバートン提督の艦隊に合流し、引き継げば問題無いはずよ?
ましてやザフト側にはジオンという、ブライト大佐達のかつての敵対勢力もいると分かったのですから。
少ないながらも敵の情報を持つ重要な方達よ?」
「…しかし…」
「俺は良い考えだと思うけどな。
話を聞いてる限りじゃ、あちらの世界じゃブライト大佐やレイ大尉は最強の艦長とパイロットみたいだしな。そうだろ、ベアード?」
「それどころか、生きる伝説みたいな方達ですよ。」

ナタルに宥めるように説明するラミアスだが、ナタルは少し納得がいかないようだったがムゥは乗り気であり、転移者であるベアードはむしろ共に行動する事を望み楽しみにしていた。

「…ラミアス大尉。それは我々が連合軍に協力する前提の話になっているようだが?」
「はい…失礼とご無理は承知での提案です。
しかしこれは大佐達の艦を守る事にも繋がるかと思います。」
「……。」

提案に対してブライトはラミアスへ質問するが、ラミアスは毅然とした態度で話を進め、ブライトは考え出すがあと一押しという空気が流れていた。

「はははっ。ブライト、どうやら彼女が一枚上手みたいだ。
アークエンジェルのクルーは下士官ばかりだ。
それに俺達の昔の境遇とどこか似ているんだ…悩んでいても放ってはおけないんじゃないか?」
「ああ……そうだな。分かった、ラミアス大尉。目的地まで君達に協力しよう。」

アムロの援護射撃により、考えは固まったブライトはラミアスに協力を受諾した。

「先程のキラ君達の件については我々がいるから安心してくれ。
子供を戦いに参加させたくはないしな。」
「大佐……ありがとうございます。」

ラミアスはほっとした表情で敬礼をした。
こうしてアークエンジェルとラー・カイラムの運命の戦いが始まるのであった。

722:K
12/08/25 13:04:14.61
第6話

終わり

ペースが早いので駄文は勘弁して下さい。
そういえばこれタイトルが決まって無いですねw

723: 忍法帖【Lv=15,xxxPT】
12/08/25 13:17:45.56
おつかれさん。楽しかったよ。
>>716の事は気にしないでくれ。
俺も書いた事あったが、同じような事で悩んだ事あったしな。
しかもちゃんとフォローしてるし。無問題さ。

724:K
12/08/25 17:04:00.11
第7話

アークエンジェルとラー・カイラムは地球連合大西洋連邦月基地へ向かう為、物資の積み込み作業にクルー達は動いていた。
その中でアークエンジェルのムゥやメカニックのコジロー・マードック曹長がアムロのνガンダムやラー・カイラムに興味を示しアムロに連れられてラー・カイラムのドッグに来ていた。

「へぇ~…こりゃ凄い。このフィン・ファンネルっていう兵器は脳波で動くとはねぇ。」
「ああ、ただこれはロンド・ベルの中でも俺だけしか使えない兵器だがな。」
「やっぱり、あっちの技術は先を行ってるなあ。」

ムゥがサイコミュ兵器に興味を示しアムロが説明するとマードックは関心した表情だった。

「なあレイ大尉、良かったらコックピットの中も見せてくれないか?」
「ああ、構わないさ。
それとその呼び方は慣れないな。アムロと呼んでくれ。マードック曹長もそうしてくれないか?」
「分かった。よろしく、アムロ。俺もムゥでいいぜ。」
「了解です。アムロ大尉。
俺も曹長なんて呼ばなくていいですよ。堅苦しくてたまんねぇや。」
「ああ、そうさせて貰うよ。」

νガンダムのコックピットの中を見て、ムゥとマードックはとにかく驚いていた。
ストライクのナチュラルに合わせた物とは異なる構造。
何よりもGシリーズを上回るエネルギーゲイン。
どれを取っても他の追随を許さない高性能機であった。

「はぁ~…これが全天周囲モニターか。確かフラガ大尉やベアード少尉のMSには搭載されてましたよね?」
「そうだ。ベアードや俺の機体のモニターと比べると格段に向上してるぜ…ネティクスを使って分かったが空間を上手く掴む事が出来ないと適応は難しい代物だぜこいつは。」

アムロがマードックとムゥの話を聞いていて、ムゥの言うことはまさしくその通りだと思っていた。

「…つ…っ!!!!」
「…?どうしたムゥ?」
「い、いや…何でもない。さっきの戦闘で頭を打ったから少し頭痛がな。」
「……とりあえず降りよう…。」


725:K
12/08/25 17:11:02.06
「…何だ?話ってのは?」
「…ムゥ…νガンダムの中で何が見えた?」
「…!!」

ムゥはアムロの突然の質問に驚いていた。
ムゥは一瞬なぜアムロはこんな事を聞くのか戸惑っていた。

「ムゥ、君はネティクスを使えるんだ…。時々感が冴えたりしないか?」
「感…ね。それは俺の専売特許みたいなもんだぜ?アムロにまでそれがあるんじゃホントに形無しだよ。」
「……。」
「分かったよ。見えたよ。
しかも髭のMS、虹色に光るデカい羽根も見えた、あれは…幻覚じゃないな…リアルな光景でそいつの後ろに地球が見えた。」
「やはり…ムゥはニュータイプの素質があるみたいだ。」

アムロは直感的にコックピットにいたムゥの反応を見て気付いていた。
ムゥは信じ難い映像が頭に浮かんだ事実が自身がアムロの持つニュータイプと同様の物だと認識した。

「ムゥ。ニュータイプは戦争の道具に使われてはいけないんだ。
だが、どうあれ自分の運命を受け入れる精神力や運命を変える意思がなければいつか精神が崩壊してしまう可能性がある。
だから何があっても気を強く持って欲しい。」
「…アムロ…そういうヤツを知っているのか?」
「ああ……キラと同じくらいの少年だった。
彼は俺やキラと同じようにいきなりMSに乗る事になってな…最後は増大するニュータイプ力と思念の波に押し潰された…。
だからキラには戦争に参加させて欲しくないというのもある。」
「そうか……分かったよ。
俺は自分がニュータイプだろうが人間だ。そんな思念の波だろうが打ち消してやるさ。」

アムロはムゥの言葉を聞き、少し心配し過ぎていたように感じた。

おそらくこの男の強い精神力こそがこれまで劣勢に立たされて来た連合軍で生き抜き、戦い抜いてこれた照明なのだと。

726:K
12/08/25 17:13:52.35
>>725

書き込みミスです。

最初の行の場面でマードックに先にAAに帰らせてあります。

第7話
短いですが終わりです。

727:通常の名無しさんの3倍
12/08/25 20:00:32.63
>> K氏
投下乙ですよ
トリつけた方がいいんじゃないかな

倉庫に入れた方が追加する?
作品タイトルがあるならお願いします

なければ「K氏CCA-Seed○話」みたいになると思う

728:727
12/08/25 20:01:16.70
>倉庫に入れた方が追加する?
倉庫に追加する?
だね、失礼

729:通常の名無しさんの3倍
12/08/25 20:24:03.96
>>726
投下乙。
俺も騙り防止の観点からトリップ付ける事を推奨しますわ。

トリップの付け方は名前欄に#と適当な英数字を入れるだけなんで。

730: ◆wjA9YKZn62
12/08/26 03:59:20.99
皆様ありがとうございます。

トリップ付けてみます。
さて…次の流れだとヘリオポリスでまた戦闘ですが
自分としてはさらに苦手な描写になりますのでペースはかなり落ちますw
一通り読んでみたら雑になって来てるんで危ないですね…
もう少し凝った展開と丁寧な描写、文脈を改善したいかと思います。

731: ◆wjA9YKZn62
12/08/27 07:57:33.36
第8話

「では作戦開始だな…。」
「クルーゼ隊長、6時の方向から熱源、…?これはシャア大佐の部隊の巡洋艦ムサカです。」
「何?…増援要請などしていないが。」
「通信入ります。」

クルーゼ隊は突入を開始する直前にネオ・ジオンの巡洋艦ムサカが現れた。
クルーゼは今作戦においてヴェサリウス、ガモフの両艦での作戦にあたっていたが突然の友軍の増援は以外だった。

「こちらシャア・アズナブル部隊所属ムサカのグラム・ロック隊であります。
クルーゼ隊長、シャア大佐の要請により協力する為参りました。状況はいかがでしょうか?」

シャアはこの展開を予測していたのかクルーゼの増援に向かわせていた。
ザフトの黒服、グラム・ロックはザフトでも指折りのパイロットであり、ザフトの兵力編成でシャアの下に配属となった。
シャアはアクシズに残っていたデータベースを復旧させ地球寒冷化作戦までに間に合わなかった数々のMSの開発に手を伸ばしていた。

シャアの気遣いにクルーゼとしてはありがたい事と感じてはいたが、作戦が失敗する前提の手配に少し不快感を示しているようだったが、アデスを除き周りはそれを悟る事はなかったようだ。

「ふむ……。」
「…グラム隊長。
見ての通り我々がまだここにいるという事は作戦は失敗だ。
連合軍は強襲用の新造艦まで造っていた。
それにあちらの世界のG2機と連合製のGが1機、ヘリオポリス内に篭城している。」
「了解した。では新造艦と3機のMSをどうすれば?」
「グラム、タイミングの悪い事に奴らにはシャア大佐の敵対勢力であるロンド・ベルという部隊の転移者が協力している…戦艦1隻とGが1機だ。
ライデンからの報告では…アムロ・レイといったか…そいつらがいるそうだ。」

クルーゼに代わりアデスが現状報告をし、グラムがさらに次の作戦目的を聞くがクルーゼの口から出た報告にグラムは驚く。

732: ◆wjA9YKZn62
12/08/27 08:00:44.83
「なんと…転移者がいるとは厄介ですね。ではどうしますか?」
「やはりライデンの話を聞く限りアムロ・レイという男はの知れた男らしく、腕も立つそうだ。
……MSを五体満足で捕獲となると難しいだろうな。」
「では破壊…という事で?」
「そうなるな。惜しい事かもしれんがついでに転移者の戦闘データを取るくらいも出来るだろう。」

クルーゼとしては破壊しないに越した事は無いと感じたが、アムロに感じた妙な感覚とストライクの戦闘データを見ていた為に考え出した苦肉の索だった。

「では陣容は整った。
これよりヘリオポリスへ再突入する、ストライクもそうだが問題はアムロ・レイだ。
なんとしても打ってくれたまえ。」
「「「は!!!」」」

クルーゼの命令を合図に次々とMSが発進する。

「オロール機出ました。」
「続いてミゲル機出ます。」

ヴェサリウスのオペレーターが報告を済ませる中、ガモフからもジンが3機発進した。

「私も出るぞ。新型ザクの調整は済んでいるか?」
「はい。状態は安定しております。」

グラムは発進の為にムサカのブリッジを後にし、カタパルトデッキへ向かった。

「ミゲル発進準備完了。」
「ハッチ閉鎖…うおっ!?」
「なんだおい!」
「これも出るのか?!」
「聞いてないぞ!」

カタパルトデッキはオロールとミゲルの発進を終えると閉鎖を開始したが、同時にヘリオポリスから奪取したG「イージス」が発進して行く。

「なにっ!?アスラン・ザラが奪取した機体でだと!?呼び戻せ!すぐに帰還命令を!」
「フッ…行かせてやれ。」
「は?」
「データの吸い出しは終わっている。
かえって面白いかもしれん。
地球軍のモビルスーツ同士の戦いというのも。」

