12/02/05 19:05:29.48 i7bppm6B
すみません、バイバイさるさんに引っかかってました。投稿遅れてしまって申し訳ないです。
次からはちょっとペース抑え目で投稿しますので、もうしばらくお付き合いお願いします。
短い、しかし力の込められた強い声が聞こえた。
落雷に打たれたような衝撃を感じ、思わずシンは身体を硬直させる。
見れば、腕を組んで仁王立ちし、髪よりやや濃い灰色の瞳で真直ぐにシンを見つめる悠の姿があった。
飲み込まれるような、深い色合いを秘めた眼差しだった。
その視線に、シンは無意識に陽介の両肩を掴む手を緩め、唾を飲み込んでいた。
その傍らで、彼による肩の拘束が外れたことで目を回して尻餅を着く陽介を、千枝が寄り添って、
しっかりしろー、と呼び掛けていた。
「人が集まってきた」
え、とシンは声を漏らして、周囲を見渡した。
見れば、霧越しにこちらを訝しげな、或いは不安げな目を向ける人々の姿がそこら中にあった。
それらの視線でようやく我に返り、気づかぬ内にヒートアップして、そのせいで周囲の目を引き寄せていた事を
シンは理解した。
急激に冷めていく頭で自分がしていた事を思い返し、慌てて謝ろうとするシンに掌を向けて押し留め、
「“向こう”に行こう」
とだけ告げて、悠が踵を返した。