もしも、CCAアムロが種・種死の世界にいたら56at SHAR
もしも、CCAアムロが種・種死の世界にいたら56 - 暇つぶし2ch621:427 ◆ZSVROGNygE
12/01/06 01:17:47.76
※※※

「閣下、今更ですな。劉慶主席はやりますよ」
「そうはそうだ、それは仮に私が事務総長に選ばれていてもやっていた」

私は、ブリュッセルの執務室でE.E.F.軍令部総長ウェリントン元帥の連合軍の作戦計画に関する調査報告を受けていた。

「そして決戦へ...」

報告書に目を通す。ザフトの現時点での保有戦力に連合軍が敗北する可能性は、ほぼなし、である。
報告書を読まなくてもそのくらいは解る。もっとも、申し訳程度に、在府とが何か新兵器を開発していた場合は変動しうるとある。
悪質な責任逃れに多少の不快感が生じる。元帥はそんな私に気付かずに、報告書の説明を追えると私見を開陳した。

「私は別にブルーコスモスではありませんが、軍事的にザフト殲滅を支持してもよいと思います。もちろん選択肢のひとつとして、ですが」
「このまま事態が推移すれば、もちろん充分視野に入る。ジブリ-ルらが黙ったのも、この辺りを踏んでいるのだろう。その場合は我々の仕事が余計に増えるわけだ。全く困ったものだよ」

確かに純軍事的には、このまま進めばプラントごと抹殺すればいい話だ。今や核兵器も使用できる。だが戦後の統治を考えると、いたずらに社会と経済に混乱と不安を加速させるだろう。
そうしたとき、間に合わせとその場しのぎでまとまっている連合が、うまくいくとは思えない。統一体で内乱できればいい方だ。下手したらEEFも瓦解する。
元々、微妙なバランスで成り立っている組織である。うまみや利益がないとなれば再び混沌とした状況になるだろう。

それを調整する苦労を鑑みれば可能な限り、戦争は軟着陸させた方がいい。
にもかかわらず、核兵器の使用も視野に入れた意向が出たのは、政治主導で外交力強化に舵を切ってきたことに対して、軍部とブルーコスモス過激派が巻き返したといえる。

「選択肢は元々少ないのだ。カナーバ外相の手腕に期待しよう」

外交手段として、こちらのとるべきアクションはしたのだ。強硬派が無条件降伏など言い出す前に、公式な席での議論に出て欲しいものだ。これでも譲歩しているだからな。
私はローズヴェルトではない。もっとも彼らがどうするかは、彼らの問題である。それに現時点では軟着陸が最善であると思うが、状況は変わるものだ。
別に社会が安定するのであれば、プラント存続に固執するつもりもない。ロンデニオンの連中とて、あれだけ喧嘩を売られているのだ。我々が方針を変更しようと、気にするとは思えない。
しかし、カナーバ外相の様子を見る限りは、そこまで悲観的に考えなくてもいいように思える。私は極秘会談で会った、若者のことが不意によぎり、補佐官に問う。

「あの、カナーバ外相の脇にいたのは、ザラ議長の息子だったな」
「はい、アスラン・ザラです。つい最近まで前線にいたそうですが、外相に取り込まれたのでしょう」

補佐官が、データを呼び出して見せてくる。
なるほど、これはアイドルにはふさわしい経歴だ。実際の印象として、大きな父親を持つと潰れるというが、なかなかどうして理想が高そうな少年だった。
彼の青臭さに期待してみるのもいい。

「いずれにせよ、矢は放たれたのだ」

私は、椅子を回して窓から見える靄のかかる町並みを見る。その光景に行く末の不透明さを重ね合わす。
神でないが故のもどかしさか。願わくば、可能な限り多くの市民が望むべき方向へと向かって欲しいものだ。そうでなければ、政治家になった甲斐がない。
そこまで考え、自分もやや青臭い感情がわき起こってしまったことに、自重めいた笑みをもらするのだった。

「そして決戦へ...」end.


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