整備士からブリッジへ報告が渡るとアデスが声を荒げ帰還命令を出すように指示を送るがクルーゼが不敵な笑みを浮かべ、アデスを止めた。

「(キラ…!…)」



733: ◆wjA9YKZn62
12/08/27 08:03:04.30
「コロニー全域に電波干渉。Nジャマー、数値増大!」
「なんだと!?」
「チィ!やっぱこっちが出てくまで、待つ気はないか、あの野郎~…。」

アークエンジェルのブリッジクルー、ローラ・チャンドラⅡ世が報告するとブリッジが騒然とし、ムゥはクルーゼのしつこさに気付いていながらも、苛立っていた。
ラミアスはラー・カイラムへ回線を繋ぐ。

「ブライト大佐、ザフト軍が仕掛けて来たようです。」
ブライト  「またコロニー内で仕掛けてくるつもりか?ちっ…まずいな…。」
「ええ、さすが大佐はお分かりですね…相手からしたら楽です。
これではこっちは発砲できない、向こうは撃ち放題って訳です。」

ブライトは報告を受けるとムゥがぼやく。

「…ラミアス大尉、コロニー内は危険だ。我々も発進し宇宙空間へ脱出すべきだ。」
「はい。これ以上はまずいですね…。」

ブライトはラミアスへ進言したがそれはラミアスも分かっている様子だった。
ブライトは余計な世話だったかと考えたが、両艦長の考えが共有化されている事はむしろ作戦行動はスムーズになるとも考えていた。

「では我々はヘリオポリス脱出を最優先としますが宜しいでしょうか?」
「そうだ大尉。それが賢明な判断だな。」
「ではフラガ大尉、ベアード少尉はビームサーベルのみでの戦闘を。発砲は厳禁です。決してコロニーを傷つけないように。」
「んな無茶な…。」

ラミアスの判断や指示にブライトは関心したが、アークエンジェルクルーのジャッキー・トノムラは
かなり弱気になっていた。

「ラミアス艦長!発進準備OKですぜ!?」
「接近する熱源1!熱紋パターン、ジンです!」
「な、あれは!?艦長!あれは拠点攻撃用の重爆撃装備です!!ザフトはここであんなものを使う気です!」
「くっ!!なんて事!」

D型装備のジンをアークエンジェルのモニターに映し出し、ナタルが驚愕し、ラミアスの顔は歪む。

「タンネンパウム地区から更に別働隊が侵入!!照合パターンに無い機体が8、これは…!最後の1機はX-303・イージスです!」
「なにっ!?」

アスラン・ザラはG強奪の際にモルゲンレーテの工場で親友のキラ・ヤマトと遭遇し、先程の戦闘でミゲルを撃退したストライクのパイロットはキラだと確信しており、もう一度確かめる為の強行出撃だった。

734:通常の名無しさんの3倍
12/08/27 08:08:15.04
支援


735: ◆wjA9YKZn62
12/08/27 08:17:47.30
「くっ!もう投入するなんて!!ネティクス、ブロッサム!!発進して!!」
「慌てるな艦長、今は敵だ!ベアード!聞いての通りだ!奴ら増援部隊までいやがるらしい!覚悟を決めるぞ!?お前はさんはアークエンジェルを守りながら戦ってくれ!別働隊の相手は任せろ!」
「はい!隊長!!大天使をジャック・ザ・ハロウィンが守って見せます!」

ムゥとベアードは互いに気合を入れるとアークエンジェルの左右のカタパルトからネティクスとブロッサムが出撃した。

「アムロ、ベアード少尉はアークエンジェルの守備に回りフラガ大尉は別働隊の方へ向かっているようだが数が数だ。大尉の援護に行くんだ。
それと聞いていたっは思うがコロニー内ではこちらは射撃できん、接近戦に持ち込んでくれ。」
「了解した。だがもしもの時は射撃許可を頼む。」
「ああ。その場合はやむを得んな…それは最悪のケース場合のみだ。頼んだぞ?」
「了解。よしっ!アムロ、νガンダム行きまーす!!」

ヘリオポリス内でこれ以上の射撃戦闘を行えば間違いなくコロニー崩壊の危機に晒される。
この戦闘ではとにかくアムロの乗るνガンダムの機体性能と操縦技術がブライトにとっては頼みの綱だった。

736: ◆wjA9YKZn62
12/08/27 08:21:27.97
「コリントス、発射準備。レーザー誘導、厳に!」
「ナタル、フェイズシフトに実体弾は効かないわ!
主砲、レーザー連動。焦点拡散!」

アークエンジェルは挟撃のような形で進軍してくるザフトのMSに対して迎撃態勢を敷く。

「オロールとマシューは戦艦を!アスラン!無理矢理付いてきた根性、見せてもらうぞ!」
「ああ。…(ストライクがいない…!?という事はキラは!?)」

ミゲルの指示により各MSは散開し、アークエンジェル達へ向かって行く。
アスランはアークエンジェルとラー・カイラムから出撃したMSを見てキラがいない事に気付いた。

「あれがアムロ・レイのMSか。
あとの2機は逃したGか?
ストライクとやらはどれだ?
1機少ないようだが。
まあいい…シャア大佐から譲り受けた新型MSザクの力を見せてやる。ギラ・ドーガ隊、続け!」
「「了解!!」」

シャアはグラム・ロック隊へネオ・ジオン整MSを配備していた。
アクシズに残っていたデータベースを用いて地球寒冷化作戦までに開発が間に合わなかったMSの開発に着手し既に開発、実戦投入に成功していた。

「艦長!増援部隊、ネオ・ジオンの照合と一致!3機程がギラ・ドーガでジン同様に重装備型です!他もネオ・ジオンと思われますが照合パターンありません!」
「何?…間違いなくシャアが一枚噛んでいるな…。
総員!敵部隊はザフトとネオ・ジオンの混成部隊だ!なんとしてでも我々を落とすつもりらしい!!
各員集中しろ!!」
「「了解!」」

これからザフト、ネオ・ジオン連合といえる部隊との激しい戦闘、そしてアークエンジェルとラー・カイラムのヘリオポリス脱出作戦が始まるのだった。

737: ◆wjA9YKZn62
12/08/27 08:28:06.20
第8話

終わりです。

グラム・ロックはオリジナルなので妄想でお願いします。
ザクはⅢ後期型ですが本当はダブルフェイクのシナリオは
地球寒冷化作戦まで繋がる話なのでダブルフェイクキャラを
登場させたかったのですが(ダニーとロウ・ギュールのジャンク屋繋がりで…)
登場人物の性格などが分からないので見送りました。

738:通常の名無しさんの3倍
12/08/27 12:39:47.58
ダブルフェイクは登場人物の名前を並べられるとデスクリムゾンを思い出させてくれる

739: ◆wjA9YKZn62
12/08/28 14:37:27.63
第9話

「おい!あっちのモニターで外の様子が見えるぞ!」
「ーー!?」

アークエンジェル内で避難していたキラ、サイ達カトーゼミの面々は設置されていたモニターで戦闘の様子を見る。
キラも一緒にモニターに目をやるとその場所にはモルゲンレーテの工場で奪われたイージスの姿もあった。

「…(アスラン…)。」

キラはアスランがザフトの兵士として地球軍と戦っている事に動揺していた。

「足付き!!くらえ!」
「させない!」

ミゲルの乗るジンはM69バルルス改・特火重粒子砲をアークエンジェルへ発射する。
しかし、アークエンジェルに付いたベアードのブロッサムはビームライフルで対抗しエネルギーはぶつかり合い大きな爆煙が舞う。

「やらせない!」
「フン!そうら!!」

ミゲル機はブロッサムが接近戦に持ち込めない距離を保ち重粒子砲を放ち続ける。

「くっ!!艦長!距離を取られ過ぎてなかなか接近戦に持ち込めないです!他のザフト兵とは動きが違いますよ!
これじゃイタチごっこみたいなモンです!」
「くっ!!」

ベアードはミゲル機と戦闘が硬直した状況に苛立ちを隠さない。
ラミアスもジリ貧になるとは考えていたもののこれではマズイと感じていた。

「アークエンジェルだけでも牽制射撃をすべきじゃないですか!?」
「…分かったわ!ナタル少尉!!牽制射撃を行います!相手の動きが止まった所でゴッドフリートで援護射撃を!絶対に外さないで!!」
「はっ!!」

ラミアスはベアードの意見を飲み牽制射撃の指示を送る。

740: ◆wjA9YKZn62
12/08/28 14:38:39.81
~アークエンジェル内~

「あ、おい!!キラ!どこ行くんだよ!?」
「ーーーくそ!」

キラはトールやサイと共にモニターで外の様子を見ていて、このままではアークエンジェルに危機が及ぶと感じ、本能的に足はデッキへと向かっていた。

一方、別働隊のオロール、グラム隊は横に前衛部隊を配置しながら進軍し、後続には新型MSズサ・カスタム2機がラー・カイラムへ向けて展開して行く。

「オロール!!俺はミゲルの援護に向かう!」
「了解!2機は任せておけ!」
「アスラン・ザラ!油断するなよ!?」
「はい!!」

アスランはミゲルの援護に向かい、オロールとグラム隊から離れて行く。

「オロール!こちらは一気に片付けるぞ!!一斉射撃だ!」
「了解ですグラム隊長!」

グラムの指示によりグラム機は中央その横にオロールのジン、ギラ・ドーガ重装型3機が並びνガンダムとネティクスへ一斉にミサイルを発射。
グラムのザクⅢ後期型はバスーカを放つ。

「ムゥ!ミサイルを撃ち落とすぞ!!オールレンジ攻撃だ!」
「了解!射撃はこういう使い方しかできんな!!」

アムロの合図にムゥは呼応し、νガンダムからはフィン・ファンネルが射出され、ネティクスは有線式ビームランチャーが射出され
ミサイルの雨を撃ち落とし誘爆によりミサイルは次々と消滅する。

「しゃあ!」
「このまま爆煙に紛れて距離を縮める!」
「了解だ!!」

ザフトの攻撃にアムロとムゥは自分達の能力を活かした戦い方で対応する。

「なんだあの兵器!!ーーーどこへいった!?」
「!?」
「……いかん!?馬鹿者!散開しろ!!」

オロールはサイコミュ兵器による迎撃に驚いていた。
オロールとザフト兵達は目の前にミサイルの爆発で広がる煙によりνガンダムとネティクスを見失う。
グラムは危険を察知し、後ろに下がりながら各機へ散開するよう指示を送ったが一瞬遅かった。


741: ◆wjA9YKZn62
12/08/28 14:39:34.37
「落ちろ!」
「うおりゃあ!」

「な!?ぐああああああ」
「うおわあああ」

アムロとムゥは左右に展開し横に並ぶギラ・ドーガ重装型2機をビームサーベルでコックピットごと真っ二つにし撃破する。
近くのオロール機とギラ・ドーガ重装型の目の前で爆発が起きると再びνガンダムとネティクスを見失う。

「くそ!?撃て!撃つんだ!!」

オロールは叫ぶと自らの乗るジンD型はM66キャニス 誘導弾発射筒を発射し、ギラ・ドーガ重装型はランゲ・ブルーノ砲を放つが爆煙を突き抜け、コロニーのシャフト部分に直撃した。

