12/02/19 23:23:26.70
Q.これからお仕事ですか?
「すいません、静かに」
我々クルーを諌める320
「耳を済ましてください。声がほら、きた、きたきたきた、ほら声がするでしょう?笑い声が」
確かに遠くに笑い声がする。
「近所の中学校の登校時間なんですよ」
この声を聞くことで社会とつながっている実感をもつ、と>>1は語る。
「ほら、こんな仕事でしょう?社会に切り離されてるんじゃ無いかって不安になってるころに、この声に気づいてね、それからは日課なんですよ」
こうして登校や出社する人々の声や足音を聞くことで
出社した気分になる、と言う。
プロならではの、技である。
七時四十五分。
「ふぅ、もういいかな」
沈黙を破ったのは、320であった。
「これ以上は危険ですからね。見極めが大切なんですよ」
あまり深く聞き入ると、向こうにひきづりこまれる。
プロの生命をたたれる可能性がある危険な作業なのだ。
Q.怖くは無いんですか?
「怖いといえばこわいですね。あと何年やれるか。わからない。その時どうなるのかも。ただ、続けたいですね。生きてる限りは」
そう笑う320には、確かに、プロの面影が見えた。