12/02/05 20:49:29.51 i7bppm6B
「ぐ、ぅ……!」
「「鳴上(クン)!?」」
「セ、センセイ!?」
苦しそうな呻き声を洩らす悠に陽介達が声を上げるのも構わず、白いカッターシャツ越しに
その首をシンは力任せに締め上げる。
「アイツは俺が何も守れないって言ったんだぞ! ステラも、ルナも守れないって!
誰が、そんな、事っ、認、め……!」
突然、強烈な眩暈がシンを襲った。
それまで怒りに昇っていた血が、頭だけでなく身体からも急激に引いていくような感じがした。
全身が弛緩し、堪らず悠の首を放すと共にシンは床に手を着いた。
「ッハ……ハァ……何だ、急に……?」
荒い息が絶え間なく口から出て、脂汗がジワジワと顔から滲んでは流れ落ちる。
その原因が、起きた時より感じていた気分の悪さだというのはすぐに分かったが、それがタイミングを
見計らったかのように一気に悪化した理由まではシンには分からない。
それに答えたのは、同様に膝を着いてシンの前で咳き込む悠だった
「“ペルソナ”に目覚めてすぐの内は体調を崩す。それに“こっちの世界”の霧は身体に良く無い」
もう大丈夫だと思ったんだが……、と付け加える悠の傍に、彼を心配した陽介と千枝、クマが駆け寄る。
大丈夫だ、と悠に告げられて彼らが一様に安堵の息を吐いた後、すぐに千枝がシンを睨み付け、
荒々しく床を踏んで彼に叱責を飛ばした。
「いい加減にしてよアンタ! 花村だけじゃなくて、鳴上クンにまで手を上げて! アタシらただ情報交換したい
だけなのよ! それなのに、“シャドウ”や“ペルソナ”の事教えたらまたキレるし! 宇宙だとか、モビルスーツだとか、
“違う世界から来た”んじゃねーのってくらい意味分かんない事しか言わないし! もー、ワケ分かんねーっつーの!!」
よっぽど腹に据え兼ねたのだろうか。そう怒鳴り切った後、まだ治まらないらしい腹の虫からか、顔を真っ赤に上気して
千枝が肩で息をしていた。