「なに!!」
「うわっ!」

その瞬間爆煙からνガンダムとネティクスが背面滑空のような体制で現れバーニアを止め、目の前で止まると再びバーニアを全開にし、機体を起こしながらジンD型とギラ・ドーガ重装型の股からコックピット部分をサーベルで切り裂く。

「……ナ、ナチュラルなんかに!!」
「だ、脱出を!…!?」

ビームサーベルによりオロールとザフト兵は無惨にコックピットと共に爆発し、オロールと別働隊の前衛部隊は一瞬にして全滅した。

ラー・カイラムはグラム隊の後衛部隊による攻撃を受けていた。

「弾幕薄いぞ!!攻撃は撃ち落とし続けろ!!」
「艦長!これでは防戦一方です!!ズサタイプ相手では限界があります!!」
「弱音を吐くな!!こちらは火力が強すぎて撃てない!!耐えろ!」

ラー・カイラムはアークエンジェル以上の火力を持つ為にさらに不利な状況だった。
シーサーはブライトへ思わず弱音を吐きメランに一括される。
ズサ・カスタムの小隊は火力を活かしビームキャノンやミサイルランチャーを打ち続けている。
命中しなかったズサ・カスタムの砲撃は次々に表層部分に当たりコロニー内のいたる所が爆発して行く。

「アムロ、こっちはもういい!!ラー・カイラムがあのゴツいMS共に取りつかれてる!
あれじゃ戦艦もコロニーもヤバい!!緑のMSは俺に任せて行ってくれ!!」
「了解だ!無茶はするなよムゥ!
あのザクはこちらの動きを読んでいた!腕は良さそうだ!!」
「分かった!!」

ムゥがラー・カイラムの状況に気付くとアムロへラー・カイラムの援護に向かわせる。

742: ◆wjA9YKZn62
12/08/28 14:40:58.04
「良い加減諦めたらどうだ!?」
「やらせないと言っている!これで動きを止める!!」

ミゲルとベアードは互いに鍔迫り合いの様相を呈していたがベアードが重粒子砲に対し、右部のロングレンジビームランチャーを稼働させ発射する。

「く!?なんて威力だあれは!」

ミゲル機は重粒子砲を放つがビームランチャーにエネルギーが押される形でミゲル機の手前でエネルギーは爆発する。

「!?艦長、ジンの動きが硬直しました!」
「!ーーー今よ!射撃を許可するわ!!」
「ゴッドフリート照準、てぇーー!」

トノムラがジンの動きが止まった事に気付きラミアスが射撃指示を送るとナタルが呼応しゴッドフリートがジンを襲う。

「くっ!?ーーー当たる!」

ミゲルは直撃を覚悟し反射的に目を瞑ってしまう。
しかしその時イージスが横から現れジンを引っ張り助け、外れたアークエンジェルの攻撃はシャフト部分に当たりコロニーは次々に破壊されてしまう。

「ーー外れた!?」

「ミゲル!!」
「ーーーーアスラン!?すまない!」

アスランはミゲルを助け、次は2機でアークエンジェルとブロッサムを相手にする。

「油断したな!?もらった!」

ジンはイージスにより撃退を免れたが、気を取られてしまったミゲルはブロッサムの接近に気付かなかった。

「危ない!ミゲル!!!」
「なにっ!?ーーうわあああ!」

ベアードはビームサーベルを両手に持ちジンのボディを十字に斬りコックピット部分から爆発しジンは大破する。

「ミゲルーーーー!!」

アスランは頭の中が一瞬真っ白になる、ブロッサムにより撃退されたジンは腕だけが残りボディはバラバラに散っていた。

743: ◆wjA9YKZn62
12/08/28 14:42:27.33
「ブロッサム、ジンを撃破しました!」
「分かったわ!ただこれ以上コロニーを傷付けられないわ!」
「では、どうしろというんです!?沈められろとでも!!?」

トノムラからの報告を受けたラミアスだがザフトの攻撃が次々にコロニー内部に直撃しアークエンジェルも攻撃を外した事により焦りの色を出していた。
その言葉にナタルは食って掛かるように叫びブリッジ内に声が響き渡った時に通信が開く。

「艦長!!」
「?マードック曹長!?今は戦闘中です!」
「すいません!ですが、坊主が勝手にストライクに乗り込んじまって!!」
「!!何ですって!?」

通信して来たのはカタパルトデッキにいたマードックだった。
キラがストライクに無断で乗り込んだと報告を受けたラミアスは慌てた表情で指示を送る。

「あの子一体何を!?ーーストライクに通信繋いで!」
「はい!!」

ラミアスはストライクに通信を繋げさせるとモニターには報告通りにキラの姿があった。

「キラ君!いますぐ降りなさい!!あなたは民間人なのよ!?」
「そんな事言ったって軍のあなた達とザフトはコロニーを壊しているじゃないですか!僕たちの住むヘリオポリスはこれじゃなくなっちゃいますよ!だから僕が止めます!!」

キラは激しい戦闘によりヘリオポリスの崩壊にいても立ってもいら
れなかった。
そしてアスランが乗っているであろうイージスを止めに行くつもりでもあった。

「ーーーっ!!マードック曹長!急いでストライクにソードパックを!!」
「!?艦長!!」

ラミアスはキラの言葉に覚悟を決めたようだった。
しかしナタルはラミアスの判断に驚愕する。

「ソードパックっ!?まさか坊主を出撃させるつもりですかい!?」
「いいから早く準備をしなさい!!ブロッサムとイージスじゃ機体の相性は悪いの!このままじゃ余計に被害が広がるわ!!」
「了解です!!ーーおい!急いでソードパックを!」

マードックはラミアスに確かめるように聞いたが、ラミアスは大声を上げるように押し切り、気迫に押されたマードックは周りの作業員にソードパック着用の指示を送る。

「艦長!本気で出撃させるおつもりですか!?」

なおも食い下がるナタルにラミアスは再び口を開く。

「彼にストライクを操縦させてしまった以上は私が全ての責任を負うわ!!だから今は作戦に集中なさい!」
「ーーー!」

ブリッジは既にラミアスの独壇場と化していたが、ラミアスの判断は間違っていなかった。
この間にもイージスとブロッサムは戦闘を行っていた。

744: ◆wjA9YKZn62
12/08/28 14:45:43.73
「よくもミゲルを!!」
「ちっ!」

イージスは強襲型の一撃離脱戦法を得意とするMSであり、後方支援型のブロッサムは相性の悪さからか徐々に押され始め、イージスの4本のビームサーベルをかわし切れずに左部にあるディスクを破壊される。

「くそ!!高機動戦タイプには分が悪いな…!これじゃあ距離を保てない!ーーー!?」
「ーーーちぃ!?」

ベアードはイージスの早い動きに苛立っているとイージスに向かってアンカーが飛んで来たが、イージスはこれをかわして動きを止める。

「キラ!キラ・ヤマト!」
「…。」
「やはりキラ…キラなのか?」
「アスラン!アスラン・ザラ!」

ベアードの危機に駆けつけたのはソードストライクに乗るキラだった。


745: ◆wjA9YKZn62
12/08/28 14:46:23.45
ラー・カイラムはズサ・カスタムの攻撃を凌いでいた。
しかし、2機の新型MS相手では攻撃を相殺しきる事は出来ずズサ・カスタムの砲撃はコロニーに決定的な打撃となる攻撃が当たってしまう。

「ー!まずい!?ブライト!コロニーが崩壊を始めるぞ!帰還する!」
「何!?モニター出るか!?」

ブライトはアムロの言葉に耳を疑い、モニターに映し出された映像を確認し苦虫を噛み潰した様な表情をしていた。

「くそ!!駄目だったか…!
了解だアムロ!!崩壊に巻き込まれぬように戻ってくれ!
メラン!おそらくコロニーの避難シェルターが射出されるだろう。
避難民受け入れの準備を。」
「了解です、艦長。」

ブライトはコロニーを諦め避難民受け入れの指示を出し、準備を整えるようにさせる。

「ラミアス大尉!コロニーが崩壊を始めた!!すぐにMSに帰還命令を!!」
「!?わ、分かりました!
出撃中の3機に帰還命令を出して!!宇宙空間に投げ出されるわ!」
「りょ…了解!!」

ブライトはラミアスへ指示を与えるとラミアスは慌てて帰還の指示を送らせた。


「アスラン…何故君が!?」
「キラ!お前こそ何故そんな物に乗っている!!」

キラとアスランは再び戦場で再会した。
しかし、ヘリオポリスの崩壊は無情にもこれからの2人に訪れる困難の道を造るかのように崩れて行く。

「!!うわああああああ

アークエンジェルへの帰還に間に合わなかったキラはストライクと共に残骸と共に宇宙空間へ投げ出されてしまった。

746: ◆wjA9YKZn62
12/08/28 14:48:19.79
第9話

終わり

SS倉庫に入れた方が良さげですか?

747:通常の名無しさんの3倍
12/08/28 16:44:17.82
是非

748: ◆wjA9YKZn62
12/08/28 16:52:18.16
>>747

やり方が分からないんですが
ちなみにiphoneからでもできるんすかね?

749: ◆wjA9YKZn62
12/08/31 22:41:27.75
第10話

ヘリオポリスコロニーにて2度に渡る戦闘を行ったアークエンジェルとザフトのクルーゼ隊。
転移してきたアムロとブライトの力を借りたアークエンジェルだったが、ヘリオポリス崩壊という憂き目にあってしまった。
宇宙空間に投げ出されたキラ・ヤマトだが1隻の救命ポッドを回収し両親の安否を心配しながらも、なんとかアークエンジェルに帰頭していた。

「ラミアス大尉、こちらでも救命ポッドを確認したが幸い推進部はやられていなかった。」
「そうですか…そちらはしばらくすれば救助隊が来ると思いますので救助隊に任せたいと思います。」

アークエンジェルとラー・カイラムは避難民の確認作業に追われていたが、避難民の受け入れはアークエンジェルでの収容のみに留まっていた。

「大尉、頼みがあるんだが、キラ君に話がある。
通信だとザフトに補足されるかもしれない。
そちらにアムロと共に行きたいのだが、乗艦許可を貰えるか?」
「分かりました。
では、1番カタパルトでの乗艦をお願いします。」

ブライトとアムロはラー・カイラムをメランに任せベースジャバーに乗りアークエンジェルへと移った。

「お待ちしてました。ではブリッジまでご案内致します。」
「忙しい中すまないな、バジルール少尉。」

ブライトとアムロを迎えたのはナタルだった。
互いに敬礼をし挨拶もそこそこにブリッジへと向かった。
アークエンジェル艦内は避難民の受け入れ作業に勤しんでいた。
やがてブリッジに到着するとそこにはキラ、ムゥ、ラミアスが待っていた。

「お待ちしておりました大佐。」
「突然すまない。忙しい中、押しかける形になった事を許してくれ。」
「いえ…キラ君をお呼びしましたが。」
「ああ、すまない。」

ブリッジにいるキラへアムロとブライトを視線を向けるが、すぐにラミアスへ目をやり直す。

「こちらに出向いたのはそれもあるが、もう一つ頼みがあってな。」
「頼み?何でしょうか?」

ブライトの言葉にラミアスは何の話をするのかという表情をする。

「単刀直入に言えば、俺たちを正式な地球軍として迎えて欲しいという事だ。」
「!?………よろしいのですか?
判断はハルバートン提督とお会いになられてからでも遅くは無いと思うのですが…。」
「俺たちは大助かりですが、アークエンジェルは正式に地球軍に登録はされてないせいで識別コードが無いんです。
同じ地球軍のユーラシア連邦に見つかったら拘束も有り得ますが?」

ラミアスはブライトやアムロ達が今後も協力してくれるのは助かると思いながらも、ムゥが言うようにユーラシア連邦などの地球軍でも直属の部隊ではない限りは見つかった場合のリスクを懸念していた。
ましてや、転移者の処遇は連合議会の判断と、転移者側の話し合いにより決定されるものであり転移者と一部隊員のみの決定では軍法違反になる可能性もあるというものだった。

750: ◆wjA9YKZn62
12/08/31 22:42:59.52
「それではユーラシア連邦に接触しなければその後はなんとかなると?」
「はい…おそらくとしか言えませんが…私達が所属する大西洋連邦宇宙軍艦隊にデュエイン・ハルバートン提督がおります。
提督にお会いになれば、正規軍への加入も比較的スムーズになるかと思いますが…。」

ラミアスはブライトへ、ハルバートンにまず会ってからという事を強調しなるべく事を丸く収めたい意思が見えていた。

「ブライト大佐、我々が慎重になるのはお許しください。大佐のような左官クラスの方のような転移者は連合軍としても初めてなのです。
今までは左官クラスの転移者などいなかったものですから。」
「…それは初耳だな。」
「先にお話すれば良かったのですが…それに転移者全てに対しては連合軍も丁重に扱うようにされていますから、連合軍内でも転移者といえど大佐に強く出れる人間も限られてくるはずです。」

ムゥがラミアスの慎重な姿勢の理由を話すと、アムロは呟きラミアスはその言葉に対して政治的な理由もある事を明らかにした。

「……ちょっと待ってくれ、ではベアード少尉のようにあちらの世界での階級はそのままにしているのは、連合軍議会との話し合いで決まった事という事か?」
「はい。ムゥ大尉の部隊に編入される前は、連合軍もあちらの世界同様に小隊隊長を任せていました。」
「なるほどな…では権限もある程度は考慮される…という風に考えてもいいと言う事になるのか?」

ブライトが連合議会が定めた規定に穴があると感じ、ラミアスに確認するとブライトの勘はほぼ的中していたと言って良かった。

「ブライト、どうやら転移現象は継続的にしかも不定期に起きているみたいだな。
連合議会も原因が分からない現象に決め事もまだ曖昧と言えるな。状況もその都度違うだろうし、なおさらかもしれない。」

751: ◆wjA9YKZn62
12/08/31 22:45:45.01
アムロの言葉にブライトは頷き、仮に面倒な状況になろうともブライトやメランのような左官クラスの人間が交渉の席につけばどうにかなるかもしれないと考えた。
アムロとブライトの会話を聞いていたラミアスは規定ギリギリのやり方をすれば可能性は広がると考えた。
ラミアスはその場でムゥやナタルにブライト達を正規軍として扱っても良いか確認をした。

「俺は議会の規定云々よりも、劣勢をひっくり返せる方法なら卑怯な手を使わなければ何でもやるべきだと思うぜ?」
「…私も今の話を聞く限りでは、議会の規定の穴を潜り規定に触れなければ問題無いと思います。」

2人の言い回しに個性が滲み出ていたが賛成という流れになった。ブライト達は緊急的に連合軍の一員として改めて迎い入れられた。

「ではキラ君の件についてですが…ブライト大佐、キラ君にお話とは?」
「ああ、それはアムロから話をしてもらいたい。
彼が先にキラ君と話をしたいと言い出したものだからな。」

ラミアスがブライトに話を振ると、ブライトもバトンタッチのような形でアムロへと話が渡る。

752: ◆wjA9YKZn62
12/08/31 22:56:19.28
「キラ君、余計な話を聞かせた上に待たせて悪かったな。」
「…い、いえ。」

アムロはいつものように落ち着いた口調でキラへ話しかける。

「…それで話ってなんですか?」
「今の話を聞いた通り俺たちは地球軍としてザフトと戦う。
君はどうする?」
「えっ…?」

アムロはキラの問いにストレートな質問を返すとキラの表情が固まり、少し俯き加減になる。

「君は先程の戦闘で強引に出撃したみたいだが、何故そうしようと思った?」
「…僕は…本当は戦いたくなんかありません…でも最初の時も…さっきも…友達や住み慣れたヘリオポリスを守りたいと思ったから…。」

アムロがキラへ質問を続けキラからは悲壮感が垣間見えたが確かにその場では決意を持ってガンダムに乗ったという意思が伝わった。

「では今はもう出撃しなくても皆が助かると思っているか?」

アムロはなおも質問を続けると、キラは顔を上げアムロの顔を見て答え出した。

「それは…しょうがないと思って2度目も乗りました…でも、僕は軍人でもなんでもないんですから!」

キラは顔を上げるなり、アムロに対して声を荒げる。

「じゃあ、いずれまた戦闘が始まった時、今度は乗らずにそう言いながら死んでくか?」

キラの言葉に対し、さらに厳しい言葉をキラに向けたのはムゥだった。

「今この艦を守れるのは俺やベアード、それにお前だけなんだ。
転移者のアムロやブライト大佐が協力してくれると言ってもラー・カイラムだって守らなきゃならないし、ましてやベアードだって転移者なんだ。
俺たちが起きた世界の戦いに上手い事言って巻き込んでるだけだ。
俺たちの世界の事はこの世界の人間全員で解決しなくちゃいけないんじゃないか?」
「っ!!」
「君は、出来るだけの力を持っているだろ?なら、出来ることをやれよ。
そう時間はないぞ。悩んでる時間もな。」

ムゥが悩むキラへ決定的な言葉をかける。
アムロやブライトはキラへ言おうとした言葉を代弁したムゥへ立派な軍人だと感心していたのだった。

753: ◆wjA9YKZn62
12/08/31 23:01:18.39
「後はキラ君次第だな。
戦闘が始まるまでしっかり考えればいい。
ラミアス大尉、アムロをここに預ける。キラ君がもし戦おうと決心した時の為に力になってくれる。」
「よろしいのですか?」
「俺がそうしたいんだよ大尉。
昔の俺やある少年に似ているからな…。」
「分かりました。ではベアード少尉をそちらに編入いたしますがよろしいですか?」
「すまないな…我儘ばかりで。」

アムロの強い希望でアムロとνガンダムはアークエンジェルへ配備となり、ベアードとブロッサムはラー・カイラムへ入れ替わる形で配備となった。

「ではブライト大佐。これより大佐は連合軍という立場になりますので指揮権は大佐にお預け致します。それと軍服を用意させます。」
「良いのか?」
「もちろんです。私やバジルール少尉がブライト大佐やメラン少佐達に指示を出すわけにはいきません。」
「私もそれが宜しいかと思います。それに大佐のような歴戦の将について行くのは私としても下士官達にも良い勉強になります。」

こうしてラー・カイラムの面々は緊急処置的に地球連合軍の一員となり、両艦は月へと航行していくのだった。


~ヴェサリウス艦内~

「隊長。熱源反応です!
この方向は…奴等はアルテミスへ向かうつもりです!!」
「慌てるな…それはおそらくフェイクだ。反応が1つしかないだろう?
奴等はすでに合流している筈…必ず月へ向かうだろう。
まずはこのデブリ帯を利用して先回りする。
ガモフには反応のあったポイントからデブリ帯の中で追尾するよう伝えろ。」

アークエンジェルとラー・カイラムは途中でユーラシア連邦の誇る小惑星でできた宇宙要塞アルテミスへ向かうか、月へ向かうか決めかねたが、転移者問題の兼ね合いにより月までギリギリの航行を選択していた。
当初、ヴェサリウスの艦長アデスも連合軍はアルテミスに逃げ込むと踏んだが、クルーゼの判断により月へのルートを選択していた。

「隊長、こちらにはMSはありません。本当に追うのですか?
ムサカもズサを失うのを恐れて撤退しましたし…。」

アデスは現時点の余剰戦力が皆無の為に
クルーゼの追撃を行う作戦に躊躇していた。

754: ◆wjA9YKZn62
12/08/31 23:05:35.41
「あるじゃないか。地球軍から奪ったのが4機も。」
「あれを投入されると?」

クルーゼはヘリオポリスで奪ったMS4機を全て投入するつもりでおり、アデスが聞き返すと冷徹な笑みを浮かべ頷く。

「しかし…。」
「データを取ればもうかまわん、
後はシャアがなんとかするだろうさ…。
遠慮なく使わせてもらう。宙域図を出してくれ。
引き続きガモフにも索敵を怠らぬように打電だ。」

クルーゼはこの気を逃すまいと、執拗にアークエンジェル達を追いかける形となる。


~ムサカ艦内~

「ロック隊長。クルーゼ隊の援護は続けなくて宜しかったのですか?」
「大佐の命令はあくまでもクルーゼ隊長の監視だ。
大佐は何を考えているかは知らんが、我々は大局的に事を進めろと言われている以上は深追いはできまい。
とにかく、本国へ行き大佐へ報告だ。」
「了解しました。」




755: ◆wjA9YKZn62
12/08/31 23:09:37.69
第10話
終わりです。


過疎ってるんで報告などどうかと思いますが…
SS倉庫に今まで投下した話をうpして行きます。
文脈やセリフ、後はマードックの階級が間違っていたので
修正します。
修正版はSSにてって感じです。

756:通常の名無しさんの3倍
12/08/31 23:16:30.81
乙であります

757:通常の名無しさんの3倍
12/09/01 10:52:50.38
投下乙

758: 忍法帖【Lv=17,xxxPT】
12/09/01 17:07:36.50
乙。
少しブライトさん立ち位置を決めるのが急すぎな気もするけど、原作の流れを考慮すると
仕方なし、かな?
事前に転移者がいるってのもあるんだろうけど。


しかし、投下の間隔が短けーな。
面白いからさくさく読んじゃうわ

759:通常の名無しさんの3倍
12/09/01 21:30:29.45
投下乙!
のんべえ氏のようなじっくり読む長編もいいが、こういうさっくり読めるのもいいね。
展開も地味に違うし、続きが気になる。

そして、非常に個人的なコトだが、やっと書き込めるようになったのぜ…。
8月は携帯もPCも規制の煽りを受けて書き込みできず、フラストレーション溜まりっぱなしだった。

760: ◆wjA9YKZn62
12/09/01 22:10:27.53
皆様、コメありがどうござます。

>>758
実はブライトさんは一番好きなキャラでしてwww
ラミアスさんがブライトさんを差し置いて指揮官なんて
まだ早過ぎらぁ!!という感じで無理矢理ねじ込みました。

アムロ主役を忘れずに、ブライトさん、シャアをダサくもカッコ良くも
スポットライトを当てて行きたいと思います。

ブライトさんが主役ののんべえさんの作品が一番好きなんですが
真似みたいな事をしてあの壮大な作品を汚す真似はできないのでwww


761:通常の名無しさんの3倍
12/09/01 23:32:18.65
それにしても投下速度がすごいな
序盤だから書き溜めていたのだろうけど

762: ◆wjA9YKZn62
12/09/02 01:24:26.59
機動戦士ガンダム SEED Angel bell

第11話

~プラント・ザフト軍基地~

「シャア大佐、ライデン少佐をお呼びしました。」
「分かった。通してくれ。」

シャアは広い一室で分厚い報告書に目を通していた。
今やザフト軍の中でもクルーゼに並ぶ地位を獲得していると言われるシャアは、ザフトの名立たる隊長クラスの人間や軍内に限らずプラント評議会内でも、信頼を勝ち得つつあった。

「失礼します。」
「あんな辺境まで駆り出させてすまなかったな少佐。
報告書は一通り目を通した…。
目当てのGは4機のみ奪取か。
私の予想通りの結果になった訳だな。」
「まあ、仕方ないでしょう。
能力任せの未熟な坊や達に任務を任せているんじゃ、全て成功ってのはあり得ませんよ。」

シャアは帰還したライデンが入室し、労うと早速ヘリオポリスでの作戦報告についての話を切り出した。
シャアはGの奪取が4機のみに終わった結果にはさして動じる事もなく淡々としていた。
ライデンも同様にすでに予想し得た結果として受け止めていた。

「しかし、気になるのは君の為にチューンナップしたギラ・ドーガが中破した事と転移者の戦闘介入だな。」
「まあ戦闘介入とは言ってもクルーゼが一方的に……いや、これはまだ良いでしょう。
問題はその転移者ですよ。」
「クルーゼか…グラムからの報告も気になるな。
しかし、君も人が悪い…帰ってきてから転移者の情報を詳しく話すとは聞いたが、気になるな。」

シャアに上げた報告書通りに話は進むが、ラー・カイラムとの戦闘に関してライデンはシャアに直接詳細を伝えるとし、シャア自身はまだアムロが転移して来た事は知らなかった。

「あいつはやはり強かった。
名前だけでしか聞いていなかったから、尚更奴の強さに戦慄しましたよ。」
「ふっ…もったいぶらずに言ったらどうだ?私を相手に遊んでも何も得はなかろう?
一体誰が来たんだ?」

763: ◆wjA9YKZn62
12/09/02 01:25:43.02
ライデンはしみじみとアムロとの戦闘を思い出し、焦らすように話していたが、シャアは小さく笑いながら問いかける。

「…連邦の白い悪魔、アムロ・レイですよ。
あれは大佐が来た時代のアムロ・レイのはず。
俺のギラ・ドーガを見て敵意を露わにしてましたから。」
「!?」

ライデンは腕を組み、にやけた顔でシャアにアムロと接触した事を明かした。

「それは本当か!?」
「本当も何も、俺をあれだけ追い詰める人間はそうはいない。
『赤い彗星』シャア・アズナブル大佐もよくご存知でしょう?」

シャアはその後、ライデンからアムロならずブライトも転移してきた事を聞かされ眉間にシワを寄せ深く考えこんでいた。

「…。(…今の私を見たら貴様達ははさらに怒り、そして失望するだろうな…異世界で広げ過ぎ、放たれた戦火の炎を消せずにいるこの私を…。)」



~アークエンジェル艦内~

「どこに行くのかな、この船。」
「まだザフト、居るのかな?」

アークエンジェルではヘリオポリスで機密事項であったGの戦闘を目撃したカトーゼミの面々、
カズイが不安そうな表情で話していた。
サイも呼応するように艦やザフトの動向が気になっていた。

「この艦と、あのモビルスーツを追ってんだろ?じゃあ、まだ追われてんのかも。」
「えー!じゃあなに?これに乗ってる方が危ないってことじゃないの!やだーちょっと!」
「じゃあ、壊された救命ポッドの方がマシだった?」

サイとカズイの言葉にトールが的確な予想をすると、
救命ポッドを回収した際に乗っていたゼミのフレイ・アルスターが動揺しながら騒ぐ。
ミリアリアはフレイに対し現実を見せるように言葉を返していた。

「そ、そうじゃないけど…。」
「親父達も無事だよな?」
「避難命令、全土に出てたし、大丈夫だよ。」

ゼミの皆もキラと同じで、一末のの不安を抱えながら両親の身を案じていた。

「あ、キラ!?」
「あ…みんな。」

カトーゼミの面々が話をしているとキラが1人で歩いて来た。
それに気付いたサイはキラを呼び止める。

764: ◆wjA9YKZn62
12/09/02 01:29:25.83
「軍の人から聞いたよ!どこいったのかと思ったぜ!?」
「ご、ごめん…心配かけちゃって。」

キラを心配し、周りを囲むように談笑しているとムゥがキラへ声をかける。

「キラ・ヤマト!」
「は、はい。」
「マードック軍曹が、怒ってるぞー。人手が足りないんだ。自分の機体ぐらい自分でちゃんと整備しろとさ。」

キラはムゥの呼び声に振り向き、ムゥはキラにとって以外な事を言い出した。

「僕の機体…?え、ちょっと僕の機体って…」
「今はお前の機体になっちまってるんだ。
OSがお前独自の調整になってるんだ、整備班が手出し出来ないんだとさ。」

キラはムゥへ聞き返したが、ストライクが既にキラにしか動かせないようになっており、整備班から整備はキラにやらせろと声が上がっていた。

「…でも…僕は…」
「まだ決めてなくても整備士の手伝いだと思ってやってくれ。
今は軍に入るとか入らないとか抜きにしてな。」
「…はぁ…。」

キラは半ば強引に説き伏せられる形で格納庫までムゥに引き連れられて行く。

「あの!この船はどこに向かってるんですか?」
「月の本部基地だ。ま、すんなり行けばいいがな。ってとこさ。
無事着くように祈っててくれ。」

サイがその場を離れるムゥに声をかけ質問すると、ムゥは正直に目的地を伝えて一言言い残していった。

「え!?なに?今のどういうこと?あのキラって子、あの…」
サイ 「君の乗った救命ポッド、モビルスーツに運ばれてきたって言ってたろ。
あれを操縦してたの、キラなんだ。」
「えー!あの子…?」
「ああ。」

フレイは先程のムゥやサイ達の会話が気になりサイへ聞くとその答えに驚く。

「でもあの…あの子…なんでモビルスーツなんて…」
「キラはコーディネイターだからねー。」
「「!!」」
「カズイ!!」

765: ◆wjA9YKZn62
12/09/02 01:30:50.63
フレイは驚きながら何故、同じゼミの人間がMSに乗っているのか分からないでいると、カズイはキラがコーディネイターである事をさらりと漏らす。
それを聞いたサイは驚き、フレイはさらに驚いていた。
トールはヘリオポリスでキラが囲まれ、銃を突き付けられた事が頭に残っており軽々しくキラがコーディネイターである事を漏らしたカズイへ大きな声を上げる。

「……キラはコーディネイターだ。でもザフトじゃない。」
「……?」
「…うん、あたし達の仲間。大事な友達よ。」
「…そう…」

サイがコーディネイターを恐れるフレイを安心させるように説明すると、ミリアリアも同じように説明をした。
フレイは安堵と不安、どちらも入り混じるような複雑な気持ちでいた。



~ヴェサリウス艦内~

クルーゼ隊は月に向かうアークエンジェルを追っていた。
クルーゼはヘリオポリスでの戦闘で奪取したイージスに乗り、
強行出撃をしたアスラン・ザラを呼び出し、その心意を問うていた。

「…そうか。戦争とは皮肉なものだ。君の動揺も仕方あるまい。
仲の良い友人だったのだろ?」
「…はい。」

ストライクに乗っているパイロットがキラ・ヤマトである事、
そして彼とは月の幼年学校で共に過ごした友人であった事をアスランはクルーゼへ正直に話した。

「分かった。そういうことなら次の出撃、君は外そう。」
「えっ!」
「そんな相手に銃は向けられまい。私も君にそんなことはさせたくない。」
「いえ!隊長!それは…!」

クルーゼは至って冷静にアスランの話を聞き、
人間であれば当然そう命令するであろう言葉を返すと、アスランは驚く。

「君のかつての友人でも、今敵なら我らは討たねばならん。それは分かってもらえると思うが?」
「…キラは!…あいつは、ナチュラルにいいように使われているんです!
優秀だけど、ボーっとして、お人好しだから、そのことにも気づいてなくて…だから私は、説得したいんです!
あいつだってコーディネイターなんだ!こちらの言うことが分からないはずはありません!」


766: ◆wjA9YKZn62
12/09/02 01:32:11.71
クルーゼの言葉に対し、アスランは自らの希望を胸にクルーゼへキラの説得を懇願する。

「君の気持ちは分かる。だが、聞き入れないときは?」
「!……その時は…私が討ちます…。」

しかし、そのような世迷い言とも取れるアスランへ、
クルーゼは現実に引き戻すかのように問いかけ、アスランはその時は覚悟をする事を誓った。
その言葉を聞いたクルーゼはなんとも言えぬ邪悪な喜びを感じていた。


~ラー・カイラム艦内~
ブリッジ

「ベアード少尉、頑固者のアムロのせいで急な編入ですまない。」
「いえ!!かの一年戦争の英雄であるブライト・ノア大佐とご一緒できる事を喜んでおります!」

ラー・カイラムのブリッジにはアムロと入れ替わるように編入されたジャック・ベアードがブライトへ着任の挨拶をしていた。

「ブライト大佐、そこで私から一つお願いがあるのですが宜しいでしょうか?」
「うん?何だ?」
「…僕をジャックと呼んで貰えますでしょうか?」

ベアードはブライトへ真剣な眼差しで何を言い出すのかと思いきや、いきなり呼び方を頼んできた。
これにはブライトや隣にいたメランは目を丸くし、周りのブリッジクルーのシーサー達はこけ、クスクスと笑っていた。

「オホン!………少尉…、司令官である大佐へそれは馴れ馴れしいぞ?
今は非戦闘中であっても月へ向かう作戦行動中であり、ザフト艦が後を着けて来ている可能性もあるのだ。
緊張感が足りないのではないのか?」
「う…。」


767: ◆wjA9YKZn62
12/09/02 01:33:05.39
メランがベアードへ軽く説教染みた事を言う。
ベアードはそうメランに言われると少し反省しているようだった。

「まあいいじゃないかメラン。
ベアード少尉……いや、ジャック少尉今はラー・カイラムを守れるMSは君だけだ。
それにアークエンジェルを無事に月へ送るのが目的であり、その背後を守るいわば殿だ。
世話になっていたムゥ大尉やラミアス大尉達を安心させられるように応えてみせてやって欲しい。」
「大佐……あ、ありがとうございます!!」

ブライトは妙に真面目だが可愛げのあるベアードにそう言葉をかけると、やれやれと感じながらもこの場を丸く収めた。



~アークエンジェル艦内~

アムロは編入となったアークエンジェル艦内をナタルに案内して貰っていた。

「すまない、バジルール少尉。」
「いえ、下士官を休ませなければいけませんでしたので。」

一通りの案内を終え
アムロの部屋となる扉の前でアムロはナタルへ礼を言う。
ナタルの生真面目な固い性格が滲み出るような返事にもアムロは落ち着いた表情でいた。

「確か君があの時ヘリオポリスでアークエンジェルを動かして戦っていたのだろう?」
「はい。…あの時は判断が散漫でありました。
その結果がヘリオポリスの崩壊を招いてしまった一因でもありました…。」

アムロはヘリオポリスでの戦闘を話し、ナタルは追求されたくない事だったのか少し顔を俯けていた。

768: ◆wjA9YKZn62
12/09/02 01:34:02.11
「いや、確かに冷静にならなければいけなかったかもしれないが
余程の人間じゃない限り、
あんな状況じゃ冷静ではいられなくなるものさ。」
「は、はあ…。」

アムロはそれに気付いたのかすかさずフォローをいれるように語りかけ、ナタルはその言葉をフォローと受け止めていたがあまり効果はなかったようだ。

「君はブライトの今までの話を聞いて驚いただろうが、俺も彼も最初は必死だった。
艦にはアークエンジェルのように避難民を乗せて戦った事もあった、常に冷静でいられる事なんて無かったよ。」
「大尉や大佐が…ですか?」

アムロはナタルをフォローするつもりがいつの間にか、思い出話になっていた。
ナタルもアムロやブライトの過去に少し興味を持ったのか顔を上げて話を聞いていた。

「では、何故大尉は戦おうと思われたのですか?」
「それがキラ君と似たような境遇でね…ヘリオポリスではまだ話していない事も沢山ある。
だがあの時は戦わなければ死んでいた…。」

アムロがナタルの問いに答えると自然とアムロは顔を下に向けていた。

「大尉…もし宜しければ、その一年戦争のお話やここに来るまでのお話をお聞かせ願えないでしょうか?」
「?あぁ、構わないさ。
それじゃあ、立ち話もなんだから、中に入ろう。」

ナタルはアムロが見せた寂しさすら伺わせる表情が妙に気になりアムロの今までの話を聞く事にし、部屋の中へと入っていった。



~プラント~
とある邸宅

「あら…彗星さん。
大変お久しゅうございます。」
「これはラクス嬢。ますます美しくなられましたな。
お父上はどちらに?」
「まあ、お上手ね。
カナーバさんとご一緒ですわ。
ご案内します。」

シャアは仕立ての良いスーツに身を固め、プラント元最高評議会議長であるシーゲル・クライン議員の下を訪れていた。

769: ◆wjA9YKZn62
12/09/02 01:35:11.44
第11話

終わり

戦闘前の会話シーンようやく終わりです。

770: 忍法帖【Lv=18,xxxPT】(0/5:0)
12/09/02 23:25:23.99
:::::::::::.: .:. . ∧_∧ . . . .: ::::::::    >「?あぁ、構わないさ。
:::::::: :.: . . /彡ミ゛ヽ;)ヽ、. ::: : ::   >それじゃあ、立ち話もなんだから、中に入ろう。」
::::::: :.: . . / :::/:: ヽ、ヽ、i . .:: :.: ::: 
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ヽ、_ノ ̄       なんてこった。これだけ?これだけなのか・・・
                     はよ、アムロルームでのナタルとの熱いやり取りを・・・はよ!!


771: ◆wjA9YKZn62
12/09/03 00:57:47.25
>>770

おまんの気持ちはよぉ~分かる!!
じゃが、2人の大~事な時間を邪魔するモンじゃぁねぇぜよ!


そのうち番外編で書きますからw
今は戦闘シーンでいっぱいっぱいですwww

772:通常の名無しさんの3倍
12/09/03 01:33:19.10
夜の戦闘シーンかー

773:通常の名無しさんの3倍
12/09/03 03:25:36.95
ベルトチカかチェーンが居るだろう

774: ◆wjA9YKZn62
12/09/03 05:08:35.34
機動戦士ガンダム SEED Angel bell

第12話・前編



アークエンジェルとラー・カイラムは順調に航行を続けていた。
ヘリオポリスを経ってから8日目に入り、ユーラシア連邦の制宙範囲を避け、ザフト艦に捕捉されぬよう
暗礁空域へ入るなどの遠回りしながらの航行を続け、
月までの距離はようやくあと3日までの距離にまで来ていた。



~アークエンジェル艦内~

「敵影補足、敵影補足、第一戦闘配備、軍籍にあるものは、直ちに全員持ち場に就け!軍籍にあるものは直ちに…」

アークエンジェルのブリッジから追跡をして来ていたヴェサリウスを捕捉し、艦内放送を流れる。

「ママぁ~。」
「大丈夫よ。…」
「戦闘になるのかこの船…?」
「俺達だって乗ってるのに!」
「…キラ…どうするのかな。」

避難民を収容している居住ブロックには避難民の不安の声が入り混じる中に、サイらカトーゼミの生徒達もおり
ミリアリアはキラがどうするのか
心配していた。

「あいつが戦ってくれないと、戦力が少なくて困ったことになるんだろうなぁ。」
「ねぇトール…私たちだけこんなところで、いつもキラに頼って守ってもらって…」

サイとミリアリアはいつの間にかアークエンジェルというより、軍を心配し守ってもらうばかりの状況に歯痒い気持ちを感じていた。

「もし…キラが戦うんだったら…俺たちにも何か出来る事があるんじゃないか…?」

トールは意を決したように全員に問いかけるとサイ、ミリアリア、カズイは力強く頷いた。



~ラー・カイラム艦内~

「艦長、先行するアークエンジェルより通信入りました。」
「分かった。繋げ。」

アークエンジェルの背後を守るように航行するラー・カイラムも熱源を探知し、警戒体制に入っていた。

775: ◆wjA9YKZn62
12/09/03 05:09:27.06
「ブライト大佐。ザフト艦と思われる熱源反応があります。」
「こちらでもキャッチした。
速度から見て間違いないな…。
戦闘は避けたかったが仕方あるまい。」
「はい…。各員には艦内放送にて伝えてあります。
動きがあるまで第2戦闘配備で待機します。」

ブライトは民間人を乗せた状況での戦闘が始まるのを防ぎたかったが、すぐに切り替えラミアスの報告を聞いていた。

「了解した。おそらくザフトは補給をせずにこちらを追って来ているはずだ。
戦力事情は分からんが今までの戦闘である程度は削れているはずだ。」
「はい。どちらにしても警戒を怠らずに迅速に対処します。」
「ああ、こちらは後方の警戒を疎かには出来ないのでな。(後はキラ・ヤマトがどう出るか…か。)」

ブライトは相手の分析を的確に出来ていた。
ラミアスもその言葉に安心しきらずに戦闘に挑むという意気込みが感じられた。



~アークエンジェル艦内~

「!?…アムロさん!!」
「キラ君・ヤマト!」
「こんな所でどうした?」

ナタルはこの数日程、時間が開けばアムロに過去の話を聞く為にアムロの部屋に出入りしていた。
そんなナタルとアムロだが艦内放送を聞き、部屋を出た所でキラに呼び止められる。

776: ◆wjA9YKZn62
12/09/03 05:10:25.32
「……決心がついたか?」
「…はい。」

アムロはキラの表情から何かを読み取ると、キラへ迷い無く聞く。
その問いにキラはアムロへ真っ直ぐ目を見つめ返事をする。

「分かった、では君はもうお客さんじゃない。
守りたい物があるなら何が何でも守り切るんだキラ・ヤマト。」
「は、はい!」
「…。」

アムロの言葉は今までの穏やかなアムロでは無かった。
死と隣り合わせの戦場で1人の戦う男としての顔を見せ、キラの決心を正面から受け止めていた。
ナタルは先程の穏やかな顔とは違うアムロの姿を見て心臓が激しく動く感覚を覚えた。

「キラー!」
「あ!トール、みんな!」
「よう!!キラ。」
「…何?どうしたのその格好?」

その時アムロの後ろからトール達が駆け寄って来た。
トールは威勢良くキラに声をかけるとキラは軍服を来た友人達に問いかける。

「僕達も艦の仕事を手伝おうかと思って。人手不足なんだろ?」
「ブリッジに入るなら軍服着ろってさ。」
「軍服はザフトの方が格好いいよなぁ。階級章もねぇからなんか間抜け。」

サイ達はキラが再び戦うと信じて、自分達も戦おうと決心していた。
トールは他のゼミのメンバーと違い戯けてみせたが
キラはそんな友人達の姿を見て自然と心が通いあっていると感じた。

「生意気言うな!」
「お前にばっか戦わせて、守ってもらってばっかじゃな。」
「こういう状況なんだもの、私たちだって、出来ることをして…」
「おーら行け!ひよっこども!」

そんなトール達に軍服を用意したチャンドラ二世に突っ込まれるが
トールとミリアリアは
キラにだけ大変な思いさせるまいという気持ちを伝えた。
チャンドラは全員を押すとブリッジへ行くよう施した。

「じゃあな、キラ。」
「後でね。」
「あー、お前もまた出撃するんなら、今度はパイロットスーツを着ろよ!」

777: ◆wjA9YKZn62
12/09/03 05:11:24.82
ブリッジに向かいながら手を振り先を行く友人達。
そしてチャンドラもキラがストライクに必ず乗ると信じていたのか一言伝えてブリッジへ向かって行った。

「強い子達だ…。
君が大変な思いをして重荷を背負うなら
自分達も何か出来ないか必死に導き出した答えなんだろう。」
「……はい…アムロさん…、
だから…僕は大切な友達を死なせたくないです。」

「……ではアムロ大尉、キラ・ヤマト、着替えが済み次第カタパルトへお願いします。」

アムロがキラへ再び穏やかな表情を見せると誇らし気にキラは友人達への思いを口にしていた。
ナタルは切り替え、着替えるよう施し、敬礼したのちブリッジへ向かった。



~アークエンジェル・ブリッジ~

「キラ君が?…そう決心がついたみたいね。」
「はい。アムロ大尉の言葉にもしっかりと応えていました。」

ナタルはブリッジへ到着するとラミアスへキラの戦闘参加の意思を伝えていた。



~アークエンジェル・カタパルトデッキ~


「ほぉ~?」
「…?あ。」
「やっとやる気になったってことか?その格好は。」

ムゥはカタパルトデッキにおり、ネティクスの前に立っていた。
ノーマルスーツに着替えてやって来たアムロとキラを見ると、
キラへ話しかける。

「大尉達が言ったんでしょ?
今この船を守れるのは、僕と貴方達だけだって。
好きで戦争したい訳じゃないけど、僕はこの船は守りたい。
みんな乗っているんですから。」
「俺達だってそうさ。
意味もなく戦いたがる奴なんざ、そうは居ない。
戦わなきゃ守れねぇから、戦うんだ。」

778: ◆wjA9YKZn62
12/09/03 05:12:34.64
キラは妙に意地っ張りな事を言うと、
ムゥは否定もせずにキラの考えを尊重するように話をする。

「ムゥ、俺のこのノーマルスーツなんだが…もしや俺に合わせて作ったのか?」
「ははは。
前に着ていたノーマルスーツに似せただけだ。
白ベースに赤いラインがシンプルでイカすだろ?コズミックイラバージョンさ。
そのヘルメットにあるユニコーンのエンブレムはマードックに頼んだんだぜ?やっぱエースパイロットは専用カラーのスーツを着ないとな。」
「……特にこだわりは無いんだけどな。」

アムロに用意されたノーマルスーツはムゥの図らいによりアムロ仕様となっていた。
ムゥのアムロへの一方的なイメージでアレンジされたスーツだった。
ムゥの妙なテンションにアムロは若干呆れているようだ。

「よし!じゃあ、とっておきの作戦を説明するぞ~。」



~ヴェサリウス艦内~

「追跡から5日…ようやく捉えましたね。」
「ああ、頭は抑えた。ここで仕留めるさ。」
「敵艦は足つきが先行、後方にロンド・ベルの艦です。
後方はガモフを当てますか?」

アデスはホッと方を撫で下ろし、クルーゼはこれからまた始まる戦いに心を踊らせていた。
アデスは後方にアークエンジェルの控えるラー・カイラムが気になるようで、挟撃の策を頭に入れていた。

779:通常の名無しさんの3倍
12/09/03 12:04:56.63
支援


780:通常の名無しさんの3倍
12/09/03 23:05:55.29
終わってるのか?

781:通常の名無しさんの3倍
12/09/03 23:38:35.71
それにしてもラーカイラム目立つだろうな
あれって何気に500m級だし

782: ◆wjA9YKZn62
12/09/04 03:05:57.70
みなさんすいません

引っ越しをするんでインターネット回線外したら
本スレ投下出来なくなくなりました( T_T)

明日は休みなんで今はネカフェから投下させて頂きます

783: ◆wjA9YKZn62
12/09/04 03:12:10.79
~アークエンジェル艦内~

「ローラシア級、後方90に接近。」
「とにかく、艦と自分を守ることだけを、考えるんだぞ。」
キラ 「は、はい!大尉もお気を付けて。
(…アスラン…また君も来るのか?…この船を沈めに…)」

バルの報告を聞くと、既にコックピットに乗り込んだムゥはバイザーを下ろしキラへ声をかける。
キラは始めて戦略性のある戦闘であるが故に緊張した面持ちで答えた。
しかし一方でアスランを気にしているようだ。

「フラガ大尉、ネティクス、リニアカタパルトへ!」
「ムウ・ラ・フラガ、出る!戻ってくるまで沈むなよ!ここは頼んだぜアムロ!!」
「ああ!やってみるさ!!」

ナタルのオペレートによりネティクスで発信態勢に入り、
ムゥはペダルを踏み込むと同時に
アークエンジェルやアムロに言葉を残し発進していった。

「ローラシア級、後方50に接近!」
ナタル「よし、続いてアムロ大尉、νガンダム、リニアカタパルトへ!!」
「了解、キラ…浮き足立つなよ?
それを悟られたら付け入る隙を与えてしまう。」
「はい!!」
「アムロ、νガンダム行きまーす!!」

バルは引き続き報告をすると、
発進のタイミングを図っていたナタルから合図を聞くと、アムロは
キラへ声をかけ、発進して行く。

「2分後にメインエンジン始動!ストライク、発進準備!」
「ストライク、発進位置へ!
カタパルト接続。システム、オールグリーン!」

ラミアスはνガンダムの発進を確認し、アークエンジェルのエンジン始動の指示を送り
ストライクの発進を指示した。
トノムラはストライクの発進準備完了をキラへ伝える。

キラ 「(大尉が隠密先行して、前の敵艦を討つ。敵MSは僕とアムロ大尉で迎撃…アムロ大尉がリードしてくれるとはいえ…うまくいくのかな…)」

キラは今作戦の概要を思い出し、イメージしていた。
不安が募る中、その時を迎える。


784: ◆wjA9YKZn62
12/09/04 03:13:22.83
「キラ!」
「!ミリアリア!」

緊張し、固まっていると通信モニターからミリアリアがキラを呼ぶと反応する。

「以後、私がモビルスーツの戦闘管制となります。よろしくね!」
「よろしくお願いします、だよ。」
「はは。」

ミリアリアがCIC担当としてキラへ改めて挨拶しおどける。
そのミリアリアにツッコミを入れる様子をモニターしていたキラは
幾分か緊張がほぐれていた。

「装備はエールストライカーを。アークエンジェルが吹かしたら、あっという間に敵が来るぞ!いいな!」
「…はい!」

キラはナタルの指示を聞き、正面を見据え発進の合図を待つ。

「エンジン始動!同時に特装砲発射!発射射線上にνガンダムに入らぬように伝えて!目標、前方ナスカ級!」
「了解!!ローエングリン!てぇ!」



~ヴェサリウス艦内~


「前方より熱源接近!その後方に大型の熱量感知!戦艦です!」
「回避行動!」

「ふん…こちらに気づいて慌てて撃ってきた…か。」

ザフトオペレーターの報告を聞いたアデスは冷静に回避の指示をすると。
ヴェサリウスはローエングリンの回避に成功した。
クルーゼはこちらの予想通りの展開となっている状況を静観していた。


「先の言葉信じるぞ!アスラン・ザラ。」
「…はい。」

クルーゼはカタパルトにて発進準備を終えていたアスランに声をかけると、アスランは静かに返事をした。



785: ◆wjA9YKZn62
12/09/04 03:17:52.71
~ガモフ艦内~

「熱源感知!大型の敵戦艦と推測!」
「よし、クルーゼ隊長からの指示通りに行くぞ!?バスター、デュエルを発進させよ!」

ガモフ艦長ゼルマンはラー・カイラムをレーダーに捉えると発進指示を送った。

「前方、ナスカ級よりモビルスーツ発進。機影2です!」
「艦長!」
「お願い!」

チャンドラより敵MS発進の報を受けると、ナタルはラミアスに確認をし、ラミアスは頷き合図を渡した。

「キラ・ヤマト!ストライク発進だ!」
「キラ!」
「…了解!…はぁはぁはぁ…」

『今、この艦を守れるのは、俺達とお前だけなんだぜ?』
『お前に守ってもらってばっかじゃな。』
『こういう状況なんだもの、私たちだって…』

キラはストライク発進の指示を受けると、返事をする。
キラの心臓の鼓動は激しくなり自然と息が荒くなる。
ムゥやトール、ミリアリアの言葉を思い出し高鳴る鼓動を抑える。

「キラ・ヤマト!ガンダム!行きます!!」

キラは覚悟を決め、
前を見据えると大きな声がコックピットとブリッジに響き、
一気に加速し発進して行く。



~ラー・カイラム艦内~

「艦長!!どうやらストライクも発進したようです!」
「!?……そうか、ようやく腹を括ったか。」

ウォレスの報告を聞くと、ブライトは落ち着いた表情でキラの事を考えていた。

「後方よりザフト艦!!MS発進、機影は2です!!」
「分かった。ジャックを発進させろ!!」
「「「了解!」」」

786: ◆wjA9YKZn62
12/09/04 03:19:01.93
後方のガモフから敵MS発進を捉えると、すぐにブロッサム発進の指示を送るブライトに全クルーが声を揃えた。

「ここはヘリオポリスじゃない!
思う存分撃つぞ!?」



~アークエンジェル艦内~

「後方のラー・カイラムに接近する熱源2、距離67、MSです!
前方からの接近中のMSは、距離64!!射程圏入りました!」

チャンドラは戦闘宙域に展開するMSとの相対距離をラミアスに報告していた。

「来たわね。」
「対モビルスーツ戦闘用意!
ミサイル発射管13番から24番、
コリントス装填、
リニアカノン、バリアント、両舷起動!
目標データ入力、急げ!」

ラミアスと報告を聞くと、ナタルの攻撃の合図を待ちナタルは迎撃の指示を送る。

「数は前方、後方合わせて4!機種特定…これは…Xナンバー、イージス、ブリッツ、バスター、デュエルです!」
「何ぃ!?」
「え!!」
「!!」

チャンドラのさらなる報告にラミアスとナタルは声を出し驚き、ブリッジクルーも言葉を出せずに驚いていた。

「イージスに続けて奪ったGを全て投入してきたというの…?」



787:通常の名無しさんの3倍
12/09/04 03:19:40.67
テスト

788: ◆wjA9YKZn62
12/09/04 03:30:40.11
「!キラ、前方から2機来ている!!俺が先手を取る、無理をせずに援護をしろ。
アークエンジェルを守る事も忘れるな!?」
「はい!(…守るって言ったって…!)」

アムロはキラよりも若干早く先行し、イージスとブリッツを捕捉する。
キラには無理をさせまいとアムロ自らが遊撃手となり、キラを援護に回らせる。
アークエンジェルを守りながらの戦闘でもあるため、キラは口で簡単に言われるよりも難しいと感じていた。

「キラ!?」
「あのMSは…アスラン!?」

アムロとキラはイージスとブリッツをモニターで目視できる距離まで近づいた時、
キラとアスランは互いの存在に気付く。


「もうアスランとニコルはあっちのMSと接触する!!後れを取るなよ!」
「ふん!あんなやつらに!
獲物の的がデカい戦艦くらい落としてみせるさ!!」

イザークとディアッカはアークエンジェル側のアスラン達に遅れを取るまいと息巻いた。

「敵、MS展開中!」
「迎撃開始!CIC!何をしてるの!」

チャンドラはMSの動きをしっかりと見てブリッジに報告し、
ラミアスは迎撃が遅いCICへ檄を飛ばす。


789: ◆wjA9YKZn62
12/09/04 06:35:52.50
「…!?レーザー照準!いいか!?」
「はい!」
「ミサイル発射管13番から18番、てぇ!
7番から12番スレッジハンマー装填!
19番から24番コリントス、てぇ!」

G4機投入に動揺していたナタルはラミアスの言葉に気付き、攻撃の合図を送り、
アークエンジェルからはミサイルが一気に発射されいよいよ戦闘が始まった。


「ヘリオポリスじゃイージスと相性が悪かったが…
バスターとデュエルならガンダムタイプでも俺にだってやれるさ!!」

ベアードはヘリオポリスでイージスに煮え湯を飲まされたが、
今回はコロニー内ではなく宇宙空間であり、
相性の悪い相手では無いためやる気満々といった表情だった。
ベアードはその言葉と同時にロングレンジビームキャノンをバスターとデュエルに向け3発、4発と発射する。

「っく!?おいおい!アイツ俺のバスターより射程が長いんじゃねえか?」
「ふん!あんな遠くからしか戦えん臆病なガンダムなど!!ミドルレンジならどうだ!?」
「!?イザーク!あんま前に出るなって!」

バスターとデュエルがブロッサムの攻撃を回避するとバスターのパイロット、ディアッカがバスターを上回る射程の攻撃に驚く。
イザークはブロッサムの攻撃に敵意を剥き出しにし、距離を詰めようとペダルを一気に踏み出す。

「狙い通り距離を詰めて来たな。艦首ミサイルの装填、連装メガ粒子砲のエネルギー充填いいか!?」
「いつでも行けます、艦長。」
「よし、艦首ミサイルランチャー1番から6番、連装メガ粒子砲撃てぇぃ!!」

790: ◆wjA9YKZn62
12/09/04 06:38:43.18
ブライトはブロッサムの攻撃により距離を詰めさせ、ラー・カイラムによる波状攻撃を行う。

「な!?」

イザークは押し寄せるミサイルランチャーと連装メガ粒子を前に驚き、機体を止める。

「イザーク!!下がれ!」

ディアッカは連装メガ粒子砲を回避し、デュエルの前に出ると
両肩から6連装ミサイルポッドと
右腕に実装された散弾式徹甲弾のガンランチャーを発射しミサイルランチャーを相殺する。

「へっ、貸し一つだ!出過ぎるなっつったろ!?……おわっ!!」

「ちょろいなっ!まずは1機!」

ラー・カイラムの攻撃を防いだディアッカがイザークへ自信満々に言うと、その隙に死角からベアードのブロッサムがビームサーベルでバスターを狙う。

「調子に乗るなぁ!!」

「…何!?」

バスターを払いのけイザークはデュエルのビームサーベルでブロッサムのサーベルを受け止める。
ベアードは無理をして押し込まず機体を下げ一旦距離を取る。

「貸しなどすぐに返せば帳消しだディアッカ!」
「あっぶねぇ~…くそ。
ナチュラルのくせして冴えてんなこいつら。
やっぱ油断すんなって事かぁ?」
「ヘリオポリスの戦闘記録を見たのかディアッカ。この機体の戦法だろうが。」

距離を取るブロッサムを前にイザークとディアッカは言葉を交わし再び戦闘モードに切り替える。

「惜しかったなぁ…分かってても中々防げるモンじゃないんだけどな。
やっぱコーディネイターの反応は早いな…でもやれる!!」



791: ◆wjA9YKZn62
12/09/04 06:42:19.57
第12話・全編

終わり

現状、スムーズに投下できる環境でないので
この後のお話は避難所に投下させて頂きます。
もし続きをご覧になられる場合はお手数ですがそちらへお願い致しますm(_ _)m

792:通常の名無しさんの3倍
12/09/04 09:31:10.76
もしも、CCAアムロが種・種死の世界にいたら
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)

793: ◆wjA9YKZn62
12/09/04 11:40:15.81
>>792さん

リンク張り忘れてました。
すいません、ありがとうございます。

後編が避難所にありますので御覧になられたい方はそちらへ。

794:通常の名無しさんの3倍
12/09/07 17:53:36.05
SSの投下ってこっちで良いんでしょか?
いつの間に避難所なんてできたんだろう・・・あっちに投下が良いんでしょうか?(´・ω・`)

795:通常の名無しさんの3倍
12/09/07 18:30:50.86
規制くらってこっちでは投下できないとかの問題がある時のための避難所だから
特に制約なければこっちで投下した方がいいと思う

796:通常の名無しさんの3倍
12/09/07 18:37:45.95
おお、ありがとうございます

797: ◆ygwcelWgUJa8
12/09/07 18:44:11.76
で、では投下を・・・少しどきどき(´∀`*)

798: ◆ygwcelWgUJa8
12/09/07 18:47:28.33

 「―ッ!? そういう事を言うからぁーッ!」

 少女が撃った弾丸が地球連邦の量産型モビルスーツ〝ジェガン〟へと吸い込まれエメラルドグリーンの装甲が風に舞う木の葉のように四散し、やがて崩壊を始めた〝ジェガン〟は太陽の方角へと引き流される。
 少女の名は、クェス・パラヤ―地球連邦軍参謀次官の娘、天真爛漫で感受性が強く、我侭な、それでいて、どこにでもいるような少女だった。父と母が不仲で、それを何とかするために、明るく振舞うような幼い日々もあった。
 ―だが、両親は別れた。
 なぜ人はわかりあうことができないのだろう。なぜ人は、理解しあおうとしないのだろう。
 全てが嫌だった。
 世界も、大人も、人も、何もかもが。
 だから逃げ出した。
 そしてめぐりあう人々との交流の中、ある存在に興味を持ち始めた。
 人の革新―『ニュータイプ』……。
 過去の大戦を戦い抜いた伝説の英雄、アムロ・レイ―人々からニュータイプと謳われ、あるいは恐れられてきたエースパイロット。その男のかたわらには女がいた。
その女の中に、もう一つの命を感じたとき、クェスは決して彼女らの間に入ることができない現実を知り、逃げ出した。
 でも、あの人は手を差し伸べてくれた。あたしを必要としてくれたんだ。だから、あたしは……。
 友達が、私の邪魔をした。あの人のやることを邪魔をしに来た。どうせこいつは幸せな家庭で育って、ぬくぬくと生活してきたんだ。だからこんなに馬鹿で、子供で、馴れ馴れしくて、心の内に土足で踏み込んできて……。

 「―あんなこと言うから……」

 無性に寒かった。体の震えが止まらない、両の腕でぎゅっと抑え込む、自分でもぞくりとするほどに冷たい躯体、本当に人と同じ血が流れているのかと疑ってしまうほどに。
 ああ、でも友達を殺した私は、もう自分が嫌いな大人たち以下になってしまったのだろうか。
 どうしてこんなことになってしまったのだろう、あたしはただ人とわかりあえるようになりたかっただけなのに……。
 でも、あたしは彼とわかりあおうとしなかった。でも、でも、あたしは、あたしにはやらなければいけないことがあって、それは人とわかりあうために必要なことで、でも、だから、それを邪魔をしたあいつが……。

 「あたしが悪いんじゃない……」

 ―ハサウェイ・ノア。出会ったばかりの少年。それでも、自分と共にいてくれた優しい少年を、あたしは―。
 クェスを救うために〝ジェガン〟を駆りやってきた彼の言葉に、〝アルパ・アジール〟のコクピットを覆うサイコフレームが過敏に反応したのか、それとも……。
 指先の感覚が、無かった。
 球状操縦桿アーム・レイカーは、従来の操縦桿よりも繊細で、小さな動作も拾い機体に反映する。
 あたしが、殺ったの……?
 それはまるで、自分を檻の中に閉じ込めるかのように巨大で冷たい、クリーム色のマシン。
 友達を、あたしが、殺したの……?
 幾多の思い出が、割れたガラスのようにクェスの脳裏を散りばめる。最後に笑ったのはいつだったのだろう。ずっと昔、まだ父と母が愛し合っていた頃の幼き日々? そんなに昔?
あたしは、そんなに笑わない人間だったのか? 深い闇へと堕ちていく彼女の心の中で、ああと思い立った。
 彼と一緒だったときに、あたしは笑っていたじゃないか。では、彼を撃ったあたしは、本当に……。

 「……みんな……嫌いだ……」

 うめいた言葉の『みんな』の中に自分自身も含み、彼女の心は冷たく凍てついた漆黒の宇宙《そら》のように凍りつく。
 頼れるものなど、何も無かった。



799: ◆ygwcelWgUJa8
12/09/07 18:49:00.30


 「―これは!?」

 星屑の戦場で、男が少女の心を感知した。
 どうやって感知したのか。若き日に得た力か、それともこれもまた、人の意思を集める力を持つサイコ・フレームの成せる業か。
 純白のパイロットスーツに身を包んだ男の名は、アムロ・レイ。ぞわりと身を這う怨念のようなものを振り払うようにしてアーム・レイカー握りなおし、フットペダルを踏み込んだ。
 「馬鹿なことを!」
 サイコ・フレームに包まれたコクピット内のアムロの思念が形となり、〝νガンダム〟が反応する。
 少女の意思を目指して、〝νガンダム〟が六枚の片翼を翻し虚空の闇を飛んだ。
 その片翼―放熱板とも、見方によればマントとも取れるそれを背負い、〝νガンダム〟が宇宙《そら》にぽつりと浮かぶ巨大な物体を捉えた。
 アムロは一瞬、激昂した。 

 「クェス! 一体何をしたんだ!」

 アムロの脳裏には、クェスの笑顔が浮かんでいた。
 彼女は優しい子だった。だのに何故……?
 その答えを、彼は知っていた。
 十三歳の少女の心は、あまりにも未熟だった。

 「友達だったんだろう?」

 〝アルパ・アジール〟の身体がびくりと震えた。

 『友達なんかじゃない!』

 通信機など介していない。クェスの心が言葉となって、アムロの心に走る。

 「彼の気持ちを思ったことがあるのか!」

 クェスに撃たれたハサウェイ・ノア。彼はクェスを愛していたのだろう。
 漆黒の宇宙の闇が、一段と濃くなっていく。まるで人を飲み込む怨念のように。


800: ◆ygwcelWgUJa8
12/09/07 18:51:25.03


 「あたしの邪魔ばっかりして!」

 クェスはもう一度、強く声を上げた。
 あたしを導いてくれると思ったのに、憧れていたのに! 今更になって現れて、偉そうに!

 『なぜ理解しようとしない……。なぜ素直になれないんだ!』

 クェスは思わず奥歯をかみ締めた。
 あたしは知ろうとした! 気持ちも伝えようと……したのに……ハサウェイが……!
 ―あたしはやってしまうつもりなんかなかった!

 「あなたに何がわかるって言うの!?」

 アムロは何もわかってくれていない。あたしの気持ちも、こんなことになってしまった理由も―。大人はいつもいつも上からものを見て、あたし達の気持ちなんてわかってくれないんだ!

 「そんな、いつも偉そうな事ばっかりー!」

 激昂したクェスの叫びに呼応するかのように、〝アルパ・アジール〟の口にあたるメガ粒子砲が火を噴いた。その力強い光の濁流が彼女の思念に操られ、〝νガンダム〟に襲い掛かる。

 『クェス、よさないか!』

 〝νガンダム〟はメガ粒子の濁流を易々とかわし、背中のマントを翻す―否、そのマントは六つに裂け、コの字に折れ曲がり漆黒の闇を舞った。
 〝フィン・ファンネル〟―〝νガンダム〟に搭載された、無線誘導型の小型メガ粒子砲。それらが一斉に、彼女に立ち向かったのだ。
 クェスはすぐさま反応し、〝アルパ・アジール〟の円状ビット、〝ファンネル〟を射出した。

 「落ちろ……落ちろぉー!」

 クェスの心からダイレクトにイメージを受信し、〝ファンネル〟が磨ぎ立てのナイフのような鋭さで漆黒の宇宙を舞い、無数のビームが放たれた。
 しかし、クェスの〝ファンネル〟から放たれた網の目の様な波状攻撃を、〝νガンダム〟は碌な回避運動も取らず、慣性移動だけでビームの嵐の狭間を漂い回避していく。
そのままの動作で一つ、また一つと、餓えた獣のように飛び交うクェスの分身たちを撃ち落す。
 彼女は唇を噛み締めた。こんな戦い方をしてみせるアムロが許せないから。こんなに強いのに、自分を見てくれないことが、助けてくれないことが―。
〝νガンダム〟から放たれた〝フィン・ファンネル〟に攻撃の意思が無いように見えるのも、彼女の心を逆立てる。
 やがて、アムロの意識が、〝νガンダム〟のコックピット内に組み込まれたサイコ・フレームを介し〝フィン・ファンネル〟に伝達され、クェスの対応する間も無いほど俊敏な動きで死角から死角へと移動し〝アルパ・アジール〟を包囲した。
 ―やられてしまう……!
 しかし〝アルパ・アジール〟を包囲した〝フィン・ファンネル〟は、彼女の思考とほぼ同時に動きを止めた。
一瞬の後、コの字に曲げられた独特な形の〝ファンネル〟から一斉に淡い色のビーム膜が張られ、〝アルパ・アジール〟を四方から包み込むようにしてピラミッド状のバリアを作り上げる。
 ―なんだ、これは!?
 クェスは正体不明の攻撃から脱出すべく、必死に〝アルパ・アジール〟を動かし檻の中で抵抗をした。ある〝ファンネル〟は、膜に向かってビームを放つ。ある〝ファンネル〟は体当たりを仕掛けるが、膜に弾かれて身動きが取れない。
 ―そうか、これは……!
 アムロの行為は、クェスにとって傲慢なものでしか無い。
 ―子ども扱いされている!

 「こんなの、嫌いだー!」

 正面の膜を睨みつけ、クェスは指のメガ粒子砲を放つ。だが、それは光の膜に遮られた粒子の雨は目の前で四散し、激しい光を放ちクェスの網膜を焼いた。衝撃に、少女は悲鳴を上げた。



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